異世界の記事一覧
2023/01/06
【第九章 ユーラット】第六話 オリビアの日常
オリビアは、すぐに神殿に馴染んだわけではない。 ヤスが用意した家は、屋敷と呼べるような大きさだ。従者と一緒に住むことが考慮されている。可能性は低いが、騎士の3人が神殿に住む場合には、オリビアたちに責任を取らせる意味も含めて、一緒に住める大きさの家をヤスは用意した。 家の手配は、セカンドたちが行い。家具などの準備も行った。 オリビアは、ヤスから屋敷を与えられてから、メルリダとルカリダにも対等に接するように伝えるが、二人は固辞した。 神殿に居る者たちに相談をしたが、”別にいいのでは?”という緩い返事が来た事で、…
続きを読む2023/01/04
【第二十九章 鉱山】第二百九十五話
よくわからない状況になった。 中央大陸に向っている。もう、港に辿り着いた。 船の手配も終了している。 竜族に乗っていくという話も有ったが、中央大陸に行くのには向かないと判断された。 一人、強固に反対した者が居たので、今回は船で移動する。 船も、通常なら数日から待つ時には2-3週間は待機の日数が必要になるのだが・・・。俺たちの予約は、すんなりと通って、今は船の上だ。 あと数時間で出港する。 横に居る人物に声を掛ける。 「ルート。本当に大丈夫なのだな?」 本来なら俺の代わりに、チアル大陸を統治する。ルートガーが…
続きを読む2023/01/01
【第七章 神殿生活】第九話 案内
揉めるかと思ったが、ゲートを入る順番は最初から決めていたようだ。 最初は、ナッセ・ブラウンが入った。 フェナサリム(重久真由)が続いた、最後に残ったのは、イリメリ(静川瞳)だ。 タシアナ(韮山里穂)の弟や妹たちは、まだ商隊と一緒に待機してもらっている。まずは、ギルドのメンバーと商隊の主要メンバーだけが、神殿に入ることに決まったようだ。順番や神殿に向かう人選は、関与していない。 俺とセバスチャンで、ゲートの周りを確認する。 「セブ。こっちは頼む。後で、眷属を向かわせる」 「わかりました。いってらっしゃいませ」…
続きを読む2022/12/18
【第七章 神殿生活】第八話 通行証
「リン=フリークス」 リカールが、背筋を伸ばして、俺を真正面から見ながら、名前を呼んだ。 見ていた書類から目を離して、リカールを見つめ返す。 「なんでしょうか?」 「サリーカの言葉を信じて、ここまで来た。まずは・・・」 リカールの言葉を遮る形になるが、手を上げた。リカールも、俺の意図が解るのだろう。言葉を切って、俺を見て来る。 「わかりました。神殿に行きましょう」 安堵の表情を浮かべる。 何があるのか解らないが、商隊の中での駆け引きがあるのだろう。 「助かる。父が・・・。商隊長が煩くて・・・」 父?サリーカ…
続きを読む2022/12/07
【第二十九章 鉱山】第二百九十四話
ダンジョンを俺たちが攻略してしまえば、ダンジョンの所有権は俺たちが取得することになる。 そのうえで、ゼーウ街に借用するような契約にすればいい。 近隣の街から文句を言われたら、デ・ゼーウは俺たちに交渉を丸投げすればいい。 俺たちは、面倒だからゼーウ街に”ダンジョンを丸投げしている”立場を取る。そのうえで、他の街が交渉してきたら、デ・ゼーウ以上の好条件を出さない限りは提供しないと言えばいい。 それでも、ダンジョンにアタックする奴らは出てくるだろう。 見逃してもいい。自己責任でアタックするのなら、勝手にすればいい…
続きを読む2022/12/06
【第七章 神殿生活】第七話 セトラス商隊
