異世界の記事一覧
2021/07/05
【第五章 マヤとミル】第十二話 マヤとミル
「ふっふん!いいよ!ミル。リンに確認してもらおう!」「わかった」 マヤがミルの肩に移動している。 二人で一緒に詠唱を始める。 ん?魔法やスキルの呪文ではないな。はぁ・・・。フュ○ジョン?誰の仕込みだ?7つの珠を集めて、ギャルの(以下、自粛)。 光が二人を覆った。眩しいほどではないが、直視していると目が痛くなりそうだ。光は、それほど長い間は光っていなかった。 「え?」 間抜けな声が出てしまったが、しょうがないだろう。 光が収まったところに立っていたのは・・・。 「マヤ!」 それも、全裸の状態に戻…
続きを読む2021/06/22
【第二章 帰還勇者の事情】第十七話 磨いた牙
「ユウキくん。本当に、この条件でいいのか?」 佐川は、ユウキから渡された書類を見ながら、質問を重ねていた。最終確認という意味を込めて、ユウキに言葉をぶつける。 「構いませんよ。近くの方が、いろいろと便利でしょ。その代わり」 「わかっている。各国の研究者との窓口は引き受けよう」 佐川が欲しいと思っていた、ポーションの素材をユウキが渡す条件を入れている。 ユウキが佐川に頼んだのは、各国の研究所から上がってくる研究結果の取りまとめだけではなく、日本国内のうるさい連中への対応を任せた。特にうるさいのは、記者会…
続きを読む2021/06/18
【第二章 帰還勇者の事情】第十六話 朝倉比奈
私は、ヒナ。日本にいた時には、”朝倉(アサクラ)比奈(ヒナ)”と名乗っていた。 レイヤやユウキやサトシやマイや弥生と一緒に異世界(フィファーナ)に召喚された。フィファーナでの話は、悲しいことも多かったが、楽しいことも多かった。日本に居た時と違って、自分たちでできることが増えたのが一番の理由だ。 リーダは、サトシだが、実質的なリーダがユウキなのは皆がわかっていることだ。 ユウキには、日本に戻ってやりたいことが有った。私とレイヤにもやりたいこと・・・。知りたいことがある。 ユウキは、自分のことを棚上げ…
続きを読む2021/06/17
【第五章 マヤとミル】第十一話 全裸で復活?
「リン!ミルになんてことをするの!僕は、リンと居られるのなら、姿なんてどうでも良かった!リン!聞いているの?」 小さな小さな羽が生えている。不思議な形をした生き物だが・・・。マヤだ。マヤが、俺に話しかけている。 「マヤ」 「リン!僕のことは、いいの!なんで!ミルを犠牲にしたの!僕、本当に怒っているのだよ!」 マヤが、名前を呼んでいる。 手を伸ばす。 「・・・。マヤ。マヤ。マヤ。マヤ。マヤ。・・・」 「え?リン?何?」 マヤを両手で包むようにして、抱き寄せる。 温かい。小さな小さな妖精になってしまっ…
続きを読む2021/06/03
【第二章 帰還勇者の事情】第十五話 拠点
見世物は、休憩の後から加速していった。 大手が居なくなってくだらない協定や序列や忖度がなくなった。外国人の記者だけではなく、ネット系の記者たちも、ユウキたちに疑問をぶつけた。 スキルの質問は、ユウキが受けて実際に持っているスキルの中で、安全だと思えるスキルは、実演を行うことにした。 外国人の記者からは、暗殺や毒物に関するスキルに質問が集中したが、”出来ない”と返答する場面が多かった。それを信じるかどうかは、記者や読者に任せるしか無い。しかし”公”には、”出来ない”ことにしておく必要がある。 早く移…
続きを読む2021/06/02
【第二章 帰還勇者の事情】第十四話 マスコミ
「ユウキ!」 アロンソが、嬉しそうな顔でユウキに駆け寄ってきた。 休憩時間が、休憩時間になっていないのは、問題ではないようだ。 「ん?」 「ポーションの提供は、ミスター佐川から説明があった本数を考えてくれるのか?」 「説明?」 「初級が4本と中級が4本だ」 「佐川さんから、検証にはその本数が必要だと言われた」 「そうか・・・。ユウキ。俺たちは、違うな。研究所が、初級ポーションに500ドル。中級ポーションに1万ドルの支払いをする用意がある」 「え?」 「それに、検証の結果や研究結果は、全ての研究所で公開す…
続きを読む2021/06/01
