サイト小説の記事一覧

2024/07/14

【第八章 王都と契約】第二十一話 パシリカ

 リンが、ローザスやハーコムレイから教会と王家の関係について話を聞いているころ、狙われても不思議ではない一人であるマヤは妖精の姿のまま、姿を隠してミトナルとナナと一緒に王都を見て回っていた。  ポルタ村と違って王都は人が多いのは当然だとして、他にもいろいろ見たいものが多い。  マヤは好奇心の赴くまま王都の中を移動していた。  ミトナルとナナは、マヤの行きたいという方向に進んでいる。 「このまま行くと、宗教都市(ドムフライホーフ)に行くけど?」 「え?何か、問題でも?」  ナナの問いかけにミトナルは不思議そう…

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2024/07/08

【雨上がりの乾いた傘】彼女が持つ赤い傘

 雨上がりの彼女は目立つ。そして目を引く。  ずぶ濡れなのに、持っている赤い傘は濡れていない。拭いた様子はない。傘としての役割を放棄しているようにも思える。  彼女は自分が濡れているのを気にしている様子はない。  決まった道順を歩いて、決まった場所で立ち止まって・・・。傘を前に出す。彼女にだけ見えている者に話しかけてから、傘を大事そうに抱えて決まった道順で帰る。  雨上がり、彼女が持つ”赤い傘”だけが濡れていない。  僕は、彼女に話しかけることにした。僕の想像が間違っていることを・・・。祈って・・・。届かな…

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2024/07/07

【スノードロップ】ひとふさの髪

 彼女が僕のところに帰ってきた。  でも、彼女は哀しそうな、もうしわけなさそうな、それでいて怒った表情をするだけで、僕には彼女が何を言っているのかわからない。  彼女が居なくなってから、たったの1週間だ。  その間に彼女に何があったのか、彼女の家族は教えてくれなかった。  親切な隣人たちが、僕にいろいろと教えてくれた。  教えてくれるだけなら親切な人だと感謝もするが、聞いてもない彼女の家族のことを教えてくれる。  僕が可哀そうな人になってしまっている。  マスコミを名乗るゴミのような人間までも寄ってくる。そ…

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2024/07/05

【第四章 リブート】第八話 アメリカーノ

 今日の繁華街はいつも以上に上付いた雰囲気が漂っていた。  祭りが終わって静寂が訪れることもなく、祭りの余韻を楽しむ者たちで、繁華街は賑わっていた。 「マスター」  男が、静かだった店の静寂を壊した。  店で静かにグラスを傾けていた者たちの視線が男を非難している。  男は、視線の抗議を無視して、勝手に指定席にしている席に座る。 「・・・」  マスターは、男の様子から冷えたおしぼりを差し出す。 「ありがとう。あれ?彼らは?」 「休み」 「そう・・・。彼らは大丈夫?」 「質問の意図がわからない。大丈夫だから雇っ…

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2024/07/05

【第五章 スライムとダンジョン】第三話 スライムと洞窟?

 一緒に探索しているのは、熊から進化したよくわからない種族のディックです。腕が4本と第三の目を持つディックが、禍々しい洞窟を発見しました。  以前から、考察されていました。 『”動物”だけが魔物化するのか?自然物が”魔物化”しないのか?』  実際に私の家の周りでは、木が魔物化しています。家族です。  話すことは発声器官がないので無理なのですが、意思があるのは独特のコミュニケーションが可能であることから正しいと思っています。気持ちも伝わってきます。気持ちはすごく便利で、植え替えや水やりのタイミングがわかります…

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2024/07/04

【第五章 魔王】第八話 魔王ミア

 大魔王からの通達が届いた。  魔王島の主が決まった。大魔王が初期に保護した狐人族の少女で、名前を”ミア”。今は、魔王になり新たな真名を得ている。ミアの眷属は、まだ一人だけ、妹の”ミイ”だ。もちろん”ミイ”も真名を得ている。  二人は、今日のお披露目のために、魔王島に来ている。来ているという表現は正しくない。二人の居住地は、今日から魔王島になる。拠点となる場所が、魔王島で今までのように、カプレカ島で活動をおこなうこともある。魔王島での生活と魔王としての責務になれるまでは、魔王島で過ごすことになる。  魔王間…

