復讐の記事一覧
2021/07/05
【第五章 マヤとミル】第十二話 マヤとミル
「ふっふん!いいよ!ミル。リンに確認してもらおう!」「わかった」 マヤがミルの肩に移動している。 二人で一緒に詠唱を始める。 ん?魔法やスキルの呪文ではないな。はぁ・・・。フュ○ジョン?誰の仕込みだ?7つの珠を集めて、ギャルの(以下、自粛)。 光が二人を覆った。眩しいほどではないが、直視していると目が痛くなりそうだ。光は、それほど長い間は光っていなかった。 「え?」 間抜けな声が出てしまったが、しょうがないだろう。 光が収まったところに立っていたのは・・・。 「マヤ!」 それも、全裸の状態に戻…
続きを読む2021/06/18
【第四章 ダンジョン・プログラム】第十五話 出国準備
共和国の情報は、意外な所から入ってきた。 「え?ダーリオが?」 「はい。ダーリオ殿の知人が、共和国から逃げ帰ってきたそうです」 「そうか、カルラ。ダーリオは、他になにか言っていたか?」 「はい。共和国との国境は機能していないようです。確認は、出来ていませんが、人の流れから真実だと思われます。ダーリオ殿は、マナベ様が共和国に行くと知っているので積極的に知人から情報を聞き出してくれました。資料としてまとめてあります」 「わかった」 カルラが手にしている資料を受け取る。 スタンビートが発生したいのは、ほぼ間…
続きを読む2021/06/17
【第五章 マヤとミル】第十一話 全裸で復活?
「リン!ミルになんてことをするの!僕は、リンと居られるのなら、姿なんてどうでも良かった!リン!聞いているの?」 小さな小さな羽が生えている。不思議な形をした生き物だが・・・。マヤだ。マヤが、俺に話しかけている。 「マヤ」 「リン!僕のことは、いいの!なんで!ミルを犠牲にしたの!僕、本当に怒っているのだよ!」 マヤが、名前を呼んでいる。 手を伸ばす。 「・・・。マヤ。マヤ。マヤ。マヤ。マヤ。・・・」 「え?リン?何?」 マヤを両手で包むようにして、抱き寄せる。 温かい。小さな小さな妖精になってしまっ…
続きを読む2021/03/26
【第四章 ダンジョン・プログラム】第十四話 エヴァとギルと・・・
「エヴァ!」 「あ!ギルベルト様」 「辞めてくれよ。友達の嫁さんに、”様”付けされると、気持ちが落ち着かない。”ギル”で頼む」 一気に言い切るが、エヴァの顔色が赤くなっていくのがわかる。 アルノルトの”嫁”と言われるのは慣れないようだ。実感が無いだけかもしれないが、俺たちの中では既定路線だ。 「いえ・・・。そうですね。ギルさん」 「まだ、昔のクセが抜けないな。そうだ!エヴァ。奴から、手紙と贈り物を預かってきた」 「え?」 エヴァは、すでに”聖女”と呼ばれている。 回復だけではなく、アンデット系の魔物…
続きを読む2021/03/25
【第五章 マヤとミル】第十話 依代
「旦那様」 俺が、ミルに魔力を循環させてから、どのくらいの時間が経過しているのか・・・。循環を行っている魔力が、ミルの身体に溶け込むようになった。 「どうした?」 ブロッホが何か慌てだす。 「旦那様。依代を用意したほうがよろしいかと・・・」 「依代?」 「はい・・・」 ブロッホの説明では、 ミルとマヤが、一つの身体に共存しようとして、身体が耐えきれなくなっている。ミルの身体では、2つの魂の入れ物には小さくなってしまっている。俺が、魔力を循環させたことで、ミルの身体の崩壊は止まったのが、マヤとミルの存在…
続きを読む2021/03/07
