サイト小説の記事一覧
2022/02/21
【第二章 帰還勇者の事情】第三十三話 契約
エアリスの周りを覆っていたスキルが解かれる。 そこには、自分の手足を触って、自分の顔を、自分の手で触って、耳の形を確認して、触った手を自分の目で見つめる。大きな目が印象的な少女が立っていた。 自分の目で見て、自分の手で確認して、立っていることを確認して、自分を見つめている視線に気が付いた少女は、足を進めようとした。 しかし、何年も自分の足で立ち上がっていなかった少女は、立っていることが奇跡のような状態だ。歩くのは難しい。 しかし、少女は自分を見つめて、目を見開いて、流れ出る涙を拭わずに、自分だけを…
続きを読む2022/02/21
【第十章 エルフの里】第二十四話 神樹
ほぉ・・・。 マルスが守る神殿とは違った美しさがある。 馬車を降りてから、20分ほど森の中を歩いて到着したのは、エルフたちの集落のはずだ。 「ここは?」 「集落の入口です」 「ヤス様。リーゼ様。里に向かう前に・・・」 ラフネスが、俺とリーゼの前に出て頭を下げる。 リーゼの方を向いている。 「そうだな。リーゼ。墓を見に行こう。里の中には作られていないのだろう?」 長老が申し訳なさそうな表情をするが、俺としては、素直に墓参りができそうな事に驚いた。何か、対価を要求してくる可能性があると考えていた。そ…
続きを読む2022/02/20
【第三章 帝国脱出】第十四話 おっさん笑う
ダストンは、完全に理解する前に、おっさんに言質を与えてしまった。 イーリスの目の前だ。さらに悪い事に、このおっさんはぬかりがない。スマホを使って、言動を記憶している。勇者の使う道具だと説明して、録音している音声の一部を再生して、ダストンに聞かせた。 最終的には、秘書官を呼び寄せて文章を作成する事態になってしまった。 イーリスは、”そこまで”しなくても・・・。と、いう表情を浮かべているが、おっさんはダストンを一切信じていない。信じているのは、”風見鶏”な部分だ。今、この場ではおっさんが一番の権力を握っ…
続きを読む2022/02/19
【第六章 ギルド】第十一話 到着
王都に入る為には、パシリカの時でもなければ、検閲を受けなければならない。 ハーコムレイ辺りと、ギルドが交渉してくれたら、もしかしたら楽になるのかもしれない。 今は、列に並ぶのが自然な事だ。 それに、目立ちたくない俺たちに取っては、列に並ぶ以外の選択肢はない。 結局、列に並ぶ前に、アウレイアの眷属をどうするのか結論が出なかった。 ミアがテイムしている”白狼(ホワイトウルフ)”だということにした。 本人?に確認をしたら、そのままミアの護衛としてテイムされても問題はないということになった。身振り手振…
続きを読む2022/02/19
【第五章 共和国】第十七話 攻略開始
アルバンとダンジョンに向かっている。 道中に現れた獣は無視した。 盗賊たちが使っていると思われる拠点を発見したが、すでに使われなくなっているようなので、燃やして、穴を掘って埋めておいた。新しい盗賊が住みついたり、魔物の巣になったり、何かの拠点に使われるのは俺が望む未来ではない。 「アル。悪いな」 「いいよ。兄ちゃん。これも大事なことだよね」 「あぁ新しい盗賊が住みついたら、町は大変な目にあう」 「うん」 「それに、この前のようなゴブリンが住みついても厄介だろう?」 「そうだね。おいらの最初の村も・・・…
続きを読む2022/02/17
【第二章 スライム街へ】第二十三話 説明
プロジェクターで表示されたデータを食い入るようにギルドのメンバーが見ている。 「それで円香?見えない壁がどうした?」 「孔明。説明の前に・・・。茜」 「はい?」 「把握出来ている魔物の位置を追加して欲しい。あと、獣は除いてくれ」 「難しいことを・・・。少しだけ待ってください」 里見茜が端末で、データの整理を行う。 「円香?」 「予想が当たれば、これからの対応が少しだけ楽になるかもしれないぞ?」 上村蒼は、榑谷円香の言葉を聞いて、浮かせた腰をまた椅子に降ろした。 柚木千明が、里見茜がデータの精査をして…
