サイト小説の記事一覧
2022/08/11
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十二話 スキルとギフト
私は、里見茜。普通のギルド職員だ。 しかし、普通だと思えていたのも、ついさっきまでだ。 突然、脳内に、言葉が響いた。 『スキル:魔物鑑定を獲得』 『スキル:魔物支配を獲得』 『個体名クロトが眷属に加わりました』 『個体名ラキシが眷属に加わりました』 『眷属からのギフト:意思疎通が贈られました』 どうやら、私もスキルを得たようです。 『スキル:ステータス編集を獲得』 まだ終わっていなかった。 スキルが3つ?クロトとラキシが眷属?ギフトって何? ステータスは知っている。自分のステータスが表示される。でも、”ステ…
続きを読む2022/08/11
【第三章 魔王と魔王】第十二話 【カミドネ】アンデッド
謁見が終了して、カミドネに戻ってきた。 ルブラン殿とモミジ殿とは、後からカミドネのギルドの近くで落ち合う事になった。 まずは・・・。 「フォリ」 「御前に」 フォリが、私の足下まで来て跪く。立ってもらって、抱きしめる。 安心できる。フォリの暖かさが・・・。怖かった。魔王様やルブラン殿やモミジ殿が、私たちを生かしておくメリットが少ないことを認識させられた。私を殺しても、支配領域にはできないから生かしておく程度なのだろう。 「カミドネ様」 フォリの心配した声で、私がしっかりしなければダメだと思い出される。もう大…
続きを読む2022/08/10
【第三章 復讐の前に】第三話 墓参り
ユウキは、一人で寂れた港町に来ていた。 ”墓参り”というセリフには嘘はない。 ユウキは、港町には公共機関を使って訪れた。拠点からは、フェリーに乗って、湾を渡って、電車に乗り換えて、二駅の旅だ。 潮の強烈な匂いで向かえる駅で降りた。船の上で感じる潮の匂いとは違う、風に流される潮が、ユウキの鼻孔をくすぐる。 目的地までは、徒歩で2時間くらいだ。 ユウキは、周りを確認するように、見回しながら、ゆっくりとした歩調で目的地に向かっている。 すれ違う人も車も少ない。 港の入口を通り過ぎて、山側に向かう。 町の人間でも、…
続きを読む2022/08/09
【第三章 帝国脱出】第二十六話 少女驚愕!
信頼ができる大人? イザークたちが聞けば、サンドラさん達の名前を上げるだろうけど・・・。彼女たちは”信頼”はできない。 ババ様? 大人で、私たちの話を聞いてくれるのは、ババ様だ。イザークたちは近づかない。大人たちも、ババ様の悪口をいうけど、私には優しいし、いろいろと教えてくれる。間違っていることも有ったけど、ババ様に話をしたら、しっかりと教えてくれた。ババ様が知っていた話が古かっただけで、値段の違いはあるだけ・・・。しっかり、ババ様は謝ってくれた。そして、間違えていた内容を教えてくれて”ありがとう”とお礼を…
続きを読む2022/08/09
【第十章 エルフの里】第三十七話 受諾
リーゼに状況を説明していると、向こうにも動きが有ったようだ。 姫様と、従者の一人が、馬車から出てきて、こちらに向かってきた。 姫騎士は、完全には納得していないようだが、姫様に従うと決めたようだ。神殿に居る間は、姫騎士ヒルダには注意が必要だな。姫様と従者は、住民との問題は大丈夫そうだが、ヒルダは軋轢を産みそうだ。姫様が抑えてくれるといいのだけど、あの手の忠誠心多寡で、思慮がない人間は、沸点が低いと相場が決まっている。自分の正義を信じて疑わない者ほど厄介な存在だ。多種多様な種族と考え方が融合している神殿には、一…
続きを読む2022/08/06
【第五章 共和国】第三十五話 ボス戦
最下層を目指すのは、初めから決まっていた。 全速ではないが、魔物が出てきた場合でも、対処が可能な状況を維持しつつ、最速で最下層を目指す。 エイダには、全力で索敵を行ってもらっている。 アルバンも、カルラも、問題はなさそうだ。 最下層の直前(だと思える場所)に、ボス部屋が設置されている。 アルバンが、躊躇なく扉を開ける。俺とカルラを見たことだけは褒めてあげるが、開ける前に一言くらいは欲しかった。 ボスは、黒い靄を纏っていない。 「相手は、キングエイプ。エイプ種の手下を5体」 カルラがボス部屋を観察して報告を上…
続きを読む2022/08/06
【第六章 ギルド】第二十九話 修羅場?
