【第二章 ギルドと魔王】第十八話 会談

 

 与えられたミッションは、ギルドとの会談を成功させることだ。

 魔王様からは、指示を頂いていない。
 島の運営と城塞村との関係は、任されている案件だ。

 入ってきたのは、二名。報告にあった、ボイドとメルヒオールだろう。

 メルヒオールが、連合国にあるギルド本部のギルド長を勤めていたのは把握ができている。ボイドは、うまく経歴を隠しているようだが、ギルドの暗部を取り仕切っていたのは把握ができている。

 ヒアとメアがソファーに誘導する。カエデは、後ろで控える形にした。横に座るのは、メアとヒアだ。幹部として、城塞村を管理している二人に認識をさせる意味がある。対外的にも、メアとヒアが仕切っているのだと知らしめる。

「ルブラン殿。時間もないだろうから、儂から貴殿の質問に答えたいが、大丈夫か?」

 メアから殺気が溢れるが、手で制すると、メアも座りなおして、殺気を抑えた。”殿”と呼んだのが気に入らなかったのだろう。

 魔王様から、彼らにも彼らの矜持がある。対等な存在として接するようにと言われている。

「ルブランだ。メルヒオール殿。構わない。時間は有限だ」

「ありがとうございます。早速だが、書面にあった、ギルド本部が、魔王と繋がっているのではないかという疑惑だが、答えは”YES”であり、”NO”だ」

「メルヒオール殿?」

「すまん。言い方が難しい・・・」

「ルブラン様。私から、説明させていただきたいのですがよろしいでしょうか?」

 ボイドが、話に割って入ってくる。

「構わない。情報を欲している」

「はい。メルヒオールの言っている通りに、ギルドは魔王と繋がりはあります。正確に言えば、連合国の序列1位のエルプレが、魔王と繋がりを持っています」

「その情報・・・。いや、いい。カエデ!」

「はい。かしこまりました」

 カエデが魔王様の下に移動する。魔王様は、この部屋の会話を聞かれているが、真偽の判定はこちらには伝えられない。カエデが、魔王様の所に確認にいく。部屋から出れば、通話が繋がる。

「ルブラン様」

「どうした?」

「はい。私から、ご質問をしてよろしいでしょうか?」

「かまわない。それから、この場で答えられない事もある。それでも構わないな」

「もちろんです。ありがとうございます」

「それで?」

「はい。ルブラン様は、魔王領やカプレカ島や城塞村をどのようにされるおつもりなのですか?」

「質問の意味が解らぬが、我から何かを行うつもりはない」

「それは?侵略の意思はないということなのか?」

「侵略?我たちは、戦う意思など最初から持っていない。帝国や連合国が攻め込んできたら撃退しただけだ。貴殿たちは、何か勘違いをしていないか?」

「勘違い?」

「そうだ。我たちは、誰とも争うつもりはない。ただ、貴殿たちが我たちを敵視して攻め込んでくるから、撃退しているだけだ」

「・・・」

「ボイド。ルブラン殿の言っている通りだ。儂たちが、魔王を敵視しているだけで、魔王側から見たら、侵略を受けたら反撃をするだけだ」

 魔王様の理想が、これで実現すれば・・・。
 ボイドやメルヒオールのような者だけなら、今後も関係が築けるだろう。

 連合国にいる魔王が何を考えているのか解らないが、敵対してくるのは解っている。

 しかし、魔王様の分析では、”型にはまっている”らしい。
 一度、モミジが魔王様に、この魔王城を攻めるのなら、どう攻めるか聞いていた。その時の返答は、「攻めない」だった。大人数で攻め込むのは、相手にポイントを与えるだけだから、攻めないのが一番よいと言われた。
 連合国の魔王は、共存が望めないのなら、敵対しか選択肢がないと思っているのだろう。魔王様のように、”無視”することができれば、お互いに不干渉を貫けばいいだけだ。

