ダンジョンの記事一覧

2024/09/22

【第六章 約束】第十二話 決断と覚悟

 報告を聞いたユリウスは苦悶の表情を浮かべていた。 「最悪だ」  側に居てほしいと思っている人物は、ホームタウンに戻っている。  もしかしたら、こちらに向かっているのかもしれないが、”影”からは何も情報が入ってこない。  ユリウスの言葉は、控えていた従者にも届いているのだが、従者はユリウスの言葉を聞いても、何も反応しない。従者は、反応ができない。反応してはダメだと思っている。今のユリウスに助言ができる者は天幕のなかには居ない。  ユリウスが苦悶の表情を浮かべている理由がわかっているので、従者も声をだすことが…

続きを読む

2024/07/05

【第五章 スライムとダンジョン】第三話 スライムと洞窟?

 一緒に探索しているのは、熊から進化したよくわからない種族のディックです。腕が4本と第三の目を持つディックが、禍々しい洞窟を発見しました。  以前から、考察されていました。 『”動物”だけが魔物化するのか?自然物が”魔物化”しないのか?』  実際に私の家の周りでは、木が魔物化しています。家族です。  話すことは発声器官がないので無理なのですが、意思があるのは独特のコミュニケーションが可能であることから正しいと思っています。気持ちも伝わってきます。気持ちはすごく便利で、植え替えや水やりのタイミングがわかります…

続きを読む

2024/07/04

【第三十二章 妊娠】第三百二十三話

 ドリュアスが、部屋に入ってきて、クリスティーネに来訪者を告げる。  名前を聞いて、少しだけ驚いた表情を見せたクリスティーネは、シロに来訪者を告げる。 「シロ様。竜族の長が、参られています」  クリスティーネはシロだけではなく、お茶会に参加していた者たちにも来訪者が誰なのか分かるように、名前ではなく肩書?を告げた。 「ドゥラン殿が?」 「はい。どうしますか?」 「カトリナとナーシャには悪いけど、お茶会は”ここまで”としましょう」  シロが言い出さなくても、龍族の長が来ているのだ、お茶会の続行は不可能だ。  …

続きを読む
広告

2024/07/04

【第六章 約束】第十一話 共和国の闇

「殿下?」 「ん?」 「それで、調べるのですか?」 「命令だからな・・・。そんな顔をするな。私としても、調べないほうがいいような気がしている」  ユリウスは、燃え残った紙片を見つめている。  重要な文面は残されていない。しかし、ユリウスやハンスたちの頭には命令の形で書かれていた”共和国の闇”が残っている。  確認しないほうがいいのは、自分たちというよりも、ライムバッハ家のためだ。 「殿下。ご命令を・・・」  ユリウスは、天幕の中でもっとも信頼できる者を探した。しかし、ユリウスが求める者は、”約束”を守るため…

続きを読む

2024/05/04

【第三十二章 妊娠】第三百二十二話

 ナーシャは、場の雰囲気を変えるために、最初から気になっていたことを聞くことにした。  普段との違いはあるが、質問した意図は、場を整えるためで、深い意味は持っていなかった。 「えぇなんで、エリン姫は、シロ様に縋りついているの?珍しいよね?いつもは、横に座る事はあっても、そんなに周りを警戒しないよね?何かあるの?」  ナーシャとしては、敵の存在が気になるところだが、チアル大陸の中央と言ってもいい場所で、カズトたちが構築した警戒網を掻い潜ってこの場所を急襲するような組織はないと考えている。  この場にいる者も同…

続きを読む

2024/05/03

【第六章 約束】第十話 待ち人

 豪奢とは思えないが、奇麗に整えられた天幕の中で、同じく粗末ではないが質素な福に身を包んだ男が報告を聞いていた。  同年代の男を背後に従えている様子は、男がある一定の権力を持っている事を現している。  天幕での生活は長期化しているが、本人たちはまったく気にしていない。連れてきた者たちも、交代で帰国させている。すでに、包囲網は完成している。そのうえで、窓口を開けて待っている状況だ。 「ユリウス殿下。彼の方は、無事に国境を越えられました」 「そうか・・・。クリスにも・・・。必要ないか?」 「はい。別の者が、報告…

