非ハーレムの記事一覧
2020/05/06
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。神殿を視察2
儂は、クラウス・フォン・デリウス=レッチュ。バッケスホーフ王国の辺境伯だ。だが、現在の状況が理解出来ない。 ドワーフの工房は、凄まじかった。一級品の武器や防具が作られていた、日用品と思われる物もドワーフたちが作っていた。一部魔道具も見られた。ドワーフが魔道具を作る?と思ったが、エルフ族が居て、ドワーフ族と連携しているのなら可能なのだろう。こんな事が貪欲な貴族に知られたら、また胃に痛みが走る。 娘の言葉にも耳を疑った。 「サンドラ。二級品とは、見てきた工房で作られている物か?購入できるのか?」 「えぇ。…
続きを読む2020/05/05
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。神殿を視察1
儂は、クラウス・フォン・デリウス=レッチュ。バッケスホーフ王国の辺境伯だ。 貴族位としては、伯爵だが通常の伯爵より上の辺境伯だ。儂の上は、侯爵家と公爵家があるだけだ。 儂は、娘のサンドラが世話になっている神殿の都(テンプルシュテット)の敷地内に足を踏み入れた。軽い気持ちで着いてきたが、後悔し始めている。 神殿の都(テンプルシュテット)は娘たちが名前を付けたと言っているが、信じていない。名前は、主が付けるのが当然で、主の権利なのだ。娘たちも気にして、仮称だとは言っていたが、実際に神殿の主であるヤス殿が…
続きを読む2020/05/04
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 クラウス辺境伯。神殿に行く
儂は、クラウス・フォン・デリウス=レッチュ。バッケスホーフ王国の辺境伯だ。 貴族位としては、伯爵だが通常の伯爵より上の辺境伯だ。儂の上は、侯爵家と公爵家があるだけだ。 儂は、娘のサンドラが世話になっている神殿の都(テンプルシュテット)に向かっている。 関所の村アシュリでは、簡単な食事だけをして、神殿を目指す。関所の村アシュリの代表は、ルーサという男だ。ディトリッヒ殿の知り合いと言っていたが、どっかで見たことがある気がする。思い出せない。王都で行われた、陛下の即位式で見た気がしたのだが・・・。 代表…
続きを読む2020/05/03
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十八話 ヤスへの説明?お願い?
セバスが、サンドラとクラウスを連れて会議室に入ってきた。クラウスが疲れた表情をしているのを見て、ディトリッヒは可愛そうな人を見る目でクラウス辺境伯を見ている。実際に自分たちが通ってきた道である。 クラウスに衝撃を与えた、ヤスはセバスから飲み物を受け取って喉を潤していた。 「お!サンドラ。ありがとう。クラウス殿。お手間をとらせてもうしわけありません」 「ヤス殿。感想は、娘に伝えてあります。本題に入りますが問題はありませんか?」 「わかりました。お願いします」 クラウスは、ヤスに交渉の内容を伝える。 ま…
続きを読む2020/05/02
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十七話 サンドラとデイトリッヒが帰ってきた。おまけ付き
関所の村アシュリからユーラットに向かい始めた。サンドラ。ディトリッヒ。クラウス(辺境伯)を乗せた、ダブルキャブはユーラットに寄らずに神殿を目指す。 「セバス殿。ヤス殿は、”村を作る”と言ったのですよね?」 クラウスが、セバスに質問をする。問い詰めている感じではなく、呆れた感じに聞こえる。 「はい。そうお聞きしました」 セバスも淡々と答えるのだった。 関所の村(・)アシュリは、村ではない。城壁を備えた街なのだ。人数は、確かに街ではなく村なのだろう。設備だけを見れば、領都と同等か領都以上なのだ。クラウス…
続きを読む2020/05/01
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十六話 神紋
ヤスは、リーゼの家で昨晩の結果を含めて聞こうとしていた。 先触れに出た、テンが戻ってきて、リーゼが家に居ると告げられた。マルスに確認すれば済むのだが、ヤスはメイドに仕事を与えたのだ。 リーゼは、家で待っていると言われたので、手土産になるお菓子を持って、リーゼの家に向かう。 「旦那様。ファーストです。リーゼ様がお待ちです」 「ありがとう」 ファーストが、ヤスを案内して、リーゼの家に入る。リビングで、リーゼが緊張した面持ちで待っていた。 「ヤス。昨日の話だよね?」 「そうだ。何があった?」 リーゼがヤ…
続きを読む2020/04/30
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十五話 ディアスとヤスとルーサ
