非ハーレムの記事一覧
2021/01/05
【第二章 王都脱出】第九話 おっさん辺境伯に会う2
おっ(まー)さんが、部屋に戻ると、1人の男性が拍手をしながら出迎えた。その横には、苦笑しながら椅子を勧めている男性が1人座っていた。 「辺境伯」 ロッセルが、拍手をする男性を窘めるように声を上げるが、呼ばれた辺境伯は気にしない様子で、まーさんに話しかける。 「まーさん。すごいね。勇者は、交渉も得意なのか?」 「ん?なにか勘違いしていないか?」 「え?」 「俺は、交渉なんてしていないぞ?」 ロッセルは不思議そうな表情をするが、辺境伯(フォミル・フォン・ラインリッヒ)は、まーさんが言っている内容がすぐに理…
続きを読む2021/01/01
【第五章 マヤとミル】第五話 眷属
ミルは目を覚まさない。魔法陣が消えれば、”起き出す”と言われた。原因は、わかっている。マヤが怒っているのだろう。 心臓は動いている。血色もいい。明日ではなく、今にも起きそうだ。 でも、ミルは起きてこない。 ”マスター” 誰かが呼んでいる。 「ロルフ?」 ”いえ、ロルフ様は、ヒューマと外に出ています” 「外?なにか有ったの?」 ”いえ、定時の見回りです。それと、眷属に接触があった者を向かい入れるための準備をしています” 「ん?あぁロルフがなんか言っていたな・・・」 確か、4-5日前にアイル(スコル(…
続きを読む2020/12/17
【第五章 マヤとミル】第四話 ギルド
「タシアナ!イリメリは?」 「まだ!フェムと一緒に外に出ている!」 「はぁ?それなら、ルナは?」 「金髪(ローザス)に呼び出された。それよりも、今日の面接はどうするの?」 「そっちは、ギルドマスターに頼んだ!」 「わかった。サリーカ。私も・・・」 「あ?!あぁそうだね。お願い」 ギルドは、認知され、活動を開始した。王都が荒れたタイミングでの開業だった。そのために、認知される速度も早かった。 王都に貴族たちが混乱して、暗殺だけではなく、町中での襲撃が発生する自体になっている。 当初は、王都だけで収まって…
続きを読む2020/12/16
【第二章 王都脱出】第八話 おっさん使者に会う
おっ(まー)さんは、朝から不機嫌な気持ちを隠そうとしていない。周りに当たらないだけ大人なのだろうが、不機嫌な態度は大人として正しくない。まーさんは、イーリスの研究所で、まーさんを訪ねてきた者と対峙していた。正確には、まーさんを訪ねてきたわけではない。客の素性を聞いて、まーさんはカリンではなく、自分だけが話を聞くことにした。 イーリスに頼んで作らせた、黒の作務衣に愛用していた濃い色が付いている丸サングラスをしている。その状態で、椅子に座って足を組んでいる。手には、蒸留して作ったアルコールに軽く匂いと味を付…
続きを読む2020/11/15
【第二章 王都脱出】第七話 おっさん戸惑う
おっさんは、考えられるだけのテーブルゲームやボードゲームを作成した。カリンも、トランプでできる遊びを書き出した。トランで行うゲームは、商業ギルドに登録することはできないが、トランプの本体は大丈夫だと言われた。カリンのスマホには、タロットカードを使った占いが入っていて、再現は可能だったのだが、おっさんとカリンが”占い”の説明をしても、イーリスはわからない様子だった。神の存在が信じられている世界では、”占い”はあまり意味を持たない。”神託”が存在していると信じられている。それに、”先読み”や”未来視”といった…
続きを読む2020/11/08
【第二章 王都脱出】第六話 おっさんいろいろ作る
辺境伯との話を終えたまーさんは、マスターの店で食事をしながら、アルコールを摂取してから、イーリスの屋敷に帰った。 門番に、付け届けをしてから、屋敷に入る。まーさんの部屋は、奥なのだが、イーリスたちにお願いして、まーさんが寝るだけの部屋を、玄関の近くに作ってもらった。遅くに帰ってきたときには、部屋には向かわずに、寝るだけの部屋に入る。 「おっバステトさん。今日は、カリンの相手をしていなくて大丈夫なのですか?」 まーさんが部屋に入ると、ベッドの上で猫が丸くなって寝ていた。まーさんが帰ってきたのに気がついて…
続きを読む2020/10/29