続きを読む2022/02/17
【第三章 懲悪する惡】第三話 シルク・ストッキングス
夕方になり、繁華街は人が増え始める。 マスターは、店の電灯を落とした。変わったバーの営業は終わった。 売り上げは、マスターが一人で生活するには十分だ。仕入れも口利きをしてもらっている為に、大きく崩れることがない。デポジット制で、一見を断っている。それでも、客が途切れたことがない。 寡黙なマスターの態度が、秘密を抱えている者たちには心地よいのだ。 マスターは片づけたカウンターに、オレンジジュースとレモンジュースとパイナップルジュースを冷蔵庫から取り出して置く。 それぞれのジュースを40ml測って、…
続きを読む2022/02/17
【第二章 ギルドと魔王】第二十三話 【カプレカ島】メア
私の名前は、魔王様から頂いた大切な物(名)だ。 奴隷だった私たちは、魔王様から名前だけではなく、命を含めてすべてを与えられた。だから、私たちの命は魔王様に捧げる。お目にかかったときに、私たちの覚悟を魔王様にお伝えした。でも、魔王様は笑いながら、”命は大事にしよう”と言われた。だから、私たちは皆で集まって相談した。 命を大事にする。大事な命に順番を付ける。一番は魔王様。次は、自分の命。そして同族、元奴隷たち。ルブラン様やカエデ様は、自分たちは考える必要はないとおっしゃった。だから、魔王様の御命を守るため…
続きを読む2022/02/13
【第二章 帰還勇者の事情】第三十二話 エアリス
ミケールは痛みに耐えながら、自分をまっすぐに見つめる少女に微笑みを向ける。 凝縮した痛みを受けているミケールを少女は流れ出る涙を拭わないで見続ける。 『ユウキ様。ありがとうございます』 少女は、まっすぐにミケールを見ながら、斜め後ろにいるユウキに感謝を向ける。 「いえ」 ユウキは短く言葉を発するだけだ。 治療の前段階は、終焉に近づいている。 ミケールは声が出せない。肩で息をしている。支えられなければ立っていられない。 『ミケール』 少女の呟きが室内に木霊する。 それだけ、室内には音が存在しな…
続きを読む2022/02/13
【第三章 帝国脱出】第十三話 おっさん勝ち取る
ダストンは、おっさんとイーリスに見られていることにも気が付かないで、自分の保身を考えるのに必死になっていた。 ダストンは、おっさんとカリンを匿う以外にも、辺境伯から指示を受けていた。 指示の実現の為にも、おっさんとカリンとは友好関係を結ばなくてはならなかった。先ぶれを受けて、息子が居ないことに、安堵していたが自分が大きなミスをしてしまった。友好関係を結ぶのが最低条件であった人物に不快な思いをさせてしまった。 「え?」 やっと二人の視線に気が付いて、自分が話しかけられていることに気が付いたのだが、二人…
続きを読む2022/02/12
【第十章 エルフの里】第二十三話 秘密
里に向かって、”結界の森”を進む。 エルフたちは、この森を”結界の森”と呼んでいると教えられた。 結界は、なんとなくだが簡単に突破できそうな雰囲気がある。 「なぁ」 俺の前に座っているのは長老だ。 長老なら、俺の疑問に答えてくれるだろう。 「なんでしょうか?」 「結界を越える条件はなんだ?」 俺たちは、結界をすんなりと越えられた。 ラフネスも長老も問題はなかった。 この結界は、”ほぼ”俺がよく知っている結界と同じ物だ。 「え?」 「俺たちを襲った奴らは、結界に入る前に襲ってきた。これは、結界…
続きを読む2022/02/09
【第五章 共和国】第十六話 準備
アルバンの武器を作った。 結局、投げナイフは諦めた。作成は可能だったが、単価があまりにも高くなってしまう。同じ単価なら、違う武器を作ったほうがいい。 アルバンに、戯れで作った多節棍を見せた所、何が気に入ったのか解らないが。多節棍を主武器に変更すると言い出した。 武器として考えると取り扱いは難しいが、難しい部分は、プログラム(魔法)の補助を組み込むことで対処を行った。複雑な動きは、アルバンの訓練が必要になってしまったが、プログラム(魔法)の補助を得て、アルバンの思い通りに動かすことができた。 単価で…
