サイト小説の記事一覧
2023/03/03
【第四章 スライムとギルド】第九話 魔石と魔核
主殿は、小さな声で、”ありがとう”と言ってくれた。 その心遣いが嬉しい。そして、主殿が言っているように、スキルを持って、心が化け物に変わってしまった人は、沢山・・・。哀しい事ですが、事実です。ワイズマンに聞かなくても、ギルドの公式資料に書かれています。 筋力アップのスキルを得た者が、恋人を殴り殺したなんて話は、それこそ両手両足の数でも足りない数があります。 研究員の中には、スキルは人の精神を変質させると訴える者も居ますが、確固たる証拠が提示できない状況です。 「茜さん?」 「はへ?」 なんか変な声になってし…
続きを読む2023/03/02
【第四章 連合軍】第九話 【王国】魔王
カンウとモミジとヒアとミアは、王国にあるダンジョンの攻略を行っている。 魔王カミドネの支配領域が広がらなかったことから、隠されたダンジョンがあると考えたのだ。 魔王カミドネに連絡を付けて、ダンジョンの当たりを付けた。 支配領域をギリギリまで広げた場所から、等間隔にある場所にダンジョンがあるのではないかと予測していた。 王国の隠し砦が存在している場所を引き当てた。 「どうしますか?」 慎重論を唱えたのは、ヒアだ。 他の3人は自分たちで突破が出来なければ、魔王様に改めて情報の精査をお願いする必要があると考えてい…
続きを読む2023/03/02
【閑章 テネシー・クーラー】第五話 あの日の約束
マスターと桜が通っていた時よりも机は明らかに少なくなっている。 マスターには、しっかりと座席が見えている。 そして、床に一滴の水が・・・。 「桜。悪いな」 「話は終わったのか?」 「あぁ」 マスターは、こめかみを指で叩く。頭痛がしているわけではない。 「安城。癖は治らないのだな」 「癖?」 「ん?気が付いていないのか?」 「あぁ」 「そうか・・・。お前は、困ったことがあると、こめかみを叩く」 「そうなのか?」 「だから、美和とか、由紀が・・・」 「朝日さん?」 「そうだ。お前が、こめかみを叩いていると、必ず…
続きを読む2023/03/01
【第三章 復讐の前に】第十九話 訪問者
バイトが終わって家に帰ってきたら、今川さんからの着信に気が付いた。 今川さんには、俺の家に侵入した愚か者たちの身元を含めて家族やターゲットとの関係を調べてもらった。 7人は、警察に連れていかれたが、謝罪文とか訳の分からない物を学校に提出するだけで、退学にもならなかった。休学だけだ。 学校が与えた罰は、”休学10日”だ。笑いも出なかった。 吉田教諭たちも抵抗したようだが、子供が学校外で行った事で、”学校の罰が重いのはおかしい”という頭が悪い話が通ってしまった。教育委員会も再発防止を学校にいうだけで、おとがめな…
続きを読む2023/02/27
【第七章 神殿生活】第十六話 お見合い?
アデレードとルアリーナの強い。本当に、強い要望で、眷属の紹介を先に行うことになった。 バックヤードに連れて行こうかと思ったが、途中でブロッホから待ったがかかった。 「ブロッホ?」 「旦那様」 ブロッホが人型の時には、”旦那様”と呼ぶことにしたようだ。 俺の呼び名に関しては、”リン”で統一して欲しいと言っているのだが、皆が勝手に呼び出したので、面倒になってしまっている。それに、”名”を呼ばれなくても、繋がりがあるので、問題になることはない。 「どうした?」 「お客人を、神殿内部にお連れになるのは、時期尚早だと…
続きを読む2023/02/26
【第四章 スライムとギルド】第八話 聞きたくない
「お邪魔します」 「はい。スリッパをどうぞ」 主殿の家は、外から見た時と印象が全く違った。 周りに民家が無いのも不思議です。 「ありがとうございます。聞いていいですか?」 「なんでしょうか?」 「主殿の家の周りには、民家がないようですが・・・」 「あぁ・・・」 「あっ言い難いようなら・・・」 「別に、隠していないですし、調べたら解ってしまう事ですので・・・」 驚愕です。 聞いた、自分を褒めてあげたい。主殿のご両親と住んでいた家だということだ。これで、主殿の素性が解る。円香さんからの宿題の一つが解決した瞬間だ…
続きを読む2023/02/26
【第四章 連合軍】第八話 【王国】
