ご都合主義の記事一覧
2021/07/31
【第十章 エルフの里】第九話 エルフの事情
ラフネスは、ヤスとリーゼに事情を説明した。 説明を聞き終えたヤスは頭痛を抑えるような仕草をする。リーゼは、事情がよく飲み込めていないようで、ラフネスとヤスの表情を必死に読み取ろうとしている。 「ラフネス。率直な意見を言っていいか?」 「何を言いたいのか解っていますが、どうぞ?」 「エルフはバカなのか?」 「・・・」 リーゼがヤスの服の袖を可愛らしく引っ張る。 「ねぇヤス。どういうこと?エルフ族が、僕の持っているお金が欲しいってこと?」 「そうだな」 「僕、お金なんて持っていないよ?」 「そうだな。今の…
続きを読む2021/07/31
【第五章 マヤとミル】第十四話 魔力溜まり
「ミル!」 「大丈夫」 魔力溜まりに飲み込まれる状態になっている、ミルの声だけが聞こえてくる。 気のせいかも知れないが、魔力溜まりが小さくなっているように思える。 『マスター?』 「わかっている。周りには魔物は居ないのか?」 『はい。すでに駆逐しました』 「そうか、ありがとう」 魔物が湧いて出る様子もなくなった。周りを警戒していた、眷属たちが戻ってきている。 皆が、小さくなっていく魔力溜まりを見つめている。 5分くらい経って、ミルが顔を出す。 「ミトナルさん?」 「あっ・・・。説明、忘れた」 魔…
続きを読む2021/07/05
【第五章 マヤとミル】第十三話 ミルと狩り?
「リン。おはよう」 「マヤ?」 「うん!」「リン。今日は、マヤが身体を使う」 二人で取り決めでもしたのか? ミルが妖精の姿で、俺の肩に止まる。 「リン。僕。今日は、ロルフと神殿の調整を行うけどいい?」 「え?調整なら俺が行うぞ?それに、言ってくれたら、施設を作るぞ?」 「・・・。リン。僕にやらせて、お願い」 「・・・。わかった。無理するなよ?神殿の調整には魔力を使うぞ」 「うん!大丈夫だよ!ありがとう」 マヤがミルの止まっていない方向から抱きついてきて、頬に唇をあてる。 「マヤ!」 ミルが、俺の耳元…
続きを読む2021/07/05
【第五章 マヤとミル】第十二話 マヤとミル
「ふっふん!いいよ!ミル。リンに確認してもらおう!」「わかった」 マヤがミルの肩に移動している。 二人で一緒に詠唱を始める。 ん?魔法やスキルの呪文ではないな。はぁ・・・。フュ○ジョン?誰の仕込みだ?7つの珠を集めて、ギャルの(以下、自粛)。 光が二人を覆った。眩しいほどではないが、直視していると目が痛くなりそうだ。光は、それほど長い間は光っていなかった。 「え?」 間抜けな声が出てしまったが、しょうがないだろう。 光が収まったところに立っていたのは・・・。 「マヤ!」 それも、全裸の状態に戻…
続きを読む2021/06/17
【第五章 マヤとミル】第十一話 全裸で復活?
