サイト小説の記事一覧
2020/05/17
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第三十二話 後始末
リーゼは、ヤスの背中を見ながら、後ろに付いていった。リーゼは、執務室に行く必要はなかったが、子供たちがどんな結論を出したのか気になったのだ。 執務室に入ると、イチカだけが待っていた。 「なんだ、座っていれば良かったのに・・・」 「今日は、ヤスお兄様にお願いに来ました」 「いいよ。イチカも座って・・・。えぇーと」「マスター。セブンです。お飲み物をお持ちいたします」 ヤスは執務室で控えていたメイドを見た。名前が解らなかったが、メイドが自分から名乗った。 「うん。セブン。頼む。リーゼの分も頼む」 「かしこま…
続きを読む2020/05/17
【第七章 日常】第二話 出発
晴海の目覚めは最高ではなかった。 昨晩、晴海は全裸の夕花に抱きつかれて寝たのだ。寝る寸前まで、夕花が身体を押し付けてくるので、耐えるのが大変だった。夕花は、晴海が反応したのを感じて安心したのか足を絡ませるようにして晴海を触りながら眠りについた。 晴海が寝たのは、夕花の寝息が聞こえてきてから30分ほど経ってからだった。 晴海の方が早く起きた。まだ身体を密着させている夕花のおでこに軽くキスをしてから、布団から抜け出した。 身体が夕花からする甘酸っぱい匂いで満たされていた。腕や足には夕花の柔らかい感触が…
続きを読む2020/05/16
【第七章 日常】第一話 告白
「晴海さん?」 「あっごめん。僕の奥さんがあまりにも可愛かったから見惚れていたよ」 晴海は本当に夕花の浴衣姿に見惚れていた。 「もぉ・・・。でも、嬉しいです」 晴海は、一つの出来事を忘れていた。頭の片隅には有ったのだが、能見との連絡ですっかり忘れてしまったのだ。晴海は、浴衣姿の夕花を隣に座らせた。 夕花は、言われたとおりに、浴衣姿のまま、風呂から出た状態で、晴海の横に座る。座るまでは良かったのだが、座った後で顔をあげられなくなってしまった。 風呂には、浴衣だけは一式用意されていた。 情報端末だけで…
続きを読む2020/05/15
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第三十一話 帝国の子供たち
ヤスは、会議の終わりを告げてから回線を遮断した。 「旦那様。関所の森の帝国側に関してのご報告があります」 「あぁセバスの眷属も参加していたのだったな」 「はい」 「こちらの犠牲は?」 「ありません。怪我を追ったものがいましたが、旦那さんの指示を優先させ、一人の犠牲も出しておりません」 「それは重畳。それで?」 「はい・・・」 話は、10日前のマルスの報告から始まった。 — 『マスター。関所の森に侵入者です』 「帝国側か?」 『はい』 「何度目だ?」 『6度目です』 「奴らは馬鹿なのか?違うな…
続きを読む2020/05/15
【第六章 縁由】第七話 到着
「夕花。どの辺りを走っている?」 ベッドから起き出した晴海は、勉強をしている夕花に話しかけた。 モニターを見れば、大まかな位置は解るのだが、夕花に聞きたい気分だったのだ。 「先程、海老名サービスエリアを通過した所です」 「そうか、ありがとう。コーヒーが欲しい。濃い目に作ってくれ」 「かしこまりました」 夕花は、お湯を沸かして、ドリップを行う準備を始める。 濃さの調整は、ホテルでやっているので問題にはならない。 10分後に、牛乳をたっぷりといれたコーヒーが出来上がる。夕花は、自分の分も用意して晴海の…
続きを読む2020/05/14
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第三十話 塩と砂糖と胡椒
『はぁ・・・。ヤス。まぁいいけどな。まずは、リップルからでいいか?』 「頼む」 『その前に、サンドラ嬢。ディトリッヒは居るか?』 『いますよ。ミーシャと後ろに控えています』 『そうか、まずは、ディトリッヒから、塩と砂糖がどうなったのか報告させたほうがいいと思うが?』 ヤスが承諾したので、ディトリッヒがサンドラに変わって、前に出て説明する。ヤスとルーサは聞いていた話だが、黙ってディトリッヒの報告を聞いた。サンドラは、父親からの説明を受けていたので、実際の現場以外で行われていた内容を補足するように説明した。 …