ギルドの入口が見えてきた。 しっかりと見張りが立っている。 知らない顔だ。 ハーコムレイかローザスが雇った護衛か? 「なぁリン。大丈夫なんか?睨まれているぞ?」 「大丈夫だ。女子・・・。重久が中心になって作った組織だ。重久は、フェナサリム・ヴァーヴァンが名前だからな。間違えるなよ」 「おっおぉ」 「本当に、大丈夫か?」 「大丈夫だ。名前を覚えるのは得意だ」 まぁ困るのは、オイゲンだからいいけど・・・。 後ろを振り返ると、奴隷の少女たちが、俺とオイゲンの会話を聞いている。不思議な表情を浮かべている。 ハーフエ…
続きを読む2022/08/03
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十一話 大活躍
私は、里見(さとみ)茜(あかね)。ギルド日本本部の常識担当。 常識担当なのは、上司がぶっ飛んでいるのが原因だ。私くらいの常識人が居ないとギルドは成り立たない。 同僚?になった、元自衛官も脳筋と腹黒の二人で、円香さんと気が合う。円香さんとまともに話ができる時点で、私の中で二人は”偉人(変人)”としてのカテゴリーに分類される。 もう一人は、私と違った意味で常識担当の千明だ。 その千明は、朝から出かけている。 なぜかギルドで飼う事になった3匹の猫を病院に連れて行った。定期健診の知らせが届いた。里親募集で譲ってもら…
続きを読む2022/08/03
【第三章 魔王と魔王】第十一話 急報
今日も、部屋でまったりと過ごしていた。 俺がやらなければならないことは少ない。 今日も、RPGでレベルアップを行っている。パッチが入らないし、アップグレードも行われない。オンラインゲームはできない。そのうち、ミアやヒアにゲームを教えて対戦をしても楽しいかもしれない。 髭面の大工で、配管工の仕事をしたことがある奴が主人公のカートレースゲームをしてもいいだろう。 『魔王様』 セバスか? 何か、重要な案件が発生したのか? 最近では、どこかの国が攻めてきても、事後報告で受ける事が多くなっている。 「どうした?」 『…
続きを読む2022/08/03
【第三章 復讐の前に】第二話 帰還?
拠点の整備を行っていた、ユウキたちだが、現状で行えることを行った段階で、足りない物が見えてきた。 「それで、ヒナとレイヤは、こっち(日本)に残るのか?」 ユウキたちは、リチャードとロレッタの復讐を終えて、残りはユウキだけの状況になって、拠点の充実を行うことに決めた。いろいろな理由があるが、ユウキの相手が国に喰い込んでいるだけではなく、裏社会にも話が通すことができる。フィクサーというと大げさだが、国会議員だけではなく、地方限定だが基盤を支える企業を運営している。知識層の人材も抱えている。ユウキの復讐相手は、極…
続きを読む2022/07/31
【第三章 帝国脱出】第二十五話 少女交渉する
「考えはまとまったか?」 まだ、考えはまとまっていない。 でも、目の前に居る人は、”まーさん”と呼んで欲しいと言った人は、私たちの話を聞いていた。 話が途切れたタイミングで、声をかけてきた。 きっとそれがヒントだ。 まーさんを見ると、猫?を肩に乗せて撫でている。 そうだ。先に確認をしないと・・・。 でも、確認で・・・。違う。ここは、まずは、確認して・・・。 嘘はダメ。 正直に答えないと・・・。 「ある程度は、まとまりました。でも、まだ、しっかりと決まったかと言えば・・・」 声がしっかり出せたか心配になるくら…
続きを読む2022/07/31
【第十章 エルフの里】第三十六話 説明