ディアスは姿勢を正して、ヤスを正面から見る。 「ヤスさん。イチカちゃんが言った”お願い事”は忘れてください」 「子供を助けてくれってやつか?」 「はい」 「なぜだ?」 「皇国と帝国を敵に回す可能性があります」 「そうだな」 ヤスの問題はないという態度にディアスは焦りを覚えて、きつい口調になってしまう。 「ヤスさん!解っているのですか?」 「ディアス。解っている」 「いいえ、解っておられません。帝国はどこまでも貪欲に神殿を狙ってきます。皇国も同じです。リップルとかいう子爵家とは違います」 「そうだろうな」…
続きを読む2020/04/29
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十四話 子供と名前とイチカ
「旦那様。テンです。おはようございます。朝からもうしわけございません。ディアス様とイチカ様が面会を求めてお越しです」 「うーん。わかった。工房の執務室に通しておいてくれ、着替えたらすぐに行く」 「かしこまりました」 (昨晩の話かな?まぁ子供関係だろう) — 昨晩 子供が寝ているのを確認して、ヤスとリーゼは寮に入った。 子供たちは一つの部屋でまとまって寝ていた。ベッドを使うわけでもなく、床で、部屋の奥で肩を寄せ合いながら寝ていた。 それを見たリーゼが急に怒り出した。 「(ヤス!なんなの!)」…
続きを読む2020/04/28
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十三話 ディアスと子供とリーゼと神紋
神殿のリビングに戻ったヤスは、気持ちを落ち着かせるために、アルコール度数が強い蒸留酒を煽った。 一杯だけで止めたのは、この後、ディアスが訪問してくると思ったからだ。 喉を焼くほどの強いアルコールを感じながら、ヤスは子供たちの怯えた目を思い出していた。 「旦那様。お水です」 「ありがとう」 ファイブから水を受け取り、喉の疼きを抑える。一気に、水を流し込んで目を閉じて考える。 自分は、ただの”トラック運転手”だ。それ以上でも、それ以下でもない。異世界に来て、分不相応の力を手に入れた。力に振り回されるな…
続きを読む2020/04/27
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十二話 子供たち
「旦那様。旦那様」 ヤスは、久しぶり・・・、でも無いけど、ゆっくりと寝た。 「リビングに、水を用意しておいてくれ」 外からの呼びかけに布団の中から答える。 「かしこまりました」 メイドが、扉の前から消えるのを気配で察してから布団から出た。 服を着替えてから、リビングに向かう。 「旦那様。おはようございます。ファイブです」 「おはよう。マルス。デイトリッヒやサンドラの帰還はまだだよな?」 『はい。まだ、神殿の領域内にはおりません』 「わかった。子供たちへの対応を先に行ってしまおう。その前に、食事と報告…
続きを読む2020/04/26
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十一話 リーゼに頼み事
「マルス。それで、リーザは?」 『地下を出て、自宅に戻りつつあります』 「誰か付いているのか?」 『個体名ファーストが付いています』 「今から行けば、家で捕まえられるな」 『はい』 ヤスは、地下の執務室を出て、リーゼの家に向かった。 「旦那様。ファーストです。リーゼ様は、お部屋でお待ちです」 「ファーストか、ありがとう。マルスから連絡が入ったのか?」 ヤスはドアの前で待つファーストから、リーゼが待っていると告げられる。 考えられるのは、マルスだけなのだが、ファーストに確認した。 「はい。情報端末に連絡…
続きを読む2020/04/25
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第二十話 ディアスの報告
「ヤス様。子供たちは・・・」 ディアスが言葉を詰まらせる。カスパルが、慌ててディアスの表情を見るが、泣いているわけではない。どう説明していいのか、自分の考えが正しいのか、正しかった時に神殿に影響が出てしまうのではないかといろいろ考えてしまっただけなのだ。 「大丈夫だ。ディアス。教えてくれ」 「はい。子供たちは、帝国を通って来たようです」 「ん?ディアス。ちょっとおかしくないか?」 「今、”帝国を通ってきた”と言ったよな?間違いじゃないよね?」 「はい。彼らの言葉を信じるのなら間違いなく、彼らは、ラインラン…
続きを読む2020/04/24
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十九話 カスパルの報告
動かない二人を見てヤスは戸惑っていた。部屋の前で立って待たれるとヤスが困ってしまう。それに、どこから突っ込んでいいのか解らないのだ。 ヤスも神殿から出る時に、二人を見送っているが、その時にはしていなかった腕輪をしている。それも、二人でお揃いの腕輪だ。 『マルス。お揃いの腕輪は、結婚の証なのか?』 『婚約指輪と同等と考えてください』 『わかった』 ヤスは、二人を観察した。おそろいの腕輪以外ではおかしなところはない。座っていたソファーから立ち上がって二人を招き入れる。 「いい加減に入ってこいよ」 「あっ。…
続きを読む2020/04/23
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十八話 嫌がらせ作戦実施中??
