物流の記事一覧

2020/03/29

【第七章 王都ヴァイゼ】第十六話 孤児とユーラット

 子どもたちはすぐに見つけられた。  セミトレーラのライトに照らされた子どもたちは怯えていた。  馬が居なくても走る大きな馬車で、大きな目玉から光を放って、自分たちを見ているように見えれば大人でも怖くなってしまうだろう。子どもたちは、粗末な格好で生きているのが不思議な状況になっている者も存在している。  皆が怯えた目でライトが落とされたセミトレーラを見ている。  最初、ヤスが近づこうとしたのだが、ドーリスに止められた。男性が近づくよりも、女性である自分が行った方がいいと判断したようだ。  ドーリスを降ろして…

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2020/03/28

【第七章 王都ヴァイゼ】第十五話 ユーラットへ・・・到着出来なかった

 ヤスと辺境伯が話をしている最中に、物資を積んだ馬車が門を抜けてきた。  馬車を見たヤスが辺境伯に、情報はドーリスに伝えるようにお願いして、その場を立ち去る。 「ドーリス殿」 「クラウス様。もうしわけありません。ヤス様は・・・。その・・・」 「サンドラから聞いていた通りの人ですね」 「え?」 「貴女もですが、ヤス殿は・・・。”よくわからない”という言葉が似合う御仁はいませんね」 「そうですね。数日間、一緒にいましたが本当に”よくわからない”人でした」  コンテナを開けて物資の搬入を始めたヤスを二人が見つめて…

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2020/03/23

【第七章 王都ヴァイゼ】第十四話 移動中の会話

 ヤスは、ドーリスから冒険者ギルドに出された依頼書を見せられて、簡単に説明された。 「ヤスさん。もうしわけありません」 「別に、ドーリスが謝罪する必要はないだろう?」 「でも・・・」 「必要ない。それに、依頼を受けた奴は居ないのだろう?」 「リップル子爵領にあるギルドは不明だけど、他のギルド経由でも依頼を受けた者が居ないのは確認されています」 「それなら別にいいよ」 「え?」 「だって、襲ってきた連中は、俺を殺すつもりなのだろう?」 「そうですね」 「だったら、殺されても文句は言えないよな?」 「ヤスさん。…

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2020/03/22

【第七章 王都ヴァイゼ】閑話 テンプルシュテットでは・・・

「リーゼ!それはダメだと思うの!」  姦しい声が地下のカート場に響いている。  神殿のカート場に居るのは、ハーフエルフのリーゼ。帝国から連れてこられたディアス。神殿近くに領地を持つ辺境伯の娘であるサンドラ。  それと、ドワーフの方々だ。 「何がダメなの!問題は無い!ね!サンドラもそう思うでしょ?」 「私を巻き込まないでよ。わたしは、調整で忙しいの!」  3人で会話をしているようにも聞こえるが実際には違っている。  リーゼとディアスはカートでならし走行をしている。サンドラは、ドワーフにお願いして愛機をいじって…

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2020/03/21

【第七章 王都ヴァイゼ】第十三話 問題が発覚した。

『マスター。個体名ドーリスが近づいてきています』  マルスは、居住スペースで寝ているヤスを起こす。  起こすのはそれほど難しくない。 「おはようございます」  ドーリスが運転席にたどり着く頃にはヤスも起きて外に出ていた。 「おはよう。荷物の積み込みか?」 「はい。お願い出来ますか?」 「わかった。コンテナを開けて待っている。この町では何が手に入る?」 「今までと同じです。主に、イモ類です」 「わかった。積み込みの監視は頼む」 「はい。ギルドも人を出してくれるので大丈夫です」  ヤスが監視を気にするのは、2つ…

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2020/03/20

【第七章 王都ヴァイゼ】第十二話 帰り道

 セミトレーラが動き出してしばらく経ってから、ドーリスがヤスに話しかける。  王都に向かう行程ではアーティファクトを動かすには魔力と精神力を使うと思って無駄な話はしないようにしていたのだが、ヤスが大丈夫だと言ったので、ドーリスも気にしないで話しかけるようになった。 「ヤス殿」 「そうだ!ドーリスも、”殿”とか”様”とか付けないで欲しいけどダメか?」  ヤスは、以前から気になっていたのだ。  ”殿”とか”様”とか言われるのが好きじゃない。できれば、神殿の主と言われるのも止めてほしいと思っていた。 「良いのです…

