サイト小説の記事一覧

2020/04/24

【情報の虜囚】悪意と善意

 綺麗だな。  あちらこちらで僕が撒いた種が増えている。拡散され続けている。こんなに嬉しいものだったのだ。  街の中にも青い紫陽花が増えている。  街だけじゃなく国中を覆うように種を拡散しなければならない。  僕の望みは、この国の隅々まで青い紫陽花を咲かせることだ。  見届ける必要はない。  種は拡散し始めた。僕の手を離れたのだ。もう止まらない。止める手段が存在しないのだ。  伸び切ってしまった手足を切り落として小さいベッドで眠らない。受領した快適を手放せる者がどれほど居るのだろう。種の拡散を止める方法は存…

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2020/04/24

【都会へのUターン】地獄だった田舎暮らし

「オーナー。どうしましょうか?」 「お前は、何度言えばわかる。俺のことは”まさ”と呼べと言っているだろう!?」 「だって、オーナーはオーナーじゃないですか?」 「いいから、まさと呼べ!次は無いからな」  いつもの朝の風景だ。  俺は、新宿・・・。と、言っても有名な歌舞伎町ではなく曙橋という場所で生まれ育った。  新宿で過ごして大学も新宿にある2流の大学に入った。何も考えずに入れたIT企業に入社した。ブラック企業一歩手前の会社だった。働いて身体と心を壊した。地元に居るのが怖くなった。TV番組で取り上げられてい…

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2020/04/24

【私が作る最高のお祭り】プロポーズされた!最高のお祭り!

「そっちに逃げたぞ!」 「大丈夫だ。アキが待っている」 「また、アキのところかよ?!」 「アキの奴、何人目だよ。俺が連れてきたメスもアキが壊していたぞ?」 「しょうがないだろう?そういうルールなのだからな。ほら、次の祭りに行くぞ!それとも、アキの後で壊れてなければやるか?」 「そうだな。昨日は、一匹にしか出してないからな。アキの後で犯すことにする」 「殺すなよ?」 「そんなヘマはしないよ。薬漬けにして売るのだろう?」 「あぁアナルも犯しておけよ。薬漬けの後に好きものが買い取ってくれるからな」 「わかった。わ…

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2020/04/24

【4で割り切れて】400で割り切れて・・・

 空になったコップをテーブルの上に置いて旧友に愚痴を言う。 「ヨウコ!聞いてよ」  学生時代からの親友であるヨウコに話を聞いてもらう。 「はい。はい。今日はどうしたの?また、いつもの人?」 「そうなの聞いて!うるう年って有るでしょ?」 「うん」 「計算方法って知っている?」 「マキ。私のこと馬鹿にしているの?文系でもそのくらい知っているわよ。4で割り切れる年でしょ?」 「でしょ!でしょ!それでいいよね!」  私は、注文していたモスコミュールを一気に煽る。  ヨウコの顔が”今日も長くなるのか”と言っているよう…

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2020/04/24

【第四章 復讐】第二話 西沢円花

 西沢円花は、旦那が会社の資金を流用して購入した高級外車を走らせていた。 「なんで私が、私は社長夫人なのよ!」  旦那のIT企業は本社を地元に置いて、都内に支社を作っていた。規模は、支社の方が大きいのだが、本社機能だけを残している。 「あの人も、あの人よ。今更、なんだって言うのよ!」  円花は、先日警察から呼び出しを受けた。地元の古くあまり使われていないキャンプ場で白骨化した死体が見つかったのだ。  同窓会の時に起きた凄惨な事件と相まってマスコミが騒いだ。  見つかった当初は、20年近く前の白骨死体とだけ報…

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2020/04/24

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十九話 カスパルの報告

 動かない二人を見てヤスは戸惑っていた。部屋の前で立って待たれるとヤスが困ってしまう。それに、どこから突っ込んでいいのか解らないのだ。  ヤスも神殿から出る時に、二人を見送っているが、その時にはしていなかった腕輪をしている。それも、二人でお揃いの腕輪だ。 『マルス。お揃いの腕輪は、結婚の証なのか?』 『婚約指輪と同等と考えてください』 『わかった』  ヤスは、二人を観察した。おそろいの腕輪以外ではおかしなところはない。座っていたソファーから立ち上がって二人を招き入れる。 「いい加減に入ってこいよ」 「あっ。…

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2020/04/23

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十八話 嫌がらせ作戦実施中??