続きを読む
広告

2024/03/25

【第五章 スライムとダンジョン】第二話 スライムと団体

 今日は、学校を休んだ。学校には毎日は通う必要はないのだが、休むと真子が哀しそうな表情で家を訪ねて来る。ギルドだけだけど社会に関わるようになってから授業も面白く感じている。なので真面目に通っている。  今日の休みは、しっかりと真子にも話をしてあるので安心だ。  以前からお願いしていた、裏山の取得が終了したと連絡を受けた。申請が通ったようだ。  行政的な手続きは、ギルドにいる私が担当した。円香さんや茜さんや孔明さんに教えられながらだけど、手続きを行った。次からは、私だけで出来るようになれる(と、思う)。  裏…

続きを読む

2024/03/16

【第三十二章 妊娠】第三百二十一話

 お茶会は、和やかに進んでいた。  クリスティーネが落ち込んで、シロが慰める場面はあったが、交流を行うという意味では、目的を達成している。 「ナーシャは戻らないの?」 「ん?戻る?」 「ノービスは、ロングケープから出ている船で行かないとダメな場所で活動しているのでしょ?」  途中から参加している猫族のミーシャが、ナーシャに質問をする。  ノービスは、ナーシャが参加しているパーティーの名前だが、ロックハンドの開拓を任されてからは、パーティーの活動はしていない。ナーシャは、ツクモからもらった家がロックハンドにあ…

続きを読む

2024/03/02

【第六章 約束】第九話 共和国(3)

 議会は荒れていた。  食料の問題で招集されて開催された議会だが、今は違う話が主軸になっている。  もともと共和国は、いくつかの王家が帝国や王国に対抗するために集まった小国家群と言い換えてもいいのかもしれない。  最初は、軍事力で他国を圧迫していた国の意見が通っているような状態だったが、国家間の調整となによりも帝国と王国の圧力に屈する形で、小国家群は一つの国にまとまる選択をとった。  その時に採用された方式が、共和国制だ。  小国家は、そのままにして発言力を強めようとした。  小競り合いは発生したが、そのた…

続きを読む
広告

2024/01/24

【第五章 スライムとダンジョン】第一話 スライムと茜と真子と貴子

 茜さんと真子さんと住み始めて1年が経過しました。最初は戸惑いましたが、人?は順応するものです。  家族たちも、購入できた市内の山の探索範囲を広げています。結界で覆ったら、いろいろと問題が発覚しました。不法投棄をしていた企業が発覚したり、盗んだ物が隠されていたり、高校生がいじめに使っていたり、いろいろ隠されていた物が世間に暴かれました。大変でしたが楽しい日々です。なんどか、行政からの呼出しもありました。高校生だった頃よりも充実しています。  1年でいろいろと世間が動きました。まずは、日本ギルドが解体したよう…

続きを読む

2024/01/03

【第三十一章 本腰】第三百二十話

 クリスティーネは、緊張した面持ちで、カズトとシロが住んでいる場所に向かっていた。  崖の下に到着した時に、同じように邸宅に向かっていた者たちと合流した。  メイド姿をしたドリュアスが、全員が揃ってから邸宅に案内すると伝えてきた。 「シロ様がこちらにお越しになるのでは?よいのですか?私たちが、邸宅にお邪魔する形になってしまいます」  驚いたのは、メリエーラだ。  立場を考えれば、邸宅に案内されても不思議ではないが、メリエーラだけではなく、ヴィマやヴィミやラッセルやヨナタンも、邸宅に足を踏み入れたことがない。…

続きを読む

2024/01/03

【第六章 約束】第八話 共和国(2)

 ユリウスたちは、使者との約束を守っている。約束の期間は、戦闘行為を行っていない。城門近くでの炊き出しを行うだけに留めている。  使者の言葉を、そのまま情報として民衆に流した。民衆は、得る事ができなかった情報に喰い付いた。王国を非難する者も居たが、それ以上に共和国のやり方に憤慨する者が多かった。そして、自分たちの国の上層部なら”やりそう”だと考えている。  共和国は、建前として多数派による政治だと宣伝をしている。  ユリウスも、共和国の政治体制は、認めている。しっかりと運営が出来ていれば、政治が機能していれ…

