サイト小説の記事一覧
2020/06/17
【中級】青い鳥を探して
私が居る職場(部署)は、リーマンショックの影響は少なく、軽症で終わった。堅実にやってきたおかげだと考えていました。単純に特殊な技術を使っている部署の為にオンリーワンだったためだ。 他の部署からの流入は、使っている技術が特殊な関係で、すぐに人員の補充は行えない。 しかし、万年人手不足だったのだ。 そんな世間では、リーマンショックでの傷跡が痛々しかった頃に、私の部署に人員を出している外注会社があったのですが、その外注会社で人員整理が始まったのです。理由は、よくある話で、業績不振です。私の部署に来てくれている人た…
続きを読む2020/06/16
【第九章 神殿の価値】第六話 イチカ
イチカは、カイルと話をして、妹や弟をカイルが面倒をみてくれると聞いて安心していた。 ドーリスやサンドラや時にはヤスやリーゼが妹や弟の世話をしてくれるが、もうしわけなく感じていた。本当なら、今回の依頼も断ろうと思っていたのだが、先方から”イチカ”を名指しで依頼してきたのだ。 一泊になるのも、神殿のギルドで処理した書類をローンロットまで運んで、ローンロットの各ギルドに来ている神殿あての書類をまとめるのに時間が必要になるのだ。ギルドからも、ギルドで宿を用意すると言われているので、受けるしかなかった。 行程にも時間…
続きを読む2020/06/16
【第七章 家庭ネットワーク】第五話 新しい生活
秘密基地で、ハブにケーブルを接続していく、一般回線のルータにも火を入れた。業務回線のルータにはまだ火を入れていない。 固定IPの使い方は、オヤジに相談だな。サーバを置くつもりなのかもしれないからな。 さて、一つだけ刺さっているサーバに火をいれる。 モニターとキーボードとタッチパッドを繋いだ。ひとまず、LANからは分離する。 あぁペンギンが表示される。そういうことだな。 中身は・・・。本当にサービスはOSが起動するだけだな。オヤジから珠(ラックサーバ)を回してもらおう。使わなくなった古い物もあるだろう。 秘密…
続きを読む2020/06/16
【初級】明日は我が身
あるプロジェクトにヘルプで入った時のですが、その現場は徹夜が続いている。よくある炎上案件でした。 メンバーはすでに限界を超えています。 限界を突破しているのも当然なのです。徹夜が続くのが日常になっていたのです。幸いな事に、その現場は使える風呂が近くにありました。着替えを洗濯出来る場所もありました。そのために、長期滞在を行っているメンバーが多かったのです。私たちヘルプメンバーは、メインでメンバーに休息を与えるためにやってきたのですが、そう簡単にメインメンバーが楽にならないのがIT業界です。 問題だらけのプロジ…
続きを読む2020/06/16
【第九章 復讐】第九話 終結
船上で行われた粛清劇から1ヶ月が経過した。 城井貴子は、旧姓の朝日を名乗って、大学に復帰した。 忠義は、自分の代で”能見”を終わらせるという望みを晴海に託していた。六条は、足抜けを認めていなかったが、家が潰れれば話は変わってくる。そのために、新見に能見を吸収させた。家が吸収されるならから、出ていきたい者は出ていけと新見に宣言させたのだ。 忠義の願いは叶った。残りの人生を晴海の為に命をかけると忠義(ちゅうぎ)を誓った。 新見は、文月を襲撃した犯人を、能見を使って特定した。大陸系の集団を使った不御月の仕業だ。残…
続きを読む2020/06/15
【初級】ダイエット効果
世の中にはいろいろなダイエット方法があります。 それも、新しい理論(ダイエット)が産まれて、試されて、また新しい理論(ダイエット)が産まれる。私たちが行ったダイエットは、それらの物とは違いました。意図してダイエットをしようとしたわけではありません。 一緒に仕事をしていたメンバーの全員が、10キロ以上の減量に成功しています。 100キロ超えの人間から、60キロ位しかなかった人(女性を除く)まで様々ですが、全員がダイエットに成功しています。 その驚異的なダイエット方法は・・・・。 精神的に追い詰められた状態で仕…
続きを読む2020/06/15
【第七章 家庭ネットワーク】第四話 ルータとWIFI
