異世界の記事一覧
2022/09/28
【第四章 発展】第四十五話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ オリヴィエと、フィリーネを加えた。ダンジョン探索は、ピクニックのようになっている。 30階層程度では、俺が指示する事なく、オリヴィエが突っ込んでく、それを、ウミがサポートする。取りこぼしを、カイとライが始末する。 俺は、フィリーネと一緒に後ろで見ているだけだ。 踏破済みのダンジョンだし、下層への道もわかっているので、サクサク進む事にする。 皆には、目的のスキルカードを伝えてある”レベル7回復”だ。あと、出たら嬉しいのが、レベル8偽装とレベル8完全地図だ。 俺の予…
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【第四章 発展】第四十四話
/*** カズト・ツクモ Side ***/ リーリアを送り出した。 イサーク殿たちがついていってくれるとは思わなかった。道中で、リーリアの事を鍛えてくれると言っていた。確かに、スキル全開で戦えば、リーリアの方が強いだろうが、剣技の経験では、リーリアは敵わないだろう。 リーリア・・・俺たちにとっても、有意義な事だろう。 俺に対して、遠慮があった事も、リーリア相手なら言えるようだ。念話で逐次報告が上がってくる。それらに対して、許可を出していく。 スーンが、イサークたちに語ったようだが、獣人たちは、獣人たちで独…
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【第四章 発展】第四十三話
/*** カスパル=アラリコ・ミュルダ・メーリヒ Side ***/ 「ふぅ」 イサークたちも疲れてきているのだろう。 「おい。飲み物となにか持ってきてくれ」 扉の近くに立つメイドに頼むことにした。 「ちょっと待ったぁ!イサークいいよね?いいよね?」 「あっあぁ。すみません。領主様。そうですね。カップを、執事長とメイド長の物を入れて、2セット6人分と、大きめな皿を4つ持ってきて頂けませんか?フォークとナイフは大丈夫です」 なにか有るのだろう。ここは、イサークたちに任せる事にしよう。 「頼む。イサークたちの言…
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【第四章 発展】第四十二話
/*** カスパル=アラリコ・ミュルダ・メーリヒ Side ***/ ナーシャたちが帰ってきた? 「領主様」 「あぁわかった。それで?」 「はい。4名揃って、ご相談があるとおっしゃっています」 「相談?わかった」 相談? スキルカードがなくなったか?いや違うな。 会えばわかるか、サラトガに行っていたはずだが・・・。 会議室に向かう。 そこには、馬鹿面の1人の男と、可愛い娘が1人、そして、酒飲みが1人と、街領隊の斥候の1人が座っている。 「ただいま!」 「ただいまじゃない。今まで何をやっていた?」 ふぅ変わっ…
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【第四章 発展】第四十一話
/*** イサーク Side ***/ 「大丈夫か?」 後ろから来てる、ナーシャとガーラントとピムを見る。 皆無事のようだ。 「ピム!」 「うん。大丈夫だよ」 ここまで逃げれば大丈夫という事だろう。 少し落ち着こう。ツクモ殿には感謝しなければならないな。収納袋がなければ、こんなに早く移動できなかっただろう。 収納袋の中から、簡易テーブルを出す。 人数分の椅子も用意されている。料理は無いが、食材なら入っている。ガーラントが、なにか簡単に作るようだ。 「ねぇイサーク。イサークってば!!」 「ん。あっナーシャか、…
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【第三章 潜入】第四十話
/*** リア(リーリアの偽名) Side ***/ 「司祭様」 「どうした?」 「門番がご挨拶をしたいという事です」 「わかった」 人族1が交渉したのだが、”御尊顔を”とか言っていたようです。ようするに、確認させろって事だと思いました。 門番も人族だが、汚らしい、臭い。ご主人様と同じ種族だとは思えないですね。 馬車に乗り込む事なく終わってホッとしました。 私の事も怪しむ雰囲気が有ったのですが、人族1が”司祭様の”というと納得したようです。その後で、魔核を3つほど握らせることで問題はなくなりました。私が身分…
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【第三章 潜入】第三十九話
