サイト小説の記事一覧

2023/11/01

【第四章 建国騒動】第三話 余波

公国が、帝国を撃退したという情報は、周辺の国々に伝播した。戦闘の開始時点からの情報が、正確に伝えられた。 帝国の7家が連合を組んで、公国に迫った。帝国も負けるとは考えていなかったために、当初からかなりの情報を流していた。公表されていた兵数は、30万。公表された兵数が、実体を捉えていないのは、当然の事だが、建国を宣言したばかりの国を攻めるのには、大げさな兵数を用意した。終戦後に行われる別の戦いの為にも、7家だけではなく、後ろに控えている者たちも兵を貸し与えていた。 帝国は、戦況が判明するにしたがって、情報統制…

続きを読む

2023/10/31

【第九章 ユーラット】第二十六話 侵攻(4)

ヤスとリーゼが神殿に戻ってきたのは、帝国が楔の村(ウェッジヴァイク)を完全に包囲した時期と重なった。 指令室になっている会議室に、ヤスとリーゼが戻ってきた。 「戦況は?」 ヤスは、自分の席に座る。リーゼは、当然のようにヤスの隣に座る。 作戦室でオペレータを務めていたのは、オリビアだ。 帝国の侵攻が始まってから、交代でオペレータを務めている。今は、オリビアとメルリダとルカリダが務めている。ヤスには、事後に承諾を貰っているが、監視している箇所は、3箇所に絞っている。 他は、問題や動きがあった場合にアラームが上が…

続きを読む

2023/10/31

【第三十一章 本腰】第三百十六話

二日後に、長老会を開催することに決まった。アトフィア教への警戒を強めることになってしまうが、相手が何をしているのか解らない状況では、攻めるにしても、守るにしても、状況の把握をしなければならない。 ルートガーが長老や関係者の間を駆け回っている。 クリスティーネもルートガーの手伝いをしている。ヴィマやヴィミやラッヘルやヨナタンは、クリスティーネの代わりに各所に連絡を行っている。今回の会議は、最初は長老衆だけで行うが、その後にチアル大陸の幹部を含めた会議を行う。 ルートガーは、長老衆との打ち合わせの準備で忙しいた…

続きを読む
広告

2023/10/28

【第六章 約束】第四話 行動方針

ユリウスはまだ何か言っているが、クリスティーネが納得したので、ダンジョン・コアの説明は、共和国を落としてからに決まった。 俺が攻略したダンジョン以外にも、共和国内にはダンジョンが存在している。現在は緩やかにだが、俺が攻略したダンジョン以外のダンジョンで共和国の屋台骨を支えている。共和国の弱体を狙うのなら・・・。ダンジョンは攻略しておいた方がいいかもしれない。 クォートとシャープがヒューマノイドタイプの戦闘員を連れて戻ってきた。 共和国への侵攻計画を共和国の領土で練っている。 すでに進入を果たしているので、ど…

続きを読む

2023/10/27

【第八章 王都と契約】第十三話 そのころ・・・

リンとマヤとミトナルが王都に向かった。 神殿は、ギルドに任されていた。 リンとマヤが居なくなった神殿では、ロルフが管理を行うのだが、ロルフは、リンの眷属たちの統率を行っていて神殿の運用までは手が回っていない。 リンからも神殿の裏側はロルフが手を出してもいいが、居住区と通路はギルドに任せるように言われている。 残っているメンバーは、それぞれが生き残るため・・・。と、いう思いは持っているが、それ以上に、自分の想いを叶えるために行動を起こし始めている。その中でも、イリメリは精力的に動いている。 森の村とフリークス…

続きを読む

2023/10/26

【勝手な人】月夜の出会い

本当に勝手な人。 勝手に、私を好きになって、勝手に私の心を独占して・・・。 結婚の話も、貴方が言い出した。 そのつもりだったけど・・・。嬉しかったけど、雰囲気くらい作って欲しかった。 私の考えを確認した?してないよね?勝手に、私の両親に話をしたよね?たしかに、連絡先は聞かれたけど・・・。 今日だって、急に車を出すから乗れ?急がせないのは嬉しいけど、先に言ってくれたらもっと嬉しい。 用事が無いのは確認されていたけど・・・。それにしても急だよね?どこかに行くの? え?伊豆? 今から? 大丈夫? そういえば、伊豆…