続きを読む
広告

2023/12/19

【第三十一章 本腰】第三百十九話

 久しぶりに忙しい日々を過ごしていた。  シロは、相変わらず体調の調整が出来ないようで、邸で休んでいる。エントやドリュアスたちが看病をしている。フラビアとリカルダは、シロの代わりに湖の集落を見てもらっている。二人同時に行く必要が無くなった為に、交代で湖の集落に行ってもらっている。  シロが邸に籠っている関係で、クリスティーネには負担を掛けてしまっている。  俺やルートガーでは、無難に進められない場所には、クリスティーネやヴィマやヴィミやラッヘルやヨナタンが出向いている。特に、女性が主体になっている行商は、女…

続きを読む

2023/12/13

【第六章 約束】第七話 共和国(1)

 アルノルトが、カルラとアルバンを連れてウーレンフートに向かっている頃。  アルトワダンジョンを出たローザスたちは、アルノルトから提供された地図を使って進軍していた。 「殿下!」 「どうした?」 「αダンジョンの周辺を抑えました」 「わかった。最低限の人数を残して、δダンジョンに迎え」 「はっ」  ダンジョンの名前は、デュ・コロワ国が名付けているが、ユリウスたちは、アルノルトが使っていたαβγという呼称で呼ぶことにした。攻略しているダンジョンの確保が最優先された結果だ。  攻略順ではないが、攻略ダンジョンを…

続きを読む

2023/11/29

【第三十一章 本腰】第三百十八話

 粛清が始まった。  正確には、アトフィア教だけではなく、チアル大陸外の勢力と繋がっていた者たちを焙り出して捕えた。  流した情報やスキルカードによって懲罰を決めた。  アトフィア教と繋がっていた者に関しては、1段階上の懲罰を行うことに決定した。  行政区の一部に喰い込まれていた。  ここまで喰い込まれているとは考えていなかった。  ルートガーは、身元調査を過信しすぎたといっているが、しょうがない。  まずは、流出した情報の調査が先だ。 「それで?」 「流出した情報は、公開されている物だけだ」 「ん?公開さ…

続きを読む
広告

2023/11/28

【第六章 約束】第六話 無言の帰国

 状況の説明と今後の方針を決定した。  共和国の相手は、ユリウスに任せる事に決まった。  俺は、王国に帰還して、エヴァを迎えに行く。 『エイダ。集まったか?』 『十分な量の確保に成功しました。馬車に積んであります』 『わかった。ありがとう』  ユリウスたちとは、アルトワ・ダンジョンで別れた。アルトワ・ダンジョンには、クリスティーネが残る。  俺よりも先に、ユリウスたちが出立した。  共和国を攻め落とすのには、情報が伝わる前に重要拠点を攻略しておく必要がある。  ダンジョンの確保は必須だ。実効支配は完了してい…

続きを読む

2023/11/14

【第三十一章 本腰】第三百十七話

 幹部会議の当日になった。  最初は、シロも出席すると言っていたのだが、だるいようなので、幹部会議は欠席して、部屋で休むようにした。シロには、ステファナとレイニーがついていることになった。  俺には、”必要ない”と言ったのだが、シロから”フラビアとリカルダを連れて行って欲しい”と言われた。ルートガーたちが作る議事録とは別に、フラビアとリカルダがシロに報告を行う為にも、幹部会議に出席させて欲しいということだ。 「ツクモ様」  どうやら迎えが来たようだ。  幹部会議は、俺もルートガーもそれほど乗り気ではなかった…

続きを読む

2023/11/12

【第六章 約束】第五話 想定外の出来事

 ライムバッハ領の領都には、私たちが執務を行っている邸がある。ライムバッハ辺境伯の邸とは別に用意された場所で、私たちが生活する場所が一緒になっている。  私の執務室は、邸の入口に近いが場所にある。  客人対応が多いのが私だ。ユリウス様に客人対応を任せられない。当代のライムバッハ辺境伯はカール様だ。私たちが支えるべき人物だ。しかし、ユリウス様の現在の肩書は別にして”皇太孫”という立場があり、権限を持っていると思われてしまう。他の者たちでは、客人が爵位を持っている場合に、”軽く見られた”と言い出す者が居る(可能…

