異世界の記事一覧
2023/10/31
【第九章 ユーラット】第二十六話 侵攻(4)
ヤスとリーゼが神殿に戻ってきたのは、帝国が楔の村(ウェッジヴァイク)を完全に包囲した時期と重なった。 指令室になっている会議室に、ヤスとリーゼが戻ってきた。 「戦況は?」 ヤスは、自分の席に座る。リーゼは、当然のようにヤスの隣に座る。 作戦室でオペレータを務めていたのは、オリビアだ。 帝国の侵攻が始まってから、交代でオペレータを務めている。今は、オリビアとメルリダとルカリダが務めている。ヤスには、事後に承諾を貰っているが、監視している箇所は、3箇所に絞っている。 他は、問題や動きがあった場合にアラームが上が…
続きを読む2023/10/31
【第三十一章 本腰】第三百十六話
二日後に、長老会を開催することに決まった。アトフィア教への警戒を強めることになってしまうが、相手が何をしているのか解らない状況では、攻めるにしても、守るにしても、状況の把握をしなければならない。 ルートガーが長老や関係者の間を駆け回っている。 クリスティーネもルートガーの手伝いをしている。ヴィマやヴィミやラッヘルやヨナタンは、クリスティーネの代わりに各所に連絡を行っている。今回の会議は、最初は長老衆だけで行うが、その後にチアル大陸の幹部を含めた会議を行う。 ルートガーは、長老衆との打ち合わせの準備で忙しいた…
続きを読む2023/10/27
【第八章 王都と契約】第十三話 そのころ・・・
リンとマヤとミトナルが王都に向かった。 神殿は、ギルドに任されていた。 リンとマヤが居なくなった神殿では、ロルフが管理を行うのだが、ロルフは、リンの眷属たちの統率を行っていて神殿の運用までは手が回っていない。 リンからも神殿の裏側はロルフが手を出してもいいが、居住区と通路はギルドに任せるように言われている。 残っているメンバーは、それぞれが生き残るため・・・。と、いう思いは持っているが、それ以上に、自分の想いを叶えるために行動を起こし始めている。その中でも、イリメリは精力的に動いている。 森の村とフリークス…
続きを読む2023/10/19
【第八章 王都と契約】第十二話 現状の確認(4)
神殿での生活は、ミトナルとナナに説明を任せることにした。 ローザスは何か言っていたが、話が進まないという事で、ハーコムレイが話をミトナルとナナに聞くことになった。 ハーコムレイが部屋から出て行った。 ローザスも一緒に行くのかと思ったが残っている。 「それでリン君?」 「ん?」 ローザスが何を期待しているのか解らない。 「神殿で、採掘や採取ができるのだよね?」 「あぁ」 「その場所は、僕たちでも・・・。違うな。神殿を利用する者なら、誰でも使えるの?」 「そういうことか・・・。ルールを作る必要があるとは思うけど…
続きを読む2023/10/16
【第四章 噂話】第一話 都市伝説
説明回です 読み飛ばしても大丈夫だと思います。 — 企業系の提灯記事を掲載しているマスコミを標榜する者たちから、噂が流れ始めた。 少し前に記者会見を開いて、世間を驚かせた”召喚された勇者”たちが持っているポーションは、”欠損”を治せるのではないかと噂が流れ始める。それだけでも価値は天井知らずなのに、権力者としては見逃すことが出来ない効用があると思われている。 公表されていないがポーションの効用で期待ができる効果が”延命”だ。噂話の域を出ていない。帰還した勇者たちを囲っている者や、研究をしている者…
続きを読む2023/10/12
【第九章 ユーラット】第二十五話 不在の理由
指令室となっている会議室には、ヤスとリーゼの姿が無くなっている。 帝国の侵攻を開始して、2週間が経過した。 帝国の侵攻は遅々として進んでいないが、先行部隊というべき者たちが、トーアヴェルデや楔の村(ウェッジヴァイク)に攻撃を仕掛け始めている。 「サンドラ様。帝国の動きは?」 オリビアの問いかけに、今日の指令室の責任者になっているサンドラが、メインディスプレイに解っている範囲での帝国軍の動きを示した地図を表示する。戦闘になっている部分は、リアルタイムでの情報更新が行われているが、帝国国内の情報にはタイムラグが…