【第二章 王都脱出】第五話 おっさん悪巧みをする
「フォミル殿。お願いがありますがいいですか?」 辺境伯は、まーさんを真っ直ぐに見つめる。 「なんだ?」 「まず、俺たち・・・。カリンと二人で、思いつく限り、前の世界に合った料理やどこぞの貴人が言っている物を再現する」 「ほ、本当か?!それは・・・」 まーさんが、手を上げて興奮した辺境伯を手で制する。 「フォルミ殿。全て、お渡しします。使い方や特許で条件を付けさせてください」 「解っている。まーさんたちに不利益にならないようにする」 「それもあるのですが、材料の調達をお願いしたい。それと・・・」 まーさ…
続きを読む2020/10/26
【第五章 マヤとミル】第三話 神殿
「マスター。眷属たちに食事を配り終えました。にゃ」 「ありがとう。ロルフ。マヤの様子は?」 「・・・」 「ロルフ!」 「はいにゃ!神殿に、マヤ様の気配はないにゃ」 「どういうことだ?」 「わからないにゃ」 ミルの首筋を触るが、脈はあるので生きているのは確認できる。鑑定で見てみるが、以前に見た情報と変わっていない。マヤに変わった感じはしていない。 マヤだけが消滅したのか?それなら、ロルフは”気配がない”とは言わない。”消滅した”と説明するだろう。 「ロルフ。どうやって、マヤが”居る”と判断している」 「は…
続きを読む2020/10/24
【第十章 エルフの里】第一話 状況確認
神殿の領域は(・)静かな時間が流れている。 今日は、神殿の各村の代表と各部署の責任者を集めた会議が行われている。 神殿を取り巻く情勢が落ち着いてきたので、後始末と今後の対応を含めた話し合いを行っている。 会議の冒頭で、状況をマルスが皆に説明している。 サンドラやアーデベルトやドーリスは知っていることも多かったが、状況を全ては把握していない。当初は、認識合わせを行おうとしたのだが、ヤスが”神殿として認識している”事実をベースに考えたいと説明したことで、皆がマルスの話を聞いてから、後始末と各自に来てい…
続きを読む2020/10/22
【第二章 王都脱出】第四話 おっさん辺境伯にあう
待ち合わせの時間には少しだけ早かったが、まーさんは、料理をマスターに頼むために、店に向かった。 「マスター」 「まーさん。お客は既に来ているぞ」 意外なことに、待ち人が既に来ていると言われた。偉い人は遅れてくるというイメージを持っていたまーさんは、驚いた顔をマスターに向ける。 「え?まだ約束の時間にはなっていないとおもうけど・・・」 「あぁまーさんに会うのを楽しみにしていたみたいだ。まーさんのレシピや蒸留器を一通り揃えて部屋に置いてある」 「お。助かる」 まーさんは、マスターに持ってきた物を渡した。 …
続きを読む2020/10/18
【第五章 マヤとミル】第二話 ジャイアニズム
魔法陣に光が集まり、強く光りだす。 目を開けていられないくらいに強く光ってから光が明滅した。徐々に、明滅の感覚が長くなっていく、光も弱まっていく。 光だけなのに、肌が刺されたような感覚にとらわれる。 「・・・」 肌を刺す光も弱まり、目が開けられるようになる。 魔法陣には、ミルが立っている。 後ろ姿でも、ミルなのはわかる。 魔法陣の最後の光が消えた。 「ミル!」 ミルが、膝から崩れ落ちるように魔法陣の中で座り込んでしまった。 「ロルフ!」 「わからない。にゃ」 駆け寄って、マヤを抱き寄せるが…
続きを読む2020/10/15
【第九章 神殿の価値】第二十七話 ハインツノート2
王国内が再編されている状態にも関わらず、僕や父上は王都から離れられない。 毎日ではないが会議が行われている。神殿の主の協力(アーティファクト)が必要になる前提ではあるが、物資の輸送が可能になり、生産調整が必要になってしまっているのだ。派閥内で調整は可能だが、派閥に属さない貴族家への配慮も必要になる。もちろん、王家の直轄領や公爵家へ配慮も同様だ。輸送に適さない物は、近隣で調整すればよかったが、長距離搬送が可能になり状況が変わった。 神殿の主が提供するアーティファクトは、神殿に住まう者が教習を受けて運用が…
続きを読む2020/10/15
【第二章 王都脱出】第三話 おっさん提案する
