サイト小説の記事一覧

2021/09/22

【第一章 スライム生活】第二十話 名前

 うーん。  なんか、裏庭に住み着いた動物たちの様子がおかしい。  私に襲いかかるようなことは無いのだけど、なんだか見られているように感じる。最初は気のせいかと思ったけど、裏山に魔石で作った結界を設置しているときに、フクロウが一定の距離で付いてきた。ハクビシンも、付かず離れずの距離を保っていた。東側に行ったときのような、立体機動はしなかったが、それでも、かなりの速度で移動したけど、二匹とも私を監視するようにしていた。  スライムは珍しいだろうから、不思議な生物だと思って、見ていたのかな?  気にしてもしょう…

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2021/09/22

【第一章 ギミックハウス】第二十話 【奴隷】穏やかな日々

 ここは?  あっ  私たちは、魔王様に捕らえられて・・・。  部屋を与えられた。産まれて初めて、お風呂に入った。冷たい水ではなく、温かい水で身体を拭いた。汚れで、綺麗だったタオルがすぐに汚くなってしまった。でも、ルブラン様から言われた通りに、石鹸を付けて身体をこすった。いい匂いがして、身体が綺麗になった。ゴワゴワだったしっぽがふわふわになった。それから、温かい水に身体を沈めた。  なぜか、涙が出てしまった。  身体から、全部の悪いものが出ていくように感じてしまった。妹が心配そうに見上げてきたが、頭を撫でて…

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2021/09/21

【第一章 スライム生活】第十九話 桐元孔明

 久しぶりに連絡が来たと思ったら・・・。  奴は、どこから自衛隊の秘匿情報を得ている?  それを脅し文句にして・・・。まぁいい。久しぶりに、会うのも一興だ。たしか、奴はギルドの職員だし、情報交換と言えば問題は無いだろう。  指示された場所は、市内にあるカラオケ店だ。カラオケ店の近くで、奴にメッセージを送ると、部屋番号が送られてきた。 「おい!」  部屋では、奴・・・。桐元がマイクを持って熱唱していた。同世代なら誰でも歌える曲だ。 「お!桐元・・・。今は、少佐だったよね。昇進おめでとう」  マイクを持ったまま…

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2021/09/21

【第一章 ギミックハウス】第十九話 セバス動く

 私は、セバス。  マイマスターに生み出された。  先程、マイマスターのお力で、魔物を使役して、私の配下になるように設定していただいた。  私が出向けば、目的の達成は容易い。しかし、マイマスターから頂いた”子供たちを頼む”という命題との同時進行では、マイマスターのお側で過ごす時間が減ってしまう。そのために、失礼な話だとは思ったが、マイマスターにお願いをしてしまった。  それにしても、面白い。  魔物ポットという装置は、本当に魔物が産まれてくる、産まれてきた魔物は、私が支配できる。意思の伝達が可能になっている…

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2021/09/20

【第一章 スライム生活】第十八話 ファントム

 スライムになってしまった彼女の犠牲者が居るとしたら、ギルド日本支部の”情報管理課”兼”スキル管理課準備室”兼”登録者管理課準備室”の職員だろう。その中でも、ほぼ彼女の担当と言っても良いようになってしまっている、里見(さとみ)茜(あかね)だろう。  彼女は、父親が趣味で作った環境が”異常”だとは知らない。今後も気がつくことは無いだろう。そして、スライムになってしまった自分が、外でスマホを持っているのは、おかしいのではないかと考えて、スマホを部屋に置きっぱなしにしている。  彼女が、ここ数日でギルドに与えた衝…

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2021/09/20

【第一章 ギミックハウス】第十八話 門を開く

 人族が攻め込んできて、今日で6日だが・・・。魔王城は、今日も平和です。  捕らえた、子どもたちはセバス(二人の時に、ルブランと呼ぶと悲しそうな顔をする)に会ってから、素直に地下の部屋に入ってくれた。地上部は、戦闘になる可能性を考慮して、出入りを禁止した。戦闘が終わってから、地上部で自給自足が可能な状態まで持っていこうと思ったが、”本”で先代の日記を読んでいたら、面白い記述があり試してみた。  地下型の魔王城を作成した者の日記だったのだが、地下に地上と同じような草原を作られるという記述だ。  うーん。ポイン…