料金や運用を、セバスチャンに任せて、神殿に戻った。 屋敷の隣に設置したゲートの確認の意味もあった。 「ロルフ!」 ゲートの設置場所にロルフが居た。 俺を待っていたわけではないようだが、タイミングがよかった。 『マスター』 「何組のゲートが設置できる?あと、ブロッホやヒューマからゲートの設置依頼はあるのか?」 『マヤ様とミトナル様が、整理をリソースへの還元を行っています。現状では、残りは6組です。リソースへの還元が終了すれば、10組になる予定です』 「そうか・・・」 まずは、ギルドへの依頼をしなければならない…
続きを読む2022/12/03
【第三章 復讐の前に】第十二話 雑事と
ユウキは、バイクでの通学を行う為に、免許の取得を行った。 技能はもちろん問題がない。試験も無事に合格した。年齢の問題は残ったが、特例処置が下された。海外の2輪の免許を取得しているのが、理由として上げられていた。ユウキは、準備期間を利用して海外で免許の取得を行っていた。 ユウキは、拠点から学校に通う為の家に移り住んだ。 住民票やら手続きも既に終わっている。 バイト先への初出勤も終わった。 バイトから帰ってきて、CBR400Rを駐車場に停めて、部屋に戻った。 ユウキは、小さなスマホが気にって使い始めた。スマホに…
続きを読む2022/12/01
【第九章 ユーラット】第五話 オリビア
私は、オリビア・ド・ラ・ミナルディ・ラインラント・アデヴィット。 アデヴィット。この名を持つ者は、私を入れて6名だけだ。 皇帝であるお父様。第一皇子。第二皇子のお兄様。第二皇女のお姉様。第三皇子の弟。そして私だ。 母たちには、アデヴィットを名乗る権利を与えられていない。 私の母は、身分が低かった。 そのために、つけられた従者はメルリダとルカリダの二人だけだ。従者兼メイド兼護衛だ。私も、護衛術は嗜み程度には習得しているが、命が守れるレベルではない。 父である陛下が、御病気になってから、周りが騒がしくなった。 …
続きを読む2022/11/28
【第七章 神殿生活】第六話 料金設定
屋敷に戻って、セバスチャンにゲートの説明を行った。 仕組みは、俺も理解していないので、”こういう物”とだけ理解をしてもらった。セバスチャンと屋敷に戻って、神殿側のゲートやアロイ側に作ったゲートに関する修正箇所の聞き取りを行った。セバスチャンが考える問題点を上げてもらった。 簡単に言えば、貴族用は手続きを煩雑にして、”自分が優遇されていると思わせる方がいい”という事だ。簡素な手続きでは、面倒な貴族や豪商は、軽く見られると思うようだ。神殿側のゲートを出た先に、貴族用の個別の部屋を設置する。ここで、手続きを行うの…
続きを読む2022/11/26
【第三章 復讐の前に】第十一話 クズ
準備が滞りなく終わって、ユウキは新しい家で過ごす時間を徐々に増やしていた。 母親が亡くなって、父親と名乗る人物に引き取られて、そのあとで捨てられた。しかし、捨てられた施設でも、その後に過ごすことになる異世界でも、ユウキは独りになることは少なかった。 特に、異世界(フィファーナ)では誰かが常に側に居た。ユウキも、誰かが側に居るのが当たり前だと思っていた。 ユウキは、独りでの生活に慣れようとしている。 学校が始まれば、一人で行動をしなければならない。 バイト先は、馬込から紹介された。 バイクを使う理由にもしてい…
続きを読む2022/11/14
【第七章 神殿生活】第五話 神殿街
ゲートの設置が終了した。 隣の部屋に居るはずの二人を呼ぶ。 俺がゲートを設置している時に、マヤとミトナルが戻ってきた。作業をしていたので、二人にはロルフの作業を手伝ってもらっている。 「ミル!マヤ!」 先に反応したのは、マヤだ。 妖精の姿のまま、俺の肩まで飛んできた。 そのあとを、ミトナルが駆け寄ってくる。その後ろを、ゆっくりとした速度で、ロルフが続いている。 俺が信頼できる3人?だ。 「終わった?」 「ゲートの設置はできた。猫人族は?」 マヤが、抱き着いているミトナルの頭の上に戻って、俺に説明をしてくれた…
続きを読む2022/11/12
【第三章 復讐の前に】第十話 駒?
