【第四章 発展】第四十五話

 

/*** カズト・ツクモ Side ***/

オリヴィエと、フィリーネを加えた。ダンジョン探索は、ピクニックのようになっている。
30階層程度では、俺が指示する事なく、オリヴィエが突っ込んでく、それを、ウミがサポートする。取りこぼしを、カイとライが始末する。

俺は、フィリーネと一緒に後ろで見ているだけだ。
踏破済みのダンジョンだし、下層への道もわかっているので、サクサク進む事にする。

皆には、目的のスキルカードを伝えてある”レベル7回復”だ。あと、出たら嬉しいのが、レベル8偽装とレベル8完全地図だ。
俺の予想だと、51~60階層の初踏破ボーナスで出てくると思うが、安全をみるのなら、61~69階層を回れる状態にしておいたほうがいいだろう。

魔物の吸収は、オリヴィエがメインで行っていく。
ドロップアイテムとなる。素材や肉は、ライが持っていく事にしている。

サクサク進めるのは良い事だ。
広さの確認は、魔蟲たちが行っていた。やはり、だんだん狭くなってるのは間違いないようだ。

感覚的な事だが、円錐上になっていると考えられる。
出てくるスキルカードや魔核から、100階層程度では無いかと思っていたが、このままだと、150階層くらいはありそうな雰囲気だ。途中で終わっている事も考えられるし、定番で考えると100階層だろう。

攻略も半分をすぎれば、数日掛かっていた探索が半日程度で終わるようになってくる。

55階層のフロアボスの前に来ている。
ギガントミノタウロスだ。3mを超す巨漢の癖にやたら早い。

ウミが、スキルを使って足止めをしてから、カイとオリヴィエが削っていく、そこに、ライが遠隔攻撃で支援を行う。
俺は指示を飛ばすだけだ。フィリーネは俺に結界を発動している。ダンジョンに入ってから、進化したフィリーネに頼まれて、固定化したスキルだ。

俺は安全な状況から、指示を出したり、スキルで援助する事に徹している。

流石に、フロアボスだけあって、素材は良い物が取れそうだ。
ここまで大量の魔物が入っているので、ライの収納にも入り切らなくなってきた。56階層で一度戻って、魔物を置いてきて、さらに階層を降りる事にする。

50階層は全体的にダンジョン(っぽい)ステージのようだ。オリヴィエの探索が役立つ。罠の発見も出来るスグレモノなのだ。
そのおかげで、50階層に入ってからも未知の領域でも、迷うことが少なく進む事ができている。草原なんかでも探索は出来るのだが、罠と階層転移の場所が混同してしまうので、なかなか難しいようだ。
ダンジョンステージは、マップが組み上がっていくので、草原ステージよりは楽に進む事が出来る。
戦闘は、カイとウミとライにおまかせという所だ。

ポップする魔物は、殆どが、ゴブリンやコボルトやオークといった魔物の進化した物で、属性を持っている、複数属性を持つ物も珍しくない。
スキル持ちが増えてきたのだ。魔核やスキルが確実と言っていい確率で取得できるが、レベル3~4が多い。5が稀に交じる程度だ。フロアボスも、55階層のギガントミノタウロスは当たりなのだろう。味は課題として残るが食べる事が出来るのは大きい。
51~54階層は酷かった。キングやクイーンの称号を持つゴブリンやコボルトが大量に部下を従えて待っていたのだ。
最低でもオークなら、食べる事ができたので、獣人族のお土産程度にはなったのだが、ゴブリンとコボルトでは、魔蟲の餌か、エントたちの餌にしかならない。それでも十分なのだが、素材が取れないのが悔しい。魔核もそれほど質が良くなく、スロットが無いものがほとんどだ。

「オリヴィエ。この階層も頼むな」
「はい。マイマスター」

どうやら、呼び方が、皆の中で定まっていないようだ。
大主もやっと慣れたと思ったけど、スーンたちは無理しているようだしな。俺がなれるほうがいいかな?

いいや、後回しだ。
今は、レベル7回復を探すことに専念しよう。

でも、話を聞く限り、喘息なんだよな。そうなると、レベル7回復でも、一度は完治するけど、また再発するんじゃないのかな?スキルの不思議とかで、もう二度と発症しないのかな?