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2024/07/04

【第四章 噂話】第八話 勧誘

 俺の家を監視していた者から連絡が入った。  CBR400Rの場所を確認する。  予想とは違う人物だけど、ターゲットの一人が無事に釣れたようだ。  思念体を飛ばして様子を見ていれば・・・。  何か考えがあってCBR400Rを盗んだのかと思ったが、何も考えていなかったようだ。  様子を見た限りだと、整備士は半分拉致の様な形で連れてこられたようだ。背後関係は調べた限りでは、直接の関係はなさそうだ。いわゆる金の繋がりだけだ。あとは直接聞いたほうがいいかもしれない。状況次第では、こちらに引き込めるかもしれない。  …

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2024/07/04

【第四章 建国騒動】第十話 オイゲンとエミリーエ

 おっさんからの命令を受けたエミリーエとオイゲンが嬉々として王都に向かう準備を始めた。それに合わせて、アンレーネが眷属を召喚する。  作戦は簡単だ。  派手にスキルを使って、王都に張られている結界を破壊する。強度としては、人間基準ではなかなかの強度だが、眷属たちにとっては誤差の範疇でしかない。  最初は、弱いスキルを使って攻撃者がいることを認識させる。徐々に強力なスキルを使う。結界の強度を確認する意味もあるが、攻撃を派手に行うことで、別の場所から王都に潜入しやすくする。潜入する眷属は水の中を移動する者たちが…

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2024/07/04

【第九章 ユーラット】第三十三話 現状把握

「殿下への提案の前に、気になっていらっしゃることをお伝えします」  全てが気になるが、相手の・・・。神殿がどんな情報を持っているのか気になってしまう。 「姉たちのことか?」  視線から、アーティファクトに隔離されている者たちのことだろう。  正直にいえば、神殿が始末してくれるのなら、全面的にお任せしてしまいたい。害悪しかない存在だ。特に、皇国の連中を率いてなど愚かすぎて・・・。どんな条件だったのかききたくもない。皇国に何を吹き込まれたのかわからないが・・・。死んでくれた方が嬉しい。 「彼女たちは、エルフの里…

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2024/07/04

【第三十二章 妊娠】第三百二十三話

 ドリュアスが、部屋に入ってきて、クリスティーネに来訪者を告げる。  名前を聞いて、少しだけ驚いた表情を見せたクリスティーネは、シロに来訪者を告げる。 「シロ様。竜族の長が、参られています」  クリスティーネはシロだけではなく、お茶会に参加していた者たちにも来訪者が誰なのか分かるように、名前ではなく肩書?を告げた。 「ドゥラン殿が?」 「はい。どうしますか?」 「カトリナとナーシャには悪いけど、お茶会は”ここまで”としましょう」  シロが言い出さなくても、龍族の長が来ているのだ、お茶会の続行は不可能だ。  …

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2024/07/04

【第六章 約束】第十一話 共和国の闇

「殿下?」 「ん?」 「それで、調べるのですか?」 「命令だからな・・・。そんな顔をするな。私としても、調べないほうがいいような気がしている」  ユリウスは、燃え残った紙片を見つめている。  重要な文面は残されていない。しかし、ユリウスやハンスたちの頭には命令の形で書かれていた”共和国の闇”が残っている。  確認しないほうがいいのは、自分たちというよりも、ライムバッハ家のためだ。 「殿下。ご命令を・・・」  ユリウスは、天幕の中でもっとも信頼できる者を探した。しかし、ユリウスが求める者は、”約束”を守るため…

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2024/07/04

【第八章 王都と契約】第二十話 宗教都市

 ローザスの説明を聞いた。  ロルフから聞いていた話とは違う。多少の脚色が入っているのだろう。ローザスの説明では、教会にも、王国にも、都合がよすぎる。 「ローザス。過去の話はわかった。それで、現状の教会を教えてくれ、俺たち・・・。神殿の敵になりそうな連中がいるのだろう?」  ハーコムレイは頭を抱えてしまった。 「リン=フリークス。現状の理解は?」 「現状?教会の関係者はいるけど、よくわからない」 「そうか・・・。教会内部にも派閥があるのは知っているか?」 「派閥?知らないけど、派閥くらいはあるだろう?それが…