続きを読む
広告

2023/10/31

【第三十一章 本腰】第三百十六話

二日後に、長老会を開催することに決まった。アトフィア教への警戒を強めることになってしまうが、相手が何をしているのか解らない状況では、攻めるにしても、守るにしても、状況の把握をしなければならない。 ルートガーが長老や関係者の間を駆け回っている。 クリスティーネもルートガーの手伝いをしている。ヴィマやヴィミやラッヘルやヨナタンは、クリスティーネの代わりに各所に連絡を行っている。今回の会議は、最初は長老衆だけで行うが、その後にチアル大陸の幹部を含めた会議を行う。 ルートガーは、長老衆との打ち合わせの準備で忙しいた…

続きを読む

2023/10/28

【第六章 約束】第四話 行動方針

ユリウスはまだ何か言っているが、クリスティーネが納得したので、ダンジョン・コアの説明は、共和国を落としてからに決まった。 俺が攻略したダンジョン以外にも、共和国内にはダンジョンが存在している。現在は緩やかにだが、俺が攻略したダンジョン以外のダンジョンで共和国の屋台骨を支えている。共和国の弱体を狙うのなら・・・。ダンジョンは攻略しておいた方がいいかもしれない。 クォートとシャープがヒューマノイドタイプの戦闘員を連れて戻ってきた。 共和国への侵攻計画を共和国の領土で練っている。 すでに進入を果たしているので、ど…

続きを読む

2023/10/10

【第三十一章 本腰】第三百十五話

ピカとハミから話を聞いた。 最初は、尋問のようになってしまったが、イザークとピムが必死に誤解を解いていた。 新種は、自然界でも産まれる。上位種に至る魔物は少ないようだが、一体でも十分な脅威になりえる。”できそこない”の1体でも、戦闘に慣れている者が居ない場所では、村や町が全滅しても驚かない。 人為的に上位種を作り出そうとしているのなら・・・。そして、その上位種に至った魔物を他の大陸に・・・。大陸が危険に晒されてしまう。 ルートガーに報告と相談を行うために、行政区に戻った。 「それで?」 「ピムの妹がアトフィ…

続きを読む
広告

2023/10/10

【第六章 約束】第三話 目標と罠

共和国に攻め込む者たちを含めて、アルトワ・ダンジョンに移動した。 実効支配している場所を確認してから、落としどころを考える事になった。 俺たちが見聞きしてきた情報を、皆に伝えたところ、今なら共和国の半分は無理でも、1/3くらいは取れると考えているようだ。 経済戦争を行うのには、お互いに準備が足りていない。 「ユリウス。共和国への対応だが・・・。適当な落としどころを決めてくれ、王家に渡すにしても、飛び地では管理が難しいだろう?」 「それは・・・」 「アルノルト様。大丈夫です。考えがあります」 「え?」 クリス…

続きを読む

2023/09/08

【第三十一章 本腰】第三百十四話

ピムの妹の旦那という少しだけ距離がある人物を紹介してもらうことになった。 イザークに許可を出した。 本人たちも、自分たちだけでやれることが限界に来ていると悟っていた。 仲間内で話をして、俺かルートガーに陳情を行おうと思っていたらしい。 その為に、ナーシャ(甘味狂い)を行政区に送り出したらしいが、俺やルートガーとは入れ違いになっていたらしい。ナーシャの証言だけなので、イザークも怪しいとは思っていたらしいが、ロックハンドに時折現れる”招かれざる客”の対応を優先した。 ロックハンドは、ドワーフの里になってしまった…

続きを読む

2023/09/07

【第六章 約束】第二話 電撃作戦

「ユリウス!」 「アル。俺は、お前にも文句を言いたい。共和国に行くのは、お前の自由だ。だが、困ったことがあれば、なぜ俺を俺たちに連絡を入れない!」 「ん?なんの事を言っている?」 「お前!」 ユリウスが、何故か怒り出した。 昔から変わらない。何か、説明が抜けている。俺が持っている情報と、ユリウスが持っている情報に差異が生じているのだろう。 「ユリウス様。アルノルト様には、それでは伝わりません」 頼りになるクリスティーネがユリウスの怒りを抑えるように嗜める。 「アルノルト様」 クリスティーネは、ユリウスが落ち…

続きを読む
広告

2023/08/17

【第六章 約束】第一話 皆?

