物流の記事一覧
2020/03/06
【第七章 王都ヴァイゼ】第三話 領都にはすぐに着きます
ヤスは、正門には向かわずに西門にハンドルを切った。 「ヤス殿?どちらへ?」 「西門から一気に降りて関所を越えようと思っている」 「西門?」 「目の前に有るだろう」 「門?ユーラットじゃなくて?」 「そうだな。領都に行くのなら近い方が良いだろう」 セミトレーラが近づくと門が開いた。ドーリスには門の先がどうなっているのかわからない。見えないのだ。 近づくと崖になっているように見えるはずだ。 「え?うそ?ですよね?」 「行くぞ!ドーリス。しっかりと掴まっていろよ!舌を噛むなよ!」 「うぅぅぅぅそぉぉぉぉぉぉ…
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【第七章 王都ヴァイゼ】第二話 出発・・・最初の目的地!
寝室でヤスが寝ているとセバスが入ってきた。 「旦那様」 セバスが起こしに来る少し前にヤスは目覚めていた。 「ん?あぁセバスか?」 「お水です。冷たい物と常温の物がありますが?」 「冷たい物をもらおう」 「かしこまりました」 ヤスはセバスから適度に冷やされたコップを受け取り、中に入っている水で喉を潤す。 「ん?セバス。このコップは?」 「はい。工房で作成された物です。旦那様に使って欲しいと持ってこられました」 「そうか・・・。早いな」 ヤスは出されたコップを眺める。 ガラスではないのは持った手触りで…
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【第七章 王都ヴァイゼ】第一話 出発・・・出来ない
ヤスは出発を遅らせた。 ユーラット-神殿の定期運行が開始されて、ユーラットから”朝の漁で捕れた魚”が届けられたのだ。同時に、何人かの商人がアフネスに連れられてやってきた。ヤスは、商人から挨拶を受けるという仕事をこなしたのだ。商人には、セバスを紹介して今後の窓口はセバスが担当すると説明した。 「旦那様。アフネス様が面会を求めております」 「アフネスが?」 ヤスは、考えたが理由が見つからない。 「はい」 「わかった。ギルドの部屋って使える?」 「大丈夫だと思いますが、すでに運営を開始しております」 「そう…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 ディアス(2)
ファイブについていくと一つの扉の前で止まった。 「ここは?」 「神殿の迷宮区に降りる場所です」 「え?それはギルドから行くのではないのですか?」 「はい。ギルドからももちろん行けますが、あちらは”ギルドの許可”が必要です。こちらは眷属とマスターに従属したものが使える場所です」 「え?私は?」 「はい。資格を有しております」 「・・・。そうなのですか?」 「はい」 資格と言われても従属?眷属にはなっていない。 「それで、従属とは?」 「はい。簡単に説明しますと、マスターが作られた場所に住まわれて、この場所…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 ディアス(1)
私は、ディアス。アラニスの姓は捨てた。 今は、ただの”ディアス”です。王国にあった神殿に保護された・・・。一人の女です。 ”大木の都(ヒュージツリーラント)”に住み始めてから数日が経った。 神殿の主は、広場と呼んでいたが、私とカスパルとリーゼとサンドラで決めた呼称が”大木の都(ヒュージツリーラント)”だ。住んでいる場所を、神殿の都(テンプルシュテット)。門を神殿の守り(テンプルフート)と呼んでいる。 最初は、私達だけでわかる呼称がほしかったのだが、ギルドにサンドラ様が来られて”仮称”で名前を決めよ…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 父と娘
サンドラの心は荒れていた。 自分の考えがアフネスに見透かされていた。それだけではなく、悪手だと指摘されたのだ。 魔通信機から聞こえてくる–ノーテンキにも聞こえる–父親の声に嫌味の一つも言いたくなってしまったのはしょうがないことだろう。 「お父様!」 「それで、サンドラ。神殿の主は依頼を受けてくれるのか?」 「お父様。まずは、お父様のスタンスをお決めください」 「スタンスと聞かれても、領民が苦しまなければ”よい”と思っている」 サンドラは現状を把握しきれていた父親の言葉に軽いめ…
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【第六章 神殿と辺境伯】第二十二話 条件
「ヤス様!」 「サンドラか?ドーリスとダーホスも来たということは辺境伯を説得できたのだな?」 「はい!」 「ドーリス。ダーホス。よく来てくれた。ギルド用に確保した建物に案内する。ドーリスの家も用意している」 「ありがとうございます。ヤス様」 まだ乗り合いバスは動かしていないのだが、住民も増えてきたことだし眷属に経験を積ませるためにも乗り合いバスを動かそうと考えていた。 幸いなことに討伐ポイントの収支はかなり上向いている。ワンボックスを数台用意するのに必要な討伐ポイントは確保している。すぐに運用を始めない…
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【第六章 神殿と辺境伯】第二十一話 訓練・・・?
