サイト小説の記事一覧
2024/03/18
【第五章 魔王】第七話 ミアと魔王
今日は、私のお披露目があると言われた。 魔王島の中央にある私のダンジョンに皆が集まってくる。 「お姉ちゃん」 私の横にはミイがいる。肩には子狐がいる。 それが嬉しい。私たちは、魔王様に救われた。いつ死んでもおかしくなかった。でも、魔王様に保護されてから、私たちの生活は変わった。 魔王様が、幾多の魔王を束ねる大魔王様になった。 魔王様は、私だけではなく、妹にも言葉遣いは自由にしてよいと言われている。甘えるのとは違うが、大魔王様の考えは、魔王は同列で力の違いはあるが、魔王は同列だと言って・・・。魔王…
続きを読む2024/03/18
【第四章 噂話】第七話 CB400Rと整備士
俺は、愚かな姉貴や人間を辞めてしまっている姉貴や、偉ぶって成功者風を吹かせる兄貴たちとは違う。俺が、本当の強者で成功者だ。力の使い方もしっかりとわかっている。 「まだなのか!」 「はい。もうしわけありません。バイクにいろいろ仕掛けがあって、解除ができていません」 あの気に喰わない新入生が、俺の異母兄弟だと知らされた。そして、兄貴がほしかった物を使っている。 アイツが何か出来るとは思えないが、姉貴が使っていた連中が行方不明になっている。姉貴は、アイツが原因だと喚いていたが、どうやって今の日本で証拠を残さ…
続きを読む2024/03/17
【第四章 建国騒動】第八話 森の中
おっさんは、あらためて子供たちを見る。 バステトのスキルで命の灯火が消えそうになっていた者もなんとか持ち直している。しかし、このままではまた同じ状態になってしまう。 見渡すと、子供たちはおっさんを見つめている。 「37人か?全員なのか?」 「え?」 目の前に居る男児は、おっさんの答えに質問で返してしまった。 「ここに居るのが全員なのか?」 「・・・」 「連れて・・・。動かせないのか?」 おっさんの問いかけに、男児は泣きそうな表情で頷いた。 「そうか、バステトさん。お願いします」 ”にゃ!” 「隠れ…
続きを読む2024/03/17
【第九章 ユーラット】第三十一話 選択
神殿の指令室には緊張した空気に満たされ始めた。 今回の戦闘で、犠牲が出る可能性が高い瞬間が近づいている。 だからこそ、ヤスだけではなく、皆がプロジェクターによって大きく映し出された状況を凝視している。 「ねぇヤス。大丈夫だよね?」 リーゼの言葉を皆が聞き耳を立てている。 実際には、作戦を伝える時に、説明はしている。実際に、実行はしっかりと行われた。ただ、指令室に居る者たちが関わっていないために、心配な気持ちが強い。 「あぁ大丈夫だ。ユーラットに居るのは、ドッペルだけだ」 ヤスは言い切る。 正確…
続きを読む2024/03/16
【第三十二章 妊娠】第三百二十一話
お茶会は、和やかに進んでいた。 クリスティーネが落ち込んで、シロが慰める場面はあったが、交流を行うという意味では、目的を達成している。 「ナーシャは戻らないの?」 「ん?戻る?」 「ノービスは、ロングケープから出ている船で行かないとダメな場所で活動しているのでしょ?」 途中から参加している猫族のミーシャが、ナーシャに質問をする。 ノービスは、ナーシャが参加しているパーティーの名前だが、ロックハンドの開拓を任されてからは、パーティーの活動はしていない。ナーシャは、ツクモからもらった家がロックハンドにあ…
続きを読む2024/03/02
【第六章 約束】第九話 共和国(3)
議会は荒れていた。 食料の問題で招集されて開催された議会だが、今は違う話が主軸になっている。 もともと共和国は、いくつかの王家が帝国や王国に対抗するために集まった小国家群と言い換えてもいいのかもしれない。 最初は、軍事力で他国を圧迫していた国の意見が通っているような状態だったが、国家間の調整となによりも帝国と王国の圧力に屈する形で、小国家群は一つの国にまとまる選択をとった。 その時に採用された方式が、共和国制だ。 小国家は、そのままにして発言力を強めようとした。 小競り合いは発生したが、そのた…
続きを読む2024/03/01