 ヤスは、ユーラットの駐車スペースに戻ってきた。メイドにカードを渡して、FITのロックを外す。  運転席に乗り込んだ。 『マスター。東門に向かう。ルートが構築されました』 『お!どんなコースだ』 『ディアナに転送しました』  カーナビに、レイアウトが表示される。上から見たコースと高低差が解るようになっている。表示が切り替えられるようになっている。 『マルス。なんで、130Rからの高速S字が有ったり、立体交差が有ったり、わざわざ登ってから下りながら90度ターンをするようなコースになっている?』 『マスターの満…

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2020/04/22

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十七話 関所の村を説明

 アフネスは、手に持っていた試算表をヤスに渡した。 「ふぅーん。アフネス。これで、ユーラットはいいのか?」 「問題はない」 「今更ながらの質問だけど、ユーラットのまとめ役は、アフネスなのか?」 「ん?確かに今更な質問だが、私ではない。村長は、しばらく空席になっているが、まとめ役はロブアンだ」 「え?」 「何かおかしいか?」 「いや、なんでも無い。・・・。・・・。・・・。そうだ!忘れていた」 「なんだ。ヤス?」「ヤス殿?」 「カイルとイチカの事は聞いているよな?」  ヤスの問いかけに二人は渋い顔をしたが頷いた…

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2020/04/21

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十六話 ユーラットに寄り道

 ヤスは、関所の村をルーサとイレブンに任せた。  マルスも反対していないので、これが正解だったと思っている。 『マスター。セカンドが、FITで向かっています』 『わかった』  ヤスがユーラット方面に歩いていると、10分程度進んだ所で、FITが見えてきた。セカンドが運転しているのだが、ヤスが見えてきた時点で速度を落として、手前で停まった。 「旦那様。セカンドです」 「ありがとう」  セカンドは運転席を降りた。ヤスと運転を変わるのだ。  運転席に乗り込んだヤスは、窓を開けてセカンドに声をかける。 「セカンドはど…

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2020/04/20

【第四章 襲撃】第二話 情報

 夕花は少しだけ考えていた。  晴海が、自分を主寝室に呼ぶのではないかと・・・。  紅茶を飲み終わって、二人の間に沈黙が訪れる。  両者とも人付き合いが得意な方ではない。  晴海は、それなりの経験はあるが、人付き合いという面では受け身だ。  当然だろう。金持ちの子息なので、周りが勝手に興味を持って話しかけてくる。晴海の興味を引くためにいろいろな話題を振ってくるのだ。自分から話題を振るような必要は夕花と話をするまで必要なかった。 「晴海さん」 「なに?」 「今日は、どうされますか?」  晴海は時計を見る。 (…

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2020/04/20

【第四章 襲撃】第一話 監視

 晴海は着信を確認してから、通話モードに切り替えた。 「何かあったのですか?」  着信は、コンシェルジュからだ。 「文月様。夜分に申し訳ありません。先程、親戚を名乗る者が夕花様の事を問い合わせてきました」  晴海は夕花を見て、少し考えた。  不思議に思った事が2点ある。 「なぜ夕花だと?」 「はい。具体的に、写真を見せられました。当ホテルのエステを使われる前の夕花様に似ていらっしゃるお写真でした」 「夕花の名前を聞いたのか?」 「いえ、写真だけを見せられました」 「それで?」 「お泊りになっていないとお答え…

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2020/04/20

【第三章 秘密】第三話 会話

「夕花」 「はい。晴海さん」  晴海は、夕花を自分が座るソファーの前に座らせた。 「夕花の事を聞きたいのだけどいいかな?」 「私の事ですか?」 「そうだ」 「・・・」  夕花は、晴海がどんな答えを望んでいるのかわからない。わからないが、必死に考えた。 「どうした?」 「いえ・・・。お話できるような事はないと思います」  晴海は少しだけ困った顔をする。しかし、夕花に問題があるわけではない。晴海に大きな問題があるのだ。話を聞きたいとだけ言われて、どんな話をすればいいのか考えられる人間がどれほど居るだろうか?  …