結局、朝まで地下室で作業をしてしまった。 2台のルータの設定はできていた。オヤジから送られてきた資料の中に契約に関する物もあったので、ルータの設定を確認した。それからパズルのように、ケーブルの接続を行った。外部からの接続は、後で考えるとして、家の中のネットワークの構築を行った。外部への接続は、業務回線は使わない。家庭用の回線を使えと言われているように思えたからだ。セッション数が増やされている。 ユウキと俺で別々にゲーム機を持っている。Microsoftのゲーム機と任天堂のゲーム機とソニーのゲーム機は、最新の…
続きを読む2020/06/15
【第九章 神殿の価値】第五話 カイルと子供たち
「イチカ!」 「なに?」 「今日は、どこに行く?」 「カイルは?」 「俺は、今日はアシュリに配達だけ」 「そう、私はローンロットに配達で、向こうで宿泊になると思う」 「わかった。妹たちは?」 「ドーリスさんが手配してくれる。先生たちも居るし大丈夫だと思う」 「わかった。俺もなるべく早く帰ってくる」 「うん。お願い。それじゃ先に行くね」 「おぉ!」 カイルとイチカのお決まりのやり取りだ。 最初の頃は、二人で依頼を受けていたが、効率が悪かったり、行く先々でからかわれたり、不都合ではないがカイルが不機嫌になるので…
続きを読む2020/06/15
【第九章 復讐】第八話 闘争
部屋の中に、湯呑が割れる音だけが木霊する。 「夏菜!」 「はっ」 「そのクズを連れて行け、礼登と秋菜に合流しろ。死ななければ何をしても構わない。自白剤の使用も許可する。不御月の関与と、文月と襲撃者の所在を喋らせろ」 「かしこまりました」 「礼登にも秋菜にも言っておけ、手足を切り落としても構わない。だから、殺すな!」 「はっ」 夏菜が直亮(なおあき)の首にワイヤーを巻きつけて部屋から連れ出した。 「ふぅ・・」 晴海は、椅子に座り直した。 「最悪だな」 「はい」 応じたのは、忠義だ。貴子と会った時点から城井が怪…
続きを読む2020/06/14
【第七章 家庭ネットワーク】第三話 ネットワーク環境
おかしい。 心臓がドキドキしている。俺は緊張しているのか? 「タクミ」 「オヤジ。桜さんと美和さんは?」 「もう帰ってきている」 「わかった」 作業部屋(家)から出て、森下家に向かう。 美和さんがすぐに出てきてくれた。 「タクミ。どうしたの?克己も一緒?」 「桜さんは?」 「リビングよ?ユウキも呼ぶ?」 「大丈夫。桜さんと美和さんに、お願い。違うな。宣言しに来ました」 オヤジが、後ろから美和さんになにか合図を送っているが後ろを振り向いてはダメだろう。 「あら。そうなの?良いわよ。上がって、リビングはわかるわ…
続きを読む2020/06/13
【第九章 神殿の価値】第四話 ヤスのワガママ
「マルス。魚が食べたい」 『マスター。個体名セバス・セバスチャンに命じて、迷宮区で採取出来ます』 「それもいいが・・・。そうだ、湖の村に行こう。あそこなら、湖の恵みを食べられるだろう?頼まれた荷物もある」 『了』 ヤスは思い立ったら吉日。一人で移動する。場所も解っている。 S660の出番だ。ナンバーを660にしている。異世界で召喚したときにナンバーが外れていたので、ヤスはイワンに注文をだしてわざわざ黄色のナンバーを作成して取り付けている。地名が書かれている場所は、”神殿”と日本語で書いた。 ヤスの乗るアーテ…
続きを読む2020/06/13
【第九章 復讐】第七話 昼夜
静かな時間が流れた。 礼登から漂ってくる血の臭い。耳を切り落とされた直道(なおみち)からも新鮮な血の臭いがしてきているが、気にするものは居ない。 「秋菜。そこで、うずくまっているクズを俺の前から排除しろ」 「何を、めか」「豚。口を開くな、臭い」 直道(なおみち)が、”めかけ”と言いかけたので、秋菜が強硬手段に出た。直道(なおみち)の耳がなくなった場所を殴って、黙らせた。 「秋菜。豚が可愛そうだ。豚は、餌を貰っている者になつくからな。最後に殺されて食べられる瞬間まで、主人を信じているのだからな」 「はっ。もう…
続きを読む2020/06/13
【第七章 家庭ネットワーク】第二話 作業場所
