ご都合主義の記事一覧
2023/01/24
【第九章 ユーラット】第八話
「サンドラ。それでは、オリビア殿下は、問題になりそうな行動はしていないのだな」 資料の読み込みの時間を経て、私がオリビア殿下と従者になっている二人の行動を説明する。 神殿への攻撃的な態度や外部への情報流出を含めて、問題がなかった事を報告する。 特に、アフネス様が心配して、ユーラットに居る人たちが心配していたのが、ユーラットに残る問題児たちを処罰した時に、オリビア殿下がどう動くか?リーゼやヤス様に危害を加えようとするのか?そもそも、問題児たちへの対応を考えているのか? 「はい。アフネス様」 結論は出ている。 …
続きを読む2023/01/23
【第七章 神殿生活】第十一話 事情
皆の視線が集中したアデレード殿下は、大きなため息で、”困っています”をアピールしている。 「アデー?何を困っているの?」 さすがは、”空気を読まない”マヤが、アデレード殿下の目論みを潰す。 ルアリーナが苦笑を浮かべて、アデレード殿下に助け船を出す。 「アデレード殿下。ここには、アデレード殿下の味方しか居ません。それに、アイツらの事なら大丈夫です。私たちの、リン君の敵です」 ルアリーナは、事情を知っているようだ。 ミヤナック家と相談した時に、ルアリーナが事情を聞いたのだろう。 「え?」 アデレード殿下は、俺た…
続きを読む2023/01/19
【第九章 ユーラット】第七話 第一回 報告会
今日は、私が議長を務める会議が神殿の一室で行われます。ギルドが入っている場所です。ふぅ・・・。少しだけ、本当に少しだけ心配です。 もう、何度も行っているので、会議には不安はありません。初めての議題で、皆の感心が高いです。感心が高いために、参加者の数も多いのが少しだけ心配です。予定の調整を行って、準備された会議室の広さからも、注目度がわかります。 自分が提案した会議です。資料もしっかりと作り込みました。 新しく加わる議題が少々・・・。では、なく・・・。面倒です。 前半は、報告がメインです。ミスがなければ、問題…
続きを読む2023/01/15
【第七章 神殿生活】第十話 アデー
会議室に入ってきた、ミトナルの肩に座っていたマヤがいきなり、アデレード=ベルティーニ・フォン・トリーアを愛称で呼んだ。 呼ばれたアデレード=ベルティーニ・フォン・トリーアも、目を”パチパチ”して、マヤを確認している。 そして、不思議な物を見たような表情で、マヤと名前を呼んだ。 知り合いのようだ。 そして、俺がアデレード=ベルティーニ・フォン・トリーアを知っている事が前提にあるようだ。 アデレード殿下を見ると、俺を見て少しだけ困った表情をしている。 何に、困ることがあるのだろうか? 「マヤ」 「何?」 マヤが…
続きを読む2023/01/06
【第九章 ユーラット】第六話 オリビアの日常
オリビアは、すぐに神殿に馴染んだわけではない。 ヤスが用意した家は、屋敷と呼べるような大きさだ。従者と一緒に住むことが考慮されている。可能性は低いが、騎士の3人が神殿に住む場合には、オリビアたちに責任を取らせる意味も含めて、一緒に住める大きさの家をヤスは用意した。 家の手配は、セカンドたちが行い。家具などの準備も行った。 オリビアは、ヤスから屋敷を与えられてから、メルリダとルカリダにも対等に接するように伝えるが、二人は固辞した。 神殿に居る者たちに相談をしたが、”別にいいのでは?”という緩い返事が来た事で、…
続きを読む2023/01/01
【第七章 神殿生活】第九話 案内
揉めるかと思ったが、ゲートを入る順番は最初から決めていたようだ。 最初は、ナッセ・ブラウンが入った。 フェナサリム(重久真由)が続いた、最後に残ったのは、イリメリ(静川瞳)だ。 タシアナ(韮山里穂)の弟や妹たちは、まだ商隊と一緒に待機してもらっている。まずは、ギルドのメンバーと商隊の主要メンバーだけが、神殿に入ることに決まったようだ。順番や神殿に向かう人選は、関与していない。 俺とセバスチャンで、ゲートの周りを確認する。 「セブ。こっちは頼む。後で、眷属を向かわせる」 「わかりました。いってらっしゃいませ」…
続きを読む2022/12/18
【第七章 神殿生活】第八話 通行証
