大川大地(猫)と女子高校生と行く気ままな放浪生活

2022/05/05

【第三章 帝国脱出】第十九話 おっさん動く

カリンが、ギルドで労働に勤しんでいる間に、おっさんは辺境伯の領都の隅々を観察するように歩いていた。それこそ、少しだけ柄がよくない連中が屯している場所も歩いていた。 「お!まーさん」 日本に居れば、間違いなく、職質の対象になっているような風体の男たちが、おっさんに近づいてきて声をかける。 「なんだ。お前たち、また昼間から飲んでいるのか?」 「いやぁ・・・」 「仕事は?」 「それを、まーさんが言うのか?まーさんこそ、仕事は?」 「俺?俺は、仕事をしなくてもいい身分だから、大丈夫だ」 「そりゃぁ大層なご身分だな」…

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2022/04/29

【第三章 帝国脱出】第十八話 カリン働く

辺境伯領に到着してから、おっさんとカリンは着実に足下を固めている。 カリンは、おっさんの期待通りに、ギルドで頭角を表し始めている。 カリンが受けている依頼は、主に採取に偏っている。 それには、深くもない理由が存在していた。 「カリンちゃん。今日こそ、俺たちのチームに」「カリン。お姉様!男。臭い。消えろ!」 ギルドに顔を出すと、毎回の様にいろいろなチームから誘われる。ギルドは、カリンの事情を把握している。ギルドに伝えられている事情は、おっさんが念入りに考えて、イーリスとフォミルと巻き込んで作った事情(嘘)だ。…

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2022/04/05

【第三章 帝国脱出】第十七話 おっさん相談する

カリンを出迎えたおっさんは、カリンに”おかえり”と伝えて、背中を見せる。カリンは、おっさんの背中を呆然と見つめている。 カリンは、怒られると思っていたので、神妙は面持ちで居たのだが、一言だけで終わってしまって、余計に怖くなってしまった。カリンが抱えていた、バステトは、カリンの腕から飛び出て、おっさんの肩に駆け上がっている。おっさんは、バステトの頭をなでながら、後ろを振り返る。 「そういえば、カリンは、夕飯は食べてきたのか?」 普段通りの声色で、おっさんがカリンに話しかける。 これなら、怒られたほうがまだまし…

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2022/03/25

【第三章 帝国脱出】第十六話 おっさん心配する

おっさんとイーリスが、代官の屋敷から出て、宿に向かっている。 「まー様?」 「ん?どうした?対ダストンは、納得したよな?」 「はい。辺境伯様が裏切るとか、非現実的な点を除けば、納得できる内容でした」 「非現実的か・・・。まぁいいよ。それで?」 「まー様は、これから、どうされるのですか?」 イーリスの質問を、おっさんは当然だと受け止めている。イーリスは、帝国の人間だ。今の体制には不満もあるだろうし、問題だという考えは持っていても、権力側の人間で、辺境伯という協力者を持っている。そんなイーリスが恐れるのは、おっ…

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2022/03/06

【第三章 帝国脱出】第十五話 カリン出歩く

カリンは、おっさんとイーリスが代官に会いに行く時に、最初は自分も一緒に行くと言っていたが、イーリスから代官の為人を聞いて、考えを改めた。一緒に言って、言質を取られるのはよくないと、言い訳を伝えた。 実際には、話を聞いただけで面倒な人とは関わりたくない。せっかく、元同級生たちとも離れることができたのに、自分からおっさん以外の面倒な人とかかわりを持ちたいとは思えなかった。 カリンは、バステトと一緒に宿?で待っていることになった。イーリス付きの護衛は居るのだが、元々は辺境伯の部下だ。その辺境伯からの命令で、イーリ…

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2022/02/20

【第三章 帝国脱出】第十四話 おっさん笑う

 ダストンは、完全に理解する前に、おっさんに言質を与えてしまった。  イーリスの目の前だ。さらに悪い事に、このおっさんはぬかりがない。スマホを使って、言動を記憶している。勇者の使う道具だと説明して、録音している音声の一部を再生して、ダストンに聞かせた。  最終的には、秘書官を呼び寄せて文章を作成する事態になってしまった。  イーリスは、”そこまで”しなくても・・・。と、いう表情を浮かべているが、おっさんはダストンを一切信じていない。信じているのは、”風見鶏”な部分だ。今、この場ではおっさんが一番の権力を握っ…

