サイト小説の記事一覧

2023/07/23

【第三章 復讐の前に】第三十話 病気と怪我

前田果歩さんが起きてから、前田教諭はすぐに両親にポーションを使った。 最初に忠告をしておいたが、忠告は無駄になった。 神経系の問題である場合には、より上位のポーションが必要になる。 前田教諭の両親は、精神的な衰弱と怪我が原因だったために、ポーションと果歩さんが顔を出すことで治ってしまった。 そして、前田教諭は学校を辞めた。 学校を辞めた日に二人は、俺たちの拠点を訪ねてきた。 俺は、学校に行っていたために、ヒナが対応を行った。 すぐに今川さんが呼び出されて、取材を受けてもらう事になった。 全て実名での告白だ。…

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2023/07/23

【第三章 帝国脱出】第四十八話 おっさん困惑?

イーリスが、辺境伯領の独立を考えている頃、おっさんはカリンと会話(対峙)していた。 聖獣を連れたカリンが帰ってきたのだ。そして、おっさんに”聖獣を眷属にした”と告げたのだ。 「糸野さん。聖獣を眷属にした弊害は理解していますよね?」 おっさんは、カリンを日本で使っていた苗字で呼んだ。驚いたのは、おっさんだ。自分で思っていた以上に感情が外に出てしまっている。理由にも心当たりがある。そして、”いつか”が近づいて来ているように思える。 そして、その”いつか”を・・・。待っているのか?受け入れているのか?感情が制御で…

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2023/07/22

【第九章 ユーラット】第二十一話 帝国国内

帝国の情報は、確かに、オリビアから得る事が出来た。 しかし、オリビアが持っている情報は、第三皇女として得た情報でしかない。そして、大きな問題として、帝国は王国よりも男尊女卑が強い傾向にある。また、政務などの情報も入手が難しい立場だった。オリビアの頭脳が優れているために、ある程度の情報から正解を導き出すことが出来てしまっていた。 情報の齟齬があるとしたら、帝国国内の情報ではない。 オリビアにも小さいながらも派閥が存在していた。後見してくれる貴族も存在していた。その為に、帝国内の情報は、遅くても入手が出来ていた…

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2023/07/20

【第三十一章 本腰】第三百十一話

ゼーウ街から、チアル大陸には、デ・ゼーウが用意した船で向かうことになった。 チアル大陸に本拠地を置いている商人に頼む予定だったのだが、デ・ゼーウが前に拿捕した船を下賜した者が立ち上げた商家だ。運営実績も問題がない。チアル大陸との取引も行っている。 船は、元アトフィア教の司教が使うために作られていた物なので、豪華になりすぎた感じの船だ。 船倉は、無かったと言っていたが、奴隷を連れ帰る為の場所が存在していた。アトフィア教らしい船だ。 その奴隷を詰め込んでいた場所を船倉に改造した。 この船で、アトフィア教の港にも…

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2023/07/18

【第五章 共和国】第六十三話 声なき声

戦闘は終わった。 体力も気力も限界だ。 精神的に疲れたので動きたくない。 カルラも珍しく座り込んでいる。アルバンは、横になって目を閉じている。 確かに、周りには脅威になるような物はない。 クォートとシャープもユニコーンもバイコーンも機能が十全に使えるようになって、確認をしてから移動を開始した。 クォートたちが帰って来るまで休憩する。 さすがに、疲れた。 葬送を終わらせて、やっと終わった感じがしている。 辺りは、先頭の余韻が漂っているが、しばらくしたら消えるだろう。 自然が戦闘を隠して、元の状態に戻すだろう。…

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2023/07/17

【第八章 王都と契約】第五話 ハーコムレイ

皆と別行動になった。 ナナは、フェムサリムの実家に顔を出して、王都との状況を確認したあとで、こちらの状況の説明を行うようだ。あとは、宿屋の性質を知っている為に、状況次第では神殿の中に宿屋を作ってもらう提案をすると言っていた。 リカールは、先ぶれをアッシュの所に出してから、王都の顔馴染みを回るようだ。集合場所は、フェムサリムの実家に決まった。 久しぶりに訪れた王都を一人で歩いている。 アッシュの所には、リカールが情報を流しているはずだ。許可を求めてきたので、リカールが知っている内容なら流しても大丈夫だと伝えて…