/*** リア(リーリアの偽名) Side ***/ 「リア様」 人族に、ご主人様が私のために考えてくださった、名前を呼ばせるのは、業腹なので、”リア”と呼ばせる事にしています。 獣人族を襲っていた冒険者のリーダーの男です。名前は忘れてしまいました、人族1とでも呼んでおきましょう。人族1の中の私が、話しかけてきます。 「どうしました?」 「近くに、人族の集団が居ます。どうしますか?」 「敵ですか?」 「この者が言うには、アンクラムの兵の様です」 「わかりました。使える人族は何人ですか?」 「この者を入れて、…
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【第三章 潜入】第三十八話
/*** リーリア Side ***/ ご主人様から、武器携帯のご許可を頂いた。 そして、人族が多く住む、アンクラムの街に向かっている。ご主人様が、私のスキルを隠蔽してくれて、種族も隠蔽してくれた。偽装じゃないので、種族が見えない状態になっているので、怪しまれる可能性があると言われたが、仲良くなった、ナーシャさんが言うには、人族でも、種族を隠蔽している人は居るので、それほど不自然ではないと言われた。 ただ、アンクラムでは、面倒な事になるかも知れないと言われてしまった。 ご主人様にも同じような事を言われて、そ…
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【第三章 潜入】第三十七話
/*** リーリア・ファン・デル・ヘイデン Side ***/ ご主人様に、スキルと名前を貰って、はじめての仕事だ。 人族を操って、アンクラムの街に潜入すると言うことだ。 潜入自体は、それほど難しいものではないが、”戦闘訓練だけはしていきなさい”と、カイ兄に言われた。 そうそう、カイ兄さんから、”さん”は外してと言われましたので、カイ兄。ウミ姉。ライ兄。と、呼ばせていただくことになりました。 確かに、私ができる事は、簡単な護身術だけで、あとはご主人様に喜んでいただけるような事しか学んできていない。 私のテク…
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【第三章 潜入】第三十六話
実験を担当している、エントやドリュアスを呼び集めてもらった。 /// 実験1 50階層で取れた卵を、低階層で育てることができるか? 確保/観察も、50階層で活動できる、進化済みのエントが担当していた。結果は、卵が孵らなかった。同じ時期に、産まれたであろう、卵を階層を変えて、観察してみても、同じ階層以外では、孵らなかったということだ。 有精卵でなかった可能性も考慮して、何回か実験するように指示を出していたが、同じ結果だ。 紐づけされているのか、それとも何か違う法則があるのかわからないが、孵らないんでは、その後…
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【第三章 潜入】第三十五話
/*** カスパル=アラリコ・ミュルダ・メーリヒ Side ***/ 非常に困惑している。一昨日の様子だと、明日にも、ミュルダに向けて、兵を進めようとしていた、アンクラム・・・いや、アトフィア教のやつらが、急に尻窄みになったと報告が届いた。時間差があるだろうが、一昨日まで来ている情報では、確実に兵と兵站をまとめていたようだが、昨日の報告では、一部のアトフィア教・・・狂の奴らが、騒いでいるだけで、兵も解散されているようだ。 それに、街に居た奴隷-隷属された-獣人の姿が見えなくなっていると報告に上がっている。 …
続きを読む2022/09/28
【第三章 潜入】第三十四話
レベル7回復 イサーク殿の話では、領主の孫娘が、産まれた時から身体が弱くて、咳が止まらない症状だと言っている。 喘息?だとは思うが・・・違うのかな? 咳を抑えるために、スキル治療を定期的に行っているが、治療を施した時には、症状は軽くなるのだが、数ヶ月もしたら、また咳が止まらない状況になってしまう。 それで、領主は、”レベル7回復”を求めているのか。 「レベル7回復かぁ確かに貴重なスキルだけどな・・・どうした?ナーシャ殿?」 「あっツクモ殿。気にしないでくだされ、ナーシャの兄が、レベル7回復を探しに、サラトガ…
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【第三章 潜入】第三十三話
/*** イサーク Side ***/ スーン殿が戻ってきた。手には、なにやら小奇麗な袋を持っている。 ガーラントを見る。わからないという顔をしている。デス・スパイダーの作り出す布では無いようだ。 酒の前に、袋の話ができるのは嬉しい。 「ガーラント殿。この袋は、どう見えますか?」 ガーラントが、袋を手に取る。 「!!ツクモ殿!」 「どうされましたか?」 「いや、失礼した。もしや、この袋は、収納のスキルが付与されていますか?」 「えぇそうです。袋そのものは、人族が使っていた物を使っていますが、それに、収納のス…
