サイト小説の記事一覧
2023/01/03
【第五章 共和国】第四十六話 地上
地上には一気に戻らなかった。最下層のボスが居た場所には、魔法陣が出現している。 一気に戻る方法は存在している。戻る場所がダンジョンの外側に設定されているために、使うのを躊躇っていた。エイダの解析でも、設定の変更は不可能だと言われてしまった。ダンジョンに組み込まれている機能のようだ。オーバライドが可能かもしれないが、解析を行って、組み込みを作るのなら、俺たちしか使わないことを考えれば必要がない。入口近くに転移するゲートを設置したほうが合理的だ。 「カルラ。アル」 二人を呼び寄せて、俺の考えを伝える。 「兄ちゃ…
続きを読む2023/01/01
【第七章 神殿生活】第九話 案内
揉めるかと思ったが、ゲートを入る順番は最初から決めていたようだ。 最初は、ナッセ・ブラウンが入った。 フェナサリム(重久真由)が続いた、最後に残ったのは、イリメリ(静川瞳)だ。 タシアナ(韮山里穂)の弟や妹たちは、まだ商隊と一緒に待機してもらっている。まずは、ギルドのメンバーと商隊の主要メンバーだけが、神殿に入ることに決まったようだ。順番や神殿に向かう人選は、関与していない。 俺とセバスチャンで、ゲートの周りを確認する。 「セブ。こっちは頼む。後で、眷属を向かわせる」 「わかりました。いってらっしゃいませ」…
続きを読む2022/12/18
【第七章 神殿生活】第八話 通行証
「リン=フリークス」 リカールが、背筋を伸ばして、俺を真正面から見ながら、名前を呼んだ。 見ていた書類から目を離して、リカールを見つめ返す。 「なんでしょうか?」 「サリーカの言葉を信じて、ここまで来た。まずは・・・」 リカールの言葉を遮る形になるが、手を上げた。リカールも、俺の意図が解るのだろう。言葉を切って、俺を見て来る。 「わかりました。神殿に行きましょう」 安堵の表情を浮かべる。 何があるのか解らないが、商隊の中での駆け引きがあるのだろう。 「助かる。父が・・・。商隊長が煩くて・・・」 父?サリーカ…
続きを読む2022/12/07
【第二十九章 鉱山】第二百九十四話
ダンジョンを俺たちが攻略してしまえば、ダンジョンの所有権は俺たちが取得することになる。 そのうえで、ゼーウ街に借用するような契約にすればいい。 近隣の街から文句を言われたら、デ・ゼーウは俺たちに交渉を丸投げすればいい。 俺たちは、面倒だからゼーウ街に”ダンジョンを丸投げしている”立場を取る。そのうえで、他の街が交渉してきたら、デ・ゼーウ以上の好条件を出さない限りは提供しないと言えばいい。 それでも、ダンジョンにアタックする奴らは出てくるだろう。 見逃してもいい。自己責任でアタックするのなら、勝手にすればいい…
続きを読む2022/12/06
【第五章 共和国】第四十五話 設定?
扉を抜けると、階段が見えた。 下の階層に向うようだ。 降りていくと、途中で二つに別れていた。 一つは、扉で塞がれている。 もう一つは、扉はついていない。 「扉がないのは、地上に戻る部屋か?」 「わかりませんが、その可能性が高いでしょう」 扉に触れると、面倒な”箱”が現れた。寄木細工だ。 「兄ちゃん?」 「ん?アル。やってみるか?」 「うん!」 アルバンに寄木細工の箱を投げ渡す。簡単に説明をするが、俺もそこまで詳しくない。 振ると、何か入っているのが解るが、そのまま蓋を開けたのでは、鍵は取り出せない。 俺も、…
続きを読む2022/12/06
【第七章 神殿生活】第七話 セトラス商隊
料金や運用を、セバスチャンに任せて、神殿に戻った。 屋敷の隣に設置したゲートの確認の意味もあった。 「ロルフ!」 ゲートの設置場所にロルフが居た。 俺を待っていたわけではないようだが、タイミングがよかった。 『マスター』 「何組のゲートが設置できる?あと、ブロッホやヒューマからゲートの設置依頼はあるのか?」 『マヤ様とミトナル様が、整理をリソースへの還元を行っています。現状では、残りは6組です。リソースへの還元が終了すれば、10組になる予定です』 「そうか・・・」 まずは、ギルドへの依頼をしなければならない…
続きを読む2022/12/06
【第四章 スライムとギルド】第一話 贈り物
少女との会談は、無事に終了した。 無事だと思いたい。最低限。本当に、最低限のラインは守れた。少女たちと敵対はしていない。 「円香!」 孔明が何か怒鳴っているが気にしないようにしている。 千明がアトスを撫でている。私も、千明と一緒に現実逃避したい。茜は、少女からの依頼を達成するために、端末で格闘している。 「円香!」 「孔明(こうめい)。聞こえている」 「聞こえているのなら、返事をしろ。それに・・・」 孔明が見つめる先にあるのは、少女から渡された”贈り物”だ。 あの日、少女は、女王蟻をライ殿に吸収させた。 そ…
続きを読む2022/12/05
【第四章 連合軍】第一話 緊急招集?
