日常の記事一覧
2020/05/23
【第七章 日常】第八話 濫觴
晴海と夕花は、晴海の運転する車で屋敷に帰ってきた。 翌日も試験が控えていた。翌日は、運転免許の更新と限定解除を行うのだ。教習所に通えばよかったのだが、能見が夕花に晴海と一緒に居る時間を大切にしてくださいと助言したので、免許更新時に試験を受ける方法を選択した。 夕花の誕生日ではなかったが、奴隷になったことで効力が停止されていた免許を復活させるためには手続きが必要になっていた。同時に、バイクの免許の取得を行うので、丸一日試験場に居る状態になる。 晴海も、夕花に合わせてバイクの免許を取得する予定にしていた…
続きを読む2020/05/22
【第七章 日常】第七話 怠惰
欲望をぶつけ合った翌日は昼過ぎまで惰眠を貪っていた。 起き出した二人は、昨晩の状態で放置された布団を見て、笑いあった。それから、”おはよう”のキスをしてから、洗濯物をまとめた。体力を使い果たしたと言っても若い二人は起きる頃には体力”も”戻ってきていた。 洗濯物をまとめる作業をしているが、服を着たわけではない。風呂から上がってきたのと同じ全裸なのだ。 晴海は、夕花の形のいいおしりを見て自分が反応しているのに気がついた。 「晴海さん」 「どうした?夕花?」 晴海もそれだけで解った。 夕花は、晴海の反…
続きを読む2020/05/21
【第七章 日常】第六話 性愛
夕花は、立ち上がった。晴海は夕花の姿を目で追った。 二人が居る露天風呂は星や月の明かりだけに照らされている。入ってくるときには、足元を照らすライトが点灯するが人が居なくなれば消えてしまう。 振り向いた夕花を照らすのは星の明かりだけだが、晴海には夕花がしっかりと見えている。夕花が微笑んでいるのも見えている。 「晴海さん」 夕花は、他にも言葉を考えていた。抱いて欲しいと口に出そうと思っていた。 しかし、自分を見つめる晴海を見てしまうと、名前を呼ぶのが精一杯だった。名前を呼ぶだけで心臓の音が晴海に聞こえ…
続きを読む2020/05/20
【第七章 日常】第五話 確認
晴海と夕花は精神的に疲れてしまった。晴海に送られてきた、家の情報は嘘ではないが本当でもなかった。うまく編集されていたのだ。全容だと思っていたものが一部でしかなかったのだ。 「晴海さん。先に、荷物を受け取りませんか?それと、食堂と7階のキッチンを見ておきたいのですが駄目ですか?」 「いいよ。食料もある程度は買ってきていると言っても、手探り状態なのは間違い無い。いろいろ調べよう」 「はい」 7階へ直通になっているエレベータはすぐに見つかった。 エレベータに乗ってみて解ったのは、パネルが新しくなっているので…
続きを読む2020/05/19
【第七章 日常】第四話 住居
狙っていた通りに、暗くなってから、六条が所有する離れ小島の前に到着した。 ナビが示しているのは、島の中央ではなく、海沿いになっている。島の全体が私有地なので、地図は表示されていない。 「晴海さん。入口が封鎖されています」 夕花が指摘した通り、島の入り口は封鎖されている。 厳重な門の扉が閉じられている。島に向かう道路にも高い壁と鉄柵で海からの侵入を防いでいる。 門には、ガードロボットが配置されている。武装が許可された物だ。 「大丈夫だよ」 晴海は、情報端末を取り出して近づいてきたカードロボットに認…
続きを読む2020/05/18
【第七章 日常】第三話 報告
晴海の運転する車は、旧国道414号を白浜方面に向けて走っている。年号が使われており、昭和や平成や令和と呼ばれていた時代と道は変わらない。伊豆中央道が出来てからは時間が停まってしまったような場所だ。 古き良き時代が好きで移り住んでいる者は居るが、そのような人物は多くない。生活の殆どを自給自足でまかないながら生活をしているので、生活道路となっている旧国道414号にも車の影は少ない。 国が管理していた速度規制が撤廃され、全ての道路で地域の生活様式に合わせた速度制限が定められた。 旧国道414号線の様に生活…
続きを読む2020/05/17
【第七章 日常】第二話 出発
晴海の目覚めは最高ではなかった。 昨晩、晴海は全裸の夕花に抱きつかれて寝たのだ。寝る寸前まで、夕花が身体を押し付けてくるので、耐えるのが大変だった。夕花は、晴海が反応したのを感じて安心したのか足を絡ませるようにして晴海を触りながら眠りについた。 晴海が寝たのは、夕花の寝息が聞こえてきてから30分ほど経ってからだった。 晴海の方が早く起きた。まだ身体を密着させている夕花のおでこに軽くキスをしてから、布団から抜け出した。 身体が夕花からする甘酸っぱい匂いで満たされていた。腕や足には夕花の柔らかい感触が…
続きを読む2020/05/16
【第七章 日常】第一話 告白
「晴海さん?」 「あっごめん。僕の奥さんがあまりにも可愛かったから見惚れていたよ」 晴海は本当に夕花の浴衣姿に見惚れていた。 「もぉ・・・。でも、嬉しいです」 晴海は、一つの出来事を忘れていた。頭の片隅には有ったのだが、能見との連絡ですっかり忘れてしまったのだ。晴海は、浴衣姿の夕花を隣に座らせた。 夕花は、言われたとおりに、浴衣姿のまま、風呂から出た状態で、晴海の横に座る。座るまでは良かったのだが、座った後で顔をあげられなくなってしまった。 風呂には、浴衣だけは一式用意されていた。 情報端末だけで…
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