サイト小説の記事一覧
2021/09/10
【第一章 スライム生活】第八話 スキル
気持ちよかった。スライムボディは本当に優秀だ。 今になって気がついたけど、もしかしたら・・・。家に帰ったら試してみよう。たしか、丁度いい物があったと思う。私は興味が無かったけど、ママのママが買ってくれた。あまりにも興味がなかったから、天井裏に入れたままになっている。 まずは、アイテムボックスの整理だ。 アイテムリストを見る。 え?ほぉ・・・。並び替えが出来るようになっている。使っていると、レベルでも上がって、機能が増えるの? ゲームみたいだけど・・・。まぁ便利になるのだから、文句はない。 試し…
続きを読む2021/09/10
【第一章 ギミックハウス】第八話 開戦-前哨戦
スキル画面の右上の数字が、100を切った。 外に居る連中は、いきなり攻め込んでくるのか? ちょっとだけ外を見てみたい。 でも、俺には攻撃力も防御力もない。それに、服は日本からより寄せたものだ。この部屋から出たら全裸になってしまう。 それにしても、先頭にいる奴らは、薄汚れた格好をしているし、子供だけに見える。 奴隷とかなのか? 先代の日記にも、奴隷を戦わせている記述があった。 うーん。 ひとまず、落とし穴の水罠は止めておこう。 転移罠にして、敷地内に隔離する場所を作ろう。 鎧を身に着けて…
続きを読む2021/09/09
【第一章 スライム生活】第七話 ギルド日本支部
「主任!」 「どうした?」 主任と呼ばれた女性は、部下の女性からの呼びかけに、資料に落としていた目線を上げる。 「今日の会議での資料です」 「ありがとう。また、ハゲオヤジたちの相手をしなければならないのか・・・。代わりに出ては・・・」 部下の女性は、にっこりと笑ってから勢いよく首を横に降る。 「ギルド内の会議だけならいいのだけど・・・。なんで、利権にしか興味がない議員先生が出てくる必要がある」 「ギルドが利権の塊にでも見えるのでは?」 「赤字団体だぞ?私たちの給料だって、実動部隊を除けば・・・」 「主任…
続きを読む2021/09/09
【第一章 ギミックハウス】第七話 【帝国】ギルド
「面会?開戦が近づいている、この時期にか?」 白い壁が取り払われるのは、あと数時間だ。早ければ、1時間もしないで白い壁が取り除かれる。 あの異様な広さを誇る魔王城がお目見えするのだ。すでに、白い箱の手前に、15番隊から連れてこられた奴隷兵が並べられている。保管されている、魔王との戦いで、白い壁がなくなったと同時に、魔物が氾濫したことがあり、魔物への備えのためだ。 前回の魔王が愚かだったのは、間違いではない。 魔王がなんで産まれるのか、どういった仕組みなのか、解明はされていない。ただ、魔王城を放置する…
続きを読む2021/09/08
【第一章 スライム生活】第六話 家
うーん。 ソファーに座り?ながら考える。 学校に行けない(最終学歴は、中卒になるのか・・・)以外で、困ることがなさそうだ。 両親たちの保険が、口座に残っている。多分、前の生活を続けても、死ぬまで困らなかっただろう。 困るのは、食事くらいかと思ったが、スライムボディは優秀だ。一日が経過したが、食事をしたいとも、排泄をしたいとも、思わない。困るのは、睡眠が必要ないこと・・・。正確にいうとしたら、睡眠が出来ないことだろう。目を瞑っても、周りが見えてしまう。そもそも、目を瞑っているのかさえもわからない。 …
続きを読む2021/09/08
【第一章 ギミックハウス】第六話 拡張?
