【第六章 ギルド】第八話 ステータス

 

 ミアは、自分が従者だと認識はしていても、従者の役割がよくわかっていない。
 今も、アウレイアの眷属に跨って・・・。正確には、眷属の白狼に抱きついて眠ってしまっている。俺とミルが、自分に危害を加えないとわかったのだろう。安心して眠ってしまっている。

「リン」

 ミルは、ミアの髪の毛を触りながら、僕を見つめて来る。
 もう、他の猫人族が離れてしまっているので、神殿にミアだけを向かわせるのは難しい。不可能だと言い切ってもいい。戻すのなら、俺たちも、一度神殿に戻る必要がある。せっかく、マガラ渓谷を抜けたのに、戻って、さらに、もう一度マガラ渓谷を越えるのは手間だし、時間の無駄だ。

 それに、ミルがこの調子なら、可愛い物が好きな癖に、必死に隠そうとしていたイリメリ静川瞳が神殿に行った時に、ミアを知ったら怒らないまでも、機嫌を悪くするだろう。それなら、先に合わせた方がいい。あと、ルアリーナ熱川千明にも合わせて、王都や貴族の中では獣人、特に猫人族の扱いを聞いておきたい。そのためにも、ミアを連れていく意味はある。

 あと、今はミルの服に着替えているが、一部を除いてサイズが大きい。ミアにあった服や下着を買ってあげなければならない。

「連れて行くのはいいけど、大丈夫かな?」

「心配?」

 ミアは、今まで猫人族の中でも、冷遇とまではいわないけど、処遇がよかったとは思えない。
 それが、神殿ならまだしも、王都では人が多い環境にはなれていないだろう。

「うん。環境が一気に変わるから・・・」

 人の波で疲れてしまわないか心配だ。

「神殿に戻す?」

 それは考えたが、どちらにしろ、もう遅い。帰すのなら、ミアが寝てしまう前に判断しなければならなかった。
 はしゃいでいる姿が可愛かった・・・。一生懸命、話をする姿に絆されてしまった。

「でも、猫人族での立場を考えると・・・」

「わかっている」

 ミルも感じているのだろう。
 猫人族の対応が正しいとは思えない。でも、間違っていると断罪できるほど、俺たちは猫人族を知らない。

「ミアを、俺とミルに預けるという形を取っているけど、追い出した?人質?その両方の意味がある」

 だから、俺は彼らがミアを預けると言い出した時に、受け入れる姿勢を取った。
 俺の対応は、間違っていない。と、思いたい。

「うん。僕たちで守れば?」

 ミルは、もう離れたくないような雰囲気だ。
 確かに、俺たちなら、物理的な脅威なら守れるだろう。権力は、ルアリーナやフレットに会ってからになるが、権力から守る方法も存在している。

「それしかないと思っている。ミル。ミアのステータスを見た?」

 問題は、同級生たちだ。
 女子たちは大丈夫だと思いたい。ミアのステータスは、少しだけ、本当に少しだけ異常だ。あとで、偽装を施すとして、”偽装を破る方法が存在しない”とは、、思えない。だから、ミアは、俺とミルの側に居るほうが、安全だと思う。ブロッホが居れば、逃がすことも可能だろう。
 神殿の中なら、ロルフも居る。眷属たちにも保護をお願いすれば安全は高まる。

「え?ううん。見てない」

「驚くよ」

 説明するよりも、見てもらったほうが早い。
 ステータスの新しい可能性だ。眷属たちにも、芽生える可能性がある・・・。新しい、可能性なのかもしれない。

「え?転生者・・・。は、違うよね」

///真命:ミークラヒ・シートレーン
///種族:ハーフ・ケットシー
///ジョブ:テイマー
///体力:30[240]
///魔力:110[110]
///腕力:40[320]
///敏捷性:90[720]
///魅力:80
///魔法:白(1) [赤(9) 黒(9)]
///スキル:念話
///エクストラスキル:眷属回復 獣化

