サイト小説の記事一覧
2022/05/10
【第五章 共和国】第二十四話 急報?
地上に戻って、”町(村)”まで戻った。 「ツクモ様」 カルラが、宿で待っていた。 カルラの誘導に従って、宿から場所を町(村)の外れに移動した。アルバンは、カルラから荷物を渡されて、馬車に片づけるために、席を外した。 カルラの険しい表情と、わざわざ場所を移動した意味を考えると、何かよくない知らせが入ったのだろう。 「何があった?」 でも、本当によくない知らせが入ったのなら、クォート経由でエイダが受け取って、俺に知らせても良かったはずだ。 緊急性は低いが、重大な事案なのかもしれない。 日本人だった頃の記憶が薄れ…
続きを読む2022/05/09
【第六章 ギルド】第十八話 会話?
俺の言葉を受けて、サリーカは”やっぱり”という表情をしているが、他は、まだ理解が追いついていない。 「リン君」 やはり、サリーカだけが神殿の意味がわかるようだ。 「出入口だけど、例えば、メロナとアロイに設置した場合に、メロナから入って、アロイに出られる?」 最初に聞いてきたのが、さすがだな。 「可能だ」 「神殿の広さは?」 質問の流れから通路だろう。 「通路の幅や建物は自由に設置できる。もちろん、馬車がすれ違えるくらいの幅にできる。今は中央に、ラウンドアバウトを設置している。神殿の広さは、ダンジョンのよくあ…
続きを読む2022/05/08
【第三章 スライム今度こそ街へ】第四話 町から街へ
早く駅に到達する方法は、カーディナルに送ってもらうか、人の姿で、スキルを使って走り抜ける方法だ。 しかし、目立つので、その考えは、頭から追い出して、素直に自転車を使う。 通いなれた下り坂を、いつも以上の速度で降りていく、カーディナルに乗って移動していたときに比べれば、遅く感じてしまう。 駅について、ホームに移動する。 誰にも怪しまれていない。地下の自転車が置いてある場所から、ライも一緒だ。ライは、交通系カードを持っていないから、二人分の切符を購入した。 『お姉ちゃん!お姉ちゃん!』 「ライ。声を出していいよ…
続きを読む2022/05/07
【第三章 魔王と魔王】第四話 忠誠?
なぜか、俺の前で、一人の魔王が膝を折って、頭を下げている。小刻みに震えているのは、俺が怖いからではないと・・・。思いたい。 俺の横では、セバスが”ドヤ顔”を決めている。 四天王も、満面の笑みだ。困った顔をしているのは、俺の存在を知っている、ミアとヒアだけだ。流れを聞いた限りでは、二人には罪はない。知らなかっただけだ。改めて、元奴隷だった子供たちに、ギアスを刻んで俺の存在を明かした。今回の事で、関係している事や、ミアとヒアの負担が大きくなってしまっていることへの配慮だ。 狐人のミア。人族のヒア。 猫人のキア。…
続きを読む2022/05/05
【第三章 帝国脱出】第十九話 おっさん動く
カリンが、ギルドで労働に勤しんでいる間に、おっさんは辺境伯の領都の隅々を観察するように歩いていた。それこそ、少しだけ柄がよくない連中が屯している場所も歩いていた。 「お!まーさん」 日本に居れば、間違いなく、職質の対象になっているような風体の男たちが、おっさんに近づいてきて声をかける。 「なんだ。お前たち、また昼間から飲んでいるのか?」 「いやぁ・・・」 「仕事は?」 「それを、まーさんが言うのか?まーさんこそ、仕事は?」 「俺?俺は、仕事をしなくてもいい身分だから、大丈夫だ」 「そりゃぁ大層なご身分だな」…
続きを読む2022/05/04
【第十章 エルフの里】第二十九話 エルフ
エルフの里まで戻ってきた。 歓迎されている雰囲気は皆無だが、俺とリーゼが行った事は、ラフネスから皆に伝えられているのだろう。嫉妬や嫌悪の視線は消えていないが、前の様に侮蔑を含んだ視線は少なくなっている。 ”助けてやった”から、感謝しろとは言わないが・・・。本当に、この種族を延命させたのは正しかったのか疑問に感じてしまう。 そして、コアからある事実を教えられた。当然の事だが、考えてもいなかった。このエルフの里には、ハイエルフを含めて、300名程度が住んでいる。外に作られた村には、里に入ることができないエルフた…