【第八章 王都と契約】第十八話 マヤのスキル
別室に通された ナナとミトナルは、リンと違う意味で、行動が出来ない状況になっていた。 別室に入ってすぐにマヤが妖精の姿になって、部屋から出て行ってしまった。 ミトナルとマヤは魂でつながっている。妖精の姿になっている者は、戻ってこようと思えばすぐに戻って来られる。戻って来られるという安心感から、久しぶりの王都を探索するつもりのようだ。 マヤも、妖精の姿では目立つのはわかっている。王都に行くと決まってから、準備を始めていたスキルを発動した。 マヤとミトナルは、妖精の姿になった時に、目立つだろうと考えて…
続きを読む2024/01/24
【第五章 スライムとダンジョン】第一話 スライムと茜と真子と貴子
茜さんと真子さんと住み始めて1年が経過しました。最初は戸惑いましたが、人?は順応するものです。 家族たちも、購入できた市内の山の探索範囲を広げています。結界で覆ったら、いろいろと問題が発覚しました。不法投棄をしていた企業が発覚したり、盗んだ物が隠されていたり、高校生がいじめに使っていたり、いろいろ隠されていた物が世間に暴かれました。大変でしたが楽しい日々です。なんどか、行政からの呼出しもありました。高校生だった頃よりも充実しています。 1年でいろいろと世間が動きました。まずは、日本ギルドが解体したよう…
続きを読む2024/01/22
【第五章 魔王】第六話 魔王島(仮称)
今日は、ルブラン殿と新しくできた魔王島に来ている。 仮称だが、このまま定着してしまう感じがする。 「魔王カミドネ?どうかしましたか?何か、心配事ですか?」 ルブラン殿は、私のような者にも対等に接してくれる。 魔王の演技をしている時には、”魔王”象を崩さないのだが、魔王と眷属だけしかいない場所では、同列の者として接してくれる。実際に、ルブラン殿は序列で言えば、私よりも上だ。大魔王様の側近中の側近だ。 「いえ、”思えば遠くへ来たもんだ”と・・・」 「え?」 そうか、ルブラン殿は”日本の映画”を知らない…
続きを読む2024/01/21
【第四章 噂話】第六話 正当な権利
噂話が、真実味を帯びるのには、いろいろなファクターが必要になってくる。ユウキは、発生した噂話に、虚実を織り込ませ話を織り交ぜて、真実味を持たせる工作を行っている。 ポーションが実在しているのは、真実だ。しかし、ポーションが簡単に手に入るはずがない。ユウキたちが供給源である。その事実を隠して、前田果歩がどこからか入手したポーションで身体が治ったと噂を流した。身体が治っただけではなく、他にも効用があり、古い傷も肌も治ったと噂が加速した。 人は、信じたい事柄だけを信じてしまう傾向にある。 前田果歩の身体が…
続きを読む2024/01/21
【第四章 建国騒動】第七話 おっさん出かける
ダンジョンと子供たちをカリンに任せて、おっさんはバステトを連れて、アルシェ帝国に来ていた。 道中は、バステトのスキルで姿を隠しながら、黄龍の眷属に運んでもらった。 本来なら、ラインリッヒ公国に立ち寄って筋を通す必要があるのだが、理由があり、おっさんは”拠点”に居る必要があった。 「まーさん。帝国の・・・。そうだ、王都まで、送るけど?いいのか?」 「大丈夫。悪いな」 「気にしないでくれ、それにしても、本当にいいのか?」 「あぁ龍族が来た事は、秘匿しておきたい」 「わかった」 龍族の眷属が、おっさんを送…
続きを読む2024/01/06
【第九章 ユーラット】第三十話 それぞれの選択
第三皇子が帝都を脱出して、エルフの里に向かっている頃。 第二皇子は、選択を迫られていた。自らが選んだ道なのだが、最後の決断が出来ない。 「殿下。準備が整いました」 自らがユーラットに向かうと宣言してしまっている。 第二皇子は、自らがユーラットに向かう船が整うのを待っていた。事になっていた。その間に、第一皇子側に潜り込ませたスパイから、情報を得ていたのだが、第二皇子が考えていた以上に、戦況が混沌としていない。 「戦況は?」 「・・・」 「第一皇子の・・・。兄は、無事なのか?」 「はい。第一皇子は、帝都…
続きを読む2024/01/03
