襲撃の記事一覧
2020/05/03
【第五章 移動】第一話 方法
晴海は悩んでいた。昼間に移動するか?夜に移動するか? 一人で悩むよりも、相談したほうが良いと判断した。 「夕花」 「はひ!」 夕花がおかしな返事をしてしまったのには理由がある。今日も二人でホテルの部屋で過ごしていた。能見に頼んだ、試験に必要な書類が届いたので、二人で勉強していたのだ。共通の勉強は、大学への入学申請に必要になるテストの対策テキストだ。試験は、形だけなのは晴海も夕花も認識している。せっかくだからと二人で勉強をしていたのだ。そして、夕花は復活した資格の上位資格を目指す勉強を始めた。能見からは…
続きを読む2020/05/02
【第四章 襲撃】第五話 移動
昼食に近い朝ごはんを晴海と夕花は並んで食べた。夕花は、食事の度に場所を変えて食事を摂ってみるが、正面で食べれば晴海の視線が気になってしまうし、横で食べれば晴海の仕草が気になってしまう。そして、晴海の匂いを感じて、自分の匂いを晴海が感じているのかと思うと赤面してしまうのだ。 食事を終えて、夕花が食器を片付ける。最初は、晴海がやろうとしたが、自分の仕事だと言って夕花が行うようになった。 「晴海さん。何か飲みますか?」 「そうだね。コーヒーを頼むよ」 「はい。ミルクをたっぷりと砂糖は少なめですか?」 「うん。…
続きを読む2020/05/01
【第四章 襲撃】第四話 観察
夕花は、朝の6時に目が覚めた。二日目の夜も何もなかった・・・はずだ。今までとは違う柔らかいベッドで寝ていた。白く綺麗な天井。カーテンから差し込む優しい光。すべてが、しばらく感じられなかった物だ。そして、自分が”奴隷”として六条(文月)晴海に買われたのを思い出した。 (昨日も、何もされなかった) 2日連続だと自分に魅力がないのかと思えてしまう。 夕花は、ベッドからゆっくり起き出した。夕花は、控室にあるベッドに入る時に、晴海から呼び出された時の為に、下着を脱いで寝ていた。寝る時に脱いだ下着を見つめてから、…
続きを読む2020/04/30
【第四章 襲撃】第三話 考察
晴海は、夕花が寝ているのを確認してから、部屋のリビングに戻った。 情報端末には、次々と能見に頼んだ仕事が完了した情報が表示されていく。 (流石だな。仕事が早い) 晴海はローテーブルに、キャビネットから取り出したウィスキーを取り出す。キャビネットを探すが、欲しいもう一つの酒が見つからない。 ホテルのルームサービスで、氷とアマレットを注文する。普段は、飲まないが今日くらいはいいだろうと思ったのだ。 すぐに、先程対応したコンシェルジュが氷とアマレットを持ってきた、ロックグラスと短めのバースプーンも持って…
続きを読む2020/04/20
【第四章 襲撃】第二話 情報
夕花は少しだけ考えていた。 晴海が、自分を主寝室に呼ぶのではないかと・・・。 紅茶を飲み終わって、二人の間に沈黙が訪れる。 両者とも人付き合いが得意な方ではない。 晴海は、それなりの経験はあるが、人付き合いという面では受け身だ。 当然だろう。金持ちの子息なので、周りが勝手に興味を持って話しかけてくる。晴海の興味を引くためにいろいろな話題を振ってくるのだ。自分から話題を振るような必要は夕花と話をするまで必要なかった。 「晴海さん」 「なに?」 「今日は、どうされますか?」 晴海は時計を見る。 (…
続きを読む2020/04/20
【第四章 襲撃】第一話 監視
晴海は着信を確認してから、通話モードに切り替えた。 「何かあったのですか?」 着信は、コンシェルジュからだ。 「文月様。夜分に申し訳ありません。先程、親戚を名乗る者が夕花様の事を問い合わせてきました」 晴海は夕花を見て、少し考えた。 不思議に思った事が2点ある。 「なぜ夕花だと?」 「はい。具体的に、写真を見せられました。当ホテルのエステを使われる前の夕花様に似ていらっしゃるお写真でした」 「夕花の名前を聞いたのか?」 「いえ、写真だけを見せられました」 「それで?」 「お泊りになっていないとお答え…
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