続きを読む2022/05/02
【第五章 共和国】第二十三話 帰還
アルバンの宣言通りに、首を切り落とされたレッサーベヒーモスは、崩れ落ちる。 「兄ちゃん!」 アルが俺に向かって駆け寄ってくる。褒めて欲しいのだろう。 「よくやった」 「うん!」 「アル。使った剣を見せてみろ」 「え?剣?」 「あぁ無理していないか?」 アルバンは、素直に剣を俺に見せる。 俺も、剣の良し悪しはある程度は認識できる。簡単なメンテナンスはできる。アルバンの剣は、砥ぎが必要な状態に見える。本格的なチェックが必要な状況には見えないが、芯が歪んで居ると砥いだ時に解るらしい。 「アル。剣を砥ぐぞ。地上に戻…
続きを読む2022/05/01
【第六章 ギルド】第十七話 合流
ドアが勢いよく開かれた。 タシアナが、涙目のミトナルの腕を引っ張る形で、入ってくる。 タシアナとミトナルの後ろには、ルアリーナとサリーカが続いて、フェムやカルーネやフレットやアルマールも居る。最後には、目を伏せたイリメリが続いている。イリメリは、ミアと手を繋いでレオの首輪を握っている。さすがは、委員長だ。ここでも、委員長をやっているのだろう。 タシアナの目が怖い。 俺を睨んでいる。涙目のミトナルから推測できる。俺が想定していた中では、最悪な部類だ。 次は、タシアナがいうセリフも想像ができる。 「ギルドマスタ…
続きを読む2022/05/01
【第三章 スライム今度こそ街へ】第三話 出発
「お姉ちゃん」 「うん」 ライが、男の子の姿になって、私を”お姉ちゃん”と呼ぶ。 外では、マスター呼びは目立つうえに不審者に見えてしまう。似ては居ないが、”姉”という設定だ。名前は、”ライ”のままだ。本名は”雷太(らいた)”とでもしておけば不自然ではない。と、思う。ちなみに、女の子(私の分体)は、”フウ”だ。本名も、”風(ふう)”だ。とある、漫画の好きなキャラクターの名前だ。設定をマルパくした。誕生日は12月12日。射手座のA型。身長だけは、156cmには出来なかったのが心残りだ。 ”にゃ!” 「パロット。…
続きを読む2022/05/01
【第三章 魔王と魔王】第三話 【王国】
プレシア王国は、神聖国と連合国と国境を接している。 神聖国との国境付近には、”不帰(かえらず)の洞窟”と呼ばれる魔王の住処が存在している。 ”不帰(かえらず)”と言われているが、低階層では問題なく帰還ができる。強く理不尽な魔物は出現しない。しっかりとした統計があるわけではないが、階層を5階降りる度に帰還率が10%ほど下がると言われている。そして、このダンジョンが中級以上のハンターに不人気なのは、実入りが少ないことだ。 最初は、王国や神聖国や連合国が魔王討伐を目指して、軍を送っていたが、中階層を過ぎた辺りから…
続きを読む2022/04/30
【第二章 帰還勇者の事情】第三十七話 襲撃
ユウキとリチャードは、建物の入口で椅子に座っている。 建物の中では、マイとロレッタが準備を行っている。 これから、4人で次の作戦を実行する。骨子を考えたのは、ユウキだがいやがらせの部分で日本に居るメンバーも手伝ってくれている。 そして・・・。 ユウキが持っているスマホに着信がある。ユウキは、着信した番号を見て、”にやり”と子供に似合わない表情をする。リチャードは、この表情を見るのが好きだ。ユウキが活き活きとしているのがわかる。リチャードだけではなく、皆がユウキを頼りにして、ユウキを守ろうとして、ユウキに助け…
続きを読む2022/04/29
【第三章 帝国脱出】第十八話 カリン働く
辺境伯領に到着してから、おっさんとカリンは着実に足下を固めている。 カリンは、おっさんの期待通りに、ギルドで頭角を表し始めている。 カリンが受けている依頼は、主に採取に偏っている。 それには、深くもない理由が存在していた。 「カリンちゃん。今日こそ、俺たちのチームに」「カリン。お姉様!男。臭い。消えろ!」 ギルドに顔を出すと、毎回の様にいろいろなチームから誘われる。ギルドは、カリンの事情を把握している。ギルドに伝えられている事情は、おっさんが念入りに考えて、イーリスとフォミルと巻き込んで作った事情(嘘)だ。…
続きを読む2022/04/28
