ご都合主義の記事一覧
2022/07/27
【第六章 ギルド】第二十八話 説明
アッシュから、奴隷を引き取る。 俺に、頭を下げてから、アッシュは部屋を出て行った。 オイゲンは、アッシュが奴隷商だと知っている。自分を買った者だから覚えていたのだろう。俺の横には、セバスチャンが立っている。 しかし、オイゲンの視線は、俺と奴隷の少女たちを行ったり来たりしている。 お気に入りは、ハーフエルフなのだろうと思うが、獣人も気になる様子だ。満遍なく見てから、俺に視線を移してから、またハーフエルフに視線を戻す。忙しく、視線を動かすだけではなく、ソファーから立ち上がりかけている。 「オイゲン。座れよ」 「…
続きを読む2022/07/24
【第十章 エルフの里】第三十五話 状況
私は、オリビア・ド・ラ・ミナルディ・ラインラント・アデヴィット。アデヴィット帝国の第三皇女です。いや、”だった”が正確です。 お兄様やお姉様が、玉座を争い始めた。 もともと、私は玉座には興味がない。 権力闘争が顕著になったのは、第二皇子のお兄様が王国に攻め込んで、大敗を喫したことが原因です。当初は、王国が守っていたと思われていたが、どうやら王国と帝国の間に存在した神殿が攻略されたことに起因しているようです。お兄様たちなら情報を掴んでいるでしょう。しかし、私には重要な情報は回ってきません。 お兄様は、愚かにも…
続きを読む2022/07/20
【第六章 ギルド】第二十七話 勧誘
まずは、伴侶候補としての少女たちを確認する。 猫族、犬族、羊族、兎族とハーフエルフだ。茂手木の好みは解らない。他の友達との話を聞いていると、胸よりは腰派だったはずだ。よくわからないが、茂手木が気に入らなくても、茂手木に押し付けるつもりだ。茂手木にやってもらうことを考えれば、手伝いは必要だろう。 美形が揃っている。ケモミミバンザイは口癖のような奴だ。ハーフだがエルフも居る。アッシュに確認したが、全員が処女だ。これなら、茂手木も文句は言わないだろう。伴侶候補としても十分だ。 呼び名は消されてしまっている。スキル…
続きを読む2022/07/14
【第十章 エルフの里】第三十四話 条件
姫が取り出した魔道具を俺に見せて、説明した。 マルスが使う結界の範囲が狭い物だと判断した。 「大丈夫だ」 「ありがとうございます」 『マルス。結界の外側に結界を展開できるか?』 『是』 マルスの結界が展開した。 姫が持っていた魔道具も無事に起動をしたようだ。マルスの結界は、色は自在だが、姫の結界は少しだけ色が入っている。曇りガラスのように見える。張られているのが解ってしまうのだ。 強度もそれほど強そうには見えない。エルフ族の攻撃は防げそうにない。これで使い物になるのか? 『マルス。声は通過できるか?』 『是…
続きを読む2022/07/12
【第六章 ギルド】第二十六話 オイゲン
セバスチャンが、アッシュに向かって”あの者”という言葉をつかって、リストに入っていない人物の事を問いただしている。 それだけ、有用な者なのか? アッシュをみると、少しだけ先ほどの表情とは違って、何かを考える表情をしてから、俺を見ないままセバスチャンからの問に答える。 「あの者の取り扱いは・・・。王家から、注意が入っています」 王家? それほどの者なのか? 他国の貴人とかだと、困ってしまう。扱いという面で・・・。 「注意?」 セバスチャンも、内容までは知らないようだ。 しばらく、二人のやり取りを聞いている。 …
続きを読む2022/07/03
【第六章 ギルド】第二十五話 住民
アッシュに案内されて、奴隷商の中を歩く。建物は、大きく、掃除が行き届いている。しばらく、歩くと大きめの扉が付いた部屋に案内された。扉の方に向けて、大きめのソファーが置かれている。ソファーに勧められて腰を降ろすと、横にあるテーブルに飲み物が置かれた。 セバスチャンは、俺の横に居るようだ。 アッシュは、俺に少しだけ待って欲しいと言ってから、隣の部屋に移動した。 「セブ。子供たちを知っているのか?」 「はい。何度か、世話をしたことがありますが・・・」 「どうした?」 「この部屋は、もっと大口のそれこそ、2-30名…
続きを読む2022/06/28
【第十章 エルフの里】第三十三話 亡命?
