【第六章 ギルド】第十八話 会話?

 

俺の言葉を受けて、サリーカは”やっぱり”という表情をしているが、他は、まだ理解が追いついていない。

「リン君」

やはり、サリーカだけが神殿の意味がわかるようだ。

「出入口だけど、例えば、メロナとアロイに設置した場合に、メロナから入って、アロイに出られる?」

最初に聞いてきたのが、さすがだな。

「可能だ」

「神殿の広さは?」

質問の流れから通路だろう。

「通路の幅や建物は自由に設置できる。もちろん、馬車がすれ違えるくらいの幅にできる。今は中央に、ラウンドアバウトを設置している。神殿の広さは、ダンジョンのよくある設定だと思ってほしい。広さの限界や内容は、まだ把握できていない」

「わかった。リン君がダンジョンだと判断した理由を知りたい」

これも、誰かから聞かれると思っていた。

「正確には、”ダンジョン”のような物だ。神殿の1階には魔物が出ないようにしてあるけど、地下には魔物が出るようにできる。実際に、仲間が訓練で使っている」

正確に答える。
小出しにしているような印象を与えているだろうけど、聞かれたらなんでも答えるというスタンスで続けるしかない。信用して欲しいなんて思わない。疑ってでもいい。利用できる存在だと考えてくれれば十分だ。

「リン君。地下に、本当のダンジョンがあるの?」

アルマールが横から質問してきた

「本当かわからないけど、魔物を配置している。自然と増えるようにもできる」

「そのダンジョンからは、素材は取れるの?」

「素材?」

魔物の素材のことを言っているのか?
食用に適した魔物や、武器や防具になるような魔物を配置しているけど、それでいいのか?

「ラノベとかでは、ダンジョンでは倒した魔物は、ダンジョンに吸収されて、ドロップアイテムが得られるのが定番だよね?」

「あぁ・・・。それは、吸収はできる。今は、やっていないから、倒された状態で残る。ドロップアイテムは設定できない。あと、倒した状態で放置すると、吸収されてしまう」

これは、ブロッホからの報告で設定を見直して気が付いたことだ。
ドロップアイテムは設定できない。倒した魔物を、その場で解体して持ち帰るか、全部を持ち帰るか、あとは放置して吸収させてしまうかだ。ドロップアイテムではないが、魔核だけは残る。しかし、放置すれば吸収されてしまう。ダンジョンは、俺もよくわかっていない。訓練場だと思っている。素材に関しては、ロルフやマヤに確認しないと、解らない。

「そう。鉱石とか、ポーションの素材の採取とかは?」

「あぁそういうのは、設定ができる」

「ありがとう。サリーカ。私は、リン君の話には一定のメリットがあると思う」

アルマールの話をきっかけに、女子たちが話し合いを始める。
俺は、視線を感じて、ルアリーナを見ると、目を逸らされてしまった。

「ねぇリン君。私からもいいかな?」

目を逸らしたルアリーナが、俺を見て質問をしてきた。

「ん?答えられることなら・・・」

「うん。神殿の解放は、皆が言うように、ギルドには、私たちにはメリットが多い。わざわざ、外に出て、魔物を狩るような訓練をしなくてもいい。きっとリン君なら安全マージンを考えられる魔物分布になっていると思う」

「おぉ。それは、仲間が考えている。急に、フロアボスとかが出て来ることはない。それから、重度なダメージを受けたら強制退出が行われる」

「やっぱり。安全に訓練ができる。レベルアップも、スキルを使っての戦闘訓練もできる」

「そうだな」

「リン君の言い方では、仲間が居る。その仲間と、リン君とミルとマヤちゃんで、神殿を占有すれば、効率がいいのでは?なぜ、私たちにメリットを与えてまで、公開を考えたの?」

「まず、仲間の事を説明する」

「うん」

皆が、俺とルアリーナの話を聞く為に、会話を止めている。

「俺の仲間は、魔物だ。筆頭は、猫型のよくわからない奴だ。あとは、人の区分で言えば、ネームドだ。ドラゴニュートのヒューマ。フェンリルのアウレイア。スコルのアイル。カーバンクルのリデル。オーク種のジャッロ。ゴブリン種のヴェルデ。コボルト種のビアンコ。オーガ種のラトギ。あと、執事をやっている黒竜のブロッホだ」