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2022/02/13

【第三章 帝国脱出】第十三話 おっさん勝ち取る

 ダストンは、おっさんとイーリスに見られていることにも気が付かないで、自分の保身を考えるのに必死になっていた。  ダストンは、おっさんとカリンを匿う以外にも、辺境伯から指示を受けていた。  指示の実現の為にも、おっさんとカリンとは友好関係を結ばなくてはならなかった。先ぶれを受けて、息子が居ないことに、安堵していたが自分が大きなミスをしてしまった。友好関係を結ぶのが最低条件であった人物に不快な思いをさせてしまった。 「え?」  やっと二人の視線に気が付いて、自分が話しかけられていることに気が付いたのだが、二人…

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2022/02/06

【第三章 帝国脱出】第十二話 おっさん代官に会う

 奥まった所にある屋敷に到着した。  馬車から降りて、代官が居る屋敷に入っていく、通された部屋で待つことになった。  おっさんは、待っている部屋で代官とは関係がないことを考えていた。 「なぁイーリス。為政者は、なんで奥まった場所に居住を作る?」  この代官の屋敷は、奥まった場所に作られている。  領主の館は、元々は門に近い場所に作られていたのだが、今の代官になってから、場所を奥に移動させたいきさつがある。 「え?攻められた時に、指揮を取るため・・・。と、いう言い訳をするためでは?」  イーリスの言い方も、お…

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2022/01/28

【第三章 帝国脱出】第十一話 おっさん諭す

 馬車は、行き先が変わった。  イーリスの目論みが判明したことで、おっさんが馬車の行き先を変更させた。まずは、宿に行って、荷物を置いてから身支度を整える。  おっさんが提案したのは、カリンとバステトを宿に置いて、”おっさんとイーリスで代官に挨拶を行う”と、いうものだ。最初は、カリンが自分も行くと言い出したのだが、イーリスがカリンにはやって欲しいことがあると、伝えることで引いてもらった。  おっさんは、イーリスが代官に会う必要があると言っていた。  しかし、おっさんには、不明瞭なことがある。イーリスを問い詰め…

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2022/01/22

【第三章 帝国脱出】第十話 おっさん安堵する

 おっさんとカリンを載せた馬車は、中央通りを進んでいる。 「イーリス。どこに向かっている?」  馬車は、どんどん、領都でもっとも栄えた場所から離れている。馬車の目的先はイーリスが指示を出していた。おっさんは、イーリスをまっすぐに見つめて、質問を行っている。 「・・・」  イーリスは、感情を読み取られないように、バステトを見るように視線を外した。イーリスは、おっさんの追及を躱せた。と、考えたが、おっさんの追及は止まらない。  イーリスの態度から、追及ではなく、確認になってしまった。 「イーリス。もしかして、自…

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2022/01/12

【第三章 帝国脱出】第九話 おっさん入領する

 領都の門には、長蛇の列ができている。  距離にして、800mはあるだろう。  距離に対して、待機している人数が少ないのは、馬車や護衛が居るために、隊列が伸びてしまっているだけだ。 「まー様。カリン様。少しだけお待ちください」  カリンは、馬車の扉を開けて、護衛の者を呼び寄せる。伝令を頼むつもりのようだ。 「ちょっと待って。なぁイーリス?」  伝令が走り去ろうとした瞬間に、まーさんが伝令を止めた。  止められた伝令も、馬車に戻ろうとしていたイーリスもなぜ、呼び止められたのかわからない。まーさんの顔を見てしま…

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2021/12/31

【第三章 帝国脱出】第八話 おっさん家名を知る

 途中で、村に立ち寄って補給と情報収集を行った。王都からの追跡や捕縛命令が出ていないことを確認した。  おっさんの一行は、辺境伯領の領都まで移動ができた。  領都が目前に迫った事で、まーさんは思い出したかのように、イーリスに質問をぶつけた。 「そういえば、イーリス。辺境伯領の名前と、領都の名前を聞いていなかったが?」 「え?」  おっさんの質問に、イーリスは固まった。おっさんが聞きたい事はわかるが、”なぜ”名前を聞く必要があるのか解らないのだ。 「辺境伯領は、他にもあるのだろう?それに、領都は別にして、街は…

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2021/12/14

【第三章 帝国脱出】第七話 おっさん移動をする

 カリンが魔力切れを起こして馬車に戻ってきた。 「それで、イーリス。秘匿魔法は、さっきの説明では、各属性を”刃”のように飛ばす魔法に思えるけど、その認識でいいのか?」 「私の解釈は、まー様のおっしゃっている通りです」  丁度、おっさんとイーリスの話が”秘匿魔法”になっていた。 「まーさん。イーリス。バステトさん。ただいま。疲れた」 「おぉおかえり。収穫はあったようだな」  まーさんは、帰ってきたカリンの表情を見て、カリンを褒める。頬を赤くするカリンを、イーリスが”生”暖かい表情で見ている。 「うん!」  普…

