非ハーレムの記事一覧

2021/04/19

【第一章 勇者の帰還】第七話 残留組の探索

「ふぅ・・・」  ユウキは、前回と同じ浜石岳のキャンプ場に転移した。  周りを見回すと、全員が揃っている。 (魔力は大丈夫だな。すぐの発動は無理だけど、ポーションを飲めば回復できる量だ) 「ユウキ!大丈夫?」 「マイ?すごく、可愛くなって・・・」 「ユウキには言われたくない!それよりも、魔力は大丈夫?14人、全員はきつかった?」 「大丈夫だ。魔力は3/5程度消費したから、全員は無理だな。14人が限界だと思う」 「そう・・・。どのくらいで回復しそう?」 「予想通り、1時間ってところだな」 「え?」  よこから…

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2021/04/17

【第一章 勇者の帰還】第六話 残留組の帰還

「それじゃ、地球に行って帰ってくるか!」  サトシが場の空気が湿っぽくなったのを感じて、立ち上がった手をたたきながら、皆を鼓舞するように大きな声で宣言する。 「ハハハ。サトシだな」  ユウキの声をきっかけに皆が笑いながらも立ち上がった。  29名の勇者たちは、こうやって立ち上がってきた。29人になってしまった日に、仲間が傷ついた日に、勇者の中の勇者と言われる”サトシ”は皆を鼓舞してきた。ユウキには出来ない。だから、サトシがリーダーなのだ。 「陛下。将軍。作戦の詳細は、後日に決めましょう。まずは、国内が大丈夫…

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2021/04/16

【第一章 勇者の帰還】第五話 報告(偵察)

 将軍が、ユウキが持ってきた物を預かることでユウキの話は終わった。  休憩を挟んで、勇者たちがマイの召喚した”ゴーレムのような物”を使って偵察を行った内容の報告が始まる。  マイから報告が始まって、2時間ほどの時間を使って偵察内容の報告が行われた。  レナート王国にあるギルドが得ている情報は、将軍がある程度は引き出してきてくれていた。  勇者や聖職者や権力者が多くいる場所が狙われたようだ。 「ユウキ。どう思う?」  サトシが、皆の話を黙って聞いていたユウキに話を振る。 「なぁマイ。魔物たちの種類は?皆の話だ…

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2021/04/15

【第一章 勇者の帰還】第四話 報告(ユウキ)

(さて、2時間が経過したようだな。これ以上、降りると人に見られる可能性があるな)  ユウキは、浜石岳から降りてきている。途中にある小学校の跡地まで降りてきた。  生命探知で人を避けてきたが、難しくなってきていると感じていた。目的だった廃棄されているペットボトルも確保できた。同時に、アルミ缶やスチール缶も確保出来た。レナート王国に居る鍛冶屋に見せて加工が可能なのか確認したいと思っていた。 (少しだけ時間をずらしてみるか?)  ユウキは、元学校の道路から死角になっている場所で、スキルを発動する。  レナート王国…

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2021/04/14

【第一章 勇者の帰還】第三話 偵察

「どこでやる?」  マイのスキルは、テイムではない。他に適切なスキル名がないので、召喚と言っているが、フィファーナにあった召喚スキルとも違う。  魔力で、マイが思い描く”動物”や”昆虫”や”魔物”を作り出せる。魔力で作り出した物は、意識が有るわけではない。そのために、マイが動かすのだが、同時に動かすことができる物には限界がある。  魔力で出来た”ゴーレムのような物”だが、魔力は譲渡できる特性を利用して、制御を他人に任せることができるのではないかと考えたのが、ユウキだ。  マイとユウキで、”ゴーレムのような物…

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2021/04/13

【第一章 勇者の帰還】第二話 情報収集

「エリク様。それでは、我が国の商隊は?」 「外に出る必要があるのか?」 「え?」 「それに、陸路はたしかに封鎖された状態だが、海路は確保されているぞ?」  視線が、アリスに移動する。 「うん。僕のペットたちは、渡してある”旗”を持っていけば沈めないよ」 「アリス様。あの旗のマークに意味が有るのですか?」 「あぁ・・・。それも、ユウキの指示だけど、マークには意味は無いよ。旗の素材が大事」 「え?なんで・・・。面倒では?」 「うん。面倒だけど、あのマークを見れば、召喚勇者で、よほどのバカでなければ、意味がわかる…