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2020/04/20

【第三章 秘密】第二話 準備

「晴海さん」 「夕花。部屋で待っていてくれ。外からノックを3回したら鍵を開けてくれ」 「はい?」 「今から少しコンシェルジュに忘れた頼み事をしてくる」 「わかりました」  晴海は、夕花に先に部屋で待っているように言って、自分は一度ロビーに戻った。  コンシェルジュに頼んでおきたい事が有ったからだ。 「文月様。何か?」 「もうひとつの部屋の事を問い合わせた者が居たら教えて欲しい」 「かしこまりました。どの様にお伝えすればよろしいでしょうか?」 「端末にメッセージを遅れるだろう?」 「はい。大丈夫です」 「秘匿…

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2020/04/20

【第三章 秘密】第一話 部屋

 六条晴海が、待っている場所まで、文月夕花を連れてきたのは、赤髪の女性だ。  エスコートしているというセリフが似合っている。 「ご主人様」 「夕花。綺麗になったね」  少しだけ俯いて頬を赤く染める。 「よろしいのですか?」 「問題ない」  六条晴海は、赤髪の女性から、文月夕花の手を渡された。  紙幣を丸めた物をチップとして渡す。一礼して女性が立ち去った。  文月夕花はどうしていいのかわからないようだ。 「夕花。座っていいよ」 「はい」  そう言われても、六条晴海はラウンジにあるバーカウンターに座っている。横…

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2020/04/20

【第三章 秘密】閑話 夕花

 私の名前は・・・。あんな奴の名字なんて名乗りたくもない。  考えただけで・・・気分が・・・。悪くなる。  父は、愚者だった。  お金が欲しいくせに、汚い癖に他人に悪く言われるのがイヤで他人には文句を言わない。母にだけは強く出られる小心者だった。  働き者ではなく、小心者と怠け者で自分で考えることができない愚者だった。  父は、知人から持ちかけられた共同経営の話に乗った。  最初は会社がうまく回ってかなりの売上が出ていた。歯車が狂いだした。最初は些細なミスだったのかも知れない。父は、他人から責められる事に我…

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2020/04/20

【第二章 落札】第三話 合流

 全身コーディネートコースまで存在している。  ケチってもしょうがないよな。 「下着や服を、夕花に選ばせる事はできるのか?」 「もちろんできます。ご予算をおうがいいたしますが、文月夕花様に予算内で選んでいただく事ができます」  全身を一番高い物で固めてもそんなに高くは無いな。  女性物の服は・・・あるにはあるが、あれを着せる事はできない。 「わかった。次の事を夕花に伝えてくれ、 ・換えの下着と服。7日分を140万以上200万以下で揃えろ。 ・靴は5足。カジュアルとフォーマルを一足ずつと街歩き用を一足と山歩き…

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2020/04/20

【第二章 落札】第二話 契約

 今、僕は落札が成立したとして部屋に通された。  部屋の中にいる執事風の男性がいて、これからの手続きを説明して貰った。  目の前にある端末には、僕が落札した本人が希望をつけた奴隷契約書がある。  内容の説明を聞いた。 — 奴隷契約書  法規で定められた云々から始まっている。  ん?条件が何も書かれていない。  執事風の男性に質問する事にした。 「これでいいのですか?条件が書かれていません。通常、解放の条件や待遇が書かれていると先程お聞きしました」 「はい。通常ではそうです。18番からの条件は口頭…

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2020/04/20

【第二章 落札】第一話 締切

 壁のタイマーが残り60分をしめした。  館内放送でも同じ事が告げられる。  入札を終えた人たちはひとまず入札をしなかった奴隷の部屋を最後に見て回っている。  必ず入札が成立するわけではない。相思相愛にならないと落札できないのだ。  問題なのが、複数に入札を行った者が両方の奴隷を落札してしまった時だ。  この場合には、先に入札を行った方が優先される仕組みになっている。奴隷側には、複数入札が解るようになっているので、選ぶときの指標にもなる。  壁のタイマーが徐々に少なくなっていく。  残り10分になると、廊下…