王国には、大きく二つの派閥が存在している。 一つは、今の国王の下にまとまって王国を大陸で一番大きな国に発展させるという思想を持っている派閥だ。 もう一つは、その国王の主義に”否”を突き付けた。前国王の兄である公爵家の当主を中心にまとまっている派閥だ。公爵は、継承権を放棄しているの。しかし、公爵の派閥には、公爵の考えを”是”と考えた継承権第三位の第三王子が身を寄せている。 国王と公爵の派閥争いは、第一・第二王子対第三王子の後継者争いにも発展している。 国王は、王太子を宣言していない。順調なら第一王子が王太子に…
続きを読む2023/02/25
【閑章 テネシー・クーラー】第四話 旧友
「マスター?」 「ん?あぁバイパスを戻ってくれ」 「うん」 「興津川を過ぎたら、四つ目・・・。いや、三つ目の信号を右折。近づいたら知らせる」 「三つ目?」 「そうだ」 男は、マスターからの指示通りに、興津川を過ぎてから、目印になる信号を探した。 1キロ程度走ってから、男は心配になってきた。 「マスター?信号がないよ?」 「大丈夫だ」 「わかった」 一つ目の信号が見えてきたので、男も安心した。 一つ目と二つ目は、押しボタン式だ。男は、二つ目の信号を越えてから追い越し車線に移動した。右折というからには、追い越し…
続きを読む2023/02/23
【第三章 復讐の前に】第十八話 警察沙汰
ユウキが学校に通っている時間は、アインスとツヴァイとドライは、敷地内で自由に生活をしている。 そして、アインスとツヴァイとドライは、シルバーフェンリルだ。犬とは違う。そして、毒物への耐性も取得している。 ユウキがバイトから帰ってきて、バイクを駐車場に止めた。 駐車場には、アインスが待っていた。 「アインス?」 いつもなら、転移ゲートの近くに居る事が多いアインスがユウキを出迎えた。 アインスは、シルバーフェンリルたちのリーダー格なので、転移ゲートを守る事を仕事と捉えていた。 そして、ユウキの足下に形が崩れたク…
続きを読む2023/02/22
【第三章 帝国脱出】第三十八話 野営
おっさんは、後始末をダストンとロッセルとイーリスに任せて、バステトと森に向かう。今度は、カリンが一緒だ。イザークは一緒に行きたがっていたが、イーリスに押し付けるようにして、おっさんとカリンとバステトで森に向かった。 「まーさん?」 森に入ってから、おっさんが一言も話していないのに違和感があった。 カリンも単独で森の浅い層くらいなら探索ができる。 「あぁ誘っておいて、悪いな」 「いえ」 「バステトさんが”何か”を見つけて、その場所に向かっているのだけど・・・」 「え?バステトさんが?」 ”にゃ!” バステトが…
続きを読む2023/02/21
【第九章 ユーラット】第十一話 裏話
俺は、オリビアとアーデルベルトから、ユーラットを囮にした作戦の詳細を聞いている。作戦が決まったので、会議室で説明をしたいと呼び出された。 危険はあるが、二人だけではなく、皆が作戦の実行を支持しているようだ。 サンドラも途中から加わって、3人から説明を始めた。ドーリスが書類を持ってきて、補足を説明する為に残って、俺の説得に加わった。 作戦には、マルスとセバスも立案に携わっている。 ユーラットのギルドと神殿のギルドも協力を表明している。 この段階で、俺がストップしても止まらないだろう。 それに、いい加減に帝国か…
続きを読む2023/02/21
【第二十九章 鉱山】第三百話
ファビアンと10階層のセーフエリアで別れた。 4人には改めて説明をした。 これからが本当の戦いだと認識させるためだ。4人の顔つきも変わってきた。 ルートガーが居ない事に最初は戸惑っていたが、強くなろうという意識はあったのだろう。 10階層までの戦闘で、戦闘の入り方や終わらせ方が洗練され始めている。 「どうする?」 「ツクモ様。どうするとは?」 「スマン。スマン。10階層のフロアボスは、低階層と中階層を繋いでいるボスで、中階層の階層主と同じ強さだ。俺の見立てでは、お前たちだけで討伐は可能だと思う。しかし、少し…
続きを読む2023/02/20
【第五章 共和国】第五十一話 再びのアルトワ
ダンジョンの攻略を終わらせて、王国に帰還するために、拠点を築いたアルトワ町に向かっている。 より正確に言えば、アルトワダンジョンに向かっている。 俺たちだけなら、アルトワダンジョンの最下層からウーレンフートに移動することも出来るのだが、国境で証拠を残す必要がある。 『マスター』 俺の横で静かに作業をしていたエイダが話しかけてきた。 「終わったのか?」 『是』 クォートとシャープと合流して、報告を受けたのだが、俺たちが攻略を見送った小さなダンジョンや、未発見状態だったダンジョンを攻略してきた。眷属を自由に増や…
続きを読む2023/02/19
【第七章 神殿生活】第十五話 王都へは?