説明を終えたミアは、座りなおして、背筋を伸ばしてから深々と頭を下げる。 内容の精査をするという理由で資料はテーブルの上に残してもらう。ミアにはこれから行う会議での資料を準備するように指示を出す。 ミアは、新たな仕事が貰えたことに喜んで、部屋から出ていく。 セバスには残ってもらった。 ミアには、残っているメンバー(眷属)を塔の最上階(玉座)に集まってもらう様に指示を出した。 ミアが部屋から出たのを確認してから、もう一度セバスには俺の正面に座ってもらう。 「セバス」 ミアが居る時には見せなかった微笑だ。ミアたち…
続きを読む2022/12/03
【第三章 復讐の前に】第十二話 雑事と
ユウキは、バイクでの通学を行う為に、免許の取得を行った。 技能はもちろん問題がない。試験も無事に合格した。年齢の問題は残ったが、特例処置が下された。海外の2輪の免許を取得しているのが、理由として上げられていた。ユウキは、準備期間を利用して海外で免許の取得を行っていた。 ユウキは、拠点から学校に通う為の家に移り住んだ。 住民票やら手続きも既に終わっている。 バイト先への初出勤も終わった。 バイトから帰ってきて、CBR400Rを駐車場に停めて、部屋に戻った。 ユウキは、小さなスマホが気にって使い始めた。スマホに…
続きを読む2022/12/02
【第三章 帝国脱出】第三十二話 愚か者
勇者たちは、お披露目を行ってからも何も変わらない日々を過ごしていた。 お披露目は、大通りをパレードする形で行われた。 盛大という言葉が相応しい状況だったが、一部の民衆は冷めた気持ちで、パレードを眺めていた。 勇者たちは、宰相派閥の貴族に引き取られるように、貴族家の屋敷に移動した。 貴族家で、傲慢な態度はさらに酷く傲慢に拍車がかかった。勇者たちは、安易な快楽に溺れて行った。 勇者の1人であり聖剣の持ち主である剣崎凱斗(けんざきかいと)は、最初の頃は、剣の訓練をしていたが、徐々に訓練も減り楽な方向に気持ちを動か…
続きを読む2022/12/01
【第九章 ユーラット】第五話 オリビア
私は、オリビア・ド・ラ・ミナルディ・ラインラント・アデヴィット。 アデヴィット。この名を持つ者は、私を入れて6名だけだ。 皇帝であるお父様。第一皇子。第二皇子のお兄様。第二皇女のお姉様。第三皇子の弟。そして私だ。 母たちには、アデヴィットを名乗る権利を与えられていない。 私の母は、身分が低かった。 そのために、つけられた従者はメルリダとルカリダの二人だけだ。従者兼メイド兼護衛だ。私も、護衛術は嗜み程度には習得しているが、命が守れるレベルではない。 父である陛下が、御病気になってから、周りが騒がしくなった。 …
続きを読む2022/11/28
【第五章 共和国】第四十四話 最適解
透明な扉は突破した。 最下層のボスは討伐した。 奥に進むための扉が開かない。 扉は、鍵がかかっている状況には思えない。 両開きの扉で、隙間があり、閂などが見えない。ダンジョンのギミックで、扉が閉められていると考えるのが妥当だろう。 扉の近くを探していると、後ろに気配を感じた。 「兄ちゃん!」 アルバンの声に驚いて、後ろを振り向くと、先ほど倒したオルトロスが現れた。 まだ臨戦態勢ではない。 時間の問題だろう。 オルトロスが現れたと同時くらいに、調べていた扉が消えて、壁に変わる。やはり、オルトロスと扉は連動して…
続きを読む2022/11/28
【第七章 神殿生活】第六話 料金設定
屋敷に戻って、セバスチャンにゲートの説明を行った。 仕組みは、俺も理解していないので、”こういう物”とだけ理解をしてもらった。セバスチャンと屋敷に戻って、神殿側のゲートやアロイ側に作ったゲートに関する修正箇所の聞き取りを行った。セバスチャンが考える問題点を上げてもらった。 簡単に言えば、貴族用は手続きを煩雑にして、”自分が優遇されていると思わせる方がいい”という事だ。簡素な手続きでは、面倒な貴族や豪商は、軽く見られると思うようだ。神殿側のゲートを出た先に、貴族用の個別の部屋を設置する。ここで、手続きを行うの…
続きを読む2022/11/28
【第三章 スライム今度こそ街へ】第二十話 少女からの提案
