クラッキングの記事一覧

2020/06/26

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第十話 引率の必要なかったな

俺がロビーで待機している最中には、誰も部屋から出てこなかった。 北山が出てきて、津川先生に何か怒鳴り散らしていたが、無視して差し上げた。ユウキを呼び出そうかと思ったが、悪趣味なので辞めておいた。 津川先生が、俺に何か言ってくるかと思ったが、何もなかった。 夕方まで俺が待機して、戸松先生と交代した。 「篠崎くん。何かありましたか?」 「何もありません。どのチームも問題はなかったようです」 学校で待機している後輩チームが管理している掲示板には、何やら質問が投稿されていたが、他のチームの人間が解決策を提案していた…

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2020/06/25

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第九話 大会

大会が始まった。 俺とユウキはバイクで移動しようと思ったが、戸松先生から辞めて欲しいと言われた。俺たちの学校では、バイク通学は認められているが、他の学校では禁止されている。そこに、バイクで乗り付けるのは、ダメだと言われたのだ。一緒に移動しても良かったのだが、学校が用意したバスでの移動となるとパソコン倶楽部の面々と同じ空間で過ごす必要がある。持っていく荷物を見られたくなかったという理由もある。 そこで、俺とユウキは、頼りになる前会長と前副会長に連絡をして、”貸し”の一つを返してもらうことにした。 先輩たちは、…

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2020/06/24

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第八話 北山からの要望

後輩たちがツールの作成を始めた。 津川先生は、パソコン倶楽部を中心に見ることにして、パソコン実習室には顔を出さなくなった。 連絡事項は、俺にメールで知らせてくるようにしてもらった。 参加の応募が締め切られた。 4チームとパソコン倶楽部の、参加は承認された。 問題なのは、元パソコン倶楽部の面々を引率としていたが、許可がおりなかった。 各4チームの引率になるように振り分けたのだが、却下されてしまった。 俺とユウキの引率は許可された。部屋もそれぞれで用意されるようだ。戸松先生も許可された。 連絡を受けて、戸松先生…

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2020/06/23

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第七話 ツールとスクリプト

質問が途切れたので、レギュレーションで抜けている部分を質問する。 「そうだ。津川先生」 「はい?」 「時間制限とかはありますか?レギュレーションには書かれていませんでした」 「時間制限とは?」 「徹夜してもいいとか?休憩時間があるとか?です」 「去年の話ですが、いいですか?」 「はい」 津川先生からの説明では、徹夜は駄目。 夜は、21時までに作業を終了する。会場に施錠されるので、21時以降に、会場に入ることは出来ない。 朝は、7時に会場が開かれる。各チーム別に部屋が決められていて、鍵を渡される。7時以降なら…

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2020/06/22

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第六話 防御と攻撃

学校からの依頼を受けてから1週間が経過した。 結局、毎日パソコン実習室でいろいろ教えている。 やっと、俺が目標としていた、2時間でのサービス起動が出来るようになってきた。 変則的な設定の場合には、考えて手が止まってしまったり、手間取ったり、躊躇したりしてしまう。しかし、CentOSを試しにDVDから標準的な構成を、手順に従って設定とセットアップをしてもらった時間と、同程度の時間でサービスが起動できる。 時間短縮の方法は至って簡単だ。 最小構成でOSをセットアップする。そのときに、SSHのポート番号を変えて起…

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2020/06/21

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第五話 面談

パソコンの実習室に入ると、チームでまとまっている。 俺が、戸松先生に送った資料を読んでいる。 「皆さん・・・」 戸松先生の口上が始まった。 基本は、戸松先生がリーダーとなって皆を指導していく、俺はサポートを行う。 30人を見回すと、1年生が多いように思える。 「津川先生。パソコン倶楽部の子ですか?違う科の子ですよね?」 女子の4人は、違う科のバッチを付けている。 それに、パソコン倶楽部の子が2名居るから、女子の半分以上はパソコン倶楽部から来ている。 「篠崎君。それに関しては、謝罪しますが、駄目でしょうか?」…

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2020/06/20

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第四話 作戦と提案

さて、有志のレベルがわからないけど、パソコンが触れる素人と仮定しよう。 1年も混じっているだろうし、プログラムはほぼ無理だろう。ネットワークの授業もまだ始まっていないだろう。しまったな。津川先生に聞いておけばよかった。 多分、OSは、Linux系統を入れさせるつもりなのだろう。 いくつかのディストリビューションを持っていこう。RedHat系とDebian系とSlackware系だな。CUIで困らないようにしておこう。 さて、学校でのセキュリティの勉強会をかんがえないとならない。時間も無いし、本番を想定した感…

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2020/06/19

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第三話 確認

「篠崎くん。それで、受けてくれますか?」 「はい。受けます。それで、実習室の使用許可をください。あと、レギュレーションにあるように、OSが入っていない同型のパソコンが10台ほど欲しいのですが、ありますか?」 「完全に同じでは無いですし、スペックが低いのですがいいですか?」 「チップセットとGPUが同じなら多少の違いは大丈夫」 戸松先生が空いているパソコンを考え始める。 流石に、10台は難しいか?オヤジに相談して、古いスペックの珠(サーバ)が転がっていないか聞いてみよう 「そうだ。戸松先生。篠崎くん。有志の選…

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2020/06/18

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第二話 レギュレーション

作業場所に帰る前に、近所のラーメン屋で夕飯を食べようと思った。 「お!今日は、一人か?」 「えぇユウキは、バイト先で食べてくるらしいので」 「そうか、それでどうする?」 「チャーハンセットを塩で」 塩ラーメンとチャーハンのセットを頼む。 ユウキが居ると、これに餃子か唐揚げが追加される。デザートの杏仁豆腐までしっかりと食べる。あの身体のどこに入っているのか不思議に思えてしまう。そして、育たなかった身体の一部を思い出す。 「はいよ」 他にも客は居るが、顔なじみばかりだ。 名前も職業も知らない人たちだが、街ですれ…

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2020/06/17

【第八章 セキュリティ・キャンプ】第一話 学校からの依頼

ユウキと住み始めて2ヶ月が経過した。 委託された業務は、サーバの監視業務だ。だが、面倒なことに監視内容が多岐に渡っている。死活確認だけではなく、レスポンス確認や月に一度の脆弱性の確認まで含まれる。報告書にまとめて、月一回の作業報告として提出する。正直、月10万では割に合わない。回線代と電気代と複合(コピー)機のレンタル代と各種アカウント代がなければ、赤字案件確定だ。作業量から考えると、多分2-30万が妥当だろう。 そう言えばユウキは、オヤジの事を、克己パパと呼んで、オフクロの事を、沙菜ママと呼ぶようになった…

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