サイト小説の記事一覧
2021/12/04
【第二章 ギルドと魔王】第十七話 【ギルド】会談前
朝から・・・。いや、正確には3日前から、緊張してしまっている。 今までの会談とは、持っている意味が違う。メルヒオール様が控えているが、自分が全面に出なければならない。 魔王ルブランは、理知的な魔王だ。いきなり、激昂して我らを処断するような状況にはならないだろう。 今までの報告では、魔王ルブランは従者たちを愚弄した者や、自ら作り出した物を粗雑に扱った者には、厳罰をもって接しているが、自分自信への暴言には寛容な態度を示している。それが、苦言だとしたら、その者に褒美を取らせたこともある。 「ボイド。今から…
続きを読む2021/12/04
【第五章 共和国】第十話 前準備
婦人が頭を下げて、離れから出ていく。 「カルラ。どう思う?」 「問題の解決は難しいと思います」 そうだよな。 この町の問題は、隣町のダンジョンだけが問題ではない。根本的には、”共和国の無策”に繋がっていくのはわかっている。だからこそ、俺たちに何かができるわけではない。 盗賊団を壊滅させることはできるだろう。 しかし、盗賊団が産まれる原因を排除することはできそうもない。俺たちが、この町や周辺の領主にでもなれるのなら、本腰を入れて考えるのだが、俺たちは”商人”でしかない。もっと、本質的なことを言えば、…
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【第六章 ギルド】第四話 王都の途中
街道に出るまでは、急いだ。アゾレムからの追っ手を警戒したが、追っ手どころか、俺たちの後ろからは誰もついてきていない。まだ、商人が揉めているのだろうか? 「リン?」 ミルが不思議そうな表情で俺を確認してくる。 「さて、森に向かおう、誰かが来ているだろう」 「うん」 ミルと二人で、近くの森に向かう。 さすがに、王都に向かう街道だけあって、整備されている。 マガラ渓谷を越えてから、1時間くらい走ると、いろいろな街道からの合流地点が見えてくる。この近くに森がある。この辺りで、お供として王都に向かう者がいる…
続きを読む2021/12/01
【第二章 帰還勇者の事情】第二十五話 証拠
少女が貴賓室に入って、護衛が扉の前を、メイドが内側を調べている為に、ヴェルとパウリはユウキに念話を繋げた。 『二人には、悪かったな』 『いいですよ。マイにも頼まれましたし、未来の国王の側近に恩を売るチャンスですからね』 『ヴェル。俺は、宰相になるつもりはない。異世界と地球の秘境をめぐる旅がしたいと思っている』 『ユウキもヴェルも、その話はマイがなんとかすると言っていたでしょ。それよりも、ユウキ。護衛の一人で間違いはなさそうよ』 『わかった。パウリ。助かる』 わざわざ手が足りているのにも関わらず、ユウキが…
続きを読む2021/11/24
【第三章 帝国脱出】第六話 おっさん認識を改める
馬車に戻ったおっさんは、残っていた飲み物を一気に喉に流し込む。 一息ついて、また目を閉じる。 ”にゃぁ” 「バステトさん。一緒に寝ますか?」 おっさんが膝を叩くと、バステトは床からジャンプをして、おっさんの膝の上に乗って、くるくると回って、何かを確認してから、丁度いい場所が見つかったのか、前足で”カシカシ”とおっさんの膝を掻いてから、その場所で丸くなる。 おっさんは、丸くなったバステトの背中をなでながら、また目をつぶる。 「まー様。少しだけお時間をいただきたいのですが、よろしいでしょうか?」 おっ…
続きを読む2021/11/23
【第二章 スライム街へ】第十六話 最終確認
円香が、テーブルの上に放り投げた資料は、以前に見せてもらった”ファントム”に関する物だ。 「そうか、ファントムか・・・。結界のスキルを持っている可能性があったのだよな?」 「あぁ。しかし・・・。この中に”ファントム”が居るとは思えない」 円香は、キャンプ場に集まっているマスコミや自衛官や警察官や消防官を見回している。 「そうなのか?!」 蒼は、驚くが、俺もこの中に”ファントム”が居るとは思えない。 「ファントムが、どんな移動手段をもっているのかわからないが、自衛隊や警察の関係者である可能性は低い」 「…
続きを読む2021/11/23
【第二章 ギルドと魔王】第十六話 【ギルド】城塞町