帝国の姫という最大級の厄介ごとを、抱え込むことを決めた。俺の判断が間違っている可能性もあるが・・・。 夢見が悪いとか、いろいろ理由を考えたが・・・。 リーゼを助けた俺が、身分が厄介だという理由で、オリビアを切り捨てるのは、何か違うと感じてしまった。 それに、話せば、聞いていた帝国の印象が変わってくる。 やはり、国家単位で人を考えない方がいい。 トップの人格が、国の総意ではない。そんな簡単な事を、俺は忘れていた。帝国だからと切り捨てるのは簡単だ。 しかし、帝国というフィルターを取り除いて考えれば、護衛を3人と…
続きを読む2022/07/28
【第五章 共和国】第三十四話 ウイルス
中層のキャンプ地に、物資を届けた。 途中で狩った魔物や採取した物も一緒に渡した。 共和国内では、少量だがマジックバッグが流通している。容量も大きくないのだが、物が流通していれば、使っても不思議には思われない。 と、いうことで、問題はあるが、使ってしまおうということになった。 今回は、途中で狩った魔物や採取した物を提供する。 中層にキャンプを張って、イレギュラーに対応が可能な者たちだ。俺たちが持っている、マジックバッグを見ても奪おうとはしないだろう。 それに、奪われても、袋ではなくステータスボードに格納してい…
続きを読む2022/07/27
【第六章 ギルド】第二十八話 説明
アッシュから、奴隷を引き取る。 俺に、頭を下げてから、アッシュは部屋を出て行った。 オイゲンは、アッシュが奴隷商だと知っている。自分を買った者だから覚えていたのだろう。俺の横には、セバスチャンが立っている。 しかし、オイゲンの視線は、俺と奴隷の少女たちを行ったり来たりしている。 お気に入りは、ハーフエルフなのだろうと思うが、獣人も気になる様子だ。満遍なく見てから、俺に視線を移してから、またハーフエルフに視線を戻す。忙しく、視線を動かすだけではなく、ソファーから立ち上がりかけている。 「オイゲン。座れよ」 「…
続きを読む2022/07/27
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十話 スライム発生
天使湖の後始末が終わって、各国への報告を行い。 関係各所への説明が終わって、やっと人心地が付いたギルドに、緊急を伝える無線が入った。 「円香!」 「聞こえている。手が離せない。蒼。頼む」 「・・・」 上村蒼は、重い腰を上げて、無線をコネクトする。 「ギルド。上村。そちらは?」 「失礼。静岡県警。巡査の森下です」 「あの森下巡査ですか?それで、何かありましたか?」 上村蒼の表情が変わる。 森下の名前を聞いて、奥で作業をしていた。榑谷円香も無線の近くに移動してきた。 消防や警察からの連絡は、日常茶飯事だ。それこ…
続きを読む2022/07/27
【第三章 魔王と魔王】第十話 【カミドネ】街
神聖国と王国の間にあった、中規模のダンジョンが魔王ルブランに攻略された。 魔王たちは、インフォメーションでその事実を知った。 攻略されたあとも、神聖国と王国の間にあった、中規模ダンジョンは消滅しなかった。 魔王ルブランが、攻略して殺さなかった。 しかし、その後が異常な状況だ。 魔王ルブランに攻略されて、ポイントを奪われたはずの魔王が、魔王カミドネを名乗りだして、元々洞窟型のダンジョンが、大きく変貌した。まるべ、魔王ルブランのダンジョンの様になってしまった。 支配領域を一気に増やした。 これには、神聖国と王国…
続きを読む2022/07/27
【第三章 復讐の前に】第一話 日常?