ヤスは、ユーラットの駐車スペースに戻ってきた。メイドにカードを渡して、FITのロックを外す。 運転席に乗り込んだ。 『マスター。東門に向かう。ルートが構築されました』 『お!どんなコースだ』 『ディアナに転送しました』 カーナビに、レイアウトが表示される。上から見たコースと高低差が解るようになっている。表示が切り替えられるようになっている。 『マルス。なんで、130Rからの高速S字が有ったり、立体交差が有ったり、わざわざ登ってから下りながら90度ターンをするようなコースになっている?』 『マスターの満…
続きを読む2020/04/22
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十七話 関所の村を説明
アフネスは、手に持っていた試算表をヤスに渡した。 「ふぅーん。アフネス。これで、ユーラットはいいのか?」 「問題はない」 「今更ながらの質問だけど、ユーラットのまとめ役は、アフネスなのか?」 「ん?確かに今更な質問だが、私ではない。村長は、しばらく空席になっているが、まとめ役はロブアンだ」 「え?」 「何かおかしいか?」 「いや、なんでも無い。・・・。・・・。・・・。そうだ!忘れていた」 「なんだ。ヤス?」「ヤス殿?」 「カイルとイチカの事は聞いているよな?」 ヤスの問いかけに二人は渋い顔をしたが頷いた…
続きを読む2020/04/21
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十六話 ユーラットに寄り道
ヤスは、関所の村をルーサとイレブンに任せた。 マルスも反対していないので、これが正解だったと思っている。 『マスター。セカンドが、FITで向かっています』 『わかった』 ヤスがユーラット方面に歩いていると、10分程度進んだ所で、FITが見えてきた。セカンドが運転しているのだが、ヤスが見えてきた時点で速度を落として、手前で停まった。 「旦那様。セカンドです」 「ありがとう」 セカンドは運転席を降りた。ヤスと運転を変わるのだ。 運転席に乗り込んだヤスは、窓を開けてセカンドに声をかける。 「セカンドはど…
続きを読む2020/04/20
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 関所の村
俺は、ルーサ。以前は、リップル子爵領の領都で、スラム街の顔役をしていた。 今は、しがない村の村長だ。 俺に、この村を任せたヤス様は頭のネジが数本抜けていても不思議ではない。そんな言葉では生ぬるい可能性だってある。 リップル領からの脱出は簡単だった。レッチュヴェルト(レッチュ領の領都)まで移動してギルドに顔を出したら、領主の屋敷に行けと言われた。どうやら、デイトリッヒが関係していた。俺としては、カイルたちがどうなった確認して、レッチュ領の顔役に話を通しに行く予定だったのだが崩れてしまった。 デイトリ…
続きを読む2020/04/19
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十五話 ルーサという男
「旦那様。執務室でお待ち下さい」 「ん?執務室なんて作ったのか?」 「はい。旦那様と面談を希望する者、全員を神殿の工房に連れて行くわけには行きません」 ツバキがきっぱりと言い切った。マルスもセバスも当然だと考えている。 そして、常々ヤスが気楽に人に会いすぎると思っているのだ。神殿の中なら、多少は許されるだろうが、ユーラットや領都での行動はマルスとしても、眷属代表としてセバスやツバキが許容できる範囲を越えている。 しかし、マルスもセバスもツバキもヤスの行動を縛ろうとは思っていない。ヤスが外に出るのをやめ…
続きを読む2020/04/18
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】幕間 ルーサ
俺は、ルーサ。貴族籍はすでに抜けているので、ただのルーサだ。あの夫婦に請われてリップル領で孤児たちを集めたり、攫われそうになるのを助けたり、スラム街で死にそうになっている餓鬼を助けたりしていたらいつの間にかスラム街の顔役の一角を占めるようになっていた。 裏方仕事が好きな俺には丁度良かった。 貴族の煩わしさもない。力だけが・・・。力がすべてを支配する場所は心地よかった。すべてを失った俺にはもっともお似合いの場所だ。 あの夫婦も、孤児院を開設して餓鬼の面倒を見ている。 どうしても、孤児院に馴染めない餓…
続きを読む2020/04/17
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十四話 ルーサがやってきた!