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【第三章 潜入】第三十二話
/*** ヨーン=エーリック Side ***/ 会議室には、族長が揃っていた。 俺が最後のようだ。決められた席は無いのだが、なんとなく定位置のようになっている。 白狼族の定位置は、獅子族の隣で、テーブルの一番端だ。 「皆様。ダンジョンは、大丈夫でしたか?」 「あぁ」 ロロットが答える。 「既に、利用可能になっておりますので、ご自由にお使いください」 「アルベルタさん。大事なことを聞き忘れている」 「何でございましょうか?」 「今回もじゃが、スキルや魔物の素材を手に入れた。これらはどうしたらいい?」 そうな…
続きを読む2022/09/28
【第三章 潜入】第三十話
そうか、ヌラの作った布は、レベル7(100万円)相当なのか? そりゃぁ確かに、気楽に、他人に渡していいものではないな。スキルを固定化した、魔核や武器/防具/道具は、なんとなく、ロロットやヘルズとの話でわかったが、少しだけ自重しようとは思うが、生活が便利になるものだからな。 レベル3(100円)やレベル4(1,000円)なら問題は少ないだろう。”高い”と言っても、全く見つからないわけじゃないだろうからな。今の所作る事ができるのが、”俺だけ”が、問題になっているのだろう。 アルベルタからの報告を聞いて、認識のズ…
続きを読む2022/09/16
【第三章 復讐の前に】第七話 物資
マイが感謝する気持ちは解る。 解るが、これは、”俺が”連れて行きたいだけなので、感謝されると心がざわざわする。 「そうだ。マイ。必要な物資は?」 元々確認をしておきたかった内容に話を戻す。 「そうね。その前に、ユウキ。地球で何か必要になっていないの?持ち込むばかりで、セシリアが心配しているわ」 マイが、少しだけ笑いながら俺に話を合わせてくれる。 「心配?」 ”心配”と言われても、俺たちは”別に構わない”が答えになってしまう。 地球での買い物も、それほど高い物ではない。 サトシの買い物は、サトシの報酬から支払…
続きを読む2022/09/14
【第九章 ユーラット】第一話 移動?
野営を無事に乗り越えて、移動を開始した。 移動は順調だ。 先頭は、馬車と途中で見つけた馬を積んだトラックを走らせる。 これは、ルーサの提案だ。 王国内を移動しているとしても、バスやモンキーやFITは珍しい。トラックなら、神殿が行っている物流支援で、王国中を駈け廻っているので、見たことがある者が多い。警戒はされるが、周知されているので、襲われたり、停められたり、物騒な目に合う可能性が減らせる。 リーゼとカイルとイチカは、モンキーで行ったり来たりを繰り返している。 何が楽しいのか・・・。 でも・・・。まぁ解らな…
続きを読む2022/09/13
【第六章 ギルド】第三十三話 詰問
ルナが何かまだ考えている。 少しだけぬるくなってしまったお茶に口を付ける。 誰が入れているのか解らないけど、おいしい。 ミルと一緒に野営している時には、ミルが飲み物を出してくれたけど、お茶はなかった。設備がないししょうがない。神殿に戻ったら、調理器具を含めて整備しよう。 「リン君?」 「なんだ?」 「ローザス殿下との話を聞いた?」 「ローザス?あぁルナが婚約者なのだろう?」 「!!違う。違うからね。婚約者候補。いい。候補!婚約者じゃない!」 ルナが椅子を倒す勢いで立ち上がって、テーブルに手をついて訂正してく…
続きを読む2022/09/10
【第三章 復讐の前に】第六話 状況説明
今度は、マイから地球での状況を質問された。 報告をしている上に、問題になりそうな状況の時には、マイと一応サトシには伝えている。 「そう。父さんも母さんも大丈夫なのね」 マイが一番に心配したのは、父さんと母さんの事だ。 もちろん二人には、これから俺が行う事を説明した。内容までは話していないのだが、行為に関してはしっかりと説明した。最初は、反対されるかと思ったが、全ての話を聞き終わってから、賛成ではないが、引き止めないと約束してくれた。 そして、引っ越してきてくれてからは、何度も何度も話を聞いてもらった。アイツ…
続きを読む2022/09/08
【第十章 エルフの里】第四十話 野営
このまま走り続ければ、夜半には到着できそうなタイミングで、大将から連絡が入った。 「ルーサのおっちゃん。どうしたの?」 小僧が、座っていた座席から立ち上がって、運転席に顔を出してきた。このタイプのアーティファクトでは、内部での移動は難しくない。 「大将から、休んでから来るようにと指示が出た」 「休んで?でも・・・」 「大丈夫だ。後ろのアーティファクトに、食料や水や野営の道具が積んである」 「へぇ・・・。おいらたちの、モンキーを積んだアーティファクト?」 「そうだ。俺はよくわからないが、馬を安全に運ぶための馬…
続きを読む2022/09/05
【第六章 ギルド】第三十二話 認定?