まーさんは、マスターの店に足を向けた。 「おっちゃん!」 少しだけ離れた路地に居た子供がまーさんに話しかける。子供が駆け寄ってくる。目線を落として、まーさんは子どもたちの頭を押さえつける。 「何度も言っただろう。”まーさん”と呼べと!」 「おっちゃんは、おっちゃんだよ。おっちゃん。何か、仕事はない?」 まーさんの足にじゃれ付いてきた子どもたちは、全部で3人。孤児院で生活している子供たちだ。まーさんは、街歩きの時に子どもたちに銅貨を渡して、道案内をさせた。それだけではなく、安い店や親切な店を教えてもらっ…
続きを読む2020/10/13
【第九章 神殿の価値】第二十六話 ハインツノート1
僕の名前は、ハインツ。クラウス・フォン・デリウス=レッチュ辺境伯の長子だ。 ”俺”という一人称を使ったり、”私”と言い換えてみたりしているが、”僕”が一番しっくりと来る。 今の僕の役割は、妹のサンドラからくる情報を、父や派閥の長(陛下)に伝えるのが仕事になっている。 こんな状況になってしまったのには理由がある。 僕の弟である、ランドルフの問題行動に起因している。 最初に話を、サンドラから聞いた時には、僕が自ら手を汚して殺してやろうかと思った。 サンドラの機転と、神殿の主の温情によって救われた。…
続きを読む2020/10/12
【第五章 マヤとミル】第一話 ミルとマヤ
俺たちは、マガラ神殿に帰ってきた。 ミルには、俺の非道な行いも告げている。それでも、ミルは俺に付いてきた。 「リン?」 「あぁいいのか?」 「うん。僕が、リンの役に立てる。最高な気分。一つだけ心残り」 「え?」 「リンに抱いてもらいたかった」 「それは・・・」 「わかっている。でも、リンの説明だと、僕の身体をマヤが使うのだよね?」 「あぁ」 「それなら、リンが抱くのは、僕の身体で、僕だと言ってもいいよね?」 「え?」 「それに、多分、白い部屋で待つことになると思うから、僕がリンに抱かれるところを見られる…
続きを読む2020/10/10
【第二章 王都脱出】第二話 おっさん勇者の願いを知る
ロッセルと別れたまーさんは、屋台を周って、飲み屋に持っていく手土産を考えていた。 (辺境伯が来るのだよな?まぁいつもの感じでいいか・・・。考えても駄目なことは、考えるだけ意味がないからな) まーさんは、少しだけ”貴族”を考えたが、貴族という一括で考えることの危険性を考えて、考えるのを止めた。 「まーさん!」 「お!野菜売りのおっちゃん。今日はどうした?もう店じまい?」 「違う。違う。呼び出されて、貴族様の屋敷に行っていた」 「おっちゃん。何かやったのか?逃げるのなら、早いほうがいいぞ?」 「まーさん?違…
続きを読む2020/10/09
【第九章 神殿の価値】第二十五話 神殿攻略の余波
朝から、イーリスとサンドラは、不機嫌を隠さないで来る”客”の対応を行っていた。 想像通りだった。 神殿の迷宮区が”一般公開”されて、皆が考えている状態になった。ヤスというよりも、マルスの読みどおりに、面白いように王国内の貴族が喰い付いた。それだけではなく、教会も前のめりになるくらいに喰い付いてきた。帝国も皇国も喰い付いてきた。 続々と軍を送り込んでくる愚か者たちの相手を、ヤスがするわけがなく、ギルドの代表としてイーリスと辺境伯から委任される形でサンドラが行っている。 「ですから!何度もお伝えしている…
続きを読む2020/10/04
【第二章 王都脱出】第一話 おっさんロッセルと街を歩く
「おはよう。まーさん」 「カリン。何度も話したよな?」 「うん。でも、まーさんが起きてこないから、イーリスとロッセルが困っているよ?」 「約束はしていないと記憶しているが?」 まーさんは、ベッドから起き出して、サイドテーブルに置いてある水差しから、コップに水を注いだ。 「まーさん。お水・・・。冷やす?」 「あっ大丈夫」 まーさんは、コップを両手で覆ってから、魔法を発動する。 常温よりも少しだけ水を冷たくする。 冷えた水を一気に飲んだ。 「それで?イーリスとロッセルが、”なん”の用事で?」 「うーん。…
続きを読む2020/09/26
【第一章 王都散策】第十七話 おっさん人に会う
