サイト小説の記事一覧
2022/09/28
【第三章 潜入】第三十二話
/*** ヨーン=エーリック Side ***/ 会議室には、族長が揃っていた。 俺が最後のようだ。決められた席は無いのだが、なんとなく定位置のようになっている。 白狼族の定位置は、獅子族の隣で、テーブルの一番端だ。 「皆様。ダンジョンは、大丈夫でしたか?」 「あぁ」 ロロットが答える。 「既に、利用可能になっておりますので、ご自由にお使いください」 「アルベルタさん。大事なことを聞き忘れている」 「何でございましょうか?」 「今回もじゃが、スキルや魔物の素材を手に入れた。これらはどうしたらいい?」 そうな…
続きを読む2022/09/28
【第三章 潜入】第三十話
そうか、ヌラの作った布は、レベル7(100万円)相当なのか? そりゃぁ確かに、気楽に、他人に渡していいものではないな。スキルを固定化した、魔核や武器/防具/道具は、なんとなく、ロロットやヘルズとの話でわかったが、少しだけ自重しようとは思うが、生活が便利になるものだからな。 レベル3(100円)やレベル4(1,000円)なら問題は少ないだろう。”高い”と言っても、全く見つからないわけじゃないだろうからな。今の所作る事ができるのが、”俺だけ”が、問題になっているのだろう。 アルベルタからの報告を聞いて、認識のズ…
続きを読む2022/09/19
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十六話 念話と結界
円香さんは、念話の魔石を触って、何かを考えている。 「千明。この魔石を持って、キャンピングカーの外に出てくれ」 いきなり、円香さんが、千明にキャンピングカーの外に出ろと伝える。実験をしたいのは解るけど、最初に実験の説明をしなければ、千明が戸惑うだろう。実際に、千明はいきなり言われて動揺している。 「はい?」 「円香さん。実験をしなくて大丈夫ですか?」 「そうだな。使い方が解らないな。千明も念話ができるか触ってみるか?」 円香さんは、一つを千明に渡して、一つを自分で持つ。 『千明』 「え?頭の中に、円香さんの…
続きを読む2022/09/19
【第三章 魔王と魔王】第十六話 【神聖国】
神殿の広間。 神聖国は、宗教国家であり、玉座は存在しない。身分としての”王位”はない。神の代弁者である”聖王”が存在している。 聖王は、広間の中央に座っている。背後には、地球に住んでいる人ならほとんどの人が知っている。神の像が置かれている。これだけで、知るものが見れば、神聖国は”ダンジョン”や”魔王”と関わりがあると解ってしまう。それでも、聖王は十字架を掲げている。転生前は、それほど”神”を信じていたわけではない。しかし、ダンジョンマスターになり、”神”の存在を感じるようになった。そして、まだダンジョンが小…
続きを読む2022/09/16
【第三章 復讐の前に】第七話 物資
マイが感謝する気持ちは解る。 解るが、これは、”俺が”連れて行きたいだけなので、感謝されると心がざわざわする。 「そうだ。マイ。必要な物資は?」 元々確認をしておきたかった内容に話を戻す。 「そうね。その前に、ユウキ。地球で何か必要になっていないの?持ち込むばかりで、セシリアが心配しているわ」 マイが、少しだけ笑いながら俺に話を合わせてくれる。 「心配?」 ”心配”と言われても、俺たちは”別に構わない”が答えになってしまう。 地球での買い物も、それほど高い物ではない。 サトシの買い物は、サトシの報酬から支払…
続きを読む2022/09/15
【第三章 帝国脱出】第三十話 少年走る
俺は、イザーク。 おババに手紙を届けた。おばばから、まーさんが凄い奴だと聞かされた。 「まぁいい。まーさんからの指示を伝える。イザーク。お前には、拒否はできない。解っているか?」 解っている。アキ姉がまーさんと一緒に居る。アキ姉の所に帰る為にも、まーさんから出された指示はしっかりと実行する。 「うん」 俺の返事を聞いて、おババが俺を見て来る。いつものような視線ではない。 どこか優しい感じがする。 「まずは、イザーク。この手紙を持って、領主の館に向かいな。門番に、手紙を見せれば、いい」 「え?」 「なんだい。…
続きを読む2022/09/14
【第九章 ユーラット】第一話 移動?