ヤスは驚いていた。 カイルとイチカだけではなく、子供たちの身体能力が異様な高さを示していた。 「ヤス兄ちゃん」「ヤスお兄様」 カイルとイチカは、すでに自転車を乗りこなして、スクーターの運転も問題ではなかった。ブレーキの概念もしっかりと把握出来ている。カイルは、”勘”で操作するので 最初に運転ができるようになる。しかし、運転がうまいのはイチカだ。イチカは、ブレーキでカートが止まる理由から、構造が違う自転車ではなぜ構造が違うのか?スクーターの動かし方について、ヤスを質問攻めにした。 地頭がいいのだろう。…
続きを読む2020/04/16
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十三話 イチカとカイルの仕事
ヤスは、リビングを出て地下にあるカート場に向かった。 マルスからのカイルとイチカがカート場に居ると教えられたからだ。 「ヤス兄ちゃん」 「お!カイルだけなのか?イチカは?」 「イチカは、リーゼ姉ちゃんの手伝いをしている」 「手伝い?」 「うん。カートの練習相手が欲しいって連れて行かれた」 「カイルは?」 「案内の仕事があるから、残った」 カイルは案内と言ったのだが、カート場に来るのは限られている。 リーゼ。ディアス。ドーリス。サンドラ。ミーシャ。デイトリッヒを除くと、数名が降りられるようになっている…
続きを読む2020/04/15
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十二話 嫌がらせ-ヤスの仕事-
『ヤスさん。王都に向かいます』 「サンドラ。頼むな。セバスも無理するなよ」 『旦那様。ありがとうございます。”あんぜんうんてん”で行ってきます』 セバスたちとの通信が切れた。 リビングに設置しているディスプレイには神殿が管理している領域が表示される。 『マスター。関所と村を作ります』 「そうだったな。候補地はあるか?」 『関所は二箇所、一つの村で管理したく思います』 「そうだな。関所の一つは現存している物を拡張すればいいよな?」 ヤスは、ユーラットに向かう街道にも関所が作られると思っていたのだが、現存…
続きを読む2020/04/14
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十一話 嫌がらせ開始
カスパル。ディアス。サンドラ。デイトリッヒ組が出発して、一日半後にセバスが出発した。 セバスは、朝方に領都に到着した。 ヤスは、神殿のリビングでマルスから報告を受けていた。 カスパルも心配では有ったが同乗者が居るので無理はしないだろうと思っていた。セバスは、夜の長距離は初めてで、本人は大丈夫だと言っていたが心配になってしまったのだ。 マルスは、地図を表示してカスパルとセバスが運転する車両の現在位置を表示していた。 マルスにしても、ヤス以外の長距離の運転で、神殿の領域外に出ているので、データの収集…
続きを読む2020/04/13
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第十話 嫌がらせ作戦
壺の準備に手間取ったが、ドワーフたちの活躍で会議から3日後には、カスパルが運転するアーティファクトで、ディアスとサンドラとデイトリッヒが領都に迎える準備が整った。 塩100キロと砂糖100キロと胡椒20キロは、強奪される物だ。 領都で馬車に載せ替えて、王都まで運ばれる。壺には、レッチュ辺境伯の証が刻印されている。 貴族から王族や貴族に貢物として送られる場合には必ず刻印される。中身に印が付けられない場合には、入れ物に刻印される。 強盗や野党に襲われて強奪された物品で、貴族の印が刻印されている物品の場…
続きを読む2020/04/12
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第九話 嫌がらせの準備
ヤスが考えた”嫌がらせ”の準備は、神殿の都(テンプルシュテット)をあげて行われている。 ヤスが示した”嫌がらせ”という指標だが、神殿の都(テンプルシュテット)では主からの命令に等しい。会議が終わって、神殿に帰ると、マルスがすでに輸送に必要な物をリストアップしていた。セバスが行っている業務の引き継ぎや作らなければならない物品もあるために、開始はすぐには出来ない。 情報共有や協力を求める連絡をしておく必要もあるので、時間がある程度は必要になってくる。 サンドラは、即座にギルドから辺境伯に連絡をした。サン…