【第二章 帰還勇者の事情】第十三話 見世物
ポーションの確認を終えて、記者会見をしていた会場に戻ってきたら、記者の数が半分になっていた。ポーションの確認から外された最前列に陣取っていた記者たちが、帰ってしまっていた。機材を抱えていた者も半数が帰っているので、会場で待っている者の数も減ってしまっていた。 司会が状況を説明しているが、それでも詰め寄る者は存在していた。 ”弾かれた”記者たちだ。残っていた者たちには、佐川から動画が送られることで落ち着いた。佐川の研究資料が付いているので、記事にするのには十分な資料になる。 森田と14番にも群がった。…
続きを読む2021/05/29
【第二章 帰還勇者の事情】第十二話 記者会見.3
視線が集中する記者は、番号札を投げ捨てて、出口に向かう。 司会が、冷静に指摘する。 「○○新聞の飯島さま。先程の質問が終わっておりませんが?」 「ふざけるな!俺は、こんな茶番に付き合うのは、馬鹿らしいと思ったから、帰る!」 「そうですか、○○新聞は、お帰りになるということですね。ご自身がされた質問に対する真偽を確認しないで、一方的にこちらを・・・。生還者たちを悪者にした状態で退場されるのですね」 飯島と名乗った男は、一度だけ振り向いたが、そのまま会場から出ていった。 「質疑が途中になりましたが、何方か…
続きを読む2021/05/27
【第二章 帰還勇者の事情】第十一話 記者会見.2
「それでは、記者会見を始めます。始めに、生還者の情報を・・・」 司会が、ユウキたちの情報を話し始める。 記者たちには、事前に情報として渡されているが、名前を呼ばれるときに立ち上がるだけでも、情報としては十分なのだろう。 10分ていどかかって、ユウキたちの諸元が発表された。 記者たちが黙って聞いているのには理由があった。まずは、ユウキたちが未成年だったことが大きな問題だ。ユウキたちは、記者会見で語られた情報に関しては公にしても問題はないと伝えている。しかし、姿かたちに関しては明言されていない。 そこ…
続きを読む2021/05/27
【第十章 エルフの里】第八話 エルフたち
「リーゼ様。ヤス殿。私は、エルフの里長候補の1人で、ペドロと言います」 ヤスを、射殺すような目線で見てから、リーゼに頭を下げながら”ペドロ”と名乗った。ヤスは、面倒な流れだと思いながらも、ペドロを観察し始める。 ヤスの存在は、ペドロの中からは完全に消えていた。リーゼの従者としてしか認識をしていない。 ペドロが、リーゼに美辞麗句を並び立てている所で、ドアがノックされた。 「誰だ!リーゼ様が、この俺様!ペドロ様の話をお聞きしているのを邪魔するのは!」 ヤスは、ペドロから出たこのセリフだけで、目の前に居る…
続きを読む2021/05/26
【第二章 帰還勇者の事情】第十話 記者会見.1
ユウキは、記者会見が始まるギリギリまで、佐川に捕まっていた。 佐川からの質問攻めに少しだけ・・・。本当に、少しだけ面倒に思い始めていた。 「ユウキ君。時間だ」 今川が、ユウキに声をかける。 ユウキは、少しだけ”ほっと”した表情をする。 「わかりました。佐川さん。それでは・・・」 「今川君!記者会見の時間は、もう少しだけ後だと思うが?」 ユウキは、信じられないことを言い出す佐川の顔を二度見してしまった。 確かに時計を見ると、1時間くらいの余裕はある。それに、記者会見には佐川も出席する予定だと教えら…
続きを読む2021/05/19
【第二章 帰還勇者の事情】第九話 邂逅
「ユウキ!」 「あっ今川さん。どうしました?」 「どうしたじゃない。お前こそ・・・」 息を切らしながら今川は、ユウキに駆け寄ってきた。 「あぁ皆さん。疲れが溜まっているのか、寝てしまいましたよ。部屋も寒かったから、冬眠でもしたのでしょうかね?」 「・・・。お前・・・。まぁいい。本当に悪かった。上にも文句を言ったけど、その上の上から無理矢理押し込まれた」 「大丈夫ですよ。ポーションを公にしたら、湧いて出てくるのは想定していました。台所に居る黒い虫と同レベルですよね」 「そうか・・・。次は、大丈夫だ。本当に、…
続きを読む2021/05/17
