の記事一覧 2020年06月
2020/06/10
【第九章 復讐】第四話 芝居
部屋の温度が上がったように思える。 泰史(やすふみ)に視線が集中する。忠義と礼登以外は、泰史(やすふみ)を凝視している。夕花も、泰史(やすふみ)を見てしまっている。 泰史(やすふみ)の次の言葉を誰しもが待っているのだ。 「お館様。私は、合屋家は、無関係です」 泰史(やすふみ)は泣きそうな声で、晴海に訴える。 だが、晴海は臨んだ答えではないと泰史(やすふみ)を追求する。 「泰史(やすふみ)!違うだろう?」 夕花が、意を決して、晴海の名前を呼ぶ。自分の考えを口にしていいのか迷ったが、晴海が机の下で夕…
続きを読む2020/06/10
【幕間章 伊豆旅行】第三話 伊豆旅行(二人の夜)
今日は、ペンションに泊まると教えられていた。土肥のホテルではある意味しょうがなかったのだろう。シングルの部屋がなかったのだ。ペンションなら、部屋数もあるし大丈夫だろう。 14時を回った位に、白浜海岸に到着した。 ユウキは白浜を喜んでいる。美優さんも控えめながら梓さんと一緒に波打ち際での散歩を楽しんでいるようだ。 近くのショッピングモールで早めの夕飯を食べたのが16時前だ。そのまま、買い物をした。 なぜか、梓さんと美優さんから水着を買うように言われた。夏になれば必要になるし、奢りだと言うので不思議に…
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【第九章 神殿の価値】第一話 ラナからの依頼
神殿だけは落ち着きを取り戻しつつある。王国や帝国は、神殿を巻き込んだ騒動の後始末が終わっていない。 特に王国は子爵家の暴走から始まる騒動が予想以上に大きな火になって王国中を巻き込んでいる。 最大派閥の貴族派の重鎮である侯爵家の当主が病死した。同じく後ろ盾になっている、公爵家の当主が同じ日に事故死した。これらの葬儀に列席するために、貴族家の当主は王都に集まっている。 侯爵家は、当主の病死の後で王家から指名された者が継いだ。もともと居た息子や娘たちは、事故死したり病死したり、連続で”不審”な死を遂げた。…
続きを読む2020/06/09
【第九章 復讐】第三話 糾弾
晴海は、カップを持ち上げて飲もうとして止める。 「そう言えば、先代の事件の時に、お前たちはどこに居た?」 晴海の問いかけに答えられる者は居ない。 それぞれに理由があるのだが、言い訳になってしまう。もう一つ、各家が何をしていたのか明確に出来ない理由があるのだ。 「お館様」 「直道(なおみち)か?」 晴海だけではなく、夕花を除く者の視線が、城井直道(なおみち)に集中する。次期当主となっているが、正式には晴海が認めなければ、現当主が認めても、家は継げない。そして、晴海は直道(なおみち)よりも若い。夕花の存…
続きを読む2020/06/09
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十八話 開戦と終了と後始末
「アフネス。ルーサ。ダーホス。ドーリス。サンドラ。ヴェスト。エアハルト。イワン。帝国を殲滅する準備が出来た。ここで、見られるがどうする?」 ヤスは、皆を見るが、誰一人として帰ろうとしない。 どんな状況になるのか確認したいのだ。 「わかった。セバス。操作を頼む。マルス。作戦を実行しろ」 「はい。旦那様」 ”イエス。マイマスター” プロジェクターで投影されたスクリーンには、駐屯する帝国軍が映されている。 ドッペル兵士たちが、進軍し始めた。まだ距離があるために、二画面に分かれて表示されている。 「ヤス。あ…
続きを読む2020/06/09
【幕間章 伊豆旅行】第二話 伊豆旅行(その1)
「タクミ君。準備はいいのかい?」 「梓さん。車を変えたのですか?」 先輩たちが乗り付けた車は、前に乗ってきた車と違っていた。BMW MINI だ。 「これは、美優の車だ」 「へぇ可愛いですね」 「ありがとう。それで、タクミ君。ユウキは?」 「準備は終わっているので、すぐに来ると思います。荷物はトランクに入れればいいですか?」 「あぁちょっとまってくれ、開ける」 トランクが開けられる。それほど広くは無いが、並べれば綺麗に入るだろう。 丁度。ユウキが玄関から荷物を持って出てきた。 「先輩!あっタクミ。荷物…
