ご都合主義の記事一覧
2024/09/22
【第八章 王都と契約】第二十二話 共闘(1/2)
ローザスから話を聞いて考えがまとまった。 神殿でもパシリカを行う。教会が行っているパシリカとは違う方法で・・・。ロルフが言っている本当のパシリカを公開する。 あと可能であれば、ミヤナック家や王家に近い貴族家でも同じように、本当のパシリカを行わせたいが、時期尚早だろうか? 教会と敵対するのは確実だ。そして、貴族の一部からも反感を持たれるだろう。 そのためにも準備は必要だ。 すぐに公開しても意味がない。 「ハーコムレイ。神殿でパシリカを行うとして、例えば、ミヤナック家でも現在のパシリカと同じようなこ…
続きを読む2024/07/14
【第八章 王都と契約】第二十一話 パシリカ
リンが、ローザスやハーコムレイから教会と王家の関係について話を聞いているころ、狙われても不思議ではない一人であるマヤは妖精の姿のまま、姿を隠してミトナルとナナと一緒に王都を見て回っていた。 ポルタ村と違って王都は人が多いのは当然だとして、他にもいろいろ見たいものが多い。 マヤは好奇心の赴くまま王都の中を移動していた。 ミトナルとナナは、マヤの行きたいという方向に進んでいる。 「このまま行くと、宗教都市(ドムフライホーフ)に行くけど?」 「え?何か、問題でも?」 ナナの問いかけにミトナルは不思議そう…
続きを読む2024/07/04
【第九章 ユーラット】第三十三話 現状把握
「殿下への提案の前に、気になっていらっしゃることをお伝えします」 全てが気になるが、相手の・・・。神殿がどんな情報を持っているのか気になってしまう。 「姉たちのことか?」 視線から、アーティファクトに隔離されている者たちのことだろう。 正直にいえば、神殿が始末してくれるのなら、全面的にお任せしてしまいたい。害悪しかない存在だ。特に、皇国の連中を率いてなど愚かすぎて・・・。どんな条件だったのかききたくもない。皇国に何を吹き込まれたのかわからないが・・・。死んでくれた方が嬉しい。 「彼女たちは、エルフの里…
続きを読む2024/07/04
【第八章 王都と契約】第二十話 宗教都市
ローザスの説明を聞いた。 ロルフから聞いていた話とは違う。多少の脚色が入っているのだろう。ローザスの説明では、教会にも、王国にも、都合がよすぎる。 「ローザス。過去の話はわかった。それで、現状の教会を教えてくれ、俺たち・・・。神殿の敵になりそうな連中がいるのだろう?」 ハーコムレイは頭を抱えてしまった。 「リン=フリークス。現状の理解は?」 「現状?教会の関係者はいるけど、よくわからない」 「そうか・・・。教会内部にも派閥があるのは知っているか?」 「派閥?知らないけど、派閥くらいはあるだろう?それが…
続きを読む2024/05/05
【第九章 ユーラット】第三十二話 交渉開始
里の入口となっている、エルフの村に迫った。 「殿下?先ぶれを出しますか?」 「そうだね」 食料はまだ大丈夫。 途中で合流した50名が食料を運んできていた。 エルフの里に伝令を出して、僕たちは野営して返事を待つことにした。 「殿下?」 僕の天幕には、帝都から連れてきた侍女しかいない。 僕が帝都から連れ出した者の一人だ。正確に言えば、一緒に居てほしい唯一の人だ。 「何?」 「よろしいのですか?」 「何が?」 彼女が気にしているのはわかるけど、わからないフリをする。 「殿下・・・。私は、貴族といって…
続きを読む2024/05/02
【第八章 王都と契約】第十九話 新たな関係