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2021/09/19

【第一章 スライム生活】第十七話 家の裏

 夜に寝られるようになった。スライムです。乙女の敵である体重計に乗ったら、体重が測れなくなっていて、少しだけ落ち込んでいます。  眠くならないのですが、寝る方法が解った。感情を切り離す訓練をしていたら、意識を手放す方法が確立できた。  やっぱり、夜に寝られないと、気持ちが悪い。  しかし、ここ数日は起きるのに、スマホのバイブではない。  なぜか、増えている裏庭の動物たちの鳴き声だ。  結界を張っているのに、なぜか動物が増えている。悪意があるわけでも、私(スライム)を攻撃してくるでもなく、動物同士で喧嘩するわ…

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2021/09/19

【第一章 ギミックハウス】第十七話 【帝国】

「宰相。増援部隊は?」 「昨日、帝都を出ました。まもなく、攻略を開始するでしょう」 「そうか・・・。後継者争いが起こる前に、考えなければならないな」 「まだ、その・・・。お言葉は、些か早いように思えます。殿下が、魔王を討伐して」 「宰相。そちも、解っているのだろう?」 「はっ。陛下。ギルドからの申し出は?」 「本部から来るのであろう?会わないわけには行かないだろうな」 「はっ。日程の調整を行います」 「討伐部隊と増援部隊の結果が出てからになるように調整してくれ」 「かしこまりました」  宰相が、余に頭を下げ…

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2021/09/18

【第一章 スライム生活】第十六話 スライム

 僕たちは、産まれたばかりのスライム。自分が、スライムなのを、なぜか理解している。  僕たちが、どうやって産まれたのかわからない。僕たちは、スライムとして一体だけど、一匹ではない。  僕たちは、池で生活をしていた。でも、スライムに生まれ変わった。  今、僕たちは、2つの気持ちに支配されている。  一つは、ご主人さまに会いたい。遠くに居る。ご主人さまに会いたい。僕たちは、産まれた時から、ご主人さまと繋がっている。ご主人さまのために、僕たちは産まれた。でも、僕たち以外の僕たちは、無残にも殺された。なんで、殺され…

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2021/09/18

【第一章 ギミックハウス】第十六話 魔王の所業?

「魔王様」 「ルブランで良い」  魔王は、マイマスターの称号だ。代理とは言え、”魔王”と呼ばれるのは避けたい。  それに、魔王と呼ばれて良いのは、マイマスターだけだ。 「はい。ルブラン様。食料や毛布をありがとうございます」  子どもたちが揃って頭を下げる。  代表は、狐人族の少女のようだ。人族が居るのに、珍しい。 「お前たちは、真命はあるが、呼び名が無いようだな」 「え?真命?で、ございますか?」  真命を知らないのか?  奴隷だからなのか? 「知らぬのなら、それで構わない。貴様たちは、300名だったな」 …

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2021/09/17

【第一章 スライム生活】第十五話 大虐殺

(なぜだ!何故だ!理解できない!)  彼は、塾が終わると、昆虫を魔物(スライム)化して殺していた。すでに、3桁を越えて4桁に届きそうなスライムを殺している。しかし、彼が望むような変化は訪れない。 (虫だからなのか?僕のような天才がスキルを得る為には、虫ではダメなのか?)  彼が次に狙ったのが、中学校の池に居る魚たちだ。もちろん、自然に出来た池ではなく、貯水湖の役割を持っている。彼は、塾に行く前に、貯水湖の栓を抜いている。それほど大きくない池なので、塾が終わる時間には、膝丈以下まで水位は下がっている。目視で鯉…

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2021/09/17

【第一章 ギミックハウス】第十五話 【帝国】増援部隊

「陛下。派遣部隊から、増援要請が来たのですか?」 「宰相が持ってきた」  執務室で、我が増援の書類を見ていると、7番隊の隊長がやってきた。7番隊の隊長は、今回の増援には加わらない。加えてはならない。呼び出したのは、7番隊と5番隊だ。宰相が、すでに両部隊の隊長を呼び出していたので、訂正が間に合わなかった。  7番隊は、増援には反対するだろう。そして、増援しなければならないのなら、情報を集めて撤退を進めてくるのだろう。  5番隊は、この度の魔王討伐から外れた。小国への遠征を行っていたためだ。しかし、彼らは小国で…

