サイト小説の記事一覧
2021/11/23
【第三章 帝国脱出】第五話 カリン訓練をする
黒鉄と白銀を、鞘に納める。 上位属性の問題は、大丈夫。刀に纏わせるだけならわからない。 「カリン様?」 「ん?あっ大丈夫。そう言えば、上位属性は何ができるの?」 「え?カリン様?私が、今から、カリン様に聞こうと思ったのですが?」 「・・・。え?」 あっ・・・。そうか、イーリスも、日記の中に出てきた項目を読んだり、研究資料を読んだり、書物の中で出てくるだけだから、知らなくて当然だよね。 私は、そもそも、火も水も風もわからない。 飛ばせるの? 「イーリス。上位属性は別にして、火属性や水属性や風属性は、…
続きを読む2021/11/23
【第二章 リニューアル】第四話 眠れぬ夜
「マスター。ナイト・キャップをお願い。今日は、これで最後にする」 「かしこまりました」 マスターは、卵黄を用意して、ブランデーとキュラソーとアニゼットを2:1:1でシェイカーに注いて、卵黄を入れる。 注文した女性は、マスターの手元にうっとりとした視線を向ける。 「ナイト・キャップです」 女性は、マスターが置いたシャンパングラスに注がれた液体をしばらく眺めてから、喉に流し込んだ。 「マスター。私、夜を卒業するの」 「そうですか」 マスターは、シェイカーを洗いながら女性の独白に答える。 「それで」 「わ…
続きを読む2021/11/17
【第二章 スライム街へ】第十五話 結界?
皆が、私の周りに集まってくる。 報告は、ライが受けている。 「ご主人さま」 ライが、皆からの報告をまとめてくれた。キャンプ場の囲い込みは成功した。問題は、小屋の周りだったけど、成功した。結界を張った周りには、魔物が居ない所までは確認が出来た。 ”どうしたの?” 「休んでください」 ”うーん。疲れていないけど・・・。そうだね。順番に休もうか?” 「はい」 私が休まないと、家族も休まない。警戒の順番を決める。どうやら私は必要がないようだ。ライも同じだ。 結界が機能しているから、警戒は必要がないとは思う…
続きを読む2021/11/17
【第二章 ギルドと魔王】第十五話 開戦
開戦? バチョウもカンウも連合国の背後に回っている。見つかったら、見つかったで、突撃を許可していた。わざと見つかるような愚かな行為はしなかった。しかし、連合国は、進軍するときに斥候を放たないのか? 確かに距離を開けていたが、苦もなく迂回が成功した。 うーん。 次に造る施設?アトラクションは、レベルを落としたほうがいいのか?こいつらだけが愚か者だと思いたい。アトラクションを楽しんでもらえる程度には知恵を持っていると嬉しい。 行軍が遅かった理由が、心の底からくだらないと言える理由だった。 ”奴隷の男…
続きを読む2021/11/17
【第十章 エルフの里】第十五話 償い
カップが割れる音が、二人の間に決定的な違いが存在していることを物語っている。 ヤスは、エルフ族の長老が”綺麗事”だけを言っているようにしか思えない。”皆”のため。”繁栄”のため。そんな”こと”のために、長老衆やそれに近い者以外のエルフが犠牲になっている。 犠牲になっている者たちも、騙されているとは思わないまでも、何かがおかしいと感じるから、自分たちでなんとかしようとする。そのために、外部の者に攻撃的な態度を取る者たちが増えていく。そして、一部の者たちと手を組んで、愚かな行為に出る。 自分たちが”優位…
続きを読む2021/11/06
【第二章 スライム街へ】第十四話 主導権?