【第二章 帰還勇者の事情】第八話 前哨戦
「ユウキ。会見の場所はわかるのか?」 「サトシ・・・。マイ。任せた」 「はい。はい。サトシ。場所は、この前、皆で見に行ったでしょ?」 「え?どこ?」 「はぁ・・・」 皆が笑い出すが、サトシは本当にわからないという表情をしている。 マイやユウキも悪い。記者会見を行う場所を、見に行ったわけではなく、近くの公園から記者会見を行う建物を見ただけだ。 「ユウキ。今日は、公共機関を使うのだろう?バラバラに行くのか?」 「いや、俺とサトシ以外は、偽装した状態で、纏まっていこう」 都内の(オリビアが熱烈に希望した)秋…
続きを読む2021/05/14
【第二章 帰還勇者の事情】第七話 雑誌
今川が手掛ける記事が掲載された雑誌が店頭に並んだ。 スクープ記事なのは間違いではない。しかし、世間の意見は2:8に分かれた。好意的な意見としては、子どもたちが集団催眠に有っているのだという考えだ。しかし、それでも、アメリカやドイツで行方不明になった子供が日本で発見された説明にはなっていない。 大手マスコミも雑誌が発売された当日に、ユウキたちに接触を試みたが、どこに居るのか調べたが、所在は不明な状態になっていた。 「おい。ユウキ!」 『あっ今川さん。なんでしょうか?見世物(記者会見)の日取りにはまだある…
続きを読む2021/05/13
【第二章 帰還勇者の事情】第六話 取り巻く状況
ユウキたちが、地球に帰還してから、数日が経過していた。 レナートは、特に王城は火が消えたような状態になっていた。 「お父様?」 「セシリアか・・・」 「どうされたのですか?」 「騒がしかった日々が懐かしくて・・・」 「そうですね。でも、ユウキ様は約束通りに・・・」 「そうだが・・・。そうだ、セシリア。ユウキからの”お願い”はどうするのだ?」 「受けます。ユウキ様だけではなく、サトシ様やマイ様のご両親ですよ?」 「そうだな。儂も、ユウキたちの”チキュウ”での両親に会って話をしたい」 「はい」 セシリアは…
続きを読む2021/05/12
【第二章 帰還勇者の事情】第五話 記者
俺は、週刊誌のしがない記者だ。政治や経済に関するゴシップを得意としていた。 少し前に、話題になった集団失踪事件が発生した施設の院長から連絡をもらってから、俺の日常は変わった。 「今川さん?」 俺の前に座っているガキ・・・。いや、新城裕貴(ユウキ)から発する覇気というのか、存在感が・・・。大物政治家や経済界のトップと会った時と同じ・・・。いや、それ以上に圧力を感じる。 「おっおぉ。ユウキでいいのだよな?」 「はい。新城は、捨てた名字ですし、記事では”ユウキ”でお願いします」 「わかった」 「それで?」 …
続きを読む2021/05/08
【第二章 帰還勇者の事情】第四話 今後
「エリク?」 「ユウキは、説明で忙しいだろうし、サトシは無理だろうし、レイヤはユウキのフォローに回っているだろうと、皆が俺に連絡してきた」 「それは、妥当な判断だが・・・。違う。同じというのは、眠っている場所に連れて行けということか?フィファーナだぞ?」 「異世界だと説明して、魔物が居るし、危険な状況になっている可能性も伝えたそうだが・・・」 「無駄じゃな。ユウキたちには悪いが、行って帰ってこられると聞いて、親が眠っている子供に会いに行かない選択肢を選ぶはずがない」 「そうね。ユウキ?どうなの?私たちを連れ…
続きを読む2021/05/07
【第二章 帰還勇者の事情】第三話 父と母
ユウキたちは、食堂に入った。 自分たちの席がまだ残されている状況が嬉しかった。 マイとヒナが、弥生の席に遺品を置いた。皆の辛そうな表情を、老紳士(父)が更に辛そうな表情で見つめる。 「エリク君とアリスちゃんは、好き嫌いは大丈夫かい?」 奥から、老婦人(母)の声がする。 「大丈夫です!」「私も、大丈夫」 「わかった。マイ。ヒナ!」 「はい!手伝う」「手伝う」「あっ私もできることは少ないけど手伝います」 マイとヒナとアリスは、これから話が開始される弥生の話を一緒に聞く気分にはなれない。 ユウキたちも…
続きを読む2021/05/01
【第二章 帰還勇者の事情】第二話 帰省?