ユウキは、新居になる家の前に居た。 鍵はない。電子キーだ。パスワードと生体認証が組み込まれた扉をつけている。 監視カメラも、見つけさせる為のカメラと、隠されているカメラと、スキルで見られない状況になっているカメラを確認している。 玄関に入った。 「そうか、革靴かぁ・・・」 ユウキは、玄関に揃えて置かれていた靴を見ている。 学校には、学校指定の革靴が必要になる。他にも、学校指定とされている物が存在している。 全てとは言わないが、学校の理事の息が掛かった場所からの購入が”推奨”されている。 ユウキが準備したので…
続きを読む2022/11/09
【第九章 ユーラット】第四話 審査と予想
結局、神殿にはアイシャがオリビアの護衛として付いてくることになった。 最初は、オリビアが護衛は必要ないと言ったが、全員から却下された。 馬車を守るのは、ヒルダとルルカだ。 神殿には、オリビアとメルリダとルカリダ。そして、護衛としてアイシャが行くことになった。荷物は、オリビアの物を中心に、少なくしてもらった。必要になったら、取りにくればいいと説き伏せた。 俺はFITで向う。オリビアがFITに乗りたいようなことを言ったが、メルリダとルカリダが反対した。オリビアの話を聞いたリーゼが、最初はモンキーで帰ると言ってい…
続きを読む2022/11/08
【第二十九章 鉱山】第二百九十三話
ファビアンの話を聞いて、少しだけ考える。 新しく入れてもらったカップの縁を指で弾きながら状況を整理する。 現在、ゼーウ街には二つの問題がある。 一つが、ドワーフ族だ。これは、鉱石を求めている。厳密に言えば、自分たちが自由にできる鉱山が欲しいのだろう。ドワーフ族は、鍛冶をしていなければ、たんなる酒飲みだ。そして、鍛冶をやらせていても、多くは愚か者の集団だ。話を聞けば、ゼーウ街で文句を言っている氏(うじ)族は、武器を得意とする者たちだ。 武器の需要は確かにある。しかし、武器は消耗品になってしまっているために、品…
続きを読む2022/11/06
【第七章 神殿生活】第四話 ゲート
ロルフと一緒に、支配領域を確認する。 「ロルフ。マヤは?」 「マヤ様は、ミトナル様と一緒に猫人族に神殿の案内をしています」 「そうか・・・。猫人族は、馴染めそうか?」 「はい。マヤ様が、お話を聞いて、神殿の一部・・・。訓練場所に指定していた場所を、猫人族用に変更しました」 「それはよかった」 「はい」 セバスチャンから渡された書類を見ながら、支配領域に組み込む場所を確認する。 結果、かなりの領域が、支配領域に組み込まれる。 まずは、メルナの屋敷と屋敷の周辺を支配領域に組み込む。建物があるためなのか、予想より…
続きを読む2022/11/05
【第三章 復讐の前に】第九話
フィファーナの辺境にある小国レナート。辺境は、人類の辺境である。レナートの近くには、広大な未開の地が存在している。 その王城にある一つの部屋。召喚勇者の1人、サトシが使っている部屋。 今、部屋の主であるサトシとサトシの婚約者の1人であるマイが、ローテーブルに広がった資料を片づけながら雑談をしている。資料は、次期国王への説明が多く含まれている。 もう1人の婚約者である王女であるセシリアとマイがまとめた資料を、次期国王であるサトシに説明をしていた。説明は、優しい言い方なのは、サトシだけが理解をしていればいい。よ…
続きを読む2022/11/04
【第九章 ユーラット】第三話 想定できない
ユーラットの裏側に辿り着いた。 トラックから馬車を降ろして、必要な荷物が無いか最終確認をしてもらうことになった。 「ヤス様」 「どうした?」 オリビアが荷物の整理・・・。を、するわけがなく、俺に話しかけてきた。 そりゃぁそうだな。荷物の整理は、従者が行えばいい。 「ありがとうございます」 「ん?ここは、まだ神殿ではない。神殿の近くにあるユーラットだ」 「はい。解っています」 馬車の中の荷物は散らばってしまったり、護衛に雇った者たちが持ち逃げしてしまったり、かなりの物が紛失してしまっているようだ。 オリビアの…
続きを読む2022/11/03
【第二十九章 鉱山】第二百九十二話
