異世界の記事一覧

2024/03/18

【第四章 噂話】第七話 CB400Rと整備士

 俺は、愚かな姉貴や人間を辞めてしまっている姉貴や、偉ぶって成功者風を吹かせる兄貴たちとは違う。俺が、本当の強者で成功者だ。力の使い方もしっかりとわかっている。 「まだなのか!」 「はい。もうしわけありません。バイクにいろいろ仕掛けがあって、解除ができていません」  あの気に喰わない新入生が、俺の異母兄弟だと知らされた。そして、兄貴がほしかった物を使っている。  アイツが何か出来るとは思えないが、姉貴が使っていた連中が行方不明になっている。姉貴は、アイツが原因だと喚いていたが、どうやって今の日本で証拠を残さ…

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2024/03/17

【第九章 ユーラット】第三十一話 選択

 神殿の指令室には緊張した空気に満たされ始めた。  今回の戦闘で、犠牲が出る可能性が高い瞬間が近づいている。  だからこそ、ヤスだけではなく、皆がプロジェクターによって大きく映し出された状況を凝視している。 「ねぇヤス。大丈夫だよね?」  リーゼの言葉を皆が聞き耳を立てている。  実際には、作戦を伝える時に、説明はしている。実際に、実行はしっかりと行われた。ただ、指令室に居る者たちが関わっていないために、心配な気持ちが強い。 「あぁ大丈夫だ。ユーラットに居るのは、ドッペルだけだ」  ヤスは言い切る。  正確…

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2024/03/16

【第三十二章 妊娠】第三百二十一話

 お茶会は、和やかに進んでいた。  クリスティーネが落ち込んで、シロが慰める場面はあったが、交流を行うという意味では、目的を達成している。 「ナーシャは戻らないの?」 「ん?戻る?」 「ノービスは、ロングケープから出ている船で行かないとダメな場所で活動しているのでしょ?」  途中から参加している猫族のミーシャが、ナーシャに質問をする。  ノービスは、ナーシャが参加しているパーティーの名前だが、ロックハンドの開拓を任されてからは、パーティーの活動はしていない。ナーシャは、ツクモからもらった家がロックハンドにあ…

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2024/03/01

【第八章 王都と契約】第十八話 マヤのスキル

 別室に通された ナナとミトナルは、リンと違う意味で、行動が出来ない状況になっていた。  別室に入ってすぐにマヤが妖精の姿になって、部屋から出て行ってしまった。  ミトナルとマヤは魂でつながっている。妖精の姿になっている者は、戻ってこようと思えばすぐに戻って来られる。戻って来られるという安心感から、久しぶりの王都を探索するつもりのようだ。  マヤも、妖精の姿では目立つのはわかっている。王都に行くと決まってから、準備を始めていたスキルを発動した。  マヤとミトナルは、妖精の姿になった時に、目立つだろうと考えて…

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2024/01/21

【第四章 噂話】第六話 正当な権利

 噂話が、真実味を帯びるのには、いろいろなファクターが必要になってくる。ユウキは、発生した噂話に、虚実を織り込ませ話を織り交ぜて、真実味を持たせる工作を行っている。  ポーションが実在しているのは、真実だ。しかし、ポーションが簡単に手に入るはずがない。ユウキたちが供給源である。その事実を隠して、前田果歩がどこからか入手したポーションで身体が治ったと噂を流した。身体が治っただけではなく、他にも効用があり、古い傷も肌も治ったと噂が加速した。  人は、信じたい事柄だけを信じてしまう傾向にある。  前田果歩の身体が…

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2024/01/06

【第九章 ユーラット】第三十話 それぞれの選択

 第三皇子が帝都を脱出して、エルフの里に向かっている頃。  第二皇子は、選択を迫られていた。自らが選んだ道なのだが、最後の決断が出来ない。 「殿下。準備が整いました」  自らがユーラットに向かうと宣言してしまっている。  第二皇子は、自らがユーラットに向かう船が整うのを待っていた。事になっていた。その間に、第一皇子側に潜り込ませたスパイから、情報を得ていたのだが、第二皇子が考えていた以上に、戦況が混沌としていない。 「戦況は?」 「・・・」 「第一皇子の・・・。兄は、無事なのか?」 「はい。第一皇子は、帝都…