ギルドの面々は、キャンピングカーから降りた。三匹の猫は、キャンピングカーのケージに入れられている。 「上村さん!あっ!桐元さん」 「おぉ松。久しぶりだな。お前の部隊が来ているのか?」 「はい!松原小隊が封鎖及び魔物の掃討を行います」 桐元孔明も、上村蒼も、小隊が出てくるとは思っていなかった。分隊が出てきて、封鎖を行っていると思っていた。初期段階で、小隊が出てきているのに驚いた。 「ギルドの皆さんですか?山梨県警古屋です」 警察手帳を見せながら、古屋は松原と話をしていた、桐元孔明と上村蒼に話しかける。現…
続きを読む2021/11/06
【第二章 ギルドと魔王】第十四話 魔王は暇
「マイマスター。もうしわけありません」 「いいよ。セバス。見ていたから・・・。ふぅ・・・。連合国は何がしたいのかわからない。それに、あんなに弱いとは思わなかった」 モニターに映されるのは、監視罠(罠とつければ、何でも許されると思っている)から送られてきている映像だ。森の端に、監視用に設置している物だが、今は連合国からの侵略者を迎え撃つために使っている。 砦を築いていたのは、最初は5,000人程度だったので、モミジとカエデとナツメだけで戦ってみることになった。 バチョウとカンウの部隊編成が終わっていない…
続きを読む2021/11/05
【第二章 スライム街へ】第十三話 到着
バイバスに入っても、渋滞は解消しなかった。 興津川を越えた場所で、事故が発生している。事故は、一箇所ではなく、蒲原に入った場所と富士川の橋でも事故が発生していた。 そのために、到着予定時間が伸びてしまっている。ナビには、その先でも渋滞している状況が表示されている。 「円香!ダメだ。渋滞が酷い。76号を使うぞ」 上村蒼は、ナビを操作している榑谷円香に宣言する。 「富士富士宮由比線か?狭い場所が多いけど、大丈夫か?」 県道76号は、途中から山道になる。 山の中を突き進む。WRCのドライバーなら、10…
続きを読む2021/11/05
【第二章 ギルドと魔王】第十三話 【連合国】
連合国は公称10万の兵で、魔王ルブランの討伐を掲げて、進軍を開始した。 総指揮は、序列1位の”エルプレ国”の騎士デュ・ボアがとっている。 連合国の序列4位の国オラブルから、出陣した公称10万の兵は、砦の構築を行うために先行した1万(公表した数字は5万)の奴隷兵を除いた。9万(実際には4万)の兵が、魔王ルブランの居城を目指している。各国から精鋭部隊(と言っている者たち)が参加している。足並みが揃うはずもなく、進軍速度は予想以上に遅い。 序列4位のオラブルから、魔王城までは通常行軍で5日ほどだが、倍の1…
続きを読む2021/11/04
【第二章 スライム街へ】第十二話 悪対惡
”人が多い” この前よりも、人が増えている。 スマホでも持ってくれば、調べられたのだけど、取りに戻る時間がもったいない。 魔物の数も増えている。 山側の封鎖が出来ていないのだろうか? え? ”カーディナル。オーガの近くに移動して” カーディナルにお願いをして、オーガたちが居た小屋が見える場所まで移動した。 ”なんで?” そこに居るオーガたちは、人を捕らえている。残念ながら、死んでいるのは見た目で解る。頭が潰されている。 一人や二人ではない。目視だけだが、5-6人は犠牲になっている。もっと多い…
続きを読む2021/11/04
【第二章 ギルドと魔王】第十二話 御前会議
憂鬱な気分になっている。 しばらくは、マイマスターと楽しい時間が過ごせていた。 書庫で読んだ本の内容を、マイマスターに質問する。マイマスターが解らなければ、また新しい本を取り出していただける。その一連の流れで、マイマスターと楽しい時間が過ごせた。 「ルブラン!」 あぁ”セバス”とは呼んでもらえない。モミジたちだけではなく、ヒアとメアも居るから”セバス”呼びが無理なのは理解している。でも・・・。 そして、ヒアはメアを気にしている。メアの目線は、マイマスターに注がれている。 「はい」 「攻めてきたのは…
続きを読む2021/11/03
【第二章 スライム街へ】第十一話 天子湖
「はい。上村」 上村蒼は、運転しながら車のハンドルに付いているハンドフリーで電話を受けた。 車に装備されている機能を使っているので、相手の声も同乗者には解ってしまう。 『上村中尉!』 「どうした?珍しいな。間違えるな。俺は、もう中尉じゃないし、お前の上官でもない」 『失礼しました。上村さん。今、時間は大丈夫ですか?』 「あぁ車で、移動中だ。孔明とギルドのメンバーも一緒だが、問題はない」 上村蒼は、元部下にギルドの仕事で移動していると伝えた。 ギルドのメンバーが一緒だと伝えることで、会話が筒抜けになっ…
続きを読む2021/11/03
【第二章 ギルドと魔王】第十一話 周辺国
「ティモン」 「陛下。御前に」 帝国の帝都にある。高級な宿屋の一室だ。7番隊の隊長であった、ティモンが、一人の男性に跪いて頭を垂れる。 「堅苦しい挨拶は必要ない。余と、貴様しかいない」 「はっ」 玉座の住人が、ひと目を避けるようにして、宿屋に来たのには大した理由はない。 面会の相手が、前7番隊の隊長であるためだ。7番隊は、表向きは解体されている。そして、隊長であったティモンは、責任を取る形で、辺境の”村”の領主となった。玉座では、余人に聞かれてしまう可能性があり、宿屋での面談となった。 「それで、魔王…
続きを読む2021/11/03
【第五章 共和国】第八話 アルトワ町?え?
