サイト小説の記事一覧

2021/04/16

【第一章 勇者の帰還】第五話 報告(偵察)

 将軍が、ユウキが持ってきた物を預かることでユウキの話は終わった。  休憩を挟んで、勇者たちがマイの召喚した”ゴーレムのような物”を使って偵察を行った内容の報告が始まる。  マイから報告が始まって、2時間ほどの時間を使って偵察内容の報告が行われた。  レナート王国にあるギルドが得ている情報は、将軍がある程度は引き出してきてくれていた。  勇者や聖職者や権力者が多くいる場所が狙われたようだ。 「ユウキ。どう思う?」  サトシが、皆の話を黙って聞いていたユウキに話を振る。 「なぁマイ。魔物たちの種類は?皆の話だ…

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2021/04/15

【第一章 勇者の帰還】第四話 報告(ユウキ)

(さて、2時間が経過したようだな。これ以上、降りると人に見られる可能性があるな)  ユウキは、浜石岳から降りてきている。途中にある小学校の跡地まで降りてきた。  生命探知で人を避けてきたが、難しくなってきていると感じていた。目的だった廃棄されているペットボトルも確保できた。同時に、アルミ缶やスチール缶も確保出来た。レナート王国に居る鍛冶屋に見せて加工が可能なのか確認したいと思っていた。 (少しだけ時間をずらしてみるか?)  ユウキは、元学校の道路から死角になっている場所で、スキルを発動する。  レナート王国…

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2021/04/14

【第一章 勇者の帰還】第三話 偵察

「どこでやる?」  マイのスキルは、テイムではない。他に適切なスキル名がないので、召喚と言っているが、フィファーナにあった召喚スキルとも違う。  魔力で、マイが思い描く”動物”や”昆虫”や”魔物”を作り出せる。魔力で作り出した物は、意識が有るわけではない。そのために、マイが動かすのだが、同時に動かすことができる物には限界がある。  魔力で出来た”ゴーレムのような物”だが、魔力は譲渡できる特性を利用して、制御を他人に任せることができるのではないかと考えたのが、ユウキだ。  マイとユウキで、”ゴーレムのような物…

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2021/04/13

【第一章 勇者の帰還】第二話 情報収集

「エリク様。それでは、我が国の商隊は?」 「外に出る必要があるのか?」 「え?」 「それに、陸路はたしかに封鎖された状態だが、海路は確保されているぞ?」  視線が、アリスに移動する。 「うん。僕のペットたちは、渡してある”旗”を持っていけば沈めないよ」 「アリス様。あの旗のマークに意味が有るのですか?」 「あぁ・・・。それも、ユウキの指示だけど、マークには意味は無いよ。旗の素材が大事」 「え?なんで・・・。面倒では?」 「うん。面倒だけど、あのマークを見れば、召喚勇者で、よほどのバカでなければ、意味がわかる…

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2021/04/12

【第一章 勇者の帰還】第一話 レナート王国

 ユウキが転移に使った魔法陣が消えてから、勇者たちは移動を開始した。  王城の離れにある勇者たちの荷物が置かれている屋敷だ。  舞踏会が行われる場所だったのだが、勇者たちに与えられて、改良して今は40人ほどが一度に会議ができる場所になっている。  座る場所も決まっている。  上座には、サトシが座る。マイとセシリアが両脇を挟む格好になる。  サトシは、正面にある空席を見つめる。誰もが、座りたがらなかったサトシの正面は、ユウキの席だ。  29名で、レナート王国に流れ着いてから、誰一人として欠けなかったのは、皆の…

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2021/04/11

【序章 召喚勇者】第五話 地球

「・・・」  ユウキは、小高い山の上にある。キャンプ場に転移していた。 「成功・・・。したのか?」  ユウキは、周りを見回して、小学校の時に遠足で訪れた場所だと認識した。夢でなければ、転移が成功したのだ。 「あとは、時間だな・・・。2022年なら時間が戻った・・・。え?」  ユウキは、自分の手を見た。  明らかに小さくなっている。7年前の15歳のころのサイズになってしまっている。 「そういうことか・・・。戻ったら、どうなる?」  ユウキは、魔法が使えるのか気になってしまった。  精神は、フィファーナで戦闘を…

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2021/04/10

【序章 召喚勇者】第四話 帰還(後)