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2020/04/20

【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 関所の村

 俺は、ルーサ。以前は、リップル子爵領の領都で、スラム街の顔役をしていた。  今は、しがない村の村長だ。  俺に、この村を任せたヤス様は頭のネジが数本抜けていても不思議ではない。そんな言葉では生ぬるい可能性だってある。  リップル領からの脱出は簡単だった。レッチュヴェルト(レッチュ領の領都)まで移動してギルドに顔を出したら、領主の屋敷に行けと言われた。どうやら、デイトリッヒが関係していた。俺としては、カイルたちがどうなった確認して、レッチュ領の顔役に話を通しに行く予定だったのだが崩れてしまった。  デイトリ…

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2020/04/20

【第一章 入札】第二話 入札

 全部の情報を取得したときには、ちらほら入札が行われたルームが目立ち始めた。  入札が行われると、入札数が表示されるのだ。入札数が1だと入札は流れる事になっていると説明された。不正防止なのだろう。 /// ルーム18 性別:女性 年齢:18 出身:駿府 希望:殺してくれる人 特記事項:  なし。 ///  居た!  赤い印が付いている。それでいて、特記事項がない。特記事項に書けないほどの事情を持っている。  僕の望みにこれほど近い奴隷は居ない。それで死にたがっている。  ルーム18には、すでに入札が4件され…

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2020/04/19

【第一章 入札】第一話 見学

 僕は、六条(ロクジョウ)晴海(ハルミ)。  見た目は、純粋な日本人・・・には見えないと思う。左腕が肩からなくなっている。今は、生体義手を付けているので生活に不自由する事はない。新型で、防水・防塵・熱感知機能まで付いている特級品なのだ。外装部分に使っている皮膚も僕の細胞を培養して作られた物だ。指先はわざと機械の指にしている。義手である事が解る様にしている。  日本人に見えないのは、目の色が特徴的なのだ。右目が黒で左目が青の金銀妖瞳(ヘテロクロミア)だ。  目だけではなく、殺人事件の事件の被害者となり、僕だけ…

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2020/04/19

【序章】第一話 開場

 見知らぬベッドの上で 足と手を固定され、口枷をさせられ、耳栓をされ、自由が利かない状態になっている自分の周りを何人もの人間が取り囲んでいる。  頭も固定され、目には何か解らない装置を付けられて、正面部分しか見られないようになっている。その正面のはるか前方には大きな鏡があり、そこに自分の姿が映し出されている。  そして、多数の男女が露になっている秘部を見たり顔を覗き込んだりしてから紙に金額を書いて立ち去っていく。  奴隷市場。  これが、この場所の名前なのだ。 —  『第13回 奴隷市場開催決定…

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2020/04/19

【第六章 ネット盗聴】第四話 報告書作成

 荷物の片付けを終えて、ユウキに声をかける。 「帰るぞ!」 「うん!」  帰ろうと席を立つと、塾の事務員が話しかけてきた。  報告を忘れていた。 「篠崎さん?」 「情報流出は、この端末を始末すればなくなると思います。留意する必要はありますが、大丈夫だと思います。後日、報告書を提出します」 「わかりました。お待ちしております」 「念の為に、明日もう一度調査をします」 「わかりました」  塾の問題はこれで片がつくだろう。  明日また来て野良基地局がないかを確認する事にする。  今日調べた限りでは大丈夫だとは思う…

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2020/04/19

【第六章 ネット盗聴】第三話 調査

「ユウキ?」 「なに?」 「いや、なんでもない」  なんでもなくはないが、何かユウキが隠しているような雰囲気がある。  気にしてもしょうがない事だと割り切るしか無い。聞いても答えるとは思えない。 「タクミ。先生には?」 「話が通っている。調査を開始するけど、ユウキはどうする?」 「僕?うーん。タクミの作業を見ていてもわからないから、適当に話を聞いているよ」 「頼む。”ネットが遅くなった”とか聞いてくれると助かる」 「わかった」  ユウキが、知り合いを見つけて話しかけている。  俺が頼んだ古株を見つけるつもり…