野営を無事に乗り越えて、移動を開始した。 移動は順調だ。 先頭は、馬車と途中で見つけた馬を積んだトラックを走らせる。 これは、ルーサの提案だ。 王国内を移動しているとしても、バスやモンキーやFITは珍しい。トラックなら、神殿が行っている物流支援で、王国中を駈け廻っているので、見たことがある者が多い。警戒はされるが、周知されているので、襲われたり、停められたり、物騒な目に合う可能性が減らせる。 リーゼとカイルとイチカは、モンキーで行ったり来たりを繰り返している。 何が楽しいのか・・・。 でも・・・。まぁ解らな…
続きを読む2022/09/13
【第五章 共和国】第三十九話 噂話
カルラの案内で、共和国で一番大きな国であるデュ・コロワ国の首都に到着した。 移動は、人に見られない場所を全力で駆け抜けた。 ステータスが上がっている関係で、それほど疲労はしていない。 「兄ちゃん?」 「解っている。アル。耐えろ」 アルが音を上げている。俺も、かなり辟易している。 首都に入るのは楽に入られた。王国の貴族章を使わなくても、カルラが用意した”商人”の身分で楽に通ることができた。 宿も、確保できた。 カルラが、報告のために一時的に離れたが、俺とアルで武器や防具や消耗品の点検をしていた。 報告が終わっ…
続きを読む2022/09/13
【第六章 ギルド】第三十三話 詰問
ルナが何かまだ考えている。 少しだけぬるくなってしまったお茶に口を付ける。 誰が入れているのか解らないけど、おいしい。 ミルと一緒に野営している時には、ミルが飲み物を出してくれたけど、お茶はなかった。設備がないししょうがない。神殿に戻ったら、調理器具を含めて整備しよう。 「リン君?」 「なんだ?」 「ローザス殿下との話を聞いた?」 「ローザス?あぁルナが婚約者なのだろう?」 「!!違う。違うからね。婚約者候補。いい。候補!婚約者じゃない!」 ルナが椅子を倒す勢いで立ち上がって、テーブルに手をついて訂正してく…
続きを読む2022/09/13
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十五話 規格外
千明に、円香さんを呼びに行ってもらった。 もう面倒なので、円香さんに丸投げすることに決めた。 話は、3つ。 一つは、眷属化だから、ワインズマンに入力するか確認すればいいだけだ。 『里見茜殿。本体に相談しました』 急にライが話しかけてきた。 「え?」 『里見茜殿は、説明が出来なくて困っている?違いますか?』 説明ができない? もっと簡単に言えば、ライの言葉を中継しなければならないのに困っている。 「そうね。ライが円香さんと話が出来たらいいとは思っている」 『はい。マスターから、贈り物です』 ライが少しだけ震え…
続きを読む2022/09/12
【第三章 魔王と魔王】第十五話 今後?
神聖国からの遠征部隊を、カミドネとセバスが撃退した。 カミドネに、今後の運営の提案を行った。最終的には、カミドネが決めればいいと思っていた。 戦場の様子を見て、そのあとで設定案を送付した。 あとの事は、戦場に居た者たちに任せて、俺は普段の生活に戻ることにした。やりかけの改修を考え始める。 「魔王様」 部屋にセバスが一人で訪ねてきた。 何か、問題が発生しているのなら、当事者を連れて来るから、大きな問題ではない。 「セバスか?」 「はい」 扉の前から返事をしている。 「いいぞ」 「ありがとうございます」 扉を開…
続きを読む2022/09/10
【第三章 復讐の前に】第六話 状況説明
今度は、マイから地球での状況を質問された。 報告をしている上に、問題になりそうな状況の時には、マイと一応サトシには伝えている。 「そう。父さんも母さんも大丈夫なのね」 マイが一番に心配したのは、父さんと母さんの事だ。 もちろん二人には、これから俺が行う事を説明した。内容までは話していないのだが、行為に関してはしっかりと説明した。最初は、反対されるかと思ったが、全ての話を聞き終わってから、賛成ではないが、引き止めないと約束してくれた。 そして、引っ越してきてくれてからは、何度も何度も話を聞いてもらった。アイツ…