「陛下」 「なんじゃ」 「わかりました。全部、飲み込みます。家族のために」 「そうか・・・。ありがとう」 「いえ、それで、陛下。一つ、頂きたい物があります」 「なんだ?アメリアを連れていきたいというのなら、喜んで差し出すぞ?侍女もつけるぞ?」 「陛下?殴っていいですか?」  貴族たちから、”いいぞ!許す”とか声が聞こえてくる。他の国ではありえない状況だ。 「まてまて、お主に殴られたら、儂の頭が軽くなってしまう」 「大丈夫です。少しだけ痛いだけです。陛下の身体が、明日から頭の重さに耐える必要がなくなると喜ぶか…

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2021/04/09

【序章 召喚勇者】第三話 帰還(中)

「陛下」 「勇者ユウキよ。魔物の王の討伐を成し遂げたようだな」 「はっ仲間たち、それに陛下のおかげです。感謝の言葉だけでは・・・」 「よい。余たちにも利があること、勇者ユウキ。目的のものは見つかったか?」 「はい。無事入手いたしました。明日、試したく思っております」 「・・・。そうか、勇者ユウキ・・・。ユウキ。余は・・・。儂は、お主を、お主たちを本当の子供のように思っている。后も、儂と同じ気持ちだ」 「ありがたきお言葉」 「解っている。わかっている。ユウキ。お主たちにはやらなければ・・・。目的があるのは、理…

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2021/04/09

【第一章 バーシオン】第三話 夜を隠す

「マスター。いつもの!」  カウンターに座る女性の注文を受けて、ブランデーの瓶と、カカオ・ホワイトリキュールの瓶をカウンターに用意した。ブランデーをシェーカーに適量(30ml)を注いで、カカオ・ホワイトを半分(15ml)を注いで、生クリームを適量(15ml)を注いだ。シェイクしてショートグラスに注ぐ。  女性は、シェイクしているマスターの手元をうっとりとした目線で眺めている。 「ホワイト・アレキサンダー」  女性は、白く甘い香りがする液体を暫く見つめた。 「ねぇマスター?」 「どうしました?」 「アレキサン…

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2021/04/08

【序章 召喚勇者】第二話 帰還(前)

 サトシたちは、身を寄せている小国(レナート)に転移した。  勇者のスキルだ。サトシやユウキは、”ル○ラ”と呼んでいるが、内容は違っている、一度マーキングした地点に戻ることができるのだ。スキルに込める魔力で、同時に移動できる範囲が変わってくる。 「サトシ様!」  転移のマーキングしてあったのが、王宮にある庭園だ。  王宮から一人の女性が勇者たちに駆け寄ってくる。サトシの名前を読んで駆け寄ってくる女性を見た、勇者の一人がサトシの前に立ちはだかる。 「なんですか?マイ様!私は、私の婚約者であり、未来の王であるサ…

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2021/04/08

【序章 召喚勇者】第一話 召喚勇者

 1つの戦いが終わろうとしていた。  人族の悲願。”魔物の王”討伐が実現しようとしていた。 「ユウキ!どうだ」 「あと、5000!1割。リチャードの一撃で削れる」 「フェルテ!俺に補助を!」 「解った!”根源なる力よ。汝に力を”リチャード!!」 「おぉぉぉぉぉぉ!!!」  聖剣を持つサトシがリチャードの後に続く、”魔物の王”にダメージを与えられるようにできるのは、聖剣を使える勇者だけだ。 ”うぉぉぉぉ!!!”  強化されたリチャードの攻撃で、”魔物の王”を守っていた結界が砕ける。新たな結界をはられないように…

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2021/04/05

【第一章 バーシオン】第二話 マスターの仕事

「マスター。聞いてよ」 「聞いていますよ」  心地よいテンポで音を奏でていたシェーカーから、グラスに淡いオレンジ色の液体を注ぎ込む。  カウンターに座る彼女の前に、グラスを静かに置く。 「シンデレラです」 「夢見る少女か・・・。マスター。私、少女なんかじゃないですよ。汚れちゃっています」 「それなら、なおさら、それを飲んで、汚れを洗い流してください。貴女に必要なのは、夢を見る時間ですよ」 「夢を見るのには、私は・・・。ううん。マスター。ありがとう。夢を見せに行ってくる」 「いってらっしゃい」  女性がドアか…