オヤジは、そのままリビングに移動して、ソファーではなくダイニングテーブルに座った。 俺に正面に座るように言った。 オフクロが用意してあった珈琲を入れて、俺に渡してくる。 正直、オヤジがいれる珈琲は濃い。俺には合わない。 「それで?」 「結論を急ぐな。まずは落ち着けよ」 「あぁ」 オヤジが入れた濃い珈琲を飲む。やはり濃い。よくこんなに濃い珈琲を飲めるものだ。 「旅行はどうだった?」 「楽しかった」 「そうか。どこに行った?」 「ん?オヤジは知らないのか?」 「あぁ伊豆とだけ教えられたが、詳しい行程は聞いていな…
続きを読む2020/06/12
【第九章 神殿の価値】第三話 イワンとルーサ
「イワン殿。ヤスから、魔道具は受け取ったのか?」 「ルーサ殿か?魔道具は解析中だ。それよりも、”殿”はやめてくれ、気持ち悪い」 ルーサは、イワンの工房を訪れていた。 工房の前でイワンを呼び出して話を始めたのだ。 「それなら、俺もルーサで頼む」 「”敗者(ルーサ)”か?もう良いのではないか?」 「いや、俺は、ルーサだ。逃げ出した、俺は、敗者ですら無い」 「わかった。わかった。それで、ルーサ。何か用事なのか?」 イワンも触れられたくない話は当然ある。 ルーサも同じだ。隠すわけではない、聞かれたら話をするし、過去…
続きを読む2020/06/12
【第七章 家庭ネットワーク】第一話 認識
先輩たちは、俺とユウキを家まで送ってくれる。 「梓さん。美優さん。ありがとうございます」 「素直なタクミ君も悪くないな」 「どういう意味ですか?」 「ククク」 「なんですか?」 「いいねぇ美優。僕たちも手を握っていようか?」 梓さんは、俺とユウキが手を繋いでいるのをどうやって確認したのかわからないが、からかってくる。 手を繋いでいるわけではない。ユウキが、俺の腕に掴まって寝ているのだ。 梓さんと美優さんに聞いて知ったのだが、ここ数日、ユウキは考えすぎて、ペンション以降はあまり眠れていないようだ。 それなら、…
続きを読む2020/06/12
【第九章 復讐】第六話 破綻
「幸典(ゆきのり)。新見家は、なにか言いたいことがあるのか?」 「お館様にお聞きしたいのですが、合屋家から返還された物を六条家としてどうされるのですか?」 新見が晴海に問いただした内容は、合屋と寒川以外が聞きたいと思っている話だ。 六条家が絶対の上位者なのは変わりがないが、六条家だけでは、返還された物を動かせないのは自明なのだ。 「そうだな。六条で持っていても手に余るな」 「それでは!」 直道(なおみち)が身を乗り出して話を遮った。 「直道(なおみち)様。お館様のお話中です。お控えください」 いつの間にか、…
続きを読む2020/06/11
【幕間章 伊豆旅行】第四話 伊豆旅行(その2)
ん?ここは? いい匂いだ?甘い。俺が好きな匂いだ。 え? ユウキ?裸?何が? 思い出した! 伊豆旅行で泊まったペンションだ。 そもそも、ユウキは着替えてガウンを着たのだろう? 俺の腕に抱きついている。やばい。いろいろ駄目だ。腕に、ユウキの胸が当たる。普段はこんなにも意識しないのに・・・。匂いか?柔らかさか? 思い出せ。 大丈夫だ。 何もしていない。何もしていないが、何が大丈夫なのかわからない。でも、大丈夫だ。 ユウキの身体を拭く時に触ったけど不可抗力だ。 ユウキをベッドに運ぶときに触ったが不可抗力だ。 ユウ…
続きを読む2020/06/11
【第九章 復讐】第五話 合屋
「泰史(やすふみ)!」 「はっ」 「泰章(やすあき)に、市花。新見。城井を呼びに行かせろ。泰史(やすふみ)は、寒川を迎えにいけ。寒川の望みを聞き出してから戻ってこい」 「かしこまりました」 夕花が会議室のロックを解除する。 泰章(やすあき)は、頭を下げて部屋から出ていった。 「晴海さん。なんだから嬉しそうですね」 「そうか?」 「はい。僕、少しだけ嫉妬してしまいそうです」 晴海は、夕花の頭をくしゃくしゃと撫で回した。 「夕花、もうすぐだ。俺の問題と夕花を狙っている奴らが繋がるかも知れない」 「え?晴海さん?…
続きを読む2020/06/11
【第九章 神殿の価値】第二話 別荘地