【第三十一章 本腰】第三百二十話
クリスティーネは、緊張した面持ちで、カズトとシロが住んでいる場所に向かっていた。 崖の下に到着した時に、同じように邸宅に向かっていた者たちと合流した。 メイド姿をしたドリュアスが、全員が揃ってから邸宅に案内すると伝えてきた。 「シロ様がこちらにお越しになるのでは?よいのですか?私たちが、邸宅にお邪魔する形になってしまいます」 驚いたのは、メリエーラだ。 立場を考えれば、邸宅に案内されても不思議ではないが、メリエーラだけではなく、ヴィマやヴィミやラッセルやヨナタンも、邸宅に足を踏み入れたことがない。…
続きを読む2024/01/03
【第六章 約束】第八話 共和国(2)
ユリウスたちは、使者との約束を守っている。約束の期間は、戦闘行為を行っていない。城門近くでの炊き出しを行うだけに留めている。 使者の言葉を、そのまま情報として民衆に流した。民衆は、得る事ができなかった情報に喰い付いた。王国を非難する者も居たが、それ以上に共和国のやり方に憤慨する者が多かった。そして、自分たちの国の上層部なら”やりそう”だと考えている。 共和国は、建前として多数派による政治だと宣伝をしている。 ユリウスも、共和国の政治体制は、認めている。しっかりと運営が出来ていれば、政治が機能していれ…
続きを読む2024/01/01
【第八章 王都と契約】第十七話 契約
ブロッホはブラックドラゴンで、他のドラゴン族とは感性が違うとは言っていたのだが、俺の所に来てからはドラゴンの姿になっていない。人の姿で、食事をするのが楽しいと言っていたので、無暗に力を使う事はないと思っている。 二人を見ると落ち着いてはいないが、話ができる状態だと思う。 やっと契約の話が切り出せる。二人の様子をみると、契約が必要になるとは・・・。思えない。契約は、ギルドのためには必要だけど、個人で考えれば必要ない。ミヤナック家や王家との話し合いの結果を契約として残す以上の意味はない。 「それで、ミヤナ…
続きを読む2023/12/25
【第四章 スライムとギルド】第六十話 神に選ばれた民
急遽、貴子嬢を除く、初期のギルドメンバーが集められました。 私は、円香さんから呼び出されました。 千明は、蒼さんに呼ばれたようです。アトスと訓練中だったようで、アトスが一緒に来ています。 「茜。何か聞いている?」 孔明さんは、昔の資料を調べるために、静岡中央図書館に行っているようです。昔の新聞や週刊誌記事を調べる様です。資料が見つかったと連絡が入っているので、印刷して持って帰ってくるようです。 「千明以上の情報を私が持っていると思う?」 「”思う”から聞いているのよ?」 「え?」 「茜。貴子や真子と…
続きを読む2023/12/23
【第五章 魔王】第五話 アスレチック
王国の端(はずれ)に存在していた魔王が、大魔王様に許可を求めた話は、魔王連合に伝わった。 私は、カレン・ダンジョン494代目の魔王です。日本からの転生魔王です。姿かたちは、女子高校生くらいになっています。嬉しい誤算でした。この話は、長くなるので割愛します。私は、494代目のダンジョン・マスターで魔王です。 カレン・ダンジョンというのは、私の前世である日本に居た時に、使っていた名前だと思います。日本で生活をしていた記憶はあるのですが、名前とか家族とか友達は思い出せません。家族や友達が居たという認識はあり…
続きを読む2023/12/22
【第四章 噂話】第五話 訪問
学校は、いろいろあって休みになっている。マスコミが殺到していて授業にならないというのが主な理由だ。 学校からの通達が、ユウキには遅れた。休校になる当日になって届いた。吉田教諭が、ユウキに連絡をしたことがきっかけだ。 ユウキはクラスから浮いた存在だ。クラスでは、ユウキは”いじめ”られているようだ。本人は、気にしていないのが、余計に周りから憎々しく思えてしまっている。 ユウキは、元々の性格から飄々としていると見られている。そして姿かたちや性格に大きな欠陥があれば良いのだが、顔は平均以上で、身長は低いが低…
続きを読む2023/12/21
【第四章 建国騒動】第六話 少年奮闘する