ローザスが読んでいた書類をハーコムレイに渡した。 ハーコムレイもじっくりと読んでいるのがわかる。視線の動きからの判断だが、しっかりと読み込んでいるのだろう。ゆっくりとした動きで、視線を上から下に動かして、また上に戻る。複雑な書類なのだろうか?ハーコムレイの額に深い皺がきざまれていく。 「ローザス」 「ふぅ・・・。従兄殿も諦めればいいのに・・・」 「諦めきれないのだろう。そもそも、あの愚物が元凶なのだ。なぜ、生かしておく必要がある!」 ん? 元凶?生かしておく必要? 「なぁ俺が聞いてもいい話なのか?」…
続きを読む2024/03/17
【第九章 ユーラット】第三十一話 選択
神殿の指令室には緊張した空気に満たされ始めた。 今回の戦闘で、犠牲が出る可能性が高い瞬間が近づいている。 だからこそ、ヤスだけではなく、皆がプロジェクターによって大きく映し出された状況を凝視している。 「ねぇヤス。大丈夫だよね?」 リーゼの言葉を皆が聞き耳を立てている。 実際には、作戦を伝える時に、説明はしている。実際に、実行はしっかりと行われた。ただ、指令室に居る者たちが関わっていないために、心配な気持ちが強い。 「あぁ大丈夫だ。ユーラットに居るのは、ドッペルだけだ」 ヤスは言い切る。 正確…
続きを読む2024/03/01
【第八章 王都と契約】第十八話 マヤのスキル
別室に通された ナナとミトナルは、リンと違う意味で、行動が出来ない状況になっていた。 別室に入ってすぐにマヤが妖精の姿になって、部屋から出て行ってしまった。 ミトナルとマヤは魂でつながっている。妖精の姿になっている者は、戻ってこようと思えばすぐに戻って来られる。戻って来られるという安心感から、久しぶりの王都を探索するつもりのようだ。 マヤも、妖精の姿では目立つのはわかっている。王都に行くと決まってから、準備を始めていたスキルを発動した。 マヤとミトナルは、妖精の姿になった時に、目立つだろうと考えて…
続きを読む2024/01/06
【第九章 ユーラット】第三十話 それぞれの選択
第三皇子が帝都を脱出して、エルフの里に向かっている頃。 第二皇子は、選択を迫られていた。自らが選んだ道なのだが、最後の決断が出来ない。 「殿下。準備が整いました」 自らがユーラットに向かうと宣言してしまっている。 第二皇子は、自らがユーラットに向かう船が整うのを待っていた。事になっていた。その間に、第一皇子側に潜り込ませたスパイから、情報を得ていたのだが、第二皇子が考えていた以上に、戦況が混沌としていない。 「戦況は?」 「・・・」 「第一皇子の・・・。兄は、無事なのか?」 「はい。第一皇子は、帝都…
続きを読む2024/01/01
【第八章 王都と契約】第十七話 契約
ブロッホはブラックドラゴンで、他のドラゴン族とは感性が違うとは言っていたのだが、俺の所に来てからはドラゴンの姿になっていない。人の姿で、食事をするのが楽しいと言っていたので、無暗に力を使う事はないと思っている。 二人を見ると落ち着いてはいないが、話ができる状態だと思う。 やっと契約の話が切り出せる。二人の様子をみると、契約が必要になるとは・・・。思えない。契約は、ギルドのためには必要だけど、個人で考えれば必要ない。ミヤナック家や王家との話し合いの結果を契約として残す以上の意味はない。 「それで、ミヤナ…
続きを読む2023/12/20
【第九章 ユーラット】第二十九話 第三皇子
皇都からの脱出に成功した。 皇帝は、第一皇子と第二皇子の対立を利用して、王国にある神殿を攻め落とそうとしている。 僕が調べた限りでは、神殿を攻め落とすのは兄さんたちでは不可能だ。もちろん、僕にも不可能だ。もっと言えば、帝国の勢力が協力して、全方位から同時に攻め込まない限りは攻め落とすのは無理だろう。 皇帝は・・・。父は、焦っているのかもしれない。 それに、兄さんたちは乗せられてしまった。 妹は、上手くやったようだ。 兄さんたちは、妹を追い出したつもりでいるが、僕から見たら、妹は上手く逃げ出して…
続きを読む2023/12/12
【第八章 王都と契約】第十六話 契約の話は?
