短編の記事一覧

2023/06/11

【最高のシチュエーション】追いかけた先は・・・

私は、今年で50歳になるタクシードライバーだ。元警察官ではありません。 近距離専門と言えば、少しは格好がつくのだが、なぜか乗せるお客様が近距離の場合が多いのです 今日も、待機場所にしている駅のタクシー乗り場で順番を待つ事にしました。 顔馴染みのドライバーに挨拶をして、後列に並ぶ。週末なので、多分30分もしたらお客様を乗せられると考えています。 待機列に車を停めて、コンビニで買ってきたおにぎりを食べます。一緒に買った微糖の紅茶で喉を潤します 今日は、進みがやけに早く感じます。 何かイベントでもあるのでしょうか…

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2023/05/28

【僕の選んだ道】君が居てくれたら

何度この道を歩いたのだろう。 最初に歩いたときは、君に会うためにこの道を選んだ。 君は、道の途中で僕を待っていてくれた。 僕と一緒に、君の家まで歩いたね。 楽しかったよ。 道端に咲いている花の一輪一輪が僕たちを祝福してくれているようだった。 君が居れば良かった。 君と歩く道が好きだった。 君が居なくなってしまった道は寂しい。 君を消してしまった者たちが憎い。 君が行方不明になったと聞いて、楽しく輝いていた道を君の家まで急いだ。 道端に咲いている花を見る余裕もなかった。 君が無残な姿で帰ってきたのは2か月後だ…

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2023/05/06

【君はいつも公園で】公園のベンチで

今日も、残業で遅くなった。 最寄り駅は地下三階に改札がある。部屋を借りる時には、気にしなかったのだが、今は少しだけ後悔している。確かに、エレベータやエスカレータの設置はされている。しかし、商店街方面だけだ。俺が住んでいるマンションに近い出口は、階段で地下三階から上がらなければならない。 疲れた身体には、地下三階から地上にあがるのだけでも疲れてしまう。 しかし・・・。今日は、まだましだ。 店が空いている時間に帰ることが出来た。店と言っても、飲み屋だ。食事を摂る雰囲気ではない。 しょうがないので、今日もいつもの…

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2023/04/23

【祝福された卵】祝福を導く卵

完成した。 開発を初めて、10年の時間が必要だった。 あの頃では、考える事が出来なかった世界が広がっている。 誰しもが、恩恵を受け、祝福を受け、情報を受け取り豊かな生活を受け取る。 そう、俺と彼女以外の誰しものが、自分たちの幸せの為に、他人を蹴落とすのを躊躇しない。蹴落とされた側にも、人格があり、感情があり、思考する能力があるとは知らないようだ。 俺は、”祝福を導く卵”を配置した。 情報を分析して、答えを導くだけのツール(卵)だ。 集合知を得た卵は、皆が望む答えを導き出す。 答えを貰った者たちは、卵に依存す…

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2023/04/09

【桜の祝福】祝福された双子

僕たちは、双子の兄妹だ。 僕たちは、祝福された双子だ。 僕が、君の事を知ったのは、僕が成人した時だ。 成人の報告を教会に告げに行った時に、司祭様から教えられた。 僕は、素顔を隠して、君の前に跪く。僕と同じ顔を持つ君は、僕を見て可愛く笑う。 君は、この国の女王だ。僕は、君に仕える。 王国は、荒れている。 前国王と王妃が、民を苦しめ、特権階級だけを優遇していた。前国王は、桜に祝福された。教会が認めている。祝福された国王だ。 王国では、双子は神に祝福された子供だと言われている。 僕たちは、運命の双子だ。桜に祝福さ…

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2023/03/18

【銃弾の行方】最後の銃弾

お前たちが居なくなって、丁度20年が経った。 長いようで、短い20年だ。世の中は変わったよ。お前と娘と三人で住むはずだった家の跡地は公園になった。やっと、財産の処分が出来た。もう、俺も60に手がかかる年齢だ。本当なら、お前と観光地を回っていただろうな。 お前たちの所にはいけない。解っている。お前たちが、こんな事(復讐)を望んでいない。いつも、自分の事よりも、私の事を、娘の事を優先していた。だから、最後も私のやりたいことを優先する。 お前たちを弄んで、火を付けて殺した奴らを許せると思うか? 20年だ。 20年…

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2023/02/18

【キミへの返事】まだ、私のこと・・・。好き?

