サイト小説の記事一覧

2023/02/17

【第三章 復讐の前に】第十七話 日常

侵入者の処理をヒナに託して、ユウキは自宅に戻った。 マイとの約束を果たすために準備をしなければならなかった。 準備は、そんなに難しい事ではなかったが、場所の選定に困っていた。 アインスたちが私有地に入り込む侵入者を防いでくれるようになった。それでも、まだ侵入を行う者は出てくるのだが、以前よりは少なくなっている。家の中には、ウミとソラがいる。 家から浜に繋がる場所も、家の一部なのだが、アインスたちのおかげと、立地から人目がない。 ユウキは、マイの依頼を達成するための準備を、この場所で行うことにした。 まずは、…

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2023/02/16

【第三章 帝国脱出】第三十七話 おっさん探す

おっさんは、バステトと森を駈けている。 バステトが、おっさんを誘導している。 おっさんは帝国の脱出を公言している。 その為には、どこかの国に身を寄せるのが最初に考える方法なのだが、おっさんはもう一つの方法で動いている。 その為に、森の中で不自由なく活動ができる状態には、鍛えている。 正確に言えば、おっさんとバステトが揃っていれば、森の中心部に行かなければ、対処が可能だ。 中心部から溢れ出たイレギュラーな魔物が現れることもあるが、おっさんもバステトも逃げている。試していないが、カリンが居れば十分に対応ができる…

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2023/02/15

【第九章 ユーラット】第十話 呼び出し

報告会が行われてから、皆が動き始めた。 アデレードとオリビアとサンドラは、神殿の主であるヤスに許可を求めた。 最悪の状況をしっかりと説明をした。 正直な話として、神殿が受けるメリットは少ない。”ほぼない”と言ってもいいだろう。それでも、ヤスは作戦の実行を許可した。 リーゼの安全が確保されていることや、マルスからも作戦の実行中に神殿部分に被害はないだろうと推測している。 危険なのは、トーアヴェルデとウェッジヴァイクだろう。二つ目には、戦力を配備している。帝国に面している森にも戦力を配置している。 会議が終了し…

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2023/02/14

【第二十九章 鉱山】第二百九十九話

ゼーウ街に着くまで、ルートガーは抵抗していたが、決定は変えなかった。ルートガーに悪いが、ゼーウ街で、ゆっくりとデ・ゼーウの手伝いをして欲しい。 ゼーウ街から、ダンジョンまではスムーズに移動が出来た。 デ・ゼーウが手配を終わらせていて、俺たち6名はすんなりとダンジョンに入ることが出来た。 カイとウミとライは、俺の側に居る。 ダンジョンには、俺とイェレラとイェルンとロッホスとイェドーアとデ・ゼーウからのごり押しで、ファビアンが一緒に潜っている。 ファビアン以外の4人には、ルートガーの”ツケ”で武器と防具を渡して…

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2023/02/13

【第五章 共和国】第五十話 幼き記憶

おいらの名前は、アルバン。 親に与えられた名前は、別にあるのだが、兄ちゃんから、”真名(まな)”を教えない設定でかっこいいと言われた。凄く気に入っている。真名(まな)は誰にも教えない。おいらだけが知っている。魂の名前。 兄ちゃんには、もちろん真名(まな)を教えている。 でも、普段は、アルと呼んでくれる。慣れているのもあるが、しっくりくる。自分が呼ばれていると思える。今更、真名(まな)で呼ばれてもしっくり来ない。 兄ちゃんには、おいらの事は、クリス姉ちゃんから指示を受けたおっちゃんと一緒に旅(行商)をしてきた…

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2023/02/12

【第七章 神殿生活】第十四話 人材

皆が作業と確認を行うために、部屋から出ていく.残ったのは、ミトナル(肩にマヤ)とイリメリだけだった。 「リン君。お願いが」「何?」 イリメリの発言を遮るように、ミトナルが俺の前に現れる。 「ミトナル。そうね」 「うん」 何か、二人で納得している。 「リン。皆に、護衛を付ける」 「あぁ・・・。そんな事を言っていたな」 「それなら、僕が案内する」 ミトナルとマヤが、皆に眷属を紹介しながら、護衛になりそうな者を探すようだ 状況から、アデレード殿下には複数の護衛を付けた方がいいだろう。 「ミル。マヤ。頼めるか?あと…