続きを読む2022/02/09
【第六章 ギルド】第十話 神殿では
リンとミトナルが、王都に到着しようとしている時、神殿では、マヤが頭を抱えていた。 「え?何?」 マヤは、リンが作成した地下通路の中央部に来ている。 中央部には広場が作成されているのだが、広場から離れて奥まった場所に、ロルフの反対を押し切って、森林を設置して、森林の先に一軒家を作った。森林の広さは、マヤたちが住んでいた村と同じくらいの広さがあり、一本の道が伸びている状態だ。 家には、一つの寝室とキッチンと風呂場とトイレとリビングがあるだけのシンプルな作りになっている。リンとマヤが元々住んでいた家から、…
続きを読む2022/02/09
【第三章 懲悪する惡】第二話 アメールピコンハイボール
珍しく、朝の早い時間に男がマスターの店を訪れていた。 「マスター」 「なんだ?」 「”なんだ”は酷いな。今日は、依頼者を連れてきた」 「ふん」 マスターは、男には顎で合図をして、奥のカウンターに座らせる。 奥から二つ目の椅子に座る。真新しい、殆ど使われていない一番奥のカウンター席には、男が”RESERVE”の札を置く。 男の後から入ってきた、男性は男の隣に座る。 男性の前にマスターは、コースターを置いた。 「マスター。彼には、アメールピコンハイボールをお願い」 マスターは男の注文を聞いてから、男…
続きを読む2022/02/09
【第二章 ギルドと魔王】第二十二話 【神聖国】ルドルフ
帝国の東側に位置して、政教一致体制国家。 聖王がトップとして君臨する。神聖国がある。 その神聖国のトップが、中央都市の中央に聳え立つ白亜の城の住人。聖王ルドルフだ。 聖王ルドルフは、自らを神の代弁者を名乗っている。 そんな、神の代弁者である聖王ルドルフは、豪奢な神殿の最上階に作られている。自らの居住地と定めた部屋で荒れていた。 「まだ捕えられないのか!」 ワインが並々と注がれているグラスを、目の前で頭を床に付けて恐縮している男に投げつける。 勢いで、ワインは魔物の皮で作られた絨毯を汚す。 グ…
続きを読む2022/02/09
【第二章 スライム街へ】第二十二話 中盤
結界はまだ作用している。 キャンプ場に居た魔物たちは、討伐できている。人の遺骸も見つかっている。人数は解らないが、マスコミが騒ぎ出すには十分な数なのだろう。 ”ライ。人らしき遺体は、一か所にまとめて” 『すでに指示をだしてあります』 ”ありがとう” さて、中盤戦だ。 オークの上位種と色違いが相手になる。 オークの上位種だけなら、私とカーディナルなら、100体でも対応ができる。 でも、上位種の後ろに色違いが見える。オークが群れになっている。色違いは、戦力分析が難しい。よくわからない。 オークのテ…
続きを読む2022/02/07
【第二章 帰還勇者の事情】第三十一話 絶叫
優しく3回ノックされたドアを、ユウキが開けた。 そこには、車いすに乗った少女とそれを押しているミケールが居た。他には、誰も連れていない。 ユウキたちの拠点の中は安全だと言っても、今までは護衛の者が付いていたが、二人だけで、ユウキたちが待っている部屋を訪れた。 「決まりましたか?」 ユウキは、直球で少女に問いかけた。 『はい。残念ですが、ミケールを説得できませんでした』 『お嬢様』 「わかりました。準備はできています。地下で施術を行います」 ユウキたちは、立ち上がって地下に繋がる階段がある部屋に向け…
続きを読む2022/02/06
【第三章 帝国脱出】第十二話 おっさん代官に会う
