サイト小説の記事一覧
2023/02/07
【第九章 ユーラット】第九話 最終確認
カイルは緊張した面持ちで、立ち上がった。 イチカも、カイルと一緒に立ち上がったが、カイルよりは余裕が見える。 二人は、報告書で大丈夫というサンドラからの提案を、皆の前でしっかりと発表をしたいと言い切った。質問にも答えると言っている。 まだ早いという意見もあったのだが、二人は神殿に住む子供たちのリーダーの役割を持っている。実際に、子供の数は、成人している者から神殿にアタックしている者と西側に住む者たちを除けば、最大の人数になっている。大人たちがなんとなく、種族でまとまっているのに対して、子供たちは種族でまとま…
続きを読む2023/02/06
【第二十九章 鉱山】第二百九十八話
新種の話は、十分ではないが、船長からの証言が取れた。 やはり、海上だろうと、新種は存在している。 問題は、”どこから来たのか?”だ。 最初に考えたことは、船長の言葉で潰された。 中央大陸よりも、他の大陸の方がおおいと感じているようだ。 もしかしたら、中央大陸では既に”新種”になっていて、”できそこない”が居ない可能性もある。 そう考えると・・・。 やはり、新種は人為的に作られているのか? 解らないことが増えただけだが・・・。知らないよりは”まし”だと考えておこう。 「ツクモ様」 船長からの伝言を受け取る。 …
続きを読む2023/02/06
【第五章 共和国】第四十九話 カルラノート
私は、カルラ。 カルラの名を継いでから5年が過ぎた。今の主は、クリスティーネ・フォン・フォイルゲン様。フォイルゲン辺境伯家のご息女で、ユリウス・ホルトハウス・フォン・アーベントロート皇太孫の婚約者だ。貴族家にしては珍しく、恋愛からの婚姻(クリスティーネ様が断言されていた)らしい。 クリスティーネ様からの指示を聞いたときに、不思議に思った。クリスティーネ様と幼年学校からのクラスメイトで少しだけ変わった感性を持っていると教えられた、アルノルト・フォン・ライムバッハ。フォイルゲン辺境伯家と同等の辺境伯の跡継ぎと、…
続きを読む2023/02/05
【第七章 神殿生活】第十三話 計画
アデレード殿下が神殿に関わることが決定した。 アデレード殿下もルアリーナも、神殿には居ない。二人は、ミヤナック辺境伯領で療養していることになっている。 アデレード殿下から、詳しい話を聞いた。 詳しい話も、隠し事をしないで全部を話してくれたようだ。ルアリーナが聞いていた話で補助を行ってくれた。 アデレード殿下とルアリーナという外部との折衝で頼りになりそうな人物が、折衝を行う事ができない。 神殿の勢力が大きくなって、独自の戦力だけで他の勢力と拮抗できるようになれば、二人が表舞台に出ても問題はないだろう。それまで…
続きを読む2023/02/03
【第四章 スライムとギルド】第五話 茜、頑張る
主殿の依頼は、いくつかあるのだが、ギルドは全部の依頼に応えることに決まった。 一つ目の依頼は、スライムが大量に発生した場所のリストアップだ。リストアップは、私の仕事だ。主殿の話で、1年未満で大丈夫だと言われたが・・・。主殿から、いくつかの日付を教えられた。その中から、スライムや魔物の情報があった物をリストアップする。 「茜。どうだ?」 「芳しくないです。主殿が指摘した日付で、スライム発見の通報があったのは3回だけです。それも、数が多くても3体です」 「そうか・・・」 「円香さんは、どうですか?」 「孔明が、…
続きを読む2023/02/02
【第四章 連合軍】第五話 混乱
「カンウ様!」 「どうした?」 前に居る騎士のような男から繰り出される剣を捌きながら、カンウ様は僕を見て不思議そうな声をあげる。 「”どうした”ではありません。偵察ですよ。偵察!」 「ヒア。これは、王国戦力の偵察だ」 前方の杖を持った者から放たれたスキルを弾きながら、カンウ様に文句をいうが、言ってもしょうがないのは解っている。 「ヒア!左側を任せる!」 左側? スキルを発動して調べると、5人の集団がこちらに向ってきている。 戦闘音が響いていれば、近くに居る者に異変が伝わるのは当然だろう。 「”任せる”じゃな…
