復讐の記事一覧
2021/11/23
【第二章 スライム街へ】第十六話 最終確認
円香が、テーブルの上に放り投げた資料は、以前に見せてもらった”ファントム”に関する物だ。 「そうか、ファントムか・・・。結界のスキルを持っている可能性があったのだよな?」 「あぁ。しかし・・・。この中に”ファントム”が居るとは思えない」 円香は、キャンプ場に集まっているマスコミや自衛官や警察官や消防官を見回している。 「そうなのか?!」 蒼は、驚くが、俺もこの中に”ファントム”が居るとは思えない。 「ファントムが、どんな移動手段をもっているのかわからないが、自衛隊や警察の関係者である可能性は低い」 「…
続きを読む2021/11/23
【第五章 共和国】第九話 事情と情報
アルが戻ってくるのを待っていると、アルではなくカルラが戻ってきた。 「旦那様」 「宿は見つかった?」 「はい。私たち以外は、町を訪れる者が居ないようです」 「そうか・・・。それで?」 「はい。宿の店主・・・。町長が言うには・・・」 カルラの話は、シャープが聞いてきた話と同じだ。 「よく宿屋が営業していたな」 「町長を兼ねているらしく、宿屋を閉じると、泊まる場所がなくなるので、営業をしていると言っていました」 「わかった。それで、アルは?」 「エイダと、馬車を見ています」 「ん?あぁそうか、人手が足りない…
続きを読む2021/11/23
【第六章 ギルド】第三話 王都へ
ミルと二人で、マガラ渓谷の受付に並んでいる。 チケットは持っている。通過はできるとは思うが、マガラ渓谷は敵方(アゾレム)の関所だと考えられる。 ミルは大丈夫にしても、”死んだことになっている”俺はどういう形になるのかわからない。 「次!」 関所の人間が偉そうにしている。 次が俺たちの番だ。 前は、行商人のようで、荷物を検めるのに時間が必要になっているようだ。 「リン。どうして、マガラ渓谷を越えるの?」 ミルの素朴な質問だけど、確かに説明をしていなかった。 まだ、時間が掛かりそうだし、簡単な説…
続きを読む2021/11/17
【第二章 スライム街へ】第十五話 結界?
皆が、私の周りに集まってくる。 報告は、ライが受けている。 「ご主人さま」 ライが、皆からの報告をまとめてくれた。キャンプ場の囲い込みは成功した。問題は、小屋の周りだったけど、成功した。結界を張った周りには、魔物が居ない所までは確認が出来た。 ”どうしたの?” 「休んでください」 ”うーん。疲れていないけど・・・。そうだね。順番に休もうか?” 「はい」 私が休まないと、家族も休まない。警戒の順番を決める。どうやら私は必要がないようだ。ライも同じだ。 結界が機能しているから、警戒は必要がないとは思う…
続きを読む2021/11/06
【第二章 スライム街へ】第十四話 主導権?
ギルドの面々は、キャンピングカーから降りた。三匹の猫は、キャンピングカーのケージに入れられている。 「上村さん!あっ!桐元さん」 「おぉ松。久しぶりだな。お前の部隊が来ているのか?」 「はい!松原小隊が封鎖及び魔物の掃討を行います」 桐元孔明も、上村蒼も、小隊が出てくるとは思っていなかった。分隊が出てきて、封鎖を行っていると思っていた。初期段階で、小隊が出てきているのに驚いた。 「ギルドの皆さんですか?山梨県警古屋です」 警察手帳を見せながら、古屋は松原と話をしていた、桐元孔明と上村蒼に話しかける。現…
続きを読む2021/11/05
【第二章 スライム街へ】第十三話 到着
バイバスに入っても、渋滞は解消しなかった。 興津川を越えた場所で、事故が発生している。事故は、一箇所ではなく、蒲原に入った場所と富士川の橋でも事故が発生していた。 そのために、到着予定時間が伸びてしまっている。ナビには、その先でも渋滞している状況が表示されている。 「円香!ダメだ。渋滞が酷い。76号を使うぞ」 上村蒼は、ナビを操作している榑谷円香に宣言する。 「富士富士宮由比線か?狭い場所が多いけど、大丈夫か?」 県道76号は、途中から山道になる。 山の中を突き進む。WRCのドライバーなら、10…
続きを読む2021/11/04