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2024/06/08

【第四章 建国騒動】第九話 おっさん処遇を決める

 子供たちは、カリンに任せて、子供たちに連れられるようにして現れた大人たちに話を聞くことにした。 「まーさん様?」  おどおどした男性が一歩前に出て、おっさんに話しかける。  前に出てきた男性は、服装は薄汚れているが、清潔には気を使っている印象がある。一緒に来ている者たちも、似たような格好をしている。おっさんは、気にした様子も見せないで、男性に手を差し出す。 「あぁ”まーさん”でいいよ。それで、村は”勇者を名乗る蛮族”にやられたのか?」  男性は、おっさんが差し出した手を握った。 「・・・。はい。村民の半分…

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2024/05/05

【第九章 ユーラット】第三十二話 交渉開始

 里の入口となっている、エルフの村に迫った。 「殿下?先ぶれを出しますか?」 「そうだね」  食料はまだ大丈夫。  途中で合流した50名が食料を運んできていた。  エルフの里に伝令を出して、僕たちは野営して返事を待つことにした。 「殿下?」  僕の天幕には、帝都から連れてきた侍女しかいない。  僕が帝都から連れ出した者の一人だ。正確に言えば、一緒に居てほしい唯一の人だ。 「何?」 「よろしいのですか?」 「何が?」  彼女が気にしているのはわかるけど、わからないフリをする。 「殿下・・・。私は、貴族といって…

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2024/05/04

【第三十二章 妊娠】第三百二十二話

 ナーシャは、場の雰囲気を変えるために、最初から気になっていたことを聞くことにした。  普段との違いはあるが、質問した意図は、場を整えるためで、深い意味は持っていなかった。 「えぇなんで、エリン姫は、シロ様に縋りついているの?珍しいよね?いつもは、横に座る事はあっても、そんなに周りを警戒しないよね?何かあるの?」  ナーシャとしては、敵の存在が気になるところだが、チアル大陸の中央と言ってもいい場所で、カズトたちが構築した警戒網を掻い潜ってこの場所を急襲するような組織はないと考えている。  この場にいる者も同…

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2024/05/03

【第六章 約束】第十話 待ち人

 豪奢とは思えないが、奇麗に整えられた天幕の中で、同じく粗末ではないが質素な福に身を包んだ男が報告を聞いていた。  同年代の男を背後に従えている様子は、男がある一定の権力を持っている事を現している。  天幕での生活は長期化しているが、本人たちはまったく気にしていない。連れてきた者たちも、交代で帰国させている。すでに、包囲網は完成している。そのうえで、窓口を開けて待っている状況だ。 「ユリウス殿下。彼の方は、無事に国境を越えられました」 「そうか・・・。クリスにも・・・。必要ないか?」 「はい。別の者が、報告…

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2024/05/02

【第八章 王都と契約】第十九話 新たな関係

 ローザスが読んでいた書類をハーコムレイに渡した。  ハーコムレイもじっくりと読んでいるのがわかる。視線の動きからの判断だが、しっかりと読み込んでいるのだろう。ゆっくりとした動きで、視線を上から下に動かして、また上に戻る。複雑な書類なのだろうか?ハーコムレイの額に深い皺がきざまれていく。 「ローザス」 「ふぅ・・・。従兄殿も諦めればいいのに・・・」 「諦めきれないのだろう。そもそも、あの愚物が元凶なのだ。なぜ、生かしておく必要がある!」  ん?  元凶?生かしておく必要? 「なぁ俺が聞いてもいい話なのか?」…

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2024/03/25

【第五章 スライムとダンジョン】第二話 スライムと団体

 今日は、学校を休んだ。学校には毎日は通う必要はないのだが、休むと真子が哀しそうな表情で家を訪ねて来る。ギルドだけだけど社会に関わるようになってから授業も面白く感じている。なので真面目に通っている。  今日の休みは、しっかりと真子にも話をしてあるので安心だ。  以前からお願いしていた、裏山の取得が終了したと連絡を受けた。申請が通ったようだ。  行政的な手続きは、ギルドにいる私が担当した。円香さんや茜さんや孔明さんに教えられながらだけど、手続きを行った。次からは、私だけで出来るようになれる(と、思う)。  裏…