【第五章 マヤとミル】第九話 執事からの提案
ブロッホが、眷属たちの意見をまとめてくれた。 ロルフも意見をまとめるのを手伝ったようだ。 二人からまとめられた意見をもとに、神殿の内部を変更した。 俺が専用で使う部屋を用意した。マヤとミルが眠っている祭壇の横に作られた。ジャッロやヴェルデやビアンコからの要望だ。俺の部屋が無いのを気にしていた。俺は別に必要ないと思ったのだが、ブロッホから皆が安心するためにも、俺の部屋が必要だと言われた。拠点となるように、寝室と執務室を作った。調度品は、とりあえずはポルタ村から持ってくることに決めたようだ。 寝室の奥…
続きを読む2021/02/24
【第四章 ダンジョン・プログラム】第十三話 ユリウスの覚悟
「クリス。カルラからの報告書が届いたのか?」 「えぇギルベルト様の商会が届けてくれました」 「それで?アルは?」 俺は、アルノルトに勝つためなら、皇太孫の地位なぞ妹に譲り渡しても良いと思っている。 期待されているのは解っている。だが、俺は・・・。 「ユリウス様?」 「すまん。バカの顔を思い出していただけだ」 「そうですか・・・。カルラからの報告では、アルノルト様は共和国に行くつもりのようです」 「それは聞いた。他にも何か有るのだろう?」 カルラからの報告は、”孤児”や”農民”に関しての”噂”だ。 「孤…
続きを読む2021/02/19
【第四章 ダンジョン・プログラム】第十二話 カルラからの報告.2
アルバンとエイダが、”地上に出る”ことにしたようだ。 エイダの新装備を軽く試すのが主題だ。それと、外に居る魔物を倒して、新装備の長子を確かめてくることになった。4-5日の予定だと報告された。ついでに、共和国への遠征に伴う準備の状況を確認してくるように指示を出した。 カルラもアルバンとエイダについていってホームの様子を見てくると言っていた。 久しぶりに、2-3日は1人で過ごすことになった。食事は、ヒューマノイドたちが準備をしてくれる。 訓練所の難易度を上げて、魔法や武器の調整に時間を使う。 カルラ…
続きを読む2021/02/17
【第五章 マヤとミル】第八話 執事と施設と
施設の調整を行って、一息ついていたところに、ロルフと老紳士が入ってきた。 ロルフは、入り口で立ち止まったが、老紳士が俺の前まで来て綺麗な所作で跪いた。 「旦那様」 ブロッホ(黒竜)だと言うのは解っているが、理解が追いつかない。髪が長かったはずが、短く切りそろえている。白髪が老紳士を演出している。服装も、ポルタ村では絶対に無かった服装だ。貴族家の執事が着ているような服を身にまとっている。 「え?ブロッホ?」 「はい。旦那様。ロルフ様から、旦那様に仕えるなら、執事の格好にしたほうが、違和感が少ないと教えら…
続きを読む2021/02/01
【第五章 マヤとミル】第七話 眷属長?
「わかった。味方は欲しい」 ”ありがとうございます” オーガには、ラトギの名を与えた。黒竜には、ブロッホの名を与えた。 ブロッホは、ワイバーンを眷属にしていたために、その者たちも眷属に加わる。 ラトギは進化の兆しが見えた為に、ヒューマに命じて里に移動させた。 ブロッホは進化を抑え込んだようだ。種族的な進化はしなかったが、スキルが大幅に進化して、ブロッホは”人化”できるようになった。 「リン様」 全裸の状態で、俺の目の前で跪いているブロッホが居る。 どうしていいのか迷っていると、人化を解いて竜に戻…
続きを読む2021/01/31
【第四章 ダンジョン・プログラム】第十一話 エイダの新しい装備?