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2020/03/19

【第七章 王都ヴァイゼ】第十一話 王都にて

 ヤスは、居住スペースで目を覚ました。 『マスター。おはようございます』 『マルスか?』 『はい。報告はエミリアがいたしますが、昨晩は、誰からも攻撃はありませんでした』 『そうか、ありがとう。ドーリスは?』 『まだ来ていません』 『わかった。近くに来たら教えてくれ』 『了』  ヤスが起きてマルスに指示を出している頃。  ドーリスは、冒険者ギルドで神殿の都(テンプルシュテット)の承認申請を行っていた。すでに根回しは終わっているので、軽く質問されただけで終わった。  ギルドマスターになる祝詞を宣言するだけで終わ…

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2020/03/18

【第七章 王都ヴァイゼ】第十話 王都到着

 ヤスが門の前にセミトレーラを止めると、護衛の兵士がセミトレーラの前方にやってきた。  顔が引きつっているのがわかる。ヤスは笑いをこらえて、ライトを落としてからセミトレーラのエンジンを停止した。エンジン音がなくなり静寂が訪れる。 「ヤス殿。ハインツ様と話をしてきます」 「わかった。一旦降りるけど、俺は中で待っているよ」 「わかりました」  ディアナの座席の配置の関係で、先にヤスが降りなければならない。ついでドーリスが降りる。  1人の男性が近づいてきたので、ヤスは警戒しながらエミリアに命じて結界を解除する。…

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2020/03/17

【第七章 王都ヴァイゼ】第九話 交渉と王都へ

 ヤスの交渉は難航した。  理由は簡単だ。ヤスが”金貨”しか提示しなかったからだ。今回は、王都で大量の物資を買うので細かい硬貨よりも金貨で精算しようと思っていたのだ。足りなければ、ギルドから引き出せばいいと考えていた。  街々での購入も、ギルドに預けている硬貨で購入すればいいと思っていたのだ。 「村長。ヤス殿の条件でよろしいですか?」 「問題はありませんが、ヤス様はよろしいのですか?」  交渉をさっさと切り上げたいのは、村長もドーリスも同じだった。  ヤスが拘っているだけなのだ。そこで、ドーリスはヤスから条…

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2020/03/16

【第七章 王都ヴァイゼ】第八話 寒村は宝の山です

「ドーリス。こっちでいいのか?」 「はい。間違いないです」 「わかった。速度を落とすから、曲がるのなら教えてくれ」 「はい」  ヤスは、山道を走っている。  山道と言ってもほぼ一本道だ。山道に進路を変更するときに、ドーリスの指示が遅れてUターンして戻った経緯があるので、ヤスはそれから速度を緩めるようにした。 「今更だけど、今から向かう村の名前を教えてくれ」 「そうでした。説明していませんでした。村の名前は、『エルスドルフ』という名前です」 「なぜその村に塩を届ける?」 「何も無い村で、交易品が無いので塩の購…

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2020/03/08

【第七章 王都ヴァイゼ】閑話 クラウス・フォン・デリウス=レッチュ辺境伯

 フォルツから報告を聞いた。  神殿の主は、強者の雰囲気は一切纏っていないと説明された。フォルツが腰の剣を振り下ろせば殺せると思えてしまったようだ。  しかし、フォルツが試しに殺気を神殿の主に向けて踏み込もうとした瞬間に自分が殺されているビジョンしか見えてこなかったと言っている。強者ではないが、逆らってはダメな人間だ。フォルツは、儂に進言してくる。 「クラウス様。神殿の主。ヤス様と敵対しないでください。敵対したときには、全力で逃げてください。何分間の時間を稼げるかわかりませんが全力で間に入ります。もしかした…

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2020/03/07

【第七章 王都ヴァイゼ】第七話 領主からの依頼

 ヤスはエミリアに命じて結界を解除した。 「ヤス殿。感謝します」  コンラートが近づいてきて、まずヤスに感謝の言葉を口にした。  ヤスはコンラートの言葉を流しながらドーリスに話しかける。 「いや、それは良いけど・・・。ドーリス。もう出られるのか?次の街に行こう」 「いえ、領主から依頼がありまして、その関係で彼らに来てもらいました」  襲撃犯を完全に無視してヤスとドーリスは話をしているのだが、目の前で拘束された連中がなにか文句を言っている。 「・・・。はぁ・・・。ドーリス。そこで転がっている芋虫以下の奴らは潰…

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2020/03/06

【第七章 王都ヴァイゼ】第六話 アーティファクトは偉大です?