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2023/02/11

【静けさの中で】風に誓う想い

私は、独り・・・。寂れた港町にある。寂れた灯台に来ている。 私の日課だ。月に一度は、花束を持ってくる。そして、祈りと共に海に返す。 あとどの位、祈りを捧げられるのだろうか? 私の罪が許されるわけがない。許されることは望んでいない。しかし、私は祈りを捧げられなくなることが怖い。死よりも怖い。 灯台に寄りかかるようにして、海風を感じる。 全ての音がかき消されて、海風の調べだけが聞こえてくる。 死した彼女との会話。波の音も、風の音も、全てが無意味になり、静寂が訪れる。 静けさの中で、私は思考の海に深く深く潜る。 …

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2023/02/10

【第四章 スライムとギルド】第六話 緊張する

最悪だ。 今までにないくらい興奮もしている。しかし、緊張が、興奮を上回っている。吐きそうになってしまっている。 最初は、円香さんも、蒼さんも、孔明さんも付いてくると言ってくれていたが、蒼さんは、私たちが(主殿から提供された情報を、検証してマイルドな物から)公表した件に関して、元の職場から呼び出しが掛かった。 この時点で、主殿には約束をしていて、日時の変更を言い出しにくい状態になってしまっていた。主殿に都合がいい日をいくつか出してもらって、その中から選んだのはギルド側だ。 でも、蒼さんが居なくても、孔明さんで…

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2023/02/09

【第四章 連合軍】第六話 フォリの覚悟

「どうなっている!」 豪華な天幕で怒鳴っているのは、王国からの遠征軍を率いている任命されたばかりの将軍だ。 「はっ。現在。未確認のアンデッドと交戦中」 「解っている。神聖国はどうした!アンデッドなら、奴らなら対処ができるだろう!」 「それが、神聖国も交戦中で、戦力を送ることができないと・・・」 「ふざけるな!何とかしろ!」 『何とかしろ』は、指示ではない。 将軍は、王国の男爵家の次男で、勝てる戦だと思い込んで、自分を売り込んでいた。長男の跡継ぎを追い落とすために、魔王ルブランおよび魔王カミドネの討伐作戦に参…

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2023/02/09

【閑章 テネシー・クーラー】第二話 遠き記憶

男は、食器を片づけて、座ってTVを見ているマスターを見る。 「(こうして見ると、凶悪な犯罪の前科があるようには思えない)」 テーブルに座っている様子も、崩して座っているわけでもなければ、長い間の慣習で背筋を伸ばして座るわけもない。 「(体幹が整っている元スポーツ選手や身体を鍛えている大学の教授だな。あとは、執筆業の傍ら身体を鍛えている?ふふふ。誰もバーテンダーだとは思わないだろうな)」 「おい」 「何?マスター?」 「気持ち悪い目で見るな。殴りたくなる」 「酷いな」 「まだ、時間は早いな。仮眠を取る。鍵」 …

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2023/02/08

【第三章 復讐の前に】第十六話 侵入者

伊豆の拠点にフォレストキャットとシルバーフェンリルを連れて帰った。 状況を説明したら、ヒナとレイヤが呆れて居た。サトシのオルトロスを捕まえようとしていたのには、笑い始めてしまった。オルトロスを連れて帰ったら、すぐに話題になって、マスコミで家の周りが埋め尽くされるだろう。世界各国からインタビューという名前の強制撮影が始まるのが解り切っている。 幻影のスキルを使えば、解らないようにするのは可能だが、かけ続けるのは面倒だ。道具に付与しようにも、わざわざオルトロスを眷属にする意味はない。サトシも解っていると思ったの…

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2023/02/07

【第三章 帝国脱出】第三十六話 おっさん走る

「おっちゃん!」 呼び止める声を聞いて、おっさんは足を止める。 「イザークか?今日はどうした?」 「アキ姉が、カリン姉ちゃんと一緒に素材の採取に出かけた」 「ん?それは聞いているけど、イザークは一緒に行かなかったのか?」 「うん。なんか、ダストンさんが・・・。おっちゃんを探していた」 「ははは。イザーク。先にそれを伝えた方がいいぞ。誰からだ?」 「イーリス姉ちゃん」 「イーリスが許しているからいいけど、ダストンやロッセルが居る所で、しっかりとしろよ?」 「うん。その場合には、姫様と呼んでいるから大丈夫。イー…