「は?魔物?なんで?」

「ルナ。俺の、職業を覚えているか?」

「え・・・。あっ、たしか”動物使い”?テイマーの一種?」

「あぁそうだ。正確な権能は、秘密だけど、テイマーの上位だと思ってくれ、俺の権能で眷属にした。種族別に名前を与えているのは、解りやすく言うと”苗字”だ。氏族のトップだけは、苗字で呼んでいる」

「よく、わからないけど、わかった。それで、ミアちゃんについている、レオも眷属なの?」

「そうだ。話が横道にそれたな。俺は、神殿を回廊にしたいと思っている」

「回廊?」

「サリーカの質問にあったけど、メロナとアロイを繋ぐようにしたい」

「ん?それこそ勝手にやればいいよね?」

「ルナの疑問は、解る。でも、俺は、アロイの変わりになるような施設を神殿の中に作りたい。そこに、ギルドを誘致して、運営を頼みたい」

「ん?それこそ、リン君のメリットはないよね?」

「メリット。まずは、俺の仲間では、運営は無理だ。治安維持ならできるが、ゴブリン種が店番をしている宿屋に泊まる商人が居ると思うか?」

「あっ」

「それだけではない。ダンジョンも公開したいと思っている。素材を求める者たちの相手を、ギルドに頼みたい。依頼のやり取りとか、いろいろあるだろう?」

「・・・」

「そして、一番のメリットは」

「メリットは?」

「アゾレムへのいやがらせだな」

「へ?いやがらせ?」

「そうだ。俺を殺そうとしたのは、アゾレムの命令を受けた村長だ。そして、俺の・・・。こっちの世界での父親と母親を殺したのは、宰相派閥の誰かに命令されたアゾレムだ。もしかしたら、ミルの両親を殺したのにも関係している可能性がある」

「それは・・・」

「宰相派閥の資金源は、アゾレムだ。そのアゾレムの収入で、大きな割合を占めるのが、マガラ渓谷の維持費として徴収している”税”だ」

「そう・・・。リン君は、その”税”に狙いを絞るのね」

「あぁ安全に、安く、大量の荷物が移動できる方法があるのなら、それを使うだろう?」

「安くしていいの?」

「あぁ神殿の収支で言えば、無料でも問題はない」

「そうだ。神殿の収支はどうなるの?」

「あぁまず、治安維持のために必要な俺の眷属だけど、魔力だけだ。食べる必要はない。食事はするけど、嗜好品だな」

「え?うそ?」

「常識が間違っている。この話は、少しだけ面倒な説明が必要だから、今は割愛させてくれ」

「わかった」

ルアリーナとの会話だけど、皆が頷いてくれる。
話が進められる。

「それで、収支だけど、神殿は、魔力で維持される」

「魔力?」

「そうだな。よくある設定だと言えばいいかな?」

「うーん。解らないけど、ようするに、リン君としては、多くの人が神殿の中で生活するのは、メリットに繋がるのね」

「そうだ。人が増えれば、施設を作ったり、ダンジョンを拡張したり、領域を広げることもできる」

「そう・・・。神殿の管理者としてのリン君のメリットはわかった。私たちが、ギルドとして活動すれば、人が集まる。それだけでメリットが存在しているのね」

「そうだ。あと、可能なら、宿屋や商店の運営を任せたい。眷属で、出来そうなのは、黒竜のブロッホくらいになってしまう」

ルアリーナとしては、黒竜のブロッホの話はスルー案件なのだろう。無視すると決めたようだ。

「イリメリ。私は、リン君の話に乗ってもいいと思う。それに、これは貴族としての話だけど、お兄に話を通して、宰相派閥への牽制にも使える」

急に話を振られたイリメリは、俯いて何かを考えて居るようだ。
少しだけ沈黙の時間が流れる。

覚悟を決めたかのような表情で、、イリメリは顔を上げて、俺を見つめる。”静川瞳”だったころと同じような目線だ。嬉しくなる。

「リン君。リン=フリークスとしてのメリットは解った。でも、神崎凛としてのメリットは?」

やはり・・・。
誰かが聞いてくると思っていた。そして、聞いてくるなら、イリメリだと思っていた。

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