 ドーリスが各ギルドを回って神殿への不干渉を取り付けて冒険者ギルドに戻ってきた。 「ちょうど良かった。ドーリス。塩を積んだ馬車と護衛が到着した」 「よかった。それでは行きましょう。ヤス殿が待っている・・・。と、思います」 「なぜ言い切らない」 「アーティファクトの中で寝ている姿が想像出来たので・・・」 「寝られるのか?」 「寝られます。私は入っていませんが、リーゼとアフネス様とダーホスとイザークは乗ったと言っていました」 「そ、そうか?でも、アーティファクトと言っても安全では無いのだろう?寝るとは・・・」 …

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2020/03/06

【第七章 王都ヴァイゼ】第五話 攻撃?0%なら怖くない

 ドーリスが、領主とコンラートに神殿の主であるヤスについての話をしている頃・・・。  当のヤスはエミリアでダウンロードしてあった小説(ラノベ)を読みふけっていた。普段は、書籍を購入していたがネット小説はオフラインでも読めるようにダウンロードしてあったのだ。続きが読みたいと思うのだが、続きはまだ表示されていない。アクセスをしているようにも思えるので新作が出てくるのを少し期待しているのだ。 (まだ掛かりそうだな。一眠りしておくか?)  エミリアに表示されている結界の様子を見ながらヤスは身体を横にした。 『マスタ…

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2020/03/06

【第七章 王都ヴァイゼ】第四話 ヤスは?不在でも話は進む

 ドーリスは神殿の状況とヤスに関して感じたことを率直に語った。  あたたかいお茶を口に含んだ。神殿で出されたお茶よりも美味しく感じない。領主が一緒なので、お茶にも気を使っているのだろうが神殿で出されたお茶の方が美味しく感じてしまっている。 「ドーリス殿。今の話はどこまで真実なのですか?」  話を聞き終えた領主が最初に言い出した。 「全部です。信じてもらえるとは思っていませんが、事実だけを語っています。感じたことやサンドラさんと考察したことを含めたらもっと荒唐無稽な話になってしまいます」  ギルドマスターであ…

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2020/03/06

【第七章 王都ヴァイゼ】第三話 領都にはすぐに着きます

 ヤスは、正門には向かわずに西門にハンドルを切った。 「ヤス殿?どちらへ?」 「西門から一気に降りて関所を越えようと思っている」 「西門?」 「目の前に有るだろう」 「門?ユーラットじゃなくて?」 「そうだな。領都に行くのなら近い方が良いだろう」  セミトレーラが近づくと門が開いた。ドーリスには門の先がどうなっているのかわからない。見えないのだ。  近づくと崖になっているように見えるはずだ。 「え?うそ?ですよね?」 「行くぞ!ドーリス。しっかりと掴まっていろよ!舌を噛むなよ!」 「うぅぅぅぅそぉぉぉぉぉぉ…

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2020/03/06

【第七章 王都ヴァイゼ】第二話 出発・・・最初の目的地!

 寝室でヤスが寝ているとセバスが入ってきた。 「旦那様」  セバスが起こしに来る少し前にヤスは目覚めていた。 「ん?あぁセバスか?」 「お水です。冷たい物と常温の物がありますが?」 「冷たい物をもらおう」 「かしこまりました」  ヤスはセバスから適度に冷やされたコップを受け取り、中に入っている水で喉を潤す。 「ん?セバス。このコップは?」 「はい。工房で作成された物です。旦那様に使って欲しいと持ってこられました」 「そうか・・・。早いな」  ヤスは出されたコップを眺める。  ガラスではないのは持った手触りで…

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2020/03/06

【第七章 王都ヴァイゼ】第一話 出発・・・出来ない

 ヤスは出発を遅らせた。  ユーラット-神殿の定期運行が開始されて、ユーラットから”朝の漁で捕れた魚”が届けられたのだ。同時に、何人かの商人がアフネスに連れられてやってきた。ヤスは、商人から挨拶を受けるという仕事をこなしたのだ。商人には、セバスを紹介して今後の窓口はセバスが担当すると説明した。 「旦那様。アフネス様が面会を求めております」 「アフネスが?」  ヤスは、考えたが理由が見つからない。 「はい」 「わかった。ギルドの部屋って使える?」 「大丈夫だと思いますが、すでに運営を開始しております」 「そう…

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2020/03/06

【第六章 神殿と辺境伯】幕間 ディアス(2)

 ファイブについていくと一つの扉の前で止まった。 「ここは?」 「神殿の迷宮区に降りる場所です」 「え?それはギルドから行くのではないのですか?」 「はい。ギルドからももちろん行けますが、あちらは”ギルドの許可”が必要です。こちらは眷属とマスターに従属したものが使える場所です」 「え?私は?」 「はい。資格を有しております」 「・・・。そうなのですか?」 「はい」  資格と言われても従属?眷属にはなっていない。 「それで、従属とは?」 「はい。簡単に説明しますと、マスターが作られた場所に住まわれて、この場所…