目の前に居るピンク頭は、”亡命”と言ったか? ”神殿への亡命”と言ったよな? リーゼを見ると、完全に聞かなかったことにしたようで、フェンリルを撫でている。話に加わろうとしない。実際に、リーゼに”何か”できるとは・・・。思わないが、話を聞くくらいはしてもいいだろう。 フェンリルを撫でながら、少しずつ距離を取っている。うまいやり方だ。 どこで、そんな姑息なテクニックを覚えたのか、じっくりと聞き出したい所だが、今は、目の前で発生している事柄を・・・。 「はぁ・・・。亡命ですか?理由を伺っても?」 「え?」 あっこ…
続きを読む2022/06/25
【第六章 ギルド】第二十四話 契約
アッシュ=グローズの話を聞いて、少しだけ考えてみた。 奴隷と考えるから、ダメなのだろう。 従業員だと考えれば・・・。働いたことがないけど、なんとなくイメージはできる。眷属たちは、家族という認識だが、奴隷は従業員だと考えれば、棲み分けが可能だ。 「リン様。奴隷の準備が出来ました」 「わかった。場所を移動するのか?」 「順番に連れて来ることも可能ですが?」 「まとまっているのか?」 「職制別にしております」 「わかった。移動しよう」 「ありがとうございます。執事候補だけは、一名ですので、連れてまいります」 「わ…
続きを読む2022/06/17
【第六章 ギルド】第二十三話 奴隷商
ローザスの目的は解らないが、確かに眷属は、”いい意味”で俺に従順だ。ロルフは違うが、ロルフはマヤに甘いだろう。 ブロッホは、苦言も呈してくれるが、俺以外への感心は薄い。眷属は、守るべき者たちだと認識しているが、他の”人”は、認識しているか怪しい。 いろいろな意味で、確かに、”人”が必要になってくる。 神殿に繋がる場所だと考えると、裏切る可能性がない者でないとダメだ。ブロッホでもいいが、ブロッホには神殿で、眷属のまとめ役を頼みたい。今後、眷属が増えるか解らないが、指示系統を考えると、移動速度と強さを兼ねたブロ…
続きを読む2022/06/14
【第十章 エルフの里】第三十二話 不敬
馬車の中で動きがある。 気にしてもしょうがない。帰るか・・・。 「ヤス?」 馬車に背を向けているけど、動きは把握できる。 俺も、この世界に馴染んできたのか?単純に、マルスが優秀だから、俺がその恩恵を享受しているだけかもしれないけど、知らない人が見たら俺の力だ。リーゼには、神殿に帰って落ち着いたら、話をしたほうがいいような気がしている。 しばらくの間、一緒に行動をしているが、いい女だ。わがままとかではなく、自分を持っている。守るべき事をわきまえている。 「ヤス?」 「あぁすまん」 馬車から人が出てきたようだが…
続きを読む2022/06/09
【第六章 ギルド】第二十二話 紹介?
貴族の機微が解らないと、足下から崩される可能性がある。 でも、俺が今から貴族を知るのは難しい。いや、不可能だ。神殿の運営は、知識があるロルフが居る。眷属たちは、ブロッホが居れば統率は大丈夫だろう。ロルフも、眷属との調整はできる(はずだ)。しかし、貴族家や教会とのやり取りには俺では知識が不足している。知識だけなら詰め込めばいいのだが、経験が圧倒的に足りていない。 「・・・。ークス。リン=フリークス!」 「・・・。へ?」 「”へ”ではない。貴様、話を聞いていなかったのか?」 「もうしわけない。聞いていません」 …
続きを読む2022/06/06
【第十章 エルフの里】第三十一話 不穏
リーゼが、赤い点に向かってアクセルを踏み込む。 運転も、大分うまくなっている。多少荒い所もあるが、助手席に座っていられる状況にはなっている。 マルスがナビをしながら、危険な場所を避けるような指示を出す。的確とは言えないが、走行が不可能な状況になるようなダメージは受けていない。FITのダメージは、あとで確認すればいい。結界があるので安全だが、外部からの振動は内部にも伝わってしまう。機械的な損傷が発生するのはしょうがない。 視認はできないが、馬車の状況が見えてきた。 『馬車と思われる物が襲われています』 視認は…
続きを読む2022/06/02
【第六章 ギルド】第二十一話 村長?