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2023/07/05

【第四章 スライムとギルド】第十九話 メモ

心に刺さっていた棘が抜けた。 まっすぐに俺を見ていた視線で、里見茜嬢が何かに気が付いたのだと思った。 そして、円香から直球を頭に投げられた。 気持ちが楽になった。 ギルドの情報を流す役割を持っていたからだ。 奴らの語っている”正義”には、どの角度から考えても共感が出来ない。しかし、真子を治すのには・・・。苦渋の選択ではない。俺は疲れてしまっていた。真子を殺して、俺も死ぬ事を考え始めた時に、奴らが俺に声をかけてきた。 最初は、眉唾以上の感想はなかった。 しかし、誘われるままに、奴らの会合に行くうちに、信じては…

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2023/07/04

【第四章 連合軍】第十九話 【連合国】 攻略開始

ロアを連れてバチョウは、ダンジョンを攻略した。 出来たばかりではないが、成長が止まっているダンジョンだ。20階層と浅く、防御も薄い。 ロアとバチョウの二人だけで攻略が完了してしまった。連れてきた者たちは、ダンジョンの外で待機している間に攻略が終わってしまった。 バチョウはロアにボスとの戦闘を任せた。 ボスは、流石に強かったが、ロアが余裕を持って倒せた。カプレカ島にあるダンジョンでいうと10階層のフロアボス程度だ。ロア一人でも過剰戦力だったのかもしれない。 ロアは、ボスを討伐後に魔王の居る部屋に突入した。 部…

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2023/07/03

【第三章 復讐の前に】第二十九話 前田果歩

起き上がろうとして失敗した前田果歩(推定17歳)は、自分の状況を”ほぼ”正しく把握していた。 シーツをしっかりと身体に巻き付けて体勢を整える。 寝たきりの状態が長かったために、体力はもちろんだが筋力も低下している。 ポーションである程度の筋力は回復しているが、自分の身体を支えられるほどには回復していない。 シーツを握るのがやっとの状況なのは自分が解っているのだろう。 無理はしていない。 支えられている状態を受け入れている。 「アニキ。ゴメン」 小さな声だが、前田教諭の耳にはしっかりと届いた。 声を発していな…

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2023/07/02

【第三章 帝国脱出】第四十七話 おっさんの企み

おっさんの話を聞いて、イーリスは何かを感じた。と、考えている。 実際に、解っていたことだ。今の帝国には未来がない。 そして、勇者召喚に巻き込まれたおっさんに帝国の問題を押し付ける行為は間違っている。 イーリスは、来た時とは違った表情に変っている。 考えがまとまったのではなく、気持ちが固まったのだ。覚悟ができたと表現してもいいかもしれない。 イーリスとロッセルは、二人だけで話す時間が欲しいとおっさんに申し出て、部屋の用意をお願いした。 おっさんは、近くに居たメイドを呼んで部屋の用意と案内を頼んだ。 部屋に残っ…

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2023/07/01

【第九章 ユーラット】第二十話 エルフの里

”コア:マリア” ”はい。マルス様” ”コア:マリア。貴方の巫女は近くにいますか?” ”最終候補者は、里に戻っております” ”急がなくても良いのですが、神託を降ろしてください” ”かしこまりました” マルスから、エルフの里に居る者たちに神託を降ろすように依頼が出た。 エルフの里は、アデヴィト帝国とは直接は国境を接していない。 しかし、帝国の複数の属国とは国境を接している。 帝国が、神殿への圧力と同時に、エルフの里に侵攻する可能性は低い。 しかし、マルスは、可能性の一つとして考えていた。 マルスは、ヤスにはマ…

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2023/06/29

【第三十章 新種】第三百十話

デ・ゼーウに情報を提供するために、ルートガーが部屋から出て行った。 方針も決まったのだし、もう大丈夫だろう。 もういい加減にチアル大陸に戻りたい。差し迫ってやることは思いつかないが、適当な理由を考えて帰ってしまおうか? ルートガーが戻って来るまで、新種に関して、解っていることを考察しておこう。考えるだけしかできないけど・・・。 中央大陸は安定してくれた方が嬉しいが、荒れたら荒れたで接し方を変えるだけで、チアル大陸への影響は少ない。少なくなるように動けばいい。 そうなると、安全面や今後の動きを考慮すれば、”新…

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2023/06/27

【第五章 共和国】第六十二話 DoS攻撃?