【第二章 スライム街へ】第十二話 悪対惡
”人が多い” この前よりも、人が増えている。 スマホでも持ってくれば、調べられたのだけど、取りに戻る時間がもったいない。 魔物の数も増えている。 山側の封鎖が出来ていないのだろうか? え? ”カーディナル。オーガの近くに移動して” カーディナルにお願いをして、オーガたちが居た小屋が見える場所まで移動した。 ”なんで?” そこに居るオーガたちは、人を捕らえている。残念ながら、死んでいるのは見た目で解る。頭が潰されている。 一人や二人ではない。目視だけだが、5-6人は犠牲になっている。もっと多い…
続きを読む2021/11/03
【第二章 スライム街へ】第十一話 天子湖
「はい。上村」 上村蒼は、運転しながら車のハンドルに付いているハンドフリーで電話を受けた。 車に装備されている機能を使っているので、相手の声も同乗者には解ってしまう。 『上村中尉!』 「どうした?珍しいな。間違えるな。俺は、もう中尉じゃないし、お前の上官でもない」 『失礼しました。上村さん。今、時間は大丈夫ですか?』 「あぁ車で、移動中だ。孔明とギルドのメンバーも一緒だが、問題はない」 上村蒼は、元部下にギルドの仕事で移動していると伝えた。 ギルドのメンバーが一緒だと伝えることで、会話が筒抜けになっ…
続きを読む2021/11/03
【第五章 共和国】第八話 アルトワ町?え?
うーん。 町? 確かに、入り口に掲げられている看板には、”アルトワ町”と書かれている。 自称”町”が正しいように思える。うん。村だな。村でも誇大呼称に思える。集落?廃村?いろいろ、マイナスのイメージが浮かんでくる。 「カルラ。アルと一緒に、宿屋を頼む」 「かしこまりました。アルバン。行きますよ」 「うん!」 「カルラ様。アルバン様。お待ち下さい」 クォートが二人を止めた。 アルは、もう駆け出しそうになっていて、急にストップをかけた車のようにターンを決めている。 「なに?」 「馬車も一緒にお願いい…
続きを読む2021/11/02
【第二章 スライム街へ】第十話 準備
”それじゃもう一度、練習をしてから、天子湖に向かうよ!” 私の宣言で、皆が了承を伝えてくる。 川だと思っていた所は、天子湖という人口の湖だ。キャンプ場を、魔物が占拠した。近くの小屋には、オーガたちが居る状況だ。地図から、距離や広さを調べて、練習するための場所を裏山に設定した。広さだけではなく、家に残る者たちの協力を得て、模擬戦が出来るようにした。 そこで、戦略を考えながら、練習を行っている。 結界を併用するのがいいだろうという結論になった。 私たちが攻撃を開始すると、警官隊や自衛隊が、攻撃を開始す…
続きを読む2021/11/02
【第六章 ギルド】第二話 いい女
ナナは、俺とミルの話を黙って聞いてくれた。 冷え切った飲み物で、喉を潤す。 俺とミルの話が終わったと思ったのか、ナナは閉じていた目を開けて、俺を見つめてくる。 「リン君。いくつか、質問をしてもいい?」 「あぁ」 「まず、マヤちゃんは生きているのよね?」 「ミルと一つになったが、生きている。今は、神殿に居る。妖精になってしまっているから、連れてくるのは問題があると考えた」 「そう、わかった。マヤちゃんの本当の姿?なのよね?」 「マヤは、そう言っている。俺もよくわからないが、マヤは困らないから大丈夫だと言…
続きを読む2021/11/01
【第二章 スライム街へ】第九話 相談
キングとクイーンは、もう少し池?湖?川?の状況を確認したいらしい。 私とカーディナルは、急いで家に戻ることにした。 家では、既に私が状況を説明している。 私が家に戻ると、議論は終わっていた。 反対者は居なかったということだ。どうやら、ライが、私の受けた衝撃や哀しみを皆に伝えたようだ。ライが感じた衝撃や哀しみや憎しみが私に伝わるように、私に生じた感情は、ライにも伝わってしまう。 『ご主人さま。困りました』 ”ライ?どうしたの?” 私とカーディナルが到着してすぐに、ライとアドニスが近くにやってきた。…
続きを読む2021/10/30
【第二章 スライム街へ】第八話 だらける