ファビアンの話を聞いても、よく解っていないことだけが解った。 「本当か?」 ファビアンが知っている限りだという前提だが、中央大陸にはドワーフ”だけ”が住む街や村は存在しない。エルフの様に、大陸を支配しているわけではない。 「はい。過去には、一つの大陸をドワーフ族が支配していましたが・・・」 「どうした?」 「いえ、ご存じだと・・・」 「いや。俺は、歴史に詳しくない。説明してくれると助かる」 「わかりました」 ファビアンが知っている。 中央大陸とドワーフ族の関わりと、ドワーフ族の公になっている歴史を教えてもら…
続きを読む2022/11/01
【第七章 神殿生活】第三話 過去
私は、セバスチャン。奴隷だ。 前の主人は立派な人だった。小さな領の代官だったが、一代で叙勲して、準男爵を経て男爵に陞爵した。子爵にもなるのではないかと言われていた。 領地を得てからの旦那様は、領民には優しく、味方となった者には、どこまでも誠実に対応した。 敵対した者には徹底的に戦った。特に、領民を不幸にする敵対者には、慈悲を与えない。係累には手を出さないが、関係した者は徹底的に潰した。相手が、上位貴族でも矛を収めなかった。 味方も多いが、敵も多かった。 特に、近隣貴族であるアゾレムとはそりが合わなかった。 …
続きを読む2022/10/29
【第九章 ユーラット】第二話 移動中
休憩の度に、リーゼが俺の側に来る。 「ヤス?」 「なんでもない」 リーゼの頭を撫でてやると嬉しそうな表情を浮かべる。 「ねぇヤス」 「ん?」 「モンキーは、後ろに人を乗せられる?」 「ん?」 「ほら、ヤスが使っていたCBR?あれは後ろに乗れるよね?」 前に、リーゼがコーナを上手く曲がれないというので、CBR250Rの後ろに乗せて走った。 「うーん。リーゼのモンキーなら大丈夫だ」 「わかった!」 「誰を乗せたい?ヘルメットは?」 「オリビアが乗ってみたいって言っていて、騎士?は反対していたけど、いいよね?ヘル…
続きを読む2022/10/26
【第二十九章 鉱山】第二百九十一話
結婚騒動は、子供ができた場合でも、仕事に配慮すること、産まれた子供を安全に預かる場所を作ること、これらのことを、ルートガーに宣言をさせた事で、落ち着いた。 獣人族は”子供は皆で育てる”が染み付いているので、それに倣った形だ。 ルートガーは、最初は抵抗したのだが、クリスからの説得を受けて、最後には受け入れて、宣言を出すのに賛成した。ルートガーが反対していた理由も理解ができる。上流階級で産まれて教育を受けてきたルートガーには、獣人族のやり方が正しいと言われても納得ができないだろう。俺も、クリスも、獣人族が正しい…
続きを読む2022/10/25
【第七章 神殿生活】第二話 契約と神殿
屋敷に移動すると、セバスチャンが出迎えてくれた。 「旦那様」 「セブ。屋敷は大丈夫か?」 「はい。後は、旦那様が譲渡に関する契約書にサインを行えば終了です」 「契約書?何か、問題があったのか?」 「聞いていた話では、譲渡では無かったので・・・」 「ん?譲渡?セブが聞いていた話と違うのか?」 「はい。王家から渡された書類では、旦那様に譲渡されると記載されています」 「何か問題か?」 「問題は、ありません。税も、免除されることになっています。契約の内容だけの判断ですが、貴族家・・・。それも、伯爵と行う譲渡契約に…
続きを読む2022/10/22
【第三章 復讐の前に】第八話 受験
ユウキは、マイとセシリアに物資を依頼して、地球に戻った。 ユウキが依頼した物資は、これからの生活に必要だと思える物だ。 物資は、地球では入手が不可能な物が多い。 魔物を狩った時に得られる魔石は必須だ。魔法陣や結界の維持に使われる。ユウキは、充填ができるために、空の魔石でもいいのだが、最初の手間を省く為に、簡単な加工はレナートにいる加工師に行ってもらう。 マイが気を利かせて、魔石を水晶などの地球に有っても不思議ではない形に加工した。できる限り、体裁を整えて、値打ちがある宝石ではなく、土産物で売っている程度にな…
続きを読む2022/10/16
【第七章 神殿生活】第一話 殿下と騎士
当初の計画の3倍以上の時間をかけて、神殿に向かうことになった。 些細な問題は発生したが、概ね予定通りに進むことができた。 3倍の時間が必要になったのは、殿下・・・。の、責任ではなく、殿下に付いてきた騎士たちが、当初の計画に苦言を呈してきた。 曰く 「殿下がお疲れになる」 曰く 「殿下の為の休憩が少ない」 曰く 「殿下の食事が質素だ」 曰く 「殿下が・・・」「殿下が・・・」 騎士たちが最初からこの主張をしてきたのなら、素直に”殿下の為”というセリフを信じられるのだが、ハーコムレイが神殿まで一緒に行動しないとわ…