続きを読む2020/06/08
【幕間章 伊豆旅行】第一話 旅行前
伊豆旅行が近づいてきている。 先輩たちは何やら企んでいるようだが、気にしないほうが良いだろう。聞いても教えてくれるはずがない。 5泊6日で伊豆を一周する。 国内旅行だし、先輩たちも居るから問題は無いだろう。 ユウキも準備をしている。 「オヤジ。この前に盗聴は解決したのか?」 「あぁタクミ。まだ詰めが甘かったな。仕掛けられていたのは一つじゃなかった。全部で3箇所だ。他の場所は、コンセントが外れていたから、使えなかっただけだ」 「・・・。それは、無理だ。そもそも、どうやって見つけた?」 「簡単だぞ?お…
続きを読む2020/06/08
【第九章 復讐】第二話 忠誠
先頭を歩いている。礼登が、ドアを開ける。 中には、10人ほどが円卓に座って居る。上座には、4つの席が空いている。 入口に全員の視線が集中する。 礼登が開けた扉から忠義が先に部屋に入り、扉を押さえる。晴海が部屋に入り。夕花が続く。 晴海が手を差し出すので、夕花は戸惑いながらも晴海の手を取る。晴海の横に並んで歩くように誘導される。夕花は、晴海の腕に自分の腕を絡ませる。 夏菜と秋菜が部屋に入ったのを確認して、礼登が扉を閉める。 「六条家、現当主。晴海様の御前です」「いつまで座っているつもりですか?」 …
続きを読む2020/06/08
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十七話 帝国に穿たれた小さな楔
ヤスへの質問はまだ続いていた。 ドッペル男爵を使った帝国での”いやがらせ”は十分に理解できたが、まだ聞かなければならなかった。 「ヤスさん。お父様とドッペル男爵の会談を取り持てませんか?」 「問題ないぞ?家の格を考えると、ドッペル男爵をローンロットに向かわせるか?その時に、帝国の村の村長をやるドッペル息子も一緒に連れていけばいいよな?」 エアハルトが手を上げて話に入ってきた。 「ヤス殿。サンドラ様。その会談には、私も出席したいのですが問題はありますか?」 ヤスはサンドラを見る。問題はないと思っている…
続きを読む2020/06/07
【第六章 ネット盗聴】第五話 日常
「タクミ!タクミ!」 誰だよ!?煩いな。 「タクミ!」 そうか、昨日・・・。報告書を読み直して、ソファーでユウキと・・・。 なにか忘れている? オヤジに提出・・・。 「あ!」 「いきなり起きないでよ!」 「すまん。今、何時?」 「朝の8時。タクミ。僕、お腹がすいた」 ユウキのワガママで救われた。 「悪い。すぐに準備するから待っていてくれ、オヤジに報告を送信してくる」 「わかった。早くしてよ」 ユウキをリビングに残して、自分の部屋に戻った。 昨晩、読み込んでいると言っても、もう一度、読んでおこう…
続きを読む2020/06/07
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十六話 報告会
「ヤス。正直に教えてほしい。なんなら、ここに居る全員にリーゼを呼んで制約の魔法をかける」 「そこまでは必要ない。話を聞いて出ていきたいのなら出ていけばいい」 ヤスは、自分の行動を秘密にする必要性を感じていない。秘密にして隠していれば、弱みになりかねない。秘密は弱点にもなりかねない。ヤスは、幼馴染でもある男の顔を思い出していた。 「わかった。聞いた後で判断させてもらうよ」 「皆もそれでいいか?」 サンドラに続いてルーサが皆に確認をする。 ルーサの確認に皆がうなずいた。 皆がうなずいたのを見てヤスは肩を…
続きを読む2020/06/07
【第九章 復讐】第一話 側仕
