過去の記事一覧

2020/05/27

【第八章 踊手】第四話 遺伝

 部屋に入った二人は疲れているのもあって、風呂に入ることにした。 「晴海さん。お風呂の準備をします」 「頼む」  晴海は、礼登から渡されるはずだった資料を従業員から受け取った。  夕花が風呂の準備を始めたのを見て、封筒を開けて資料を見た。  資料は、予想通り夕花の母親の情報だった。 (大物だな)  夕花の母親は、東京都の裏社会をまとめている家の出だ。昔風に言えば、反社会的勢力の家の生まれだ。東京の裏を支えると言っても過言ではない。裏の顔も表の顔も持っている。表の顔の時に使う家の名前が”文月”だ。本当の家名は…

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2020/05/14

【第六章 縁由】第六話 過去

 晴海と夕花を乗せたトレーラーは圏央道を走っている。  制限速度内で、ゆっくりした速度を保っている。  晴海は、ベッドで横になっている。やることが無いわけではないが、急いでやるべきことが無いのだ。  夕花は、資格の勉強を再開した。すぐに必要になるわけではないが、試験の日付を考えると、勉強を再開しておいたほうが良いと思ったのだ。  勉強をしながら、晴海を観察している。  夕花は、自分の生まれも育ちも解っていたと思っていた。奴隷になって、市場で売られて、晴海に買われて、ここ数日で世界が一気に変わってしまったのだ…

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