スキル画面の右上にあるカウントダウンを眺めるしか、やることがなくなった。 ポイントを利用して、地球から紅茶とジャムと砂糖と牛乳を、交換(お取り寄せ)した。カップは、この世界にも有るらしいが、まだ交換が出来ない。しょうがないので、高く付いてしまうが、地球から取り寄せる。 100均で十分なのだが、見栄で、ウェッジウッドを探したら出てきた。躊躇するポイントだ。割れてしまったら・・・。 ダメだ。100均を探して、食器類と日用品で必要になりそうな物を交換する。 料理は、するつもりは無いが、冷蔵庫や電子レンジ…
続きを読む2021/09/07
【第一章 スライム生活】第五話 魔物化
”なぜ、僕の呼び出しに、誰も・・・” 僕が、魔物化という素晴らしいスキルを得てから、何度も呼び出しているのに、奴らは、一人として呼び出しに応じない。 実験で、待ち合わせ場所に来ていた女子をスライムには出来た。 — 「よし!メッセージは送られた!」 彼は、覚えているアカウントに対して、呼び出しのメッセージを送った。 自分のアカウントだと、知られないように、フリーのアカウントを取得して使っている。 普通に考えて、知らないアカウントから、”お前の秘密を知っている。バラされたくなかったら・・・…
続きを読む2021/09/07
【第一章 ギミックハウス】第五話 【帝国】魔王城
俺は、第七番隊の隊長から直々に命令されて、魔王討伐部隊の輜重兵に紛れ込んでいる。 俺が指揮する部隊がそのまま配置されている。 表向きは、輜重兵の統率なのだが、それ以上に、大事な役目として、魔王城のギミックを見抜くことにある。聞こえてくる話では、奴隷兵を使って罠を食い破るつもりのようだが、ギミックが、魔物を絡めた物だった場合に、奴隷兵ではただ死ぬだけだ。我らが、ギミックを突破して、殿下を安全に魔王の下に届ける。 陛下の演説から、殿下の出陣の挨拶。 そして、殿下を先頭にして、討伐部隊が帝都から祝福され…
続きを読む2021/09/06
【第一章 スライム生活】第四話 魔物
遅かった。 私の考えが、足りなかった。 私は、このまま魔物(スライム)生を終えてしまうのだろうか? 山の頂上から、丸くなって転がった・・・。までは、よかった(と、思いたい)。木々にぶつかっても痛くは無かった。岩にぶつかって止まってしまったことは有ったが、問題ではなかった。 転がっている最中に、名前が把握できている草木を、取り込みますかと連続で言われて、面倒になって、自動で取り込めないかと考えたのも問題ではない。その結果、自動採取という項目が増えたのも、問題ではない。何も、問題ではない。アイテムボッ…
続きを読む2021/09/06
【第一章 ギミックハウス】第四話 拡張2
作成は、一瞬で終わった。 マスタールームに居たので、変化に気が付かなかった。 変化は、確実に実行されている。マスタールームが広がっている。 新しく作成した扉もしっかりと作られている。 次は罠だ。 ポイントは、まだ30億以上残っている。維持には、ポイントは必要ないが、再配置が必要な罠にはポイントが必要になる。 残念ながら、マスタールームには”家具”は置けるが、罠の配置が拒否されてしまう。地球から取り寄せる武器を配置するしかない。 罠は、基本な物以外では、先代や他のハウスの当主が設計した物も存在…
続きを読む2021/09/05
【第一章 スライム生活】第三話 自衛官
ドアがオックされる音で、部屋で書類を整理していた男は、顔を上げる。 「少佐。報告に来ました」 「入ってくれ」 「はっ」 ドアを開けて入ってきたのは、自衛隊の標準的な制服を来た。男性隊員だ。部屋の主である。少佐と年齢は同じだ。防衛大の同期なのだ。階級に差が出来てしまっているのは、中尉が”不良隊員”だと嘯いて実際に行動で”不良”を示してしまったからだ。 少佐と呼ばれた男は、報告に現れた男の顔を見て、一瞬だけ驚いた表情をした。 上から、本日付けで、少佐の副官が変わると通達が来ていたのを思い出した。上の考え…
続きを読む2021/09/05
【第一章 ギミックハウス】第三話 【帝国】派遣部隊