「リン=フリークス」 リカールが、背筋を伸ばして、俺を真正面から見ながら、名前を呼んだ。 見ていた書類から目を離して、リカールを見つめ返す。 「なんでしょうか?」 「サリーカの言葉を信じて、ここまで来た。まずは・・・」 リカールの言葉を遮る形になるが、手を上げた。リカールも、俺の意図が解るのだろう。言葉を切って、俺を見て来る。 「わかりました。神殿に行きましょう」 安堵の表情を浮かべる。 何があるのか解らないが、商隊の中での駆け引きがあるのだろう。 「助かる。父が・・・。商隊長が煩くて・・・」 父?サリーカ…
続きを読む2022/12/06
【第七章 神殿生活】第七話 セトラス商隊
料金や運用を、セバスチャンに任せて、神殿に戻った。 屋敷の隣に設置したゲートの確認の意味もあった。 「ロルフ!」 ゲートの設置場所にロルフが居た。 俺を待っていたわけではないようだが、タイミングがよかった。 『マスター』 「何組のゲートが設置できる?あと、ブロッホやヒューマからゲートの設置依頼はあるのか?」 『マヤ様とミトナル様が、整理をリソースへの還元を行っています。現状では、残りは6組です。リソースへの還元が終了すれば、10組になる予定です』 「そうか・・・」 まずは、ギルドへの依頼をしなければならない…
続きを読む2022/12/01
【第九章 ユーラット】第五話 オリビア
私は、オリビア・ド・ラ・ミナルディ・ラインラント・アデヴィット。 アデヴィット。この名を持つ者は、私を入れて6名だけだ。 皇帝であるお父様。第一皇子。第二皇子のお兄様。第二皇女のお姉様。第三皇子の弟。そして私だ。 母たちには、アデヴィットを名乗る権利を与えられていない。 私の母は、身分が低かった。 そのために、つけられた従者はメルリダとルカリダの二人だけだ。従者兼メイド兼護衛だ。私も、護衛術は嗜み程度には習得しているが、命が守れるレベルではない。 父である陛下が、御病気になってから、周りが騒がしくなった。 …
続きを読む2022/11/28
【第七章 神殿生活】第六話 料金設定
屋敷に戻って、セバスチャンにゲートの説明を行った。 仕組みは、俺も理解していないので、”こういう物”とだけ理解をしてもらった。セバスチャンと屋敷に戻って、神殿側のゲートやアロイ側に作ったゲートに関する修正箇所の聞き取りを行った。セバスチャンが考える問題点を上げてもらった。 簡単に言えば、貴族用は手続きを煩雑にして、”自分が優遇されていると思わせる方がいい”という事だ。簡素な手続きでは、面倒な貴族や豪商は、軽く見られると思うようだ。神殿側のゲートを出た先に、貴族用の個別の部屋を設置する。ここで、手続きを行うの…
続きを読む2022/11/14
【第七章 神殿生活】第五話 神殿街
ゲートの設置が終了した。 隣の部屋に居るはずの二人を呼ぶ。 俺がゲートを設置している時に、マヤとミトナルが戻ってきた。作業をしていたので、二人にはロルフの作業を手伝ってもらっている。 「ミル!マヤ!」 先に反応したのは、マヤだ。 妖精の姿のまま、俺の肩まで飛んできた。 そのあとを、ミトナルが駆け寄ってくる。その後ろを、ゆっくりとした速度で、ロルフが続いている。 俺が信頼できる3人?だ。 「終わった?」 「ゲートの設置はできた。猫人族は?」 マヤが、抱き着いているミトナルの頭の上に戻って、俺に説明をしてくれた…
続きを読む2022/11/09
【第九章 ユーラット】第四話 審査と予想
結局、神殿にはアイシャがオリビアの護衛として付いてくることになった。 最初は、オリビアが護衛は必要ないと言ったが、全員から却下された。 馬車を守るのは、ヒルダとルルカだ。 神殿には、オリビアとメルリダとルカリダ。そして、護衛としてアイシャが行くことになった。荷物は、オリビアの物を中心に、少なくしてもらった。必要になったら、取りにくればいいと説き伏せた。 俺はFITで向う。オリビアがFITに乗りたいようなことを言ったが、メルリダとルカリダが反対した。オリビアの話を聞いたリーゼが、最初はモンキーで帰ると言ってい…
続きを読む2022/11/06
【第七章 神殿生活】第四話 ゲート
ロルフと一緒に、支配領域を確認する。 「ロルフ。マヤは?」 「マヤ様は、ミトナル様と一緒に猫人族に神殿の案内をしています」 「そうか・・・。猫人族は、馴染めそうか?」 「はい。マヤ様が、お話を聞いて、神殿の一部・・・。訓練場所に指定していた場所を、猫人族用に変更しました」 「それはよかった」 「はい」 セバスチャンから渡された書類を見ながら、支配領域に組み込む場所を確認する。 結果、かなりの領域が、支配領域に組み込まれる。 まずは、メルナの屋敷と屋敷の周辺を支配領域に組み込む。建物があるためなのか、予想より…