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2021/04/05

【第一章 バーシオン】第一話 バーシオン

繁華街の外れにある寂れた雑居ビル。 その地下でひっそりと営業をしているバーがある。このバーは昼の1時から営業を開始して、夕方には店を閉めてしまう。 少しだけ変わったバーテンダーが居る。店名は、”バーシオン”ありふれた名前のカウンターだけの狭いバーだ。 「マスター。いつもの」 客層は、営業時間の関係もあるが、夜の店で働く”ワケあり”な者たちが多い。 素性は誰にも語らない。誰も聞かない。この街で働く、最低限のマナーだ。 「それを飲んだら、今日は帰ってください」 カウンターに座った女性は、”いつもの”モヒートを頼…

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2021/03/26

【第四章 ダンジョン・プログラム】第十四話 エヴァとギルと・・・

「エヴァ!」 「あ!ギルベルト様」 「辞めてくれよ。友達の嫁さんに、”様”付けされると、気持ちが落ち着かない。”ギル”で頼む」  一気に言い切るが、エヴァの顔色が赤くなっていくのがわかる。  アルノルトの”嫁”と言われるのは慣れないようだ。実感が無いだけかもしれないが、俺たちの中では既定路線だ。 「いえ・・・。そうですね。ギルさん」 「まだ、昔のクセが抜けないな。そうだ!エヴァ。奴から、手紙と贈り物を預かってきた」 「え?」  エヴァは、すでに”聖女”と呼ばれている。  回復だけではなく、アンデット系の魔物…

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2021/03/25

【第五章 マヤとミル】第十話 依代

「旦那様」  俺が、ミルに魔力を循環させてから、どのくらいの時間が経過しているのか・・・。循環を行っている魔力が、ミルの身体に溶け込むようになった。 「どうした?」  ブロッホが何か慌てだす。 「旦那様。依代を用意したほうがよろしいかと・・・」 「依代?」 「はい・・・」  ブロッホの説明では、 ミルとマヤが、一つの身体に共存しようとして、身体が耐えきれなくなっている。ミルの身体では、2つの魂の入れ物には小さくなってしまっている。俺が、魔力を循環させたことで、ミルの身体の崩壊は止まったのが、マヤとミルの存在…

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2021/03/23

【第二章 王都脱出】第十六話 おっさん交渉する

 今日のおっ(まー)さんは、召喚された時に来ていた作務衣に似た衣装を着ている。辺境伯と対面して、交渉を行うためだ。正装など持っていないし、どうせわからないだろうと考えて、作務衣が正装だと言い切るつもりでいる。  今日は、カリン(糸野夕花)も同席することになっている。イーリスの頼みでも有った翻訳(読み上げ)に一定の進捗が見られた。進捗に見合う報酬を辺境伯が支払うと言ってきたのだ。読み上げ以外にも、漢字は無理だが、”ひらがな”や”カタカナ”の説明を終えて、数字や英字を説明したのだ。漢字の説明は難しいので、よく出…

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2021/03/22

【第十章 エルフの里】第七話 森の村

 砦の門が閉まる寸前に、ヤスたちは到着した。  貰い受けた許可書では、門が閉まっていても通過はできるのだが、ヤスが特例を行使したくないと言って、アクセルを踏み込む力を強めたのだ。 「ふぅなんとか間に合ったな」 「うん。どうする?砦で休むの?」 「俺としては、砦で休むのは避けたい」 「??」 「砦の責任者が、俺に会いたいとか言っていたからな。先を急ぐ用事があると伝えているから、砦でちんたらしていたくない」 「あぁ・・・。そう言えば、守備隊の人が言っていたね」  ヤスと言うよりも、アーティファクトを欲しがってい…

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2021/03/10

【第十章 エルフの里】第六話 リーゼとヤス

 国境に近づいてきて、砦が見えた場所で車を停めた。 「ヤス。なんで?もう砦だよ?許可書もあるから、大丈夫だよ」  リーゼが言っている通り、王都を出る時に許可書をもらっている。許可書があれば、”行き”も”帰り”も検査を受けなくてもいいという最上級な物だ。 「ん?」  ヤスは、砦の入り口を指差す。  砦の関所を超えるための行列が出来ている。ヤスたちが持っている許可書は、行列を無視できる物で、並ぶ必要はない。 「並ばなくてもいいよね?」 「あぁだけど、列を見ると、高級な馬車が見えるだろう?」 「あ?うん」 「ほら…

