【第七章 神殿生活】第四話 ゲート

 

ロルフと一緒に、支配領域を確認する。

「ロルフ。マヤは?」

「マヤ様は、ミトナル様と一緒に猫人族に神殿の案内をしています」

「そうか・・・。猫人族は、馴染めそうか?」

「はい。マヤ様が、お話を聞いて、神殿の一部・・・。訓練場所に指定していた場所を、猫人族用に変更しました」

「それはよかった」

「はい」

セバスチャンから渡された書類を見ながら、支配領域に組み込む場所を確認する。

結果、かなりの領域が、支配領域に組み込まれる。

まずは、メルナの屋敷と屋敷の周辺を支配領域に組み込む。建物があるためなのか、予想よりは多くの魔力が必要だ。神殿の魔力は、猫人族が過ごした事で貯まっていたので、無茶な拡張をしなければ、運営に支障は出ない。はずだ。

次は、アロイ側の支配領域だ。
アロイを抜けた先にある。街道沿いの場所を、支配領域に組み込む。メルナ側は、セバスチャンたちが居る。アロイ側は、最初の管理はギルドに委託する方法しかない。ナナが管理を引き受けてくれれば・・・。

湖側は、崖になっているのも、確認ができる。

「ロルフ。今、確保した場所を壁で囲みたい。魔力は大丈夫か?」

「あっ!マスター」

「どうした?」

「はい。ダンジョン区画が成長しました。それに伴い、設置が可能なゲートが増えました。」

「ん?ゲートの数が増やせるのは嬉しいけど・・・。ダンジョン区画が成長?成長なんてするの?」

「マスターの眷属たちが日々ダンジョンで魔物を狩っています。神殿が使える形のリソースに変換されています」

ロルフに説明を求めたら、答えは簡単だ。
神殿が使える形のリソースにならないと、魔力が増えても意味がない。以前は、緊急措置で魔力を使っていたが、リソースへの還元が行われるようになった。

もちろん、神殿に貯まっている魔力を使っても同じようにできるのだが、魔力を使うよりもリソースを使って欲しいと言われた。
魔力は、ダンジョンの成長や神殿の施設拡張だけではなく、神殿の維持管理に使われる。しかし、リソースは領域の確保や施設の拡張や新設に使われるエネルギーで、維持管理には回されない。

「そうか、貯まった魔力を使って神殿やダンジョンを運営する。ダンジョンでは、魔物がポップする。ポップした魔物を狩る事で、リソースに変換される」

「そうです。魔力が予備を含めて、貯まりました。神殿や領域に居る人から微細な魔力もリソースに変換しています」

「魔力の収支は大丈夫なのか?」

「はい。ミトナル様が確認をされました」

マヤが確認をしたのなら、ロルフから説明を聞いて、確認をした方がいいと思うが、ミトナルが確認をしたのなら大丈夫だろう。後で、話だけ聞いておこう。

「ロルフ。それで、リソースを使って、柵や壁はできるか?」

「可能です」

「ダンジョンは、魔力で拡張。リソースは、上の街に使う」

「わかりました」

「それから、ダンジョンの管理は、ロルフに任せる。ゲートを作ったら、人もダンジョンに潜るようになるから、見ていてくれ」

「はい」

まぁギルドのメンバーも訓練で使うだろう。

「リン!」「リン!」

二つの声が重なった。
後ろから駆け寄ってくるのは、ミトナルだけだけど、肩にはマヤが乗っている。別々で、活動していたのか?

「マヤ。ミル。猫人族の案内ありがとう。落ち着いた?」

「うん」

ミトナルは、頷いて答えてくれて、マヤが返事をしてくれた。

「マヤ。ロルフを手伝って欲しい。ダンジョンの充実だ。眷属たちの意見をまとめるのは、マヤが得意だろう?」

「え?うん!まかせて!そうだ。リンは、今日は神殿に泊まるよね?」

「そのつもりだよ?」

「わかった!ミル。あとは、任せたよ」

「うん」

マヤは、何かミトナルに耳打ちしてから、ロルフの上に移動した。
それから、ロルフと一緒にダンジョンの制御ができる場所に移動した。

「ミル。ミアとレオは?」

「ミアが、疲れたから、寝ている。レオは、ミアと一緒」

「そうか・・・。そうだ。ミル。ギルドのメンバーがメルナに到着している。セトラス商隊も、神殿を見たいらしい」

「ん。ゲートはどうする?」

「今から作る。一つは、メルナに貰った屋敷の隣。あっアロイ側のゲートを作る場所を壁に覆う予定だった」

神殿の領域に指定した場所と、ハーコムレイから言われている場所をしっかりと確認する。
街道は、王家の物だと言われているが、違った場合に、文句を言ってくるのはアゾレムだ。間違いなく、面倒なことを言い出す。

