【第二章 ギルドと魔王】第九話 確認

 

 平和だ。
 帝国のゴミを掃除してから、魔王城に攻め込んでくる者が出てこない。

 増えたポイントで領域を広げた。魔王城(仮称)の周りに広がる森の全域が領域に組み込まれた。もう少し広げられるポイントは残っているのだが、存在する村や町を領域内に組み込めなかった。

 平和で暇な時間に、先代たちの日記を読み漁ったが、森の向こう側まで領域を広げた例が見当たらなかった。ポイントが足りないのか、それともそもそも不可能なのかわからない。もしかしたら、なにか条件があるのかもしれない。

 スキルは多すぎて、まだ”本”での確認が終わっていない。
 城塞村に出来たギルドから、スキルの情報が伝わってくる。今までに、他の魔王を攻略したときに得たスキルや、魔物を倒して得たスキルの情報だ。微妙に、俺が持っている情報との齟齬があるが、気にしないことにしている。

 ギルドが全部の情報を持っているわけではなく、各国で秘匿している情報も有るのだろう。

 そして、ルブランがギルドと城塞村のトップになった者から聞いてきた話を分析すると、連合国と神聖国の二つは魔王を隷属している可能性がある。

 モミジたちの分析でも同じ結論になっている。
 特に、神聖国で祀られている”神”は魔王で間違いはないだろう。神聖国で使われている”呪”を刻む魔道具を調べた、モミジたちの結論だ。

 俺がやっているように、公開するダンジョンを作るわけではなく、魔王城を囲むように都市を作らせる。ポイントが入ってくる状況を作っているのだろう。神聖国の首都?に魔王城があるとは思えない。後から都市を作るにしても、一度は撃退して見せないと難しいと思える。

 四天王に、神聖国の調査を行わせている。
 敵対しているように思えるだけに、情報は必要だ。いきなり攻め込むのは難しいと思うけど、いざというときには、神聖国の魔王を討伐する方法を考えておくのは無駄ではない。そもそも、俺たちの領地がある場所がおかしい。森を領域に変えてから、確認したが、領域にはこの大陸にある大国の全てと、国境が接している。ギルドと帝国からの情報だから、間違っては無いだろう。

 神聖国は、定期的に奇跡を起こしている。
 奇跡の内容を聞いていると、産業革命のくらいによく有ったらしい詐欺話に似ている。どうやら、かなり前に召喚された者なのだろう。出回っている情報から考えると、俺と同世代は居ないように思える。産業革命以前がほとんどのように思える。
 俺が最後の魔王だからなのか、なにか召喚にルールがあるのかわからない。ハウス6174の魔王が召喚されるたびに、時代が近代になっている。これは、日記から判断をした。間違っているかもしれないが、初代は、この大陸の文化と同レベルなのだろう。それから、新しい魔王に変わる度に、近代に近づいている印象がある。200番台の魔王は中世程度ではないだろうか?
 ヨーロッパや日本以外からの召喚された印象を受ける魔王も居るが、地球の時代で考えれば、時代のギャップが発生しているはしょうがないのかもしれない。

 俺が一般的だと思える内容が示された書籍の内容を、ルブランを通して、ギルドや帝国に確認したが、冷蔵庫は既に開発されている。ただ、クーラーは存在していない。難しさも有るだろうけど、俺が感じたのは日本で言う所の、昭和初期くらいまでの技術が入っているようだ。

 そこで、考えたのが、神聖国と連合国の文化だ。
 食事は、帝国と代わりがない。要するに、それほど洗練されていない。娯楽も無いようだ。チェスやリバーシーが大人気になっていることから、神聖国と連合国に居る魔王は、15世紀以前の者たちなのだろう。どの当たりの人間なのかで差はあるだろうが、そのくらいだと考えておけばいいだろう。リバーシーはたしか、18か19世紀に考案されたはずだ。気になったら、あとで本を取り寄せて調べてみよう。