ローザスとハーコムレイとアッシュと契約を交わすことに決まった。 ギルドに振ろうかと思ったがダメだった。 神殿の所有者は対外的には、ギルドだけど実質は俺が所有することになっている。ローザスやハーコムレイが、ギルドと契約を行ってしまうと、ミヤナック家や王家以外の貴族がギルドに圧力を掛けた時に、突っぱねられないと説得(脅迫)された。 残念な事に、ハーコムレイの言っていることが正しいように思える。 ギルドの活動を考えれば、貴族からの申し出を断るのは難しい。神殿に戻ってからの調整にはなるが、所有しているのは…
続きを読む2023/12/02
【第九章 ユーラット】第二十八話 アラニス
ディアス・アラニスは、モニターに映し出されている戦闘風景を複雑な思いで見ていた。 ディアスは、目の前で行われている戦闘を望んでいた時期もあった。 実際に、帝国から追われた身では、帝国の貴族連中を、憎しみがこもった目で見るのは当然だ。帝国の貴族は、ディアス・アラニスにそれだけのことをした。貴族だけではない。ディアスは、帝国を深く憎んでいる。本来なら、”アラニス”を保護して守る存在であるはずの、皇子が率先して”アラニス”を断罪した。いわれなき罪を被せての断罪だ。しかし、憎んでいるのは貴族連中であり、皇族だ…
続きを読む2023/11/27
【第八章 王都と契約】第十五話 そのころ・・・3
西沢は、ゴーチエは宰相派に金を流している豪商の息子だ。所謂、武器を売って稼いでいる所謂武器商人の一族だ。武器の中には、奴隷も含まれている。もちろん、正規のルートから仕入れた奴隷だけではなく、奴隷狩りなどで捕えられた違法奴隷も含まれている。 西沢が、同級生たちのグループからの脱退を考えていた。 (このままではジリ貧だ) 西沢(ロラ・ゴーチエ)は、豪商の息子だ。 ただの豪商ではない。武器商人だ。それも、王国だけではなく、近隣諸国に武器を売り歩いている。武器の代金を、金ではなく、奴隷との引き換えも行ってい…
続きを読む2023/11/16
【第九章 ユーラット】第二十七話 侵攻(5)
ヤスが、楔の村(ウェッジヴァイク)への出兵を行うと宣言をした。 元々、帝国から攻めてきた戦争だ。それに対して、神殿側は反撃らしい反撃をしていなかった。 帝国の部隊が、神殿の領域に到達する前に瓦解することが多く、散発的な戦闘はこれまでも有った。しかし、まとまった攻撃は、楔の村(ウェッジヴァイク)が初めてだ。待っていたというよりも、神殿の中にも痺れを切らしている者たちが存在していた。その者たちのガス抜きの意味もあり、攻勢に出た方がいいと判断した。 指令室に居る者たちは、交戦を回避したいと考えていたのだが…
続きを読む2023/11/10
【第八章 王都と契約】第十四話 そのころ・・・2
神殿が表舞台に出る準備を行っていた時に、神殿に行くことを拒絶した者たちも、自らのスキルを使って動き出していた。 最初に動いたのは、教会に伝手があるフレット(昴)・コンラート(松田)だ。 「おじい様!」 「なんだ?」 コンラート家は、王家よりの人間で穏健派の筆頭と考えられる。教会の中では、穏健派をまとめている立場の家だ。 フレットが、父親や母親ではなく、祖父を頼ったのにも理由がある。 「おじい様。教会の武器や防具や服飾関係は、どなたが仕切っていらっしゃるのですか?」 フレットが行おうとしているのは、カルーネ(…
続きを読む2023/10/31
【第九章 ユーラット】第二十六話 侵攻(4)
ヤスとリーゼが神殿に戻ってきたのは、帝国が楔の村(ウェッジヴァイク)を完全に包囲した時期と重なった。 指令室になっている会議室に、ヤスとリーゼが戻ってきた。 「戦況は?」 ヤスは、自分の席に座る。リーゼは、当然のようにヤスの隣に座る。 作戦室でオペレータを務めていたのは、オリビアだ。 帝国の侵攻が始まってから、交代でオペレータを務めている。今は、オリビアとメルリダとルカリダが務めている。ヤスには、事後に承諾を貰っているが、監視している箇所は、3箇所に絞っている。 他は、問題や動きがあった場合にアラームが上が…
続きを読む2023/10/27
【第八章 王都と契約】第十三話 そのころ・・・