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2023/02/07

【第九章 ユーラット】第九話 最終確認

カイルは緊張した面持ちで、立ち上がった。 イチカも、カイルと一緒に立ち上がったが、カイルよりは余裕が見える。 二人は、報告書で大丈夫というサンドラからの提案を、皆の前でしっかりと発表をしたいと言い切った。質問にも答えると言っている。 まだ早いという意見もあったのだが、二人は神殿に住む子供たちのリーダーの役割を持っている。実際に、子供の数は、成人している者から神殿にアタックしている者と西側に住む者たちを除けば、最大の人数になっている。大人たちがなんとなく、種族でまとまっているのに対して、子供たちは種族でまとま…

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2023/02/06

【第二十九章 鉱山】第二百九十八話

新種の話は、十分ではないが、船長からの証言が取れた。 やはり、海上だろうと、新種は存在している。 問題は、”どこから来たのか?”だ。 最初に考えたことは、船長の言葉で潰された。 中央大陸よりも、他の大陸の方がおおいと感じているようだ。 もしかしたら、中央大陸では既に”新種”になっていて、”できそこない”が居ない可能性もある。 そう考えると・・・。 やはり、新種は人為的に作られているのか? 解らないことが増えただけだが・・・。知らないよりは”まし”だと考えておこう。 「ツクモ様」 船長からの伝言を受け取る。 …

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2023/02/06

【第五章 共和国】第四十九話 カルラノート

私は、カルラ。 カルラの名を継いでから5年が過ぎた。今の主は、クリスティーネ・フォン・フォイルゲン様。フォイルゲン辺境伯家のご息女で、ユリウス・ホルトハウス・フォン・アーベントロート皇太孫の婚約者だ。貴族家にしては珍しく、恋愛からの婚姻(クリスティーネ様が断言されていた)らしい。 クリスティーネ様からの指示を聞いたときに、不思議に思った。クリスティーネ様と幼年学校からのクラスメイトで少しだけ変わった感性を持っていると教えられた、アルノルト・フォン・ライムバッハ。フォイルゲン辺境伯家と同等の辺境伯の跡継ぎと、…

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2023/02/05

【第七章 神殿生活】第十三話 計画

アデレード殿下が神殿に関わることが決定した。 アデレード殿下もルアリーナも、神殿には居ない。二人は、ミヤナック辺境伯領で療養していることになっている。 アデレード殿下から、詳しい話を聞いた。 詳しい話も、隠し事をしないで全部を話してくれたようだ。ルアリーナが聞いていた話で補助を行ってくれた。 アデレード殿下とルアリーナという外部との折衝で頼りになりそうな人物が、折衝を行う事ができない。 神殿の勢力が大きくなって、独自の戦力だけで他の勢力と拮抗できるようになれば、二人が表舞台に出ても問題はないだろう。それまで…

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2023/02/03

【第四章 スライムとギルド】第五話 茜、頑張る

主殿の依頼は、いくつかあるのだが、ギルドは全部の依頼に応えることに決まった。 一つ目の依頼は、スライムが大量に発生した場所のリストアップだ。リストアップは、私の仕事だ。主殿の話で、1年未満で大丈夫だと言われたが・・・。主殿から、いくつかの日付を教えられた。その中から、スライムや魔物の情報があった物をリストアップする。 「茜。どうだ?」 「芳しくないです。主殿が指摘した日付で、スライム発見の通報があったのは3回だけです。それも、数が多くても3体です」 「そうか・・・」 「円香さんは、どうですか?」 「孔明が、…

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2023/02/02

【第四章 連合軍】第五話 混乱

「カンウ様!」 「どうした?」 前に居る騎士のような男から繰り出される剣を捌きながら、カンウ様は僕を見て不思議そうな声をあげる。 「”どうした”ではありません。偵察ですよ。偵察!」 「ヒア。これは、王国戦力の偵察だ」 前方の杖を持った者から放たれたスキルを弾きながら、カンウ様に文句をいうが、言ってもしょうがないのは解っている。 「ヒア!左側を任せる!」 左側? スキルを発動して調べると、5人の集団がこちらに向ってきている。 戦闘音が響いていれば、近くに居る者に異変が伝わるのは当然だろう。 「”任せる”じゃな…