アデレード殿下を匿う約束をして、他にも細かい話をした。特に、アデレード殿下を匿うことで発生する費用負担だ。全面的に、王家が用意すると言っているが、実際にどうやって負担するのか考える必要がある。 ハーコムレイもローザスも、アデレード殿下がわがままを言わないと言っている。 ローザス一人の意見なら信じなかったが、ハーコムレイも”自分の妹と同じ”だと言い出したので、問題は無いだろう。 ルナと殿下を比べられても、俺には判断ができない。 そもそも、二人を比べる必要性があるとは思えない。 「アデレード殿下とルアリーナ嬢は…
続きを読む2022/08/28
【第三章 復讐の前に】第五話 宝珠
マイの説明から、現状が把握できた。大丈夫だとは思っているが、念には念を入れておいたほうがいいだろう。 やはり、俺の用事に取り掛かる前に、帰る場所をしっかりと、安全に、問題がない状況にしておいた方がいいかもしれない。サトシに譲位されるのは、早くても、10年後だけど、何があるか解らない。 今の国王はまだ40になっていない。まだまだ現役で活躍できるのだが、セシリアの話では、隙があればサトシに譲位しようとしている。らしい。 まだ、宰相が止めているのだが、宰相は国王よりも年齢が上で、そちらも次の宰相が決まれば、さっさ…
続きを読む2022/08/28
【第十章 エルフの里】第三十九話 会話
神殿からヘルプを呼んだ。 今日は、野営を行うことになったのだが、大きな問題が発生しなかったことが気持ち悪い。 姫騎士辺りが、文句を言い出すかと思ったが、おとなしく指示に従っている。 「ヤス様」 オリビア姫が一人で、俺に近づいてきた。 「姫さんか?どうした?」 深刻な表情ではない。 誰も連れていないのは、何か聞きたい事があるのか?それとも、従者や騎士には聞かせたくない話か? 「少しだけお時間を頂けないでしょうか?」 時間? 話がしたいということか? 「あぁ」 「神殿について、教えていただきたいことがあります」…
続きを読む2022/08/23
【第六章 ギルド】第三十一話 分裂
ハーコムレイが何も言ってこない所を見ると、既に決定事項になっているのだろう。 領地?が増える? ほぼ、西側の森を、俺に渡す意味があるのか? よくわからない。くれると言うのなら貰うけど、統治とかあるのなら断ろう。俺には、統治や領地運営なんてできない。 「それで?」 「ん?」 ローザスがいきなり”何を言っている”と言いたいような表情をする。 それは、こっちのセリフだ。 「だから、俺に何をさせたい?」 「え?」「ローザス!リン=フリークスに、”お願い”の内容を伝えていない」 ハーコムレイが、眉間にできた皺を触りな…
続きを読む2022/08/18
【第三章 復讐の前に】第四話 レナート
ユウキは、綺麗になった母親の墓前から、スキルを発動した。 異世界(フィファーナ)の小国(レナート)に転移したユウキは、まずは王城を目指す。 城下町を歩いていれば、ユウキは住民から話しかけられる。 「ユウキ!戻ったのか?」 住民や、レナートの国民でユウキたちを知らない者は、産まれたばかりの子供くらいだ。それほど、国民はユウキたちに感謝している。 魔王を討伐して、レナートだけではなく、フィファーナに安穏を齎した英雄だ。 実際には、魔王を討伐してしまったことで、統制されていた魔物たちが各地に散らばっただけなのだが…
続きを読む2022/08/16
【第十章 エルフの里】第三十八話 はぁ?