「夕花。可愛いよ。気にしなくていいのに・・・」 「駄目です。私が嘲られるだけなら構いません。でも、晴海さんが馬鹿にされるのは我慢出来ません!」 「うーん。大丈夫だよ。僕を馬鹿にしたら、その家は終わりだよ。解っていて、そんな愚行は犯さないと思うよ」 「違います。その場で言われる位なら我慢出来ます。帰ってから言われるのが我慢出来ないのです!」 「わかった。時間はまだあるから好きにしていいよ」 「ありがとうございます」 晴海と夕花は、礼登が用意した会議を行うクルーザーに移動している。大学に顔を出して、駿河から礼…
続きを読む2020/06/05
【読了】地味で目立たない私は、今日で終わりにします。 1 (B’s-LOG COMICS)
雑感 悪役令嬢物では無いようです。Web版は読んでいますが、原作には手を出していません。 火事の話で終わるのか・・・。火事の原因くらいは語ってほしかったな。 書籍紹介 公爵令嬢エレイン・ラナ・ノリスは、 聖女を苛めたという無実の罪を着せられ、婚約破棄されてしまった。 さながら悪役令嬢に仕立てられたラナは、実家からも追い出されてしまう。 しかし――ラナは異世界からの転生者だった。 「これからは自由に生きるわ!」 前世のコスプレ趣味を活かし、「地味」だと揶揄された見た目も大変身! 下町の宿屋の女将として第二の人…
続きを読む2020/06/05
【読了】追い出された万能職に新しい人生が始まりました (2) (アルファポリスCOMICS)
雑感 原作の1巻の半分位? 原作を買って読んでいるから、先の展開は知っているけど、気になる所で終了です。 ロアというよりも従魔が好きです。 書籍紹介 わがままな勇者パーティーから追放されて行き場を無くした少年ロアを救ったのは凄腕商人コラルドだった。彼に錬金術としての才能を見出されたロアは異国から来た新たな仲間たちと共に再び探索の旅に出る! 関連作品 東堂大稀関連作品 宇崎鷹丸関連作品
続きを読む2020/06/05
【読了】異世界ゆるり紀行~子育てしながら冒険者します~ (3) (アルファポリスCOMICS)
雑感 貴族や奴隷商人との対決が一話で終わってくれるのは気持ちが良かった。 原作がもう少し冊数が出ていなかったら買うのにな・・。どうしようかな? 書籍紹介 異世界に転生し、幼い双子のアレンとエレナを育てながら冒険者生活を送るタクミ。さらに広い世界を見るため、タクミは双子とともに住み慣れたシーリンを離れ、海沿いの街を目指すことに。その途中で立ち寄った海で人魚の女性と出会い、ひょんなことから人魚族の集落へ向かうことになり――!? 子連れ冒険者の異世界のんびりファンタジー、心躍る第3巻! 関連作品 水無月静琉関連作…
続きを読む2020/06/05
【読了】じい様が行く (4) (アルファポリスCOMICS)
雑感 確かに釣り針は偉大なる発明だと思う 亀?との競争もいい感じですし、なかなか話が進まない事を除いては読み応えがありますね。 原作を買おうか迷い中。 書籍紹介 「いいんじゃよ」が口ぐせのセイタロウさん(73歳 お茶農家経営)、うっかり気味な異界神イスリールの手違いで、孫の身代わりとして異世界転生してしまいました。モンスターに襲われても魔法を見ても「孫のゲームで知っとるぞい」とすぐになじみ、パッと見は幼女、中身は最強モンスターなルーチェちゃんと一緒にのんびり世直し旅を続けます。今回はリザードマンと湖で釣り三…
続きを読む2020/06/05
【読了】黒の創造召喚師―転生者の叛逆― (3) (アルファポリスCOMICS)
雑感 最終巻 うーん。もう少し続けて欲しいと思うのだけど、中途半端かな? 原作誘導とも思えるけど、原作が読みたいとは思えなかった。 書籍紹介 たやすく生命の危機に瀕する苛烈な世界を、黒き魔書による「創造召喚魔法」で生き抜いてきたツグナ。だが、超大型合成獣との戦闘で憤怒に飲まれ、深淵の力を呼び覚ましてしまう。神の領域に達する力を巡りツグナを取り巻く運命は大きく変革していく──…! 異世界ブラックファンタジー最終第3巻!! 関連作品 幾威空関連作品 宇河弘樹関連作品
続きを読む2020/06/05