【第十章 エルフの里】第二十八話 行商
ヤスは、ラフネスから受けた依頼を考えていた。 神殿から、エルフの里までの距離が問題になってくる。ヤスがディアナで移動するには、無理がある。集積所を作る場所も問題になってくる。 しかし、ヤスはラフネスの依頼を前向きに考えていた。物流ですべてが解決するとは思っていないが、神殿から派遣する行商人なら、エルフの里に喰い込んでいた商人の様に、エルフ族を騙して至宝を掠め取ろうとしたり、結界の中に無理矢理入ったり、愚かな行為は控えるだろう。 ”マリア(コア)”と絡んでしまったから、見捨てる選択肢はないのだが、面倒なことに…
続きを読む2022/04/27
【第五章 共和国】第二十二話 ボス戦
最下層に降りてきて感じたのは、ウーレンフートの最下層と違うということだけだ。 本当に最下層なのか疑問はあるが、それは自分の感覚を信じる。 そして・・・。 「エイダ!」 『最下層です』 エイダが断言したのだから、最下層なのだろう。 ここで、今まで作っていたプログラム(魔法)を試してみる。 W-ZERO3を起動して、準備していたプログラムを起動する。 探索を行うプログラムだが、確かにこの階層から下に降りる階段は見つけられない。扉で塞がれた場所も、空気(魔素?)が入り込めれば探索ができる。やっと完成した魔法だ。ま…
続きを読む2022/04/27
【第六章 ギルド】第十六話 説明準備
ギルドはうまく回っているが、うまく回り始めているから、新しい問題が出始めている。子供やメンバーが狙われ始めている。 ナッセの話し方から、理解したことだ。 ナッセが目配せをする。 「そうか、それで、監視しているのだな?」 そこまでヒントを貰えれば、さすがに判るだろう。 それに、”監視”対象は、中に居る者たちではないだろう。ミルが、ギルドのメンバーと話をして、問題が無いと判明したら、監視している視線が弱まった。 「気が付きましたか?」 「入口やギルドに近づく者たちを監視しているのだな?」 テーブルの上に置かれて…
続きを読む2022/04/20
【第五章 共和国】第二十一話 悪夢
おいらは知っている。 兄ちゃんは、ダンジョンに潜ったり、おいらたちと雑魚寝したり、剣を持って戦わなくてもいい人だ。 王国に住む人なら、赤子以外なら聞いた事がある。ライムバッハ。 それが、本来・・・。名乗るべき家名だ。王国の辺境伯の跡継ぎだった。難しい事はわからないけど、兄ちゃんは目的があって、辺境伯の名前を外して活動している。 兄ちゃんの朝は早い。 寝ている時間は、誰よりも短い。おいらの半分くらいだとカルラ姉ちゃんが言っていた。 おいらは・・・。違う。カルラ姉ちゃんも知っている。 兄ちゃんは、よく魘される。…
続きを読む2022/04/20
【第六章 ギルド】第十五話 ナッセ・ブラウン
ミアと手を繋いで、ギルドに近づく。 ミルが警戒を強めるが、誰も襲ってくる様子は無い。視線は増えていない。監視は、俺やミルを見ているわけではなさそうだ。 (ギルドを監視している?) フェム辺りなら、状況を把握しているのだろう。王都の様子を含めて聞いたほうがいいかもしれない。 「ねぇリン?」 「ん?」 「リンの事を話すの?」 ミルは、時々・・・。言葉を抜いた・・・。省略した話し方をする。 俺の何を話すのか?ミルの中では、詳細な説明をしているつもりのようだが、俺からしたら、言葉が足りない。 「俺の何を?」 「ん?…
続きを読む2022/04/19
【第三章 スライム今度こそ街へ】第二話 確認
服は・・・。さすがに、制服はダメだろう。 でも、困った。平日の昼間に、街に行ったら、間違いなく怪しまれる。最悪は、警察の厄介になってしまう。 学校を辞めているから、補導されても困らない。でも、身元を証明するもの・・・。あ! (マイナンバーカード!) 良かった。作っておいて・・・。 写真も入っている。身分証明書として使える。親も親戚も居ないから、補導されたら・・・。うーん。 補導されない様にすればいいのか? 学校がある時間はダメだ。 夕方は、移動を考えると、難しい。まず、過保護な家族から許可が出ないだろう。 …
続きを読む2022/04/19
【第三章 魔王と魔王】第二話 【神聖国】