横に座る少女からは、害意は感じられない。 話を進めるにも、困った表情を私に向ける。本当に、”人”ではないのか?それとも、”人”なのに”魔物”なのか? 魔石の話から始めなければならない。 少女から渡された魔石の取り扱いだ。 「壊れましたか?」 私の問いかけに、少女から返ってきた話で、思考が停止してしまった。 慌てて、少女が何を言いたいのか考えた。 私の質問の仕方が悪かったようだ。 「そうではなく、主(あるじ)殿が作られたと、ライ殿から聞きました」 「そうですね。私が、魔石にスキルを付与する形ですが・・・。実際…
続きを読む2022/11/27
【第三章 魔王と魔王】第二十話 風雲急を告げる
魔王カミドネが配下になったが、支配領域が増えたくらいで何も変わらない。 俺の生活は何も変わっていない。 魔王カミドネ領域の状況も見る事ができる。 そのうえで、ポイントは魔王カミドネに還元するように設定を行っている。 魔王カミドネの領域は、俺の領域とは違った方向性で成長を始めた。ポイントも、魔王カミドネの領域だけで黒字経営が出来ている。 大きくは、森林を残した状態で、防衛を主とした戦略だ。 戦略レベルでは俺も口を出したが、防衛を実際に行う場合の戦術レベルでは、魔王カミドネと眷属が行っている。 戦略は至ってシン…
続きを読む2022/11/26
【第三章 復讐の前に】第十一話 クズ
準備が滞りなく終わって、ユウキは新しい家で過ごす時間を徐々に増やしていた。 母親が亡くなって、父親と名乗る人物に引き取られて、そのあとで捨てられた。しかし、捨てられた施設でも、その後に過ごすことになる異世界でも、ユウキは独りになることは少なかった。 特に、異世界(フィファーナ)では誰かが常に側に居た。ユウキも、誰かが側に居るのが当たり前だと思っていた。 ユウキは、独りでの生活に慣れようとしている。 学校が始まれば、一人で行動をしなければならない。 バイト先は、馬込から紹介された。 バイクを使う理由にもしてい…
続きを読む2022/11/14
【第七章 神殿生活】第五話 神殿街
ゲートの設置が終了した。 隣の部屋に居るはずの二人を呼ぶ。 俺がゲートを設置している時に、マヤとミトナルが戻ってきた。作業をしていたので、二人にはロルフの作業を手伝ってもらっている。 「ミル!マヤ!」 先に反応したのは、マヤだ。 妖精の姿のまま、俺の肩まで飛んできた。 そのあとを、ミトナルが駆け寄ってくる。その後ろを、ゆっくりとした速度で、ロルフが続いている。 俺が信頼できる3人?だ。 「終わった?」 「ゲートの設置はできた。猫人族は?」 マヤが、抱き着いているミトナルの頭の上に戻って、俺に説明をしてくれた…
続きを読む2022/11/13
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十九話 不思議な少女
「円香さん。私も行かなきゃダメですか?孔明さんと蒼さんだけで・・・。私、留守番していますよ?」 茜がまだ行かないと言っている。 二日前から同じことを繰り返している。 「茜。諦めろ。ライ殿とはお前も会っている。”行かない”のはダメだ。もしかしたら、茜か千明しか会話ができない可能性があるのだ。何度も言わせるな」 ライ殿とライ殿の主と言われる方に会う。 もしかしたら、停滞した事柄が一気に動き出すかもしれない。まだ、ギルド本部には報告を上げていない。私の所で止めている。 長沼公園での出来事は、思い返しても不思議だ。…
続きを読む2022/11/13
【第三章 魔王と魔王】第十九話 【帝国】
七番隊の隊長だったティモンが、領地となっている城塞街(村)から帝都に戻ってきていた。 魔王ルブランが、魔王カミドネを支配下に置いて、神聖国からの討伐部隊を一蹴した。その後、公式には認められていないが、斥候からの情報で、神聖国と王国の連合で討伐部隊を組織したが、魔王カミドネに完敗している。損傷率7割にもなる。大惨敗だ。 魔王カミドネは、自分が治める領地とでもいうつもりなのか、柵を設置した。 そして、柵の中に獣人族を住まわせた。森となっている場所や、水場があり、獣人族は以前よりも安心して生活ができる状況になった…
続きを読む2022/11/12
【第三章 復讐の前に】第十話 駒?