人の姿にも慣れてきた、元人間です。 女子高校生らしく、制服を着てみましたが、元々自分が着ていただけに似合っています。良かったです。パロットも似合っていると言ってくれている。ライに至っては、自分も人の形状になって制服を着たがったが、男性タイプにしかなれなくて、我慢してもらった。さすがに、自分の制服を男性顔のライが着るのには抵抗があった。 スキルを調整すれば、複数の女性タイプに慣れるのかと思ったけど、ライからの説明で、どうやら素体となった数が影響しているようで、人は女性タイプが一人と男性タイプが一人のよう…
続きを読む2021/10/29
【第二章 スライム街へ】第七話 急報
ギルド日本リージョン本部に備え付けられている。ホットラインが鳴り響く。 その場には、本部に詰めるべき5人が揃っている。 「はい。ギルド本部。榑谷」 『よかった。こちら、清水消防署。森本です』 「魔物が出ましたか?」 『いえ、あっ。少しお知恵を拝借したい。警察にも連絡をしましたが、明確な証拠がないと、警察は動けないと言われてしまって・・・』 「簡単にでも構わないので、状況を教えて下さい」 『はい。通報が有ったのは、3時間ほど前です』 榑谷円香は、スピーカーから音が出来るようにしてから、近くの時計を見る。…
続きを読む2021/10/27
【第二章 スライム街へ】第六話 凶報
パパとママが離婚する。 別に、僕としては問題ではない。僕の意見を聞いてくれて、パパと今の場所に住むことになった。ママは、やはり奴が出てきたら、一緒に生活をしたかったらしい。パパは、反対した。僕もイヤだと言い放ったら、僕を殴ってきた。 僕が、スキルを発動する前に、パパがママと僕を引き離して、ママに”出ていけ”と言ってくれた。 ママは、奴と一緒に住むことにしたようだ。 僕には、関係がない。もう他人だ。 気分がいい。パパは、仕事で名古屋に行ってしまった。 この家には僕しかいない。 学校も、連絡が来…
続きを読む2021/10/27
【第六章 ギルド】第一話 三月兎
ミルは、妖精の姿を気に入っていて、元のサイズに戻ったときにも、背中に羽を生やそうとしていた。 「ミル。やっぱり、羽は・・・」 「僕には、似合わない?」 可愛く言っても・・・。確かに、似合っている。似合っているが、人ではないのが解ってしまう。 「似合うよ。すごく、可愛い。でも、これから、王都に行くのに、スキルやステータスは隠蔽でごまかせるけど、羽は無理だからね?」 「うん。わかった」 ミルは、服の袖を握りながら、目を閉じた。 羽だけを消すようだ。 「これでいい?」 「完璧!」 「よかった」 ミルが腕…
続きを読む2021/10/27
【第二章 スライム街へ】第五話 吉報?凶報?
新生、ギルド日本支部。名前が変更されて、ギルド日本リージョン本部。 50坪程度の狭い場所が、日本のギルド本部になる。 狭い場所だ。居住できる場所を除くと、部屋は3つだ。 打ち合わせを行うための部屋だ。そして、この部屋は、盗聴に関しては、クリアの状態になっている。それ以上に、厳重なセキュリティで守られている場所が存在している。 「円香!」 「なんだ、孔明」 「俺の名前は、孔明(よしあき)だ。お前が、孔明(こうめい)と呼ぶから、里見嬢や柚木嬢まで、俺を孔明(こうめい)と呼びやがる」 「そうか、それなら、…
続きを読む2021/10/24
【第二章 スライム街へ】第四話 キメラ
キメラに意識を移しても、本体はスライムのままだ。 複数になった意識をうまく使い分けるのには訓練が必要だ。そして、キメラの核となっていた魔石を、ライが吸収したことで、新たなスキルが芽生えた。 もしかして、スキルは”魔物の命”か”命の形”ではないのだろうか?検証ができる物ではない。概念なのかもしれない。ただ、スキルが芽生えるのが”命”を奪った時か、”魔石を吸収した”時なのが気になっている。ギルドで調べても、概念の話は書かれていない。専門家を名乗る人たちが書いている物を読んでも、ピンとこない。文章だけで、”…
続きを読む2021/10/23
【第二章 スライム街へ】第三話 タカとフクロウとキメラ?