「すごい、真命だ」

 確かに、真命が存在している。
 これは、”人”と同じだ。

「そこ?」

「テイマー?でも、かっこの数字は?」

 ジョブのテイマーも気になったが、やはり、[]の数字は俺も気になった。

「わからないけど、多分、獣化したときには、ステータスが変わるとかじゃないの?」

 予測の範囲だけど、間違っていないと思う。

「そうだね。ねぇリン」

 ミルの言いたいことは解っている。
 ミアのステータスは隠蔽しておいた方がいい。

「獣化は、隠蔽しておこう。あと、念話と、かっこの数字も・・・。あっできた。種族名も、猫人族に変えておこう」

 他のステータスは、特に数字はいじる必要がなさそうだ。
 念話が使えるのは、種族的な物なのか、ミアだけ特別なのか・・・。他の、猫人族のステータスも確認しておけばよかった。

「うん!あと、真命は消せる?」

「消す?」

 変えるのは解るけど、消す意味がわからない。

「うん。なんとなく、感だけど、隷属とか、真命に結びつくように感じない?」

 ミルの感だけど、なんとなくミルの言いたいことがわかった。真命が必要な場面になったら、考えればいいかな。
 それまでは消しておけばいい。

「わかった」

 ミルは完全にスルーしていたが、俺は「ハーフ・ケットシー」が気になった。種族が、”ハーフ(クォーター)・猫人族”ならわかるが、ハーフ・ケットシーだと、ミアの両親のどちらかが、ケットシーになってくる。それとも、先祖返りなのか?それで、ハーフになるのか?疑問が尽きない。
 それに、ケットシーは、この世界では”精霊王”の一柱だったはずだ。神の使いとして崇められる存在だ。それは、”子”を為す?

 長老は、ミアの秘密を知っているのか?
 知っていて、俺たちに託したのだとしたら、ミアの両親は?猫人族として過ごしてきた状況がわからない。

///真命:
///種族:猫人族
///ジョブ:テイマー
///体力:30
///魔力:110
///腕力:40
///敏捷性:90
///魅力:80
///魔法:白(1)
///エクストラスキル:眷属回復

「うん!これで、ミアは大丈夫」

 ひとまず、偽装を施した。

「そうだな。さて、ミアが寝ているしけど、移動を早めにする?」

 王都が近くなってきている。森の密度が和らいできている。騒音は聞こえないが、森の中の息遣いが減ってきている印象がある。

「わかった」

 ミルの了承を得て、速度を上げる。
 アウレイアの眷属も、ミアを載せながら器用に走って、俺たちに付いてくる。ミルが、眷属の背中に抱きついて眠っているミアの安全を確認している。俺は、丁度良い速度を探すように、徐々に速度を上げていく。

 マガラ渓谷を越えた。
 あとは、王都に向かうだけだ。

 ミアが起きていると、一緒に歩きたいと言い出しかねない。ミルが、ミアに甘くなりそうな雰囲気がある。

 今のミアのステータスでは、俺とミルが手を抜いた状態の、移動速度でも付いてこられない。今のように、別の移動手段が必要になる。獣化すればステータスの問題は解決するかもしれないが、ミアが獣化を使い続けられるのか?使った後には?メリットは解りやすいが、デメリットがステータスからでは読めない。”使う”としても、神殿に戻ってからだろう。
 眷属が居る状態なら、何かあっても対処が可能だ。

 神殿に残してきた者とは、繋がりは感じるが”念話”が届かなくなった。
 距離の問題なのか、他の問題なのか、わからないけど、連絡ができなくなっている。

 木々の密度が減って、草原が見え始める。
 王都が近くなってきている。

 馬車道も見える。

「ミル」

「うん」

 速度を緩める。
 アウレイアの眷属を帰した方が・・・。

「ねぇリン。アウレイアの眷属だけど、この子は白狼?」

「うん。白狼は、珍しいけど、フェンリルやリトル・フェンリルやレッサー・フェンリルと比べると、珍しくない。元居た村にも、1年で数回は見かけた種だよ」

「それなら、このまま連れて行かない?」

「え?」

「ミアは、テイマーで、この白狼を従わせれば、安全にならない?」

「うーん。うーん。判断に迷うけど・・・」

 白狼を見ると、頷いている。
 どうやら、ミアの従獣になるのは問題ないようだ。

「わかった。ミアを起こしてから確認しよう」

「うん」

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