続きを読む2022/11/04
【第九章 ユーラット】第三話 想定できない
ユーラットの裏側に辿り着いた。 トラックから馬車を降ろして、必要な荷物が無いか最終確認をしてもらうことになった。 「ヤス様」 「どうした?」 オリビアが荷物の整理・・・。を、するわけがなく、俺に話しかけてきた。 そりゃぁそうだな。荷物の整理は、従者が行えばいい。 「ありがとうございます」 「ん?ここは、まだ神殿ではない。神殿の近くにあるユーラットだ」 「はい。解っています」 馬車の中の荷物は散らばってしまったり、護衛に雇った者たちが持ち逃げしてしまったり、かなりの物が紛失してしまっているようだ。 オリビアの…
続きを読む2022/11/01
【第七章 神殿生活】第三話 過去
私は、セバスチャン。奴隷だ。 前の主人は立派な人だった。小さな領の代官だったが、一代で叙勲して、準男爵を経て男爵に陞爵した。子爵にもなるのではないかと言われていた。 領地を得てからの旦那様は、領民には優しく、味方となった者には、どこまでも誠実に対応した。 敵対した者には徹底的に戦った。特に、領民を不幸にする敵対者には、慈悲を与えない。係累には手を出さないが、関係した者は徹底的に潰した。相手が、上位貴族でも矛を収めなかった。 味方も多いが、敵も多かった。 特に、近隣貴族であるアゾレムとはそりが合わなかった。 …
続きを読む2022/10/29
【第九章 ユーラット】第二話 移動中
休憩の度に、リーゼが俺の側に来る。 「ヤス?」 「なんでもない」 リーゼの頭を撫でてやると嬉しそうな表情を浮かべる。 「ねぇヤス」 「ん?」 「モンキーは、後ろに人を乗せられる?」 「ん?」 「ほら、ヤスが使っていたCBR?あれは後ろに乗れるよね?」 前に、リーゼがコーナを上手く曲がれないというので、CBR250Rの後ろに乗せて走った。 「うーん。リーゼのモンキーなら大丈夫だ」 「わかった!」 「誰を乗せたい?ヘルメットは?」 「オリビアが乗ってみたいって言っていて、騎士?は反対していたけど、いいよね?ヘル…
続きを読む2022/10/25
【第七章 神殿生活】第二話 契約と神殿
屋敷に移動すると、セバスチャンが出迎えてくれた。 「旦那様」 「セブ。屋敷は大丈夫か?」 「はい。後は、旦那様が譲渡に関する契約書にサインを行えば終了です」 「契約書?何か、問題があったのか?」 「聞いていた話では、譲渡では無かったので・・・」 「ん?譲渡?セブが聞いていた話と違うのか?」 「はい。王家から渡された書類では、旦那様に譲渡されると記載されています」 「何か問題か?」 「問題は、ありません。税も、免除されることになっています。契約の内容だけの判断ですが、貴族家・・・。それも、伯爵と行う譲渡契約に…
続きを読む2022/10/16
【第七章 神殿生活】第一話 殿下と騎士
当初の計画の3倍以上の時間をかけて、神殿に向かうことになった。 些細な問題は発生したが、概ね予定通りに進むことができた。 3倍の時間が必要になったのは、殿下・・・。の、責任ではなく、殿下に付いてきた騎士たちが、当初の計画に苦言を呈してきた。 曰く 「殿下がお疲れになる」 曰く 「殿下の為の休憩が少ない」 曰く 「殿下の食事が質素だ」 曰く 「殿下が・・・」「殿下が・・・」 騎士たちが最初からこの主張をしてきたのなら、素直に”殿下の為”というセリフを信じられるのだが、ハーコムレイが神殿まで一緒に行動しないとわ…
続きを読む2022/10/02
【第六章 ギルド】第三十四話 移動
皆が合流した。 ミルとミアも訓練施設から会議室に移動してきた。レオはしっかりとミアの側に居る。護衛として、役割を守っているのだろう。 ミルが右側に陣取って、ミアが左側にレオと一緒に居る。 話は、ハーコムレイが主導する形で進んだ。 この場には、最初だけカルーネとフレット・コンラートとアルマールが姿を見せたが、ハーコムレイが神殿に向かわないものは退出してくれというと、何か言ってから、会議室から出て行こうと立ち上がった。 ハーコムレイが、彼女たちに追い打ちを掛ける。この建物は好きに使っていいが、辺境伯家からの支援…
続きを読む2022/09/14
【第九章 ユーラット】第一話 移動?