「殿下!殿下!」 「なんだ!俺は、今、魔王討伐の兵を編成するのに忙しい。くだらない話なら、お前を処断するぞ」 豪華な部屋に、装飾が施された机に、御前会議で、魔王討伐を言い渡された男が手元に視線を落としながら、部屋に入ってきた男に答える。 「いえ、その”魔王討伐”の任に、是非、我ら、第七番隊に参戦の許可を・・・。お願いいたします」 部屋に入ってきた男は、床に頭が付くのではないかと思うくらいに、殿下と呼びかけた男の前で、頭を下げる。 「そうか、貴様の部隊か・・・」 殿下と呼ばれた男は、考えるフリをしながら…
続きを読む2021/09/04
【第一章 スライム生活】第二話 山道
学校のなんとも言えない状況を知ってしまった、女子更衣室を抜けて、プールから山道に入った。 山道を、人の足で5分ほど歩けば、小屋が有るはずだ。まずは、小屋を目指す。スライムの身体での、移動時間の目安になるだろう。 私のスライム生は始まったばかりだけど、かなり慣れてきた。跳ねる移動方法も、最初は”うさぎ跳び”の要領で疲れてくるのを心配したが、歩くように移動できる。手が無いのも、触手?を伸ばすことで対応できる。もしかしたら、人だったときの感覚とスライムの感覚が混じって使いやすくなっているのかもしれない。今も…
続きを読む2021/09/04
【第一章 ギミックハウス】第二話 拡張1
本に書かれていた最後の指示を実行した。 それは、ポイントを使って、自分自身にスキルを付与することだ。 何か、罠があるだろうと考えて、その後を読み進めた。 推奨するスキルが書かれているだけで、その後は本当に、チュートリアルのような内容はなかった。 チュートリアル以降は、ポイントで交換できる”物”が説明と一緒に掲載されていた。 魔物やスキルだ。説明も細かく書かれている。 ”本”が勧めていたスキルは、”鑑定”だ。本の説明では、細かく書かれているが、俺が考えている鑑定と同じだと思って良さそうだ。チュー…
続きを読む2021/09/03
【第一章 スライム生活】第一話 移動
私は、どうやらスライムになってしまったようだ。 ”魔物になってしまった” なんて例は、掲示板にもギルドにもないだろう。 ”ぽよんぽよん” うーん。自分ながら、可愛い。是非、ペットにしたい。 現実逃避をしていても、何も変わらない。 私が持ってきていた荷物が無い。 そう言えば、着ていた服や下着は?誰かが持っていった?え?やだ! 私・・・。今、全裸? これって、もし、スライムから、人間に戻ったら、全裸になってしまうの? ここに居てはダメだ。 スライムになってしまった理由はわからないけど、ここに…
続きを読む2021/09/03
【第一章 ギミックハウス】第一話 【帝国】新しい魔王
帝国。 人類国家の中で最大の領土を誇る。名前は、プレシア帝国。大国と呼ばれる5つの国家の中の一つだ。 帝国の他には、王族が支配するプレシア王国。天子を名乗る者が支配するプレシア皇国。宗教国家で唯一の人族絶対主義を掲げるプレシア神聖国。商人たちが集まってできたプレシア連合国。 全てが、プレシアの名前を冠しているのには理由がある。 この世界を作った創造神の名前がプレシア神だと言われている。そのために、多くの国家は”プレシア”の名前を付けて、自国の正当性を主張している。他にも小国に分類される国家が多数存…
続きを読む2021/09/03
【第五章 マヤとミル】第十八話 神殿の拡張
ミルは、生き残れていないと判定されてしまうのではないかと考えているようだ。アドラの気持ち次第かもしれないが、多分ミルはまだ排除されていないように思える。アドラなら、負けが確定した時点で、無条件で白い部屋に戻すだろう。 「俺は、ミルはまだ大丈夫だと思っている。でも、たしかに、可能性は広げたほうがいいな」 「うん。僕もそう思う」 「マヤは?」 「うーん。まだダメ」 「そうか、マヤが活動出来るようになったら、話をしよう」 「うん。でも、瞳たちと協力体制は必須だと思うよ?」 「そうか?」 「うん。生き残るだけなら…
続きを読む2021/09/03
【序章】閑話 第494代目当主
第494代目当主ルブラン・ヴォコント 地球歴(基督紀元) 1943年 ・・・・に生まれる。 1982年 ・・・・にて、生涯を閉じる(刺殺)。 プレシア歴 9967年 1月08日 第494代目当主になる。 1月08日 当主ルブラン・ヴォコント。ハウス6174に名前を付ける(名前:ピ○タン) 1月10日 当主ルブラン・ヴォコント。服を召喚。(5,300ポイント消費) 1月11日 当主ルブラン・ヴォコント。食事(飲料を含む)を召喚。(3,400ポイント消費) 1月12日 当主ルブラン・ヴォコント。食事…