黒ドラゴンの正体が、人を核にしたキメラだった。 煙が天に上がる。 森の木々を越えたあたりで、煙が霧散する。 それぞれ・・・。待つ人の所に向かっているようにも思える。 「兄ちゃん?」 「アル。お疲れ。カルラは?」 「姉ちゃんは、防具をまとめている」 さっそく動き出している。 アルバンの視線を追うと、カルラが防具をまとめている姿が目に飛び込んできた。 俺とアルバンは、攻撃をかわすために、全力だった。スキルを使わない戦いは辛かった。 途中からスキルを全開で使わなければならなかった。 本当に、嫌らしい敵だ。 「旦那…

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2023/06/26

【第八章 王都と契約】第四話 村々

盗賊退治は、大きな・・・。大きすぎる問題に直結する物を見つけてしまった。誰かに丸投げが正しい対応だろう。 教会が、村々を襲わせていた。 それだけでもかなりのスキャンダルになるのだが、その先の指示が、教会の尊厳だけではなく、国の根幹を揺るがす可能性がある。 ツインズは、早々に情報の権利を放棄した。 立場が微妙な自分たちが持っていていい情報ではないというのが、ツインズの主張だ。 そして・・・。 もう一人の当事者になりえる人物は・・・。 「リン君。はい」 ナナは資料を見てから、俺に渡してきた。 こうなるとは思って…

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2023/06/25

【第三章 復讐の前に】第二十八話 奇跡

「先生。準備が終わるまでに、先生も湯あみをしてきてください」 「シャワーでいいのか?」 「はい。それから、できるだけ金属がついていない服を着てください」 「わかった」 「それから、女性陣に、妹さんの身体を清めさせます。下着や服はできるだけのない方がいいので、タオルやシーツで身を隠します」 「・・・。そうか、わかった」 先生が頷いたのを見て、3人は準備を始める。 女性陣が、服を脱がして身を清め始めるタイミングで、ユウキは部屋を出た。 隣の部屋を借りて、持ってきた白い布に、魔法陣を書き始める。 魔法陣を書くのは…

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2023/06/23

【第三章 帝国脱出】第四十六話 おっさん建国?

一人だけ意味が解っていなかったイザークが、カップに注がれた飲み物を飲み干した。 「イザーク。”おかわり”は居るか?」 「うーん」 イザークは、周りに居る者に視線を送るが、皆が首を横に振っている。 「おっちゃん。ダメみたい」 「そうか、残念だな。それなら・・・」 近くに立っていた者に、おっさんは視線を向ける。 頷いて部屋から出ていく。 「まー様?」 「気にするな。さっきの物とは違う。別の飲み物も用意している」 別の飲み物と聞いても、イーリスとロッセルの警戒が緩むわけではない。 おっさんが用意したのは、アキとイ…

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2023/06/22

【第九章 ユーラット】第十九話 王国

国王の下に、辺境伯からの書状が届いた。 普段と同じ書き出しであるが内容は、石納の眉を顰めるのに十分な威力を持っていた。 「クラウスを王都まで呼び出す」 「陛下!」 「宰相か?なんだ?余の判断に異を唱えるのか?」 「いえ違います。クラウス辺境伯からの情報は、確かな物でしょう。ならば、陛下と私が辺境伯領に向い・・・」 「そうか・・・。御仁と会う事も考えた方が良いと言うのだな」 「はい。ユーラット一つで王国の安全が・・・」 「言うな。考えるまでもないが、ユーラットは、切り離さない(約束を違えるわけには・・・)」 …

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2023/06/21

【第三十章 新種】第三百九話

新種の話は一旦、棚上げすることにした。新種は気になるが、すぐに動くことができない。情報も不足している。今、動いても無駄になってしまう可能性が高い。 それ以上にやらなければならないことも残っている。 ルートガーからの報告は、大きな問題はなさそうだ。 ドワーフたちが思っていた以上に理性的だったのは、予想とは違ったが、いい誤算だ。 ドワーフたちは、求めていた鉱石を、デ・ゼーウから譲り受ける事で合意した。 必要な分量を確保することを、デ・ゼーウが約束したからだ。 デ・ゼーウは、ダンジョンを公開すると約束して、攻略を…