神殿での役割が決まって、これからの事を決める前に、王都の奴隷商(アッシュ)の所に行こうかと思っていた。 王都の様子も気になる。 教会勢力と宰相派閥とローザス派閥。それに、王族を指示する派閥が複雑に絡み合っている。正直、神殿に影響がなければ放置でもいいと思っているが、どうやら宰相派閥の中に、俺たちの”敵”が居るらしい。教会勢力も、いくつかに分断されている状況で、こちらに手を出してくるか解らない。友好的なのか、敵対的なのか、その時の状況次第だろう。 数日は、神殿で皆に意見を聞きながら調整を行っていた。 俺が、神…
続きを読む2023/02/18
【キミへの返事】まだ、私のこと・・・。好き?
「キミが好きだ。付き合って欲しいとは言わない。僕が、キミを好きな事を知って欲しかった」 僕は、なけなしの勇気を振り絞って、キミに告白をした。 「え?」 困惑しているキミに申し訳なさがこみ上げて来る。 「困るよね?」 「ううん。嬉しい」 「ありがとう」 僕は、キミから”嬉しい”と言われただけで満足だ。 「待って!」 「え?」 「返事・・・。ちょっとだけ待って・・・。欲しい。君の誕生日に・・・。返事をする。から、電話を掛けてきて・・・。欲しい」 「わかった」 僕の初めてで、最後の告白は、終わった。 キミは、ご家…
続きを読む2023/02/18
【第四章 スライムとギルド】第七話 道中
「あ!」 主殿が、急に困った顔をしました。 「どうしました?」 「茜さん。私たちの家の場所は把握されていますか?」 言っている意味が解らない。解らないけど・・・。 「正確な場所はわかりません。大凡の場所は把握しています」 これで合っているのか不安ですが、他に言いようがありません。主殿の家の位置は、把握していますが、正しいか解りません。 「そうですか・・・。それなら、家への道は解りますか?」 「はい?」 「かなりの坂道です。私は、慣れているので大丈夫ですが・・・」 やっと、主殿が何を心配しているのか解りました…
続きを読む2023/02/17
【第四章 連合軍】第七話 王国のダンジョン
「カンウ様!」 王国でゲリラ戦闘を楽しんでいた・・・。 王国でゲリラ戦術で戦闘を行っていた。カンウとヒアに、モミジとミアが合流してきた。 ミアが呼んだのは、カンウだ。 ヒアがミアの姿を見つけたが、ミアはヒアではなくカンウに駆け寄った。モミジは笑いを堪えている。 「モミジとミアか?他は?」 「連れてきましたが、神聖国に向った王国を後ろから攻めています。既に、物資は奪ってあります」 「そうなると、ここからは4人での行動か?」 「はい。魔王様から、王国のダンジョンを潰せと命令を頂いています」 「ヒア!」 「はい」…
続きを読む2023/02/17
【閑章 テネシー・クーラー】第三話 邂逅と懺悔
マスターは振るえる手で、振るえる足を押さえつける。 膝をついて、泣き叫び、謝罪の言葉を投げかければ、どんなに楽か・・・。しかし、マスターは、”自分にはその資格がない”と思っている。 交番の扉に手をかける。 寂れた港町の寂れた交番。 凶悪事件など、30年以上発生していない。 交番には、3人の警官が勤務している。 一人は、住み込みのはずだ。マスターは、男に頼んで、一人の警官に関しての情報も教えてもらっていた。男も、知っていた。しかし、マスターの指示が、まさか駅に繋がる道だとは思わなかった。そして、今までの寄り道…
続きを読む2023/02/17
【第三章 復讐の前に】第十七話 日常
侵入者の処理をヒナに託して、ユウキは自宅に戻った。 マイとの約束を果たすために準備をしなければならなかった。 準備は、そんなに難しい事ではなかったが、場所の選定に困っていた。 アインスたちが私有地に入り込む侵入者を防いでくれるようになった。それでも、まだ侵入を行う者は出てくるのだが、以前よりは少なくなっている。家の中には、ウミとソラがいる。 家から浜に繋がる場所も、家の一部なのだが、アインスたちのおかげと、立地から人目がない。 ユウキは、マイの依頼を達成するための準備を、この場所で行うことにした。 まずは、…