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2024/01/03

【第三十一章 本腰】第三百二十話

 クリスティーネは、緊張した面持ちで、カズトとシロが住んでいる場所に向かっていた。  崖の下に到着した時に、同じように邸宅に向かっていた者たちと合流した。  メイド姿をしたドリュアスが、全員が揃ってから邸宅に案内すると伝えてきた。 「シロ様がこちらにお越しになるのでは?よいのですか?私たちが、邸宅にお邪魔する形になってしまいます」  驚いたのは、メリエーラだ。  立場を考えれば、邸宅に案内されても不思議ではないが、メリエーラだけではなく、ヴィマやヴィミやラッセルやヨナタンも、邸宅に足を踏み入れたことがない。…

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2024/01/01

【第八章 王都と契約】第十七話 契約

 ブロッホはブラックドラゴンで、他のドラゴン族とは感性が違うとは言っていたのだが、俺の所に来てからはドラゴンの姿になっていない。人の姿で、食事をするのが楽しいと言っていたので、無暗に力を使う事はないと思っている。  二人を見ると落ち着いてはいないが、話ができる状態だと思う。  やっと契約の話が切り出せる。二人の様子をみると、契約が必要になるとは・・・。思えない。契約は、ギルドのためには必要だけど、個人で考えれば必要ない。ミヤナック家や王家との話し合いの結果を契約として残す以上の意味はない。 「それで、ミヤナ…

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2023/12/22

【第四章 噂話】第五話 訪問

 学校は、いろいろあって休みになっている。マスコミが殺到していて授業にならないというのが主な理由だ。  学校からの通達が、ユウキには遅れた。休校になる当日になって届いた。吉田教諭が、ユウキに連絡をしたことがきっかけだ。  ユウキはクラスから浮いた存在だ。クラスでは、ユウキは”いじめ”られているようだ。本人は、気にしていないのが、余計に周りから憎々しく思えてしまっている。  ユウキは、元々の性格から飄々としていると見られている。そして姿かたちや性格に大きな欠陥があれば良いのだが、顔は平均以上で、身長は低いが低…

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2023/12/20

【第九章 ユーラット】第二十九話 第三皇子

 皇都からの脱出に成功した。  皇帝は、第一皇子と第二皇子の対立を利用して、王国にある神殿を攻め落とそうとしている。  僕が調べた限りでは、神殿を攻め落とすのは兄さんたちでは不可能だ。もちろん、僕にも不可能だ。もっと言えば、帝国の勢力が協力して、全方位から同時に攻め込まない限りは攻め落とすのは無理だろう。  皇帝は・・・。父は、焦っているのかもしれない。  それに、兄さんたちは乗せられてしまった。  妹は、上手くやったようだ。  兄さんたちは、妹を追い出したつもりでいるが、僕から見たら、妹は上手く逃げ出して…

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2023/12/19

【第三十一章 本腰】第三百十九話

 久しぶりに忙しい日々を過ごしていた。  シロは、相変わらず体調の調整が出来ないようで、邸で休んでいる。エントやドリュアスたちが看病をしている。フラビアとリカルダは、シロの代わりに湖の集落を見てもらっている。二人同時に行く必要が無くなった為に、交代で湖の集落に行ってもらっている。  シロが邸に籠っている関係で、クリスティーネには負担を掛けてしまっている。  俺やルートガーでは、無難に進められない場所には、クリスティーネやヴィマやヴィミやラッヘルやヨナタンが出向いている。特に、女性が主体になっている行商は、女…

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2023/12/12

【第八章 王都と契約】第十六話 契約の話は?