続きを読む2023/02/01
【第七章 神殿生活】第十二話 アデレード
私は、”アデレード=ベルティーニ・フォン・トリーア”、名前からわかっていただけると思うのですが、トリーア王家に連なる者です。 親しい者からは、アデレードではなく、”アデー”と呼ばれています。 大きく物事が動いたのは、今年のパシリカが終わった位です。 私も、パシリカを受けました。授かったスキルは”秘密”です。悪いスキルではなく、ステータスも良かったのですが、少しだけ問題が発生しました。ジョブが”癒し手”と言われる初代様と一緒に・・・。 もっと正確に言えば、初代の王妃様が持っていたジョブです。 王家や上位貴族の…
続きを読む2023/01/27
【第四章 スライムとギルド】第四話 会議
よかった。 本当に、良かった。少女・・・。主殿が連絡をしてきてくれた。 円香さんが、私に”ステータス”の事を聞けと指示を出した。 『え?ステータス?』 「はい」 『ありませんよ?』 「え?」 『あるのですか?』 「鑑定で見た時に、何か訳が解らない文字列が並んでいて、ギルドで検証を行っていますが、これがステータスではないかと思って・・・。主殿が何か知っていたら教えてもらおうかと・・・」 『あ!鑑定で見た時の文字化けですか?』 「そうです!そうです!」 『あぁ・・・』 「何か?まずい情報ですか?」 『いえ、あま…
続きを読む2023/01/27
【第四章 連合軍】第四話 セバスと二人で
緊急会議は閉会した。皆の戦意が強すぎて、少しだけ怖かった。 それだけ、俺のダンジョンを大事に思ってくれていると、考えておこう。 「セバス」 俺の部屋に場所を移動した。 セバスが、着替えたいと申し出たので許可を出した。すぐに戻ってくるかと思った。戦装束の姿から、薄手のワンピースを羽織っただけの姿だ。正直に言えば、目のやり場に困る。セバスなら、ジロジロと見られたとしても文句は言わないだろう。男の矜持として、視線は動かさない。”見たい”が見ない。 「はい。魔王様」 「どこが、最初に動くと思う?」 「神聖国に攻め込…
続きを読む2023/01/26
【閑章 テネシー・クーラー】第一話 遠き日
マスターは、店が入っている雑居ビルの前で、男の到着を待っていた。 「おまたせ」 マスターの横に、古い車が停まっている。窓が開けられて、マスターがよく知っている男が声を掛ける。 マスターは、何も言わないで助手席のドアを開けて乗り込む。 「出せ」 「マスターは、僕にすこしくらいは優しくしてもいいとおもうよ」 「煩い。俺は、寝る。富士川で起こせ。そこから、指示を出す」 「はい。はい。富士川?新東名じゃない?」 「あぁ」 「わかった・・・。もう、寝ているよ。本当に、マスターは変わった」 男は、眠り始めるマスターを見…
続きを読む2023/01/25
【第三章 復讐の前に】第十五話 犬と猫
マイが先導する形で王城を案内している。 ユウキも知っている場所なので、場所を教えてもらえれば、移動は可能なのだが、ユウキや地球に戻った者たちは、レナートから出た人間と公表しているために、建前だが、レナートに残った者たちが案内をするという体裁が必要になる。 「ん?庭じゃないのか?」 通された部屋で、ユウキは怪訝な表情を浮かべて、マイに質問をする。 「えぇこの部屋で少しだけ待っていて欲しい」 ユウキは、マイの雰囲気から事情を察した。 「わかった。ヴェルが治療中か?」 マイは、肩をすくめる動作をするに留めた。 「…
続きを読む2023/01/25
【第三章 帝国脱出】第三十五話 周辺事情
おっさんは、代官のダストンを、ロッセルに押し付けることに成功した。 辺境伯領は、好景気に湧き始めている。 ロッセルが辺境伯の領都に来てから5年で辺境伯領だけではなく、近隣や派閥の貴族領を取り巻く情勢は大きく動いた。 まず、ロッセルはおっさんよりも大胆な提案をダストンにおこなった。 市民権を、現在の30万イエーンから、3万イエーンに値下げした。それだけではなく、3万イエーンが払えない者は、貸し付けを行う。返還は、辺境伯領への奉仕活動で捻出させるという事だ。そして、成人前の子供は(仮)市民権を発行することに決ま…
続きを読む2023/01/24