続きを読む2023/02/16
【第三章 帝国脱出】第三十七話 おっさん探す
おっさんは、バステトと森を駈けている。 バステトが、おっさんを誘導している。 おっさんは帝国の脱出を公言している。 その為には、どこかの国に身を寄せるのが最初に考える方法なのだが、おっさんはもう一つの方法で動いている。 その為に、森の中で不自由なく活動ができる状態には、鍛えている。 正確に言えば、おっさんとバステトが揃っていれば、森の中心部に行かなければ、対処が可能だ。 中心部から溢れ出たイレギュラーな魔物が現れることもあるが、おっさんもバステトも逃げている。試していないが、カリンが居れば十分に対応ができる…
続きを読む2023/02/15
【第九章 ユーラット】第十話 呼び出し
報告会が行われてから、皆が動き始めた。 アデレードとオリビアとサンドラは、神殿の主であるヤスに許可を求めた。 最悪の状況をしっかりと説明をした。 正直な話として、神殿が受けるメリットは少ない。”ほぼない”と言ってもいいだろう。それでも、ヤスは作戦の実行を許可した。 リーゼの安全が確保されていることや、マルスからも作戦の実行中に神殿部分に被害はないだろうと推測している。 危険なのは、トーアヴェルデとウェッジヴァイクだろう。二つ目には、戦力を配備している。帝国に面している森にも戦力を配置している。 会議が終了し…
続きを読む2023/02/14
【第二十九章 鉱山】第二百九十九話
ゼーウ街に着くまで、ルートガーは抵抗していたが、決定は変えなかった。ルートガーに悪いが、ゼーウ街で、ゆっくりとデ・ゼーウの手伝いをして欲しい。 ゼーウ街から、ダンジョンまではスムーズに移動が出来た。 デ・ゼーウが手配を終わらせていて、俺たち6名はすんなりとダンジョンに入ることが出来た。 カイとウミとライは、俺の側に居る。 ダンジョンには、俺とイェレラとイェルンとロッホスとイェドーアとデ・ゼーウからのごり押しで、ファビアンが一緒に潜っている。 ファビアン以外の4人には、ルートガーの”ツケ”で武器と防具を渡して…
続きを読む2023/02/13
【第五章 共和国】第五十話 幼き記憶
おいらの名前は、アルバン。 親に与えられた名前は、別にあるのだが、兄ちゃんから、”真名(まな)”を教えない設定でかっこいいと言われた。凄く気に入っている。真名(まな)は誰にも教えない。おいらだけが知っている。魂の名前。 兄ちゃんには、もちろん真名(まな)を教えている。 でも、普段は、アルと呼んでくれる。慣れているのもあるが、しっくりくる。自分が呼ばれていると思える。今更、真名(まな)で呼ばれてもしっくり来ない。 兄ちゃんには、おいらの事は、クリス姉ちゃんから指示を受けたおっちゃんと一緒に旅(行商)をしてきた…
続きを読む2023/02/12
【第七章 神殿生活】第十四話 人材
皆が作業と確認を行うために、部屋から出ていく.残ったのは、ミトナル(肩にマヤ)とイリメリだけだった。 「リン君。お願いが」「何?」 イリメリの発言を遮るように、ミトナルが俺の前に現れる。 「ミトナル。そうね」 「うん」 何か、二人で納得している。 「リン。皆に、護衛を付ける」 「あぁ・・・。そんな事を言っていたな」 「それなら、僕が案内する」 ミトナルとマヤが、皆に眷属を紹介しながら、護衛になりそうな者を探すようだ 状況から、アデレード殿下には複数の護衛を付けた方がいいだろう。 「ミル。マヤ。頼めるか?あと…
続きを読む2023/02/11
【静けさの中で】風に誓う想い