続きを読む2023/10/10
【第三十一章 本腰】第三百十五話
ピカとハミから話を聞いた。 最初は、尋問のようになってしまったが、イザークとピムが必死に誤解を解いていた。 新種は、自然界でも産まれる。上位種に至る魔物は少ないようだが、一体でも十分な脅威になりえる。”できそこない”の1体でも、戦闘に慣れている者が居ない場所では、村や町が全滅しても驚かない。 人為的に上位種を作り出そうとしているのなら・・・。そして、その上位種に至った魔物を他の大陸に・・・。大陸が危険に晒されてしまう。 ルートガーに報告と相談を行うために、行政区に戻った。 「それで?」 「ピムの妹がアトフィ…
続きを読む2023/10/10
【第八章 王都と契約】第十一話 現状の確認(3)
ローザスの提案は、ハーコムレイが却下していた。 そもそも、街道を俺に渡すのは不可能なのだと、ハーコムレイが俺に説明をしてくれた。丁寧なのだけど、別に必要だと思えない謝罪まで含まれていた。 俺が第二のアゾレムになってしまう可能性がある。現状でも、戦力だけを考えても、王都に攻め込める場所に、俺に忠実な者たちが固まっているのを、ハーコムレイは問題視している。ローザスを擁する派閥とは、親密に出来ていると思う。それに、ルアリーナやアデレードが、神殿にいる。 ローザスも、ハーコムレイも、神殿の様子を知りたいようだ。 ア…
続きを読む2023/10/01
【第八章 王都と契約】第十話 現状の確認(2)
ハーコムレイは、ローザスを完全に無視して、俺の前に座る。 そして、持っていた書類を俺の前に出してきた。 かなりの分量がある。 全部を読むのは面倒に思えてしまう。 「これは?」 目の前に置かれた書類の束をペラペラと捲る。 貴族や商人の情報だとはわかる。俺が知っている貴族家は少ない。そもそもの話として、俺が知っている貴族家はアゾレムを除けば、神殿にいる者たちに関係する貴族家だけだ。 ハーコムレイが説明を始めてくれたが、簡単にまとめられていると言われている書類は、説明を聞いても、よくわからない部分が多い。 書類の…
続きを読む2023/09/09
【第九章 ユーラット】第二十四話 侵攻(3)
ヤスは指令室?で、まったりと過ごしていた。 「ねぇヤス。動きがないね」 リーゼは、すでに飽きてしまっている。 地図上に表示されている帝国軍の進み具合を楽しそうに見ていたが、遅々として進まない行軍を見ていても飽きてしまっている。 「ん?あるぞ?」 ヤスの指摘した通りに、微妙な違いだが、動きは見られる。 部隊を二つに分けている。 二つに分かれた部隊の片方が、さらに二つに分裂をしている。 一つは、オリビアを支援する者たちで構成されている。内通者が既に連絡をしてきている。 情報は常に更新されている。 「あるけど、な…
続きを読む2023/09/08
【第三十一章 本腰】第三百十四話
ピムの妹の旦那という少しだけ距離がある人物を紹介してもらうことになった。 イザークに許可を出した。 本人たちも、自分たちだけでやれることが限界に来ていると悟っていた。 仲間内で話をして、俺かルートガーに陳情を行おうと思っていたらしい。 その為に、ナーシャ(甘味狂い)を行政区に送り出したらしいが、俺やルートガーとは入れ違いになっていたらしい。ナーシャの証言だけなので、イザークも怪しいとは思っていたらしいが、ロックハンドに時折現れる”招かれざる客”の対応を優先した。 ロックハンドは、ドワーフの里になってしまった…
続きを読む2023/09/06
【第八章 王都と契約】第九話 現状の確認(1)