やる事がないヤスは、アフネスとサンドラと一緒に貴族用の別荘建築予定フロアに来ている。 神殿の西門近くに作られた入口から入る場所だ。 ヤスは別荘地と言えば、軽井沢か伊豆を思い浮かべる。 イメージは、高級リゾート地ではなく、チープな匂いがする”なんちゃってリゾート”だ。入る前に、審査が行われる。審査は、通常の神殿に入る審査とは違う。貴族や従者に、同じ調査をしていたら殆どの者が許可されない。そのために、リゾート部分を分離したのだ。 「ヤスさん。リゾートという名前で決定なのですか?」 「ん?名前が必要なのか?」 「…
続きを読む2020/06/10
【第九章 復讐】第四話 芝居
部屋の温度が上がったように思える。 泰史(やすふみ)に視線が集中する。忠義と礼登以外は、泰史(やすふみ)を凝視している。夕花も、泰史(やすふみ)を見てしまっている。 泰史(やすふみ)の次の言葉を誰しもが待っているのだ。 「お館様。私は、合屋家は、無関係です」 泰史(やすふみ)は泣きそうな声で、晴海に訴える。 だが、晴海は臨んだ答えではないと泰史(やすふみ)を追求する。 「泰史(やすふみ)!違うだろう?」 夕花が、意を決して、晴海の名前を呼ぶ。自分の考えを口にしていいのか迷ったが、晴海が机の下で夕…
続きを読む2020/06/10
【幕間章 伊豆旅行】第三話 伊豆旅行(二人の夜)
今日は、ペンションに泊まると教えられていた。土肥のホテルではある意味しょうがなかったのだろう。シングルの部屋がなかったのだ。ペンションなら、部屋数もあるし大丈夫だろう。 14時を回った位に、白浜海岸に到着した。 ユウキは白浜を喜んでいる。美優さんも控えめながら梓さんと一緒に波打ち際での散歩を楽しんでいるようだ。 近くのショッピングモールで早めの夕飯を食べたのが16時前だ。そのまま、買い物をした。 なぜか、梓さんと美優さんから水着を買うように言われた。夏になれば必要になるし、奢りだと言うので不思議に…
続きを読む2020/06/10
【第九章 神殿の価値】第一話 ラナからの依頼
神殿だけは落ち着きを取り戻しつつある。王国や帝国は、神殿を巻き込んだ騒動の後始末が終わっていない。 特に王国は子爵家の暴走から始まる騒動が予想以上に大きな火になって王国中を巻き込んでいる。 最大派閥の貴族派の重鎮である侯爵家の当主が病死した。同じく後ろ盾になっている、公爵家の当主が同じ日に事故死した。これらの葬儀に列席するために、貴族家の当主は王都に集まっている。 侯爵家は、当主の病死の後で王家から指名された者が継いだ。もともと居た息子や娘たちは、事故死したり病死したり、連続で”不審”な死を遂げた。…
続きを読む2020/06/09
【第九章 復讐】第三話 糾弾
晴海は、カップを持ち上げて飲もうとして止める。 「そう言えば、先代の事件の時に、お前たちはどこに居た?」 晴海の問いかけに答えられる者は居ない。 それぞれに理由があるのだが、言い訳になってしまう。もう一つ、各家が何をしていたのか明確に出来ない理由があるのだ。 「お館様」 「直道(なおみち)か?」 晴海だけではなく、夕花を除く者の視線が、城井直道(なおみち)に集中する。次期当主となっているが、正式には晴海が認めなければ、現当主が認めても、家は継げない。そして、晴海は直道(なおみち)よりも若い。夕花の存…
続きを読む2020/06/09
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十八話 開戦と終了と後始末
「アフネス。ルーサ。ダーホス。ドーリス。サンドラ。ヴェスト。エアハルト。イワン。帝国を殲滅する準備が出来た。ここで、見られるがどうする?」 ヤスは、皆を見るが、誰一人として帰ろうとしない。 どんな状況になるのか確認したいのだ。 「わかった。セバス。操作を頼む。マルス。作戦を実行しろ」 「はい。旦那様」 ”イエス。マイマスター” プロジェクターで投影されたスクリーンには、駐屯する帝国軍が映されている。 ドッペル兵士たちが、進軍し始めた。まだ距離があるために、二画面に分かれて表示されている。 「ヤス。あ…
続きを読む2020/06/09
【幕間章 伊豆旅行】第二話 伊豆旅行(その1)