野営を無事に乗り越えて、移動を開始した。 移動は順調だ。 先頭は、馬車と途中で見つけた馬を積んだトラックを走らせる。 これは、ルーサの提案だ。 王国内を移動しているとしても、バスやモンキーやFITは珍しい。トラックなら、神殿が行っている物流支援で、王国中を駈け廻っているので、見たことがある者が多い。警戒はされるが、周知されているので、襲われたり、停められたり、物騒な目に合う可能性が減らせる。 リーゼとカイルとイチカは、モンキーで行ったり来たりを繰り返している。 何が楽しいのか・・・。 でも・・・。まぁ解らな…
続きを読む2022/09/13
【第六章 ギルド】第三十三話 詰問
ルナが何かまだ考えている。 少しだけぬるくなってしまったお茶に口を付ける。 誰が入れているのか解らないけど、おいしい。 ミルと一緒に野営している時には、ミルが飲み物を出してくれたけど、お茶はなかった。設備がないししょうがない。神殿に戻ったら、調理器具を含めて整備しよう。 「リン君?」 「なんだ?」 「ローザス殿下との話を聞いた?」 「ローザス?あぁルナが婚約者なのだろう?」 「!!違う。違うからね。婚約者候補。いい。候補!婚約者じゃない!」 ルナが椅子を倒す勢いで立ち上がって、テーブルに手をついて訂正してく…
続きを読む2022/09/08
【第十章 エルフの里】第四十話 野営
このまま走り続ければ、夜半には到着できそうなタイミングで、大将から連絡が入った。 「ルーサのおっちゃん。どうしたの?」 小僧が、座っていた座席から立ち上がって、運転席に顔を出してきた。このタイプのアーティファクトでは、内部での移動は難しくない。 「大将から、休んでから来るようにと指示が出た」 「休んで?でも・・・」 「大丈夫だ。後ろのアーティファクトに、食料や水や野営の道具が積んである」 「へぇ・・・。おいらたちの、モンキーを積んだアーティファクト?」 「そうだ。俺はよくわからないが、馬を安全に運ぶための馬…
続きを読む2022/09/05
【第六章 ギルド】第三十二話 認定?
アデレード殿下を匿う約束をして、他にも細かい話をした。特に、アデレード殿下を匿うことで発生する費用負担だ。全面的に、王家が用意すると言っているが、実際にどうやって負担するのか考える必要がある。 ハーコムレイもローザスも、アデレード殿下がわがままを言わないと言っている。 ローザス一人の意見なら信じなかったが、ハーコムレイも”自分の妹と同じ”だと言い出したので、問題は無いだろう。 ルナと殿下を比べられても、俺には判断ができない。 そもそも、二人を比べる必要性があるとは思えない。 「アデレード殿下とルアリーナ嬢は…
続きを読む2022/08/28
【第十章 エルフの里】第三十九話 会話
神殿からヘルプを呼んだ。 今日は、野営を行うことになったのだが、大きな問題が発生しなかったことが気持ち悪い。 姫騎士辺りが、文句を言い出すかと思ったが、おとなしく指示に従っている。 「ヤス様」 オリビア姫が一人で、俺に近づいてきた。 「姫さんか?どうした?」 深刻な表情ではない。 誰も連れていないのは、何か聞きたい事があるのか?それとも、従者や騎士には聞かせたくない話か? 「少しだけお時間を頂けないでしょうか?」 時間? 話がしたいということか? 「あぁ」 「神殿について、教えていただきたいことがあります」…
続きを読む2022/08/23
【第六章 ギルド】第三十一話 分裂
ハーコムレイが何も言ってこない所を見ると、既に決定事項になっているのだろう。 領地?が増える? ほぼ、西側の森を、俺に渡す意味があるのか? よくわからない。くれると言うのなら貰うけど、統治とかあるのなら断ろう。俺には、統治や領地運営なんてできない。 「それで?」 「ん?」 ローザスがいきなり”何を言っている”と言いたいような表情をする。 それは、こっちのセリフだ。 「だから、俺に何をさせたい?」 「え?」「ローザス!リン=フリークスに、”お願い”の内容を伝えていない」 ハーコムレイが、眉間にできた皺を触りな…
続きを読む2022/08/16
【第十章 エルフの里】第三十八話 はぁ?