『あぁぁ客人』
『スクルドか!』
『いや、ウルズです』
『それで?もしかして、俺が考えていた事を、覗いたりしていませんよね?』
『・・・そんな事・・・』

『はぁ・・・まぁいいです。それで?なにか、助言してくださるのですよね?』
『もちろんじゃ。客人の懸念事項じゃが、レベル7で回復しても、再発するぞ。もし完全に治すとしたら、レベル9完全回復に頼るしかないぞ』
『そうなのですか?でも、それでも、喘息とかだと、環境に依存しますよね?』
『あぁそれなんじゃがな。客人が勘違いしているので、訂正するための神託なのじゃよ』
『勘違い?』
『そうじゃ、レベル7回復は、スキル発動時に、回復させたい症状の回復なのじゃ』
『はぁ・・・それで?』
『だから、客人の固定化を使う事で、再発症する事は抑えられるのじゃ』
『でも、それは、再発症した時に、即座に治せるという事で、再発症を抑える効果では無いですよね?それは、レベル9完全回復でも同じでは無いのですか?』
『それが違うのじゃ。スキルの使用はその時限りで終わり。これはいいじゃろ?』
『はい』

『客人の固定化の場合には、固定化したスキルは、客人にわかりやすくいうと、固定化したスキルはパッシブスキルになる。だから、レベル7回復を固定化した場合には、同じ症状の場合には自動的に対処が行われる。これは、再発症しないと言ってもいいじゃろ?』
『まぁそうですね。もしかして、レベル9完全回復の場合には、未知の症状でも対処出来るという事ですか?』

『そうじゃ。あぁあと、気にしていた、”イリーガル”は、客人が考えている通りでほぼ間違いないぞ』
『・・・そうなると、本来着くはずでなかったスキルを付けてしまったためですか?』
『そうじゃが、気にする事はないぞ、自然界でも、突然変異種として産まれる事が多いからな』
『イリーガルは少ないと聞いていますが?』
『当然なのじゃ、イリーガルとして産まれても、育つ確率はごくわずかで、魔核にスキルが固定されるのも数億分の1程度なのじゃぞ?途中から、イリーガルに進化するのは珍しい由縁じゃ』
『そうなのですか・・・それじゃ問題は無いのですね』
『ない!客人には、スクルドも言っておった通り、好きに生きてくれればいい』

『わかりました。それから、人族や獣人族に、スキルを固定しても、イリーガルになる事はないですよね?』
『ない・・・と思う。そんな事をした者はいないからな』
『・・・わかりました。やたら実験できない事なので、どうするか考えます』
『そうか、そうしてくれ。なのじゃ』
『あぁそれから、1つ教えてください。俺の種族のヒュームとはなんですか?』
『あっ!えぇーー!すまぬ。時間じゃ。それではまたな』

あっ逃げた。
ヒュームはなにか隠されていそうだ。

「マイマスター?」
「あぁすまん。少し考え事をしていた。カイ。ウミ。ライ。問題ないから大丈夫だ。先に進もう」

56階層を進む。罠もえげつない物が増えてきているが、見つけ次第。凍らせる方法で突破している。破壊しても良かったのだ、他にどんな仕組みが有るのか調べる時間がもったいなかったので、凍らせる事で、突破している。

56階層のボスは、属性持ちのギガントミノタウロスだ。
一体ならそれほど困る事はない。オリヴィエには、両刃の剣(バスターソード?)を使うように指示した。カイとウミはそれに合わせるような攻撃を繰り出して、ライには遠距離からの攻撃の指示を出した。

5分後、ギガントミノタウロスは、ライの放った、酸弾で沈んだ。
頭部は溶けてしまっているが、身体は無事だったので、そのままライが持ち帰る事になる。

57階層・58階層・59階層と、スキルカードや魔核は手に入るが、目的のものではない。

「大主様。あっ大主」
「フィリーネ。いいよ。呼び直さなくて」
「え?よろしいのですか?」
「裏で、そう呼ばれるくらいなら、認めた方が気が楽だよ」
「申し訳ございません。でも嬉しいです。ありがとうございます」