リンとマヤとミトナルが王都に向かった。 神殿は、ギルドに任されていた。 リンとマヤが居なくなった神殿では、ロルフが管理を行うのだが、ロルフは、リンの眷属たちの統率を行っていて神殿の運用までは手が回っていない。 リンからも神殿の裏側はロルフが手を出してもいいが、居住区と通路はギルドに任せるように言われている。 残っているメンバーは、それぞれが生き残るため・・・。と、いう思いは持っているが、それ以上に、自分の想いを叶えるために行動を起こし始めている。その中でも、イリメリは精力的に動いている。 森の村とフリークス…
続きを読む2023/10/19
【第八章 王都と契約】第十二話 現状の確認(4)
神殿での生活は、ミトナルとナナに説明を任せることにした。 ローザスは何か言っていたが、話が進まないという事で、ハーコムレイが話をミトナルとナナに聞くことになった。 ハーコムレイが部屋から出て行った。 ローザスも一緒に行くのかと思ったが残っている。 「それでリン君?」 「ん?」 ローザスが何を期待しているのか解らない。 「神殿で、採掘や採取ができるのだよね?」 「あぁ」 「その場所は、僕たちでも・・・。違うな。神殿を利用する者なら、誰でも使えるの?」 「そういうことか・・・。ルールを作る必要があるとは思うけど…
続きを読む2023/10/12
【第九章 ユーラット】第二十五話 不在の理由
指令室となっている会議室には、ヤスとリーゼの姿が無くなっている。 帝国の侵攻を開始して、2週間が経過した。 帝国の侵攻は遅々として進んでいないが、先行部隊というべき者たちが、トーアヴェルデや楔の村(ウェッジヴァイク)に攻撃を仕掛け始めている。 「サンドラ様。帝国の動きは?」 オリビアの問いかけに、今日の指令室の責任者になっているサンドラが、メインディスプレイに解っている範囲での帝国軍の動きを示した地図を表示する。戦闘になっている部分は、リアルタイムでの情報更新が行われているが、帝国国内の情報にはタイムラグが…
続きを読む2023/10/10
【第八章 王都と契約】第十一話 現状の確認(3)
ローザスの提案は、ハーコムレイが却下していた。 そもそも、街道を俺に渡すのは不可能なのだと、ハーコムレイが俺に説明をしてくれた。丁寧なのだけど、別に必要だと思えない謝罪まで含まれていた。 俺が第二のアゾレムになってしまう可能性がある。現状でも、戦力だけを考えても、王都に攻め込める場所に、俺に忠実な者たちが固まっているのを、ハーコムレイは問題視している。ローザスを擁する派閥とは、親密に出来ていると思う。それに、ルアリーナやアデレードが、神殿にいる。 ローザスも、ハーコムレイも、神殿の様子を知りたいようだ。 ア…
続きを読む2023/10/01
【第八章 王都と契約】第十話 現状の確認(2)
ハーコムレイは、ローザスを完全に無視して、俺の前に座る。 そして、持っていた書類を俺の前に出してきた。 かなりの分量がある。 全部を読むのは面倒に思えてしまう。 「これは?」 目の前に置かれた書類の束をペラペラと捲る。 貴族や商人の情報だとはわかる。俺が知っている貴族家は少ない。そもそもの話として、俺が知っている貴族家はアゾレムを除けば、神殿にいる者たちに関係する貴族家だけだ。 ハーコムレイが説明を始めてくれたが、簡単にまとめられていると言われている書類は、説明を聞いても、よくわからない部分が多い。 書類の…
続きを読む2023/09/09
【第九章 ユーラット】第二十四話 侵攻(3)
ヤスは指令室?で、まったりと過ごしていた。 「ねぇヤス。動きがないね」 リーゼは、すでに飽きてしまっている。 地図上に表示されている帝国軍の進み具合を楽しそうに見ていたが、遅々として進まない行軍を見ていても飽きてしまっている。 「ん?あるぞ?」 ヤスの指摘した通りに、微妙な違いだが、動きは見られる。 部隊を二つに分けている。 二つに分かれた部隊の片方が、さらに二つに分裂をしている。 一つは、オリビアを支援する者たちで構成されている。内通者が既に連絡をしてきている。 情報は常に更新されている。 「あるけど、な…
続きを読む2023/09/06
【第八章 王都と契約】第九話 現状の確認(1)
ドアをノックして、部屋に入ると、ローザスだけがソファーに腰掛けていた。 「リン君。久しぶり」 ローザスが、ソファーに座りながら俺に手を振ってくる。継承権を持つ人間の行意図は思えない。 「殿下だけ?」 正直に言えば、ハーコムレイは苦手だが、ローザスと話をするよりも、ハーコムレイの方が楽だ。交渉は面倒だと思えるが、話をするだけなら楽だ。筋が通っていれば、文句を言わないし、俺が望んでいる物を的確に読み取ってくれる。 ローザスは、どこかニノサと似ていて、のらりくらりと躱すような話し方をしてくる。胡散臭いのではなくて…