ユウキは、新居になる家の前に居た。 鍵はない。電子キーだ。パスワードと生体認証が組み込まれた扉をつけている。 監視カメラも、見つけさせる為のカメラと、隠されているカメラと、スキルで見られない状況になっているカメラを確認している。 玄関に入った。 「そうか、革靴かぁ・・・」 ユウキは、玄関に揃えて置かれていた靴を見ている。 学校には、学校指定の革靴が必要になる。他にも、学校指定とされている物が存在している。 全てとは言わないが、学校の理事の息が掛かった場所からの購入が”推奨”されている。 ユウキが準備したので…
続きを読む2022/11/09
【第九章 ユーラット】第四話 審査と予想
結局、神殿にはアイシャがオリビアの護衛として付いてくることになった。 最初は、オリビアが護衛は必要ないと言ったが、全員から却下された。 馬車を守るのは、ヒルダとルルカだ。 神殿には、オリビアとメルリダとルカリダ。そして、護衛としてアイシャが行くことになった。荷物は、オリビアの物を中心に、少なくしてもらった。必要になったら、取りにくればいいと説き伏せた。 俺はFITで向う。オリビアがFITに乗りたいようなことを言ったが、メルリダとルカリダが反対した。オリビアの話を聞いたリーゼが、最初はモンキーで帰ると言ってい…
続きを読む2022/11/08
【第二十九章 鉱山】第二百九十三話
ファビアンの話を聞いて、少しだけ考える。 新しく入れてもらったカップの縁を指で弾きながら状況を整理する。 現在、ゼーウ街には二つの問題がある。 一つが、ドワーフ族だ。これは、鉱石を求めている。厳密に言えば、自分たちが自由にできる鉱山が欲しいのだろう。ドワーフ族は、鍛冶をしていなければ、たんなる酒飲みだ。そして、鍛冶をやらせていても、多くは愚か者の集団だ。話を聞けば、ゼーウ街で文句を言っている氏(うじ)族は、武器を得意とする者たちだ。 武器の需要は確かにある。しかし、武器は消耗品になってしまっているために、品…
続きを読む2022/11/07
【第五章 共和国】第四十三話 透明な扉
黒い獣の集団を駆逐して、下層に向う。 次の階層には、魔物は居なかった。予想はしていた。黒い獣の集団は、一つの階層だけの魔物ではなかった。 「エイダ。黒い石が無いか調べてくれ」 『了』 下層に向う階段を探しながら、黒い石を探す。 階段を見つけるまでに、13個の黒い石を発見した。実際には、もっとあるのだろう。エイダの探索にも限界はある。 黒い石が機能していることから、このダンジョンも制御室があるはずだ。 最下層に設置されているはずの、制御(サーバー)室(ルーム)で”黒い石”を一斉に駆除したい。一斉の駆除が可能な…
続きを読む2022/11/06
【第七章 神殿生活】第四話 ゲート
ロルフと一緒に、支配領域を確認する。 「ロルフ。マヤは?」 「マヤ様は、ミトナル様と一緒に猫人族に神殿の案内をしています」 「そうか・・・。猫人族は、馴染めそうか?」 「はい。マヤ様が、お話を聞いて、神殿の一部・・・。訓練場所に指定していた場所を、猫人族用に変更しました」 「それはよかった」 「はい」 セバスチャンから渡された書類を見ながら、支配領域に組み込む場所を確認する。 結果、かなりの領域が、支配領域に組み込まれる。 まずは、メルナの屋敷と屋敷の周辺を支配領域に組み込む。建物があるためなのか、予想より…
続きを読む2022/11/06
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十八話 スライムとギルド