奥まった所にある屋敷に到着した。 馬車から降りて、代官が居る屋敷に入っていく、通された部屋で待つことになった。 おっさんは、待っている部屋で代官とは関係がないことを考えていた。 「なぁイーリス。為政者は、なんで奥まった場所に居住を作る?」 この代官の屋敷は、奥まった場所に作られている。 領主の館は、元々は門に近い場所に作られていたのだが、今の代官になってから、場所を奥に移動させたいきさつがある。 「え?攻められた時に、指揮を取るため・・・。と、いう言い訳をするためでは?」 イーリスの言い方も、お…
続きを読む2022/02/06
【第十章 エルフの里】第二十二話 ルーサ
「旦那!」 おい。おい。 「ルーサ?お前が来たのか?」 「おぉ。セバス殿から連絡を貰って、誰が来るのか揉めたけど、俺が勝ち取った」 「ん?」 「”大将が困っている”と聞いたぞ?」 「そうだな。困っているが、ルーサが来るほどの事ではないぞ?」 「別に、誰が来てもよかったのなら、俺でもよかったのだろう?それに、大型のアーティファクトが必須だと聞いたぞ?」 たしかに、最初の段階では必要がなかったが、襲撃者が増えてしまった。今では、バスでも狭い。トラックの荷台に詰め込む形がベストだな。 ルーサが乗ってきたアー…
続きを読む2022/02/02
【第五章 共和国】第十五話 予感
ふぅ・・・。 落ち着いて考えよう。 アルバンが言うように、ダンジョンの中には”魔物”しか存在しない。 言葉を使わないからだ。理解はできるが納得は難しい。言葉という曖昧な理由ではなく、もっと違う理由があるはずだ。 「なぁアル」 「何?」 「ダンジョンで、魔物を倒す時には、魔核を得るよな?」 「うん」 「動物や魔族では、魔核は得られるのか?」 「え?考えたことがなかった。動物は、多分、ないと思う。解体する時に、魔核を見たことがない。魔族は解らない。そういえば、燃やしてしまうよね?」 「そうだな」 魔核…
続きを読む2022/02/01
【第六章 ギルド】第九話 ギルド(仮)本部では
リンがマガラ神殿で、マヤとミトナルが起きるのを待っている頃。 王都では、いろいろな事が発生していた。 王都の一等地に立つ店舗のような建物の中にある。一つの部屋で、女性だけ8人が集まって会議をしている。 「ルナ。それで?リン君たちはまだ見つからないの?」 王国に初めてできる組織の方向性を決める会議をしていた。先ほどまで、次期国王であるローザス王子とハーコムレイ次期辺境伯とギルドが正式に認められた場合に、ギルド長に内定しているナッセ・ブラウンと人材面のサポートを行うアッシュ・グローズが参加していた。 …
続きを読む2022/01/31
【第三章 懲悪する惡】第一話 過去
繁華街の外れにある。雑居ビルの地下に、そのバーはある。 繁華街は、今日も噂話に花が咲いている。都市伝説から、街で発生した事故や事件の話。 たくさんの噂が存在している。 今日も、歓楽街の一つの店では、噂雀の3人が聞いてきた噂話をしている。 「知っている?」 「何?」 「雑居ビルの地下にあるバーの話」 「え?何?知らない」 「昼間しか営業していないバーらしいのだけど、夜にバーに訪れると・・・」 「え?ホラー的な話?都市伝説?あのバーなら知っているけど、昼間しか空いてないよ?夜に行っても暗いだけだよ」 「…
続きを読む2022/01/31
【第二章 ギルドと魔王】第二十一話 【ギルド】ボイド
私たちは間違ったのだろうか?私たちは、間違っていない。笑顔で、遊ぶ子供たち。猫人族の少女と、エルフ族の男の子が、人族の女性と手を繋いで、買い物をしている。こんな風景は、この場所を除けば、もう一つしか知らない。 帝国も、この城塞町も、私たちのギルドも、発展している。間違いなく、いい方向に進んでいる。 城塞町は、魔王ルブランが設定した領域から出ないようにしている。名前が示すように、城塞で守られている。それでも、地方都市以上の人が生活している。私たちが夢見た。種族に捕らわれずに生活できる場所だ。獣人族と人族…
続きを読む2022/01/31
【第二章 スライム街へ】第二十一話 想定外