イザークは、ラインリッヒ公国と森の拠点で過ごしている。 ダンジョン内で訓練を行って、ラインリッヒ公国で文字や計算の勉強を行う。 訓練は、カリンが一緒に行ける時には、深い階層に行くこともあるが、基本は低階層での戦闘訓練を行っている。安全マージンを十分にとって、一緒に居るアキやラオだけではなく、仲間たちが単独でも倒せる場所で戦っている。 武器に慣れるように戦っている。仲間たちと連携を確認するように訓練を行っている。 カリンと朱里(シュリ)が居れば、皆で連携すれば倒せる階層に潜っている。ギリギリの戦いで…
続きを読む2023/12/20
【第九章 ユーラット】第二十九話 第三皇子
皇都からの脱出に成功した。 皇帝は、第一皇子と第二皇子の対立を利用して、王国にある神殿を攻め落とそうとしている。 僕が調べた限りでは、神殿を攻め落とすのは兄さんたちでは不可能だ。もちろん、僕にも不可能だ。もっと言えば、帝国の勢力が協力して、全方位から同時に攻め込まない限りは攻め落とすのは無理だろう。 皇帝は・・・。父は、焦っているのかもしれない。 それに、兄さんたちは乗せられてしまった。 妹は、上手くやったようだ。 兄さんたちは、妹を追い出したつもりでいるが、僕から見たら、妹は上手く逃げ出して…
続きを読む2023/12/19
【第三十一章 本腰】第三百十九話
久しぶりに忙しい日々を過ごしていた。 シロは、相変わらず体調の調整が出来ないようで、邸で休んでいる。エントやドリュアスたちが看病をしている。フラビアとリカルダは、シロの代わりに湖の集落を見てもらっている。二人同時に行く必要が無くなった為に、交代で湖の集落に行ってもらっている。 シロが邸に籠っている関係で、クリスティーネには負担を掛けてしまっている。 俺やルートガーでは、無難に進められない場所には、クリスティーネやヴィマやヴィミやラッヘルやヨナタンが出向いている。特に、女性が主体になっている行商は、女…
続きを読む2023/12/13
【第六章 約束】第七話 共和国(1)
アルノルトが、カルラとアルバンを連れてウーレンフートに向かっている頃。 アルトワダンジョンを出たローザスたちは、アルノルトから提供された地図を使って進軍していた。 「殿下!」 「どうした?」 「αダンジョンの周辺を抑えました」 「わかった。最低限の人数を残して、δダンジョンに迎え」 「はっ」 ダンジョンの名前は、デュ・コロワ国が名付けているが、ユリウスたちは、アルノルトが使っていたαβγという呼称で呼ぶことにした。攻略しているダンジョンの確保が最優先された結果だ。 攻略順ではないが、攻略ダンジョンを…
続きを読む2023/12/12
【第八章 王都と契約】第十六話 契約の話は?
ローザスとハーコムレイとアッシュと契約を交わすことに決まった。 ギルドに振ろうかと思ったがダメだった。 神殿の所有者は対外的には、ギルドだけど実質は俺が所有することになっている。ローザスやハーコムレイが、ギルドと契約を行ってしまうと、ミヤナック家や王家以外の貴族がギルドに圧力を掛けた時に、突っぱねられないと説得(脅迫)された。 残念な事に、ハーコムレイの言っていることが正しいように思える。 ギルドの活動を考えれば、貴族からの申し出を断るのは難しい。神殿に戻ってからの調整にはなるが、所有しているのは…
続きを読む2023/12/07
【第四章 スライムとギルド】第五十九話 退場する者
ギルド日本支部が本格的に施設の拡張と人員の確保を始めていたころ・・・。 その裏では、日本ギルドが看板を降ろしていた。 日本ギルドが入っていた雑居ビルの部屋には、ブローカーと言われる男が入居を行っている。部屋の内装もそのままになっていたために、居ぬきでの契約だ。追加したのは、シャワールームくらいだが、それも家主が負担した。 家主が次の入居可に配慮するほどに、日本ギルドの最後は酷かった。 幹部連中は、連日のように打ち合わせを行っていたが、徐々に参加者が減っていった。そして、参加者が減れば、その参加者が…
続きを読む2023/12/04
【第五章 魔王】第四話 【連合国】【エルプレ他】