新しい服の購入は諦めた。諦めたというよりも、私のことを簡単に説明する方法を考えついた。 制服姿になって、待ち合わせ場所で待っていることにした。 ライはギルドの人に解りやすくするために、スライムの姿で待っていることにした。 私もライも、結界を張って、隠蔽のスキルを発動すれば、認識は難しい。 家の近くで試してみたが、誰も私が居るとは気が付かなかった。テストの仕上げは、最寄り駅の駐輪場で行ってみたが、誰にも気が付かれなかった。 スライムの状態で、カーディナルとアドニスに乗って移動をして、待ち合わせ場所で制服を着て…
続きを読む2022/11/05
【第三章 魔王と魔王】第十八話 【カミドネ】
魔王カミドネの生活は、神聖国からの攻撃を退けてから、さらに変わった。 大きくは、領土が広がった。 当初は、モノリスの魔王から、ポイントの補助を貰わなければ難しかった維持も、今では自ダンジョンだけで維持ができるようになってきた。魔王カミドネは、それで独立をしようとは考えていない。独立を考えて、実行に移すことは可能だ。しかし、独立して維持するのは不可能だと考えている。 魔王カミドネの領地が広がった事で、神聖国と連合国と王国と接する境が広がった。 それだけではなく、奪ったのは神聖国の領土が殆どだ。 使い道が無かっ…
続きを読む2022/11/05
【第三章 復讐の前に】第九話
フィファーナの辺境にある小国レナート。辺境は、人類の辺境である。レナートの近くには、広大な未開の地が存在している。 その王城にある一つの部屋。召喚勇者の1人、サトシが使っている部屋。 今、部屋の主であるサトシとサトシの婚約者の1人であるマイが、ローテーブルに広がった資料を片づけながら雑談をしている。資料は、次期国王への説明が多く含まれている。 もう1人の婚約者である王女であるセシリアとマイがまとめた資料を、次期国王であるサトシに説明をしていた。説明は、優しい言い方なのは、サトシだけが理解をしていればいい。よ…
続きを読む2022/11/05
【第三章 帝国脱出】第三十一話 少年と少女
おいらたちの生活は、おっちゃんに会ってから変わった。 まずは、カリン姉がラオを治してくれた。他にも、体調が悪かった者も治してもらえた。それから、アキ姉や女の子だけが集められて、何かを話していた。話の内容は教えてもらえなかった。でも、その日から、アキ姉たちはカリン姉と一緒に居る時間が増えた。 おいらたちの寝る場所も変わった。 スラムの入口だったおいらたちの寝床は、おっちゃんによって壊された。おいらたちの少ない荷物は持ち出している。そのまま、街の入口。魔物の森が近くに広がる城壁近くに移動した。 しっかりした壁が…
続きを読む2022/11/04
【第九章 ユーラット】第三話 想定できない
ユーラットの裏側に辿り着いた。 トラックから馬車を降ろして、必要な荷物が無いか最終確認をしてもらうことになった。 「ヤス様」 「どうした?」 オリビアが荷物の整理・・・。を、するわけがなく、俺に話しかけてきた。 そりゃぁそうだな。荷物の整理は、従者が行えばいい。 「ありがとうございます」 「ん?ここは、まだ神殿ではない。神殿の近くにあるユーラットだ」 「はい。解っています」 馬車の中の荷物は散らばってしまったり、護衛に雇った者たちが持ち逃げしてしまったり、かなりの物が紛失してしまっているようだ。 オリビアの…
続きを読む2022/11/03
【第二十九章 鉱山】第二百九十二話
ファビアンの話を聞いても、よく解っていないことだけが解った。 「本当か?」 ファビアンが知っている限りだという前提だが、中央大陸にはドワーフ”だけ”が住む街や村は存在しない。エルフの様に、大陸を支配しているわけではない。 「はい。過去には、一つの大陸をドワーフ族が支配していましたが・・・」 「どうした?」 「いえ、ご存じだと・・・」 「いや。俺は、歴史に詳しくない。説明してくれると助かる」 「わかりました」 ファビアンが知っている。 中央大陸とドワーフ族の関わりと、ドワーフ族の公になっている歴史を教えてもら…
続きを読む