「キミが好きだ。付き合って欲しいとは言わない。僕が、キミを好きな事を知って欲しかった」 僕は、なけなしの勇気を振り絞って、キミに告白をした。 「え?」 困惑しているキミに申し訳なさがこみ上げて来る。 「困るよね?」 「ううん。嬉しい」 「ありがとう」 僕は、キミから”嬉しい”と言われただけで満足だ。 「待って!」 「え?」 「返事・・・。ちょっとだけ待って・・・。欲しい。君の誕生日に・・・。返事をする。から、電話を掛けてきて・・・。欲しい」 「わかった」 僕の初めてで、最後の告白は、終わった。 キミは、ご家…

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2023/02/11

【静けさの中で】風に誓う想い

私は、独り・・・。寂れた港町にある。寂れた灯台に来ている。 私の日課だ。月に一度は、花束を持ってくる。そして、祈りと共に海に返す。 あとどの位、祈りを捧げられるのだろうか? 私の罪が許されるわけがない。許されることは望んでいない。しかし、私は祈りを捧げられなくなることが怖い。死よりも怖い。 灯台に寄りかかるようにして、海風を感じる。 全ての音がかき消されて、海風の調べだけが聞こえてくる。 死した彼女との会話。波の音も、風の音も、全てが無意味になり、静寂が訪れる。 静けさの中で、私は思考の海に深く深く潜る。 …

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2022/01/31

何度でも君を愛する

 初めて、君を意識したのは、いつだろう?  覚えているのは、学校の行事(キャンプ)で、星空を眺めたときだろうか?  星空から降り注がれる光が、君の髪に降り積もり、僕の気持ちを揺さぶった。星々の光が、君の髪を光らせ、僕の心に降り積もった。  その日から、君を目で追う日々が続いた。君が、水泳が得意だと言えば、僕も水泳を頑張った。君の近くに行きたい一心だ。  翌年のキャンプでは、また君と一緒に居られることを喜んだ。  僕は、君を誘った。今年は、一緒に星空を見たかったからだ。君は、笑いながら僕の誘いを受けてくれた。…

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2022/01/23

小さく大きな出会い

 おめでとう。  僕が、君に伝えるのは「おめでとう」の言葉だ。  君が僕の所に来て、まだ5年だけど、君が来てからの僕の日常は、一気に色めき立ったよ。  あの頃の僕は生きていくのが辛かった。”消えてなくなりたい”と、本気で思っていた。  両親を亡くし、妹を失った。僕は、ただ一人、死ぬ場所を求めて、彷徨っていた。 ”にゃぁ?”  側溝で泣いている君を見つけた時に、僕は自分自身を君に重ねてしまった。側溝でずぶ濡れになって”可哀そう”な君に・・・。  僕は、周りから”可哀そう”だと思われるのに精神が疲れ切ってしまっ…

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2022/01/08

【壊れたパソコン】第四話 鍵

 部屋に帰って、変人の荷物を入れた段ボールを開ける。  変人と会話している雰囲気を思い出す。私の部屋に来た事はもちろんない。私の住所をしっていた可能性すらない。  でも、テーブルの向こう側に、変人がいつものように片足だけを椅子に載せて、座っている様子が見える。  そうやって、なんでも解っているような顔で、私を見ている。  そして、実際に私のミスを何度も助けてくれた。その都度、私を慰めてくれる。ミスした箇所ではなく、些細なことを褒めてくれる。ミスはしょうがない。ミスをした時の対応方法を教えてくれる。バグが消え…