神聖国の魔王に対する報復は、認められたが、待ちが発生している。 ルブランからは、順番に回していくから、それまでに参加する眷属の強化を行うように言われてしまった。眷属は弱くはないが、圧倒的な強さは持っていない。神聖国の魔王には、苦戦しないと思うが、圧倒的な力で心を折るような戦いは難しいと思えた。 殺さないように戦うのには、力の差が必要だと言われてしまった。弱い魔物をけしかけて、ギリギリの戦いを続けさせるのも面白いが、強い眷属で徹底的にいたぶるような戦い方でも構わないと言われた。フェンと眷属たちを集めて希…
続きを読む2023/12/02
【第四章 噂話】第四話 マスコミ
在京のマスコミ各社は、情報の収集を急いでいた。 特に、広告収入がない放送局は、何者にも影響されないはずであるが、一部の腐った権力者からの要望で、”ポーション”を調べていた。ユウキたちは、表からしっかりとした手順で訪れた者たちには、しっかりとした対応を行っている。研究結果も包み隠さずに伝えている。それでも、実物の入手ができないことには、一部の腐った権力者は満足しなかった。 渡された情報を信じるかどうかは、各マスコミに任せることにしている。 一部は、検証の為に”ポーション”の現物を無償で提供して欲しいと…
続きを読む2023/12/02
【第四章 建国騒動】第五話 カリン報告する
カリンが、邸に帰ったのは、ヤスが公国から帰ってきた翌日だった。 「あ!まーさん!ただいま!」 「お帰り。カリン」 カリンは、ダンジョンから帰ってきたテンションのままおっさんに報告を始めた。 「アキとイザークは、5階層までなら無傷で到達ができるよ。他の子は、3階層か4階層だね」 「そうか、ありがとう。問題は?」 「うーん。そろそろ、武器や防具を考えないとダメかな?それぞれの特性が出始めている」 「そうか・・・。ゲラルトとオイゲンに言って用意してもらうか?」 「うん!あっ!エミリーエに言って、聖樹の杖を作っ…
続きを読む2023/12/02
【第九章 ユーラット】第二十八話 アラニス
ディアス・アラニスは、モニターに映し出されている戦闘風景を複雑な思いで見ていた。 ディアスは、目の前で行われている戦闘を望んでいた時期もあった。 実際に、帝国から追われた身では、帝国の貴族連中を、憎しみがこもった目で見るのは当然だ。帝国の貴族は、ディアス・アラニスにそれだけのことをした。貴族だけではない。ディアスは、帝国を深く憎んでいる。本来なら、”アラニス”を保護して守る存在であるはずの、皇子が率先して”アラニス”を断罪した。いわれなき罪を被せての断罪だ。しかし、憎んでいるのは貴族連中であり、皇族だ…
続きを読む2023/11/29
【第三十一章 本腰】第三百十八話
粛清が始まった。 正確には、アトフィア教だけではなく、チアル大陸外の勢力と繋がっていた者たちを焙り出して捕えた。 流した情報やスキルカードによって懲罰を決めた。 アトフィア教と繋がっていた者に関しては、1段階上の懲罰を行うことに決定した。 行政区の一部に喰い込まれていた。 ここまで喰い込まれているとは考えていなかった。 ルートガーは、身元調査を過信しすぎたといっているが、しょうがない。 まずは、流出した情報の調査が先だ。 「それで?」 「流出した情報は、公開されている物だけだ」 「ん?公開さ…
続きを読む2023/11/28
【第六章 約束】第六話 無言の帰国
状況の説明と今後の方針を決定した。 共和国の相手は、ユリウスに任せる事に決まった。 俺は、王国に帰還して、エヴァを迎えに行く。 『エイダ。集まったか?』 『十分な量の確保に成功しました。馬車に積んであります』 『わかった。ありがとう』 ユリウスたちとは、アルトワ・ダンジョンで別れた。アルトワ・ダンジョンには、クリスティーネが残る。 俺よりも先に、ユリウスたちが出立した。 共和国を攻め落とすのには、情報が伝わる前に重要拠点を攻略しておく必要がある。 ダンジョンの確保は必須だ。実効支配は完了してい…
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