続きを読む2020/05/14
【第六章 縁由】第六話 過去
晴海と夕花を乗せたトレーラーは圏央道を走っている。 制限速度内で、ゆっくりした速度を保っている。 晴海は、ベッドで横になっている。やることが無いわけではないが、急いでやるべきことが無いのだ。 夕花は、資格の勉強を再開した。すぐに必要になるわけではないが、試験の日付を考えると、勉強を再開しておいたほうが良いと思ったのだ。 勉強をしながら、晴海を観察している。 夕花は、自分の生まれも育ちも解っていたと思っていた。奴隷になって、市場で売られて、晴海に買われて、ここ数日で世界が一気に変わってしまったのだ…
続きを読む2020/05/13
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十九話 神殿会議
クラウス辺境伯が、長い後ろ髪を引っ張られながら、領地に戻っていってから、2週間が経過した。 ヤスは、一つの仕組みをドワーフのイワンと構築していた。 殆どは、マルスの仕事だったのだが、必要になって構築をおこなって、本日テストとして使うことにした。 『おぉヤス。どうだ?』 「お!感度もいいな。問題はないな」 『これはいいな。工房にいながら注文が出来る』 「イワン。会議用だぞ?注文に使うのは控えろよ」 『解っている。たまにならいいだろう?』 『ヤスさん。イワンさん。こちらも、問題はありません』 サンドラと…
続きを読む2020/05/13
【第六章 縁由】第五話 買物
晴海と夕花は、出来た時間を利用して、夕花は資格に関する資料を読み込み必要な情報を習得していた。晴海は、能見から渡された夕花の家族に関する資料を読み込んでいた。 晴海は、能見の報告書に違和感を覚えていた。 何がと言われると困るのだが、歯に何かが挟まった気持ち悪さを感じていたのだ。 「晴海さん?何かありましたか?」 「うーん。よくわからないけど、夕花を騙しながら、事業を続けていたにしては、お粗末だし、組織の人間が・・・!そうか!」 「え?」 「違和感の正体がわかった!夕花!お義母さんの墓が荒らされたと話し…
続きを読む2020/05/12
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。疲労困憊
疲れた。一言で、表現してしまったが・・・。心の底から軽蔑する相手だが、リップル子爵と話をしたときの方が疲れなかった。 別に、ヤス殿が嫌いとか軽蔑すべき人物だという意味ではない。自分で言っていてよくわからないが、ヤス殿との交渉は本当に疲れた。 疲れただけの成果は有った。 「お父様。お疲れ様でした」 「サンドラ。疲れた。あの地図!?それに、モニターはあのようにして使うのか?セバス殿はまともだと思ったのだが?」 「お父様。それは無理というものです。ここ1週間住んで見ればわかります」 「どういう意味だ?」 「…
続きを読む2020/05/12
【第六章 縁由】第四話 誘導
『晴海様。追跡者の身元がわかりました。データを転送します』 「頼む」 晴海は、送られてきた情報を見た。 本人談の部分で笑ってしまった。 「礼登。こいつは、本気で言っているのか?」 『その様です』 「晴海さん?どうかされたのですか?」 「夕花。そうだ・・・。モニターを見て、今、礼登から送られてきた、俺たちを尾行していた男の情報だ」 晴海はモニターに情報を表示した。 — 本名:佐藤(さとう)太一(たいち) 年齢:23歳 職業:地方タウン誌の記者 賞罰: 13歳:窃盗犯捕縛に協力 15歳:盗…
続きを読む2020/05/11
【第六章 縁由】第三話 記者
– とある記者 — ひとまず、尾行には気が付かれていないようだ。 私は、房総州国でフリーのルポライターをやっている浅見だ。私の名前など忘れてくれて構いません。だが、私が正義の体現者である事は覚えておいて欲しい。私は、今、尾行を行っている。東京都の犯罪や越権行為を辞めさせるために確たる証拠が欲しいのだ。確かな情報を掴んだ。 奴隷市場が開催された場所に張り付いて居る。彼らが、ここで奴隷市場を開催して違法奴隷を売っているのだ。 奴隷市場では、違法奴隷を扱っていないと言われています…
続きを読む2020/05/10
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。神殿を視察6