帝国の辺境地域にある城塞町に、一通の召喚状が届いた。 「ボイド。魔王ルブランからの召喚状だ」 部屋に入ってきた、メルヒオールは執務机に座っているボイドに投げかける。 メルヒオールは、新ギルドの相談役のような役割になっているが、現状では、城塞町の領主になっているティモンの所で食客のような立場になって、新ギルドと帝国を繋ぐ役割を担っている。 入ってきたのが、メルヒオールだとわかっても、ボイドは言葉遣いを変えない。 今のギルドは、ボイドがトップの体制になっている。前ギルドマスターであるメルヒオールでも敬…
続きを読む2021/11/23
【第十章 エルフの里】第十六話 ネタバラシ
長老との話はマルスを通して、リーゼも聞いていた。 リーゼが自分の責任だと言い始めてしまったためだ。リーゼに責任は一切ない。元々が、リーゼの願いが始まりだったが、今回の件は間違いなく、エルフ側の問題だ。 アーティファクト(Fit)に手を出そうとしなければ、この自体にはなっていない。 それを含めて解らせるために、リーゼには聞かせていた。 宿に戻ると、リーゼが抱きついてきた。 「リーゼ?」 「ごめん。ごめん。ごめん」 泣き顔で、俺に抱きついてきたリーゼは、謝るだけだ。 何に対して、謝っているのか?リ…
続きを読む2021/11/23
【第五章 共和国】第九話 事情と情報
アルが戻ってくるのを待っていると、アルではなくカルラが戻ってきた。 「旦那様」 「宿は見つかった?」 「はい。私たち以外は、町を訪れる者が居ないようです」 「そうか・・・。それで?」 「はい。宿の店主・・・。町長が言うには・・・」 カルラの話は、シャープが聞いてきた話と同じだ。 「よく宿屋が営業していたな」 「町長を兼ねているらしく、宿屋を閉じると、泊まる場所がなくなるので、営業をしていると言っていました」 「わかった。それで、アルは?」 「エイダと、馬車を見ています」 「ん?あぁそうか、人手が足りない…
続きを読む2021/11/23
【第六章 ギルド】第三話 王都へ
ミルと二人で、マガラ渓谷の受付に並んでいる。 チケットは持っている。通過はできるとは思うが、マガラ渓谷は敵方(アゾレム)の関所だと考えられる。 ミルは大丈夫にしても、”死んだことになっている”俺はどういう形になるのかわからない。 「次!」 関所の人間が偉そうにしている。 次が俺たちの番だ。 前は、行商人のようで、荷物を検めるのに時間が必要になっているようだ。 「リン。どうして、マガラ渓谷を越えるの?」 ミルの素朴な質問だけど、確かに説明をしていなかった。 まだ、時間が掛かりそうだし、簡単な説…
続きを読む2021/11/23
【第二章 帰還勇者の事情】第二十四話 魔法使い
ユウキがニヤリを笑ってから、少女と大人たちに告げる。 「挨拶の代わりに・・・」 少女は、握られた手を見ると、少しだけ不思議な暖かさを感じた。 『聞こえますか?』 少女の頭の中に、目の前に居る男性・・・。ユウキの声が響いた。 びっくりした表情で、ユウキを見つめる。 『あっ手を離さないでください。すぐに終わります』 少女は、身体から倦怠感が抜けるのが解る。濁っていた視界もはっきりとしてくる。そして、同時にモヤがかかっていた思考がはっきりとしてくるのが解る。そして、目の前に居るユウキを見つめてしまった。…
続きを読む2021/11/23
【第三章 帝国脱出】第五話 カリン訓練をする
黒鉄と白銀を、鞘に納める。 上位属性の問題は、大丈夫。刀に纏わせるだけならわからない。 「カリン様?」 「ん?あっ大丈夫。そう言えば、上位属性は何ができるの?」 「え?カリン様?私が、今から、カリン様に聞こうと思ったのですが?」 「・・・。え?」 あっ・・・。そうか、イーリスも、日記の中に出てきた項目を読んだり、研究資料を読んだり、書物の中で出てくるだけだから、知らなくて当然だよね。 私は、そもそも、火も水も風もわからない。 飛ばせるの? 「イーリス。上位属性は別にして、火属性や水属性や風属性は、…
続きを読む2021/11/23
【第二章 リニューアル】第四話 眠れぬ夜
「マスター。ナイト・キャップをお願い。今日は、これで最後にする」 「かしこまりました」 マスターは、卵黄を用意して、ブランデーとキュラソーとアニゼットを2:1:1でシェイカーに注いて、卵黄を入れる。 注文した女性は、マスターの手元にうっとりとした視線を向ける。 「ナイト・キャップです」 女性は、マスターが置いたシャンパングラスに注がれた液体をしばらく眺めてから、喉に流し込んだ。 「マスター。私、夜を卒業するの」 「そうですか」 マスターは、シェイカーを洗いながら女性の独白に答える。 「それで」 「わ…
続きを読む2021/11/17
【第二章 スライム街へ】第十五話 結界?