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2023/06/21

【第五章 共和国】第六十一話 黒ドラゴン

黒ドラゴンは、黒い靄を纏っているようにも見える。 ブラックドラゴンではなさそうなのは・・・。不幸中の幸いか? 考えていても意味がなさそうだ。黒ドラゴンは、既に戦闘態勢だ。 四体の龍を呼び出す。 黒ドラゴンに突っ込ませるが、ダメージを与えているようには思えない。靄は、一瞬だけ剥がれるがすぐに元に戻ってしまう。それだけではない。龍を吸収しているようにも見える。 アルバンとカルラも、後ろを気にしながら攻撃を加えるが、黒い靄が崩れるだけで、すぐに戻ってしまう。 「カルラ!」 「はい。スキルで攻撃します」 「頼む。ア…

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2023/06/19

【第八章 王都と契約】第三話 盗賊退治

ナナの行動は早かった。 ”ツインズ”という双子の夫婦に話をつけて、俺たちも同行することに決まった。 イベント発生だ。 ゲームでは、サブクエストという扱いになるのだろう。 一番、ワクワクしているのがマヤなのはどうなのかと思うが、マヤは留守番(?)になる。ミトナルの中からサポートを行うことになっている。留守番という表現が正しいか解らないが、本人が留守番と表現したので、留守番が正しいのだろう。 ミトナルのスキルは、マヤのスキルで補完ができる事が解っている。 そして、マヤはミトナルの中から”第三の目”というべきなの…

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2023/06/11

【最高のシチュエーション】追いかけた先は・・・

私は、今年で50歳になるタクシードライバーだ。元警察官ではありません。 近距離専門と言えば、少しは格好がつくのだが、なぜか乗せるお客様が近距離の場合が多いのです 今日も、待機場所にしている駅のタクシー乗り場で順番を待つ事にしました。 顔馴染みのドライバーに挨拶をして、後列に並ぶ。週末なので、多分30分もしたらお客様を乗せられると考えています。 待機列に車を停めて、コンビニで買ってきたおにぎりを食べます。一緒に買った微糖の紅茶で喉を潤します 今日は、進みがやけに早く感じます。 何かイベントでもあるのでしょうか…

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2023/06/11

【第四章 スライムとギルド】第十八話 桐元孔明

円香さんの笑顔が固まった。 「茜!」 頷くしかないです。怖くはないのですが、圧が凄いのです。 私が手を出せば、円香さんが、手を乗せてきた。 これで念話が通じるはずです。 円香さんに伝わるようにイメージして、話しかければ通話ができるはずです。 孔明さんは、部屋を出て行こうとしていたので、後片付けを頼んでみた。笑いながら了承してくれた。盗聴器の回収にも丁度いいと思ったのでしょう。 『茜。どういうことだ!』 円香さんも、念話の使い方をマスターしてしまっている。これなら、スキルを持っている私でなくてもいいのでは? …

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2023/06/11

【第四章 連合軍】第十八話 【連合国】バチョウと仲間たち

戦場になった場所には、うめき声を上げる連合国の兵士たちが居る。 五体満足で立っているのは、バチョウだけだ。 そのバチョウも、着ている防具は、兵士たちの返り血で赤黒くなっている。 しかし、防具に武器やスキルでつけられた傷は存在しない。 「バチョウ様!」 先頭でバチョウに近づいてきた、狼人族の青年が代表してバチョウの前で頭を下げる。他の者も、一緒に頭を下げるが2歩ほど後ろに下がっている。 「丁度よかった」 バチョウは、狼人と猫人に、笑いかける。 返り血で汚れていなければ、美丈夫な佇まいなのだが、返り血が赤黒くな…

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2023/06/10

【第四章 リブート】第五話 アイ・オープナー

マスターは常連からの懇願を受け入れる形で、バーシオンの営業時間を変更した。 その代わりに、不定休の宣言を出した。営業時間は、昼から終電の1時間前にした。裏の客には、朝方に来てもらうことにしている。 男が、閉店直後にバーシオンを訪れた。 いつものカウンターの入口近くの席に座った。 「マスター。大丈夫?」 注文をするのではなく、マスターの体調を気遣う。 バーシオンで、バーテンダーとして働いて、昼には軽めのカクテルが飲めランチが食べられるバーだと”隠れ家的”な魅力に溢れた店だとタウン誌に紹介された。マスターは拒否…