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2021/03/07

【第五章 マヤとミル】第九話 執事からの提案

 ブロッホが、眷属たちの意見をまとめてくれた。  ロルフも意見をまとめるのを手伝ったようだ。  二人からまとめられた意見をもとに、神殿の内部を変更した。  俺が専用で使う部屋を用意した。マヤとミルが眠っている祭壇の横に作られた。ジャッロやヴェルデやビアンコからの要望だ。俺の部屋が無いのを気にしていた。俺は別に必要ないと思ったのだが、ブロッホから皆が安心するためにも、俺の部屋が必要だと言われた。拠点となるように、寝室と執務室を作った。調度品は、とりあえずはポルタ村から持ってくることに決めたようだ。  寝室の奥…

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2021/02/28

【第二章 王都脱出】第十五話 辺境伯の憂鬱

 儂・・・。別に、威厳を保つ必要が無いから、普段どおり、私と言うが、私は、フォミル・フォン・ラインリッヒ。アルシュ帝国の貴族だ。  伯爵の位を、陛下より賜っている。辺境の地を預かるために、辺境伯とも呼ばれている。  私のことはどうでもいい。いや、どうでもよくないが、本筋ではない。  本来なら、この時期は領地に居なければならないが、王城に居る愚か者どもが、勇者召喚という過去の遺物であり、禁忌の魔法陣を発動させてしまった。  そして、罪がない7人の異世界人が召喚されてしまった。  止めることが出来なかった、私た…

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2021/02/24

【第四章 ダンジョン・プログラム】第十三話 ユリウスの覚悟

「クリス。カルラからの報告書が届いたのか?」 「えぇギルベルト様の商会が届けてくれました」 「それで?アルは?」  俺は、アルノルトに勝つためなら、皇太孫の地位なぞ妹に譲り渡しても良いと思っている。  期待されているのは解っている。だが、俺は・・・。 「ユリウス様?」 「すまん。バカの顔を思い出していただけだ」 「そうですか・・・。カルラからの報告では、アルノルト様は共和国に行くつもりのようです」 「それは聞いた。他にも何か有るのだろう?」  カルラからの報告は、”孤児”や”農民”に関しての”噂”だ。 「孤…

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2021/02/19

【第四章 ダンジョン・プログラム】第十二話 カルラからの報告.2

 アルバンとエイダが、”地上に出る”ことにしたようだ。  エイダの新装備を軽く試すのが主題だ。それと、外に居る魔物を倒して、新装備の長子を確かめてくることになった。4-5日の予定だと報告された。ついでに、共和国への遠征に伴う準備の状況を確認してくるように指示を出した。  カルラもアルバンとエイダについていってホームの様子を見てくると言っていた。  久しぶりに、2-3日は1人で過ごすことになった。食事は、ヒューマノイドたちが準備をしてくれる。  訓練所の難易度を上げて、魔法や武器の調整に時間を使う。  カルラ…

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2021/02/17

【第五章 マヤとミル】第八話 執事と施設と

 施設の調整を行って、一息ついていたところに、ロルフと老紳士が入ってきた。  ロルフは、入り口で立ち止まったが、老紳士が俺の前まで来て綺麗な所作で跪いた。 「旦那様」  ブロッホ(黒竜)だと言うのは解っているが、理解が追いつかない。髪が長かったはずが、短く切りそろえている。白髪が老紳士を演出している。服装も、ポルタ村では絶対に無かった服装だ。貴族家の執事が着ているような服を身にまとっている。 「え?ブロッホ?」 「はい。旦那様。ロルフ様から、旦那様に仕えるなら、執事の格好にしたほうが、違和感が少ないと教えら…

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2021/02/17

【第二章 王都脱出】第十四話 おっさん話を聞く

 おっ(まー)さんは、いつの間にかソファーで寝てしまっていた。  ドアを叩く音(ノック)で起こされた。 「まーさん。食事の準備が出来たみたいだよ」  カリン(糸野夕花)が、まーさんを呼びにきた。 「わかった。食堂に向かう」 「うん。イーリスとロッセルが、”一緒に食事をしたい”と言っていたよ」 「わかった」  まーさんは、伸びをして固まった筋肉を解した。そんな動作で、まーさんは身体が若返ったことが確認できた。  寝る前に見ていた、スマホの電源を落とした。ソーラーパネルがあるといっても、バッテリーを休ませておく…