【第九章 ユーラット】第八話
「サンドラ。それでは、オリビア殿下は、問題になりそうな行動はしていないのだな」 資料の読み込みの時間を経て、私がオリビア殿下と従者になっている二人の行動を説明する。 神殿への攻撃的な態度や外部への情報流出を含めて、問題がなかった事を報告する。 特に、アフネス様が心配して、ユーラットに居る人たちが心配していたのが、ユーラットに残る問題児たちを処罰した時に、オリビア殿下がどう動くか?リーゼやヤス様に危害を加えようとするのか?そもそも、問題児たちへの対応を考えているのか? 「はい。アフネス様」 結論は出ている。 …
続きを読む2023/01/24
【第二十九章 鉱山】第二百九十七話
船の中で、食事を摂って、カイとウミとライと遊んでいたら、扉がノックされた。 「ツクモ様」 ルートガーの声だ。 船長に余裕ができたのか? 「いるよ?」 「はぁ・・・」 「鍵は開けてある」 「はぁ・・・。入るぞ?」 ルートガー。ため息はないだろう、ため息は・・・。 「あぁ」 扉が開けられて、ルートガーと従者が入ってきた。 後ろには、乗船の時に挨拶をした船長ともう一人が付き従うように入ってきた。 少しだけ、本当に少しだけ狭く感じてしまう。 ルートガーを抗議の意味を込めて睨んでおく。ルートガーも意味が解るのだろう、…
続きを読む2023/01/23
【第五章 共和国】第四十八話 浸食
話しかけてきた男は、またダンジョンに潜るらしい。男たちの後ろに居た商人風の男は、ダンジョンに潜らないようだ。 しかし、商人風の奴は・・・。視線が気になる。確かに、商人に見えるが、何か違和感がある。 しっかりとした根拠があるわけではない。ねちっこく観察されているように思える。商人の視線”だけ”ではない。値踏みしているような視線は、何度も向けられたことがある。辺境伯の跡取りを見るような視線とも違う。敵対している者を見るような視線でもない。 未知な視線だ。確実に俺を見ている。実に気持ちが悪い。 商人風の男は、別の…
続きを読む2023/01/23
【第七章 神殿生活】第十一話 事情
皆の視線が集中したアデレード殿下は、大きなため息で、”困っています”をアピールしている。 「アデー?何を困っているの?」 さすがは、”空気を読まない”マヤが、アデレード殿下の目論みを潰す。 ルアリーナが苦笑を浮かべて、アデレード殿下に助け船を出す。 「アデレード殿下。ここには、アデレード殿下の味方しか居ません。それに、アイツらの事なら大丈夫です。私たちの、リン君の敵です」 ルアリーナは、事情を知っているようだ。 ミヤナック家と相談した時に、ルアリーナが事情を聞いたのだろう。 「え?」 アデレード殿下は、俺た…
続きを読む2023/01/22
【第四章 スライムとギルド】第三話 スキル調査
私が鑑定を得たように、千明もスキルを得ていた。 「それで、千明は、どんなスキルを得たの?」 「”水”スキル?」 「疑問形で言われても、解らないわよ」 ”みゃみゃみゃぁ” 「え?アトス?本当?」 「千明?」 「あのね。茜に、見てもらえれば、”スキルが解る”だって」 「え?スキルは見えないよ?」 ”にゃっにゃぁぁ” 「え?そうなの?千明。私の手を握ってくれる?それで、”ステータス・ディスクロージャー”と、私が言えばいいみたい?」 孔明さんと蒼さんの視線が怖い。円香さんが、私の肩を触ろうとしているのを、孔明さんが…
続きを読む2023/01/21
【第四章 連合軍】第三話 トップ会談
連合国から提供されたアイテムを使って、会談が実行される運びとなった。 参加国は、神聖国と王国と連合国のトップであるエルプレだ。 今までも、中央の魔王への対応で、三か国は足並みを揃えたことがあった。 しかし、今回は今までよりも大きな脅威に立ち向かう必要がある。 連合国から提供されたのは、意識を別の人間や魔物に乗り移させる道具だ。 そして・・・。 神聖国の教皇が選んだのは、魔物ではなく見目が麗しい男児だ。 王国の国王が選んだのは、自分の子供だ。使い道がなく、殺す一歩手前まで来ていた者だ。 エルプレが選んだのは、…
続きを読む2023/01/21
【第三章 復讐の前に】第十四話 クラスと授業