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2021/04/12

【第一章 勇者の帰還】第一話 レナート王国

 ユウキが転移に使った魔法陣が消えてから、勇者たちは移動を開始した。  王城の離れにある勇者たちの荷物が置かれている屋敷だ。  舞踏会が行われる場所だったのだが、勇者たちに与えられて、改良して今は40人ほどが一度に会議ができる場所になっている。  座る場所も決まっている。  上座には、サトシが座る。マイとセシリアが両脇を挟む格好になる。  サトシは、正面にある空席を見つめる。誰もが、座りたがらなかったサトシの正面は、ユウキの席だ。  29名で、レナート王国に流れ着いてから、誰一人として欠けなかったのは、皆の…

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2021/04/11

【序章 召喚勇者】第五話 地球

「・・・」  ユウキは、小高い山の上にある。キャンプ場に転移していた。 「成功・・・。したのか?」  ユウキは、周りを見回して、小学校の時に遠足で訪れた場所だと認識した。夢でなければ、転移が成功したのだ。 「あとは、時間だな・・・。2022年なら時間が戻った・・・。え?」  ユウキは、自分の手を見た。  明らかに小さくなっている。7年前の15歳のころのサイズになってしまっている。 「そういうことか・・・。戻ったら、どうなる?」  ユウキは、魔法が使えるのか気になってしまった。  精神は、フィファーナで戦闘を…

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2021/04/10

【序章 召喚勇者】第四話 帰還(後)

「陛下」 「なんじゃ」 「わかりました。全部、飲み込みます。家族のために」 「そうか・・・。ありがとう」 「いえ、それで、陛下。一つ、頂きたい物があります」 「なんだ?アメリアを連れていきたいというのなら、喜んで差し出すぞ?侍女もつけるぞ?」 「陛下?殴っていいですか?」  貴族たちから、”いいぞ!許す”とか声が聞こえてくる。他の国ではありえない状況だ。 「まてまて、お主に殴られたら、儂の頭が軽くなってしまう」 「大丈夫です。少しだけ痛いだけです。陛下の身体が、明日から頭の重さに耐える必要がなくなると喜ぶか…

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2021/04/09

【序章 召喚勇者】第三話 帰還(中)

「陛下」 「勇者ユウキよ。魔物の王の討伐を成し遂げたようだな」 「はっ仲間たち、それに陛下のおかげです。感謝の言葉だけでは・・・」 「よい。余たちにも利があること、勇者ユウキ。目的のものは見つかったか?」 「はい。無事入手いたしました。明日、試したく思っております」 「・・・。そうか、勇者ユウキ・・・。ユウキ。余は・・・。儂は、お主を、お主たちを本当の子供のように思っている。后も、儂と同じ気持ちだ」 「ありがたきお言葉」 「解っている。わかっている。ユウキ。お主たちにはやらなければ・・・。目的があるのは、理…

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2021/04/08

【序章 召喚勇者】第二話 帰還(前)

 サトシたちは、身を寄せている小国(レナート)に転移した。  勇者のスキルだ。サトシやユウキは、”ル○ラ”と呼んでいるが、内容は違っている、一度マーキングした地点に戻ることができるのだ。スキルに込める魔力で、同時に移動できる範囲が変わってくる。 「サトシ様!」  転移のマーキングしてあったのが、王宮にある庭園だ。  王宮から一人の女性が勇者たちに駆け寄ってくる。サトシの名前を読んで駆け寄ってくる女性を見た、勇者の一人がサトシの前に立ちはだかる。 「なんですか?マイ様!私は、私の婚約者であり、未来の王であるサ…

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2021/04/08

【序章 召喚勇者】第一話 召喚勇者

 1つの戦いが終わろうとしていた。  人族の悲願。”魔物の王”討伐が実現しようとしていた。 「ユウキ!どうだ」 「あと、5000!1割。リチャードの一撃で削れる」 「フェルテ!俺に補助を!」 「解った!”根源なる力よ。汝に力を”リチャード!!」 「おぉぉぉぉぉぉ!!!」  聖剣を持つサトシがリチャードの後に続く、”魔物の王”にダメージを与えられるようにできるのは、聖剣を使える勇者だけだ。 ”うぉぉぉぉ!!!”  強化されたリチャードの攻撃で、”魔物の王”を守っていた結界が砕ける。新たな結界をはられないように…