ゴブリンの上位種や色違いを討伐した。 ”ライ。慎重に対処して” 『はい』 ライから、皆に向けての指示が飛ぶ。 キャンプができる場所の殆どを解放できた。川?湖に隣接部分は、すでに魔物は掃討できている。 ”ライ。こちらの被害は?” 見た感じでは、被害は無いと思っている。 大けがを追えば、ライがすぐに知らせてくれる。撤退を考えなければならない。 気分が悪いだけで戦っている状況だ。無理をする必要はない。 『ナップが、人が放つ光で目をやられましたが、復活しています。アイズが、ゴブリンの色違いの攻撃を受けま…
続きを読む2022/01/29
【第二章 帰還勇者の事情】第三十話 準備
ユウキの前に、ミケールが座っている。 「本当に?」 『はい。お願いします』 ユウキは、頭を抱えてしまった。 治療の方法をいくつかオプション付きで説明をした。翌日に、ミケールに連れられた少女がユウキを訪ねてきた。 そして、一番、非人道的だが、確実に治せる方法を選択したとユウキたちに告げたのだ。ここまでなら、ユウキたちも想定していた。準備に動き出そうとしたときに、一緒に来ていたミケールが、ユウキの前に進み出た。そして、治療を試すのを、自分でやって欲しい、少女の許可は取っていると、言い出した。ユウキたちは…
続きを読む2022/01/28
【第三章 帝国脱出】第十一話 おっさん諭す
馬車は、行き先が変わった。 イーリスの目論みが判明したことで、おっさんが馬車の行き先を変更させた。まずは、宿に行って、荷物を置いてから身支度を整える。 おっさんが提案したのは、カリンとバステトを宿に置いて、”おっさんとイーリスで代官に挨拶を行う”と、いうものだ。最初は、カリンが自分も行くと言い出したのだが、イーリスがカリンにはやって欲しいことがあると、伝えることで引いてもらった。 おっさんは、イーリスが代官に会う必要があると言っていた。 しかし、おっさんには、不明瞭なことがある。イーリスを問い詰め…
続きを読む2022/01/27
【第十章 エルフの里】第二十一話 誰?
逃げ出すのか? 男は、俺に土なのか?石なのか?わからない物を投げつけてきた。結界に阻まれているが、気分のいい物ではない。 石?に、気を取られたすきに、背を向けて逃げ出す。逃げられないのに、ご苦労なことだ。 聞こえるかどうかの声量で、マルスに指示を出す。 「(ファイアーウォール)」 逃げる男の前方に炎の壁が出現する。横に逃げようとしても、同じように、炎の壁ができる。 戦闘を終えた、ガルーダが俺の肩に降りて来る。 『マルス。戦闘不能にした者を確保してくれ』 『了』 戦闘不能になっていた、46人の足…
続きを読む2022/01/25
【第五章 共和国】第十四話 散歩
アルバンと、町から出て森に向かう。 最初は、クォートかシャープが付いてくると言っていたが、二人には俺とアルバンが町に居るように偽装してもらうために、残ってもらった。 カルラは、町から離れることを印象付けるように出て行った。他の町に、物資の調達をするためという理由だ。そのために、馬車と一緒に旅立った。俺たちが残った理由は、『一緒に商売を行う商隊が遅れていて、待っている』ことにした。 間違っていないが、突っ込まれると困る言い訳だ。 だが、町長夫妻だけでなく、町民は誰も突っ込んでこなかった。 町にお金…
続きを読む2022/01/24
【第六章 ギルド】第八話 ステータス
ミアは、自分が従者だと認識はしていても、従者の役割がよくわかっていない。 今も、アウレイアの眷属に跨って・・・。正確には、眷属の白狼に抱きついて眠ってしまっている。俺とミルが、自分に危害を加えないとわかったのだろう。安心して眠ってしまっている。 「リン」 ミルは、ミアの髪の毛を触りながら、僕を見つめて来る。 もう、他の猫人族が離れてしまっているので、神殿にミアだけを向かわせるのは難しい。不可能だと言い切ってもいい。戻すのなら、俺たちも、一度神殿に戻る必要がある。せっかく、マガラ渓谷を抜けたのに、戻っ…
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