ユウキたちの拠点の近くには、人が増えた。 拠点は、今までと同じで、異世界から帰ってきた者たちしか住んでいない。 拠点以外の場所には、町ができ始めている。 主に、拠点に居る者の関係者だが、レナートに残った者たちの関係者も移り住んでいる。各国から、来日してきていることも、住民が増えている原因の一つだ。人が増えれば、その増えた人を目当てにした人が増える。 もう一つの原因が、ユウキたちが戯れで作った魔道具が原因になっている。 「ユウキ!」 「おかえりなさい。森田さん。何か、用事ですか?」 「あ?!ユウキ!俺がどれだ…
続きを読む2022/07/24
【第三章 帝国脱出】第二十四話 おっさん眺める
なかなかいい人材に育つかもしれない。 アキと呼ばれている少女は、俺を見てから、仲間に話しかけている。 俺が欲しいと思っている情報を語りだしている。 偶然だろうが、ここで、偶然でも、そのカードを握るのは、大きな素質を感じる。何が、正解か解らない時には、自分たちの手持ちで出せるカードを確認して、カードの価値を自分たちで決めないことが大事だ。交渉は、相手が欲しがる物を、テーブルにのせることだ。自分たちで売りたいカードではない、相手が”買いたい”と、思っているカードを見極める必要がある。 少女は、自分たちが持ってい…
続きを読む2022/07/24
【第十章 エルフの里】第三十五話 状況
私は、オリビア・ド・ラ・ミナルディ・ラインラント・アデヴィット。アデヴィット帝国の第三皇女です。いや、”だった”が正確です。 お兄様やお姉様が、玉座を争い始めた。 もともと、私は玉座には興味がない。 権力闘争が顕著になったのは、第二皇子のお兄様が王国に攻め込んで、大敗を喫したことが原因です。当初は、王国が守っていたと思われていたが、どうやら王国と帝国の間に存在した神殿が攻略されたことに起因しているようです。お兄様たちなら情報を掴んでいるでしょう。しかし、私には重要な情報は回ってきません。 お兄様は、愚かにも…
続きを読む2022/07/22
【第五章 共和国】第三十三話 エラー
次のダンジョンの攻略を考えている。 食料の供給元を先に狙おう。魔物の肉だけではなく、ダンジョン内から果物や野菜の採取ができる。 カルラからの情報では、狙っているダンジョンの現状、攻略を行っている階層は、47階層。 それなりに、深い階層を探索中だ。このダンジョンは、50階層が最下層だと予測されている。 攻略がストップしている理由が、40階層から下では食料がドロップしなくなり、物資が不足しだして、47階層で引き返したようだ。カルラが、軽く聞き込みをしてきてくれて判明した。40階層には、主が居るために、戻って採取…
続きを読む2022/07/20
【第六章 ギルド】第二十七話 勧誘
まずは、伴侶候補としての少女たちを確認する。 猫族、犬族、羊族、兎族とハーフエルフだ。茂手木の好みは解らない。他の友達との話を聞いていると、胸よりは腰派だったはずだ。よくわからないが、茂手木が気に入らなくても、茂手木に押し付けるつもりだ。茂手木にやってもらうことを考えれば、手伝いは必要だろう。 美形が揃っている。ケモミミバンザイは口癖のような奴だ。ハーフだがエルフも居る。アッシュに確認したが、全員が処女だ。これなら、茂手木も文句は言わないだろう。伴侶候補としても十分だ。 呼び名は消されてしまっている。スキル…
続きを読む2022/07/19
【第三章 スライム今度こそ街へ】第九話 また街へ
街に行ってから、2か月が経過した。 家の中に居るのも飽きてきて、裏山の改造をしている。 頂上付近にある小屋を物見やぐらに変更した。細かいことは、私かライが行う必要があるけど、分体が居るので、平行作業ができるのはありがたい。別に、人が登れるような櫓を作っているわけではない。カーディナルたちが、羽を休めながら遠くを見るための場所だ。人だったころは登るのは不可能だけど、優秀なスライムボディなら問題なく登れる。 物作りや改造は、スキルを使いこなす意味もある。スキルの数が多すぎて把握が追いついていない。新しい家族が増…
続きを読む2022/07/18
【第三章 魔王と魔王】第九話 俺の家
俺は、神聖国の国境近くの村に住んでいた。俺たちは、獣人と呼ばれている。いくつかの種族が集まった集落だ。最初は、俺たちの種族の熊人族だけだったが、周りの集落が獣人狩りに襲われて、生き残りが集落に集まってきた。 鼠人や兎人や羊人などの戦闘に向かない種族だ。しかし、熊人族は、そんな者たちを受け入れた。もともと、一つの種族だけでまとまるメリットはない。複数の種族の力があれば、人族にも抵抗ができる。 族長も住民が増えれば問題も出てくると解っていた。しかし、獣人が増えれば、それだけ狙われるリスクは増大する。族長は、それ…
続きを読む2022/07/16
【第二章 帰還勇者の事情】第四十一話 事情