皆が、私の周りに集まってくる。 報告は、ライが受けている。 「ご主人さま」 ライが、皆からの報告をまとめてくれた。キャンプ場の囲い込みは成功した。問題は、小屋の周りだったけど、成功した。結界を張った周りには、魔物が居ない所までは確認が出来た。 ”どうしたの?” 「休んでください」 ”うーん。疲れていないけど・・・。そうだね。順番に休もうか?” 「はい」 私が休まないと、家族も休まない。警戒の順番を決める。どうやら私は必要がないようだ。ライも同じだ。 結界が機能しているから、警戒は必要がないとは思う…
続きを読む2021/11/17
【第二章 ギルドと魔王】第十五話 開戦
開戦? バチョウもカンウも連合国の背後に回っている。見つかったら、見つかったで、突撃を許可していた。わざと見つかるような愚かな行為はしなかった。しかし、連合国は、進軍するときに斥候を放たないのか? 確かに距離を開けていたが、苦もなく迂回が成功した。 うーん。 次に造る施設?アトラクションは、レベルを落としたほうがいいのか?こいつらだけが愚か者だと思いたい。アトラクションを楽しんでもらえる程度には知恵を持っていると嬉しい。 行軍が遅かった理由が、心の底からくだらないと言える理由だった。 ”奴隷の男…
続きを読む2021/11/17
【第十章 エルフの里】第十五話 償い
カップが割れる音が、二人の間に決定的な違いが存在していることを物語っている。 ヤスは、エルフ族の長老が”綺麗事”だけを言っているようにしか思えない。”皆”のため。”繁栄”のため。そんな”こと”のために、長老衆やそれに近い者以外のエルフが犠牲になっている。 犠牲になっている者たちも、騙されているとは思わないまでも、何かがおかしいと感じるから、自分たちでなんとかしようとする。そのために、外部の者に攻撃的な態度を取る者たちが増えていく。そして、一部の者たちと手を組んで、愚かな行為に出る。 自分たちが”優位…
続きを読む2021/11/06
【第二章 スライム街へ】第十四話 主導権?
ギルドの面々は、キャンピングカーから降りた。三匹の猫は、キャンピングカーのケージに入れられている。 「上村さん!あっ!桐元さん」 「おぉ松。久しぶりだな。お前の部隊が来ているのか?」 「はい!松原小隊が封鎖及び魔物の掃討を行います」 桐元孔明も、上村蒼も、小隊が出てくるとは思っていなかった。分隊が出てきて、封鎖を行っていると思っていた。初期段階で、小隊が出てきているのに驚いた。 「ギルドの皆さんですか?山梨県警古屋です」 警察手帳を見せながら、古屋は松原と話をしていた、桐元孔明と上村蒼に話しかける。現…
続きを読む2021/11/06
【第二章 ギルドと魔王】第十四話 魔王は暇
「マイマスター。もうしわけありません」 「いいよ。セバス。見ていたから・・・。ふぅ・・・。連合国は何がしたいのかわからない。それに、あんなに弱いとは思わなかった」 モニターに映されるのは、監視罠(罠とつければ、何でも許されると思っている)から送られてきている映像だ。森の端に、監視用に設置している物だが、今は連合国からの侵略者を迎え撃つために使っている。 砦を築いていたのは、最初は5,000人程度だったので、モミジとカエデとナツメだけで戦ってみることになった。 バチョウとカンウの部隊編成が終わっていない…
続きを読む2021/11/05
【第二章 スライム街へ】第十三話 到着
バイバスに入っても、渋滞は解消しなかった。 興津川を越えた場所で、事故が発生している。事故は、一箇所ではなく、蒲原に入った場所と富士川の橋でも事故が発生していた。 そのために、到着予定時間が伸びてしまっている。ナビには、その先でも渋滞している状況が表示されている。 「円香!ダメだ。渋滞が酷い。76号を使うぞ」 上村蒼は、ナビを操作している榑谷円香に宣言する。 「富士富士宮由比線か?狭い場所が多いけど、大丈夫か?」 県道76号は、途中から山道になる。 山の中を突き進む。WRCのドライバーなら、10…