儂は、クラウス・フォン・デリウス=レッチュ。バッケスホーフ王国の辺境伯だ。神殿の視察で、神殿の真実の一端に触れてしまった。しかし、これが終わりではなかった。娘の笑顔を見て、これで終わったと思ったが違っていた。 もう少し、カートを動かしたいと思ったが、ダメだと言われた。今度、休みが許可されたときにまた来て視察し(遊び)たい。ドワーフの工房は心臓に悪いから、カート場だけでいいか・・・。だが、ドワーフの酒精は魅力がありすぎる・・・。 カート場を出て、バスと呼ばれたアーティファクトに乗って、教習場と呼ばれる場…
続きを読む2020/05/10
【第六章 縁由】第二話 攀援
「晴海さん?」 「もう少し」 「あっはい」 会話にならない会話を二人は続けていた。晴海は、ソファーに自分が座って、膝の上に夕花を乗せて抱きしめている。 抱き枕ではないが、自分の膝の上に乗せて、夕花を横座りの状態にして抱きしめているのだ。夕花も最初は恥ずかしかったが、今は呆れ始めてしまっている。 「うん!夕花。テーブルの上に置いてある、情報端末を取って」 「はい。でも、私が降りれば・・・」 「ダメ」 「わかりました」 夕花は、晴海の上に乗ったまま身体を曲げて情報端末を取って、晴海に渡した。 晴海は、情…
続きを読む2020/05/09
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。神殿を視察5
儂は、クラウス・フォン・デリウス=レッチュ。バッケスホーフ王国の辺境伯だ。絶賛、後悔中だ。 ドワーフの工房で精神的に疲れてしまった儂は、いろいろ譲歩・・・。ではなく巻き込まれてしまった。娘の策略を疑っているが、悪い話ばかりではない。いや、違う・・・。本来なら、領を富ませる最高の物を得たと喜ばなければならない。ただ、他の領主や王家だけではなく、領内の有力者に知られた時に、誰にどれだけの情報を流すのか、調整が難しい。 そして、ドワーフの工房の最奥部に入るときに、娘が言っていた。『神殿に住むと言わないで・・…
続きを読む2020/05/09
【第六章 縁由】第一話 権力
晴海は、能見からの資料の扱いを考えていた。 寝ている夕花を見てから情報端末の資料を見る。 (能見の奴、こんな爆弾を用意していたのか?夕花を寝かせておいて正解だな。夕花の前で見ていたら・・・) 資料には、夕花の実家にまつわる調査結果(第一弾)が書かれていた。 夕花の父親が友人と立ち上げた会社は裏で密輸に手を染めていた。 州国間の貿易は認められている。州国によって取り扱いが違う商品は基本的には存在しない。大麻を合法化しようとした州国も存在したが、内外からの反対で廃案になった。 夕花の父親たちは、表向…
続きを読む2020/05/08
【第五章 移動】第六話 資料
晴海と夕花が、ベンチで固まっていると、礼登からのコールが入り、排除の完了が知らせられた。 二人は、トレーラーまで戻って小屋に入った。 「晴海さん。圏央道に入るのですよね?」 「そう聞いているよ?」 「いえ、谷田部パーキングエリアから、圏央道に入るジャンクションでは検問が有ったと思うのですが?」 「あるよ。でも大丈夫だよ。トレーラーの中までは調べないし、調べられても困らないからね」 「え?」 「だって、別にトレーラーで車や小屋を運んではダメだという法律は無いし、僕たちが荷物だとしても合法だよ」 「あ・・・…
続きを読む2020/05/08
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。神殿を視察4
儂は、クラウス・フォン・デリウス=レッチュ。バッケスホーフ王国の辺境伯だ。絶賛、後悔中だ。 ドワーフ族だと名乗ったのに、実はエルダードワーフだったイワン殿。家名持ちと教えられた時点で気がつけばよかった。 目の前にあるものは見なかったことにして、自分の屋敷に帰ろうと本気で考えた。娘が、帰さないと徹底抗戦だ。たしかに、王家からの頼みをヤス殿に伝えないとならない。娘を睨むが、娘は、もういろいろと諦めている表情をしている。 目の前に置かれている、魔道具と酒精。見なかったことにしたい。 「イワンさん。それで、…
続きを読む2020/05/07
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。神殿を視察3