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2024/03/18

【第五章 魔王】第七話 ミアと魔王

 今日は、私のお披露目があると言われた。  魔王島の中央にある私のダンジョンに皆が集まってくる。 「お姉ちゃん」  私の横にはミイがいる。肩には子狐がいる。  それが嬉しい。私たちは、魔王様に救われた。いつ死んでもおかしくなかった。でも、魔王様に保護されてから、私たちの生活は変わった。  魔王様が、幾多の魔王を束ねる大魔王様になった。  魔王様は、私だけではなく、妹にも言葉遣いは自由にしてよいと言われている。甘えるのとは違うが、大魔王様の考えは、魔王は同列で力の違いはあるが、魔王は同列だと言って・・・。魔王…

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2024/03/18

【第四章 噂話】第七話 CB400Rと整備士

 俺は、愚かな姉貴や人間を辞めてしまっている姉貴や、偉ぶって成功者風を吹かせる兄貴たちとは違う。俺が、本当の強者で成功者だ。力の使い方もしっかりとわかっている。 「まだなのか!」 「はい。もうしわけありません。バイクにいろいろ仕掛けがあって、解除ができていません」  あの気に喰わない新入生が、俺の異母兄弟だと知らされた。そして、兄貴がほしかった物を使っている。  アイツが何か出来るとは思えないが、姉貴が使っていた連中が行方不明になっている。姉貴は、アイツが原因だと喚いていたが、どうやって今の日本で証拠を残さ…

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2024/03/17

【第四章 建国騒動】第八話 森の中

 おっさんは、あらためて子供たちを見る。  バステトのスキルで命の灯火が消えそうになっていた者もなんとか持ち直している。しかし、このままではまた同じ状態になってしまう。  見渡すと、子供たちはおっさんを見つめている。 「37人か?全員なのか?」 「え?」  目の前に居る男児は、おっさんの答えに質問で返してしまった。 「ここに居るのが全員なのか?」 「・・・」 「連れて・・・。動かせないのか?」  おっさんの問いかけに、男児は泣きそうな表情で頷いた。 「そうか、バステトさん。お願いします」 ”にゃ!” 「隠れ…

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2024/03/17

【第九章 ユーラット】第三十一話 選択

 神殿の指令室には緊張した空気に満たされ始めた。  今回の戦闘で、犠牲が出る可能性が高い瞬間が近づいている。  だからこそ、ヤスだけではなく、皆がプロジェクターによって大きく映し出された状況を凝視している。 「ねぇヤス。大丈夫だよね?」  リーゼの言葉を皆が聞き耳を立てている。  実際には、作戦を伝える時に、説明はしている。実際に、実行はしっかりと行われた。ただ、指令室に居る者たちが関わっていないために、心配な気持ちが強い。 「あぁ大丈夫だ。ユーラットに居るのは、ドッペルだけだ」  ヤスは言い切る。  正確…

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2024/03/16

【第三十二章 妊娠】第三百二十一話

 お茶会は、和やかに進んでいた。  クリスティーネが落ち込んで、シロが慰める場面はあったが、交流を行うという意味では、目的を達成している。 「ナーシャは戻らないの?」 「ん?戻る?」 「ノービスは、ロングケープから出ている船で行かないとダメな場所で活動しているのでしょ?」  途中から参加している猫族のミーシャが、ナーシャに質問をする。  ノービスは、ナーシャが参加しているパーティーの名前だが、ロックハンドの開拓を任されてからは、パーティーの活動はしていない。ナーシャは、ツクモからもらった家がロックハンドにあ…

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2024/03/02

【第六章 約束】第九話 共和国(3)

 議会は荒れていた。  食料の問題で招集されて開催された議会だが、今は違う話が主軸になっている。  もともと共和国は、いくつかの王家が帝国や王国に対抗するために集まった小国家群と言い換えてもいいのかもしれない。  最初は、軍事力で他国を圧迫していた国の意見が通っているような状態だったが、国家間の調整となによりも帝国と王国の圧力に屈する形で、小国家群は一つの国にまとまる選択をとった。  その時に採用された方式が、共和国制だ。  小国家は、そのままにして発言力を強めようとした。  小競り合いは発生したが、そのた…