ユウキとマイが約束の場所で待っていると、リチャードとロレッタがいつもと変わらない雰囲気で戻ってきた。 「おかえり」 ユウキは、リチャードとロレッタに言葉をかける。 二人は、差し出された手を握ってから、感謝を伝える。 「ただいま」 ロレッタは、マイに抱きついて緊張を解すかのように身体の力を抜く。大丈夫だと解っていても、緊張はしていたのだろう。リチャードがやりすぎないか心配していた度合いが大きい。 ユウキは、リチャードの腰にあるべき物がないことに気が付いた。腰を指さしている。 「あぁ」 リチャードもユウキが言い…
続きを読む2022/07/15
【第三章 帝国脱出】第二十三話 少女考える
おっさんは、目の前で必死に考えている子供たちを見回した。 「(バステトさん。近くに、魔物が居たら倒してくれますか?)」 ”にゃ!” おっさんは、バステトにお願いをした。実際には、おっさんでも倒せるのだが、子供の前から離れたくなかった。逃げられても困らないが、逃げた子供たちが魔物の餌になるのが困る。そして、魔物の餌だけなら、”子供たちに運と力がなかった”と、考えれば済む話だ。しかし、魔物ではなく野犬や野生動物に襲われたら・・・。野生動物が人の味を覚えるのは、おっさんとしては避けたい。 バステトは、子供たちを見…
続きを読む2022/07/14
【第十章 エルフの里】第三十四話 条件
姫が取り出した魔道具を俺に見せて、説明した。 マルスが使う結界の範囲が狭い物だと判断した。 「大丈夫だ」 「ありがとうございます」 『マルス。結界の外側に結界を展開できるか?』 『是』 マルスの結界が展開した。 姫が持っていた魔道具も無事に起動をしたようだ。マルスの結界は、色は自在だが、姫の結界は少しだけ色が入っている。曇りガラスのように見える。張られているのが解ってしまうのだ。 強度もそれほど強そうには見えない。エルフ族の攻撃は防げそうにない。これで使い物になるのか? 『マルス。声は通過できるか?』 『是…
続きを読む2022/07/12
【第五章 共和国】第三十二話 翻訳
装置を見ると、少しだけ面倒だと思える。 「カルラ」 「はい」 「素数って解るか?」 「”そすう”ですか?聞いたことがありません」 アルバンには、聞く必要はない。 そうか、素数は基礎だと思ったけど、スキルの起動時にも意外と関係するのだけどな。 「カルラ。スキルの発動時に、1つ。2つ。3つと発動はできるよな?」 「はい」 「でも、4つの重ねは失敗する」 「はい。神々の喧嘩です」 そう、この世界では、重ね掛けは、素数で管理されている。道具を作るときに気が付いた。同じ素材に4つの付与は失敗する。だから、複数の素材に…
続きを読む2022/07/12
【第六章 ギルド】第二十六話 オイゲン
セバスチャンが、アッシュに向かって”あの者”という言葉をつかって、リストに入っていない人物の事を問いただしている。 それだけ、有用な者なのか? アッシュをみると、少しだけ先ほどの表情とは違って、何かを考える表情をしてから、俺を見ないままセバスチャンからの問に答える。 「あの者の取り扱いは・・・。王家から、注意が入っています」 王家? それほどの者なのか? 他国の貴人とかだと、困ってしまう。扱いという面で・・・。 「注意?」 セバスチャンも、内容までは知らないようだ。 しばらく、二人のやり取りを聞いている。 …
続きを読む2022/07/05
【第五章 共和国】第三十一話 黒い石
アルトワダンジョンを、ウーレンフートから来た者たちに任せて、次の町に向かっていた。 クォートとシャープが野盗たちを引き渡して帰ってきた。 「マスター。マスターの想定した、最悪のパターンでした」 絶望感・・・・。あまり、”感”という言葉は好きではないが・・・。共和国も、結局は形を変えた、権力主義の集まりだと認識した。平等を謳っているだけに帝国や王国よりも酷い可能性もある。 「わかった。カルラ。プランA」 本当は、プランFが良かったのだが・・・。 「はぁ・・・。わかりました」 カルラの気持ちも解る。プランAは、…
続きを読む2022/07/03
【第六章 ギルド】第二十五話 住民
アッシュに案内されて、奴隷商の中を歩く。建物は、大きく、掃除が行き届いている。しばらく、歩くと大きめの扉が付いた部屋に案内された。扉の方に向けて、大きめのソファーが置かれている。ソファーに勧められて腰を降ろすと、横にあるテーブルに飲み物が置かれた。 セバスチャンは、俺の横に居るようだ。 アッシュは、俺に少しだけ待って欲しいと言ってから、隣の部屋に移動した。 「セブ。子供たちを知っているのか?」 「はい。何度か、世話をしたことがありますが・・・」 「どうした?」 「この部屋は、もっと大口のそれこそ、2-30名…
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