「リン!ミルになんてことをするの!僕は、リンと居られるのなら、姿なんてどうでも良かった!リン!聞いているの?」 小さな小さな羽が生えている。不思議な形をした生き物だが・・・。マヤだ。マヤが、俺に話しかけている。 「マヤ」 「リン!僕のことは、いいの!なんで!ミルを犠牲にしたの!僕、本当に怒っているのだよ!」 マヤが、名前を呼んでいる。 手を伸ばす。 「・・・。マヤ。マヤ。マヤ。マヤ。マヤ。・・・」 「え?リン?何?」 マヤを両手で包むようにして、抱き寄せる。 温かい。小さな小さな妖精になってしまっ…
続きを読む2021/05/27
【第十章 エルフの里】第八話 エルフたち
「リーゼ様。ヤス殿。私は、エルフの里長候補の1人で、ペドロと言います」 ヤスを、射殺すような目線で見てから、リーゼに頭を下げながら”ペドロ”と名乗った。ヤスは、面倒な流れだと思いながらも、ペドロを観察し始める。 ヤスの存在は、ペドロの中からは完全に消えていた。リーゼの従者としてしか認識をしていない。 ペドロが、リーゼに美辞麗句を並び立てている所で、ドアがノックされた。 「誰だ!リーゼ様が、この俺様!ペドロ様の話をお聞きしているのを邪魔するのは!」 ヤスは、ペドロから出たこのセリフだけで、目の前に居る…
続きを読む2021/03/25
【第五章 マヤとミル】第十話 依代
「旦那様」 俺が、ミルに魔力を循環させてから、どのくらいの時間が経過しているのか・・・。循環を行っている魔力が、ミルの身体に溶け込むようになった。 「どうした?」 ブロッホが何か慌てだす。 「旦那様。依代を用意したほうがよろしいかと・・・」 「依代?」 「はい・・・」 ブロッホの説明では、 ミルとマヤが、一つの身体に共存しようとして、身体が耐えきれなくなっている。ミルの身体では、2つの魂の入れ物には小さくなってしまっている。俺が、魔力を循環させたことで、ミルの身体の崩壊は止まったのが、マヤとミルの存在…
続きを読む2021/03/22
【第十章 エルフの里】第七話 森の村
砦の門が閉まる寸前に、ヤスたちは到着した。 貰い受けた許可書では、門が閉まっていても通過はできるのだが、ヤスが特例を行使したくないと言って、アクセルを踏み込む力を強めたのだ。 「ふぅなんとか間に合ったな」 「うん。どうする?砦で休むの?」 「俺としては、砦で休むのは避けたい」 「??」 「砦の責任者が、俺に会いたいとか言っていたからな。先を急ぐ用事があると伝えているから、砦でちんたらしていたくない」 「あぁ・・・。そう言えば、守備隊の人が言っていたね」 ヤスと言うよりも、アーティファクトを欲しがってい…
続きを読む2021/03/10
【第十章 エルフの里】第六話 リーゼとヤス
国境に近づいてきて、砦が見えた場所で車を停めた。 「ヤス。なんで?もう砦だよ?許可書もあるから、大丈夫だよ」 リーゼが言っている通り、王都を出る時に許可書をもらっている。許可書があれば、”行き”も”帰り”も検査を受けなくてもいいという最上級な物だ。 「ん?」 ヤスは、砦の入り口を指差す。 砦の関所を超えるための行列が出来ている。ヤスたちが持っている許可書は、行列を無視できる物で、並ぶ必要はない。 「並ばなくてもいいよね?」 「あぁだけど、列を見ると、高級な馬車が見えるだろう?」 「あ?うん」 「ほら…
続きを読む2021/03/07
【第五章 マヤとミル】第九話 執事からの提案
ブロッホが、眷属たちの意見をまとめてくれた。 ロルフも意見をまとめるのを手伝ったようだ。 二人からまとめられた意見をもとに、神殿の内部を変更した。 俺が専用で使う部屋を用意した。マヤとミルが眠っている祭壇の横に作られた。ジャッロやヴェルデやビアンコからの要望だ。俺の部屋が無いのを気にしていた。俺は別に必要ないと思ったのだが、ブロッホから皆が安心するためにも、俺の部屋が必要だと言われた。拠点となるように、寝室と執務室を作った。調度品は、とりあえずはポルタ村から持ってくることに決めたようだ。 寝室の奥…
続きを読む2021/02/17
【第五章 マヤとミル】第八話 執事と施設と
施設の調整を行って、一息ついていたところに、ロルフと老紳士が入ってきた。 ロルフは、入り口で立ち止まったが、老紳士が俺の前まで来て綺麗な所作で跪いた。 「旦那様」 ブロッホ(黒竜)だと言うのは解っているが、理解が追いつかない。髪が長かったはずが、短く切りそろえている。白髪が老紳士を演出している。服装も、ポルタ村では絶対に無かった服装だ。貴族家の執事が着ているような服を身にまとっている。 「え?ブロッホ?」 「はい。旦那様。ロルフ様から、旦那様に仕えるなら、執事の格好にしたほうが、違和感が少ないと教えら…
続きを読む2021/02/01
【第十章 エルフの里】第五話 道中(神殿→王都→国境の砦)
「ねぇヤス・・・」 「駄目だ!」 「まだ何も言っていないよ?」 「解っている。FITを運転したいのだろう?駄目だ。リーゼの運転は、粗い。もっと、ブレーキをしっかりと操れるようにならなければ、荷物を運ばせられない」 「うぅぅぅ。だって、アクセルを踏み込んだ方が速いよ?」 「そうだな。最高速は出せるだろうけど、ラップタイムは遅くなるな」 「う・・・」 「リーゼ。モンキーだと、イチカに負けるよな?」 「・・・。うん。でも、それはイチカの方が、体が軽いから・・・」 「でも、俺はイチカに完勝できるぞ?」 「それは、ヤ…
続きを読む2021/02/01
【第五章 マヤとミル】第七話 眷属長?