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2022/01/08

【壊れたパソコン】第三話 荷物

 結局、変人のデスクで寝てしまった。  始発の1時間前に起きられたのは僥倖だ。作成した部分をコミットして、ポータルに結果と注意事項を書いておく、休むと言っても、咎められないのは解っている。荷物を受け取りに行くだけだ。でも、部長からは休めと言われた。 「笹原さん。貴方が生きていたら、私がこんなに苦労をしなかったのですよ?」  文句を言いたいのは、変人も同じだろう。理不尽に、無慈悲に殺された。通り魔は、翌日に捕まった。ただ、受験に失敗したという理由で勝手に絶望して、自殺が怖いという理由で、”死刑”になるために、…

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2022/01/08

【壊れたパソコン】第二話 夢

 あっこれは、いつもの夢だ。  会社で仕事をしていると、変人が話しかける。 「美穂さん」  ほら、そこで変人は私の作成した所の修正箇所を告げて来る。  変人が居なくなってから繰り返される夢。  夢だと解っていても、変人を目で追ってしまう。  ほら、今回も同じ。  注意される箇所も同じ。  私の返事も同じ。  そして・・・。翌日になって、修正したモジュールを提出しようとするが、変人は会社に来ない。  解っている。  時計を見る。目覚めたい。ここで、目が覚めれば、同じ苦しみを感じることはない。  でも、無常にも…

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2022/01/08

【壊れたパソコン】第一話 変人

「あき!先に帰るね」 「うん。お疲れ様」 「うん。あきも無理しないでね」 「解っているよ。インターフェース部分のエラーが無くなったら帰るよ。週末は、頼むね」 「わかっているよ。あき。お疲れ様」  泉が、私が座っている場所以外の電気を消す。  タイムカードを押す音が響いて、扉が開く音がする。  エレベータが到着する音が響いた。  これで、このフロアに居るのは、私だけだ。  明日から、来週の月曜日まで、会社を休む申請を行っている。  ふぅ・・・。  煮詰まってしまったコーヒーを流し込む。舌と喉が刺激されて、眠か…

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2021/01/17

雪上の愛情

私は、雪が嫌い。私から、母さんを奪った雪が嫌い。同じくらいに、父さんが嫌い。 本当は解っている。母さんを殺したのは、私だ・・・。雪ではない。 私が、初めて無断外泊をした日。母さんは、死んだ。 私が住む地方では珍しく、その日は雪が振っていた。当たり一面を白く染め上げるくらいの雪だ。私は、地面に降り積もる雪に、自分の足あとが残るのが嬉しくてテンションが上がっていた。友達に誘われて、遊びに行った。スマホも携帯もそれほど普及していない時だ。家には連絡をしなかった。小さな・・・。小さな・・・。そして、大きな反抗だ。私…

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2020/04/06

【そして空を見上げた】あの日見た空

 私は、今会社の屋上に登っている。  あの人が最後に見た空は、私が今見ている空とは違うのだろう。こんなに、滲んで居なかっただろう。  私は、あの人が最後に見た空を見たかった。  光化学スモッグで汚れた空だが、あの人にはどんな風に映っていたのだろう。  空を見上げていた、口元は笑って居た。ただ、もう二度と、話をする事も笑顔を見ることもできない。  溢れ出る涙を拭って、部署に戻る。  もう一度空を見上げる。見上げた空は、何も変わっていなかった。  ここは、川崎駅から、南武線に乗って何駅か行った場所にある会社だ。…

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2020/04/05

【目が覚めるとそこには】夢で終わらない

 あぁこれは、いつもの夢だ。誰にでも、1つくらいあるだろう。  同じような夢。疲れた時に見る夢。誰かを殺したいと思っている時に見る夢。  窓も、ドアも、部屋の調度品がなにもない部屋。上も下もわからない白い部屋に私が全裸で居る夢をよく見る。  私は、部屋の中を抜け出すために走りまくる。床だけでなく、壁や、天井を使って、走りまくる。走って、走って、走って、疲れ切って、倒れる。最後は、なぜか部屋から抜け出す。  その時に、必ず振り返ってしまう。白かった部屋が、真っ赤に染まったシーンで目をさます。  目を覚ますと、…