続きを読む
広告

2023/10/19

【第八章 王都と契約】第十二話 現状の確認(4)

神殿での生活は、ミトナルとナナに説明を任せることにした。 ローザスは何か言っていたが、話が進まないという事で、ハーコムレイが話をミトナルとナナに聞くことになった。 ハーコムレイが部屋から出て行った。 ローザスも一緒に行くのかと思ったが残っている。 「それでリン君?」 「ん?」 ローザスが何を期待しているのか解らない。 「神殿で、採掘や採取ができるのだよね?」 「あぁ」 「その場所は、僕たちでも・・・。違うな。神殿を利用する者なら、誰でも使えるの?」 「そういうことか・・・。ルールを作る必要があるとは思うけど…

続きを読む

2023/10/18

【第四章 リブート】第七話 アメール・ピコン・ハイボール

二人の若い男が、繁華街を歩いている。 宵の口を過ぎたばかりで、周りは酔いつぶれてはいないが、酔って次の店を探し始めている人が増え始めている。そんな客目当ての者たちも道に出始めている。 若い二人は、一つの噂を信じて、その店を探している。 繁華街をアルコールも入っていないで店を探しながら歩いていれば、”目当て”があるのか、それとも単なる”おのぼりさん”か、それとも”かも”か、どれかだろう。二人が何を探しているのか気にしている者たちもいるが、それ以上に、二人を”誰が”引っ張っていくのか気になり始めている。 「合っ…

続きを読む

2023/10/17

【第四章 スライムとギルド】第五十六話 動き出す計画(3)

今日は、久しぶりにギルドでのお仕事です。 私と円香さんは資料をまとめています。 主に、魔石の行方と日本ギルドに関しての情報です。世界的な動きもありましたが、ターゲットは日本ギルドです。そして・・・。 ギルドの電話は鳴りっぱなしです。 主殿に頼んで、遮音の結界で覆ってもらっています。自動応答が電話を捌いてくれています。電話はワイズマンが答えることがあります。合成音声ですが、最初は英語で答えるように設定が行われています。登録されている電話番号からの着信なら、担当する者が座っている机に転送されます。 千明の知り合…

続きを読む
広告

2023/10/17

【第五章 魔王】第一話 報告(1)

俗称カプレカ城の玉座には、連合国との戦いを終えた幹部たちが集まっている。 玉座には、魔王が一人で座っている。 普段なら、左右を魔王の側近であるルブランや四天王が護衛を兼ねて控えている。しかし、今日は身内だけの集まりであり、連合軍との戦いの報告を魔王に行う。 進行は、ミアが務めている。ミアが自分から言い出したことだ。 「王国の報告は以上です」 本来なら、カンウやモミジが行うのだが、ヒアが魔王にまとめた報告を上げている。 カンウとモミジが別々に動いていたこともあり、全部をまとめる役割を持っていた者がいなかった。…

続きを読む

2023/10/16

【第四章 噂話】第一話 都市伝説

説明回です 読み飛ばしても大丈夫だと思います。 — 企業系の提灯記事を掲載しているマスコミを標榜する者たちから、噂が流れ始めた。 少し前に記者会見を開いて、世間を驚かせた”召喚された勇者”たちが持っているポーションは、”欠損”を治せるのではないかと噂が流れ始める。それだけでも価値は天井知らずなのに、権力者としては見逃すことが出来ない効用があると思われている。 公表されていないがポーションの効用で期待ができる効果が”延命”だ。噂話の域を出ていない。帰還した勇者たちを囲っている者や、研究をしている者…

続きを読む

2023/10/16

【第四章 建国騒動】第二話 親書

元辺境伯領であり、建国宣言を行った公国は、『”龍族”に守られている』と言われている。 帝国は直接的には、公国への対応を表明していない。 『認める』とも『認めない』とも表面上は無視を貫いている。 裏では、資金がショートしている貴族を動かして、公国に侵攻させた。 7家の貴族が、連合を組んで公国に侵攻を開始した。資金の一部は、帝国が貸し付けている。侵攻している貴族には、公国から奪ったものは奪った貴族に帰属することになっている。 他にも取り決めがされている。 公国は、帝国の一部であり、辺境伯が勝手に建国宣言をしてい…