「それで?」
「あっはい。大主様。そろそろ、お時間もかなり経っていますので、お食事にされる頃だと思いますが、このままダンジョン内でお食事の用意をいたしますか?それとも、一旦お戻りになりますか?」
「そうだね。戻るのも馬鹿らしいし、ここで食事を摂って、60階層超えたら、一旦。部屋に戻って休むか?」
「かしこまりました」

収納からテーブルを取り出している。一気に、昼下がりのピクニックになる。ダンジョンの59階層ですることではないが、フィリーネからしたら、ダンジョン踏破よりも、俺の食事や休息の方が大事ということだ。
スーンから強く言われているらしい。確かに、食事を忘れた事や、ものづくりに夢中になって睡眠を忘れそうになった事が、無いとは言わない。

食事は軽く食べる事にした。カイ。ウミ。ライ。は、倒した魔物を吸収すると言っている。フィリーネとオリヴィエは、一緒に食事をしてもらう。1人で食べるのは楽しくない。パンに葉物野菜と魔物の肉をボイルした物を挟んで、塩と胡椒で味を整えた物だ。

アプルジュースを飲み干した所で、ピクニック終了。ダンジョン攻略に戻る事になる。

60階層のフロアボスは、そのままエリアボスなのだろう。
今までのパターンで行けば・・・・

ドアを開けて中に入る。やっぱりだ

ギガントミノタウロスが5体。属性持ちだろう。それに、従うように、オークやゴブリンやコボルトが、推定50体。合計150体。それに、多分、キングの称号持ちだろう。ギガントミノタウロスよりも、二回り程度大きいミノタウロスが1体。
本当に、ゲームバランスが悪いよな。レベルアップしていないのに、いきなり強くなる。

「フィリーネ。結界を展開。俺の後ろで、結界をキープ」
「はい」
「オリヴィエ。自由に動け、先に、ギガントミノタウロスを狙え!ゴブリンとコボルトは、俺がスキルで倒す」
「イエス。マイマスター」
「カイ。自由に動け。出来る範囲で、オリヴィエのサポート!」
『はい。ボス狙って?』
「いいぞ!ウミ。俺の横で、スキルで支援。一緒にゴブリンとコボルトをやるぞ」
『うん。わかった!』
「ライ。オークを美味しく頂け!終わったら、カイとオリヴィエのサポート!」
『りょうかい!』

「よし!行くぞ!」

俺は、あえてゆっくりと歩く。前から、ゴブリンやコボルトが殺到してくる。スキル結界がどの程度の強度なのかわからないが、今の所は攻撃をふせいでいる。スキルを使いそうな奴から、倒していく。
俺の後ろから、フィリーネが余裕が有る時に、弓矢で攻撃をしている。徐々に数を減らしていく。カイとオリヴィエが無双状態になっている。ウミがスキルをかけ続けることによって、阻害される事が無いようだ。
ライは、既にオークを片付けて、ギガントミノタウロスに取り掛かっている。
キング種というべきなのか・・・動き出した。コボルトの攻撃を交わしながら、視界の端で動き出したのを確認した。

「フィリーネ。ウミ。一気に、ゴブリンたちを殲滅するぞ!」
「はい」『了解!』
「カイ。ライ。オリヴィエ。5分耐えろ。そっちに向かう」
『はい』『わかった』「それまでに倒します!」

約4分後に、最後のゴブリンを倒した所で、キングに対峙してたカイたちを見る。
ほぼ趨勢は決してた。最後の一撃は、フィリーネが放った。弓矢に付与したスキルをまとわせての一撃だ。

ゆっくりとした速度で、キング種は倒れた。

後片付けが面倒なんだよな。なんで、この世界のダンジョンでは、魔物が吸収されないのだろうな。俺は、ライが居るから楽な方だとは思うけど、それでも、面倒には違いない。

ライに収納できるだけ収納してもらう事にした。持てそうにないゴブリンは、スキルカードや魔核を回収してから、俺以外の皆が美味しく頂いた。

そして、61階層に降りた。

F1&雑談
小説
開発
静岡

小説やプログラムの宣伝
積読本や購入予定の書籍の情報を投稿しています
小説/開発/F1&雑談アカウントは、フォロバを返す可能性が高いアカウントです