私の生活が一変してから、1ヶ月が経過した。 世間は、とある感染病で自粛が続いている。学校も、8月の末から始まる予定だったが、緊急事態宣言が発布されて、延期になったと教えられた。 久しぶりにスマホの電源を入れたら、同級生からメールが来ていた。 私が休学になったのを聞いて、連絡をしてきてくれたらしい。当たり障りのない返事を出したら、それからメールが来なくなった。皆が、自分のことで忙しいのだろう。元々、学校では一人だった。家族が居なくなって、独りになった。学校でも、独りになることが多かった。 でも、今は…
続きを読む2021/10/22
【第二章 スライム街へ】第二話 検証
学校が始まった。 スライムになってしまった。私には、無縁な世界だ。でも、なんとなく寂しいので、学校を覗きに行った。もちろん、私が行こうとしたら、皆から反対された。危ないというのが、家族たちの考えだ。強固に反対をしたのが、ラスカルだ。 ラスカルは、やはり山に捨てられた一族の生き残りだった。飼えなくなった人が、ラスカルたちを山に捨てた。そして、オークに襲われた。辛うじて生き残ったラスカルが私の家族に加わった。そのために、他の者たちよりも、人に対する警戒と嫌悪が強い。私が”元”人だと言っても、私は私だから、…
続きを読む2021/10/22
【第五章 共和国】第七話 共和国
共和国に入った。 俺たちは、共和国側で注意を受けた。 どうやら、共和国に初めて来る者たちに、注意として共和国の説明をしてくれているようだ。 小さな国が集まって、作った合議制の集まりだったのだが、今では合議制は形だけになってしまっている。野心を持つ3つの国が理由を付けて、周りの国を併呑していった。共和国という形が残ったのは、王国や帝国に対抗するためだ。 現状の説明は、既にカルラ経由で受けている。注意を聞き流すわけにはいかない。拝聴していたが、どうでもいいことまでクドクドと説明をしてくる。一緒に、注意…
続きを読む2021/10/03
【第二章 スライム街へ】第一話 後始末
ギルドの日本支部は荒れていた。 本部からの発表で、”情報管理部”と”スキル管理部”と”登録者管理部”だけが残されて、他が解体されることになった。主な理由は、企業からの献金を着服していた事実と、魔石の横流しの事実と、情報漏えいの事実が見つかった。特に、スキル保持者の情報や魔物の情報をプロトコル(正規の手順)以外の方法で流出させたのが問題になった。 解体された部署を仕切っていた者たちは、多くの者が横領で当局に告発された。 それだけではなく、ギルド本部にて査問に掛けられた。日本での法律では、”白”に出来る…
続きを読む2021/10/03
【第五章 マヤとミル】第二十話 王都へ
神殿の拡張と、運営をマヤとロルフに任せて、俺とミルは、ギルドとの交渉を行うために、王都に向かうことにした。 「ロルフ。マヤ。神殿を頼むな」 「うん!」『かしこまりました』 マヤは、妖精の姿をしている。ブロッホの肩に乗って、元気に承諾をした。 マヤとミルは、二人で一人なのだ。ミルと一緒に王都に向かうと決めてから、いろいろと確認をしなければならなかった。 最初に確認したのは、”マヤとミルが離れても大丈夫なのか”だったが、距離は、問題にはならない。 マヤを乗せた、アウレイアとアイルが、王都を超える距離ま…
続きを読む2021/10/01
【第一章 スライム生活】第二十九話 一匹のスライム
どうやら、カーディナルたちは裏山の東側を、徹底的に調査を行うようだ。 ドーンやフリップやジャックだけではなく、ダークまで呼んでいる。 実際に、ゴブリンが2体と、色が違うゴブリンが1体と角が生え犬のような生き物が居た。 アドニスが誘導して、私が岩を落として仕留めた。 最初は、カーディナルたちが戦おうとしたけど、家族が傷つくのがイヤで私が安全に倒せると説明して、対応した。 どうやら、捜索部隊は、他の山にも分け入って魔物?を探してきている。確かに、裏山だけが安全でも意味がない。救える命が散らされるのは…
続きを読む2021/09/30
【第一章 スライム生活】第二十八話 本当の密談