(今川さん。暴れているな・・・) ユウキは、今川から送られてきたURLを見ながら、呟いた。 開かれたページは、有名なサイトだ。 トイレの落書きと同程度の意味しかないが、それでも多くの人が見ているのは間違いない。 (それにしても面白い方法だ) 今川が行ったのは、吉田教諭から得た情報の一部で、もっともマイルドな不正受験に関する話だ。 今川が行ったのは、某新聞社のフォーマットで記事を作成して、校正を通したような状態で、記事を流出させる。丁寧に、政治案件だと解るような、”没”を示すような状況にしてある。 ネットでは…
続きを読む2023/01/19
【第三章 帝国脱出】第三十四話 ロッセル
ダストンは、おっさんの提案を受け入れた。 もちろん、指示書に対する対応策を質問状の形で、辺境伯に伺いを立てている。 返事を待っている間に、腹心候補を考えていた。 (誰か?俺の代わりに、領内を回る者が欲しい。いきなり、腹心は難しいだろう。俺も忙しくなる。副官が欲しい。俺に従ってくれる副官が・・・) ダストンは、自分で考えて”腹心を欲している”と思い始めている。 実際には、おっさんの入れ知恵だ。それだけではなく、おっさんは次の手を打っていた。 「ダストン様」 辺境伯から、宛がわれている家宰が、ドアをノックしてか…
続きを読む2023/01/19
【第九章 ユーラット】第七話 第一回 報告会
今日は、私が議長を務める会議が神殿の一室で行われます。ギルドが入っている場所です。ふぅ・・・。少しだけ、本当に少しだけ心配です。 もう、何度も行っているので、会議には不安はありません。初めての議題で、皆の感心が高いです。感心が高いために、参加者の数も多いのが少しだけ心配です。予定の調整を行って、準備された会議室の広さからも、注目度がわかります。 自分が提案した会議です。資料もしっかりと作り込みました。 新しく加わる議題が少々・・・。では、なく・・・。面倒です。 前半は、報告がメインです。ミスがなければ、問題…
続きを読む2023/01/17
【第二十九章 鉱山】第二百九十六話
船は、海原を進んでいく、何度かウミの魔物が襲ってきたが、ライが仕留めた。吸収したが正しいのか? 甲板で、海原を眺めていると、よく知る気配を持つ者が近づいてきた。 誰なのかわかっているので首も動かさずに、殺気を向ける。視線を向けることで、認識していると説明をした。つもりだ。 俺が”何を”したのか解ったのだろう。慌てては居ないが、周りを見回している。魔物が居ると誤解したのだろう。 周りに、危険がないと判断して、少しだけ大きめの声で俺を呼んだ。 「カズト・ツクモ!」 よく見ると、ルートガーの後ろに4人の従者(正確…
続きを読む2023/01/16
【第五章 共和国】第四十七話 男たち
観察を続けたが、エイダからの報告でも、それらしい反応を見つけることが出来なかった。ダンジョンの内部に、黒い石や関連する物も発見が出来ていない。 アルバンとカルラには、ダンジョンに入ってもらって、低階層を周ってきてもらった。 列は途切れないが、ダンジョンから出たばかりの者には救済処置が存在している。 話を聞くと、補給を行うために出てきて、並びなおしている間に、ダンジョンの中で待っている者たちが死んでしまった事例が重なって、ダンジョンから出た当日と翌日は簡単な検査だけでダンジョンに入ることができる。らしい。抜け…
続きを読む2023/01/15
【第七章 神殿生活】第十話 アデー
会議室に入ってきた、ミトナルの肩に座っていたマヤがいきなり、アデレード=ベルティーニ・フォン・トリーアを愛称で呼んだ。 呼ばれたアデレード=ベルティーニ・フォン・トリーアも、目を”パチパチ”して、マヤを確認している。 そして、不思議な物を見たような表情で、マヤと名前を呼んだ。 知り合いのようだ。 そして、俺がアデレード=ベルティーニ・フォン・トリーアを知っている事が前提にあるようだ。 アデレード殿下を見ると、俺を見て少しだけ困った表情をしている。 何に、困ることがあるのだろうか? 「マヤ」 「何?」 マヤが…
続きを読む2023/01/09
【第四章 スライムとギルド】第二話 鑑定石