少しだけ余裕を持たせる。
距離にして、10mくらい。そこから、2m幅の壁を仮置きする。
全長、6km?以外と長いな。リソースを見ると、ロルフが言っていたように、2%程度しか使っていない。魔力→リソースがどの程度の変換率なのかわからないけど、気分はかなり効率がいいように感じる。
リソースメータも、壁の形状や長さを考えている間に増えている。

「リン。壁の前に堀を作らない?」

「堀?」

「うん。空堀でもいいけど、水堀を作って、崖から湖に流し込む。あと、崖側にも、壁を作ろう、反りかえるような壁を作れば、湖側からの侵入が防げる」

ミトナルの提案は考える価値がありそうだ。

「あとね」

「うん」

「湖側は、地下室を作って、湖に抜けるような通路を作って欲しい」

「どうして?」

「猫人族の長老から聞いた。湖の中央に、”神殿がある”と、いう伝説があるらしい」

「へぇでも、ブロッホが居れば空からじゃダメ?」

「長老が知っているのは、”空からは侵入できない。見つけることもできない。湖からしか発見ができない”神殿だと言われている事」

「わかった。落ち着いたら、探してみるのもいいだろうな」

「うん」

確かに、湖側からの攻撃はないと想定しているけど、想定しているからこそ、攻撃に備えた方がいいかもしれないな。
俺なら、正面に戦力を集中させて、精鋭で構成された少人数で後方から攻撃をしかける。攻撃が成功しなくても、攻撃されたという事実だけで、戦略が破綻する可能性がある。

水堀はいい考えだ。
水は、村から流して、堀に貯めればいい。湖に落ちる場所を調整すれば、それが罠にも使える。

壁は、幅は変えないで高さを10mにしよう。
壁は、直線だと守るのに適していない。意識を逸らすために、フィヨルドとは行かないが、不規則に凹凸を付けた。

10mくらいの間隔で塔を設置する。塔には、バリスタを配置すればいい。あとで、ギルドに相談して、守る為の方法を検討してもらおう。

門は、二か所だ。
一つは、マカ王国との国境の街シャルム側。通常は、こちら側から入ればいい。守りやすいように、湖に近い位置に設置する。もう一つは、明らかに豪奢な門をアロイ側に設置する。こちらは、威嚇の意味を含めて、重厚な門にして、塔も通常よりも多く配置する。
当初は、街道から10mほどの距離で壁を作ろうかと思ったが、水堀を作って、門を作って、吊り橋を作って、防御のための施設を作ったら、30~50mほどの距離が出来てしまった。それでも、街道までバリスタの射程に含めることができたので、問題はないだろう。

ゲートは、アロイ側に設置した門から少しだけ離した。両方の門の中央よりは、アロイ側だ。

リソースを確認すると、貯まっているリソースの10%程度だ。
これなら、作ってしまおう。

「リン!川!」

ミトナルに指摘されて思い出した。川を作らなければ・・・。
ゲートの周りには、木々を植えて小さな森を形成する。ゲートは、柵で覆ったほうがそれらしく見えるだろう。ゲートの近くから、水が湧きだして、川になるようにする。そして、少しだけ蛇行させて、堀に流れ込むようにする。あと、湖側に井戸っぽい物を設置する。
水は、ダンジョンの力を利用する。実際に、そこに水源がなくても、ダンジョンの地形を配置すればいい。

メルナの屋敷近くのゲートは、簡素な小屋を最初に設置して、ゲートを配置した。
小屋は、セバスチャンの意見を聞いて変更すればいい。
貴族向けのゲートになるのだから、何かしらの場所を作ったほうがいいだろう。

森の全域は、リソースの回復を待って行った。
貯まったリソースの70%を使った。森の全域を組み込んだ。リソースの増えは、大きくか変わっていない。

まずは、メルナの街に隣接していない場所から壁と堀を設置する。リソースの量を見ながらになる。全長が、”万里の長城”と思う位に長い。魔物も存在しているようだ。

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