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2021/11/24

【第三章 帝国脱出】第六話 おっさん認識を改める

 馬車に戻ったおっさんは、残っていた飲み物を一気に喉に流し込む。  一息ついて、また目を閉じる。 ”にゃぁ” 「バステトさん。一緒に寝ますか?」  おっさんが膝を叩くと、バステトは床からジャンプをして、おっさんの膝の上に乗って、くるくると回って、何かを確認してから、丁度いい場所が見つかったのか、前足で”カシカシ”とおっさんの膝を掻いてから、その場所で丸くなる。  おっさんは、丸くなったバステトの背中をなでながら、また目をつぶる。 「まー様。少しだけお時間をいただきたいのですが、よろしいでしょうか?」  おっ…

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2021/11/23

【第三章 帝国脱出】第五話 カリン訓練をする

 黒鉄と白銀を、鞘に納める。  上位属性の問題は、大丈夫。刀に纏わせるだけならわからない。 「カリン様?」 「ん?あっ大丈夫。そう言えば、上位属性は何ができるの?」 「え?カリン様?私が、今から、カリン様に聞こうと思ったのですが?」 「・・・。え?」  あっ・・・。そうか、イーリスも、日記の中に出てきた項目を読んだり、研究資料を読んだり、書物の中で出てくるだけだから、知らなくて当然だよね。  私は、そもそも、火も水も風もわからない。  飛ばせるの? 「イーリス。上位属性は別にして、火属性や水属性や風属性は、…

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2021/10/26

【第三章 帝国脱出】第四話 カリン実験をする

 イーリスが不思議そうな顔をしてから、護衛の剣を貸してくれた。 「カリン様。剣は、護衛が使っている物です。予備がありますから、壊してしまっても問題はありません」  イーリスが、不思議そうな表情をした意味が解った。  私が、剣を的にするつもりだと思ったのだろう。  剣を手に持つ。  初めて持つけど、少しだけ重いけど、竹刀を持つような感じかな?  護衛は片手で持っていたけど、両手で持つ。  意識を集中する。魔法はイメージ。 「カ、カ、カリン様?それは?」  驚いているイーリスの声が聞こえる。  ん?あぁ成功した…

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2021/10/26

【第三章 帝国脱出】第三話 カリン戦闘をする

 私は、糸野(いとの)夕花(ゆうか)と日本では名乗っていた。  異世界に勇者の一人として召喚されて、いろいろあって、名前を変えた。今は、カリンという。私が名乗っている名前だ。  まーさん(年齢不詳、本名不明)と、大川大地さんと、王城から脱出して、準備を整えて、王都を脱出した。  今は、辺境伯の領都に向かう馬車の中だ。  日本に居た時に、馬車に乗ることを考えていなかった。少しだけテンションが上がっている。  王都から離れるまでは、なるべく休まずに進んでいたが、王都から離れてからは、馬車の速度を落として進むよう…

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2021/09/13

【第三章 帝国脱出】第二話 バステトの冒険

 私は、糸野(いとの)夕花(ゆうか)と日本では名乗っていた。  異世界に勇者の一人として召喚されて、いろいろあって、名前を変えた。今は、カリンという。私が名乗っている名前だ。  まーさん(年齢不詳、本名不明)と、大川大地さんと、王城から脱出して、準備を整えて、王都を脱出した。  今は、辺境伯の領都に向かう馬車の中だ。  日本に居た時に、馬車に乗ることを考えていなかった。少しだけテンションが上がっている。  王都から離れるまでは、なるべく休まずに進んでいたが、王都から離れてからは、馬車の速度を落として進むよう…

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2021/09/01

【第三章 帝国脱出】第二話 バステトの冒険

 我は、”猫”だ。いや、違う。かつて”猫”だった者だ。  名前は、バステト。真命は、雄が我に付けた名だ。雄にしては、珍しく素晴らしく我にふさわしい名だ。  どうやら、今日はこの場所で休むようだ。  我に、雌の守りを頼んで、雄は外で警戒するようだ。  話の流れから、まだ時間はあるようだ。雌だけではなく、雄の安全のためにも、周りに居る”まがい者”たちを狩っておいたほうがいいだろう。雄の他にも、人間が居る。強さのほどはわからないが、安全にしておけば、雄も寛げるだろう。  以前に、雄がしてくれたことを、我は雄に返そ…