うーん。 町? 確かに、入り口に掲げられている看板には、”アルトワ町”と書かれている。 自称”町”が正しいように思える。うん。村だな。村でも誇大呼称に思える。集落?廃村?いろいろ、マイナスのイメージが浮かんでくる。 「カルラ。アルと一緒に、宿屋を頼む」 「かしこまりました。アルバン。行きますよ」 「うん!」 「カルラ様。アルバン様。お待ち下さい」 クォートが二人を止めた。 アルは、もう駆け出しそうになっていて、急にストップをかけた車のようにターンを決めている。 「なに?」 「馬車も一緒にお願いい…
続きを読む2021/11/02
【第二章 スライム街へ】第十話 準備
”それじゃもう一度、練習をしてから、天子湖に向かうよ!” 私の宣言で、皆が了承を伝えてくる。 川だと思っていた所は、天子湖という人口の湖だ。キャンプ場を、魔物が占拠した。近くの小屋には、オーガたちが居る状況だ。地図から、距離や広さを調べて、練習するための場所を裏山に設定した。広さだけではなく、家に残る者たちの協力を得て、模擬戦が出来るようにした。 そこで、戦略を考えながら、練習を行っている。 結界を併用するのがいいだろうという結論になった。 私たちが攻撃を開始すると、警官隊や自衛隊が、攻撃を開始す…
続きを読む2021/11/02
【第二章 ギルドと魔王】第十話 【ギルド】
「ギルマスからの連絡は有ったのか?」 「ない。上の方から、新たなギルマスの選定を行うと連絡が入った」 「そうか・・・。メルヒオールも愚かなことをしたな」 「そうだな」 本部のギルドマスターであったメルヒオールが、複数のギルドを新設した。ギルドの新設は、新たなポストと権益が産まれるために、ギルド職員や関係者は、権益のおこぼれに期待をした。 しかし、権益は本部には割り振られなかった。正確には、”現在のギルドを支える者たち”には、新たなポストが割り振られなかった。 メルヒオールが独断で決定して、ギルドマスタ…
続きを読む2021/11/02
【第六章 ギルド】第二話 いい女
ナナは、俺とミルの話を黙って聞いてくれた。 冷え切った飲み物で、喉を潤す。 俺とミルの話が終わったと思ったのか、ナナは閉じていた目を開けて、俺を見つめてくる。 「リン君。いくつか、質問をしてもいい?」 「あぁ」 「まず、マヤちゃんは生きているのよね?」 「ミルと一つになったが、生きている。今は、神殿に居る。妖精になってしまっているから、連れてくるのは問題があると考えた」 「そう、わかった。マヤちゃんの本当の姿?なのよね?」 「マヤは、そう言っている。俺もよくわからないが、マヤは困らないから大丈夫だと言…
続きを読む2021/11/01
【第二章 スライム街へ】第九話 相談
キングとクイーンは、もう少し池?湖?川?の状況を確認したいらしい。 私とカーディナルは、急いで家に戻ることにした。 家では、既に私が状況を説明している。 私が家に戻ると、議論は終わっていた。 反対者は居なかったということだ。どうやら、ライが、私の受けた衝撃や哀しみを皆に伝えたようだ。ライが感じた衝撃や哀しみや憎しみが私に伝わるように、私に生じた感情は、ライにも伝わってしまう。 『ご主人さま。困りました』 ”ライ?どうしたの?” 私とカーディナルが到着してすぐに、ライとアドニスが近くにやってきた。…
続きを読む2021/11/01
【第二章 ギルドと魔王】第九話 確認
平和だ。 帝国のゴミを掃除してから、魔王城に攻め込んでくる者が出てこない。 増えたポイントで領域を広げた。魔王城(仮称)の周りに広がる森の全域が領域に組み込まれた。もう少し広げられるポイントは残っているのだが、存在する村や町を領域内に組み込めなかった。 平和で暇な時間に、先代たちの日記を読み漁ったが、森の向こう側まで領域を広げた例が見当たらなかった。ポイントが足りないのか、それともそもそも不可能なのかわからない。もしかしたら、なにか条件があるのかもしれない。 スキルは多すぎて、まだ”本”での確認が…