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2021/09/16

【第一章 スライム生活】第十四話 結界

 今日も、裏庭に来ている。  最近、日付の感覚がなくなってきている。曜日は、リビングにあるTVで認識が出来る。  スライムには、学校も仕事もない。裏庭で遊んでいても、昼まで寝ていても大丈夫だ。積み本や積みゲームの消化が捗る。  裏庭に作った池を覗き込む。魚たちも元気だ。  え?うそ?  2つ設置した巣箱に、何かが入っている。  あと、水瓶近くにも、動物が居る。水瓶の近くには、妹が作った犬小屋みたいな物を置いてみた。  巣箱は、二箇所だけど、両方に何かが入っている。  こんなに早く?前に設置した時には、結局入…

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2021/09/16

【第一章 ギミックハウス】第十四話 魔王(ルブラン)降臨

「マイマスター」 「セバス。そうだな。子供たちの前なら良いかもしれないが、セバス。これから、俺の身代わりを行う時には、”ルブラン”を名乗れ」 「はっルブランが名で、真命をセバスと心に刻みました。マイマスター」 「子供たちには、パンと果物と水を送る。それから、寝ている間に、部屋を作ろうと思うが、地上部には草木を植えたから、地下に作る」 「はっ」 「地下で、通路を隣に作ってある、執事やメイドの部屋に繋げる。扉には、罠を設置した。こちら側の者しか通られない」 「それは?」 「今は、俺とルブランだけだな。そうだな。…

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2021/09/16

【第五章 共和国】第六話 検閲

「旦那様。お休みください」  クォートが、食事の後片付けをしながら、俺に馬車の中に入っていて欲しいようだ。 「後は任せる」 「はい。シャープは、旦那様のお手伝いをお願いします」 「かしこまりました」  俺が立ち上がると同時に、シャープも立ち上がる。  カルラは、クォートの近くに移動して、何やら話し始める。  馬車に戻ると、シャープが話しかけてきた。 「旦那様。騒がしくして、もうしわけありません」 「襲撃か?」 「おそらく」  俺たちの周りの馬車が片付けをして、国境から遠ざかるように離れた。それでも、気にしな…

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2021/09/15

【第一章 スライム生活】第十三話 実験室

「どうだ?」  開けられているドアをノックしながら、中に居る人物に声をかける。 「上村中尉。あぁ今は、大尉だったな」 「どっちでもいい。少しだけ給料があがっただけだ。権限も増えないし、使える武器も増えない。その代わり、机の前に居る時間が増えた」 「安全な場所にいて、給料が貰えて、文句を言うな」 「俺には合わないって言っているだけだ。前線がいい。書類整理は、俺には合わない」  俺が差し出した手を、白衣を着た年配の男性が握り返してくる。 「それで、清水教授。実験はどうですか?桐元が気にしています」  このマッド…

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2021/09/15

【第一章 ギミックハウス】第十三話 【奴隷】

「お姉ちゃん!」  寝ないようにしていたのに、いつの間にか眠ってしまった。  魔王城の檻に捕らえられて、それから・・・。美味しいパンと、美味しい干し肉を食べて、綺麗なお水を飲んで、妹と毛布に包まって・・・。妹を抱きしめていた。離れないように、妹の体温と心の音を聞いていた。  村を襲われてから、初めてゆっくりと寝たかもしれない。 「どうしたの?」  飛びついてきた妹の頭をなでながら、周りを見る。  半分くらいはまだ寝ている。 「ううん。お姉ちゃんと一緒に居られて嬉しいだけ」  妹の言葉が嬉しかった。私も同じ気…

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2021/09/15

【第五章 マヤとミル】第十九話 草案と説明

「ミル。マヤは?」 「うーん」  ミルが渋っているところを見ると、マヤはマヤで用事があるのだろう。 「無理なら無理でいいよ。ロルフ」  今回は、ロルフと話をして、神殿の草案を考えればいい。そのあとの拡張は、ロルフとマヤで行えばいい。 『はい。にゃ』 「神殿の入り口を、マガラ渓谷の挟む形で作って、そこから一直線に通路を作る。両側に、店舗になるような建物を作る。中間地点に、訓練所に向かを場所を作るようにしたい。訓練所の通路を挟んだ正面には、集会場になるような広場を作りたい」  アロイの街は、アゾレムが管理してい…