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2023/02/01

【第七章 神殿生活】第十二話 アデレード

私は、”アデレード=ベルティーニ・フォン・トリーア”、名前からわかっていただけると思うのですが、トリーア王家に連なる者です。 親しい者からは、アデレードではなく、”アデー”と呼ばれています。 大きく物事が動いたのは、今年のパシリカが終わった位です。 私も、パシリカを受けました。授かったスキルは”秘密”です。悪いスキルではなく、ステータスも良かったのですが、少しだけ問題が発生しました。ジョブが”癒し手”と言われる初代様と一緒に・・・。 もっと正確に言えば、初代の王妃様が持っていたジョブです。 王家や上位貴族の…

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2023/01/27

【第四章 スライムとギルド】第四話 会議

よかった。 本当に、良かった。少女・・・。主殿が連絡をしてきてくれた。 円香さんが、私に”ステータス”の事を聞けと指示を出した。 『え?ステータス?』 「はい」 『ありませんよ?』 「え?」 『あるのですか?』 「鑑定で見た時に、何か訳が解らない文字列が並んでいて、ギルドで検証を行っていますが、これがステータスではないかと思って・・・。主殿が何か知っていたら教えてもらおうかと・・・」 『あ!鑑定で見た時の文字化けですか?』 「そうです!そうです!」 『あぁ・・・』 「何か?まずい情報ですか?」 『いえ、あま…

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2023/01/27

【第四章 連合軍】第四話 セバスと二人で

緊急会議は閉会した。皆の戦意が強すぎて、少しだけ怖かった。 それだけ、俺のダンジョンを大事に思ってくれていると、考えておこう。 「セバス」 俺の部屋に場所を移動した。 セバスが、着替えたいと申し出たので許可を出した。すぐに戻ってくるかと思った。戦装束の姿から、薄手のワンピースを羽織っただけの姿だ。正直に言えば、目のやり場に困る。セバスなら、ジロジロと見られたとしても文句は言わないだろう。男の矜持として、視線は動かさない。”見たい”が見ない。 「はい。魔王様」 「どこが、最初に動くと思う?」 「神聖国に攻め込…

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2023/01/26

【閑章 テネシー・クーラー】第一話 遠き日

マスターは、店が入っている雑居ビルの前で、男の到着を待っていた。 「おまたせ」 マスターの横に、古い車が停まっている。窓が開けられて、マスターがよく知っている男が声を掛ける。 マスターは、何も言わないで助手席のドアを開けて乗り込む。 「出せ」 「マスターは、僕にすこしくらいは優しくしてもいいとおもうよ」 「煩い。俺は、寝る。富士川で起こせ。そこから、指示を出す」 「はい。はい。富士川?新東名じゃない?」 「あぁ」 「わかった・・・。もう、寝ているよ。本当に、マスターは変わった」 男は、眠り始めるマスターを見…

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2023/01/25

【第三章 復讐の前に】第十五話 犬と猫

マイが先導する形で王城を案内している。 ユウキも知っている場所なので、場所を教えてもらえれば、移動は可能なのだが、ユウキや地球に戻った者たちは、レナートから出た人間と公表しているために、建前だが、レナートに残った者たちが案内をするという体裁が必要になる。 「ん?庭じゃないのか?」 通された部屋で、ユウキは怪訝な表情を浮かべて、マイに質問をする。 「えぇこの部屋で少しだけ待っていて欲しい」 ユウキは、マイの雰囲気から事情を察した。 「わかった。ヴェルが治療中か?」 マイは、肩をすくめる動作をするに留めた。 「…

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2023/01/25

【第三章 帝国脱出】第三十五話 周辺事情

おっさんは、代官のダストンを、ロッセルに押し付けることに成功した。 辺境伯領は、好景気に湧き始めている。 ロッセルが辺境伯の領都に来てから5年で辺境伯領だけではなく、近隣や派閥の貴族領を取り巻く情勢は大きく動いた。 まず、ロッセルはおっさんよりも大胆な提案をダストンにおこなった。 市民権を、現在の30万イエーンから、3万イエーンに値下げした。それだけではなく、3万イエーンが払えない者は、貸し付けを行う。返還は、辺境伯領への奉仕活動で捻出させるという事だ。そして、成人前の子供は(仮)市民権を発行することに決ま…