続きを読む2021/11/05
【第二章 ギルドと魔王】第十三話 【連合国】
連合国は公称10万の兵で、魔王ルブランの討伐を掲げて、進軍を開始した。 総指揮は、序列1位の”エルプレ国”の騎士デュ・ボアがとっている。 連合国の序列4位の国オラブルから、出陣した公称10万の兵は、砦の構築を行うために先行した1万(公表した数字は5万)の奴隷兵を除いた。9万(実際には4万)の兵が、魔王ルブランの居城を目指している。各国から精鋭部隊(と言っている者たち)が参加している。足並みが揃うはずもなく、進軍速度は予想以上に遅い。 序列4位のオラブルから、魔王城までは通常行軍で5日ほどだが、倍の1…
続きを読む2021/11/04
【第二章 スライム街へ】第十二話 悪対惡
”人が多い” この前よりも、人が増えている。 スマホでも持ってくれば、調べられたのだけど、取りに戻る時間がもったいない。 魔物の数も増えている。 山側の封鎖が出来ていないのだろうか? え? ”カーディナル。オーガの近くに移動して” カーディナルにお願いをして、オーガたちが居た小屋が見える場所まで移動した。 ”なんで?” そこに居るオーガたちは、人を捕らえている。残念ながら、死んでいるのは見た目で解る。頭が潰されている。 一人や二人ではない。目視だけだが、5-6人は犠牲になっている。もっと多い…
続きを読む2021/11/04
【第二章 ギルドと魔王】第十二話 御前会議
憂鬱な気分になっている。 しばらくは、マイマスターと楽しい時間が過ごせていた。 書庫で読んだ本の内容を、マイマスターに質問する。マイマスターが解らなければ、また新しい本を取り出していただける。その一連の流れで、マイマスターと楽しい時間が過ごせた。 「ルブラン!」 あぁ”セバス”とは呼んでもらえない。モミジたちだけではなく、ヒアとメアも居るから”セバス”呼びが無理なのは理解している。でも・・・。 そして、ヒアはメアを気にしている。メアの目線は、マイマスターに注がれている。 「はい」 「攻めてきたのは…
続きを読む2021/11/03
【第二章 スライム街へ】第十一話 天子湖
「はい。上村」 上村蒼は、運転しながら車のハンドルに付いているハンドフリーで電話を受けた。 車に装備されている機能を使っているので、相手の声も同乗者には解ってしまう。 『上村中尉!』 「どうした?珍しいな。間違えるな。俺は、もう中尉じゃないし、お前の上官でもない」 『失礼しました。上村さん。今、時間は大丈夫ですか?』 「あぁ車で、移動中だ。孔明とギルドのメンバーも一緒だが、問題はない」 上村蒼は、元部下にギルドの仕事で移動していると伝えた。 ギルドのメンバーが一緒だと伝えることで、会話が筒抜けになっ…
続きを読む2021/11/03
【第二章 ギルドと魔王】第十一話 周辺国
「ティモン」 「陛下。御前に」 帝国の帝都にある。高級な宿屋の一室だ。7番隊の隊長であった、ティモンが、一人の男性に跪いて頭を垂れる。 「堅苦しい挨拶は必要ない。余と、貴様しかいない」 「はっ」 玉座の住人が、ひと目を避けるようにして、宿屋に来たのには大した理由はない。 面会の相手が、前7番隊の隊長であるためだ。7番隊は、表向きは解体されている。そして、隊長であったティモンは、責任を取る形で、辺境の”村”の領主となった。玉座では、余人に聞かれてしまう可能性があり、宿屋での面談となった。 「それで、魔王…
続きを読む2021/11/03
【第五章 共和国】第八話 アルトワ町?え?