ハーコムレイが、俺を睨んでくる。 睨まれるようなことは・・・・。沢山しているけど・・・。心当たりが有りすぎて、どれに該当しているのか解らない。 ひとまず、立ち上がったが、ハーコムレイの前に座りなおす。 「マガラ渓谷を越えた場所には、王家が管理している場所がある」 「はぁ・・・」 そりゃぁ他に用意できる権限を持つ者は居ないだろう? 「だが、運営を行う事も、村を作る事も、王家やミヤナック家が行うことはできない」 何を言いたいのか解ってきた。 確かに、マガラ渓谷を越えた場所は、王家の直轄領はあるが、街はもちろんだ…
続きを読む2022/05/28
【第十章 エルフの里】第三十話 珍道中
エルフの里を出るときに、大樹に向かってリーゼと一緒に頭を下げる。 コアであるマリアにではない。大樹の側で眠るエルフたち・・・。リーゼの母親に向かってだ。 リーゼが、一筋の涙を初めて見せた。黙って、リーゼを抱き寄せる。それだけで、リーゼは身体を少しだけ強張らせたが、俺の背中に腕を回して、抱きついて、泣き出してしまった。 リーゼは、声を出さずに泣き続けた。溜まっていた物が流れ出たのだろう。 「ゴメン」 身体を離すと、リーゼは俺に謝ってきた。何に対して、謝っているのか・・・。聞かない。聞いてはダメなことくらい解る…
続きを読む2022/05/26
【第六章 ギルド】第二十話 おい
ギルドに俺のメリットを提示して、ミルとミアが居る訓練場に向かった。 「ミル!」 声をかけるが聞こえていないようだ。 音を遮断しているのか? ミルが、ミアに武器の使い方を教えているのか? ミアが、ギルドが用意している模擬戦用の武器を選んで、レオを相手に模擬戦を繰り返している。 ミアのステータスは低くない。テイマーなら、本人が戦う必要は少ないけど、戦えて困らない。ギルドが用意している武器の中では、短剣が合うようだ。レオが徐々に速度を上げるが、攻撃を当てられないが、しっかりと対応は出来ている。種族的なものなのか、…
続きを読む2022/05/17
【第六章 ギルド】第十九話 メリット
イリメリは、俺をまっすぐに見ている。 挑むような目線ではない。表現が難しいけど、挑発されているわけでも、攻撃されているわけでも、よくわからない目線だ。 「”白い部屋”で話された内容を考えてみた」 「え?」「続けて」 ルナが疑問に思っているような声を上げるが、イリメリが全員を見てから、俺を見つめて、説明を続けるように言葉を続ける。 「勝利条件は、全員を殺せとか、王になれとか、そんな事ではない」 ここで、全員を見れば、覚えているのだろう。頷いてくれる。 イリメリは思い出したのだろう。俺のメリットが解ったようだ。…
続きを読む2022/05/09
【第六章 ギルド】第十八話 会話?
俺の言葉を受けて、サリーカは”やっぱり”という表情をしているが、他は、まだ理解が追いついていない。 「リン君」 やはり、サリーカだけが神殿の意味がわかるようだ。 「出入口だけど、例えば、メロナとアロイに設置した場合に、メロナから入って、アロイに出られる?」 最初に聞いてきたのが、さすがだな。 「可能だ」 「神殿の広さは?」 質問の流れから通路だろう。 「通路の幅や建物は自由に設置できる。もちろん、馬車がすれ違えるくらいの幅にできる。今は中央に、ラウンドアバウトを設置している。神殿の広さは、ダンジョンのよくあ…
続きを読む2022/05/04
【第十章 エルフの里】第二十九話 エルフ
エルフの里まで戻ってきた。 歓迎されている雰囲気は皆無だが、俺とリーゼが行った事は、ラフネスから皆に伝えられているのだろう。嫉妬や嫌悪の視線は消えていないが、前の様に侮蔑を含んだ視線は少なくなっている。 ”助けてやった”から、感謝しろとは言わないが・・・。本当に、この種族を延命させたのは正しかったのか疑問に感じてしまう。 そして、コアからある事実を教えられた。当然の事だが、考えてもいなかった。このエルフの里には、ハイエルフを含めて、300名程度が住んでいる。外に作られた村には、里に入ることができないエルフた…
続きを読む2022/05/01
【第六章 ギルド】第十七話 合流