続きを読む2022/10/02
【第六章 ギルド】第三十四話 移動
皆が合流した。 ミルとミアも訓練施設から会議室に移動してきた。レオはしっかりとミアの側に居る。護衛として、役割を守っているのだろう。 ミルが右側に陣取って、ミアが左側にレオと一緒に居る。 話は、ハーコムレイが主導する形で進んだ。 この場には、最初だけカルーネとフレット・コンラートとアルマールが姿を見せたが、ハーコムレイが神殿に向かわないものは退出してくれというと、何か言ってから、会議室から出て行こうと立ち上がった。 ハーコムレイが、彼女たちに追い打ちを掛ける。この建物は好きに使っていいが、辺境伯家からの支援…
続きを読む2022/09/28
【第二十八章 新婚】第二百九十話
ギュアンとの話を終えて、崖の住居に戻ることにした。 シロも一緒だ。フラビアとリカルダは、フリーゼが帰ってくるのを待って、決まったことを、フリーゼに説明を行う。 崖の下に移動したら、久しぶりに顔を見る面子が揃っていた。 シロが、俺の前に出るが、肩を叩いて下がらせる。俺が前に出ると、一人の男が、俺の前に出てきて頭を下げる。 「どうした?イェレラ?皆で揃って来た理由は?俺に解るように説明してくれるよな?クリスとルートガーの従者であり、護衛であるお前たちが職場を放棄してきたとは考えていない。だから、緊張しなくていい…
続きを読む2022/09/28
【第二十八章 新婚】第二百八十九話
フラビアとリカルダの案内で、ギュアンとフリーゼが仕事をしている舟屋に向かった。住居は以前に与えた物で変わっていない。仕事場としている舟屋で待っていると教えられた。 舟屋の数は増えていない。 船の数が増えているように思える。当然だな。当初の数では、増え続ける人口を支えるだけの魚を確保するのは不可能だろう。 「ツクモ様」 ギュアンが俺に気が付いて舟屋から出てきた。どうやら、フリーゼは、所用で出かけているようだ。ギュアンが、フリーゼの不在を詫びてきた。 ギュアンの態度が少しだけ固いように思える。表情も前に会った時…
続きを読む2022/09/28
【第二十八章 新婚】第二百八十八話
湖の集落に行く前に、フラビアとリカルダから報告を受ける。 湖の集落は、ギュアンとフリーゼが仕切っていたのだが、人が増えた。フラビアとリカルダも運営の手伝いを行ったが、限界が近いようだ。 元々は、別荘地にする予定で整備を行っていた。 そのために、交通の便や、移動のしやすさや、生活を行う為の設備が少ない。 フラビアとリカルダは、馬車の本数を増やして対応を行っていた。 「そもそも、湖の集落は、別荘地だぞ?そこに、利便性を求めるような奴は、他に移動した方がいい」 俺の言葉に、フラビアが反応した。 どうやら、最初はそ…
続きを読む2022/09/28
【第二十八章 新婚】第二百八十七話
シロとのデートを終えて、部屋に戻ってきた。 途中で、ギュアンたちが居る”湖の集落”に寄ろうという話も有ったが、時間も遅くなってしまったために、明日以降に行くことにした。 「シロ。今日は、上で過ごすか?」 「はい!」 シロが嬉しそうにする。 崖の上に作られた、屋敷?は、改修に改修を加えて、十分に屋敷としての機能を持たせることが出来ている。 地下に作った部屋は、部屋で実験が行える状況になっているので、残している。地下には、俺とシロと眷属しか入ることを許していない。ダンジョンからの進入路は、既に潰してある。 部屋…
続きを読む2022/09/28
【第二十八章 新婚】第二百八十六話
リヒャルトは、俺と話をして、安心したのか、来た時とは違う表情で、部屋から出て行った。 おかしい。 俺も新婚なはずなのに、忙しい。忙しくなりたくなかったから作った仕組みがうまく行けば、また忙しくなってしまう。 「カズトさん」 シロが、部屋に入ってきていた。 テーブルの上に乗ったカップを片づけている。 今まで居たはずのメイドは下がらせたようだ。 「どうした?」 「僕が、カズトさんと・・・」 「いいよ。少しだけ話をしよう」 「はい!」 帰ってきてから、シロとの時間はそれほど無かった。誰かが訪ねて来たり、用事が出来…
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