ドアをノックして、部屋に入ると、ローザスだけがソファーに腰掛けていた。 「リン君。久しぶり」 ローザスが、ソファーに座りながら俺に手を振ってくる。継承権を持つ人間の行意図は思えない。 「殿下だけ?」 正直に言えば、ハーコムレイは苦手だが、ローザスと話をするよりも、ハーコムレイの方が楽だ。交渉は面倒だと思えるが、話をするだけなら楽だ。筋が通っていれば、文句を言わないし、俺が望んでいる物を的確に読み取ってくれる。 ローザスは、どこかニノサと似ていて、のらりくらりと躱すような話し方をしてくる。胡散臭いのではなくて…
続きを読む2023/08/16
【第八章 王都と契約】第八話 ミヤナック邸
親たち世代は、何やら繋がりがあるようだが、詳しい話は教えてもらえていない。 ナナも言葉を濁すことが多い。 考えてみると、ローザスやハーコムレイは、アッシュやナナたちから見たら、世代は下になるはずだ。 俺たち世代と親世代の間くらいか? それで、”アスタ殿”なのか? アッシュが用意した馬車で、王都にあるミヤナック家に向かっている。 ハーコムレイが用意した馬車も、店の前で待機していた。アッシュが馬車を出すと言って、来ていた馬車に”夜の蝶”に向ってもらった。フェナサリムの父親が居たらミヤナック家に連れてきてもらうた…
続きを読む2023/08/12
【第三章 復讐の前に】第三十二話 実験動物
(ゆるめ?の)性的表現が含まれています。 (ゆるめ?の)暴力表現が含まれています。 抵抗がある方は読み飛ばしてください。前回の話の結果を記載しているだけで、本編には(フラグ的な意味では)影響しません(多分)。 — サトシが珍しく執務室に居る。 ユウキが連れてきた者たちの処遇を確認して、次にユウキが来た時に報告する義務があるためだ。 「彼女たちは、どうしている?」 「実験に協力してもらっているわよ」 「そうか・・・」 29人は、それぞれにトラウマを抱えている。 普段から陽気にやらかすサトシも、小学…
続きを読む2023/08/10
【第九章 ユーラット】第二十三話 侵攻(2)
ヤスとリーゼが、作戦室に到着した時には、オリビアがメルリダとルカリダを連れて待っていた。 「中で待っていれば良かったのに?」 ドアの前で待っていた3人は、ヤスとリーゼが来たのを見て、一歩下がって道を譲った。 「いえ、誰かが来られるまで、私たちだけで中に居るのは・・・」 気にする必要は無いのだが、オリビアは元帝国の姫だ。 神殿に居る状態では、マルスが監視をしているので、大丈夫なのだが、状況を知らない者も居る。その場合に、オリビアの行動で、ヤスに批判の矛先が向いてしまうかもしれない。オリビアだけではなく、アデレ…
続きを読む2023/08/10
【第三十一章 本腰】第三百十三話
方向は決まった。 アトフィア教の連中が怪しいという目安も立ったが、問題は方法が解らないことだ。 ノービスの連中に会いに行くか? 「カイは、シロの護衛を頼む」 『はい』 シロの護衛は、フラビアとリカルダも居るし、大丈夫だとは思っている。 ステファナも本調子になってきたし、レイニーも従者兼護衛になっている。そもそも、アズリやエーファやレッチュが居る段階で、龍族でなければ相手にならないだろう。 それで、なぜかエリスがシロにべったりらしい。エリスがシロの近くから離れようとしない。らしい。 報告では、護衛にもなってい…
続きを読む2023/08/07
【第八章 王都と契約】第七話 打診
「リン様。さきほどのお話では、門は反対側にもあるのですよね?」 アッシュは、何かを考えてから、質問を始めた。 森の中の村に行くのには問題は無いようだ。神殿の中よりも、やれることが多いと思っているようだ。 「ある」 隠すようなことではない。 アッシュを仲間に引き入れたい。俺には、人を見る目がない。俺の代わりに、人を見る人物が欲しい。アッシュなら大丈夫だろう。忠誠心は、俺に向いていなくても、ローザスやハーコムレイと歩調が合っている間は、裏切らないだろう。 だからこそ、神殿ではなく”森の村”を担当して欲しい。 「…
続きを読む2023/08/02
【第三章 復讐の前に】第三十一話 復讐?