返事をすると、アルがエイダを抱きかかえて入ってきた。 「兄ちゃん!カルラ姉?」 「どうした?」 用事があるのは、エイダのようだ。 アルの腕から、飛び降りて俺の前までエイダが歩いてきた。 『旦那様』 「エイダ。いろいろ呼び名が変わっているけど、結局、”旦那様”にするのか?エイダの見た目なら、マスターとかがいいと思うけど?」 『それなら、マスター』 「なんだ?」 『アルバンと、ダンジョンの外に出ました。半日・・・。正確には、8時間ほど魔力の供給を受けられない状況で稼働しました』 「大丈夫なようだな」 『は…
続きを読む2021/01/17
【第五章 マヤとミル】第六話 来訪者
暖かい(温かい)食事だ。心にある澱みが消えていく感覚だ。 どのくらいの時間が経過したかわからないが、リンの周りには眷属たちが嬉しそうな表情で集まっている。 照れ隠しなのか、近くにいた眷属に話しかける。 「そういえば、ロルフは?」 「まだ、お帰りになっていません」 「そうか・・・。困ったな」 「マスター。何に、お困りなのですか?」 ”困った”というセリフがリンの口から出た事で、眷属たちは一気に緊張の度合いを高める。 ヴェルデ(ゴブリン)だけではなく、話を聞いていた、ビアンコ(コボルト)やジャッロ(オ…
続きを読む2021/01/16
【第四章 ダンジョン・プログラム】第十話 カルラからの報告.1
カルラが地上から戻ってきた。俺に報告があるようだ。ギルドの事は、皆にまかせてしまっている。もうしわけなく思えてくるが、彼らならダンジョンに関わる問題が発生していない限り、対処は可能だろう。 執務室代わりに使っている部屋で、カルラから外の様子を聞きながら報告を聞く。 カルラからの報告は、報告書になっている物と、口頭での報告があると言われた。 「まずは、報告書を頼む」 「はい」 カルラは、渡している書類ケース(容量は増量済み)から、書類の束を出す。 「え?これ?」 「はい。報告書と一緒に、提案書や要望書…
続きを読む2021/01/14
【第四章 ダンジョン・プログラム】第九話 避難訓練
カルラとアルバンとエイダは、俺が出した条件をクリアした。 ギリギリだったようだが、クリアしたのだから、共和国に一緒に行く。 「カルラ。移動手段の準備は?」 「はい。馬車の手配をしています」 「解った。ダンジョンの設定を変えられる魔法(プログラム)を作るから、1週間くらいは自由にしてくれ」 「かしこまりました。アルバンは?」 「おいら?」 「そうだな。エイダにウーレンフートの街を案内してやってくれ、エイダはアルと一緒に街に出て、ダンジョンの外での活動を確認してくれ」 「うん!」「わかりました」 「俺は、奥…
続きを読む2021/01/01
【第五章 マヤとミル】第五話 眷属
ミルは目を覚まさない。魔法陣が消えれば、”起き出す”と言われた。原因は、わかっている。マヤが怒っているのだろう。 心臓は動いている。血色もいい。明日ではなく、今にも起きそうだ。 でも、ミルは起きてこない。 ”マスター” 誰かが呼んでいる。 「ロルフ?」 ”いえ、ロルフ様は、ヒューマと外に出ています” 「外?なにか有ったの?」 ”いえ、定時の見回りです。それと、眷属に接触があった者を向かい入れるための準備をしています” 「ん?あぁロルフがなんか言っていたな・・・」 確か、4-5日前にアイル(スコル(…
続きを読む2021/01/01
【第四章 ダンジョン・プログラム】第八話 DEAREST
兄ちゃんは、俺と姉ちゃんに、一緒に行くための条件(試練)を出してきた。 俺と姉ちゃんは、一緒に行けるものだと思っていた。姉ちゃんは、兄ちゃんと一緒に居なければならないので、出された条件(試練)をクリアするために頑張った。 「アル!」 カルラ姉ちゃんから、指示が出る。 俺が魔物に一撃を加えろというのだろう。だけど、今、使っている武器は一撃ではなく、相手を弱らせて、手数で勝負を有利にすすめるための武器だ。 「解っている!エイダ!」 エイダなら、姉ちゃんからの指示も聞いていて、俺と武器に付与魔法を使って…
続きを読む2020/12/17
【第五章 マヤとミル】第四話 ギルド
「タシアナ!イリメリは?」 「まだ!フェムと一緒に外に出ている!」 「はぁ?それなら、ルナは?」 「金髪(ローザス)に呼び出された。それよりも、今日の面接はどうするの?」 「そっちは、ギルドマスターに頼んだ!」 「わかった。サリーカ。私も・・・」 「あ?!あぁそうだね。お願い」 ギルドは、認知され、活動を開始した。王都が荒れたタイミングでの開業だった。そのために、認知される速度も早かった。 王都に貴族たちが混乱して、暗殺だけではなく、町中での襲撃が発生する自体になっている。 当初は、王都だけで収まって…
続きを読む2020/11/13
【第四章 ダンジョン・プログラム】第七話 ダンジョンが変わった?