儂は、クラウス・フォン・デリウス=レッチュ。バッケスホーフ王国の辺境伯だ。絶賛、後悔中だ。好奇心に負けた過去の自分を殴りたい。 「クラウス殿。ここが貯蔵庫だ」 「貯蔵庫?」 「そうだ、ここで蒸留酒を寝かせている」 「しかし・・・」「そうだ、単純に寝かせているわけではない。ヤスが作った部屋で、端から1年。2年。4年。8年。16年。32年。と、なっている」 「??」 「嬢ちゃんに聞いていないのか?」 「えぇ何も?」 「そうか、それじゃしょうがないな。この部屋は、広さは20メートル四方くらいの部屋で、1日で言っ…
続きを読む2020/05/07
【第五章 移動】第五話 休憩
晴海と夕花は、小屋から出て、改造されたトレーラーから外に出た。周りに誰もいない状況なのは、礼登から報告が上がっている。 「うーん!」 疲れてはいないが、小屋の中でさっきまで寝ていた晴海は身体を伸ばした。筋が伸びるのが気持ちよくて、声が出てしまった。 夕花は、そんな晴海を見て嬉しそうにしている。 「夕花?」 「はい」 「何か食べよう」 晴海が差し出した手を夕花が握った。 指を絡めるようにして握った状態で、パーキングエリアにあるフードコートの中に入っていく。 「パーキングエリアとか、サービスエリアとか…
続きを読む2020/05/06
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。神殿を視察2
儂は、クラウス・フォン・デリウス=レッチュ。バッケスホーフ王国の辺境伯だ。だが、現在の状況が理解出来ない。 ドワーフの工房は、凄まじかった。一級品の武器や防具が作られていた、日用品と思われる物もドワーフたちが作っていた。一部魔道具も見られた。ドワーフが魔道具を作る?と思ったが、エルフ族が居て、ドワーフ族と連携しているのなら可能なのだろう。こんな事が貪欲な貴族に知られたら、また胃に痛みが走る。 娘の言葉にも耳を疑った。 「サンドラ。二級品とは、見てきた工房で作られている物か?購入できるのか?」 「えぇ。…
続きを読む2020/05/06
【第五章 移動】第四話 戯事
「夕花?」 「はい?」 「いや、なんか不思議そうな顔をしていたからな」 「あっ・・・。先程、移動ルートを教えていただきましたが、かなりの距離ですし遠回りになっていると思います。時間も、相当ゆっくりとした速度で走られるのですね?」 礼登が示したルートを一般的な車の速度よりも遅い速度で走っても6-7時間で到着できる。オート運転だと、礼登の示したルートでは行けない。効率が悪すぎるのだ。夕花の指摘は当然なのだ。 「速度は、礼登に任せたからな。多分、僕たちを気にしていると思う」 「え?」 「通常速度で移動されて、急…
続きを読む2020/05/05
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。神殿を視察1
儂は、クラウス・フォン・デリウス=レッチュ。バッケスホーフ王国の辺境伯だ。 貴族位としては、伯爵だが通常の伯爵より上の辺境伯だ。儂の上は、侯爵家と公爵家があるだけだ。 儂は、娘のサンドラが世話になっている神殿の都(テンプルシュテット)の敷地内に足を踏み入れた。軽い気持ちで着いてきたが、後悔し始めている。 神殿の都(テンプルシュテット)は娘たちが名前を付けたと言っているが、信じていない。名前は、主が付けるのが当然で、主の権利なのだ。娘たちも気にして、仮称だとは言っていたが、実際に神殿の主であるヤス殿が…
続きを読む2020/05/05
【第五章 移動】第三話 礼登
晴海と夕花は、ホテルに戻って、チェックインをしたフリをして、荷物だけを受け取ってエレベータに乗る。 一度、最上階まで登ってから、地下駐車場に移動する。トラクターにトレーラーを連結した状態で待機させてあると言われている。 「晴海さん。トレーラーは解ると思いますが、私たちが乗る車は、どれなのでしょうか?」 「能見さんが用意したから・・・。あった。あった。相変わらずだな」 「え?これが、そうなのですか?」 「そうだ。ナンバーが、863だろ?」 「晴海さん。愛されていますね」 「・・・。夕花・・・。可愛い顔して…
続きを読む2020/05/04
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。神殿に行く