続きを読む2021/10/30
【第二章 スライム街へ】第八話 だらける
人の姿にも慣れてきた、元人間です。 女子高校生らしく、制服を着てみましたが、元々自分が着ていただけに似合っています。良かったです。パロットも似合っていると言ってくれている。ライに至っては、自分も人の形状になって制服を着たがったが、男性タイプにしかなれなくて、我慢してもらった。さすがに、自分の制服を男性顔のライが着るのには抵抗があった。 スキルを調整すれば、複数の女性タイプに慣れるのかと思ったけど、ライからの説明で、どうやら素体となった数が影響しているようで、人は女性タイプが一人と男性タイプが一人のよう…
続きを読む2021/10/30
【第二章 ギルドと魔王】第八話 日常?平和?
「マイマスター」 マスタールームの拡充をしているとセバスが部屋を訪ねてきた。 前室のような場所を作って、セバス以外は前室で待たせることにしているが、セバスも前室で待ってから、部屋に入ってくる。 今日は、マスタールームの拡充を行っているので、前室で会うことにした。 「どうした?」 セバスの服装が、どんどん過激になっていくのは気のせいだろう。 このままだと、セバスは全裸で俺に会いに来るぞ? 「はっヒア、メアの両名により、帝国から送られてきたゴミの始末が終了しました」 帝国からは定期的に、ゴミが送られ…
続きを読む2021/10/29
【第二章 スライム街へ】第七話 急報
ギルド日本リージョン本部に備え付けられている。ホットラインが鳴り響く。 その場には、本部に詰めるべき5人が揃っている。 「はい。ギルド本部。榑谷」 『よかった。こちら、清水消防署。森本です』 「魔物が出ましたか?」 『いえ、あっ。少しお知恵を拝借したい。警察にも連絡をしましたが、明確な証拠がないと、警察は動けないと言われてしまって・・・』 「簡単にでも構わないので、状況を教えて下さい」 『はい。通報が有ったのは、3時間ほど前です』 榑谷円香は、スピーカーから音が出来るようにしてから、近くの時計を見る。…
続きを読む2021/10/29
【第二章 ギルドと魔王】第七話 【連合国】
連合国の首都にして、加盟国のすべての出先機関がある街は、ある意味で秩序がバランスよく保たれている。連合国の首都は、ギルドの本部が存在している。ギルドからもたらされる情報を扱って、連合国間だけではなく、各国とのバランスを取っているのだ。 その連合国の首都にある。出先機関の一つで重大な会議が行われている。加盟国の出先機関に同じ部屋が設置されることになっている。この部屋の用意が難しい国は、連合国の重大な決定事項には関わることが出来ない。 「どうするのだ!」 円卓には、6名が座っている。 末席という概念はな…
続きを読む2021/10/27
【第二章 スライム街へ】第六話 凶報
パパとママが離婚する。 別に、僕としては問題ではない。僕の意見を聞いてくれて、パパと今の場所に住むことになった。ママは、やはり奴が出てきたら、一緒に生活をしたかったらしい。パパは、反対した。僕もイヤだと言い放ったら、僕を殴ってきた。 僕が、スキルを発動する前に、パパがママと僕を引き離して、ママに”出ていけ”と言ってくれた。 ママは、奴と一緒に住むことにしたようだ。 僕には、関係がない。もう他人だ。 気分がいい。パパは、仕事で名古屋に行ってしまった。 この家には僕しかいない。 学校も、連絡が来…
続きを読む2021/10/27
【第二章 ギルドと魔王】第六話 ギルドvsギルド