続きを読む
広告

2023/10/12

【第九章 ユーラット】第二十五話 不在の理由

指令室となっている会議室には、ヤスとリーゼの姿が無くなっている。 帝国の侵攻を開始して、2週間が経過した。 帝国の侵攻は遅々として進んでいないが、先行部隊というべき者たちが、トーアヴェルデや楔の村(ウェッジヴァイク)に攻撃を仕掛け始めている。 「サンドラ様。帝国の動きは?」 オリビアの問いかけに、今日の指令室の責任者になっているサンドラが、メインディスプレイに解っている範囲での帝国軍の動きを示した地図を表示する。戦闘になっている部分は、リアルタイムでの情報更新が行われているが、帝国国内の情報にはタイムラグが…

続きを読む

2023/10/11

【第四章 スライムとギルド】第五十五話 動き出す計画(2)

時間を少しだけ巻き戻します。 真子ちゃんの治療が終わって、体力も元に戻った。もう大丈夫だと判断されました。孔明さんと真子ちゃんの仮住まいが決まりました。 ギルドとして動き出せるタイミングで、必要がない素材を、主殿がギルドに持ってきてくれました。 ゴブリンの角や(主殿基準で)使い道がない魔石です。大量です。驚くほどの量です。横流しをして、オークションにかけても余ります。余ったら、各国のギルドに流すことになるようです。 孔明さんと円香さんが話し合って、日本ギルドに横流しを行うブツを決めています。 ギルド日本支部…

続きを読む

2023/10/10

【第三十一章 本腰】第三百十五話

ピカとハミから話を聞いた。 最初は、尋問のようになってしまったが、イザークとピムが必死に誤解を解いていた。 新種は、自然界でも産まれる。上位種に至る魔物は少ないようだが、一体でも十分な脅威になりえる。”できそこない”の1体でも、戦闘に慣れている者が居ない場所では、村や町が全滅しても驚かない。 人為的に上位種を作り出そうとしているのなら・・・。そして、その上位種に至った魔物を他の大陸に・・・。大陸が危険に晒されてしまう。 ルートガーに報告と相談を行うために、行政区に戻った。 「それで?」 「ピムの妹がアトフィ…

続きを読む
広告

2023/10/10

【第六章 約束】第三話 目標と罠

共和国に攻め込む者たちを含めて、アルトワ・ダンジョンに移動した。 実効支配している場所を確認してから、落としどころを考える事になった。 俺たちが見聞きしてきた情報を、皆に伝えたところ、今なら共和国の半分は無理でも、1/3くらいは取れると考えているようだ。 経済戦争を行うのには、お互いに準備が足りていない。 「ユリウス。共和国への対応だが・・・。適当な落としどころを決めてくれ、王家に渡すにしても、飛び地では管理が難しいだろう?」 「それは・・・」 「アルノルト様。大丈夫です。考えがあります」 「え?」 クリス…

続きを読む

2023/10/10

【第八章 王都と契約】第十一話 現状の確認(3)

ローザスの提案は、ハーコムレイが却下していた。 そもそも、街道を俺に渡すのは不可能なのだと、ハーコムレイが俺に説明をしてくれた。丁寧なのだけど、別に必要だと思えない謝罪まで含まれていた。 俺が第二のアゾレムになってしまう可能性がある。現状でも、戦力だけを考えても、王都に攻め込める場所に、俺に忠実な者たちが固まっているのを、ハーコムレイは問題視している。ローザスを擁する派閥とは、親密に出来ていると思う。それに、ルアリーナやアデレードが、神殿にいる。 ローザスも、ハーコムレイも、神殿の様子を知りたいようだ。 ア…

続きを読む

2023/10/01

【第四章 スライムとギルド】第五十四話 動き出す計画(1)

貴子ちゃんと話し合って、スライムの姿の時には、”主殿”と呼んで、人の姿の時には、”貴子ちゃん”と呼ぶことに決めました。 貴子ちゃんたちが、真子ちゃんを治してから、ギルドは大忙しになりました。私は、以前から忙しかったので、問題はありません。 私だけが忙しくなったのなら文句を言おうかと思ったが、私は楽な忙しさだ。貴子ちゃんと真子ちゃんと一緒に不動産屋さんや、工務店を訪れている。あとは、山の所有が可能なのか?可能なら金額を調べる仕事があったが、そちらはすぐに終わりました。 山は、浅間神社の領有している部分は無理で…

続きを読む
広告

2023/10/01

【第八章 王都と契約】第十話 現状の確認(2)