ドアが勢いよく開かれた。 タシアナが、涙目のミトナルの腕を引っ張る形で、入ってくる。 タシアナとミトナルの後ろには、ルアリーナとサリーカが続いて、フェムやカルーネやフレットやアルマールも居る。最後には、目を伏せたイリメリが続いている。イリメリは、ミアと手を繋いでレオの首輪を握っている。さすがは、委員長だ。ここでも、委員長をやっているのだろう。 タシアナの目が怖い。 俺を睨んでいる。涙目のミトナルから推測できる。俺が想定していた中では、最悪な部類だ。 次は、タシアナがいうセリフも想像ができる。 「ギルドマスタ…
続きを読む2022/04/28
【第十章 エルフの里】第二十八話 行商
ヤスは、ラフネスから受けた依頼を考えていた。 神殿から、エルフの里までの距離が問題になってくる。ヤスがディアナで移動するには、無理がある。集積所を作る場所も問題になってくる。 しかし、ヤスはラフネスの依頼を前向きに考えていた。物流ですべてが解決するとは思っていないが、神殿から派遣する行商人なら、エルフの里に喰い込んでいた商人の様に、エルフ族を騙して至宝を掠め取ろうとしたり、結界の中に無理矢理入ったり、愚かな行為は控えるだろう。 ”マリア(コア)”と絡んでしまったから、見捨てる選択肢はないのだが、面倒なことに…
続きを読む2022/04/27
【第六章 ギルド】第十六話 説明準備
ギルドはうまく回っているが、うまく回り始めているから、新しい問題が出始めている。子供やメンバーが狙われ始めている。 ナッセの話し方から、理解したことだ。 ナッセが目配せをする。 「そうか、それで、監視しているのだな?」 そこまでヒントを貰えれば、さすがに判るだろう。 それに、”監視”対象は、中に居る者たちではないだろう。ミルが、ギルドのメンバーと話をして、問題が無いと判明したら、監視している視線が弱まった。 「気が付きましたか?」 「入口やギルドに近づく者たちを監視しているのだな?」 テーブルの上に置かれて…
続きを読む2022/04/20
【第六章 ギルド】第十五話 ナッセ・ブラウン
ミアと手を繋いで、ギルドに近づく。 ミルが警戒を強めるが、誰も襲ってくる様子は無い。視線は増えていない。監視は、俺やミルを見ているわけではなさそうだ。 (ギルドを監視している?) フェム辺りなら、状況を把握しているのだろう。王都の様子を含めて聞いたほうがいいかもしれない。 「ねぇリン?」 「ん?」 「リンの事を話すの?」 ミルは、時々・・・。言葉を抜いた・・・。省略した話し方をする。 俺の何を話すのか?ミルの中では、詳細な説明をしているつもりのようだが、俺からしたら、言葉が足りない。 「俺の何を?」 「ん?…
続きを読む2022/04/05
【第十章 エルフの里】第二十七話 決着?
この神殿。詰んでいないか? いや、まだ大丈夫だ。魔物への対処ができればいい。それに、大物は多くない。対処が可能な魔物だけなら、問題ではない。 どうやら、俺がこのコアを吸収するのはできるようだが、そうなると、エルフたちをどうするのか考えなければならない。神殿に依存している者たちを、俺の神殿に住まわせるだけで終わるのならいいのだけど、問題まで一緒につれていくことになりそうだ。 それでなくても、俺の神殿は”多種族”が住んでいる。 エルフのように他種族を見下す者たちは来て欲しくない。他種族との接触を避けるために、エ…
続きを読む2022/04/03
【第六章 ギルド】第十四話 監視
おばちゃんから話を聞いた。 思っていた以上に王都は悪い方向に進んだようだ。これなら、王都を拠点にしないで、ギルドの本部ごと神殿に移動させたほうがいいかもしれない。いや、俺が考えることではない。ギルドのメンバーやハーコムレイたちが考えるべきことだ。 俺は、皆が”神殿”を選んだときに、受け入れるだけだ。 「リン。どうする?」 ミルが、レオの上に乗るミアの手を握りながら、俺に問いかける。 おばちゃんの話はたしかに衝撃的だけど、俺たちに何ができるかわからない。貴族同士の見栄の問題にまで発展しているのなら、俺たちがで…
続きを読む2022/03/24
【第十章 エルフの里】第二十六話 善後策