新参だと思っていた魔王を2年も討伐ができない状況が続いている。奴が、帝国から1-2万の獣を得ているのは解っている。他にも、城塞街とか言っていたか、あそこで家畜を大量に囲っている。 それだけではない。連合国との境に、”ダンジョン”を作成して、餌に群がる家畜を得ている。 不思議なのは、魔王ルブランはどこからポイントを持ってくるのだ? 家畜の数では、余や連合国の魔王の方が多い。 支配領域は、信者からの報告では、連合国よりは狭いようだが、余の支配領域とは同等のようだ。2年前に産まれた魔王に並ばれたと思うと業腹だが、…
続きを読む2022/04/12
【第三章 スライム今度こそ街へ】第一話 家族会議
新しい子たちが、我が家の庭と裏庭に揃うまで3週間もかかった。 しょうがないのだろうけど、”転移”のスキルとか無いのかな?移動が面倒だ。私とライだけなら、カーディナルやアドニスに乗っていくこともできるけど、家族で移動を考えると、難しい。 高校を卒業したあとな、免許も取れていただろうけど・・・。今は、免許は無理だ。人の姿になれる。確認したけど、指紋もある。声は出せるようになった。遠征で新しいスキルが沢山芽生えた。まだ、ライや家族たちが検証中だ。私が得たスキルで、一つだけは私だけが得たスキルのようだ。 私が得たス…
続きを読む2022/04/12
【第三章 懲悪する惡】第七話 プレリュード・フィズ
今は、深夜の3時を少しだけ過ぎた時間だ。 バーシオンの営業時間は終わって居る。始発が動き出してから、日が落ちるまでがバーシオンの営業時間だ。 「マスター」 男が、バーの入り口からではなく、バーシオンの従業員が使う出入り口から入ってきた。 「なんだ?」 「ごめんね」 何に対しての謝罪なのかわからないが、男はマスターに謝罪の言葉を告げる。 いつもと違う雰囲気の男に、準備をしていたマスターは手を止めて、男を見つめる。 「いい。それで?仕事か?」 「仕事といえば、仕事だけど、今回は別口」 男の言い淀んだ口調に、マス…
続きを読む2022/04/12
【第三章 魔王と魔王】第一話 魔王
この世界に転生?してから、2年が経過した。 転生した直後は、軽くパニックになり、そして”モノリス”の理不尽な説明に憤慨していた。 しかし、しかしだ!俺は、難局を乗り切った。 もう大変だった。 大群だぞ。こっちは、俺を含めて数名だ。それなのに、数万の軍とか・・・。ありえないだろう。 でも、ありえないのは、数だけではない。俺を攻めてきた連中が、俺の想定よりも愚かだったことだ。 外壁に作ったトラップを作動させないと、気がすまないのかと思えるくらいに、罠を作動させる。 外壁の門のギミックも、突破が無理なのでは?と思…
続きを読む2022/04/10
【第二章 帰還勇者の事情】第三十六話 葬送
ユウキたちは、アメリカに渡っていた。 皆で歩いているのは、よくある街並みだ。 街並みを歩く子どもたちは、人種もバラバラで統一しているのは、”子供”だと思える年齢だということだ。ユウキたちを見つめる視線は存在しない。 今回の作戦で最後に訪れる予定になっていた場所だ。 先頭を黙って歩いているのは、リチャードとロレッタだ。 ユウキだけは、リチャードとロレッタと一緒に来ているので、リチャードの態度は理解ができる。 「リチャード?」 たまらず、ディドが声をかけるが、ユウキがディドだけではなく、皆を手で制する。皆もユウ…
続きを読む2022/04/05
【第三章 帝国脱出】第十七話 おっさん相談する
カリンを出迎えたおっさんは、カリンに”おかえり”と伝えて、背中を見せる。カリンは、おっさんの背中を呆然と見つめている。 カリンは、怒られると思っていたので、神妙は面持ちで居たのだが、一言だけで終わってしまって、余計に怖くなってしまった。カリンが抱えていた、バステトは、カリンの腕から飛び出て、おっさんの肩に駆け上がっている。おっさんは、バステトの頭をなでながら、後ろを振り返る。 「そういえば、カリンは、夕飯は食べてきたのか?」 普段通りの声色で、おっさんがカリンに話しかける。 これなら、怒られたほうがまだまし…
続きを読む2022/04/05
【第十章 エルフの里】第二十七話 決着?