続きを読む2022/09/08
【第三章 帝国脱出】第二十九話 期待する
私の名前は・・・。名前を、呼ぶ者は居ない。名前を忘れたわけじゃないけど、”おばば”と呼ばれている。 産まれてからいろいろな名前で呼ばれていた。 今の場所に落ち着いたのは、80年以上前だ。長命種から見たら、一瞬とは言わないが、短い期間だ。しかし、これほど長く住み着いた場所は、ラインリッヒの領都だけだ。前の前の領主に頼まれて、居を構えた。それから、代替わりを見守ってきた。 今の当主も無能ではないが、先々代と比べてしまうと、少し中央を向きすぎている。先々代も先代も足下をしっかりと見てから中央と接していた。だから、…
続きを読む2022/09/08
【第十章 エルフの里】第四十話 野営
このまま走り続ければ、夜半には到着できそうなタイミングで、大将から連絡が入った。 「ルーサのおっちゃん。どうしたの?」 小僧が、座っていた座席から立ち上がって、運転席に顔を出してきた。このタイプのアーティファクトでは、内部での移動は難しくない。 「大将から、休んでから来るようにと指示が出た」 「休んで?でも・・・」 「大丈夫だ。後ろのアーティファクトに、食料や水や野営の道具が積んである」 「へぇ・・・。おいらたちの、モンキーを積んだアーティファクト?」 「そうだ。俺はよくわからないが、馬を安全に運ぶための馬…
続きを読む2022/09/06
【第五章 共和国】第三十八話 最難関
黒い石の正体は、待機型のスクリプトだ。”I Love You”ウィルスだ。乗っ取り方ではない。破壊タイプだ。 接触して、魔力の供給を受けると、スクリプトが実行される。バイナリでの配布ではないので、スクリプトを実行するためのバイナリが、ダンジョンに依存している。 ワクチンでの対処が可能だが、単純な仕組みだけど、侵入されてしまった魔物を元に戻すのは不可能だ。侵された部分をパージすればよいかと思ったが、スクリプトを見ると、上書きしてしまっている。同種の魔物からデータを複写する対処も考えられるが、討伐対象なので、討…
続きを読む2022/09/05
【第六章 ギルド】第三十二話 認定?
アデレード殿下を匿う約束をして、他にも細かい話をした。特に、アデレード殿下を匿うことで発生する費用負担だ。全面的に、王家が用意すると言っているが、実際にどうやって負担するのか考える必要がある。 ハーコムレイもローザスも、アデレード殿下がわがままを言わないと言っている。 ローザス一人の意見なら信じなかったが、ハーコムレイも”自分の妹と同じ”だと言い出したので、問題は無いだろう。 ルナと殿下を比べられても、俺には判断ができない。 そもそも、二人を比べる必要性があるとは思えない。 「アデレード殿下とルアリーナ嬢は…
続きを読む2022/08/29
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十四話 会話
”ライ”が私を見つめている。多分・・・。スライムに目があるのか解らないが、”ライ”から視線を感じる。 まず、このスライムは”ライ”。本体が別に存在している。その本体との繋がりが出来て、はっきりと意思があるのだと言っている。 そして、スライムに名付けした者が存在している。”ライ”はマスターと呼んでいるが、主人なのだろう。 それだけではない。 ”ライ”は、円香さんのスキル構成を見抜いてしまっている。そういうスキルを持っているのか?それとも、スライム特有の能力なのか? 「千明?」 「ん?あっそうね。うん。茜に任せ…
続きを読む2022/08/29
【第三章 魔王と魔王】第十四話 確定?