いい方法が思い浮かばない。 俺は、所詮はトラックの運転手だ。小難しい事を考えるのは、専門にやっている奴が行うべきだと考えてきた。 しかし、このエルフの里の奴らは・・・・。 最低限の事さえもできていない。説明をしても理解ができるとは思えない。最大の問題は、魔物の排除が行える力があるのかさえも怪しい。 「なぁ」 「なに?」 リーゼが、俺の問いかけに返事をするが、俺が聞きたかったのは、リーゼではない。神殿のコアに善後策を考える上での、条件やできる事を聞きたかった。俺が考えた事がどこまでできるのか、確認が必要になっ…
続きを読む2022/03/24
【第六章 ギルド】第十三話 王都
ミルが戻ってきた。 怪我もしていないので、相手は問題になるレベルではなかったのだろう。 「リン!」 ミルが駆け寄ってきて、ミアを見つけて、安堵の表情を浮かべる。その表情のまま、俺に抱きついてくる。 ミルの頭を撫でながら、状況を聞く。 「どうだった?」 ミルの様子から、奴らでは無い。貴族関係の者でもなさそうだ。 「関係ない人たちだった。僕や、ミアを見て、奴隷として売ろうと考えたみたい」 それは、それで問題だけど、確かに、ミアは珍しい種族だし、ミルは”美少女”だ。狙うのは理解ができる。でも、簡単に捕まえられない…
続きを読む2022/03/05
【第十章 エルフの里】第二十五話 鍵
いつまでも、神樹を見上げていても何も解決しない。 解っているが、見上げる首が痛くなっても見て居たい気持ちにさせる。 神秘的な風景は、TVや本で見てきたが、一線を画す美しさがある。言葉で表すとチープになってしまうが、他に表現できる言葉が見つからない。 「ヤス。ヤス」 「なんだ?」 「すごいね」 「そうだな」 リーゼも同じ気持ちのようだ。 どんなに言葉を飾っても、チープに思えてしまう。 『(・・・)神殿の主様』 ん?リーゼのはずがない。 マルスも、俺を”神殿の主”とは呼ばない。 「リーゼ。何か、聞こえたか?」 …
続きを読む2022/02/25
【第六章 ギルド】第十二話 散策
見る物すべてが珍しいのか、ミアは周りを見ては、ミルに質問をしている。 ミルも嬉しそうに、ミアの手を握りながら、説明を行っている。俺から少しだけ前を歩く形になっていて、俺には二人の会話が聞こえない。 「あるじ!」 ミアが、後ろを振り返って俺を見た。 「どうした?」 「ミルお姉ちゃんと、あるじは”ふうふ”なの?」 「ん?ミトナルさん?」 ミルを見ると、視線を逸らした。 レオが目線をそらすという器用な真似をしている。 「レオ!」 ”ワフ・・・” レオは、ミルを見つめる。 やはり元凶は、ミルのようだ。…
続きを読む2022/02/21
【第十章 エルフの里】第二十四話 神樹
ほぉ・・・。 マルスが守る神殿とは違った美しさがある。 馬車を降りてから、20分ほど森の中を歩いて到着したのは、エルフたちの集落のはずだ。 「ここは?」 「集落の入口です」 「ヤス様。リーゼ様。里に向かう前に・・・」 ラフネスが、俺とリーゼの前に出て頭を下げる。 リーゼの方を向いている。 「そうだな。リーゼ。墓を見に行こう。里の中には作られていないのだろう?」 長老が申し訳なさそうな表情をするが、俺としては、素直に墓参りができそうな事に驚いた。何か、対価を要求してくる可能性があると考えていた。そ…
続きを読む2022/02/19
【第六章 ギルド】第十一話 到着
王都に入る為には、パシリカの時でもなければ、検閲を受けなければならない。 ハーコムレイ辺りと、ギルドが交渉してくれたら、もしかしたら楽になるのかもしれない。 今は、列に並ぶのが自然な事だ。 それに、目立ちたくない俺たちに取っては、列に並ぶ以外の選択肢はない。 結局、列に並ぶ前に、アウレイアの眷属をどうするのか結論が出なかった。 ミアがテイムしている”白狼(ホワイトウルフ)”だということにした。 本人?に確認をしたら、そのままミアの護衛としてテイムされても問題はないということになった。身振り手振…
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