時刻は、午前2時を過ぎている。 「さて・・・」 「行くのか?」 「あぁ俺が一人で様子を見てくる」 「・・・。ユウキ?」 「サトシ。頼む。向こうについたら、念話で知らせる」 「わかった」 サトシは、ユウキについていくつもりで居たのだが、この場所を頼むと言われて、承諾してしまった。サトシが残ると決めた以上、他の者がユウキには付いていかない。ユウキなら、一人でも大丈夫だという安心感がある。サトシは、一人にすると何をしでかすかわからない怖さを持っている。 「行ってくる」 ユウキが、身体強化のスキルを発動した。…
続きを読む2021/04/28
【第二章 帰還勇者の事情】第一話 帰還
最後になったが、ユウキとサトシとマイが浜石岳のいつもの場所に転移してきた。 魔法陣の周りには、先に地球に来ていた勇者たちが待っていた。 勇者たちは、日本で10日ほど過ごすことにしている。 世界中で、子(・)供(・)が消えたという報道は、されていない。消えたのが、孤児が中心のために、消えてから3ヶ月程度の時間が経過していても、騒いでいる国は少ない。 「さて、ひとまず10日後に、集まろう。念話はオープンにしておくけど、”時差”を考えてくれよ!」 ユウキの宣言に、皆がうなずく。 これから、辛い現実を告…
続きを読む2021/04/26
【第一章 勇者の帰還】第十話 勇者の帰還
ユウキたちは、レナート王国の各地を回る者と、ユウキと一緒に地球に行って、スキルの検証を行う者に分かれた。 皆も、スキルの検証には前向きだ。地球とレナートで連絡が取れる可能性が出てきたからだ。 特に、残留組が積極的だ。偶然なのか、スキルの構成が残留組と帰還組に分散している。ユウキが帰還組なのを、残留組が気にしている(主にサトシ対策として・・・)。セシリアとマイからも、ユウキとの連絡方法の確立だけはお願いされていた。 地球とフィファーナとのスキルを使った連絡は出来なかった。 アリスが認識できる魔力の繋…
続きを読む2021/04/21
【第一章 勇者の帰還】第九話 帰還の為に
残留組が地球で行った検証結果を聞いて、帰還組もスキルの検証を行ってから、今後の作戦を考えることになった。 特に、アリスのスキルは、フィファーナの防衛に関わってくる部分だ。 まずは、アリスとエリクをだけを連れて、地球に行くことになった。 3人だけなら、すぐに戻ってこられると考えたからだ。残留組で、港に転移できる者が、アリスの眷属を見守る。 アリスが、地球に戻ったことで、解除されないか調べるためだ。 「アリス。エリク。準備はいいか?」 二人は、自動調整が付与された服に着替えた。サトシの話を聞いて、必…
続きを読む2021/04/20
【第一章 勇者の帰還】第八話 残留組の検証
「ユウキ?マイは?」 「・・・。あぁそうか、サトシは、知らないのだったな。すぐに戻ってくるだろうから、マイに聞けよ。俺からは、それしか言えない」 「・・・。わかった・・・」 サトシは、口では解ったと言っているが、納得していないのは表情を見れば解る。 「はぁ・・・。あとで、マイに聞けよ」 「あぁ」 「マイが、俺たちとは違うのは理解しているよな?」 「あぁ」 サトシもユウキも片親だったが、サトシは親が病死して施設に入った。ユウキは、親が事故死して施設に入った。 マイは、両親が揃って事件に巻き込まれる形で亡…
続きを読む2021/04/19
【第一章 勇者の帰還】第七話 残留組の探索
「ふぅ・・・」 ユウキは、前回と同じ浜石岳のキャンプ場に転移した。 周りを見回すと、全員が揃っている。 (魔力は大丈夫だな。すぐの発動は無理だけど、ポーションを飲めば回復できる量だ) 「ユウキ!大丈夫?」 「マイ?すごく、可愛くなって・・・」 「ユウキには言われたくない!それよりも、魔力は大丈夫?14人、全員はきつかった?」 「大丈夫だ。魔力は3/5程度消費したから、全員は無理だな。14人が限界だと思う」 「そう・・・。どのくらいで回復しそう?」 「予想通り、1時間ってところだな」 「え?」 よこから…
続きを読む2021/04/17
【第一章 勇者の帰還】第六話 残留組の帰還