この神殿。詰んでいないか? いや、まだ大丈夫だ。魔物への対処ができればいい。それに、大物は多くない。対処が可能な魔物だけなら、問題ではない。 どうやら、俺がこのコアを吸収するのはできるようだが、そうなると、エルフたちをどうするのか考えなければならない。神殿に依存している者たちを、俺の神殿に住まわせるだけで終わるのならいいのだけど、問題まで一緒につれていくことになりそうだ。 それでなくても、俺の神殿は”多種族”が住んでいる。 エルフのように他種族を見下す者たちは来て欲しくない。他種族との接触を避けるために、エ…
続きを読む2022/04/03
【第五章 共和国】第二十話 最下層
W-ZERO3はしっかりと役割を果たしている。プログラムの最終確認をして、アルバンとエイダにも協力してもらった。 空気の膜を作って、俺たちを包んでいる。 割れる様子もない。 これなら、水の中でも大丈夫だ。エイダに外側からスキルで攻撃をさせてみたが、結界に阻まれて、空気の膜は保った状態をキープできている。 アルバンには、物理攻撃を加えさせたが、10回程度の攻撃では問題はなかった。 さすがに、アルバンとエイダの連携では結界が弾けた。 空気の膜だけになってしまうと、スキルでも攻撃でも、膜に触れてしまえば、膜は弾け…
続きを読む2022/04/03
【第六章 ギルド】第十四話 監視
おばちゃんから話を聞いた。 思っていた以上に王都は悪い方向に進んだようだ。これなら、王都を拠点にしないで、ギルドの本部ごと神殿に移動させたほうがいいかもしれない。いや、俺が考えることではない。ギルドのメンバーやハーコムレイたちが考えるべきことだ。 俺は、皆が”神殿”を選んだときに、受け入れるだけだ。 「リン。どうする?」 ミルが、レオの上に乗るミアの手を握りながら、俺に問いかける。 おばちゃんの話はたしかに衝撃的だけど、俺たちに何ができるかわからない。貴族同士の見栄の問題にまで発展しているのなら、俺たちがで…
続きを読む2022/04/01
【第二章 スライム街へ】第二十七話 謎?
透明な壁の中に充満していた煙?が消えた。 その後で、ムクドリ?スズメ?種類までは分からないが、鳥が一斉に飛び立った。 どこに、これほどの鳥がいたのか・・・。 それだけでも不思議なことだが、透明な壁の中にいた魔物たちが・・・。倒されている? なぜだ?何があった?戦闘音だけではない。”何も”音がしなかった。 「円香!」 隣にいる円香も、俺と同じように、魔物たちがいた場所を見つめている。 「孔明」 「円香。何が見えた!」 「・・・。聞きたいか?」 「俺も聞きたい」 蒼も俺と同じ考えのようだ。 俺には、何も見えなか…
続きを読む2022/04/01
【第三章 懲悪する惡】第六話 アメリカン・レモネード
とある繁華街の雑居ビルの地下。 バーシオンが今日も営業をしている。昼間に営業をしている変わったバーだ。 カウンターに座る女性が飲み干したグラスをカウンターに音を立てないように置く。 グラスを拭いているマスターの手元を見て、グラスをケースに戻したのを確認してから声をかける。 「マスター」 マスターは、女性の様子から、”チェック”だと判断した。 「大丈夫です」 マスターは、手元のメモに目を落としてから、女性に答える。 「そう」 少しだけ意外そうな表情をする。 女性は、足りないのではないかと思っていた。その場合に…
続きを読む2022/04/01
【第二章 ギルドと魔王】第二十七話 【連合国】ギルド
私は、連合国にあるギルドで働いている。 名前?それは、内緒でお願いします。 今、連合国のギルドは盛り上がっている。盛り上がっている理由は、情けない事に、中央部に産まれた新しい”魔王”のおかげだ。緩やかな衰退に向かっていたギルドだったのが、趨勢を見守る必要がなくなった。私の給金もしっかりと支払われるようになった。 以前から、ギルドの中は2つに分かれていた。変革派と温故派だ。変革派は、人族での運用をすすめる人たちで権力に近いところにいることが自慢だと思っている人たちだ。温故派は、獣人たちを含めて多種族での運用が…
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