ハーコムレイは、ローザスを完全に無視して、俺の前に座る。 そして、持っていた書類を俺の前に出してきた。 かなりの分量がある。 全部を読むのは面倒に思えてしまう。 「これは?」 目の前に置かれた書類の束をペラペラと捲る。 貴族や商人の情報だとはわかる。俺が知っている貴族家は少ない。そもそもの話として、俺が知っている貴族家はアゾレムを除けば、神殿にいる者たちに関係する貴族家だけだ。 ハーコムレイが説明を始めてくれたが、簡単にまとめられていると言われている書類は、説明を聞いても、よくわからない部分が多い。 書類の…

続きを読む

2023/09/11

【第四章 建国騒動】第一話 建国と婚約

建国宣言で一番盛り上がったのが、龍族が住まう森に繋がる街道の公開と龍族が隣人として付き合っていけるという内容だ。 辺境伯は、公王を名乗ることになる。 おっさんの助言もあり、ラインリッヒ公国を名乗ることになった。 イーリスが、公王の長男と婚約が発表された。 民衆からは好意的に迎えられた。 イーリスが、辺境伯領に来てから行っていた行動が評価された結果だ。一部の者たちからは、帝国との橋渡しを期待する声も聞こえたが、イーリスが帝国の名前である。アルシェの名前を外したことから、失望する声も聞こえてきた。 イーリスも、…

続きを読む

2023/09/09

【第九章 ユーラット】第二十四話 侵攻(3)

ヤスは指令室?で、まったりと過ごしていた。 「ねぇヤス。動きがないね」 リーゼは、すでに飽きてしまっている。 地図上に表示されている帝国軍の進み具合を楽しそうに見ていたが、遅々として進まない行軍を見ていても飽きてしまっている。 「ん?あるぞ?」 ヤスの指摘した通りに、微妙な違いだが、動きは見られる。 部隊を二つに分けている。 二つに分かれた部隊の片方が、さらに二つに分裂をしている。 一つは、オリビアを支援する者たちで構成されている。内通者が既に連絡をしてきている。 情報は常に更新されている。 「あるけど、な…

続きを読む
広告

2023/09/08

【第四章 スライムとギルド】第五十三話 今後の話(5)

「家の場所が決まったみたいです」 貴子嬢が、茜嬢と真子とライ殿が話している内容を教えてくれた。 「貴子。奥に敷地が増やせるようなら、増やして病院兼研究所を作ろう」 貴子嬢の説明では、通りには間口が狭い通路を作って、通路の両脇には”草木”を植える。 通りに繋がる場所には、門を設置する。 門から、奥の家に繋がる通路は約20メートル。 その先に、離れを作る。離れは、真子と茜嬢が生活をする場所になると言っているが、この場所がギルドの支部になるのだろう。 その先に今のところは3つの空き家があり、それらの敷地を買い取っ…

続きを読む

2023/09/08

【第三十一章 本腰】第三百十四話

ピムの妹の旦那という少しだけ距離がある人物を紹介してもらうことになった。 イザークに許可を出した。 本人たちも、自分たちだけでやれることが限界に来ていると悟っていた。 仲間内で話をして、俺かルートガーに陳情を行おうと思っていたらしい。 その為に、ナーシャ(甘味狂い)を行政区に送り出したらしいが、俺やルートガーとは入れ違いになっていたらしい。ナーシャの証言だけなので、イザークも怪しいとは思っていたらしいが、ロックハンドに時折現れる”招かれざる客”の対応を優先した。 ロックハンドは、ドワーフの里になってしまった…

続きを読む

2023/09/07

【第六章 約束】第二話 電撃作戦

「ユリウス!」 「アル。俺は、お前にも文句を言いたい。共和国に行くのは、お前の自由だ。だが、困ったことがあれば、なぜ俺を俺たちに連絡を入れない!」 「ん?なんの事を言っている?」 「お前!」 ユリウスが、何故か怒り出した。 昔から変わらない。何か、説明が抜けている。俺が持っている情報と、ユリウスが持っている情報に差異が生じているのだろう。 「ユリウス様。アルノルト様には、それでは伝わりません」 頼りになるクリスティーネがユリウスの怒りを抑えるように嗜める。 「アルノルト様」 クリスティーネは、ユリウスが落ち…

続きを読む
広告

2023/09/07

【第四章 スライムとギルド】第五十二話 今後の話(4)