儂は、クラウス・フォン・デリウス=レッチュ。バッケスホーフ王国の辺境伯だ。 貴族位としては、伯爵だが通常の伯爵より上の辺境伯だ。儂の上は、侯爵家と公爵家があるだけだ。 儂は、娘のサンドラが世話になっている神殿の都(テンプルシュテット)に向かっている。 関所の村アシュリでは、簡単な食事だけをして、神殿を目指す。関所の村アシュリの代表は、ルーサという男だ。ディトリッヒ殿の知り合いと言っていたが、どっかで見たことがある気がする。思い出せない。王都で行われた、陛下の即位式で見た気がしたのだが・・・。 代表…
続きを読む2020/05/04
【第五章 移動】第二話 変装
「晴海さん。準備が終わりました」 話をしてから、1時間後には夕花の準備が終わってしまった。もともと、奴隷市場で売られていて、晴海が入札したので当然と言えば当然だ。晴海も、情報端末と身分証明が行える物だけを持って奴隷市場に来たのだ。 お互い、このホテルで用立てた物か、晴海が能見に依頼して用意した物しか荷物はない。 夕花の提案から、姿を消す方法で伊豆に向かうと決めたので、コンシェルジュに頼んでいた方法で脱出すると決めた。 晴海と夕花は、明日以降のスケジュールを大まかに決める。 「夕花。それじゃ、エステに…
続きを読む2020/05/03
【第五章 移動】第一話 方法
晴海は悩んでいた。昼間に移動するか?夜に移動するか? 一人で悩むよりも、相談したほうが良いと判断した。 「夕花」 「はひ!」 夕花がおかしな返事をしてしまったのには理由がある。今日も二人でホテルの部屋で過ごしていた。能見に頼んだ、試験に必要な書類が届いたので、二人で勉強していたのだ。共通の勉強は、大学への入学申請に必要になるテストの対策テキストだ。試験は、形だけなのは晴海も夕花も認識している。せっかくだからと二人で勉強をしていたのだ。そして、夕花は復活した資格の上位資格を目指す勉強を始めた。能見からは…
続きを読む2020/05/03
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十八話 ヤスへの説明?お願い?
セバスが、サンドラとクラウスを連れて会議室に入ってきた。クラウスが疲れた表情をしているのを見て、ディトリッヒは可愛そうな人を見る目でクラウス辺境伯を見ている。実際に自分たちが通ってきた道である。 クラウスに衝撃を与えた、ヤスはセバスから飲み物を受け取って喉を潤していた。 「お!サンドラ。ありがとう。クラウス殿。お手間をとらせてもうしわけありません」 「ヤス殿。感想は、娘に伝えてあります。本題に入りますが問題はありませんか?」 「わかりました。お願いします」 クラウスは、ヤスに交渉の内容を伝える。 ま…
続きを読む2020/05/02
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十七話 サンドラとデイトリッヒが帰ってきた。おまけ付き
関所の村アシュリからユーラットに向かい始めた。サンドラ。ディトリッヒ。クラウス(辺境伯)を乗せた、ダブルキャブはユーラットに寄らずに神殿を目指す。 「セバス殿。ヤス殿は、”村を作る”と言ったのですよね?」 クラウスが、セバスに質問をする。問い詰めている感じではなく、呆れた感じに聞こえる。 「はい。そうお聞きしました」 セバスも淡々と答えるのだった。 関所の村(・)アシュリは、村ではない。城壁を備えた街なのだ。人数は、確かに街ではなく村なのだろう。設備だけを見れば、領都と同等か領都以上なのだ。クラウス…
続きを読む2020/05/02
【第四章 襲撃】第五話 移動
昼食に近い朝ごはんを晴海と夕花は並んで食べた。夕花は、食事の度に場所を変えて食事を摂ってみるが、正面で食べれば晴海の視線が気になってしまうし、横で食べれば晴海の仕草が気になってしまう。そして、晴海の匂いを感じて、自分の匂いを晴海が感じているのかと思うと赤面してしまうのだ。 食事を終えて、夕花が食器を片付ける。最初は、晴海がやろうとしたが、自分の仕事だと言って夕花が行うようになった。 「晴海さん。何か飲みますか?」 「そうだね。コーヒーを頼むよ」 「はい。ミルクをたっぷりと砂糖は少なめですか?」 「うん。…
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