「それじゃ、地球に行って帰ってくるか!」 サトシが場の空気が湿っぽくなったのを感じて、立ち上がった手をたたきながら、皆を鼓舞するように大きな声で宣言する。 「ハハハ。サトシだな」 ユウキの声をきっかけに皆が笑いながらも立ち上がった。 29名の勇者たちは、こうやって立ち上がってきた。29人になってしまった日に、仲間が傷ついた日に、勇者の中の勇者と言われる”サトシ”は皆を鼓舞してきた。ユウキには出来ない。だから、サトシがリーダーなのだ。 「陛下。将軍。作戦の詳細は、後日に決めましょう。まずは、国内が大丈夫…
続きを読む2021/04/16
【第一章 勇者の帰還】第五話 報告(偵察)
将軍が、ユウキが持ってきた物を預かることでユウキの話は終わった。 休憩を挟んで、勇者たちがマイの召喚した”ゴーレムのような物”を使って偵察を行った内容の報告が始まる。 マイから報告が始まって、2時間ほどの時間を使って偵察内容の報告が行われた。 レナート王国にあるギルドが得ている情報は、将軍がある程度は引き出してきてくれていた。 勇者や聖職者や権力者が多くいる場所が狙われたようだ。 「ユウキ。どう思う?」 サトシが、皆の話を黙って聞いていたユウキに話を振る。 「なぁマイ。魔物たちの種類は?皆の話だ…
続きを読む2021/04/15
【第一章 勇者の帰還】第四話 報告(ユウキ)
(さて、2時間が経過したようだな。これ以上、降りると人に見られる可能性があるな) ユウキは、浜石岳から降りてきている。途中にある小学校の跡地まで降りてきた。 生命探知で人を避けてきたが、難しくなってきていると感じていた。目的だった廃棄されているペットボトルも確保できた。同時に、アルミ缶やスチール缶も確保出来た。レナート王国に居る鍛冶屋に見せて加工が可能なのか確認したいと思っていた。 (少しだけ時間をずらしてみるか?) ユウキは、元学校の道路から死角になっている場所で、スキルを発動する。 レナート王国…
続きを読む2021/04/14
【第一章 勇者の帰還】第三話 偵察
「どこでやる?」 マイのスキルは、テイムではない。他に適切なスキル名がないので、召喚と言っているが、フィファーナにあった召喚スキルとも違う。 魔力で、マイが思い描く”動物”や”昆虫”や”魔物”を作り出せる。魔力で作り出した物は、意識が有るわけではない。そのために、マイが動かすのだが、同時に動かすことができる物には限界がある。 魔力で出来た”ゴーレムのような物”だが、魔力は譲渡できる特性を利用して、制御を他人に任せることができるのではないかと考えたのが、ユウキだ。 マイとユウキで、”ゴーレムのような物…
続きを読む2021/04/13
【第一章 勇者の帰還】第二話 情報収集
「エリク様。それでは、我が国の商隊は?」 「外に出る必要があるのか?」 「え?」 「それに、陸路はたしかに封鎖された状態だが、海路は確保されているぞ?」 視線が、アリスに移動する。 「うん。僕のペットたちは、渡してある”旗”を持っていけば沈めないよ」 「アリス様。あの旗のマークに意味が有るのですか?」 「あぁ・・・。それも、ユウキの指示だけど、マークには意味は無いよ。旗の素材が大事」 「え?なんで・・・。面倒では?」 「うん。面倒だけど、あのマークを見れば、召喚勇者で、よほどのバカでなければ、意味がわかる…
続きを読む2021/04/12
【第一章 勇者の帰還】第一話 レナート王国
ユウキが転移に使った魔法陣が消えてから、勇者たちは移動を開始した。 王城の離れにある勇者たちの荷物が置かれている屋敷だ。 舞踏会が行われる場所だったのだが、勇者たちに与えられて、改良して今は40人ほどが一度に会議ができる場所になっている。 座る場所も決まっている。 上座には、サトシが座る。マイとセシリアが両脇を挟む格好になる。 サトシは、正面にある空席を見つめる。誰もが、座りたがらなかったサトシの正面は、ユウキの席だ。 29名で、レナート王国に流れ着いてから、誰一人として欠けなかったのは、皆の…
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