真子と茜嬢と人に戻ったライが席を立って、ソファーに向う。 これからする話は、確かに、真子に聞かせないほうがいい話だ。 貴子嬢は、少しだけ不思議そうな表情をしてから、俺と円香を見て、何かを納得した。 高校生だと聞いていたが、人の顔色を見て育ったのだろうか? 違うな。家族から愛情を注がれて育ったが、家族が奪われて、汚い大人の世界に叩きこまれた。真子や茜や円香と方向性は違うが、同じなのだろう。 話を終えても、貴子嬢は変わらなかった。 — は? 眷属?俺たち? メリットは解る。 デメリットは・・・。ない…

続きを読む

2023/09/06

【第八章 王都と契約】第九話 現状の確認(1)

ドアをノックして、部屋に入ると、ローザスだけがソファーに腰掛けていた。 「リン君。久しぶり」 ローザスが、ソファーに座りながら俺に手を振ってくる。継承権を持つ人間の行意図は思えない。 「殿下だけ?」 正直に言えば、ハーコムレイは苦手だが、ローザスと話をするよりも、ハーコムレイの方が楽だ。交渉は面倒だと思えるが、話をするだけなら楽だ。筋が通っていれば、文句を言わないし、俺が望んでいる物を的確に読み取ってくれる。 ローザスは、どこかニノサと似ていて、のらりくらりと躱すような話し方をしてくる。胡散臭いのではなくて…

続きを読む

2023/09/05

【第四章 スライムとギルド】第五十一話 今後の話(3)

円香さんから、真子さんを連れてソファーに移動するようにやんわりと言われました。 多分、真子さんに聞かせたくない話なのでしょう。おそらくは、孔明さんが貴子ちゃんに打ち明けるのでしょう。信頼を得るために必要な事などは思いますが、賭けの要素が大きいように思えます。 今までの言動や行動から、貴子ちゃんがギルドというか、組織という物をあまり信用していないのは解っています。ギルドを信用してくれとは言いませんが、私たちを信用して欲しいとは思います。私は、貴子ちゃんの味方になろうと思います。 そして、私の腕に掴まって・・・…

続きを読む
広告

2023/09/03

【第四章 スライムとギルド】第五十話 そのころ(5)

円香から、真子の治療が成功したと連絡が入った。 千明と話をしたが、成功率は半々だと思っていた。実際に、真子の四肢が揃って立っている状況を見せられても、合成だと疑ってしまった。 「蒼さん。良かったですね」 「ん?なぜ?」 「え?気が付いていないのですか?涙が出ていますよ?」 千明に言われて、頬を伝う涙の存在に気が付いた。 孔明が真子のために隠れて何かをしているのは解っていた。俺を頼って欲しいとは思ったが、俺には何も出来ない。真子を元気づける事も、孔明の手助けをすることも・・・。俺は、無力だ。スキルを得て、なん…

続きを読む

2023/09/02

【第四章 スライムとギルド】第四十九話 今後の話(2)

円香さんからの提案を真剣に考えてみる。 私にとって、デメリット・・・。存在しない。それ以上に、私(スライム)の事を調べてもらう事もできるかもしれない。 「円香さん。私、お金が沢山・・・。あります」 「貴子さん。これからも、増えるぞ、今の倍・・・。いや、10倍くらいにはなる」 「え?今でも、信じられないくらいですよ?私、お金、そんなに使わないですよ?」 「ははは。そうだな」 私の言い方が悪いのか、円香さんと孔明さんが笑ってしまっている。 「あの・・・。円香さん」 「なにかな?」 「呼び捨てにしてもらえると嬉し…

続きを読む

2023/09/01

【第四章 スライムとギルド】第四十八話 今後の話(1)

貴子嬢が、話をしている最中に立ち上がった。 真子が起きたから迎えに行ってくると言い出した。俺が行こうとしたが、円香に止められた。 秒針の進みが遅い。まだ、30秒しか経っていない。真子は、大丈夫なのか?本当に治ったのか?立てるのか? 真子が部屋に入ってきた。 貴子嬢に支えられているが・・・。立っている。俺に向って、治った手を広げて見せている。 真子の足が治った。真子が歩いて居るのを見ても信じられなかった。貴子嬢が”幻影で見せている”と言われたほうが・・・。現実味がある。 真子が夜に魘される声を何度も聞いて過ご…

続きを読む
広告
1 2 3 4 5 6 7 57