前田果歩さんの記事が雑誌に載ってから1週間。 前田教諭が学校を辞めてから2週間が経過した。 仕込みも終わっている。 手間はかかったが、状況は面白いほどに、想定していた方向に動いた。 俺は、拠点に作られた学校で働き始めた女性に話しかけた。今の所は、リハビリを兼ねた作業が多い。拠点の周りは、徐々に人が増え始めて、働き手が少ない状況になっている。今は、十分に回っているが、今後は人が足りない状況になると考えられている。 意思確認は既に済ませているのだが、最終確認だ。 「果歩さん」 まだ、俺と話すのは緊張するようだ。…
続きを読む2023/07/30
【第九章 ユーラット】第二十二話 侵攻(1)
エルフの里に、救援に向かう部隊の編成を行った。 エルフの里への救援の目的は持っているが、神殿やユーラットからエルフの里に避難させる意味合いもある。 ヤスは、リーゼを救援部隊のトップにしようと考えていたが、リーゼが神殿に残ると固辞した。 リーダは、アフネスにも拒否された。同じように、ドーリスやサンドラやアーデルベルトにも拒否されてしまった。 カイルやイチカでは、救援部隊のトップには経験が足りていないとなり、ギルドに依頼を出すことで落ち着いた。子供たちを避難させることが目的なのだが、”密約”に関係していることも…
続きを読む2023/07/29
【第三十一章 本腰】第三百十二話
雑談だったが、船長から有力な情報を貰った。 船長には悪いとは思ったが、ルートガーを含めて正式に話を聞く場を設けた。 そこで、ルートガーにも情報が伝えられた。 船長が、俺が使っている船室から出た。船長を何時までも拘束していては、船の運航が滞ってしまう。俺たちの安全を考えて、話は俺から質問をして、短時間で終わらせた。雑談を含めると、かなりの時間、船長を拘束してしまう結果になる。それに、ルートガーは雑談が苦手だ。 船長は、問題はないと言っていたが、俺たちの安全の為に、通常業務に戻ってもらった。 今の所、考えられる…
続きを読む2023/07/28
【第八章 王都と契約】第六話 奴隷商
馬車が目的地に到着して停まった。 やっと説教から解放される。 「待て!リン・フリークス」 馬車から降りようとしたときに、ハーコムレイに肩を掴まれた。 「はい。なんでしょうか?」 ハーコムレイの手を払いながら振り返る。 「迎えを出しておく」 「は?」 いきなり、”迎え”と言われても意味が解らない。 そんな思いを込めて、ハーコムレイを睨んだが、俺の意思は伝わらなかったようだ。 「お前の用事が終わったら、屋敷に来い。ローザスにも報告が必要になっているはずだ」 「・・・」 一応、説明をしてくれたのだが、それでも意味…
続きを読む2023/07/23
【第三章 復讐の前に】第三十話 病気と怪我
前田果歩さんが起きてから、前田教諭はすぐに両親にポーションを使った。 最初に忠告をしておいたが、忠告は無駄になった。 神経系の問題である場合には、より上位のポーションが必要になる。 前田教諭の両親は、精神的な衰弱と怪我が原因だったために、ポーションと果歩さんが顔を出すことで治ってしまった。 そして、前田教諭は学校を辞めた。 学校を辞めた日に二人は、俺たちの拠点を訪ねてきた。 俺は、学校に行っていたために、ヒナが対応を行った。 すぐに今川さんが呼び出されて、取材を受けてもらう事になった。 全て実名での告白だ。…
続きを読む2023/07/22
【第九章 ユーラット】第二十一話 帝国国内
帝国の情報は、確かに、オリビアから得る事が出来た。 しかし、オリビアが持っている情報は、第三皇女として得た情報でしかない。そして、大きな問題として、帝国は王国よりも男尊女卑が強い傾向にある。また、政務などの情報も入手が難しい立場だった。オリビアの頭脳が優れているために、ある程度の情報から正解を導き出すことが出来てしまっていた。 情報の齟齬があるとしたら、帝国国内の情報ではない。 オリビアにも小さいながらも派閥が存在していた。後見してくれる貴族も存在していた。その為に、帝国内の情報は、遅くても入手が出来ていた…
続きを読む2023/07/20
【第三十一章 本腰】第三百十一話
ゼーウ街から、チアル大陸には、デ・ゼーウが用意した船で向かうことになった。 チアル大陸に本拠地を置いている商人に頼む予定だったのだが、デ・ゼーウが前に拿捕した船を下賜した者が立ち上げた商家だ。運営実績も問題がない。チアル大陸との取引も行っている。 船は、元アトフィア教の司教が使うために作られていた物なので、豪華になりすぎた感じの船だ。 船倉は、無かったと言っていたが、奴隷を連れ帰る為の場所が存在していた。アトフィア教らしい船だ。 その奴隷を詰め込んでいた場所を船倉に改造した。 この船で、アトフィア教の港にも…