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2021/08/26

【第三章 帝国脱出】閑話 大川大地

 我は、”猫”だ。いや、違う。かつて”猫”だった者だ。  我が我だと認識したのは、我が認めた下僕が、我に”名”を付けた時だ。  それまでは、人が”神保町(じんぼうちょう)”と呼んでいた場所にある。公園で、バスケットボールやサッカーを楽しむ人の子を、見守るのが我の日課だった。  ある時から、我が座るベンチに、雄が座るようになった。下僕の人としては、よく出来た者だ。 「おっ今日も居るな。食べるか?」 ”にゃ”  こうやって我に糧を運んでくる。  最初は、”警備員”とかいう奴と揉めていたが、雄はこの辺りの人では、…

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2021/08/20

【第三章 帝国脱出】第一話 おっさんとカリンの馬車での旅

 まーさんとカリンは、王都を無事に脱出できた。  馬車で、半日ほど移動した場所で、一日目の移動は終了した。  街道から少しだけ外れた場所に、馬車を止めて、野営の準備を始める。王都から出たこともあり、まーさんとカリンは、着替えて普段の姿に戻した。 「ふぅ。やっぱり、この格好が楽でいい」 「えぇ執事風の姿も良かったのに・・・」 「カリンは、何を着ても似合うな」  バステトは、カリンの膝の上で丸くなって眠っている。最初は、まーさんの膝の上に居たが、カリンの膝の上に移動した。まーさんは、カリンの膝の上の方が柔らかく…

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2021/07/31

【第二章 王都脱出】第二十一話 傲慢なる勇者

 ちょいグロの表現があります。苦手な人はスルーしてください。本編に、少しだけ影響しますが、勇者たちが傲慢になっているだけの説明です。 —  剣崎(けんざき)凱斗(かいと)は、豪華な部屋で、豪華なベッドに腰を落ち着かせて、無駄に豪華な装飾を施したカップで、ぬるいエールを飲んでいる。  カイト・ケンザキは、空になった装飾が過剰に施されたカップを壁際に立つメイドに投げる。 「キャ!」  メイドは飛んできたカップをギリギリで避ける。勇者が力任せに投げたカップなのだ、当たりどころが悪ければ”死”の可能性も…

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2021/07/10

【第二章 王都脱出】第二十話 王都脱出

 おっ(まー)さんとカリン(糸野夕花)は、馬車の中で執事とメイドの格好をしている。  カリンがおっさんには、執事風の服装が似合うと強弁した結果・・・。おっさんの服装が決定した。執事と一緒に居るのなら、カリンはメイドの衣装を着ることになった。 「そういう姿のまーさんは新鮮です」  カリンが、”褒め言葉”としてまーさんに声をかけるが、本人は少しだけ憮然とした表情をしてしまっている。決められたことだとしても、安全を考えれば変装は必須だ。王都には、まーさんの影武者を置いていくことになった。  普段から、作務衣を着て…

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2021/07/09

【第二章 王都脱出】第十九話 おっさん準備をする

 まー(おっ)さんとカリン(糸野夕花)は、ラインリッヒ辺境伯との話し合いを終えて、食堂に移動していた。 「まーさん?」 「どうした?」  膝に、バステト(大川大地)を載せて、モフモフの毛並みを堪能しながら、カリンがおっさんに、”なに”か、聞きたいような素振りを見せる。  正面に座ったイーリスをチラチラ見ることから、イーリスに聞かせたくないことだろう。 「イーリス。悪いけど、なにか飲み物を頼む」 「え?あっそうですね。わかりました。まー様は何がいいですか?」 「俺は、そうだな・・・。アルコールという気分じゃな…

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2021/06/03

【第二章 王都脱出】第十八話 おっさん現状を把握する

 おっ(まー)さんと元・女子(糸野)高校生(夕花)が、ラインリッヒ辺境伯の従者からギルドカードを受け取る。 「イエーンは、カードの表に魔力を流せば表示されます。確認してください」  ラインリッヒ辺境伯の従者が、おっさんとカリン(糸野夕花)に説明をする。バス(大川)テト(大地)のカードは、おっさんが受け取って、バステトに説明をしている。シュールな絵面だが、本人たちは”シュール”に見えるようにやっているので問題はない。笑い出した者の負けなのだ。  従者は、説明を終えて部屋から出る。  残されたのは、ラインリッヒ…

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