本題だと言って渡された資料に目を落とした孔明と蒼だが、最初の数ページを読んで頭を抱えだした。 常識派だと言ってもいい孔明は解るが、破天荒な性格をしていて、破滅主義な蒼まで資料に書かれている内容には眉を顰める。 「おい。円香?」 「なんだ?」 蒼は、資料を引きつった表情で丸めて、テーブルを叩いている。 「気に食わないか?」 「違う!円香!この情報は正しいのか?違うな、どこから持ってきた!」 蒼は激高して立ち上がる。 孔明は、二人のやり取りを眺めているが、明らかに円香を睨んでいる。 「ふたりとも、少し…
続きを読む2021/09/29
【第一章 スライム生活】第二十七話 あらいぐま
よし、今日は裏山の探索を行おう。 先日から、魔石の増え方が遅くなった。すごく嬉しい。魔石は命だ(多分)。小さいかもしれないが、一つ一つが大切な命だ(多分)。 (おはよう。パロット) ”にゃ!” うん。 挨拶が帰ってくるのは嬉しい。言葉が通じたら、もっと嬉しいのだけど、出来ないものは、考えても無駄だ。今、意思の疎通が可能になったことを喜ぼう。 外の巣箱には、カーディナルもアドニスも揃っている。 昼間だから、お願いするのなら、カーディナルがいいかな? (カーディナル!) 私の呼びかけに、カーディナ…
続きを読む2021/09/28
【第一章 スライム生活】第二十六話 密談開始
停泊しているクルーザーに近づく、甲板を見ると見知った顔が手を振っている。 「孔明!」 「円香。俺の名前は、孔明(よしあき)だ」 「おっしっかりと、蒼(あおい)を連れてきてくれたようだな」 円香は、俺の話しをスルーして、上村を見つけて、にこやかに話しかける。円香が載っているクルーザーは俺たちが載ってきたクルーザーよりも、1.5倍ほど大きな船だ。上村が横付けして、円香たちのクルーザーに乗り込む。 「円香。こんな面倒なことをしなくても・・・」 「悪いな。でも、問題が多すぎて、孔明のところでは話せないだろう?私…
続きを読む2021/09/27
【第一章 スライム生活】第二十五話 正道
「ねぇ聞いた?」 「なに?なんの話?」 「ほら、中央厨の・・・」 「あぁ」 「また、やらかしたみたいなの?」 「え?また?この前は、市内にゴブリンが出現したとか言って、ロケ隊を引っ掻き回しのでしょう?」 「そうそう、それでニュースで使う画(え)が撮れなくて大変だった」 「ご愁傷さま。それで、今回も?」 「ううん。今回は、視聴者からの情報とか言って、スライムの動画をニュースで流して、スライムの捕縛に懸賞金を賭けたの・・・」 「え?あれって、中央厨の仕業なの?」 「そうなの!私が担当している番組のSNSまで大炎…
続きを読む2021/09/26
【第一章 スライム生活】第二十四話 交差する思惑
「桐元!」 ドアをノックもせずに開けて部屋に入ってきた、上村を睨むが、上村の気持ちも理解できる。俺も、同じ気分だ。 「失礼しました。孔明(こうめい)少佐!小官へのご命令に関して質問があります」 「上村中尉。私の名前は、孔明(こうめい)ではない。孔明(よしあき)だ」 「これは、失礼しました。頭脳明晰でいらっしゃる。桐元少佐なので、彼(か)の諸葛孔明の生まれ変わりかと考えてしまいました」 「はぁ・・・」 書類を読む手を止めて、ソファーに移動する。 上村をソファーの対面に座らせる。 「それで?指令書の件か?…
続きを読む2021/09/25
【第一章 スライム生活】第二十三話 マスコミ
「柚木ちゃん。話を調べてくれた?」 面倒な奴に見つかってしまった。 中央に返り咲きたいと常々言っているが、この男がやっているのは、犯罪の”ギリギリ”とかではない、犯罪行為だ。 それで、中央から飛ばされたのに、こりていない。 「はぁ」 「ほら、柚木ちゃんの知り合いに、ギルドの職員が居るでしょ。彼女にちょっと渡してね」 「無理です」 「そんな事はないよ。頼むよ。ほら、なんとかの、なんとかも、金次第とかいうでしょ?なんとかなるよ」 茜に、そんなこと(買収工作)をしたら、私は間違いなく、翌日の朝日は拝めない…
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