まーさんとカリンが、イーリスの屋敷という研究所に住み始めて、20日が経過した。 カリンは、変わらずイーリスと勉強会という名前のお茶会をおこなっている。まーさんは、ロッセルやイーリスの同僚?に日本語を教える代わりに、酒代をもらっている。マスターの店にデポジットを行ってもらっているのだ。 今日も、まーさんは、マスターの店に来ている常連に”うまい飯屋”を紹介してもらって、夕飯を食べてからマスターの店に行く予定にしていた。昼には、日本語の読み聞かせを行っているので、懐も温かい。カリンの勉強会は、イーリスが居る…
続きを読む2020/09/24
【第一章 王都散策】第十六話 女子高校生魔法を使う
まーさんが、王都を散策している時間に、カリンはイーリスに頼んで”生活魔法”が書かれている本を貸してもらった。あと、勇者たちに対抗するためという理由をまーさんに考えてもらって、各種魔法の本を用意してもらった。同時に、勇者たちが持っていない魔法を知るために、聖魔法と闇魔法が書かれた本も用意してもらった。 「まーさん。生活魔法が使えるようになったよ」 「そうか、今度、教えてくれ」 「わかった」 軽い感じで話をしているが、よほど”魔法特性”が高い人物でも”使える”ようになるのに、1-2ヶ月程度は必要になる。その…
続きを読む2020/09/21
【第一章 王都散策】第十五話 おっさん日常を謳歌する
まーさんたちが、王城を出て、1週間が経過した。 何もすることがなく、惰眠を貪りつつ情報収集を、行っていた。簡単に言えば、やることが無いから、ダラダラしていたが正しい表現だが、まーさんは夜になると”ふらっ”と部屋を出て商業区にある飲み屋に行くようになった。 「まーさん。今日も、飲み屋?」 「バステトさんをお願いします」 「はい」 ”にゃ!” バステトが、まーさんの部屋からカリンの部屋に移動する。 夕方に、カリンと交わした会話もこれで、4日連続となっている。 最初は、訪ねてきたロッセルに紹介された店に…
続きを読む2020/09/21
【第一章 王都散策】第十四話 おっさん納得する
「バステトさん。紋章の件は、把握出来たのですが、称号は偽装したものですよね?」 ”ふにゃ?” 「違うのですか?」 ”にゃ!” 「確かに、バステトさんとの繋がりを感じます」 ”ふにゃ” 「そうですか、バステトさんも繋がりを感じてくれているのですね」 カリンが二人の会話を不思議そうに見ている。 「まーさん。バステトさん。会話が成立しているように思えるのですが?」 「え?成立していますよ?」 ”にゃ!” バステトも、まーさんの”成立している”を肯定する。カリンは、自分の常識を疑うように頭を左右に振る。 「カリ…
続きを読む2020/09/20
【第一章 王都散策】第十三話 おっさん会話をする
まーさんは、内扉がノックされる音で目を覚ました。 (誰だ?あぁそうか、カリンしか居ないな) 「いいよ。こちらには鍵はかけていない」 「まーさん。入って大丈夫?」 「あぁ」 鍵が開けられる音がする。 内扉には両方に鍵が付けられている。カリンは自分の部屋に付けられていた鍵を開けて、扉を開けた。 「本当だ。まーさん。不用心だよ?」 「ん?カリンは、俺を襲うのか?」 「え?あっ!」 カリンは、自分が開けた扉が内扉だと気がついた。自分が開けなければ、誰も開けないのだ。 「いいよ。それで、こんな時間に訪ねてきた…
続きを読む2020/09/17
【第九章 神殿の価値】第二十四話 住民代表会
ヤスの宣言を、大木の都(ヒュージツリーラント)の代表者で協議した。 実行してもいいだろうと賛成したのは、アフネスとサンドラとルーサとイワンとラナだ。反対したのは、エアハルトとドーリスだ。意見を保留したのは、ヴェストとデイトリッヒだ。デイトリッヒは、冒険者の取りまとめとして参加している。ラナは、住民の代表として参加した。 賛成した者の意見は、別段反対する理由がないという意見だ。アフネスはユーラットに溜まっている貴族からの間者が居なくなれば嬉しいという考えが根本にある。サンドラは、うるさい貴族の問題が片付…
続きを読む2020/09/17
【第一章 王都散策】第十二話 おっさん部屋に入る
