【第三章 魔王と魔王】第四話 忠誠?

 

なぜか、俺の前で、一人の魔王が膝を折って、頭を下げている。小刻みに震えているのは、俺が怖いからではないと・・・。思いたい。

俺の横では、セバスが”ドヤ顔”を決めている。
四天王も、満面の笑みだ。困った顔をしているのは、俺の存在を知っている、ミアとヒアだけだ。流れを聞いた限りでは、二人には罪はない。知らなかっただけだ。改めて、元奴隷だった子供たちに、ギアスを刻んで俺の存在を明かした。今回の事で、関係している事や、ミアとヒアの負担が大きくなってしまっていることへの配慮だ。

狐人のミア。人族のヒア。
猫人のキア。狼人のロア。羊人のシア。熊人のベア。鼠人のマア。兎人のラア。

問題なのは、カンウとバチョウに鍛えられて、脳筋になってしまった者たちだ。

俺が、ロアとベアとラアを見ると恐縮した表情を見せるが、どこか”やり遂げた”感じを出している。俺としては、しっかりとした説明を頼みたいが、皆が自分の説明は終わったとばかりに、頭を下げて、俺の言葉を待っている。

少しだけ整理をしよう。
どうせ、俺が下知しないと、動かない。

俺が、自分の部屋で昔クリアしたゲームを楽しんでいると、ドアがノックされる。

「マイマスター」

セバスが、俺を訪ねて来る。
たしか予定では・・・。セバスはルブランとして、カプレカ島に赴く予定になっていた。俺の予定は、今日は空白だ。どこかのギミックハウスが攻略されたら、その時に考えることになっているだけだ。

ゲームをやめて、スケジュールを表示させる。
俺のスケジュールは空白だが、皆の予定は埋まっている。

「どうした?今日は、予定は無かったよな?」

ドアの外に居るのは、セバスだけではないようだ。ミアとヒアか?

「はい。緊急で、マイマスターのご判断を・・・」

「わかった。玉座の方がいいか?」

ミアとヒアが居るのなら、この部屋は刺激が強すぎる。俺の趣味の部屋になっている。
判断を下す前に、多くの者から話を聞く必要があるのだろう。セバスがすべての報告を行えるのなら、セバスだけが来るだろう。

「お願いいたします」

「わかった」

さて、着替えるか・・・。セバスが入ってくる様子がないから、今日は魔王らしい恰好にした方が良いのだろう。面倒だがしょうがない。セバスやモミジやミアが見繕ってくれた服装に着替える。

玉座は、魔王城の最上階だ。転移罠で移動はできるが・・・。

呼び鈴呼び出しベルを鳴らす。セバスは、玉座で準備がある。メアとヒアを呼び出す。

部屋の前で、片膝をついて俺を出迎える若い二人。

「ミア。ヒア。玉座に向かう。その前に、簡単でよい、説明せよ」

「はい」

ミアが立ち上がって説明を始める。

一つ、一つは、なんの問題もない。いや、最後の一押しに問題があったのだろう。

「わかった。ロアとシアとベアとマアとラアも玉座には呼んでいるのか?」

「いえ、彼等は・・・」

「ヒア。先に、玉座に入って、5人と一緒にキアも呼んでくるように、あと、ルブランを控えの間で待っているように伝えろ」

「っは」

ヒアが、ミアを見てから、俺に頭を下げて、先に玉座に向かう。
ミアは、ヒアが居なくなっても、表情を変えない。あれほど解りやすいのに・・・。ヒアが不憫に思えてしまう。

メアから、魔王城で働く者たちや、カプレカ島や、城塞村の話を聞きながら、あと、さりげなくヒアとの関係などを聞きながら、控えの間に移動した。ヒアとの話を聞いたメアは、無表情で”同僚”と言い切った事から、友達だとも思われていないのか?と、他人事ながら可哀そうに感じてしまった