私は、独り・・・。寂れた港町にある。寂れた灯台に来ている。 私の日課だ。月に一度は、花束を持ってくる。そして、祈りと共に海に返す。 あとどの位、祈りを捧げられるのだろうか? 私の罪が許されるわけがない。許されることは望んでいない。しかし、私は祈りを捧げられなくなることが怖い。死よりも怖い。 灯台に寄りかかるようにして、海風を感じる。 全ての音がかき消されて、海風の調べだけが聞こえてくる。 死した彼女との会話。波の音も、風の音も、全てが無意味になり、静寂が訪れる。 静けさの中で、私は思考の海に深く深く潜る。 …
続きを読む2023/02/10
【第四章 スライムとギルド】第六話 緊張する
最悪だ。 今までにないくらい興奮もしている。しかし、緊張が、興奮を上回っている。吐きそうになってしまっている。 最初は、円香さんも、蒼さんも、孔明さんも付いてくると言ってくれていたが、蒼さんは、私たちが(主殿から提供された情報を、検証してマイルドな物から)公表した件に関して、元の職場から呼び出しが掛かった。 この時点で、主殿には約束をしていて、日時の変更を言い出しにくい状態になってしまっていた。主殿に都合がいい日をいくつか出してもらって、その中から選んだのはギルド側だ。 でも、蒼さんが居なくても、孔明さんで…
続きを読む2023/02/09
【第四章 連合軍】第六話 フォリの覚悟
「どうなっている!」 豪華な天幕で怒鳴っているのは、王国からの遠征軍を率いている任命されたばかりの将軍だ。 「はっ。現在。未確認のアンデッドと交戦中」 「解っている。神聖国はどうした!アンデッドなら、奴らなら対処ができるだろう!」 「それが、神聖国も交戦中で、戦力を送ることができないと・・・」 「ふざけるな!何とかしろ!」 『何とかしろ』は、指示ではない。 将軍は、王国の男爵家の次男で、勝てる戦だと思い込んで、自分を売り込んでいた。長男の跡継ぎを追い落とすために、魔王ルブランおよび魔王カミドネの討伐作戦に参…
続きを読む2023/02/09
【閑章 テネシー・クーラー】第二話 遠き記憶
男は、食器を片づけて、座ってTVを見ているマスターを見る。 「(こうして見ると、凶悪な犯罪の前科があるようには思えない)」 テーブルに座っている様子も、崩して座っているわけでもなければ、長い間の慣習で背筋を伸ばして座るわけもない。 「(体幹が整っている元スポーツ選手や身体を鍛えている大学の教授だな。あとは、執筆業の傍ら身体を鍛えている?ふふふ。誰もバーテンダーだとは思わないだろうな)」 「おい」 「何?マスター?」 「気持ち悪い目で見るな。殴りたくなる」 「酷いな」 「まだ、時間は早いな。仮眠を取る。鍵」 …
続きを読む2023/02/08
【第三章 復讐の前に】第十六話 侵入者
伊豆の拠点にフォレストキャットとシルバーフェンリルを連れて帰った。 状況を説明したら、ヒナとレイヤが呆れて居た。サトシのオルトロスを捕まえようとしていたのには、笑い始めてしまった。オルトロスを連れて帰ったら、すぐに話題になって、マスコミで家の周りが埋め尽くされるだろう。世界各国からインタビューという名前の強制撮影が始まるのが解り切っている。 幻影のスキルを使えば、解らないようにするのは可能だが、かけ続けるのは面倒だ。道具に付与しようにも、わざわざオルトロスを眷属にする意味はない。サトシも解っていると思ったの…
続きを読む2023/02/07
【第三章 帝国脱出】第三十六話 おっさん走る
「おっちゃん!」 呼び止める声を聞いて、おっさんは足を止める。 「イザークか?今日はどうした?」 「アキ姉が、カリン姉ちゃんと一緒に素材の採取に出かけた」 「ん?それは聞いているけど、イザークは一緒に行かなかったのか?」 「うん。なんか、ダストンさんが・・・。おっちゃんを探していた」 「ははは。イザーク。先にそれを伝えた方がいいぞ。誰からだ?」 「イーリス姉ちゃん」 「イーリスが許しているからいいけど、ダストンやロッセルが居る所で、しっかりとしろよ?」 「うん。その場合には、姫様と呼んでいるから大丈夫。イー…
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