『マスター。ご報告があります』 ヤスは寝室で目を覚ました。 「マルス。セバスとツバキは?」 『個体名セバス・セバスチャンと個体名ツバキはリビングで朝食の用意をしています』 「わかった。報告はリビングで聞く、モニタに出せるだろう?」 『了』 セバスは、移住者に行う移設の説明を眷属のメイドに任せて、ツバキと揃ってリビングで朝食の準備をして待っていた。 「旦那様。おはようございます」 「マスター。おはようございます」 セバスとツバキが揃って頭を下げる。 「おはよう。セバス。ツバキ。問題はないか?」 「ござい…
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【第六章 神殿と辺境伯】第二十話 移住
「ヤス殿!」「ヤス」「これは・・・」 内門を通過した3人の目の前には、神殿まで伸びる道があり右側には広場が存在している。 左右には綺麗に植えられた木々があり、広場の先には建物が立ち並んでいる。 「内門の結界に偽装を施していて、建物や街並みを見えないようにしている」 「なぜ・・・。聞くまでもないか・・・。外部から来た者への牽制なのだろう?」 アフネスが言ったことは間違いではないが、正解でもない。ヤスは、何も考えていない。ただ”見えないほうが”面白そうだという理由で設定をマルスに頼んでいる。 「まぁな。ミ…
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【第六章 神殿と辺境伯】第十九話 外門と内門
「セバス。門の変更と確認は任せていいか?」 「お任せください」 セバスがヤスの言葉を聞いて嬉しそうにうなずいた。 ヤスがマルスに伝えたのは、アフネスからの提案だったのだが、ヤスとしても納得できる話だ。 神殿とユーラットの間は、アーティファクトだけが行き来して人や馬車は通らない。交通事故が減らせるとヤスは考えた。 提案の骨子は、上りと下りの時間を分けたいということだ。ヤスはもう二本の道を作るつもりでいるので問題にはならない。 バスを使った運搬も今後神殿に帰属した者が運転を覚えれば仕事として成り立つ。…
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【第六章 神殿と辺境伯】第十八話 門
「旦那様」 ヤスがFITに乗り込もうとしていると、後ろからセバスが声をかけてきた。 「どうした?」 FITのキーを操作しながら振り返ってヤスは近づいてきたはずのセバスを見る。 「え?」 セバスは抱える程度の大きさの箱を持ってきていた。 「セバス。その箱は?」 セバスの後ろから遅れるようにアフネスが来ている。 「ヤス」 近づいてきたアフネスが少しだけ上がった息を整えてから説明を始める。 「ヤス。荷物の運搬を頼みたい」 「セバスが持っている箱か?」 「そうだ。もう二箱あるが問題ないよな?」 「問題ない…
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【第六章 神殿と辺境伯】第十七話 移住開始?