 ローザスとハーコムレイとアッシュと契約を交わすことに決まった。  ギルドに振ろうかと思ったがダメだった。  神殿の所有者は対外的には、ギルドだけど実質は俺が所有することになっている。ローザスやハーコムレイが、ギルドと契約を行ってしまうと、ミヤナック家や王家以外の貴族がギルドに圧力を掛けた時に、突っぱねられないと説得(脅迫)された。  残念な事に、ハーコムレイの言っていることが正しいように思える。  ギルドの活動を考えれば、貴族からの申し出を断るのは難しい。神殿に戻ってからの調整にはなるが、所有しているのは…

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2023/12/02

【第四章 噂話】第四話 マスコミ

 在京のマスコミ各社は、情報の収集を急いでいた。  特に、広告収入がない放送局は、何者にも影響されないはずであるが、一部の腐った権力者からの要望で、”ポーション”を調べていた。ユウキたちは、表からしっかりとした手順で訪れた者たちには、しっかりとした対応を行っている。研究結果も包み隠さずに伝えている。それでも、実物の入手ができないことには、一部の腐った権力者は満足しなかった。  渡された情報を信じるかどうかは、各マスコミに任せることにしている。  一部は、検証の為に”ポーション”の現物を無償で提供して欲しいと…

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2023/12/02

【第九章 ユーラット】第二十八話 アラニス

 ディアス・アラニスは、モニターに映し出されている戦闘風景を複雑な思いで見ていた。  ディアスは、目の前で行われている戦闘を望んでいた時期もあった。  実際に、帝国から追われた身では、帝国の貴族連中を、憎しみがこもった目で見るのは当然だ。帝国の貴族は、ディアス・アラニスにそれだけのことをした。貴族だけではない。ディアスは、帝国を深く憎んでいる。本来なら、”アラニス”を保護して守る存在であるはずの、皇子が率先して”アラニス”を断罪した。いわれなき罪を被せての断罪だ。しかし、憎んでいるのは貴族連中であり、皇族だ…

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2023/11/29

【第三十一章 本腰】第三百十八話

 粛清が始まった。  正確には、アトフィア教だけではなく、チアル大陸外の勢力と繋がっていた者たちを焙り出して捕えた。  流した情報やスキルカードによって懲罰を決めた。  アトフィア教と繋がっていた者に関しては、1段階上の懲罰を行うことに決定した。  行政区の一部に喰い込まれていた。  ここまで喰い込まれているとは考えていなかった。  ルートガーは、身元調査を過信しすぎたといっているが、しょうがない。  まずは、流出した情報の調査が先だ。 「それで?」 「流出した情報は、公開されている物だけだ」 「ん?公開さ…

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2023/11/27

【第八章 王都と契約】第十五話 そのころ・・・3

 西沢は、ゴーチエは宰相派に金を流している豪商の息子だ。所謂、武器を売って稼いでいる所謂武器商人の一族だ。武器の中には、奴隷も含まれている。もちろん、正規のルートから仕入れた奴隷だけではなく、奴隷狩りなどで捕えられた違法奴隷も含まれている。  西沢が、同級生たちのグループからの脱退を考えていた。 (このままではジリ貧だ)  西沢(ロラ・ゴーチエ)は、豪商の息子だ。  ただの豪商ではない。武器商人だ。それも、王国だけではなく、近隣諸国に武器を売り歩いている。武器の代金を、金ではなく、奴隷との引き換えも行ってい…

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2023/11/19

【第四章 噂話】第三話 撫養教

 ユウキたちの拠点がある地区の周りを囲むように、撫養教が教会の建築を開始した。  拠点には直接的なダメージはない。  周りを囲まれても、拠点が属している地区は、小さな町で、独立している。大きな括りには、属していない。  その為に、小さな地方自治が出来上がっている。  そのうえで、住んでいる人たちは、元々の住民と拠点に関係している者たちだけだ。元々住んでいた人たちも、拠点の恩恵を受けている。大きいのは、限界集落になっていた場所に、拠点が出来た事で、病院に変わる治療所が出来た。  拠点ができるまでは、近い病院で…

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2023/11/16

【第九章 ユーラット】第二十七話 侵攻(5)

 ヤスが、楔の村(ウェッジヴァイク)への出兵を行うと宣言をした。  元々、帝国から攻めてきた戦争だ。それに対して、神殿側は反撃らしい反撃をしていなかった。  帝国の部隊が、神殿の領域に到達する前に瓦解することが多く、散発的な戦闘はこれまでも有った。しかし、まとまった攻撃は、楔の村(ウェッジヴァイク)が初めてだ。待っていたというよりも、神殿の中にも痺れを切らしている者たちが存在していた。その者たちのガス抜きの意味もあり、攻勢に出た方がいいと判断した。  指令室に居る者たちは、交戦を回避したいと考えていたのだが…