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2024/03/01

【第八章 王都と契約】第十八話 マヤのスキル

 別室に通された ナナとミトナルは、リンと違う意味で、行動が出来ない状況になっていた。  別室に入ってすぐにマヤが妖精の姿になって、部屋から出て行ってしまった。  ミトナルとマヤは魂でつながっている。妖精の姿になっている者は、戻ってこようと思えばすぐに戻って来られる。戻って来られるという安心感から、久しぶりの王都を探索するつもりのようだ。  マヤも、妖精の姿では目立つのはわかっている。王都に行くと決まってから、準備を始めていたスキルを発動した。  マヤとミトナルは、妖精の姿になった時に、目立つだろうと考えて…

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2024/01/24

【第五章 スライムとダンジョン】第一話 スライムと茜と真子と貴子

 茜さんと真子さんと住み始めて1年が経過しました。最初は戸惑いましたが、人?は順応するものです。  家族たちも、購入できた市内の山の探索範囲を広げています。結界で覆ったら、いろいろと問題が発覚しました。不法投棄をしていた企業が発覚したり、盗んだ物が隠されていたり、高校生がいじめに使っていたり、いろいろ隠されていた物が世間に暴かれました。大変でしたが楽しい日々です。なんどか、行政からの呼出しもありました。高校生だった頃よりも充実しています。  1年でいろいろと世間が動きました。まずは、日本ギルドが解体したよう…

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2024/01/22

【第五章 魔王】第六話 魔王島(仮称)

 今日は、ルブラン殿と新しくできた魔王島に来ている。  仮称だが、このまま定着してしまう感じがする。 「魔王カミドネ?どうかしましたか?何か、心配事ですか?」  ルブラン殿は、私のような者にも対等に接してくれる。  魔王の演技をしている時には、”魔王”象を崩さないのだが、魔王と眷属だけしかいない場所では、同列の者として接してくれる。実際に、ルブラン殿は序列で言えば、私よりも上だ。大魔王様の側近中の側近だ。 「いえ、”思えば遠くへ来たもんだ”と・・・」 「え?」  そうか、ルブラン殿は”日本の映画”を知らない…

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2024/01/21

【第四章 噂話】第六話 正当な権利

 噂話が、真実味を帯びるのには、いろいろなファクターが必要になってくる。ユウキは、発生した噂話に、虚実を織り込ませ話を織り交ぜて、真実味を持たせる工作を行っている。  ポーションが実在しているのは、真実だ。しかし、ポーションが簡単に手に入るはずがない。ユウキたちが供給源である。その事実を隠して、前田果歩がどこからか入手したポーションで身体が治ったと噂を流した。身体が治っただけではなく、他にも効用があり、古い傷も肌も治ったと噂が加速した。  人は、信じたい事柄だけを信じてしまう傾向にある。  前田果歩の身体が…

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2024/01/21

【第四章 建国騒動】第七話 おっさん出かける

 ダンジョンと子供たちをカリンに任せて、おっさんはバステトを連れて、アルシェ帝国に来ていた。  道中は、バステトのスキルで姿を隠しながら、黄龍の眷属に運んでもらった。  本来なら、ラインリッヒ公国に立ち寄って筋を通す必要があるのだが、理由があり、おっさんは”拠点”に居る必要があった。 「まーさん。帝国の・・・。そうだ、王都まで、送るけど?いいのか?」 「大丈夫。悪いな」 「気にしないでくれ、それにしても、本当にいいのか?」 「あぁ龍族が来た事は、秘匿しておきたい」 「わかった」  龍族の眷属が、おっさんを送…

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2024/01/06

【第九章 ユーラット】第三十話 それぞれの選択

 第三皇子が帝都を脱出して、エルフの里に向かっている頃。  第二皇子は、選択を迫られていた。自らが選んだ道なのだが、最後の決断が出来ない。 「殿下。準備が整いました」  自らがユーラットに向かうと宣言してしまっている。  第二皇子は、自らがユーラットに向かう船が整うのを待っていた。事になっていた。その間に、第一皇子側に潜り込ませたスパイから、情報を得ていたのだが、第二皇子が考えていた以上に、戦況が混沌としていない。 「戦況は?」 「・・・」 「第一皇子の・・・。兄は、無事なのか?」 「はい。第一皇子は、帝都…

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