「わかった。味方は欲しい」 ”ありがとうございます” オーガには、ラトギの名を与えた。黒竜には、ブロッホの名を与えた。 ブロッホは、ワイバーンを眷属にしていたために、その者たちも眷属に加わる。 ラトギは進化の兆しが見えた為に、ヒューマに命じて里に移動させた。 ブロッホは進化を抑え込んだようだ。種族的な進化はしなかったが、スキルが大幅に進化して、ブロッホは”人化”できるようになった。 「リン様」 全裸の状態で、俺の目の前で跪いているブロッホが居る。 どうしていいのか迷っていると、人化を解いて竜に戻…
続きを読む2021/01/17
【第五章 マヤとミル】第六話 来訪者
暖かい(温かい)食事だ。心にある澱みが消えていく感覚だ。 どのくらいの時間が経過したかわからないが、リンの周りには眷属たちが嬉しそうな表情で集まっている。 照れ隠しなのか、近くにいた眷属に話しかける。 「そういえば、ロルフは?」 「まだ、お帰りになっていません」 「そうか・・・。困ったな」 「マスター。何に、お困りなのですか?」 ”困った”というセリフがリンの口から出た事で、眷属たちは一気に緊張の度合いを高める。 ヴェルデ(ゴブリン)だけではなく、話を聞いていた、ビアンコ(コボルト)やジャッロ(オ…
続きを読む2021/01/17
【第十章 エルフの里】第四話 出発
ヤスの準備は終わったが、リーゼの準備が終わらなかった。 主に、アフネスとラナからの説教が原因だ。 「アフネス。ラナ。確かに、リーゼは準備を、ファーストに投げて、カートで遊んでいた」 リーゼは、ヤスがイワンとテントの打ち合わせに行っているときに、カート場でカイルとカート勝負をしていた。リーゼにも言い分はあった。 「ヤス!」 「”しばらく旅に出る”とカイルに話したら、勝負を挑まれた」 「うん。うん。僕は悪くない!」 「別に、私たちは、カートで遊んでいたのが悪いと言っているのではないのですよ!」 「リーゼ。…
続きを読む2021/01/10
【第十章 エルフの里】第三話 準備
「リーゼ。モンキーはどうする?」 「え?ヤスに任せるよ?」 エルフの里に向かう事が決定してから、リーゼは機嫌がよくなっている。地下に出入りできるようになってからは、輪をかけて機嫌がいいのだ。 ヤスとリーゼはエルフの里に向かう準備を行っている。食料は、ツバキたちが準備をしてくれている。移動距離は、マルスの計算では片道1,200キロで、移動時間の目安は、36時間と算出された。野営は、5回を予定している。王国内なら、ヤスの使うアーティファクトは知られているので、街に入って宿を利用する方法も考えられるが、王国か…
続きを読む2021/01/06
【第十章 エルフの里】第二話 ラナからの依頼
朝食をリビングで食べて、食後の珈琲を飲んでいるヤスに、セバスが会釈してから今日の予定を説明した。 「そうか、今日は荷物の運搬はないのだな?」 「ございません」 「他に仕事の依頼は?」 「ギルドからの依頼は、割り振りが全て終了しております」 「わかった。1-2週間なら時間が空けられそうか?」 「緊急依頼が入らなければ、依頼の割り振りは可能です」 「そうか、ディアナでしか運べないような依頼は俺が担当しなければならないか・・・」 「はい。しかし、旦那様でしか運べない物は、もともと”運べない”ものです。ダメ元で依…
続きを読む2021/01/01
【第五章 マヤとミル】第五話 眷属
ミルは目を覚まさない。魔法陣が消えれば、”起き出す”と言われた。原因は、わかっている。マヤが怒っているのだろう。 心臓は動いている。血色もいい。明日ではなく、今にも起きそうだ。 でも、ミルは起きてこない。 ”マスター” 誰かが呼んでいる。 「ロルフ?」 ”いえ、ロルフ様は、ヒューマと外に出ています” 「外?なにか有ったの?」 ”いえ、定時の見回りです。それと、眷属に接触があった者を向かい入れるための準備をしています” 「ん?あぁロルフがなんか言っていたな・・・」 確か、4-5日前にアイル(スコル(…
続きを読む2020/12/17
【第五章 マヤとミル】第四話 ギルド