今まで話しの成り行きをみていたドーリスだったのだが、王都までの案内なら自分ができると発言をする。 「サンドラ様。アフネス様。私がヤス殿を王都に案内します」 ドーリスなら問題なく案内ができる。 「ドーリスか・・・。確かに王都ならドーリスがいいだろうな」 「ヤス殿!」「ダーホス。俺の仕事は荷物を運ぶことだ。人を運ぶのは仕事ではない。これは前にも言ったよな?だから、ドーリスに案内をお願いする。依頼としてドーリスを連れて行くことはしない」 「・・・」 「ダーホス。お前が何をしたいのかはわかる。ヤスの考えを尊重し…
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【第六章 神殿と辺境伯】第十六話 サンドラの依頼
「はじめまして、私(ワタクシ)はクラウスの娘。サンドラといいます」 サンドラはヤスが反応しない状況を見て言葉を繋げる。 「神殿の主様。どうか私(ワタクシ)の依頼をお受けください」 「ん?アフネス?」 ヤスは依頼内容を聞いていたが、サンドラの出現は予想外だった。しかし”領都での食料調達が無(・)理(・)”だと言われたて領都や王都の状況がどうなっているのか知りたいと思った。アフネスはヤスが何を言いたいのかわかったようで口を挟むのを止めた。 「サンドラ様?私は、ヤスといいます。それで、どうして”領都での食料調…
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【第六章 神殿と辺境伯】第十五話 移住の問題点?
ヤスは一人でリビングに戻ってきた。 今からアフネスと話をするためにユーラットに戻る必要があるのはわかっている。 「ふぅ・・・」 『マスター』 「マルスか?どうした?」 『個体名セバス・セバスチャンから連絡がありました』 「何か問題でもあったのか?」 『マスターに仕事の依頼をしたいという女が現れたそうです』 「仕事?」 『はい。個体名セバス・セバスチャンは、マスターへの依頼の前に、移住を行うほうが先だと宣言しました』 「わかった。セバスには、移住の話をメインにするように伝えてくれ」 『了』 (リーゼに聞け…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 カスパルとディアス
神殿からそれほど離れていない家の前まで移動した。 どうやらディアスと俺が住む家の候補らしい。 結界を通る時に作ったカードがそのまま鍵の役割になるようだ。 ディアスの顔を見るが驚いている。俺では変わった家とすごい家という印象しかないがディアスはなにか違った感想を持っているようだ。 家の中に入る。 エルフ式のようだ。玄関で靴を脱ぐように言われる。ディアスもエルフ式は知っていたようだ。驚いているのはリーゼだった。この場にいる唯一のエルフ族が驚いてどうする。 家を案内してくれるヤス様の説明は驚愕という…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 カスパル
イザーク隊長に”誓いのナイフ”を返した。 俺は、正直な気持ちを隊長に伝えた。 ”ユーラットよりも大切な物ができた”と、隊長はその場はナイフを受け取ってくれなかった。”男を見せろ”と言われて、ヤス様とディアス・アラニスの前で隊長にナイフを返した。 今、神殿に向かう為にヤス様のアーティファクトに乗っている。前にはリーゼが座っていて、横にはディアス・アラニスが座っている。 本当に不思議なアーティファクトだ。 鉄でできているようだが、鉄だけでは無いのだろう。ドアに付けられている窓もすごく透明できれいなのだ…
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【第六章 神殿と辺境伯】第十四話 住居?
「なんで?」「へ?」「へぇ・・・」 結界を通り抜けると周りの様子が変わる。 乗っていた3人は、広場はただの広い場所に見えていた。それが結界を越えると家が立ち並ぶ街並みが目に入った。何か騙された気分になったのだ。 「ヤス!なんで!なんで!」 「はい。はい。簡単に言えば結界には中を見えなくする権能があって外から見えなかっただけだ」 「結界?こんなに大規模な?」 ディアスは知識として結界のことを知っている。ヤスが言っている神殿を覆うような結界は通常ではありえない。通常は野営などで馬車を守る為に発動する。範囲…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 ディアス・アラニス
私は、アラニスの正当な後継者・・・だった。 もうアラニスの名前は重荷でしかない。少し考えるが重荷というのとは少し違う。 アラニスの家に生まれてしまったために、私は殺されるところだった。 暗く何もない場所に捉えられて殺される日を待つだけだった。犯されるようなことはなかった。祖先が私たちを守るために広めた話があり、犯されると問題が発生するらしい。 女は初潮後に処女で死ぬと魔力の暴走が発生する。 男は精通後に死ぬと魔力の暴走が発生する。 最初は意味がわからなかった。 殺されるのには違いない。祖先が…
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【第六章 神殿と辺境伯】第十三話 カスパル!
