逆恨みの記事一覧

2020/08/27

【バレンタイン】初めて食べた手料理はしょっぱかった

 俺が通う高校までは電車で30分くらいかかる。  朝早い電車で駅員が居ない日もある。  市にある工業高校に通っている。そこで、部活をやっている。  最寄り駅までは、家から自転車で通っている。  自転車置場はすぐにいっぱいになってしまうのだが、朝練に向かうような早い時間帯なら自転車置き場も空いている。  毎日、電車に乗るわけでも無いのに、ベンチに座って居る2人のおばちゃんにも挨拶をする。  寝ているのか起きているのかわからないけど、挨拶しないでいると後で思いっきり怒られたりする。 「隆史(たかし)今日も部活か…

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2020/08/27

【新しい絆】新しい傷

 僕の左手首には、古い傷がある。  手首に横一文字に切られた傷だ。リストカットをしたかのように見える。  高校受験のときに、担任から傷の事で注意を受けた。 「平田。その傷は隠しておけよ」 「なんでですか?」 「俺は、お前が自殺なんてしていないのは知っているが、始めて会う人には伝わらないだろう?不快に思う人が居るかもしれないからだ」 「そんな高校には行きたくありません」 「お前な」 「だってこの傷は、ママが僕を守ってくれた証拠です」  最後までしっかり言えたと思う。思うけど、涙が出てきてしまう。 「わかった。…

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2020/04/04

【さよならの理由】取られる事の無いコール

 もう、貴方の事は忘れたほうがいいの?  もう、連絡帳にも入れていない、貴方の連絡先。  消すまでに、1ヶ月掛かったのよ?  消してからも、指が、心が、体中が覚えてしまった、貴方の連絡先。  連絡帳から選択しないでも、貴方の電話番号をコールする事ができる。  ダメな事だとは理解している。  この取られないコール音だけが、私と、貴方を繋ぐ。細い。細い。細い。一本の糸。  けして繋がる事がない。一本の糸。  あれから、コール音を何回聞いた?出るはずが無いコール。1回、2回、3回、4回、解っている事だけど、コール…

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2020/03/22

【雨の日】海に浮かぶ傘

 僕は、雨が嫌いだ。  この表現は、間違っていないが、合っているわけではない。  正確に言うのなら、雨が降っているときに、差して一人で歩くのが嫌いだ。傘を差さないで移動することは、別に嫌いでもない。むしろ好きだと言える。雨に濡れながら歩くことで、思い出も、過去も、積み重なった想いも、全て流してくれる・・・そんな感じがする。  雨の日は、僕の心の中にある、蓋さえも溶かしてしまう。  思い出したくもない。でも、忘れたくない。そんな、蓋をしてしまい込んだ思い出を・・・。  そう、あれは、僕が初めて人を好きになった…

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