「タシアナ!イリメリは?」 「まだ!フェムと一緒に外に出ている!」 「はぁ?それなら、ルナは?」 「金髪(ローザス)に呼び出された。それよりも、今日の面接はどうするの?」 「そっちは、ギルドマスターに頼んだ!」 「わかった。サリーカ。私も・・・」 「あ?!あぁそうだね。お願い」 ギルドは、認知され、活動を開始した。王都が荒れたタイミングでの開業だった。そのために、認知される速度も早かった。 王都に貴族たちが混乱して、暗殺だけではなく、町中での襲撃が発生する自体になっている。 当初は、王都だけで収まって…
続きを読む2020/10/26
【第五章 マヤとミル】第三話 神殿
「マスター。眷属たちに食事を配り終えました。にゃ」 「ありがとう。ロルフ。マヤの様子は?」 「・・・」 「ロルフ!」 「はいにゃ!神殿に、マヤ様の気配はないにゃ」 「どういうことだ?」 「わからないにゃ」 ミルの首筋を触るが、脈はあるので生きているのは確認できる。鑑定で見てみるが、以前に見た情報と変わっていない。マヤに変わった感じはしていない。 マヤだけが消滅したのか?それなら、ロルフは”気配がない”とは言わない。”消滅した”と説明するだろう。 「ロルフ。どうやって、マヤが”居る”と判断している」 「は…
続きを読む2020/10/24
【第十章 エルフの里】第一話 状況確認
神殿の領域は(・)静かな時間が流れている。 今日は、神殿の各村の代表と各部署の責任者を集めた会議が行われている。 神殿を取り巻く情勢が落ち着いてきたので、後始末と今後の対応を含めた話し合いを行っている。 会議の冒頭で、状況をマルスが皆に説明している。 サンドラやアーデベルトやドーリスは知っていることも多かったが、状況を全ては把握していない。当初は、認識合わせを行おうとしたのだが、ヤスが”神殿として認識している”事実をベースに考えたいと説明したことで、皆がマルスの話を聞いてから、後始末と各自に来てい…
続きを読む2020/10/18
【第五章 マヤとミル】第二話 ジャイアニズム
魔法陣に光が集まり、強く光りだす。 目を開けていられないくらいに強く光ってから光が明滅した。徐々に、明滅の感覚が長くなっていく、光も弱まっていく。 光だけなのに、肌が刺されたような感覚にとらわれる。 「・・・」 肌を刺す光も弱まり、目が開けられるようになる。 魔法陣には、ミルが立っている。 後ろ姿でも、ミルなのはわかる。 魔法陣の最後の光が消えた。 「ミル!」 ミルが、膝から崩れ落ちるように魔法陣の中で座り込んでしまった。 「ロルフ!」 「わからない。にゃ」 駆け寄って、マヤを抱き寄せるが…
続きを読む2020/10/15
【第九章 神殿の価値】第二十七話 ハインツノート2
王国内が再編されている状態にも関わらず、僕や父上は王都から離れられない。 毎日ではないが会議が行われている。神殿の主の協力(アーティファクト)が必要になる前提ではあるが、物資の輸送が可能になり、生産調整が必要になってしまっているのだ。派閥内で調整は可能だが、派閥に属さない貴族家への配慮も必要になる。もちろん、王家の直轄領や公爵家へ配慮も同様だ。輸送に適さない物は、近隣で調整すればよかったが、長距離搬送が可能になり状況が変わった。 神殿の主が提供するアーティファクトは、神殿に住まう者が教習を受けて運用が…
続きを読む2020/10/13
【第九章 神殿の価値】第二十六話 ハインツノート1
僕の名前は、ハインツ。クラウス・フォン・デリウス=レッチュ辺境伯の長子だ。 ”俺”という一人称を使ったり、”私”と言い換えてみたりしているが、”僕”が一番しっくりと来る。 今の僕の役割は、妹のサンドラからくる情報を、父や派閥の長(陛下)に伝えるのが仕事になっている。 こんな状況になってしまったのには理由がある。 僕の弟である、ランドルフの問題行動に起因している。 最初に話を、サンドラから聞いた時には、僕が自ら手を汚して殺してやろうかと思った。 サンドラの機転と、神殿の主の温情によって救われた。…
続きを読む2020/10/12
【第五章 マヤとミル】第一話 ミルとマヤ