ホームのマスターになり、ホームの改革を行い。ホームの旗頭になっていた、シンイチ・アル・マナベがダンジョンに潜ってから1ヶ月以上が経過している。 マスターであるシンイチ・アル・マナベの秘書のカルラがダンジョンから戻ってきて状況を伝えている。 ホームのメンバーたちは、カルラの報告を信じるしか無いが、シンイチ・アル・マナベからの直筆の指示やサインが書かれた書類が手渡されているために、それほど心配はしていない。 ダンジョンの攻略を行い始めたことは、アンチェやヤンチェだけではなく、ダーリオも自らがシンイチ・ア…
続きを読む2020/10/27
【第四章 ダンジョン・プログラム】第六話 カルラからの報告
「クリス!」 「はい。はい。カルラからの報告書が届いています」 「そうか!アルは無事なのだな!」 「アルノルト様が簡単に死ぬはずがありません。ユリウス様。落ち着いてください」 「俺は、落ち着いている。それよりも、アルは何をしている?戻ってくるのか?」 「はぁ・・・。ユリウス様。アルノルト様が、簡単にご自分で決めた道を破棄されるとお考えですか?」 「・・・。解った。報告には、なんと書かれている?」 クリスティーネは、カルラから送られてきた報告書を、ユリウスに渡した。 自分が読んで問題がないのは確認している…
続きを読む2020/10/26
【第五章 マヤとミル】第三話 神殿
「マスター。眷属たちに食事を配り終えました。にゃ」 「ありがとう。ロルフ。マヤの様子は?」 「・・・」 「ロルフ!」 「はいにゃ!神殿に、マヤ様の気配はないにゃ」 「どういうことだ?」 「わからないにゃ」 ミルの首筋を触るが、脈はあるので生きているのは確認できる。鑑定で見てみるが、以前に見た情報と変わっていない。マヤに変わった感じはしていない。 マヤだけが消滅したのか?それなら、ロルフは”気配がない”とは言わない。”消滅した”と説明するだろう。 「ロルフ。どうやって、マヤが”居る”と判断している」 「は…
続きを読む2020/10/18
【第四章 ダンジョン・プログラム】第五話 監視ソリューション
カルラとアルバンとエイダが最下層に挑戦している頃に、俺はダンジョンの監視ソリューションを完成させた。 監視は、それほど難しくは無かった。 プッシュで送られてくるダンジョンからのデータを受信できるポイントを設定して、表示するだけでよかった。よくある、動画を再生する方法と同じだ。 簡単に出来た。ダンジョンが動画を撮影していると仮定してネットワークを繋げてみた。カメラがネットワークカメラとして認識が出来た。 最初は、ネットワークカメラとして認識させた状態で開発を行った。 Motion JPEG のスト…
続きを読む2020/10/18
【第五章 マヤとミル】第二話 ジャイアニズム
魔法陣に光が集まり、強く光りだす。 目を開けていられないくらいに強く光ってから光が明滅した。徐々に、明滅の感覚が長くなっていく、光も弱まっていく。 光だけなのに、肌が刺されたような感覚にとらわれる。 「・・・」 肌を刺す光も弱まり、目が開けられるようになる。 魔法陣には、ミルが立っている。 後ろ姿でも、ミルなのはわかる。 魔法陣の最後の光が消えた。 「ミル!」 ミルが、膝から崩れ落ちるように魔法陣の中で座り込んでしまった。 「ロルフ!」 「わからない。にゃ」 駆け寄って、マヤを抱き寄せるが…
続きを読む2020/10/14
【第四章 ダンジョン・プログラム】第四話 開発!
「エイダ。カルラとアルバンは?」 「今は、レベル4に挑戦しております」 「そうか・・・」 俺と一緒にダンジョンに向かう条件として提示したのは、このダンジョンの階層主と同程度に調整した魔物の討伐だ。 レベル4というのは、40階層にいる魔物たちを倒している最中だということだ。 正直な話をすれば、少しだけ驚いている。 「マスター」 「あぁ」 俺の手が止まっているのをエイダが注意した。 俺は、プログラムを作っている。エイダのバージョンアップだ。エイダは、新しいプログラムがないと固定された状態から解放されな…
続きを読む2020/10/12
【第五章 マヤとミル】第一話 ミルとマヤ
俺たちは、マガラ神殿に帰ってきた。 ミルには、俺の非道な行いも告げている。それでも、ミルは俺に付いてきた。 「リン?」 「あぁいいのか?」 「うん。僕が、リンの役に立てる。最高な気分。一つだけ心残り」 「え?」 「リンに抱いてもらいたかった」 「それは・・・」 「わかっている。でも、リンの説明だと、僕の身体をマヤが使うのだよね?」 「あぁ」 「それなら、リンが抱くのは、僕の身体で、僕だと言ってもいいよね?」 「え?」 「それに、多分、白い部屋で待つことになると思うから、僕がリンに抱かれるところを見られる…
続きを読む2020/10/08
【第四章 ダンジョン・プログラム】第三話 ヒューマノイドベア?