ふぅ 神聖国と魔王カミドネの戦闘は、勝てそうだな。 初手が決まったのが大きかった。そこからは、消化試合のような感じだ。 セバスが、助力に向かっている。 一人で観戦している。寂しくはないが・・・。何か、物足りない。 アンデッドで、神官を倒すのは、いい試みだ。 今度、アンデッドだけのフロアを作って見るか? でも、俺たちの居城まで攻め込んでくる連中が居ないから、仲間内で試すことになりそうだ。 それでは面白くない。 魔王カミドネの所は、今後、彼女に任せるとして、神聖国に接している場所に、アンデッドだけのギミックハウ…
続きを読む2022/08/28
【第三章 復讐の前に】第五話 宝珠
マイの説明から、現状が把握できた。大丈夫だとは思っているが、念には念を入れておいたほうがいいだろう。 やはり、俺の用事に取り掛かる前に、帰る場所をしっかりと、安全に、問題がない状況にしておいた方がいいかもしれない。サトシに譲位されるのは、早くても、10年後だけど、何があるか解らない。 今の国王はまだ40になっていない。まだまだ現役で活躍できるのだが、セシリアの話では、隙があればサトシに譲位しようとしている。らしい。 まだ、宰相が止めているのだが、宰相は国王よりも年齢が上で、そちらも次の宰相が決まれば、さっさ…
続きを読む2022/08/28
【第三章 帝国脱出】第二十八話 少年理解する
俺は、イザーク。 本当の名前は知らない。親の顔も知らない。産まれてから、スラムで生活をしている。 兄ちゃんが、貴族に殺されてから、俺がグループを引き継いだ。 アキ姉が、リーダーになるのかと思ったら、アキ姉から、俺がリーダーをやるべきだと言われた。俺たちのグループは、”盗み”をしない。人を傷つけない。兄ちゃんが決めたルールを守っている。 いや、守っていた。 一番年下のラオが怪我をしてねぐらに戻ってきた。探索者に殴られたようだ。剣で切られた場所もあり、血が流れている。アキ姉が、薬草で治療をした。血は止まったけど…
続きを読む2022/08/28
【第十章 エルフの里】第三十九話 会話
神殿からヘルプを呼んだ。 今日は、野営を行うことになったのだが、大きな問題が発生しなかったことが気持ち悪い。 姫騎士辺りが、文句を言い出すかと思ったが、おとなしく指示に従っている。 「ヤス様」 オリビア姫が一人で、俺に近づいてきた。 「姫さんか?どうした?」 深刻な表情ではない。 誰も連れていないのは、何か聞きたい事があるのか?それとも、従者や騎士には聞かせたくない話か? 「少しだけお時間を頂けないでしょうか?」 時間? 話がしたいということか? 「あぁ」 「神殿について、教えていただきたいことがあります」…
続きを読む2022/08/24
【第五章 共和国】第三十七話 ワクチン
データの移行が終了した。 切り替えは、平行作業で行える。ホットスタンバイのような物だ。 接続は、RS-232Cを使っている。PC-88シリーズでもRS-232Cなら接続ができる。ケーブルが接続された状態で、モデムに繋がっている。モデムが接続状態になっているので、モデムを経由してダンジョンを維持している。 モニター上には、PC-88が制御を行っている状況が表示されている。 移行した端末を起動する。 移行した端末の起動が終わって、ダンジョンに接続が行われる。 通常のシステムよりも、簡単に切り替えができる。 デー…
続きを読む2022/08/23
【第六章 ギルド】第三十一話 分裂
ハーコムレイが何も言ってこない所を見ると、既に決定事項になっているのだろう。 領地?が増える? ほぼ、西側の森を、俺に渡す意味があるのか? よくわからない。くれると言うのなら貰うけど、統治とかあるのなら断ろう。俺には、統治や領地運営なんてできない。 「それで?」 「ん?」 ローザスがいきなり”何を言っている”と言いたいような表情をする。 それは、こっちのセリフだ。 「だから、俺に何をさせたい?」 「え?」「ローザス!リン=フリークスに、”お願い”の内容を伝えていない」 ハーコムレイが、眉間にできた皺を触りな…
続きを読む2022/08/21
【第三章 スライム今度こそ街へ】第十三話 使い方
ギフトの使い方は、クロトが教えてくれた。 猫語が解るようになったわけではないが、私はクロトとラキシが何を言っているのか解るようになった。 どうやら、こちらに友好的な魔物とは意思が通じるらしい。クロトの上に乗っていたスライムが、アトスの上に移動した。 アトスの上に乗っていたスライムは、茜を見てから、アトスと何か話をする。 話をしているのは解るけど、私にはアトスの話は解らない。 「千明?」 アトスの話を聞いていたのだろうか、千明が少しだけ困った表情をしている。 「茜。スライムの話を、アトスが翻訳?してくれたけど…