続きを読む2023/08/16
【第八章 王都と契約】第八話 ミヤナック邸
親たち世代は、何やら繋がりがあるようだが、詳しい話は教えてもらえていない。 ナナも言葉を濁すことが多い。 考えてみると、ローザスやハーコムレイは、アッシュやナナたちから見たら、世代は下になるはずだ。 俺たち世代と親世代の間くらいか? それで、”アスタ殿”なのか? アッシュが用意した馬車で、王都にあるミヤナック家に向かっている。 ハーコムレイが用意した馬車も、店の前で待機していた。アッシュが馬車を出すと言って、来ていた馬車に”夜の蝶”に向ってもらった。フェナサリムの父親が居たらミヤナック家に連れてきてもらうた…
続きを読む2023/08/10
【第九章 ユーラット】第二十三話 侵攻(2)
ヤスとリーゼが、作戦室に到着した時には、オリビアがメルリダとルカリダを連れて待っていた。 「中で待っていれば良かったのに?」 ドアの前で待っていた3人は、ヤスとリーゼが来たのを見て、一歩下がって道を譲った。 「いえ、誰かが来られるまで、私たちだけで中に居るのは・・・」 気にする必要は無いのだが、オリビアは元帝国の姫だ。 神殿に居る状態では、マルスが監視をしているので、大丈夫なのだが、状況を知らない者も居る。その場合に、オリビアの行動で、ヤスに批判の矛先が向いてしまうかもしれない。オリビアだけではなく、アデレ…
続きを読む2023/08/07
【第八章 王都と契約】第七話 打診
「リン様。さきほどのお話では、門は反対側にもあるのですよね?」 アッシュは、何かを考えてから、質問を始めた。 森の中の村に行くのには問題は無いようだ。神殿の中よりも、やれることが多いと思っているようだ。 「ある」 隠すようなことではない。 アッシュを仲間に引き入れたい。俺には、人を見る目がない。俺の代わりに、人を見る人物が欲しい。アッシュなら大丈夫だろう。忠誠心は、俺に向いていなくても、ローザスやハーコムレイと歩調が合っている間は、裏切らないだろう。 だからこそ、神殿ではなく”森の村”を担当して欲しい。 「…
続きを読む2023/07/30
【第九章 ユーラット】第二十二話 侵攻(1)
エルフの里に、救援に向かう部隊の編成を行った。 エルフの里への救援の目的は持っているが、神殿やユーラットからエルフの里に避難させる意味合いもある。 ヤスは、リーゼを救援部隊のトップにしようと考えていたが、リーゼが神殿に残ると固辞した。 リーダは、アフネスにも拒否された。同じように、ドーリスやサンドラやアーデルベルトにも拒否されてしまった。 カイルやイチカでは、救援部隊のトップには経験が足りていないとなり、ギルドに依頼を出すことで落ち着いた。子供たちを避難させることが目的なのだが、”密約”に関係していることも…
続きを読む2023/07/28
【第八章 王都と契約】第六話 奴隷商
馬車が目的地に到着して停まった。 やっと説教から解放される。 「待て!リン・フリークス」 馬車から降りようとしたときに、ハーコムレイに肩を掴まれた。 「はい。なんでしょうか?」 ハーコムレイの手を払いながら振り返る。 「迎えを出しておく」 「は?」 いきなり、”迎え”と言われても意味が解らない。 そんな思いを込めて、ハーコムレイを睨んだが、俺の意思は伝わらなかったようだ。 「お前の用事が終わったら、屋敷に来い。ローザスにも報告が必要になっているはずだ」 「・・・」 一応、説明をしてくれたのだが、それでも意味…
続きを読む2023/07/22
【第九章 ユーラット】第二十一話 帝国国内
帝国の情報は、確かに、オリビアから得る事が出来た。 しかし、オリビアが持っている情報は、第三皇女として得た情報でしかない。そして、大きな問題として、帝国は王国よりも男尊女卑が強い傾向にある。また、政務などの情報も入手が難しい立場だった。オリビアの頭脳が優れているために、ある程度の情報から正解を導き出すことが出来てしまっていた。 情報の齟齬があるとしたら、帝国国内の情報ではない。 オリビアにも小さいながらも派閥が存在していた。後見してくれる貴族も存在していた。その為に、帝国内の情報は、遅くても入手が出来ていた…
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