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2020/04/19

【第六章 ネット盗聴】第二話 準備

 塾は、夕方に行けばいいようだ。  ユウキを見ると、幸せそうな顔でフルーツジュースを飲んでいる。BOTを使って、ゲームをしているという話も気になる。最近のゲームでは、BOTが動かしにくいようになっている。通信パケットもそうだが、プロセスからの入力ができないようになっている場合が多い。規定の入力デバイス以外からの入力は受け付けていない。  何にでも抜け道は用意されているが、根本的なことをいうとBOTでキャラクターを強くしても、売れないゲームが増えている。  もしかしたら、俺が知らない方法が有るのかもしれない。…

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2020/04/19

【第六章 ネット盗聴】第一話 依頼

 朝起きたら、珍しくオヤジから呼び出された。 「オヤジ。俺に何か用事があるらしいけどどうした?」 「タクミか・・・少し待ってくれ・・・。下で待っていてくれ」  誰かと電話しているようだ。簡潔に話が終わればすぐに降りてくるだろう。 「わかった。リビングでいいのか?」 「あぁユウキも来ているのか?」 「どうだろう?今日は来ていないと思うけど・・・ユウキも必要なら呼んでおくよ」 「まずは、お前だけでいい」 「わかった」  オヤジの仕事(趣味)部屋の前からリビングに移動する。リビングに、ユウキはいなかった。部屋に居…

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2020/04/19

【第五章 情報流出】第五話 報告と顛末

「原先生。これを見てください」 「あぁ村上くんが言っていましたよ」 「え?彼は、なんて言っていたのですか?」 「”製図や文章作成に便利なツールを沢山集めてあります”だと思いますよ」 「そうですか・・・先生、確かに、これは便利な物が多いです。しかし、ほとんどすべてが、市販の物です」 「えぇそうですね。彼は、自由に使える物だと言っていましたよ?」  あっダメな人だ。  ヘルプを呼ぼう。呼び出しは、寝ぼけている美優先輩の動画いいかな?  《間違えて、梓先輩のスマホのメッセージに送ってしまった!!困った。そうだ。梓…

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2020/04/19

【第五章 情報流出】第四話 調査

 原先生からの依頼を聞き終えた所で、丁度、美優先輩と梓先輩が、生徒総会室を訪ねてきた。  原先生は、先に建築科のサーバが置いてある部屋に移動するという事で、先輩たちに一言断って、部屋から出ていった。 「キミ。また厄介事かい?」 「梓先輩・・・えぇそうです。上地という馬鹿の置き土産です」 「え?上地ってあの、上地か?僕の美優を脅してきた?」 「えぇその上地です」 「あ!建築科のパソコンの設定とか、彼が担当していたわ」 「美優先輩。それを、昨日の段階で思い出してほしかったですよ。そうしたら・・・」 「そうしたら…

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2020/04/19

【第五章 情報流出】第三話 依頼

「ユウキ!起きろよ」 「あと・・・ごふ・・・ん」 「起きないと、朝ごはんなしだぞ!」  その言葉と同時に、布団から勢いよく跳ね起きる。 「ん!起きた!タクミ。ご飯は?」 「なにがいい?」 「なんだぁまだ作ってないの?」 「シャワー浴びるだろう?その間に作っておく、着替えも脱衣所に置いてあるからな」 「タクミは?」 「先に入った。それで、何が食べたい?簡単な物しか作れないぞ」 「うーん。タクミに任せる。シャワー浴びてくるね。あっスムージはお願い!甘いやつで!」 「了解!」  ユウキは、俺のパーカーを着たまま寝…

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2020/04/19

【第五章 情報流出】第二話 旅行計画

 リビングに入ると、先輩たちがいつもの位置に座っている。 「君。制服は、吊るした方が良くないか?シワになるよ?」 「あっそうですね」  クリーニングから返ってきた制服は、そのまま吊るせる状態だから、いいけど、今日着ていた物は、ハンガーにかけないとダメだろうな。ハンガーは・・・あるな。  ユウキのスカートを挟んで、上着をかける。俺のズボンと上着も同じようにする。俺のシャツは、ユウキが着ているから、ユウキのシャツはどうしよう。キャミソールも一緒になっている。 「ユウキ。シャツは洗濯だよな?」 「うん。キャミソー…

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