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2023/06/09

【第三章 復讐の前に】第二十七話 覚悟

前田教諭は、黙って俺の手順を聞いている。 かなり・・・。違うな、傷口に塩を刷り込むような行為だ。認識している。 当初の予定とは違っている。 ポーションで治せるのは、身体の傷だ。脳神経も治せるのだが、心の傷は治せない。 心と記憶を分離する。 記憶が希薄になり、ドラマでも見たかのような感じになる。自分に発生したことだと認識は出来るのだが、どこか他人事のように感じるように分離を行う。この処置を行うために、前田教諭には苦痛を伴う記憶遡行を受けてもらう。妹さんが受けた身体と心の痛みを、全てを受け止めてもらわなければな…

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2023/06/09

【第三章 帝国脱出】第四十五話 おっさん招き入れる

おっさんは、裏(本当)の拠点に建築した屋敷で寛いでいた。 表の拠点の作業も概ね終わって、現在は街道の整備を行っている。 そして、おっさんは意外なことを知ってしまった。 ドワーフたちは、”酒”特化なのは想定していたのだが、他のサラマンダーやウィンディーネやエルフも酒造りを行って、かなりの人手を割いてしまっている。 種族で役割分体でもあるのか、ドワーフたちは武器と防具しか作らない。小物か日用品は、サラマンダーの方が得意なのだ。エルフは、仕掛け物が好きで馬車などを作るのを得意としている。材料の加工もおこなえるので…

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2023/06/08

【第九章 ユーラット】第十八話 そのころ

ヤスが慣れないことをしている頃。 リーゼは、神殿に来ていた。 サポートは、ファーストだけだが、マルスが監視をしているので、大きな問題になっていない。 リーゼが神殿に足を踏み入れるのは、今回が初めてではない。 エルフの里から戻ってきてから、皆が忙しそうにしている時に、黙って神殿に入ろうとした。武器と防具の一式を持ち出して・・・。 マルスからファーストに連絡が入って、アタックする前に見つかってしまった。 リーゼは、皆がヤスの為に知恵を絞っているのを、自分では知恵の面では役に立たないから、力をつけようとしたようだ…

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2023/06/07

【第三十章 新種】第三百八話

話を進めるほどに、ルートガーの表情が変わる。 「それで?お前の考えは?」 実際に発生した事案としての話を終えた。 もちろん、俺の考察は出来るだけ省いた。ルートガーの意見を聞きたいだけだ。 「先に、ルートの考えを聞きたい。俺の話だけだから、誘導してしまったかもしれないけど・・・。感想でいいから、聞きたい。考えの補填に使いたい」 俺の主観での説明だから、俺が導き出した結論がベースになっている。 ルートガーの見解が同じになってもしょうがないと思う。 話はできるだけ、贅肉をそぎ落として実際に発生していることだけを語…

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2023/06/06

【第五章 共和国】第六十話 死闘

クラーラ! お前だけは、お前だけは・・・。 『アルノルト様。その”絡繰り”はダメです』 指を鳴らす音が響いた。 「アルノルト様!」 カルラが慌てて、俺に駆け寄ってくる。 剣は構えたままだが、クラーラの姿が見えない。スキルを使うが、クラーラを補足さえできない。 「アルノルト様!クォートとシャープが!」 カルラに指摘されて、二人を見ると、糸が切れたかのように、身体から力が抜けて、座り込んでいる。 バックアップは作成してあるので、復元はできるだろう。 しかし・・・。 その前に、クラーラは、”何を”やったのだ? そ…

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2023/06/05

【第八章 王都と契約】第二話 メリット

王都に向かう前に、セトラス商隊からの要望を受け入れて、大回りをすることに決定した。 セトラス商隊は、体裁を整えたいと事情を語った。 セトラス商隊の荷は王都を出た時の状態から大きく変っていない。メルナで増減はしたのだが、荷の性質は同じ状態だ。これで、王都に入るときに不思議に思われる可能性がある。そこまで見る者は少ないが・・・。 そこで、大回りになるが、王都での詰問を避けるために、現在の荷物を売って、新たに仕入れをおこなう。商隊として体裁を整えるためだ。 俺も、まだ神殿の状況を知られたくない。あと、王都に入ると…

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