俺はルーサ。 本名は、いいだろう。皆からルーサと呼ばれている。俺も、この名前を気に入っている。神殿の村(トーアフートドルフ)のアシュリを守っている。 我らの大将は、規格外だ。 他の神殿がどうやって運営しているのか知らないが、大将ほどのことはしていないと思う。 まず、アーティファクトの量が尋常ではない。アーティファクトの複製が可能なのか、ドワーフたちに聞いたが、”無理だ”と言っていた。似たような物を作ろうと頑張ってみたが、完全に同じサイズのネジなど作る技術はないと言っている。 しかし、大将は簡単に用意してくる…
続きを読む2022/08/13
【第六章 ギルド】第三十話 提案
馬車に乗り込むと、ローザスとハーコムレイが座っている。 雰囲気は、悪くない。 セバスチャンも乗り込んでくるかと思ったが、俺が馬車に乗り込むのを見送るような状態で、頭を下げている。セバスチャンには屋敷で働く者の統括をお願いしている。人員に関しても、まだまだ足りないのだろう。 そうか、屋敷で働く者たちの給金や生活の補償をしなければならないのだよな。考えると、金がない。 「リン君」 「なんでしょうか?殿下」 「固いよ。ローザスと呼んでよ」 「わかりました。アルフレッド=ローザス・フォン・トリーア第一皇子様。私の様…
続きを読む2022/08/09
【第十章 エルフの里】第三十七話 受諾
リーゼに状況を説明していると、向こうにも動きが有ったようだ。 姫様と、従者の一人が、馬車から出てきて、こちらに向かってきた。 姫騎士は、完全には納得していないようだが、姫様に従うと決めたようだ。神殿に居る間は、姫騎士ヒルダには注意が必要だな。姫様と従者は、住民との問題は大丈夫そうだが、ヒルダは軋轢を産みそうだ。姫様が抑えてくれるといいのだけど、あの手の忠誠心多寡で、思慮がない人間は、沸点が低いと相場が決まっている。自分の正義を信じて疑わない者ほど厄介な存在だ。多種多様な種族と考え方が融合している神殿には、一…
続きを読む2022/08/06
【第六章 ギルド】第二十九話 修羅場?
ギルドの入口が見えてきた。 しっかりと見張りが立っている。 知らない顔だ。 ハーコムレイかローザスが雇った護衛か? 「なぁリン。大丈夫なんか?睨まれているぞ?」 「大丈夫だ。女子・・・。重久が中心になって作った組織だ。重久は、フェナサリム・ヴァーヴァンが名前だからな。間違えるなよ」 「おっおぉ」 「本当に、大丈夫か?」 「大丈夫だ。名前を覚えるのは得意だ」 まぁ困るのは、オイゲンだからいいけど・・・。 後ろを振り返ると、奴隷の少女たちが、俺とオイゲンの会話を聞いている。不思議な表情を浮かべている。 ハーフエ…
続きを読む2022/07/31
【第十章 エルフの里】第三十六話 説明
帝国の姫という最大級の厄介ごとを、抱え込むことを決めた。俺の判断が間違っている可能性もあるが・・・。 夢見が悪いとか、いろいろ理由を考えたが・・・。 リーゼを助けた俺が、身分が厄介だという理由で、オリビアを切り捨てるのは、何か違うと感じてしまった。 それに、話せば、聞いていた帝国の印象が変わってくる。 やはり、国家単位で人を考えない方がいい。 トップの人格が、国の総意ではない。そんな簡単な事を、俺は忘れていた。帝国だからと切り捨てるのは簡単だ。 しかし、帝国というフィルターを取り除いて考えれば、護衛を3人と…
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