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2021/03/25

【第五章 マヤとミル】第十話 依代

「旦那様」  俺が、ミルに魔力を循環させてから、どのくらいの時間が経過しているのか・・・。循環を行っている魔力が、ミルの身体に溶け込むようになった。 「どうした?」  ブロッホが何か慌てだす。 「旦那様。依代を用意したほうがよろしいかと・・・」 「依代?」 「はい・・・」  ブロッホの説明では、 ミルとマヤが、一つの身体に共存しようとして、身体が耐えきれなくなっている。ミルの身体では、2つの魂の入れ物には小さくなってしまっている。俺が、魔力を循環させたことで、ミルの身体の崩壊は止まったのが、マヤとミルの存在…

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2021/03/23

【第二章 王都脱出】第十六話 おっさん交渉する

 今日のおっ(まー)さんは、召喚された時に来ていた作務衣に似た衣装を着ている。辺境伯と対面して、交渉を行うためだ。正装など持っていないし、どうせわからないだろうと考えて、作務衣が正装だと言い切るつもりでいる。  今日は、カリン(糸野夕花)も同席することになっている。イーリスの頼みでも有った翻訳(読み上げ)に一定の進捗が見られた。進捗に見合う報酬を辺境伯が支払うと言ってきたのだ。読み上げ以外にも、漢字は無理だが、”ひらがな”や”カタカナ”の説明を終えて、数字や英字を説明したのだ。漢字の説明は難しいので、よく出…

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2021/03/22

【第十章 エルフの里】第七話 森の村

 砦の門が閉まる寸前に、ヤスたちは到着した。  貰い受けた許可書では、門が閉まっていても通過はできるのだが、ヤスが特例を行使したくないと言って、アクセルを踏み込む力を強めたのだ。 「ふぅなんとか間に合ったな」 「うん。どうする?砦で休むの?」 「俺としては、砦で休むのは避けたい」 「??」 「砦の責任者が、俺に会いたいとか言っていたからな。先を急ぐ用事があると伝えているから、砦でちんたらしていたくない」 「あぁ・・・。そう言えば、守備隊の人が言っていたね」  ヤスと言うよりも、アーティファクトを欲しがってい…

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2021/03/10

【第十章 エルフの里】第六話 リーゼとヤス

 国境に近づいてきて、砦が見えた場所で車を停めた。 「ヤス。なんで?もう砦だよ?許可書もあるから、大丈夫だよ」  リーゼが言っている通り、王都を出る時に許可書をもらっている。許可書があれば、”行き”も”帰り”も検査を受けなくてもいいという最上級な物だ。 「ん?」  ヤスは、砦の入り口を指差す。  砦の関所を超えるための行列が出来ている。ヤスたちが持っている許可書は、行列を無視できる物で、並ぶ必要はない。 「並ばなくてもいいよね?」 「あぁだけど、列を見ると、高級な馬車が見えるだろう?」 「あ?うん」 「ほら…

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2021/03/07

【第五章 マヤとミル】第九話 執事からの提案

 ブロッホが、眷属たちの意見をまとめてくれた。  ロルフも意見をまとめるのを手伝ったようだ。  二人からまとめられた意見をもとに、神殿の内部を変更した。  俺が専用で使う部屋を用意した。マヤとミルが眠っている祭壇の横に作られた。ジャッロやヴェルデやビアンコからの要望だ。俺の部屋が無いのを気にしていた。俺は別に必要ないと思ったのだが、ブロッホから皆が安心するためにも、俺の部屋が必要だと言われた。拠点となるように、寝室と執務室を作った。調度品は、とりあえずはポルタ村から持ってくることに決めたようだ。  寝室の奥…

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2021/02/28

【第二章 王都脱出】第十五話 辺境伯の憂鬱

 儂・・・。別に、威厳を保つ必要が無いから、普段どおり、私と言うが、私は、フォミル・フォン・ラインリッヒ。アルシュ帝国の貴族だ。  伯爵の位を、陛下より賜っている。辺境の地を預かるために、辺境伯とも呼ばれている。  私のことはどうでもいい。いや、どうでもよくないが、本筋ではない。  本来なら、この時期は領地に居なければならないが、王城に居る愚か者どもが、勇者召喚という過去の遺物であり、禁忌の魔法陣を発動させてしまった。  そして、罪がない7人の異世界人が召喚されてしまった。  止めることが出来なかった、私た…