セバスとアフネスの腹のさぐりあいの結果。リーゼとディアス・アラニス(アラニスの生き残り)がヤスと一緒に最初にFITで移動することになった。 「ヤス殿!」 「ん?だれ?」 ヤスを呼び止めたのはカスパルだ。イザークがカスパルの腕を引っ張っているが、それを振りほどいてヤスの足元に土下座する。 「ヤス殿。いや、ヤス様!お願いです。俺も一緒に連れて行ってください!なんでもします。お願いします!」 ヤスは困惑するしかなかった。なぜカスパルがここまでしているのか皆目見当がつかないからだ。 「えぇ~と?」 「自分は、…
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【第六章 神殿と辺境伯】第十二話 ヤス登場
ヤスはユーラットのいつもの場所にFITを停めた。 「旦那様。ツバキが到着しているか確認してきます」 「そうだ・・・。頼めるか?俺は、ここで待っているよ」 「かしこまりました」 セバスがユーラットの町に入らずに脇道を移動した。 ツバキが到着しているのならバスのところに居ると考えたからだ。今までの事からバスはユーラットの中に入れていないだろうと思えるので、町の中を通らずに脇道を行くのが正しいのだろう。 30分くらい経過したがセバスもツバキも現れる様子がない。ヤスはシートを倒して目を閉じて待つことにした。…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 混乱!?
ツバキが運転するアーティファクト(小型バス)の座席数は21だが補助椅子を使えば25名まで座る事ができる。 夜の帳が降りてきた事からツバキはライトを付けて速度を落として運転している。 「ツバキ殿。どのくらいでユーラットに到着しますか?」 ダーホスが運転するツバキに気を使いながら尋ねる。 「そうですね・・・・」 ツバキは、ヤスからカーナビの表示のレクチャーを受けている。目的地をユーラットにしているので、到着予定時刻が表示されている。 「朝方には到着できます。ダーホス様。おやすみください」 「・・・。そう…
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【第六章 神殿と辺境伯】第十一話 確保?
ダーホスたちは弓で牽制して、引っ張り出された男に複数で斬りかかる。終わりの見えない撤退戦をおこなっていた。 暗くなるまで逃げ切れば石壁を越えて森の中に入る。神殿方向に逃げる者と囮となってユーラットに逃げる者で別れることにしている。 暗くなるまでは4時間ほどある。カスパルは殿(しんがり)を見事にこなしている。なんとか、傷を負っている者は多いがなんとか全員が生きて逃げることができている。 ダーホスも事ここに至って、女性を帝国のヤツラに返しても自分たちが見逃されるとは思っていない。 女性の証言が必要にな…
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【第六章 神殿と辺境伯】第十話 介入?
「マルス!説明をしてくれ」 『詳細は不明です。個体名ダーホスを含む16名が戦闘になっています』 (カメラを設置しておけばよかったかな?) ヤスはカメラを設置していないことを嘆いているが表示されないだけで状況を把握できる状況にはなっているのだ。 ディスプレイに表示されているのは、人族を表す点だけだがダーホスを示す点は判別できる。ダーホスの周りに居るのがユーラットの関係者と考える事ができるのだ。 「戦闘?だれとだ?」 『わかりません』 「セバスの眷属に見てもらうしか無いか?」 『個体名セバス・セバスチャンの…
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【第六章 神殿と辺境伯】第九話 魔道具作り
工房で新しいおもちゃになりえる”魔道具”作りを始めたヤスだったが最初から躓いてしまった。 コアを作るのがとてつもなく面倒で難しいのだ。ヤスは知らなかったのだが、一部のエルフ族やドワーフ族にしか作る事ができないのがコアなのだ。それも、親方から弟子へと受け継がれる技術で外部の者が知る事ができない。基本が口伝なのだ。 技術の継承がうまくできているコアならいいが、継承ができていなくて作る事ができないコアも多数存在している。 それらのコアは魔物から抜き取る事で得ているのが現状なのだがコアを持っている魔物は魔法…
続きを読む2020/03/06