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2021/09/14

【第一章 スライム生活】第十二話 実験

 うーん。  スキル:結界も、情報が伏(・)せ(・)られている。私としては、安全になる可能性が高いし、使えるようになりたい。  魔石は、ギルドが”買い取ってくれる”ことはわかったけど、私にはギルドに売りに行く手段がない。  魔物(スライム)が、ギルドの窓口で”魔石”を売っていたらシュールだ。考えなくても、無理だとわかる。  私はどうやら成長するスライムらしい。”らしい”と言って、断言出来ないのは、寝て起きたら、サイズが大きくなった・・・。ような、きがする。実際に体積を測っていたわけでも、体重を量っていたわけ…

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2021/09/14

【第一章 ギミックハウス】第十二話 セバス登場

 本当なのか?  引き戸になっている門を抜けるのに、4時間掛かっているぞ?罠じゃないぞ、ただの”引き戸”だぞ?  こいつら・・・。頭は大丈夫なのか?  いきなり、門を攻撃し始めたときには、何をしたいのか迷ってしまった。  急遽、引き戸への攻撃で、頭上から石が落ちる罠を配置する。これは、引き戸への攻撃がトリガーになって別の罠が発動するだけの物だが、効果的だ。罠の発動場所を、引き戸の近くではなく、一つの門と引き戸の間でランダムに発生するようにした。  奴隷っぽい奴らに引き戸を攻撃させていた奴らが、自分の頭上から…

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2021/09/14

【第二章 帰還勇者の事情】第二十二話 客人の事情

「ユウキ。明日の夕方に、富士山静岡空港に到着する」  今川が、ユウキが使っている部屋に入ってきて、予定を告げる。 「え?客人はフランスからですよね?」  富士山静岡空港に、フランスからの直行便はない(はず)。  どこかを経由する位なら、新幹線を使ったり、東名高速を使ったり、飛行機以外の交通手段を使ったほうが楽だ。フランスから来るのなら、愛知か成田か羽田だ。 「プライベートジェットだ。世の中、大抵のことは、金でなんとかなる」  今川の話を聞いて、”キョトン”とした表情をしてから、納得した顔をする。 「そうです…

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2021/09/13

【第一章 スライム生活】第十一話 裏山

 やること(復讐)は、私の中で決定した事柄だ。  そのためには、私は弱すぎる。  幸いなことに、魔物(スライム)になってしまった。魔物(スライム)には、日本の法律、だけではなく、世界中のどの国の法律も、適用が不可能だろう。魔物に感情があり、知恵があるとは思われていない。そもそも、弱肉強食の世界だ。いつ、どこで、殺されても不思議ではないのが、魔物の世界なのかもしれない。  せっかく作った裏庭の池。  ビオトープではないが、水草や周りの環境も整えたい。本当なら、街に出て、ジャンボエンチョーとかで買い物をすれば、…

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2021/09/13

【第一章 ギミックハウス】第十一話 【帝国】七番の目

「殿下!なぜ?」 「何故だと!貴様!何故と聞くのか!貴様が、自分が何を言ったのか解っているのか!」 「殿下。自分は、自分の権限で、撤退を進言いたします。この魔王城は、事前の準備をしていない状態で突破ができるほど、甘く有りません」 「門までの通路を見つけた手腕を認めれば、撤退だと!考えもしないことだ」 「攻城兵器も、カタパルトを1基しか持ってきていません。先程から、岩が門に当たって砕ける音だけで、門に被害が無いように思えます。殿下。あの門を突破するためにも、帝都に戻られて」 「うるさい!貴様は、俺に、負けを認…

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2021/09/13

【第三章 帝国脱出】第二話 バステトの冒険

 私は、糸野(いとの)夕花(ゆうか)と日本では名乗っていた。  異世界に勇者の一人として召喚されて、いろいろあって、名前を変えた。今は、カリンという。私が名乗っている名前だ。  まーさん(年齢不詳、本名不明)と、大川大地さんと、王城から脱出して、準備を整えて、王都を脱出した。  今は、辺境伯の領都に向かう馬車の中だ。  日本に居た時に、馬車に乗ることを考えていなかった。少しだけテンションが上がっている。  王都から離れるまでは、なるべく休まずに進んでいたが、王都から離れてからは、馬車の速度を落として進むよう…