俺たちは、マガラ神殿に帰ってきた。 ミルには、俺の非道な行いも告げている。それでも、ミルは俺に付いてきた。 「リン?」 「あぁいいのか?」 「うん。僕が、リンの役に立てる。最高な気分。一つだけ心残り」 「え?」 「リンに抱いてもらいたかった」 「それは・・・」 「わかっている。でも、リンの説明だと、僕の身体をマヤが使うのだよね?」 「あぁ」 「それなら、リンが抱くのは、僕の身体で、僕だと言ってもいいよね?」 「え?」 「それに、多分、白い部屋で待つことになると思うから、僕がリンに抱かれるところを見られる…
続きを読む2020/10/09
【第九章 神殿の価値】第二十五話 神殿攻略の余波
朝から、イーリスとサンドラは、不機嫌を隠さないで来る”客”の対応を行っていた。 想像通りだった。 神殿の迷宮区が”一般公開”されて、皆が考えている状態になった。ヤスというよりも、マルスの読みどおりに、面白いように王国内の貴族が喰い付いた。それだけではなく、教会も前のめりになるくらいに喰い付いてきた。帝国も皇国も喰い付いてきた。 続々と軍を送り込んでくる愚か者たちの相手を、ヤスがするわけがなく、ギルドの代表としてイーリスと辺境伯から委任される形でサンドラが行っている。 「ですから!何度もお伝えしている…
続きを読む2020/10/06
【第四章 マガラ神殿】第十八話 進化
柔らかな感触だ。 たしか、コボルトとゴブリンとオークに名付けを行った。 今までと同じように、長と若頭に名付けを行った。配下の者には、”フリークス”を名乗らせる。 ここまでは覚えている。 コボルトとゴブリンとオークの若頭が進化の眠りに落ちたところで、俺の記憶も途絶えている。 「リン。起きた?」 頭の上から声が聞こえてくる。 「・・・」 「リン?」 「ミル?」 「うん。よかった。急に倒れたから心配だった。なんか、猫が鳴いていたけど、わからなかったから、リンが寝られるように、膝枕した・・・。駄目だった…
続きを読む2020/09/28
【第四章 マガラ神殿】第十七話 今後の方針
「リン。それで、今後の方針は?僕のオススメは、アゾレムの領都に乗り込んで、街中に火を放つかな?魔狼で、魔法が使える者に頼めば証拠も残らない」 「・・・。ミトナル。さすがにそれは・・・。それに、アゾレムが苦しまないのは、俺的にはなしだな。火を着けたら、簡単に終わってしまう」 「そうだった。特に、立花は苦しめないと駄目。トラウマが産まれるくらいにしたほうがいい」 「俺も同意見だな。そうだな。この村が盗賊の根城になるのもいいけど・・・。ロルフ!」 『はい。マスター』 「この村に、転移門を設置したり出来るか?」 『…
続きを読む2020/09/23
【第四章 マガラ神殿】第十六話 告白
「リン。何が有ったの?」 ミルが俺に気を使っているのがわかる。マヤがいないことを、俺に問いかけてこない。それに、魔狼たちの存在も気になっているのだろう。 「ミル。どこまで知っている?」 「え?僕は、さっき説明した通り、リンとマヤがマガラ渓谷に落ちたと聞いて・・・」 「そうか、ナナは何も言わなかったのか?」 「ナナさん?聞いていないよ?なんか、王都に使いを出していたけど・・・」 ミルは、俺から目線を外さない。 「そうか、俺とマヤが、血がつながった兄妹では無いのは?」 「マヤから聞いた。でも、黙っていて欲し…
続きを読む2020/09/17
【第九章 神殿の価値】第二十四話 住民代表会
ヤスの宣言を、大木の都(ヒュージツリーラント)の代表者で協議した。 実行してもいいだろうと賛成したのは、アフネスとサンドラとルーサとイワンとラナだ。反対したのは、エアハルトとドーリスだ。意見を保留したのは、ヴェストとデイトリッヒだ。デイトリッヒは、冒険者の取りまとめとして参加している。ラナは、住民の代表として参加した。 賛成した者の意見は、別段反対する理由がないという意見だ。アフネスはユーラットに溜まっている貴族からの間者が居なくなれば嬉しいという考えが根本にある。サンドラは、うるさい貴族の問題が片付…
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