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2023/01/24

【第九章 ユーラット】第八話

「サンドラ。それでは、オリビア殿下は、問題になりそうな行動はしていないのだな」 資料の読み込みの時間を経て、私がオリビア殿下と従者になっている二人の行動を説明する。 神殿への攻撃的な態度や外部への情報流出を含めて、問題がなかった事を報告する。 特に、アフネス様が心配して、ユーラットに居る人たちが心配していたのが、ユーラットに残る問題児たちを処罰した時に、オリビア殿下がどう動くか?リーゼやヤス様に危害を加えようとするのか?そもそも、問題児たちへの対応を考えているのか? 「はい。アフネス様」 結論は出ている。 …

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2023/01/24

【第二十九章 鉱山】第二百九十七話

船の中で、食事を摂って、カイとウミとライと遊んでいたら、扉がノックされた。 「ツクモ様」 ルートガーの声だ。 船長に余裕ができたのか? 「いるよ?」 「はぁ・・・」 「鍵は開けてある」 「はぁ・・・。入るぞ?」 ルートガー。ため息はないだろう、ため息は・・・。 「あぁ」 扉が開けられて、ルートガーと従者が入ってきた。 後ろには、乗船の時に挨拶をした船長ともう一人が付き従うように入ってきた。 少しだけ、本当に少しだけ狭く感じてしまう。 ルートガーを抗議の意味を込めて睨んでおく。ルートガーも意味が解るのだろう、…

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2023/01/23

【第五章 共和国】第四十八話 浸食

話しかけてきた男は、またダンジョンに潜るらしい。男たちの後ろに居た商人風の男は、ダンジョンに潜らないようだ。 しかし、商人風の奴は・・・。視線が気になる。確かに、商人に見えるが、何か違和感がある。 しっかりとした根拠があるわけではない。ねちっこく観察されているように思える。商人の視線”だけ”ではない。値踏みしているような視線は、何度も向けられたことがある。辺境伯の跡取りを見るような視線とも違う。敵対している者を見るような視線でもない。 未知な視線だ。確実に俺を見ている。実に気持ちが悪い。 商人風の男は、別の…

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2023/01/23

【第七章 神殿生活】第十一話 事情

皆の視線が集中したアデレード殿下は、大きなため息で、”困っています”をアピールしている。 「アデー?何を困っているの?」 さすがは、”空気を読まない”マヤが、アデレード殿下の目論みを潰す。 ルアリーナが苦笑を浮かべて、アデレード殿下に助け船を出す。 「アデレード殿下。ここには、アデレード殿下の味方しか居ません。それに、アイツらの事なら大丈夫です。私たちの、リン君の敵です」 ルアリーナは、事情を知っているようだ。 ミヤナック家と相談した時に、ルアリーナが事情を聞いたのだろう。 「え?」 アデレード殿下は、俺た…

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2023/01/22

【第四章 スライムとギルド】第三話 スキル調査

私が鑑定を得たように、千明もスキルを得ていた。 「それで、千明は、どんなスキルを得たの?」 「”水”スキル?」 「疑問形で言われても、解らないわよ」 ”みゃみゃみゃぁ” 「え?アトス?本当?」 「千明?」 「あのね。茜に、見てもらえれば、”スキルが解る”だって」 「え?スキルは見えないよ?」 ”にゃっにゃぁぁ” 「え?そうなの?千明。私の手を握ってくれる?それで、”ステータス・ディスクロージャー”と、私が言えばいいみたい?」 孔明さんと蒼さんの視線が怖い。円香さんが、私の肩を触ろうとしているのを、孔明さんが…

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2023/01/21

【第四章 連合軍】第三話 トップ会談

連合国から提供されたアイテムを使って、会談が実行される運びとなった。 参加国は、神聖国と王国と連合国のトップであるエルプレだ。 今までも、中央の魔王への対応で、三か国は足並みを揃えたことがあった。 しかし、今回は今までよりも大きな脅威に立ち向かう必要がある。 連合国から提供されたのは、意識を別の人間や魔物に乗り移させる道具だ。 そして・・・。 神聖国の教皇が選んだのは、魔物ではなく見目が麗しい男児だ。 王国の国王が選んだのは、自分の子供だ。使い道がなく、殺す一歩手前まで来ていた者だ。 エルプレが選んだのは、…

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