イーリスから話を聞いてから、まーさんとカリンは部屋に移動した。 割り当てられた部屋は、隣り合っている。 まーさんは、ベッドで横になると、目をつぶった。疲れていると認識はしているが、眠いわけではない。 (異世界転移か・・・。シンイチ辺りが聞いたら喜ぶか?それとも、カズトの方が好きそうな展開だな。意外な所では、ヤスシ辺りも好きそうだな。シンイチは過労死だったな。カズトも取引をしていた会社を首になった奴に殺された。ヤスシもトラックごと行方不明。あいつらとサクラとカツミだけか・・・) まーさんは、20歳を越…
続きを読む2020/09/14
【第一章 王都散策】第十一話 おっさん話をする
目の前に置かれた紅茶から湯気が立たなくなった位で、イーリスが部屋に入ってきた。 「おまたせしましてもうしわけございません」 「いや、いい。新しいお茶を貰えるか?」 「・・・。はい」 イーリスは、扉の側に控えていたメイドに目配せをした。 扉が開いた音がして、部屋からメイドが出ていった。 「常識が違う可能性があるから参考程度に聞いて欲しい」 「はい」 「待たせる可能性があるのなら、温かいお茶を客だけに出すな。そして、急に来られなくなったのなら、伝言を誰かに持たせろ」 「あっ」 「まーさん。まーさん」 「ど…
続きを読む2020/09/12
【第一章 王都散策】第十話 おっさん王都を移動する
王城を出て、待っていた馬車に乗り込んだ。王城を出てすぐの場所で待機していたようだ。 「まー様。馬車に乗ってください」 「イーリスから乗らないとおかしいだろう?」 「それもそうですね」 イーリスが、従者と馬車に乗り込む。まーさんとカリンは、周りを警戒するフリをして辺りを見る。 「まーさん」 「見られているな?」 「やっぱり!どうします?」 『にゃ!』 まーさんの懐に入っていた、バステトがまーさんの肩に乗って、二人を見ている方向を向いて鳴き声を上げた。 「バステト?」 『ふにゃ?』 「ふふふ。可愛いですね…
続きを読む2020/09/10
【第一章 王都散策】第九話 おっさん王城を出る
ドアがノックされた。 まーさんとカリンは、テーブルの上に置いていた物でロッセルとイーリスに渡す物以外を、カリンの収納に隠した。バステトの収納もあるが、コミュニケーションの問題もあるので、まずは簡単にしまえる。カリンの収納に全部を入れた。 「カリンさんは、大丈夫?」 「まーさん。私のことは、呼び捨てにしてください」 「ん?カリンと呼べばいい?カーテローゼさん」 「はい!カリンでお願いします。ネットゲームでも同じように呼ばれていました」 「わかった。パステトさんは?」 『にゃぁ!』 「呼び捨てでいいのですか…
続きを読む2020/09/08
【第九章 神殿の価値】第二十三話 サンドラへの説明
セバスに連れられて、サンドラが部屋に入ってきた。 「ヤス様。先程の学園村ですが、イワン殿とルーサ殿とヴェスト殿とエアハルト殿とアデーは、賛成しています。ドーリスとアフネス様は、連絡が取れなかったので、後ほど連絡します。クラウス辺境伯。ハインツお兄様は、会議に出ていまして不在でした。家令のガイストに伝言を頼んであります」 部屋に入ってきて、サンドラは状況をヤスに伝える。 「わかった。ドーリスとアフネスの賛成を持って、学園村の建設を始めようと思う。皆で規模を決めてくれ」 「はい」 「場所はこちらで決めるが、…
続きを読む2020/09/08
【第一章 王都散策】第八話 おっさん誂う
ロッセルとイーリスが部屋から出ていったのを確認して、二人は荷物をテーブルに広げる。 「まーさん。本当に、何者ですか?」 「どうして?」 まーさんがポーチから取り出した物を見て、糸野(いとの)夕花(ゆうか)は固まっていた。 不思議な表情で物品を眺めてから、まーさんに質問をした。 「このスマートウォッチ・・・。最新機種ですよ?それが、二つ?それに、折りたたみ式のソーラパネルに、このケーブル・・・。IT会社の人なのですか?」 「あぁ違う。違う。ただ、知り合いに、そういうのが好きな奴が居て、仕事を流したお礼に…
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