「ルブラン殿。我らは、ルブラン殿と敵対するつもりはない」

「それで?」

「帝国のすべてとは言わない。城塞村と周辺の領有を許してほしい」

「ん?モミジ」

「はい。我らは、城塞村や周辺の領有を主張しているつもりはありません。カプレカ島や周辺は、魔王領だと認識をしています」

「しかし、城塞村の城壁は、ルブラン殿のお力で作られた物ではないのか?」

 そういえば、魔王様が城壁を作って、領域を支配しているはずだ。

「そうだな。モミジ。どうしたらいい?」

「ルブラン様」

 メアが口を挟む。
 何か、考えがあるのだろう。

「どうした。メア?」

「はい。帝国やギルドに、与えるのは・・・。ルブラン様のお考えに一つの提案ですが、借用としてはどうでしょうか?」

「ん?借用?」

「はい。ボイド殿やメルヒオール殿。そして、ティモン殿は、信頼できる方かもしれませんが、後ろに控えている帝国は・・・」

「それで?」

「帝国に対する楔として、城塞村を、借用させて、税を納めさせてはどうでしょうか?」

 税か・・・。
 魔王様からは、城塞村は人口が増えたら嬉しいが、今の状態でも十分だと言われている。

「ふむぅ。ボイド殿?メルヒオール殿?メアの話を、我たちの譲歩案として提供した。税率は、帝国の税率の半分でよい」

「え?半分?」

「そうだ」

「ルブラン殿。その時には、カプレカ島で得た利益はどうなる?」

 メアやヒアを見ると、頭を横に降る。

「ルブラン様」

「どうした。モミジ?」

「はい。メルヒオール様がおっしゃっているのは、カプレカ島から商人が仕入れて、城塞村以外の場所で高く物を売るなどの可能性を忌避しています」

 メルヒオールを見ると、頷いている。
 魔王様に由来している物以外は、自由にしてよいと言われている。

「構わない。魔物の素材や宝箱から出た物が、対象になるのだろう?」

「それ以外にも、商店で売っている物なども含まれます」

 商店で売っている物も、基本はヒアやメアたちが加工した物だ。彼らの加工品が売れるのなら、売っても問題にはならない。

「大丈夫だ」

 改めて、宣言を行う。
 ダメな物があったら、商店に並べなければいい。モミジもそれが解ったのだろう。納得している。

「ルブラン様。今のまま、運営を含めて、我らに任せてくれるのですか?」

「そうだな。今のままなら問題はないだろう。カプレカ島で問題を起こした者も、今まで通りでいいのだな?」

 魔王様が気にしていた事だ。
 犯罪者を相手方に渡すことだけは許容できない。犯罪行為を行った者は、魔王領で裁かなければならない。

「それは、城塞村でも同じですか?」

「そうだな。明確な区分を作ろう。城塞村から、カプレカ島に向かう時に、検問所を作ってくれ、それを越えたら、魔王領としたい。魔王領で行われた行為は、すべて、我たちが制裁を行う」

 ボイドとメルヒオールは、お互いの顔を見てから、頷いていることから、想定の範囲内なのだろう。

「ルブラン殿。城塞村側で検閲を行っていいのか?」

「構わない。そうだな。何か、手形のような物を発行して、カプレカ島から城塞村に向かう者は通して欲しい。難しければ、検閲を行うことで問題はない」

「ルブラン様。カプレカ島に作る、ギルドが発行するタグを持っていれば、城塞村には検閲をしないで入られるようにしたいと思います」

「わかった。貴殿たちの楽な方法で構わない」

「ありがとうございます」

「ルブラン殿」

「なんだ?」

「連合国と、ギルド・・・。連合国にあるギルド本部なのだが、資料を持ってきている。受け取って貰えるか?」

「わかった。受け取ろう」

 メアを見ると、メアも解ったのだろう、立ち上がって、メルヒオールが取り出した書類を受け取る。紙の質が悪いのか、魔王様が使っている物とは質が違う。紙も注意する必要がありそうだ。

 魔王様がどれだけ素晴らしいのか、再確認してしまう。
 書類は、分析を行えばいいだろう。捕えた者たちもいるから、照合が行えるだろう。メルヒオールやボイドが、今更、魔王様をだます必要性はない。可能性も低いだろう。違いがあるとしたら、メルヒオールやボイドが知らなかったことだろう。

「貴殿たちは、資料と引き換えに何を望む?」

「平穏を・・・」

「それは、こちらのセリフだが・・・。わかった」

 メルヒオールとボイドは、揃って頭を下げる。
 我たちに従うと意味ではなく、共存していくための施策なのだろう。魔王様からも、帝国やギルドは必要ないと言っていた。情報が入った時に、検証できるだけの外部機関であれば十分だと言われていた。

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