うーん。 町? 確かに、入り口に掲げられている看板には、”アルトワ町”と書かれている。 自称”町”が正しいように思える。うん。村だな。村でも誇大呼称に思える。集落?廃村?いろいろ、マイナスのイメージが浮かんでくる。 「カルラ。アルと一緒に、宿屋を頼む」 「かしこまりました。アルバン。行きますよ」 「うん!」 「カルラ様。アルバン様。お待ち下さい」 クォートが二人を止めた。 アルは、もう駆け出しそうになっていて、急にストップをかけた車のようにターンを決めている。 「なに?」 「馬車も一緒にお願いい…
続きを読む2021/11/02
【第二章 スライム街へ】第十話 準備
”それじゃもう一度、練習をしてから、天子湖に向かうよ!” 私の宣言で、皆が了承を伝えてくる。 川だと思っていた所は、天子湖という人口の湖だ。キャンプ場を、魔物が占拠した。近くの小屋には、オーガたちが居る状況だ。地図から、距離や広さを調べて、練習するための場所を裏山に設定した。広さだけではなく、家に残る者たちの協力を得て、模擬戦が出来るようにした。 そこで、戦略を考えながら、練習を行っている。 結界を併用するのがいいだろうという結論になった。 私たちが攻撃を開始すると、警官隊や自衛隊が、攻撃を開始す…
続きを読む2021/11/02
【第二章 ギルドと魔王】第十話 【ギルド】
「ギルマスからの連絡は有ったのか?」 「ない。上の方から、新たなギルマスの選定を行うと連絡が入った」 「そうか・・・。メルヒオールも愚かなことをしたな」 「そうだな」 本部のギルドマスターであったメルヒオールが、複数のギルドを新設した。ギルドの新設は、新たなポストと権益が産まれるために、ギルド職員や関係者は、権益のおこぼれに期待をした。 しかし、権益は本部には割り振られなかった。正確には、”現在のギルドを支える者たち”には、新たなポストが割り振られなかった。 メルヒオールが独断で決定して、ギルドマスタ…
続きを読む2021/11/02
【第六章 ギルド】第二話 いい女
ナナは、俺とミルの話を黙って聞いてくれた。 冷え切った飲み物で、喉を潤す。 俺とミルの話が終わったと思ったのか、ナナは閉じていた目を開けて、俺を見つめてくる。 「リン君。いくつか、質問をしてもいい?」 「あぁ」 「まず、マヤちゃんは生きているのよね?」 「ミルと一つになったが、生きている。今は、神殿に居る。妖精になってしまっているから、連れてくるのは問題があると考えた」 「そう、わかった。マヤちゃんの本当の姿?なのよね?」 「マヤは、そう言っている。俺もよくわからないが、マヤは困らないから大丈夫だと言…
続きを読む2021/11/01
【第二章 スライム街へ】第九話 相談
キングとクイーンは、もう少し池?湖?川?の状況を確認したいらしい。 私とカーディナルは、急いで家に戻ることにした。 家では、既に私が状況を説明している。 私が家に戻ると、議論は終わっていた。 反対者は居なかったということだ。どうやら、ライが、私の受けた衝撃や哀しみを皆に伝えたようだ。ライが感じた衝撃や哀しみや憎しみが私に伝わるように、私に生じた感情は、ライにも伝わってしまう。 『ご主人さま。困りました』 ”ライ?どうしたの?” 私とカーディナルが到着してすぐに、ライとアドニスが近くにやってきた。…
続きを読む2021/11/01
【第二章 ギルドと魔王】第九話 確認
平和だ。 帝国のゴミを掃除してから、魔王城に攻め込んでくる者が出てこない。 増えたポイントで領域を広げた。魔王城(仮称)の周りに広がる森の全域が領域に組み込まれた。もう少し広げられるポイントは残っているのだが、存在する村や町を領域内に組み込めなかった。 平和で暇な時間に、先代たちの日記を読み漁ったが、森の向こう側まで領域を広げた例が見当たらなかった。ポイントが足りないのか、それともそもそも不可能なのかわからない。もしかしたら、なにか条件があるのかもしれない。 スキルは多すぎて、まだ”本”での確認が…
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