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2020/03/06

【第六章 神殿と辺境伯】幕間 ディアス(1)

 私は、ディアス。アラニスの姓は捨てた。  今は、ただの”ディアス”です。王国にあった神殿に保護された・・・。一人の女です。  ”大木の都(ヒュージツリーラント)”に住み始めてから数日が経った。  神殿の主は、広場と呼んでいたが、私とカスパルとリーゼとサンドラで決めた呼称が”大木の都(ヒュージツリーラント)”だ。住んでいる場所を、神殿の都(テンプルシュテット)。門を神殿の守り(テンプルフート)と呼んでいる。  最初は、私達だけでわかる呼称がほしかったのだが、ギルドにサンドラ様が来られて”仮称”で名前を決めよ…

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2020/03/06

【第六章 神殿と辺境伯】幕間 父と娘

 サンドラの心は荒れていた。  自分の考えがアフネスに見透かされていた。それだけではなく、悪手だと指摘されたのだ。  魔通信機から聞こえてくる–ノーテンキにも聞こえる–父親の声に嫌味の一つも言いたくなってしまったのはしょうがないことだろう。 「お父様!」 「それで、サンドラ。神殿の主は依頼を受けてくれるのか?」 「お父様。まずは、お父様のスタンスをお決めください」 「スタンスと聞かれても、領民が苦しまなければ”よい”と思っている」  サンドラは現状を把握しきれていた父親の言葉に軽いめ…

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2020/03/06

【第六章 神殿と辺境伯】第二十二話 条件

「ヤス様!」 「サンドラか?ドーリスとダーホスも来たということは辺境伯を説得できたのだな?」 「はい!」 「ドーリス。ダーホス。よく来てくれた。ギルド用に確保した建物に案内する。ドーリスの家も用意している」 「ありがとうございます。ヤス様」  まだ乗り合いバスは動かしていないのだが、住民も増えてきたことだし眷属に経験を積ませるためにも乗り合いバスを動かそうと考えていた。  幸いなことに討伐ポイントの収支はかなり上向いている。ワンボックスを数台用意するのに必要な討伐ポイントは確保している。すぐに運用を始めない…

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2020/03/06

【第六章 神殿と辺境伯】第二十一話 訓練・・・?

『マスター。ご報告があります』  ヤスは寝室で目を覚ました。 「マルス。セバスとツバキは?」 『個体名セバス・セバスチャンと個体名ツバキはリビングで朝食の用意をしています』 「わかった。報告はリビングで聞く、モニタに出せるだろう?」 『了』  セバスは、移住者に行う移設の説明を眷属のメイドに任せて、ツバキと揃ってリビングで朝食の準備をして待っていた。 「旦那様。おはようございます」 「マスター。おはようございます」  セバスとツバキが揃って頭を下げる。 「おはよう。セバス。ツバキ。問題はないか?」 「ござい…

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2020/03/06

【第六章 神殿と辺境伯】第二十話 移住

「ヤス殿!」「ヤス」「これは・・・」  内門を通過した3人の目の前には、神殿まで伸びる道があり右側には広場が存在している。  左右には綺麗に植えられた木々があり、広場の先には建物が立ち並んでいる。 「内門の結界に偽装を施していて、建物や街並みを見えないようにしている」 「なぜ・・・。聞くまでもないか・・・。外部から来た者への牽制なのだろう?」  アフネスが言ったことは間違いではないが、正解でもない。ヤスは、何も考えていない。ただ”見えないほうが”面白そうだという理由で設定をマルスに頼んでいる。 「まぁな。ミ…

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2020/03/06

【第六章 神殿と辺境伯】第十九話 外門と内門

「セバス。門の変更と確認は任せていいか?」 「お任せください」  セバスがヤスの言葉を聞いて嬉しそうにうなずいた。  ヤスがマルスに伝えたのは、アフネスからの提案だったのだが、ヤスとしても納得できる話だ。  神殿とユーラットの間は、アーティファクトだけが行き来して人や馬車は通らない。交通事故が減らせるとヤスは考えた。  提案の骨子は、上りと下りの時間を分けたいということだ。ヤスはもう二本の道を作るつもりでいるので問題にはならない。  バスを使った運搬も今後神殿に帰属した者が運転を覚えれば仕事として成り立つ。…

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