【読了】マリはハッピーエンドでお願いします 3 (花とゆめコミックス)
書籍紹介 トラブルで碧とお泊まりすることになったマリ。 大嫌いなはずなのに、こんなにドキドキするのは…? そして、Blue Spangleの地方ライブで思わぬアクシデント!? 「俺 マリじゃなきゃダメなんだ」 恋が大進展、見逃せない第3巻! 関連作品 晴海ひつじ関連作品
続きを読む2020/06/05
【読了】犬の哭く村 2 (花とゆめコミックス)
雑感 最終巻。 スッキリしたような。スッキリしないような感じの終わり方です。個人的にはすごく好きです。 書籍紹介 幼馴染みのスギが犬神の社のそばで殺され、犬神を恐れる村人と健太に捕えられた月子は、事件の容疑者・玲一に救われる。 月子の生家を調べていくうちに明らかになる月子の過去と犬神の秘密。 月子は真相を突き止めるため診療所に向かうが!? 2020年6月刊 関連作品 黒川こまち関連作品
続きを読む2020/06/05
【読了】魔眼と弾丸を使って異世界をぶち抜く! 1 (HJコミックス)
雑感 キャロを買い取ってウルフ討伐に向かう所までです。 Web版は読んでいるので、内容は解っていますが、漫画にするとツッコミどころが出てきてしまうのですね。 とくに、冒険者3名を仕留める所とか描写が難しいし、説明不足ですよね。 書籍紹介 超人級スナイパー、異世界へ! 「小説家になろう」発! 最強英雄譚をコミカライズ!! 不幸な事件に巻き込まれて命を落とした青年・アタルは、神から三つの特殊な力を得て異世界へと転生する。 最強の銃、弾丸を自由に創りだせる力、そして「魔眼」と呼ばれるすべてを見とおす力。 この世界…
続きを読む2020/06/05
【積読】異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術13 (講談社ラノベ文庫)
書籍紹介 突如としてリフェリア王国に宣戦布告してきたゲルメド帝国によって王は戦没し、王城は占領されてしまった。 そのうえ、レムが敵の魔導機兵に攫われかける。 内心では平和を望んでいたディアヴロだったが、魔術により敵兵を撃破するのだった。 救出には成功したものの戦局は劣勢だ。 覆すには、単独で乗りこんでの奇襲しかない。 「これより、王城グランディオスまで《転移》にて乗りこむ!」 来る決戦! とうとうシルヴィの秘密が明らかに!? 魔王クルムがファルトラ市を旅立つ。 離反した王宮騎士団ノアの動向は……!? やがて…
続きを読む2020/06/01
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四十五話 帝国の村
子爵たちの処分に目処が付いたヤスは、保留していた帝国への対応を開始した。 マルスからの情報で、帝国軍は、3つの家の連合で作られているようだ。それぞれの家の三男や四男が率いている。連合と言っても、統率が出来ているわけではない。ただ一緒にいるだけの関係だ。兵士数も、各家では3、000の兵士を出して、物資を輸送する兵站を1,000名出している。合計すると1万2,000にもなるが烏合の衆であるのは間違いない。 石壁が始まっている場所で、陣取って動こうとしない。 先に攻撃を仕掛けて、失敗したら笑いものになる。…
続きを読む2020/06/01
【第八章 踊手】第九話 端緒
晴海はコーヒーを飲みながら情報端末を操作している。 かばんの中にはタブレットも入っているが、逃げる場合を考えて、すぐに動ける状態にしてある。 夕花のエステの施術は予定終了時間を少しだけ過ぎたが、概ね予定通りに終わったようだ。 ”晴海さん。終わりました” 晴海の情報端末に、夕花からのメッセージが届いた。 晴海は、夕花がビルから出てくるのを、コーヒーショップから見えていたので、支度をして夕花に近づく。夕花も晴海に気がついた。 「夕花。綺麗になったね」 「ありがとうございます」 うつむきながら晴海に礼…
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