【第六章 神殿と辺境伯】第八話 神殿の魔物たち
「マスター」 「ツバキか?もう朝か?」 「はい。先程、マルス様からマスターを起こして欲しいと言われまして、申し訳ありません」 「あぁそれはいい。それで?」 ヤスはベッドから起き出して、ツバキが用意している服に着替える。 ヤスの着替えを手伝いながらツバキはマルスからの報告を伝える。 「そうか、魔物たちの階層ができたのか」 「はい。それで一度マスターにご確認していただきたいという事です」 「わかった。マルス!どうしたらいい?モニター越しの確認にするか?それとも、現地に赴いたほうがいいか?」 『モニター越しで…
続きを読む2020/03/06
【第六章 神殿と辺境伯】幕間 サンドラの思惑
「ここが?」 「はい。ユーラットです。サンドラ様」 サンドラは自分が思っていた以上に田舎のユーラットに驚いている。 石壁を最初に見た時には驚いたのだが、護衛たちサンドラに石壁の先になるのが森であることや魔物の襲来がある可能性があることを説明した。そして説明を聞いたサンドラは石壁に沿って行くのではなく街道を進むことに決めた。 街道を選んだサンドラたちはすれ違うはずだったダーホスたちとすれ違ってしまったのだ。 ユーラットの中でサンドラを知っているのはダーホスと数名だけだ。身分を証明する物を持ってきている…
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【第六章 神殿と辺境伯】幕間 ユーラットの冒険者?
ユーラットにも少ないが冒険者が存在する。 イザークたちとは違いユーラットに住んでいるわけではない。 それではどうしているのかと言えば、大半はロブアンの宿屋を借りの住処にしている。ある程度の人数が揃っている冒険者パーティーは民家を借りて住んだりしている。 冒険者たちは、魔の森を主戦場にしているのだが一部は海に向けて出ていく者も存在する。 そして冒険者は男性だけの職業ではない。女性だけのパーティーも存在している。 女性パーティーは実力が劣っていなくても1段下に見られる傾向が強い。 「アリシャ。それで…
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【第六章 神殿と辺境伯】第七話 魔物たちの仕事
ヤスはセバスとマルスに魔物の住処を一任すると決めたが方向性だけは伝えておこうと考えた。細かいことまで指示を出すつもりは無いしわからないので、ヤスとしては方向性だけ伝えれば十分と考えたのだ、あとはマルスがうまく処理してくれるだろうと丸投げの姿勢だ。 『マルス。階層を増やして、魔の森と同じような環境を作ることはできるか?』 『可能です』 『セバスとの相談にはなると思うが、方向性は新しい階層を増やすことを考えてくれ、餌も必要だろう?』 『了』 ヤスがマルスと会話しているのを感じ取ったツバキは黙って会話が終了す…
続きを読む2020/03/06
【第六章 神殿と辺境伯】第六話 セバス・セバスチャンの帰還
ヤスは緊急時の設定を確認していた。マルスに頼んで訓練も行ったのだ。一通りの確認をして問題箇所の修正を行った。 一人で部屋の端末を操作している。ツバキは、自分に与えられた部屋の掃除を行っている。マルスからの指示で、『マスターの部屋を掃除することになるのだから、自分に与えられた部屋で掃除の練習をせよ』という指示を受けているのだ。掃除の仕方はマルスが説明している。 ヤスは、できた時間を利用して設定変更を行った物事の確認作業を行っていたのだ。 「マルス!ちょっと確認したいけど大丈夫か?」 ヤスは確認作業をし…
続きを読む2020/03/06
【第六章 神殿と辺境伯】幕間 サンドラの決意
辺境伯の屋敷。奥にある当主が使っている執務室には、父親と娘だけがテーブルを挟んで向かい合っている。 娘はサンドラ。母親の身分は平民なのだが、辺境伯が自分で選んだ女性との間に生まれた娘だ。現在17歳。婚約者が居たのだが、半年前に発生したスタンピードで命を落としている。そのため、婚前未亡人となってしまっている。婚約者の死去から1年間は喪に服すことになる。その間は、領主の許しがなければ外に出ることは無い。 「お父様。どうされるのですか?」 「第二分隊に王都に食料を」「おやめになったほうがよろしいかと思います」…
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