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2020/04/04

【さよならの理由】取られる事の無いコール

 もう、貴方の事は忘れたほうがいいの?  もう、連絡帳にも入れていない、貴方の連絡先。  消すまでに、1ヶ月掛かったのよ?  消してからも、指が、心が、体中が覚えてしまった、貴方の連絡先。  連絡帳から選択しないでも、貴方の電話番号をコールする事ができる。  ダメな事だとは理解している。  この取られないコール音だけが、私と、貴方を繋ぐ。細い。細い。細い。一本の糸。  けして繋がる事がない。一本の糸。  あれから、コール音を何回聞いた?出るはずが無いコール。1回、2回、3回、4回、解っている事だけど、コール…

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2020/04/03

【最高のおめでとう】一番欲しい言葉

「弘樹(ひろき)!」  同級生で、幼馴染の由紀乃(ゆきの)だ。 「なに?」 「卒業前に、みんなでボーリングに行くけどどうする?」 「みんな?」 「そう、大志(たいし)や弥生(やよい)も一緒だよ」  うーん。ボーリングは魅力的だけど、僕は高校受験が残っている。 「ごめん。行きたいけど、受験がまだ有るからね」 「え?弘樹は、私立に受かっているよね?」 「うん。滑り止めだからね。本命は、商業だよ」 「そうだったの?」 「うん」  大志や弥生と家に来て、兄さんたちと受験の話をしていた。 「でも、私立なら、私と一緒に…

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2020/04/02

【3年目の出来事】3周年のチラシ

 高校生の男子が1人で住むには、少しだけ不釣り合いなマンションだが、大城(おおしろ)和義(かずよし)は一人暮らしをしている。  よくある理由で、不幸が重なったからだけだ。  高校2年になっているが、部活もバイトもしていない和義は、学校からまっすぐに部屋に帰ってくる。  マンションはオートロック機能がついている上に常時人が居る状態になっている。その上、部屋のドアには監視カメラがついていて、帰ってからでも訪ねてきた人を確認できる状態になっている。  和義が部屋のドアを開けると、白い1枚のチラシが床に落ちた。拾い…

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2020/04/01

【残された記憶】何気ない日々

 今日も憂鬱な一日が始まる。  最低な目覚めだ。 「太輔!太輔!朝だよ。早く起きて、ご飯を食べちゃいな!」 「解っている。起きるよ」  ほら、こうして、無理矢理起こされる。勉強なんてしてもしなくてもさほど変わる事はない。  母親も父親も弟も妹も幼馴染のあいつも俺に何を期待している。  どうせ、今更勉強しても変わらない。  中堅の大学に入って、運が良ければどっかの公務員にでもなれるだろう。そうじゃなかったら、俺程度が入られる会社なら、大した仕事もさせてもらえないだろう。楽しくもない仕事を、もらえる賃金で釣り合…

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2020/03/31

【残された3分】冷めてしまった紅茶

 私と彼の距離を表現するのに、一番適切な言葉は、紅茶が冷めない距離。  彼は隣の部屋に住んでいる。  それは偶然だった。  中学卒業までは、一緒の学校に通っていた。  高校になったら、彼のご家族は引っ越してしまった。何か理由が有ったのだろう。  中学卒業の時に彼に告白しようと思っていた。でも、告白ができなかった。  学校で一番可愛いと言われている子に告白されていた。受け入れると思っていた。 「紀子!」 「え?」 「一緒に帰ろう。オヤジとオフクロとお前のご両親は先に帰ると言っていたぞ」 「なんで?」 「ん?な…

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2020/03/30

【君と決めたルール】僕がルールを破る時

 何気ない日常の何気ない時間。  それが僕にとってかけがえのない物だったと知ったのは、何もかも・・・。”自分の身体”と”君への想い”と”君と決めたルール”だけが残された日だった。  君は、僕にそんな事を望んでいないだろう。  僕は、初めて、君との約束を僕の都合で破る事にする。  君と決めたルールは4つ。この4つは何が有っても変えないと二人で決めた。 1.嫌がる事はしない 2.他人に迷惑をかけない 3.辛くても笑おう 4.大切にする  だ。  今から1番と4番のルールを破る。 —  高校1年の最初…

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2020/03/28

【隣の料理人】食事のスパイスは勘違い?