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2021/02/17

【第五章 マヤとミル】第八話 執事と施設と

 施設の調整を行って、一息ついていたところに、ロルフと老紳士が入ってきた。  ロルフは、入り口で立ち止まったが、老紳士が俺の前まで来て綺麗な所作で跪いた。 「旦那様」  ブロッホ(黒竜)だと言うのは解っているが、理解が追いつかない。髪が長かったはずが、短く切りそろえている。白髪が老紳士を演出している。服装も、ポルタ村では絶対に無かった服装だ。貴族家の執事が着ているような服を身にまとっている。 「え?ブロッホ?」 「はい。旦那様。ロルフ様から、旦那様に仕えるなら、執事の格好にしたほうが、違和感が少ないと教えら…

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2021/02/17

【第二章 王都脱出】第十四話 おっさん話を聞く

 おっ(まー)さんは、いつの間にかソファーで寝てしまっていた。  ドアを叩く音(ノック)で起こされた。 「まーさん。食事の準備が出来たみたいだよ」  カリン(糸野夕花)が、まーさんを呼びにきた。 「わかった。食堂に向かう」 「うん。イーリスとロッセルが、”一緒に食事をしたい”と言っていたよ」 「わかった」  まーさんは、伸びをして固まった筋肉を解した。そんな動作で、まーさんは身体が若返ったことが確認できた。  寝る前に見ていた、スマホの電源を落とした。ソーラーパネルがあるといっても、バッテリーを休ませておく…

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2021/02/01

【第十章 エルフの里】第五話 道中(神殿→王都→国境の砦)

「ねぇヤス・・・」 「駄目だ!」 「まだ何も言っていないよ?」 「解っている。FITを運転したいのだろう?駄目だ。リーゼの運転は、粗い。もっと、ブレーキをしっかりと操れるようにならなければ、荷物を運ばせられない」 「うぅぅぅ。だって、アクセルを踏み込んだ方が速いよ?」 「そうだな。最高速は出せるだろうけど、ラップタイムは遅くなるな」 「う・・・」 「リーゼ。モンキーだと、イチカに負けるよな?」 「・・・。うん。でも、それはイチカの方が、体が軽いから・・・」 「でも、俺はイチカに完勝できるぞ?」 「それは、ヤ…

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2021/02/01

【第二章 王都脱出】第十三話 それぞれの過去と思い

 まー(おっ)さんは、辺境伯が帰っていった扉を見つめている。  まーさんは、懐に忍ばせていたスマホを取り出す。  一枚の写真を見つめる。フィルム写真だったものをわざわざスマホに取り込んだ物だ。  8人の中学生くらいの男女が笑っている。 「なぁなんで俺なのだろう?お前たちなら・・・」  写真は何も答えない。  まーさんは、愛おしいものを撫でるかのように写真を指でなぞる。  スマホをスライドして、次の写真が表示される。  3人の中学生だ。横に、大きく入学式と書かれた看板がある。1人は、まーさんの面影が残る少年だ…

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2021/02/01

【第五章 マヤとミル】第七話 眷属長?

「わかった。味方は欲しい」 ”ありがとうございます”  オーガには、ラトギの名を与えた。黒竜には、ブロッホの名を与えた。  ブロッホは、ワイバーンを眷属にしていたために、その者たちも眷属に加わる。  ラトギは進化の兆しが見えた為に、ヒューマに命じて里に移動させた。  ブロッホは進化を抑え込んだようだ。種族的な進化はしなかったが、スキルが大幅に進化して、ブロッホは”人化”できるようになった。 「リン様」  全裸の状態で、俺の目の前で跪いているブロッホが居る。  どうしていいのか迷っていると、人化を解いて竜に戻…

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2021/01/17

【第五章 マヤとミル】第六話 来訪者

 暖かい(温かい)食事だ。心にある澱みが消えていく感覚だ。  どのくらいの時間が経過したかわからないが、リンの周りには眷属たちが嬉しそうな表情で集まっている。  照れ隠しなのか、近くにいた眷属に話しかける。 「そういえば、ロルフは?」 「まだ、お帰りになっていません」 「そうか・・・。困ったな」 「マスター。何に、お困りなのですか?」  ”困った”というセリフがリンの口から出た事で、眷属たちは一気に緊張の度合いを高める。  ヴェルデ(ゴブリン)だけではなく、話を聞いていた、ビアンコ(コボルト)やジャッロ(オ…