控えの間には、セバスとヒアが待っていた。

「メア。ヒア。ルブランと話がある。玉座で待って居ろ」

二人は、俺の命令を受けて、頭を下げて、控えの間から出る。

二人が扉を閉めたのを確認して、外に声が漏れないようにする。

「ルブラン。皆は集め終わったのか?」

「はい。ご指示の通り」

「連れてきた魔王は、大丈夫なのか?魔王は、自分の支配地域からの移動はできない。ことに、なっている」

「大丈夫です。カンウとバチョウに、魔王が降伏をしました」

「そうか・・・」

あとで、モノリスで確認しないと状況が読めない。降伏で、支配領域を抜け出せる理由を知る必要があるけど、その前にやらなければならないことも多い。

「ルブラン。まずは、その魔王とメアとヒア以外の者たちに、俺を認識させる必要がある」

「わかりました。それでは・・・」

セバスの提案は、簡単な事だ。
まずは、セバスが玉座に座る。そして、キア、ロア、シア、ベア、マア、ラアと魔王に、制約を行わせる。玉座の間で、見聞きした事を、秘密にすることと、『”魔王”に忠誠を誓う』という制約だ。
これによって、魔王である俺に忠誠を誓わせることができる。

そして、俺が登場して、魔王として玉座に座っているルブランから、玉座に誘導されるという流れだ。

演出が過ぎるように思えるが、芝居がかっていた方がいいだろうというセバスの意見だ。

俺を呼びに来る役目は、モミジに行わせることになる。事前の打ち合わせはないが、モミジなら”魔王”という記述と、控えの間にセバスが呼ばれている事実で大凡の流れは認識するだろう。

「ルブランに、任せる」

「っは」

セバスが、控えの間から、玉座に戻って15分くらいが経過した。予定では、5分ほどなので、何か問題が発生した可能性がある。
時間はかかったが、打ち合わせ通りに、モミジが迎えに来た。

「魔王様」

「ありがとう。それで、何か揉めていたようだが?」

「魔王が、ルブランを見て、魔王ではないと言い出しました」

「ほぉ・・・。それで?」

「ひとまず、キアたちには、ギアスを結ばせました。本人たちも、元々魔王様の為なら・・・。と、いう気持ちでしたので、問題はありません」

「わかった」

控えの間の近くに、ナツメとカエデも控えていた。
魔王が攻撃してきた時の対処なのだろう。

玉座まで移動すると、上位者であるはずの魔王ルブランが跪いて、俺に臣下の礼をする。それだけではなく、ミアとヒアも同じような姿勢になる。今まで、魔王ルブランにも見せていなかった態度だ。
カンウとバチョウは、呆然としている魔王を警戒しながら、後ろ手で剣を持ち俺に頭を下げる。

椅子の前まで移動する。セバスが俺の右隣に立つ。左隣にはモミジだ。いつの間にか位置を入れ替えていたのか、カンウとバチョウが左右に別れて、その横にナツメとカエデが並ぶ。

椅子に座ると、皆が約束していたかのように、跪いた。
立っているのは、ダンジョンを攻略されて、連れてこられた魔王だけだ。

「ルブラン」

「っは」

「説明してやれ」

魔王に現実を教えるために、セバスに説明させる。
そんなことをしなくても、俺を見た魔王の表情は青くなっている。

その理由は、俺にもわかった。
そして、”魔王ルブラン”を魔王ではないと言った理由も理解できた。

魔王同士だと、相手が持っている”ポイント”が把握できる。
目の前に居る魔王のポイントは、俺とは3桁ほど違う。もちろん、少ない。

「魔王。ダンジョンバトルで決着をつけてもいいぞ」

俺が得ている知識(from モノリス)では、ダンジョンバトルという戦い戦争があり、魔王同士での戦いの時に、使われる戦闘方法だ。

「ご、ご冗談を、貴様・・・。いや、貴殿と、我との力量の違いは、解っている。忠誠を誓えと言うのなら、忠誠を誓う。我を滅しても構わない。だが、我のダンジョンに居る誓いの魔物だけは、貴殿が保護して欲しい」

跪いて、俺からの言葉を待つ魔王。元魔王になるのか?

ふむ・・・。
忠誠を誓うと言うのは、俺の配下に入ると同じ事だ。確認しなければならないが、魔王を配下に治めると、その魔王が持っている権能が使えるようになる。また、秘匿している情報が開示され、その魔王の支配領域を自分の物とできる。詳しくは、モノリスで確認しておいた方が良いだろう。どこかに、罠があるかもしれない。
他の、制約を結んだ者たちと違って、俺の一言で殺せる。でも、殺してしまうと、その領域に新たな魔王が産まれるプロセスが発動してしまう。
そのために、目の前に居る魔王を殺さないほうが、メリットがあると言える。

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