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2021/09/12

【第十章 エルフの里】第十三話 立ち回り

「弟?」  ヤスに近づいてきたエルフ族は、目が虚ろになっている。  それだけで、ヤスが無視するには十分な理由だが、ヤスは”弟”という言葉に反応した。 「そうだ!俺の大切な弟を、貴様が攫った」 「は?」 「弟は、お前のような人族が持つには相応しくない物を回収しようとしただけだ。何も間違っていない。貴様が悪い!」 「あ!?」  ヤスのどこから出ているのかわからないような、威圧が含まれる声に男は気後れした。  しかし、自分が威圧で負けているのが気に食わないのだろう。さきほど以上の声でヤスに文句をぶつける。 「そう…

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2021/09/12

【第一章 スライム生活】第十話 里見茜

 私は、里見茜。  ギルド日本支部で、働いている。英語が活かせる職場だと聞いて、応募した。学生の時に、機械学習を専門にやっていたことを認められて、喜んで居た。過去形だ。こんなに、ブラックな状態になるとは考えても居なかった。 「茜!今日・・・。も、無理そうね」 「うん。ごめん。無理」 「主任は?」 「おじさんたちとデート」 「それは、ご愁傷さま」 「貴女の部署の上司も含まれているのだけど?」 「え?聞こえない。聞こえない。あのハゲは、滅ぼしていいよ。誰も困らない」 「でも、次の会長選に出るのでしょ?」 「え?…

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2021/09/12

【第一章 ギミックハウス】第十話 前哨戦-温情

 確保した子どもたちは、毛布に包まって寝てしまっている。  よかった、パンも干し肉も食べられたようだ。明日は、違うものを出してあげたい。そうだ、地下に部屋を作ろう。なんとなく、種族別にまとまっているから、種族別に部屋を作るのが良いのだろう。  ポイントの収支がおかしいように思える。  ”本”の中に記述が、存在したか確認してみる。チュートリアルの最中には、ポイントの収支に関しての記述はなかった。  ん?本が光っている? ”権限が拡張されました。新しい項目の閲覧許可を得ました”  閲覧許可?  新しい項目?  …

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2021/09/11

【第一章 スライム生活】第九話 練習

 僕が得たスキルは、ギルドで検索を行っても”未知”のスキルのようだ。  やはり、僕だけの素晴らしいスキルなのだ。  当然だ。魔物(スライム)にしてしまうという凶悪なスキルだ。もしかしたら、ギルドは、この偉大なスキル”魔物化”を知っていて、Aランクという規格外のスキルを隠しているのかもしれない。  そうなると、僕もスキルを隠したほうがいいだろう。  スキルを隠すようなスキルを取得すればいい。  なんだ、簡単なことだ。  僕には、魔物を作り出せる能力がある。  スライムを作って、殺せばいい。  どうする?  誰…

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2021/09/11

【第一章 ギミックハウス】第九話 【奴隷】

 村が人族に襲われた。大人たちは、殺された。お父さんもお母さんも隣のおじちゃんも・・・。  私たちは、そのまま人族が治める国に、移動させられた。  妹と私は、奴隷にさせられた。国に治めるお金を誤魔化したとか言われて、殴られて、首輪を付けられた。。  奴隷にされて、首輪を付けられて、そして、違う国に・・・・。  そこで、私たち姉妹と同じように連れてこられた、子どもたちと、粗末な建物に押し込まれた。  一日一回、固くなったパンが与えられるだけの生活。  何人も死んでいく・・・。私たちが何をした!勝手に攻めてきて…

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2021/09/10

【第五章 共和国】第五話 原因

 御者台に座っていたクォートが、俺の所まで来た。 「旦那様。本日は、このまま野営になると思います」  他の馬車も、野営の準備を始めている。馬車の前後に空間があるが、馬車を道と垂直になるように移動するのが、この辺りのマナーのようだ。 「シャープ」 「はい」 「数名で動いている行商人に、野営時のマナーを聞いてきてくれ、付け届けにホワイトベアーの牙を渡してみてくれ、あと、行商人と交渉して、荷物を売ってくれるのなら、買い取ってきてくれ」 「かしこまりました」  シャープが、ホワイトベアーの牙を持って、野営の準備を始…

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