俺はルーサ。 本名は、いいだろう。皆からルーサと呼ばれている。俺も、この名前を気に入っている。神殿の村(トーアフートドルフ)のアシュリを守っている。 我らの大将は、規格外だ。 他の神殿がどうやって運営しているのか知らないが、大将ほどのことはしていないと思う。 まず、アーティファクトの量が尋常ではない。アーティファクトの複製が可能なのか、ドワーフたちに聞いたが、”無理だ”と言っていた。似たような物を作ろうと頑張ってみたが、完全に同じサイズのネジなど作る技術はないと言っている。 しかし、大将は簡単に用意してくる…
続きを読む2022/08/13
【第六章 ギルド】第三十話 提案
馬車に乗り込むと、ローザスとハーコムレイが座っている。 雰囲気は、悪くない。 セバスチャンも乗り込んでくるかと思ったが、俺が馬車に乗り込むのを見送るような状態で、頭を下げている。セバスチャンには屋敷で働く者の統括をお願いしている。人員に関しても、まだまだ足りないのだろう。 そうか、屋敷で働く者たちの給金や生活の補償をしなければならないのだよな。考えると、金がない。 「リン君」 「なんでしょうか?殿下」 「固いよ。ローザスと呼んでよ」 「わかりました。アルフレッド=ローザス・フォン・トリーア第一皇子様。私の様…
続きを読む2022/08/10
【第三章 復讐の前に】第三話 墓参り
ユウキは、一人で寂れた港町に来ていた。 ”墓参り”というセリフには嘘はない。 ユウキは、港町には公共機関を使って訪れた。拠点からは、フェリーに乗って、湾を渡って、電車に乗り換えて、二駅の旅だ。 潮の強烈な匂いで向かえる駅で降りた。船の上で感じる潮の匂いとは違う、風に流される潮が、ユウキの鼻孔をくすぐる。 目的地までは、徒歩で2時間くらいだ。 ユウキは、周りを確認するように、見回しながら、ゆっくりとした歩調で目的地に向かっている。 すれ違う人も車も少ない。 港の入口を通り過ぎて、山側に向かう。 町の人間でも、…
続きを読む2022/08/09
【第十章 エルフの里】第三十七話 受諾
リーゼに状況を説明していると、向こうにも動きが有ったようだ。 姫様と、従者の一人が、馬車から出てきて、こちらに向かってきた。 姫騎士は、完全には納得していないようだが、姫様に従うと決めたようだ。神殿に居る間は、姫騎士ヒルダには注意が必要だな。姫様と従者は、住民との問題は大丈夫そうだが、ヒルダは軋轢を産みそうだ。姫様が抑えてくれるといいのだけど、あの手の忠誠心多寡で、思慮がない人間は、沸点が低いと相場が決まっている。自分の正義を信じて疑わない者ほど厄介な存在だ。多種多様な種族と考え方が融合している神殿には、一…
続きを読む2022/08/06
【第六章 ギルド】第二十九話 修羅場?
ギルドの入口が見えてきた。 しっかりと見張りが立っている。 知らない顔だ。 ハーコムレイかローザスが雇った護衛か? 「なぁリン。大丈夫なんか?睨まれているぞ?」 「大丈夫だ。女子・・・。重久が中心になって作った組織だ。重久は、フェナサリム・ヴァーヴァンが名前だからな。間違えるなよ」 「おっおぉ」 「本当に、大丈夫か?」 「大丈夫だ。名前を覚えるのは得意だ」 まぁ困るのは、オイゲンだからいいけど・・・。 後ろを振り返ると、奴隷の少女たちが、俺とオイゲンの会話を聞いている。不思議な表情を浮かべている。 ハーフエ…
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