ボイドは悩んでいた。 ギルド本部に反旗を翻したのは後悔していない。必要なことだと本気で思っていた。昨今のギルドは、あまりにも二つの国家に近づきすぎている。それに、ギルドと神聖国には、秘密があり、その秘密をボイドたち情報部はしっかりと握っている。 「君が、今代のボイドなのか?」 「そうです。情報部の取りまとめをしております」 今日のボイドは、朝から客人との打ち合わせを行っている。 帝国の上級貴族に連なる者との面談や、帝国だけではなく、大陸に根を張る商家との面談を行っていた。そして、今日の最後に面談が、…
続きを読む2021/10/27
【第六章 ギルド】第一話 三月兎
ミルは、妖精の姿を気に入っていて、元のサイズに戻ったときにも、背中に羽を生やそうとしていた。 「ミル。やっぱり、羽は・・・」 「僕には、似合わない?」 可愛く言っても・・・。確かに、似合っている。似合っているが、人ではないのが解ってしまう。 「似合うよ。すごく、可愛い。でも、これから、王都に行くのに、スキルやステータスは隠蔽でごまかせるけど、羽は無理だからね?」 「うん。わかった」 ミルは、服の袖を握りながら、目を閉じた。 羽だけを消すようだ。 「これでいい?」 「完璧!」 「よかった」 ミルが腕…
続きを読む2021/10/27
【第二章 スライム街へ】第五話 吉報?凶報?
新生、ギルド日本支部。名前が変更されて、ギルド日本リージョン本部。 50坪程度の狭い場所が、日本のギルド本部になる。 狭い場所だ。居住できる場所を除くと、部屋は3つだ。 打ち合わせを行うための部屋だ。そして、この部屋は、盗聴に関しては、クリアの状態になっている。それ以上に、厳重なセキュリティで守られている場所が存在している。 「円香!」 「なんだ、孔明」 「俺の名前は、孔明(よしあき)だ。お前が、孔明(こうめい)と呼ぶから、里見嬢や柚木嬢まで、俺を孔明(こうめい)と呼びやがる」 「そうか、それなら、…
続きを読む2021/10/26
【第二章 ギルドと魔王】第五話 リニューアル
魔王城を守るための城壁は三重になった。内壁と六芒壁と外壁だ。外壁は、幹部となった子どもたちと武官であるカンウたちの意見で作った。 六芒の形になっている城壁の周りには、水堀が存在している。幅は10メートルほどだ。その水堀の一部が湖になり、カプレカ島が存在している。湖の中心くらいから、魔王城を囲うように、新たな城壁が出現した。魔王ルブランから、カプレカ島を介して城塞村には伝えられていた。一晩にして現れた城壁は驚愕を持って迎えられた。この城壁の出現で、魔王城の守りは強固になった。野営が出来る場所が、一箇所に絞…
続きを読む2021/10/26
【第二章 帰還勇者の事情】第二十三話 客人
ユウキたちは、客人をもてなす準備を始める。客人が、ユウキたちの拠点に来て、ポーションを渡すだけには出来ない事情ができてしまった。 部屋の準備はできているのだが、それ以外の準備ができていない。滞在は、長くはならないと仮定しているのだが、客人の都合で伸びることも考えなければならない。 「今川さん。それで、客人は?」 「明日に、成田で、翌日には来る」 「わかりました。それでどうします?上級を利用しますか?」 「うーん。なぁユウキ。中級と上級の違いは?」 「違いですか?中級は、欠損は治りません、上級は欠損が治り…
続きを読む2021/10/26
【第三章 帝国脱出】第四話 カリン実験をする
イーリスが不思議そうな顔をしてから、護衛の剣を貸してくれた。 「カリン様。剣は、護衛が使っている物です。予備がありますから、壊してしまっても問題はありません」 イーリスが、不思議そうな表情をした意味が解った。 私が、剣を的にするつもりだと思ったのだろう。 剣を手に持つ。 初めて持つけど、少しだけ重いけど、竹刀を持つような感じかな? 護衛は片手で持っていたけど、両手で持つ。 意識を集中する。魔法はイメージ。 「カ、カ、カリン様?それは?」 驚いているイーリスの声が聞こえる。 ん?あぁ成功した…
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