続きを読む2020/04/11
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第八話 嫌がらせの相談(3)
「頼む。それで・・・。王都に、塩と砂糖と胡椒が盗まれてから、王都に運ぶ役目は俺がするしかないかな?」 ヤスが周りをみながら宣言する。 長距離の運転だけではなく、街から出て運転できるのは、カスパルとツバキとセバスだけなのだ。ヤスが運ぶのが現実的だろう。 「旦那様。僭越ながら、今回の運搬は、私が担当いたします」 「セバスが?」 「はい。いくつか理由がありますが、旦那様は神殿に残られまして、皆に指示を出していただきたい。もう一つは、なるべく旦那様が貴族や王家との付き合いをしないようにしたほうがよろしいかと思い…
続きを読む2020/04/10
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第七話 嫌がらせの相談(2)
「さて、サンドラ。この塩と砂糖を、俺が売ると言ったらどうなる?」 「え?これを・・・。ですか?」 「そうだな」 「量は?」 「さすがに無制限とは言えないけど、かなりの量が用意できる」 「それは、2-30キロですか?」 「ハハハ」 ヤスは、サンドラの言い方が面白かった。 討伐ポイントで交換できるのは、キロ単位だ。20キロや30キロなら簡単に交換できる。ポイントに余裕がある今なら簡単な量だ。 「そっそうですよね」 サンドラは、ヤスが笑ったのは、2-30キロも用意できるわけがないと思ったのだ。 1-2キロ…
続きを読む2020/04/09
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第六話 嫌がらせの相談(1)
「ヤス様」 「デイトリッヒ。様は必要ない。それで?」 「そうでした。ヤスさん。”それで”とは?」 「説明しろよ?デイトリッヒが神殿と関係を無くしたいと思った理由は、”それ”なのだろう?」 「そうです」 デイトリッヒは、3つの山を見る。 ヤスを見てから諦めたように説明を始める。 最後の山は、カイトたちに宛てた手紙だったために、デイトリッヒは簡単に説明だけして、手紙の束をカイルに渡した。 卒院していく子供たちに渡していた物で、カイルたちの卒院に向けて書かれていたものだった。 話を聞いて、カイルとイチカ…
続きを読む2020/04/08
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第五話 ヤスと愉快な仲間たち?
新たにギルドに到着した面々は、セバスが案内して会議室にやってきた。 先にタブレットの説明を始めようか、ヤスが迷っていると、マルスから念話が入った。 『個体名デイトリッヒがギルドに到着します』 「ミーシャ。デイトリッヒがギルドに来る頃じゃないのか?見てきてもらえるか?」 ヤスは、ミーシャに話をデイトリッヒの出迎えを頼む。 カイルとイチカがデイトリッヒと聞いて、ヤスの顔を見る。 「わかりました。連れてきてもいいのですよね?」 「頼む。会議室に入る許可は出してあるから、直接入ってもらって欲しい」 「わかり…
続きを読む2020/04/07
【第八章 リップル子爵とアデヴィト帝国】第四話 主要メンバー集結(除くリーゼ)
ヤスは神殿に戻って食事(昼飯)を摂ってからから、ギルドに戻った。 ギルドでは、ミーシャがアーティファクトの登録を行っていた。 「ヤスさん。アーティファクトの登録は、全員が帰ってきてから行います。鍵の登録で問題がないと本部から通知が来ました」 「頼むな。それで、カイルとイチカは、まだディアスと見学か?」 「だと思います。呼びますか?」 「いや、いいよ。デイトリッヒも帰ってきていないから、急がなくてもいいだろう。奥の部屋を使っていいよな?」 「はい。ギルドマスターの部屋を使ってもいいですよ?」 「ドーリスの…
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