続きを読む2023/07/17
【第八章 王都と契約】第五話 ハーコムレイ
皆と別行動になった。 ナナは、フェムサリムの実家に顔を出して、王都との状況を確認したあとで、こちらの状況の説明を行うようだ。あとは、宿屋の性質を知っている為に、状況次第では神殿の中に宿屋を作ってもらう提案をすると言っていた。 リカールは、先ぶれをアッシュの所に出してから、王都の顔馴染みを回るようだ。集合場所は、フェムサリムの実家に決まった。 久しぶりに訪れた王都を一人で歩いている。 アッシュの所には、リカールが情報を流しているはずだ。許可を求めてきたので、リカールが知っている内容なら流しても大丈夫だと伝えて…
続きを読む2023/07/03
【第三章 復讐の前に】第二十九話 前田果歩
起き上がろうとして失敗した前田果歩(推定17歳)は、自分の状況を”ほぼ”正しく把握していた。 シーツをしっかりと身体に巻き付けて体勢を整える。 寝たきりの状態が長かったために、体力はもちろんだが筋力も低下している。 ポーションである程度の筋力は回復しているが、自分の身体を支えられるほどには回復していない。 シーツを握るのがやっとの状況なのは自分が解っているのだろう。 無理はしていない。 支えられている状態を受け入れている。 「アニキ。ゴメン」 小さな声だが、前田教諭の耳にはしっかりと届いた。 声を発していな…
続きを読む2023/07/01
【第九章 ユーラット】第二十話 エルフの里
”コア:マリア” ”はい。マルス様” ”コア:マリア。貴方の巫女は近くにいますか?” ”最終候補者は、里に戻っております” ”急がなくても良いのですが、神託を降ろしてください” ”かしこまりました” マルスから、エルフの里に居る者たちに神託を降ろすように依頼が出た。 エルフの里は、アデヴィト帝国とは直接は国境を接していない。 しかし、帝国の複数の属国とは国境を接している。 帝国が、神殿への圧力と同時に、エルフの里に侵攻する可能性は低い。 しかし、マルスは、可能性の一つとして考えていた。 マルスは、ヤスにはマ…
続きを読む2023/06/29
【第三十章 新種】第三百十話
デ・ゼーウに情報を提供するために、ルートガーが部屋から出て行った。 方針も決まったのだし、もう大丈夫だろう。 もういい加減にチアル大陸に戻りたい。差し迫ってやることは思いつかないが、適当な理由を考えて帰ってしまおうか? ルートガーが戻って来るまで、新種に関して、解っていることを考察しておこう。考えるだけしかできないけど・・・。 中央大陸は安定してくれた方が嬉しいが、荒れたら荒れたで接し方を変えるだけで、チアル大陸への影響は少ない。少なくなるように動けばいい。 そうなると、安全面や今後の動きを考慮すれば、”新…
続きを読む2023/06/26
【第八章 王都と契約】第四話 村々
盗賊退治は、大きな・・・。大きすぎる問題に直結する物を見つけてしまった。誰かに丸投げが正しい対応だろう。 教会が、村々を襲わせていた。 それだけでもかなりのスキャンダルになるのだが、その先の指示が、教会の尊厳だけではなく、国の根幹を揺るがす可能性がある。 ツインズは、早々に情報の権利を放棄した。 立場が微妙な自分たちが持っていていい情報ではないというのが、ツインズの主張だ。 そして・・・。 もう一人の当事者になりえる人物は・・・。 「リン君。はい」 ナナは資料を見てから、俺に渡してきた。 こうなるとは思って…
続きを読む2023/06/25
【第三章 復讐の前に】第二十八話 奇跡
「先生。準備が終わるまでに、先生も湯あみをしてきてください」 「シャワーでいいのか?」 「はい。それから、できるだけ金属がついていない服を着てください」 「わかった」 「それから、女性陣に、妹さんの身体を清めさせます。下着や服はできるだけのない方がいいので、タオルやシーツで身を隠します」 「・・・。そうか、わかった」 先生が頷いたのを見て、3人は準備を始める。 女性陣が、服を脱がして身を清め始めるタイミングで、ユウキは部屋を出た。 隣の部屋を借りて、持ってきた白い布に、魔法陣を書き始める。 魔法陣を書くのは…
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