続きを読む2021/09/02
【序章】第三話 スキル
怖い。怖い。怖くない。怖くない。怖い。怖い。怖くない。僕なら・・・。そう、僕は、選ばれた存在だ。 一般の人なら見つけられない。コボルトを見つけた。これで、僕の目的が果たせる。 犬と言うよりも、出来損ないの狼男だな。 出来損ないなら、完璧な僕が負けるわけがない。理科準備室は、入られなかったけど、調理クラブに入られて、包丁も借りてきた。ナイフも有った。そして、胡椒と一味を振りかければ、犬科なら撃退できるだろう。やはり。僕は天才だ。 まずは、真っ直ぐな場所に誘い込む。 そこで、一味をぶつける。怯んだ時…
続きを読む2021/09/02
【序章】第三話 第495代目当主
読んだ。 理解できたかは、不明だが、読んだ。 部屋の中心で、テーブルの上に置いた紅茶を飲みながら、考えをまとめている。 あの本・・・。 本当に悪意しか感じなかったが、大事なことが書かれていた。途中でチュートリアルのような物まで書かれていた。 チュートリアルをいきなり実行しようと思って、踏みとどまった。次のページを見たら、実行したら失敗すると書かれている。3ページほど進んだら、”実行の注意点”が書かれていた。人を馬鹿にしたような作りだが、しっかりと読み込んで考えれば、”クセ”のような物がわかる。 …
続きを読む2021/09/02
【第二章 帰還勇者の事情】第二十一話 反響
初めてのオークションが終わった。商品の引き渡しも終わった。 「ユウキ。時間を貰えるか?」 「大丈夫です」 森田が、拠点にあるユウキの部屋にやってきて、ユウキに資料を渡した。 「これは?」 「ユウキが望んでいた情報だ」 「え?もう?」 「・・・。あぁ」 「愚かですね」 「俺もそう思う。でも、暫くは無視するのだろう?」 「もちろん、焦らすだけ、焦らします。俺たちの唯一と言ってもよかった弱点・・・。母も父も、こちらに来てくれています。弟や妹に関しても、安全の確保が出来ています」 「そっちは、安心してくれ、先生…
続きを読む2021/09/01
【序章】第二話 本?プレゼン資料?
豪華なベッドで目が覚めた。時計がないので、時間はわからないが、寝て起きても、状況は何(・)も(・)変わっていない。 これは、困った。 腹が減って起きたり、トイレに行きたくなったり、生理現象で目が覚めたわけではない。寝返りを何度か行ったのだろう、布団が乱れている。一人で”何か”をやったわけではない。寝返りだろう。起きて、大きくなる男性の生理現象も発生していない。使えるのか?いや、妄想したら大きくなったから使えるのだろう。使えたら嬉しい。 現実逃避は、ここまでにしよう。 サイドテーブルを見ると、本が置…
続きを読む2021/09/01
【序章】第二話 登校日
表現には注意していますが、”いじめ”や虐待の描写があります。苦手な人は、スキップしてください。 — なんで、夏休みなのに、学校に行かなければならない? アイツらに会いたくない。僕が何をした。何もしていない。 パパは、助けてくれない。それどころか、僕がアイツらに言われて、パパの財布からお金を盗んでも何も言わない。最初は、1,000円だった。それが、5,000円になって、10,000円になった。パパは、僕に無関心なのだ。僕が、殴られて、顔を腫らして帰ってきて何も言わない。見てもくれない。 …
続きを読む2021/09/01
【第三章 帝国脱出】第二話 バステトの冒険
我は、”猫”だ。いや、違う。かつて”猫”だった者だ。 名前は、バステト。真命は、雄が我に付けた名だ。雄にしては、珍しく素晴らしく我にふさわしい名だ。 どうやら、今日はこの場所で休むようだ。 我に、雌の守りを頼んで、雄は外で警戒するようだ。 話の流れから、まだ時間はあるようだ。雌だけではなく、雄の安全のためにも、周りに居る”まがい者”たちを狩っておいたほうがいいだろう。雄の他にも、人間が居る。強さのほどはわからないが、安全にしておけば、雄も寛げるだろう。 以前に、雄がしてくれたことを、我は雄に返そ…
続きを読む2021/08/31
【序章】第一話 転移?転生?貴族?勇者?