続きを読む2022/08/21
【第三章 魔王と魔王】第十三話 【カミドネ】戦闘
戦闘開始のトリガーは、私が持つことに決まった。 ルブラン殿から、戦況を見るために、モニタールームを作ることを提案された。 魔王様から作成に必要なポイントを貰ってきてくれているようだ。 魔王様に感謝しながら、モニタールームを作成した。 「カミドネ様。これなら・・・」 モニタールームの見学に来たフォリは、これなら私が前線に立たなくて済むと安心してくれた。 それは嬉しいのだが・・・。 「魔王カミドネ。貴殿の眷属である。フォリ殿に、”念話”スキルを与えて、各眷属との連絡要員にしたいが、大丈夫か?」 「え?連絡要員?…
続きを読む2022/08/18
【第三章 復讐の前に】第四話 レナート
ユウキは、綺麗になった母親の墓前から、スキルを発動した。 異世界(フィファーナ)の小国(レナート)に転移したユウキは、まずは王城を目指す。 城下町を歩いていれば、ユウキは住民から話しかけられる。 「ユウキ!戻ったのか?」 住民や、レナートの国民でユウキたちを知らない者は、産まれたばかりの子供くらいだ。それほど、国民はユウキたちに感謝している。 魔王を討伐して、レナートだけではなく、フィファーナに安穏を齎した英雄だ。 実際には、魔王を討伐してしまったことで、統制されていた魔物たちが各地に散らばっただけなのだが…
続きを読む2022/08/17
【第三章 帝国脱出】第二十七話 少女従う
門番にも、まーさんは手紙を書いてくれることになった。 順番にしっかりと渡せば、問題が無いようにイザークに教えている。イザークには、男子が一緒に行くことになった。イザークには、まーさんから”短剣”が渡された。他の男の子たちも、イザークが渡された短剣を羨ましそうに眺めていたら、笑いながらまーさんが全員分の短剣を出してくれた。 まーさんが、短剣を皆に渡しながら、イザークと話をしている。 内容は、短剣を渡しながら、短剣を使うなという話だったが、まーさんの話を聞いて、納得してしまった。 「いいか、短剣は武器だ。一番、…
続きを読む2022/08/16
【第十章 エルフの里】第三十八話 はぁ?
俺はルーサ。 本名は、いいだろう。皆からルーサと呼ばれている。俺も、この名前を気に入っている。神殿の村(トーアフートドルフ)のアシュリを守っている。 我らの大将は、規格外だ。 他の神殿がどうやって運営しているのか知らないが、大将ほどのことはしていないと思う。 まず、アーティファクトの量が尋常ではない。アーティファクトの複製が可能なのか、ドワーフたちに聞いたが、”無理だ”と言っていた。似たような物を作ろうと頑張ってみたが、完全に同じサイズのネジなど作る技術はないと言っている。 しかし、大将は簡単に用意してくる…
続きを読む2022/08/14
【第五章 共和国】第三十六話 指紋
まだ下層が存在しているようだ。 ボスを倒して、発現した魔法陣に乗って、下層に移動する。全員が乗った所で、魔法陣に魔力を流す。 魔法陣は・・・。 発動したけど、ここで問題が出るのか? ”4桁の数字を並び替えて、最大にしたものと最小にしたものとの差を計算する。これを繰り返すことで、現れる数字を答えよ。ただし、同じ数字だけで構成された整数は除く” また面倒な問題だな。 カプレカ数だろう? 「アル。問題には、選択肢は出ているのか?」 「出てない。4桁の数字を入力する様になっている」 「”6174”と入力してくれ」 …
続きを読む2022/08/13
【第六章 ギルド】第三十話 提案
馬車に乗り込むと、ローザスとハーコムレイが座っている。 雰囲気は、悪くない。 セバスチャンも乗り込んでくるかと思ったが、俺が馬車に乗り込むのを見送るような状態で、頭を下げている。セバスチャンには屋敷で働く者の統括をお願いしている。人員に関しても、まだまだ足りないのだろう。 そうか、屋敷で働く者たちの給金や生活の補償をしなければならないのだよな。考えると、金がない。 「リン君」 「なんでしょうか?殿下」 「固いよ。ローザスと呼んでよ」 「わかりました。アルフレッド=ローザス・フォン・トリーア第一皇子様。私の様…
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