「タクミ君。準備はいいのかい?」 「梓さん。車を変えたのですか?」 先輩たちが乗り付けた車は、前に乗ってきた車と違っていた。BMW MINI だ。 「これは、美優の車だ」 「へぇ可愛いですね」 「ありがとう。それで、タクミ君。ユウキは?」 「準備は終わっているので、すぐに来ると思います。荷物はトランクに入れればいいですか?」 「あぁちょっとまってくれ、開ける」 トランクが開けられる。それほど広くは無いが、並べれば綺麗に入るだろう。 丁度。ユウキが玄関から荷物を持って出てきた。 「先輩!あっタクミ。荷物…
続きを読む2020/06/08
【幕間章 伊豆旅行】第一話 旅行前
伊豆旅行が近づいてきている。 先輩たちは何やら企んでいるようだが、気にしないほうが良いだろう。聞いても教えてくれるはずがない。 5泊6日で伊豆を一周する。 国内旅行だし、先輩たちも居るから問題は無いだろう。 ユウキも準備をしている。 「オヤジ。この前に盗聴は解決したのか?」 「あぁタクミ。まだ詰めが甘かったな。仕掛けられていたのは一つじゃなかった。全部で3箇所だ。他の場所は、コンセントが外れていたから、使えなかっただけだ」 「・・・。それは、無理だ。そもそも、どうやって見つけた?」 「簡単だぞ?お…
続きを読む2020/06/08
【第九章 復讐】第二話 忠誠
先頭を歩いている。礼登が、ドアを開ける。 中には、10人ほどが円卓に座って居る。上座には、4つの席が空いている。 入口に全員の視線が集中する。 礼登が開けた扉から忠義が先に部屋に入り、扉を押さえる。晴海が部屋に入り。夕花が続く。 晴海が手を差し出すので、夕花は戸惑いながらも晴海の手を取る。晴海の横に並んで歩くように誘導される。夕花は、晴海の腕に自分の腕を絡ませる。 夏菜と秋菜が部屋に入ったのを確認して、礼登が扉を閉める。 「六条家、現当主。晴海様の御前です」「いつまで座っているつもりですか?」 …
続きを読む2020/06/08
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十七話 帝国に穿たれた小さな楔
ヤスへの質問はまだ続いていた。 ドッペル男爵を使った帝国での”いやがらせ”は十分に理解できたが、まだ聞かなければならなかった。 「ヤスさん。お父様とドッペル男爵の会談を取り持てませんか?」 「問題ないぞ?家の格を考えると、ドッペル男爵をローンロットに向かわせるか?その時に、帝国の村の村長をやるドッペル息子も一緒に連れていけばいいよな?」 エアハルトが手を上げて話に入ってきた。 「ヤス殿。サンドラ様。その会談には、私も出席したいのですが問題はありますか?」 ヤスはサンドラを見る。問題はないと思っている…
続きを読む2020/06/07
【第六章 ネット盗聴】第五話 日常
「タクミ!タクミ!」 誰だよ!?煩いな。 「タクミ!」 そうか、昨日・・・。報告書を読み直して、ソファーでユウキと・・・。 なにか忘れている? オヤジに提出・・・。 「あ!」 「いきなり起きないでよ!」 「すまん。今、何時?」 「朝の8時。タクミ。僕、お腹がすいた」 ユウキのワガママで救われた。 「悪い。すぐに準備するから待っていてくれ、オヤジに報告を送信してくる」 「わかった。早くしてよ」 ユウキをリビングに残して、自分の部屋に戻った。 昨晩、読み込んでいると言っても、もう一度、読んでおこう…
続きを読む2020/06/07
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十六話 報告会
「ヤス。正直に教えてほしい。なんなら、ここに居る全員にリーゼを呼んで制約の魔法をかける」 「そこまでは必要ない。話を聞いて出ていきたいのなら出ていけばいい」 ヤスは、自分の行動を秘密にする必要性を感じていない。秘密にして隠していれば、弱みになりかねない。秘密は弱点にもなりかねない。ヤスは、幼馴染でもある男の顔を思い出していた。 「わかった。聞いた後で判断させてもらうよ」 「皆もそれでいいか?」 サンドラに続いてルーサが皆に確認をする。 ルーサの確認に皆がうなずいた。 皆がうなずいたのを見てヤスは肩を…
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