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2021/01/17

【第十章 エルフの里】第四話 出発

 ヤスの準備は終わったが、リーゼの準備が終わらなかった。  主に、アフネスとラナからの説教が原因だ。 「アフネス。ラナ。確かに、リーゼは準備を、ファーストに投げて、カートで遊んでいた」  リーゼは、ヤスがイワンとテントの打ち合わせに行っているときに、カート場でカイルとカート勝負をしていた。リーゼにも言い分はあった。 「ヤス!」 「”しばらく旅に出る”とカイルに話したら、勝負を挑まれた」 「うん。うん。僕は悪くない!」 「別に、私たちは、カートで遊んでいたのが悪いと言っているのではないのですよ!」 「リーゼ。…

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2021/01/16

【第二章 王都脱出】第十二話 おっさん辺境伯に会う3

 室内は異様な雰囲気に支配されていた。 「まーさん。カリン殿。レシピは全て、遊具も全て・・・。申請を行うというのですか?」  顔を引き攣らせながらラインリッヒ辺境伯は、前に座るまー(おっ)さんとカリン(糸野夕花)に真意を問う。 「問題はあるのか?」  剣呑な雰囲気にのまれて、カリンは黙ってしまっているが、まーさんは普段と変わりがない口調で辺境伯に質問で返す。 「”ない”と言えば嘘になってしまいます」 「どんな問題だ?」 「申請は大丈夫だと判断します。全部のレシピの申請が降りるとは・・・」 「それはそうだろう…

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2021/01/10

【第二章 王都脱出】第十一話 おっさん悩む

 朝からカリン(糸野夕花)は食堂で、まー(おっ)さんに自分の考えを伝えていた。 「本当にいいの?」 「はい。自分で考えて決めました」  カリンからの話は、予想の斜め上で、まーさんは話を聞いて戸惑ってしまった。同時に、困ったことになりそうだと悩み始めた。  それでも、戸惑っている状況を見せないようにして、カリンの真意を聞き出そうとしている。 「それにしても思い切ったね」 「そうですか?まーさんから言われて、彼ら(勇者たち)の行動を考えてみました。その結果、最善の方法だと思います」 「そうだね。順番に、対処して…

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2021/01/10

【第十章 エルフの里】第三話 準備

「リーゼ。モンキーはどうする?」 「え?ヤスに任せるよ?」  エルフの里に向かう事が決定してから、リーゼは機嫌がよくなっている。地下に出入りできるようになってからは、輪をかけて機嫌がいいのだ。  ヤスとリーゼはエルフの里に向かう準備を行っている。食料は、ツバキたちが準備をしてくれている。移動距離は、マルスの計算では片道1,200キロで、移動時間の目安は、36時間と算出された。野営は、5回を予定している。王国内なら、ヤスの使うアーティファクトは知られているので、街に入って宿を利用する方法も考えられるが、王国か…

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2021/01/06

【第十章 エルフの里】第二話 ラナからの依頼

 朝食をリビングで食べて、食後の珈琲を飲んでいるヤスに、セバスが会釈してから今日の予定を説明した。 「そうか、今日は荷物の運搬はないのだな?」 「ございません」 「他に仕事の依頼は?」 「ギルドからの依頼は、割り振りが全て終了しております」 「わかった。1-2週間なら時間が空けられそうか?」 「緊急依頼が入らなければ、依頼の割り振りは可能です」 「そうか、ディアナでしか運べないような依頼は俺が担当しなければならないか・・・」 「はい。しかし、旦那様でしか運べない物は、もともと”運べない”ものです。ダメ元で依…

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2021/01/05

【第二章 王都脱出】第十話 女子高校生迷わない

『うん。流されるのも悪くないけど、自分で出した答えのほうが、納得できるだろうね。辺境伯は二日後に来るから、考えてみて、困ったら”バステトさん”に話をしてみるといいよ』  女子高校生だった、糸野(いとの)夕花(ゆうか)は、おっ(まー)さんの言葉を聞いて、悩んだ。答えは出ているのだが、自分で何に悩んでいるのか不安な気持ちになっていたのだ。  少しだけ躊躇はしたが、まーさんに付いていった方が安全だと思っているのだ。  イーリスやロッセルが悪い人間ではないのは、交流してみて解っているし、判明している。しかし、糸野(…

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