円香さんが、少女(主殿)から渡された魔石を見ている。 円香さんやギルドの皆には伝えていないが、少女(主殿)が着ていたのは制服だ。市内の高校が”今年から採用した”制服だ。少女(主殿)が、高校に通っているのかは、判断ができない。でも、高校の制服を入手できる立場だった。 いとこが、同じ高校に通っている。 調べれば、解るかもしれない。でも、調べてどうするのか?あの少女(主殿)が何を望んでいるのか解らない。 ”にゃ!” 「どうしたの?」 クロトが、足下にやってくる。 鳴き声で、クロトかラキシか判断ができる。 二匹にも…
続きを読む2023/01/08
【第四章 連合軍】第二話 緊急会議
セバスが俺を呼びに来た。 謁見の間に皆が揃ったとの知らせだ。 準備は終わっているので、謁見の間に隣接している控えの部屋に入る。 そこで、俺の案内はセバスからミアに引き継がれる。 「魔王様」 珍しく、ミアから話しかけてきた。俺の返事を待たずに、跪いて頭を下げる。 「どうした?」 ミアが頭を上げる。 「魔王様。この度の作戦・・・。私にお任せ願えないでしょうか?」 ミアは、俺が想像した通りの申し出を行った。 セバスがミアに引き継いだ時点で、ミアが言い出すのは解っていた。セバスも承諾しているのだろう。 「ミア。それ…
続きを読む2023/01/08
【第三章 復讐の前に】第十三話 入学式
ユウキは、今川からSDカードを渡された。 手の中で、SDカードを弄んでいた。 しかし、渡されたSDカードを今川に返した。それも、今川の手を持って、無理矢理に握らせた。 「ユウキ?」 今川は、訳がわからない状況で、ユウキの顔を見る。 手渡されたSDカードは、ユウキが行おうとしている事(復讐)に必要な情報が詰まっている。必ず、必要になるとは言わないが、”必要ではない”情報は、存在しない。些細な情報でも、ユウキが必要としているのは、皆が認識している。それだけ、相手は巨大だ。 何度も、何度も、話し合っている。殺すだ…
続きを読む2023/01/07
【第三章 帝国脱出】第三十三話 奴隷条例
帝国史上もっと愚かで、最も人々を狂乱に落とし込んだ”条例”が、宰相のブーリエから発布された。 一部の貴族から出された懸案を、最も容易に・・・。そして、問題を解決するために、考え出された、画期的だと本人たちが本気で思っている”条例”だ。 ”奴隷条例” いくつかの条文で構成された”条例”だ。 もともと、帝国には”奴隷法”という”法”がある。借金奴隷や犯罪奴隷や戦争奴隷があり、それぞれ区分されている。 愚か者たちが奴隷を殺すことで、スキルアップが行えることを覚えてしまった。 帝国から、犯罪奴隷が消えるまで、時間が…
続きを読む2023/01/06
【第九章 ユーラット】第六話 オリビアの日常
オリビアは、すぐに神殿に馴染んだわけではない。 ヤスが用意した家は、屋敷と呼べるような大きさだ。従者と一緒に住むことが考慮されている。可能性は低いが、騎士の3人が神殿に住む場合には、オリビアたちに責任を取らせる意味も含めて、一緒に住める大きさの家をヤスは用意した。 家の手配は、セカンドたちが行い。家具などの準備も行った。 オリビアは、ヤスから屋敷を与えられてから、メルリダとルカリダにも対等に接するように伝えるが、二人は固辞した。 神殿に居る者たちに相談をしたが、”別にいいのでは?”という緩い返事が来た事で、…
続きを読む2023/01/04
【第二十九章 鉱山】第二百九十五話
よくわからない状況になった。 中央大陸に向っている。もう、港に辿り着いた。 船の手配も終了している。 竜族に乗っていくという話も有ったが、中央大陸に行くのには向かないと判断された。 一人、強固に反対した者が居たので、今回は船で移動する。 船も、通常なら数日から待つ時には2-3週間は待機の日数が必要になるのだが・・・。俺たちの予約は、すんなりと通って、今は船の上だ。 あと数時間で出港する。 横に居る人物に声を掛ける。 「ルート。本当に大丈夫なのだな?」 本来なら俺の代わりに、チアル大陸を統治する。ルートガーが…
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