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2021/02/01

【第十章 エルフの里】第五話 道中(神殿→王都→国境の砦)

「ねぇヤス・・・」 「駄目だ!」 「まだ何も言っていないよ?」 「解っている。FITを運転したいのだろう?駄目だ。リーゼの運転は、粗い。もっと、ブレーキをしっかりと操れるようにならなければ、荷物を運ばせられない」 「うぅぅぅ。だって、アクセルを踏み込んだ方が速いよ?」 「そうだな。最高速は出せるだろうけど、ラップタイムは遅くなるな」 「う・・・」 「リーゼ。モンキーだと、イチカに負けるよな?」 「・・・。うん。でも、それはイチカの方が、体が軽いから・・・」 「でも、俺はイチカに完勝できるぞ?」 「それは、ヤ…

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2021/02/01

【第二章 王都脱出】第十三話 それぞれの過去と思い

 まー(おっ)さんは、辺境伯が帰っていった扉を見つめている。  まーさんは、懐に忍ばせていたスマホを取り出す。  一枚の写真を見つめる。フィルム写真だったものをわざわざスマホに取り込んだ物だ。  8人の中学生くらいの男女が笑っている。 「なぁなんで俺なのだろう?お前たちなら・・・」  写真は何も答えない。  まーさんは、愛おしいものを撫でるかのように写真を指でなぞる。  スマホをスライドして、次の写真が表示される。  3人の中学生だ。横に、大きく入学式と書かれた看板がある。1人は、まーさんの面影が残る少年だ…

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2021/02/01

【第五章 マヤとミル】第七話 眷属長?

「わかった。味方は欲しい」 ”ありがとうございます”  オーガには、ラトギの名を与えた。黒竜には、ブロッホの名を与えた。  ブロッホは、ワイバーンを眷属にしていたために、その者たちも眷属に加わる。  ラトギは進化の兆しが見えた為に、ヒューマに命じて里に移動させた。  ブロッホは進化を抑え込んだようだ。種族的な進化はしなかったが、スキルが大幅に進化して、ブロッホは”人化”できるようになった。 「リン様」  全裸の状態で、俺の目の前で跪いているブロッホが居る。  どうしていいのか迷っていると、人化を解いて竜に戻…

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2021/01/31

【第四章 ダンジョン・プログラム】第十一話 エイダの新しい装備?

 返事をすると、アルがエイダを抱きかかえて入ってきた。 「兄ちゃん!カルラ姉?」 「どうした?」  用事があるのは、エイダのようだ。  アルの腕から、飛び降りて俺の前までエイダが歩いてきた。 『旦那様』 「エイダ。いろいろ呼び名が変わっているけど、結局、”旦那様”にするのか?エイダの見た目なら、マスターとかがいいと思うけど?」 『それなら、マスター』 「なんだ?」 『アルバンと、ダンジョンの外に出ました。半日・・・。正確には、8時間ほど魔力の供給を受けられない状況で稼働しました』 「大丈夫なようだな」 『は…

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2021/01/17

雪上の愛情

私は、雪が嫌い。私から、母さんを奪った雪が嫌い。同じくらいに、父さんが嫌い。 本当は解っている。母さんを殺したのは、私だ・・・。雪ではない。 私が、初めて無断外泊をした日。母さんは、死んだ。 私が住む地方では珍しく、その日は雪が振っていた。当たり一面を白く染め上げるくらいの雪だ。私は、地面に降り積もる雪に、自分の足あとが残るのが嬉しくてテンションが上がっていた。友達に誘われて、遊びに行った。スマホも携帯もそれほど普及していない時だ。家には連絡をしなかった。小さな・・・。小さな・・・。そして、大きな反抗だ。私…

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2021/01/17

【第五章 マヤとミル】第六話 来訪者

 暖かい(温かい)食事だ。心にある澱みが消えていく感覚だ。  どのくらいの時間が経過したかわからないが、リンの周りには眷属たちが嬉しそうな表情で集まっている。  照れ隠しなのか、近くにいた眷属に話しかける。 「そういえば、ロルフは?」 「まだ、お帰りになっていません」 「そうか・・・。困ったな」 「マスター。何に、お困りなのですか?」  ”困った”というセリフがリンの口から出た事で、眷属たちは一気に緊張の度合いを高める。  ヴェルデ(ゴブリン)だけではなく、話を聞いていた、ビアンコ(コボルト)やジャッロ(オ…

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