”ここ”は、”どこ”だ? 俺は、確か・・・。 — 「はぁはぁはぁ」 苦しい。考えるのもイヤになってしまう。 生きたい。生きたい。生きたい。 楽しみにしていたイベントは軒並み中止。それでも、歯を食いしばって生きてきた。 「苦しい」 安物のベッドが軋む音と、俺が酸素を求める音だけが部屋の中で響いている。感染が確認されたときに、病院の確保ができましたら連絡しますと言っていた担当者。食事と水分を運んでくれると言っていた担当者。 あれから、何日が経過したのかわからない。ただ、解っているのは、…
続きを読む2021/08/31
【序章】第一話 え?
空想上の生き物が目の前にいる。 違う。正確には、ガラスに映るのは、私だ。でも、私ではない。 『認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを・・・』 ダメだ。現実は、何も変わらない。 私史上、言ってみたいセリフの15位(適当)を呟けない。 これってあれだよね? ニュースで流れていた。”モンスター(魔物)”。 私も、人並みにゲームを嗜むから、すぐに理解できた。日本に、地球に、魔物が発生した。そして、モンスターを討伐すると、”スキル(異能)”が芽生える。始めて討伐するときには、高確率で…
続きを読む2021/08/31
【第十章 エルフの里】第十二話 交渉?
ヤスの目の前には、FITに攻撃を仕掛けた愚か者たちが、気絶した状態で放置されている。 『マルス!』 『はい』 『愚か者は、ここに寝ている連中か?』 『否』 ヤスの顔からは、”やっぱり”という表情が読み取れる。 実際に、FIT に攻撃してきた者たちは、先にFIT を盗もうとした者たちを助け出そうとした。何も出来ないと悟って、攻撃を加えたのだ。 『そうか、ひとまず、商人に話を・・・。面倒だな』 『マスター。個体名ラフネスに連絡して、引き取らせることを提案します』 『それが良さそうだな。マルス。ラフネスの居…
続きを読む2021/08/30
【第五章 共和国】第四話 関所
馬車は、クォートが御者台に座って、アルバンとエイダが座る。 実質的には、エイダが御者台から、ユニコーンとバイコーンに指示を出している。 御者台から、俺に声がかかる。 「旦那様」 「何かあったのか?」 「いえ、ユニコーンとバイコーンに、幻惑のスキルを使用させてよろしいでしょうか?」 「え?いつ、そんなスキルを?」 「先程、確認いたしました」 「ほぉ・・・」 ユニコーンとバイコーンを見ると、スキルが増えている。 ヒューマノイドタイプでも戦闘を行うと、スキルが芽生えるのは大きな収穫だな。エイダは特殊な産…
続きを読む2021/08/28
【第五章 マヤとミル】第十七話 拡張の理由
ブロッホは、謝罪するかのように頭を下げて、何も語らない。 「ブロッホ!」 マヤが無理をして、ミルを危険に晒すような行為を、”なぜ”俺に相談をしないで実行した。その理由が知りたいだけだ。 「リン。ブロッホは、悪くない。僕とマヤで決めた」 「ミル・・・。だから、”なぜ”を知りたい」 「リン。この神殿の、最初の拡張はリンがしたよね?」 「あぁ皆が過ごしやすいように・・・。虐げられた者たちでも、安心できる場所を作りたかった」 「うん。ロルフから話を聞いた。上位種であるアウレイアやブロッホは別にして、リデルやヴェ…
続きを読む2021/08/26
【第三章 帝国脱出】閑話 大川大地
我は、”猫”だ。いや、違う。かつて”猫”だった者だ。 我が我だと認識したのは、我が認めた下僕が、我に”名”を付けた時だ。 それまでは、人が”神保町(じんぼうちょう)”と呼んでいた場所にある。公園で、バスケットボールやサッカーを楽しむ人の子を、見守るのが我の日課だった。 ある時から、我が座るベンチに、雄が座るようになった。下僕の人としては、よく出来た者だ。 「おっ今日も居るな。食べるか?」 ”にゃ” こうやって我に糧を運んでくる。 最初は、”警備員”とかいう奴と揉めていたが、雄はこの辺りの人では、…
続きを読む