ここは? だるい。 ん?草の匂い? あぁ・・・。 眩しい。ダメだ。俺は、天を空を感じていいのか? 俺は・・・。 生き残ってしまったのか? 手が動く、腕も動く・・・。 天を・・・。”天”なぞいらない。俺を庇って死んだ・・・。アルバン、カルラ・・・。アーシャを・・・。 「アル!」 誰だ? 俺の手を握るのは? 「アル!?」 また、違う奴か? 頭が痛い。 思考に靄がかかっているようだ。考えたくない。起きるのも・・・。 「アルノルト・フォン・ライムバッハ!」 誰だ? そうだ。 俺は、”アルノルト”。 違う。 俺は・・…

続きを読む

2023/08/10

【第三十一章 本腰】第三百十三話

方向は決まった。 アトフィア教の連中が怪しいという目安も立ったが、問題は方法が解らないことだ。 ノービスの連中に会いに行くか? 「カイは、シロの護衛を頼む」 『はい』 シロの護衛は、フラビアとリカルダも居るし、大丈夫だとは思っている。 ステファナも本調子になってきたし、レイニーも従者兼護衛になっている。そもそも、アズリやエーファやレッチュが居る段階で、龍族でなければ相手にならないだろう。 それで、なぜかエリスがシロにべったりらしい。エリスがシロの近くから離れようとしない。らしい。 報告では、護衛にもなってい…

続きを読む

2023/08/08

【第五章 共和国】第六十五話 心の死

ここは? ”クスクス” ”クスクス” ”おきた” ”めざめた” ”久しぶり!” ”久しぶり” え? 久しぶり?俺は、ここは・・・? 前にも、こんなことがあった・・・。よな? あれは・・・。 そうだ。 エリとエトか? ”そう” ”おもいだした?” 思い出した。 アリーダ様は? ”もうすぐ” ”くるよ” 何か、準備をしているのか? ”準備!” ”準備?” 疑問で返されても困るのだけど? ”困る” ”困って” わかった。 待っていればいいのか? ”うん” ”そうだよ。待っていて!” 待つのはいいけど、ここは? ”…

続きを読む
広告

2023/07/29

【第三十一章 本腰】第三百十二話

雑談だったが、船長から有力な情報を貰った。 船長には悪いとは思ったが、ルートガーを含めて正式に話を聞く場を設けた。 そこで、ルートガーにも情報が伝えられた。 船長が、俺が使っている船室から出た。船長を何時までも拘束していては、船の運航が滞ってしまう。俺たちの安全を考えて、話は俺から質問をして、短時間で終わらせた。雑談を含めると、かなりの時間、船長を拘束してしまう結果になる。それに、ルートガーは雑談が苦手だ。 船長は、問題はないと言っていたが、俺たちの安全の為に、通常業務に戻ってもらった。 今の所、考えられる…

続きを読む

2023/07/29

【第五章 共和国】第六十四話 尋問

尋問を始めようとしたが、”意味がない”と解ってしまった。 生き残っている奴も壊れてしまっている。 まともに会話が出来ない。苦痛を与えられても、”へらへら”と笑っている。指を切り落としても、足の骨を折っても反応がない。痛みを感じないのか? うめき声を上げるから、痛みは感じるのだろうけど、言葉が通じない動物や魔物を相手にしているような感覚になる。 「エイダ。死んでも構わない。記憶を抜き取ってくれ」 『了』 クォートとシャープの後をついてきた奴らだと報告を貰った。 俺を襲ったナイフの解析を進めている。大本は解った…

続きを読む

2023/07/20

【第三十一章 本腰】第三百十一話

ゼーウ街から、チアル大陸には、デ・ゼーウが用意した船で向かうことになった。 チアル大陸に本拠地を置いている商人に頼む予定だったのだが、デ・ゼーウが前に拿捕した船を下賜した者が立ち上げた商家だ。運営実績も問題がない。チアル大陸との取引も行っている。 船は、元アトフィア教の司教が使うために作られていた物なので、豪華になりすぎた感じの船だ。 船倉は、無かったと言っていたが、奴隷を連れ帰る為の場所が存在していた。アトフィア教らしい船だ。 その奴隷を詰め込んでいた場所を船倉に改造した。 この船で、アトフィア教の港にも…

続きを読む
広告
1 2 3 4 5 14