 その女性の住む部屋は、古いアパートだだ。 (はぁ今日も疲れた)  誰も待っていない部屋に女性が入っていく。手に持っているのは、近くにある弁当屋さんの袋だ。  部屋に入って、仕事場にしていくポニーテールを解いて、髪の毛を下ろす。 (どんどん。好きだけど・・・今日も、隣の部屋からはいい匂いがしている)  アパートと言っても、女性の一人暮らしだ。セキュリティには気を使った。  部屋を借りる時に、隣に音が聞こえないようにとか、周りにどんな人が住んでいるのかを確認していた。  しかし、匂いまでは気にしていなかったの…

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2020/03/25

【二番目の愛情】戸惑いの告白

 俺には長男だけど二番目の子供だ。  当然の事だと思う。  俺は少しだけ複雑な子供だ。  俺の父はバツ1なのだ。  父の再婚相手が、俺の産みの母で、産みの母の最初の配偶者が本当の父なのだ。  ようするに、俺が今『父』『母』と呼んでいる両親とは血が繋がっていない。  本当の両親が、どうなったのかは知らない・・・ことになっている。  一度酔った父が話してくれた。  俺の本当の父は、父の友人だった人物ですでに死去している。産みの母も、父と再婚して2年後に死去した。  自殺だと言っていた。父は、本当の母の死を自分た…

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2020/03/25

【白いフクロウ】御使い

 そこは終末医療専門の病院だ。  誰も訪ねてくる事もなく、ただ死を待つだけの人たちが、最後の時を心安らか過ごす場所だ。冥界に旅立つその時まで、サポートを行う病院なのだ。  1人の女性が運び込まれた。  身寄りのない女性。女性というには幼い。少女と言ってもいい年齢だ。 「先生」 「もって1ヶ月と言われている」 「でも、なんでここに?」  看護師が不思議に思うのも当然だ。  ここは救いのない病院。少女が最後を迎えるのに相応しいとは思えない。 「彼女の希望だ」 「え?」 「彼女は、とある事件の被害者の家族で、唯一…

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2020/03/22

【近くて遠い50cm】最後の一歩

 僕が彼女を意識し始めたのは、何時だっただろうか?  彼女が、僕に向かって 「ちょっと家まで遠いけど送ってくれる?」  送った時に話した事がきっかけだったのだろうか?  彼女は、1つ年下の19歳になる大学生。話を聞いて初めて知ったのだが、僕と同じ大学の2つ下の学年になる。  僕と彼女の出会いは、バイト先が同じになったことがきっかけになる。  バイト先も同じだし、同じ大学に籍を置いている、話そうと思えば話せる関係にあるし、メールアドレス・電話番号も知っている。  同じ時間を共有する機会は多く存在している。  …

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2020/03/22

【嘘と裏切り】彼と彼女の選択

 彼は、僕にこんな感じで話を切り出した。 「彼女は僕を好きでいてくれるし、僕も彼女を愛している」  彼には家庭がある。  その事実を、彼女には告げているという。裏切りが成立してからの恋。  これほど残酷な結末を二人以外に強いる関係ははない。僕は、不倫を否定するつもりはない。僕には出来ない、ただそれだけだ。  僕の持っている”物”で、約束できることは、  ”裏切らないこと”  話すことに”嘘”を、入れないこと。聞かれていない事や聞かれたくないことは、そう答える。それが唯一、僕が、恋人や、好きな人たちに言ってい…

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