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2023/11/14

【第三十一章 本腰】第三百十七話

 幹部会議の当日になった。  最初は、シロも出席すると言っていたのだが、だるいようなので、幹部会議は欠席して、部屋で休むようにした。シロには、ステファナとレイニーがついていることになった。  俺には、”必要ない”と言ったのだが、シロから”フラビアとリカルダを連れて行って欲しい”と言われた。ルートガーたちが作る議事録とは別に、フラビアとリカルダがシロに報告を行う為にも、幹部会議に出席させて欲しいということだ。 「ツクモ様」  どうやら迎えが来たようだ。  幹部会議は、俺もルートガーもそれほど乗り気ではなかった…

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2023/11/10

【第八章 王都と契約】第十四話 そのころ・・・2

神殿が表舞台に出る準備を行っていた時に、神殿に行くことを拒絶した者たちも、自らのスキルを使って動き出していた。 最初に動いたのは、教会に伝手があるフレット(昴)・コンラート(松田)だ。 「おじい様!」 「なんだ?」 コンラート家は、王家よりの人間で穏健派の筆頭と考えられる。教会の中では、穏健派をまとめている立場の家だ。 フレットが、父親や母親ではなく、祖父を頼ったのにも理由がある。 「おじい様。教会の武器や防具や服飾関係は、どなたが仕切っていらっしゃるのですか?」 フレットが行おうとしているのは、カルーネ(…

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2023/11/05

【第四章 噂話】第二話 接触

ユウキは、意図的に三保の入口にある家の情報を流した。 しかし、番犬(フェンリル)が居るためにうかつに近づけない。 静岡や近隣のマスコミは一通り洗礼を受けている。 怪我をしたのではない。いつの間にか、違う場所で目が覚めるという失態を繰り返して、いつの間にか、ユウキの家は静岡近隣のマスコミ関係者からはアンタッチャブルな場所として認定されている。 情報を仕入れた者たちも、最初は情報を疑ったが、実際に”噂”と同じような状況に陥れば、信じるしかなくなってしまう。 しかし、そんなマスコミに匂わせている者たちは、そんな中…

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2023/10/31

【第九章 ユーラット】第二十六話 侵攻(4)

ヤスとリーゼが神殿に戻ってきたのは、帝国が楔の村(ウェッジヴァイク)を完全に包囲した時期と重なった。 指令室になっている会議室に、ヤスとリーゼが戻ってきた。 「戦況は?」 ヤスは、自分の席に座る。リーゼは、当然のようにヤスの隣に座る。 作戦室でオペレータを務めていたのは、オリビアだ。 帝国の侵攻が始まってから、交代でオペレータを務めている。今は、オリビアとメルリダとルカリダが務めている。ヤスには、事後に承諾を貰っているが、監視している箇所は、3箇所に絞っている。 他は、問題や動きがあった場合にアラームが上が…

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2023/10/31

【第三十一章 本腰】第三百十六話

二日後に、長老会を開催することに決まった。アトフィア教への警戒を強めることになってしまうが、相手が何をしているのか解らない状況では、攻めるにしても、守るにしても、状況の把握をしなければならない。 ルートガーが長老や関係者の間を駆け回っている。 クリスティーネもルートガーの手伝いをしている。ヴィマやヴィミやラッヘルやヨナタンは、クリスティーネの代わりに各所に連絡を行っている。今回の会議は、最初は長老衆だけで行うが、その後にチアル大陸の幹部を含めた会議を行う。 ルートガーは、長老衆との打ち合わせの準備で忙しいた…

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2023/10/27

【第八章 王都と契約】第十三話 そのころ・・・

リンとマヤとミトナルが王都に向かった。 神殿は、ギルドに任されていた。 リンとマヤが居なくなった神殿では、ロルフが管理を行うのだが、ロルフは、リンの眷属たちの統率を行っていて神殿の運用までは手が回っていない。 リンからも神殿の裏側はロルフが手を出してもいいが、居住区と通路はギルドに任せるように言われている。 残っているメンバーは、それぞれが生き残るため・・・。と、いう思いは持っているが、それ以上に、自分の想いを叶えるために行動を起こし始めている。その中でも、イリメリは精力的に動いている。 森の村とフリークス…