「兄ちゃん!」 「アルか?どうした?」 「今日は、どうするの?カルラ姉から”聞いてこい”と言われた!」 言葉遣いを、カルラから注意されていたが、アルバンの言葉遣いは矯正できていない。俺も、別に気にしないのだが、カルラが最低限の言葉遣いは身につけるべきだと言い続けている。 「あ!そうだ、エイダを連れてくるから、カルラと食堂で待っていてくれ」 「え?新しい、ヒューマノイド?」 「あぁ違・・・。わないけど、違う」 「うん。わからないけど、わかった!」 一度、エイダを連れに戻った。 以前は、部屋から出られなか…
続きを読む2020/10/06
【第四章 マガラ神殿】第十八話 進化
柔らかな感触だ。 たしか、コボルトとゴブリンとオークに名付けを行った。 今までと同じように、長と若頭に名付けを行った。配下の者には、”フリークス”を名乗らせる。 ここまでは覚えている。 コボルトとゴブリンとオークの若頭が進化の眠りに落ちたところで、俺の記憶も途絶えている。 「リン。起きた?」 頭の上から声が聞こえてくる。 「・・・」 「リン?」 「ミル?」 「うん。よかった。急に倒れたから心配だった。なんか、猫が鳴いていたけど、わからなかったから、リンが寝られるように、膝枕した・・・。駄目だった…
続きを読む2020/09/30
【第四章 ダンジョン・プログラム】第二話 エイダ
カルラは、3日後に戻ってきた。 報告を提出して、逃げるように帰ってきたと話してくれた。どうやら、俺が感じているクリスの印象と、カルラが思っている上司としてのクリスは同じベクトルのようだ。最下層の報告を出したので、長く逗まっていると、間違いなく呼び出されるか、詳しい話を聞きにウーレンフートまで来ると考えたようだ。俺も、同意見だ。カルラが逃げるように最下層に戻ってきてくれた。クリスに捕まってしまう可能性は低いとは思うが、 カルラが、地上で報告をしている最中に、アルバンと俺で、訓練場の構築を行った。最下層の…
続きを読む2020/09/28
【第四章 マガラ神殿】第十七話 今後の方針
「リン。それで、今後の方針は?僕のオススメは、アゾレムの領都に乗り込んで、街中に火を放つかな?魔狼で、魔法が使える者に頼めば証拠も残らない」 「・・・。ミトナル。さすがにそれは・・・。それに、アゾレムが苦しまないのは、俺的にはなしだな。火を着けたら、簡単に終わってしまう」 「そうだった。特に、立花は苦しめないと駄目。トラウマが産まれるくらいにしたほうがいい」 「俺も同意見だな。そうだな。この村が盗賊の根城になるのもいいけど・・・。ロルフ!」 『はい。マスター』 「この村に、転移門を設置したり出来るか?」 『…
続きを読む2020/09/25
【第四章 ダンジョン・プログラム】第一話 地下で
「マナベ様?」 カルラが困惑した表情で質問してくる。アルバンは、周りを眺めているが、壁を触って”すげぇ”と騒いでいる。 「とりあえず、二人共、問題はなさそうだな」 「にいちゃん!ここは?」 「ダンジョンの最下層。ボスを倒した後の通路だ。戻ると、ボスの部屋だ」 「本当!」 アルバンは、後ろの扉を開けようとする。カルラが止めようとするが、既に扉に手をかけている。 「アルバン!」 カルラが慌てる。当然だ。 ダンジョンの最下層。それも、ボスの部屋に通じる扉を開けようとしているのだ。 「え?あれ?開かない」 …
続きを読む2020/09/23
【第四章 マガラ神殿】第十六話 告白
「リン。何が有ったの?」 ミルが俺に気を使っているのがわかる。マヤがいないことを、俺に問いかけてこない。それに、魔狼たちの存在も気になっているのだろう。 「ミル。どこまで知っている?」 「え?僕は、さっき説明した通り、リンとマヤがマガラ渓谷に落ちたと聞いて・・・」 「そうか、ナナは何も言わなかったのか?」 「ナナさん?聞いていないよ?なんか、王都に使いを出していたけど・・・」 ミルは、俺から目線を外さない。 「そうか、俺とマヤが、血がつながった兄妹では無いのは?」 「マヤから聞いた。でも、黙っていて欲し…
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