 ギルドや帝国からの情報だけなので、何らかのフィルターがかかっているかもしれないけど、考察は間違っていないだろう。

 それに、俺からしたら、今、実行している実験が成功したら、技術的なアドバンテージを得られる。そのためにも、俺とは時代が違う魔王に君臨して貰っている方がやりやすい。技術レベルに差が出ているのは誤算だが、嬉しい誤算だ。
 スキルは同じだろうが、取り寄せに差が出ているのだろう。でなければ、俺がチェスやリバーシーを流行らすのを見て、同じように取り寄せて作ってしまえばいい。どうせ、特許なんてないのだから、出来るだろう。リバーシーの、複製は難しくないだろうが、チェスは造形が難しく、綺麗に作られないのかもしれない。取り寄せた物を、ドワーフたちに見せて、取り寄せた旋盤や機具を見せてやっと量産が可能になった。

 隣の部屋から機材を持ち出せないのは、都合がよかった。
 核心は、身内だけで作ってパーツを、カプレカ島に渡して製品にすることが出来る。

 やってはダメだと思ったが、火薬を作った。
 銃だ。日本では売っていなかったが、取り寄せられた。いくつかを取り寄せて、ドワーフに渡して、分解させて、こちらの技術でどこまで実現が可能か確認した。他にも、少しだけポイントは高かったが、砲台やランチャーなども取り寄せた。

 他にも解析をさせている物があるので、複製ができれば、そのうちダンジョンの宝箱に入れることになっている。

 隣の部屋が拡張を続けている。
 大きくしても問題が発生しない。部屋の中に部屋を作っても、同じ部屋だと認識される状況なので、部屋の拡張を行った。
 ポイントを盛大に使って、パーツを作るためだけの工房を作った。金属加工だけではなく、俺が仕事で関わった。産業ロボットがびっくりするくらい少ないポイントで交換ができた。思わず3つほど交換して、配置した。マイクロメートル単位以下の加工には、産業ロボットのほうが早くて正確だ。精度が必要なパーツは、工房で作って出荷する。組み立てや、核心に関わらない部分はカプレカ島で組み立てをする。パーツだけの出荷も行うが、相手は城塞村だけにしている。

 金属加工は、産業ロボットが大活躍だ。
 ミリ単位以下の精度は、ドワーフでも難しいようだ。ヒラガとか一部の者だけは出来るようだが、上位者をパーツ作りに従事させ続けるのは効率が悪い。彼らは、解析と分析と試作を行うように指示を出している。

 ”本”を確認してみたけど、中世ヨーロッパ辺りでは当たり前のようにあったであろう物が交換リストにないのは、やはり俺が居た時代には存在していなかったからなのだろうか?博物館とかで存在はしていただろうけど、”流通”していなかったから交換が出来ないのか?
 水銀が入ったおしろいとか、宝物の中に入れて連合国とかに押し付けてみたかったけど・・・。

 名付けが、不評じゃなくてよかった。
 全部で、700名近い名前なんて思いつかなかった。人名辞典なんかを取り寄せてみたけど、偉そうな名前が多くて、覚えられそうになかった。上位者は別にして、元奴隷たちには悪いけど、見た目から判断した。

「ルブラン様。本日の報告書です」

「メア。ありがとう。生活には慣れた?」

「はい!」

「それはよかった。それで、ヒアとは?仲良くしている?」

「はい。ヒカがメイの相手をしてくれているので、その流れで・・・。ヒカだけではなく、オアやキアやウアとも仲良くやっています」

「そう・・・。メア。今度、魔王様の実験の手伝いを頼みたいのだけど大丈夫?」

「はい!もちろんです!」

 ふぅ・・・。
 ヒアが、メアのことを気にしているのは解っているけど、脈はなさそうね。賭けになっているけど、結論が出るのは、まだまだ先になりそうね。ヒアも、対戦相手がマイマスターだと知ったら、どうするのかは楽しみね。諦めては欲しくはないけど、難しいかな?

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