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2023/10/19

【第八章 王都と契約】第十二話 現状の確認(4)

神殿での生活は、ミトナルとナナに説明を任せることにした。 ローザスは何か言っていたが、話が進まないという事で、ハーコムレイが話をミトナルとナナに聞くことになった。 ハーコムレイが部屋から出て行った。 ローザスも一緒に行くのかと思ったが残っている。 「それでリン君?」 「ん?」 ローザスが何を期待しているのか解らない。 「神殿で、採掘や採取ができるのだよね?」 「あぁ」 「その場所は、僕たちでも・・・。違うな。神殿を利用する者なら、誰でも使えるの?」 「そういうことか・・・。ルールを作る必要があるとは思うけど…

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2023/10/16

【第四章 噂話】第一話 都市伝説

説明回です 読み飛ばしても大丈夫だと思います。 — 企業系の提灯記事を掲載しているマスコミを標榜する者たちから、噂が流れ始めた。 少し前に記者会見を開いて、世間を驚かせた”召喚された勇者”たちが持っているポーションは、”欠損”を治せるのではないかと噂が流れ始める。それだけでも価値は天井知らずなのに、権力者としては見逃すことが出来ない効用があると思われている。 公表されていないがポーションの効用で期待ができる効果が”延命”だ。噂話の域を出ていない。帰還した勇者たちを囲っている者や、研究をしている者…

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2023/10/12

【第九章 ユーラット】第二十五話 不在の理由

指令室となっている会議室には、ヤスとリーゼの姿が無くなっている。 帝国の侵攻を開始して、2週間が経過した。 帝国の侵攻は遅々として進んでいないが、先行部隊というべき者たちが、トーアヴェルデや楔の村(ウェッジヴァイク)に攻撃を仕掛け始めている。 「サンドラ様。帝国の動きは?」 オリビアの問いかけに、今日の指令室の責任者になっているサンドラが、メインディスプレイに解っている範囲での帝国軍の動きを示した地図を表示する。戦闘になっている部分は、リアルタイムでの情報更新が行われているが、帝国国内の情報にはタイムラグが…

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2023/10/10

【第三十一章 本腰】第三百十五話

ピカとハミから話を聞いた。 最初は、尋問のようになってしまったが、イザークとピムが必死に誤解を解いていた。 新種は、自然界でも産まれる。上位種に至る魔物は少ないようだが、一体でも十分な脅威になりえる。”できそこない”の1体でも、戦闘に慣れている者が居ない場所では、村や町が全滅しても驚かない。 人為的に上位種を作り出そうとしているのなら・・・。そして、その上位種に至った魔物を他の大陸に・・・。大陸が危険に晒されてしまう。 ルートガーに報告と相談を行うために、行政区に戻った。 「それで?」 「ピムの妹がアトフィ…

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2023/10/10

【第八章 王都と契約】第十一話 現状の確認(3)

ローザスの提案は、ハーコムレイが却下していた。 そもそも、街道を俺に渡すのは不可能なのだと、ハーコムレイが俺に説明をしてくれた。丁寧なのだけど、別に必要だと思えない謝罪まで含まれていた。 俺が第二のアゾレムになってしまう可能性がある。現状でも、戦力だけを考えても、王都に攻め込める場所に、俺に忠実な者たちが固まっているのを、ハーコムレイは問題視している。ローザスを擁する派閥とは、親密に出来ていると思う。それに、ルアリーナやアデレードが、神殿にいる。 ローザスも、ハーコムレイも、神殿の様子を知りたいようだ。 ア…

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2023/10/01

【第八章 王都と契約】第十話 現状の確認(2)

ハーコムレイは、ローザスを完全に無視して、俺の前に座る。 そして、持っていた書類を俺の前に出してきた。 かなりの分量がある。 全部を読むのは面倒に思えてしまう。 「これは?」 目の前に置かれた書類の束をペラペラと捲る。 貴族や商人の情報だとはわかる。俺が知っている貴族家は少ない。そもそもの話として、俺が知っている貴族家はアゾレムを除けば、神殿にいる者たちに関係する貴族家だけだ。 ハーコムレイが説明を始めてくれたが、簡単にまとめられていると言われている書類は、説明を聞いても、よくわからない部分が多い。 書類の…

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